JPH10281290A - 金属ガスケット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】内周に鋳込み式シリンダスリーブ又はフランジ
付きシリンダライナを設けたシリンダ孔を囲繞する円筒
部外周に冷却水通路をエンドレス状に形成して成るオー
プンデッキ式シリンダブロックとシリンダヘッドとの合
わせ面に介挿する高耐久性金属ガスケットを提供する。 【解決手段】シリンダブロック１７の円筒部１５と冷却
水通路１６の外側を成す外壁部１９との両方に亙って介
挿される基板１のシリンダ孔１１の内周に沿ってグロメ
ット４を設け、該グロメット４は延長片５を有すると共
にシリンダヘッド１８側に折返片６を有し、該折返片６
がシリンダスリーブ１２の外側寄りにその外周を有して
延長片５と基板１とに重合して成る合計厚さが他の部位
よりも厚くされ、折返片６の外側からシリンダブロック
１７の円筒部１５の外周までの間において基板１とグロ
メット４の延長片５にビードを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シリンダ孔の内周
に鋳込み式シリンダスリーブ又はフランジ付きシリンダ
ライナを設けると共に、シリンダ孔を囲繞する円筒部の
外周に冷却水通路をエンドレス状又は半エンドレス状に
形成したオープンデッキ式のシリンダブロックとシリン
ダヘッドとの合わせ面に介挿する金属ガスケットに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年のガソリンエンジン又はディーゼル
エンジンにおいては、重量削減、生産スピードアップを
図るためシリンダヘッド及びシリンダブロックをアルミ
材によって形成することが一般化されつつある。

【０００３】なかでも、シリンダブロックは、生産性を
より向上させる手法としてダイキャスト鋳造を用いて製
造するようになっている。このダイキャスト鋳造は、低
圧鋳造方法と異なり、「なかご」を不要とし、抜き勾配
をつけた金型にて鋳造、冷却、製品取り出しを行うこと
により、短時間のタクトを実現し得る手法である。

【０００４】このようにダイキャスト鋳造によって形成
したシリンダブロックにおいては、シリンダ孔を囲繞す
る円筒部の外周に冷却水通路をエンドレス状に形成して
成るオープンデッキ式にされている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このようなシリンダヘ
ッドとシリンダブロックとの合わせ面に金属ガスケット
を介挿するには、金属ガスケットがシリンダブロックの
外壁部とシリンダヘッドとに挟まれた状態でボルト締結
するため、エンジン負荷作動時において、シリンダブロ
ックの円筒部がボルト締結部を有するシリンダブロック
の外壁部と異なった独立した挙動を示す。このため、金
属ガスケットがシリンダブロックの円筒部の上面に接触
して振動するため、金属ガスケットの表面に荒れを生じ
たり、金属ガスケットに形成したビードにクラックを発
生して、シリンダ孔からの燃焼ガスの吹き抜けを生じる
易くなる等の問題があった。

【０００６】一方、シリンダ孔の内周に鋳込み式シリン
ダスリーブ又はフランジ付きシリンダライナを有する場
合、ボルト締結力又は燃焼爆発時の金属ガスケットの押
圧力によって、これらのシリンダスリーブ又はシリンダ
ライナに陥没を生じたり、変形を生じたりするという問
題点があった。

【０００７】本発明は、このような問題点を解消するた
めに成されたもので、シリンダ孔の内周に鋳込み式シリ
ンダスリーブ又はフランジ付きシリンダライナを設ける
と共に、シリンダ孔を囲繞する円筒部の外周に冷却水通
路をエンドレス状又は半エンドレス状に形成して成るオ
ープンデッキ式のシリンダブロックとシリンダヘッドと
の合わせ面に介挿して、シリンダスリーブ又はシリンダ
ライナの陥没あるいは変形を防止すると共に、高耐久性
のシール性能を確保するようにした金属ガスケットを提
供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するた
めに、本発明の金属ガスケットは、シリンダ孔の内周に
鋳込み式シリンダスリーブ又はフランジ付きシリンダラ
イナを設けると共に、シリンダ孔を囲繞する円筒部の外
周に冷却水通路をエンドレス状又は半エンドレス状に形
成したオープンデッキ式のシリンダブロックとシリンダ
ヘッドとの合わせ面に介挿する金属ガスケットにおい
て、前記シリンダブロックの円筒部と前記冷却水通路の
外側を成す外壁部との両方に亙って介挿される基板のシ
リンダ孔の内周に沿って外面にモリブデン被膜を施した
グロメットを設け、該グロメットはシリンダブロック側
に前記冷却水通路の内周近傍に至る延長片を有すると共
にシリンダヘッド側に折返片を有し、該グロメットの折
返片が前記シリンダスリーブの外側寄り又は前記シリン
ダライナのフランジ上面にその外周を有して前記グロメ
ットの延長片と前記基板とに重合して成る合計厚さが他
の部位よりも厚い最大厚さを成し、前記グロメットの折
返片の外側から前記シリンダブロックの円筒部の外周ま
での間において前記基板と前記グロメットの延長片にビ
ードを形成する一方、前記シリンダブロックの外壁部の
上面に亙る副板を前記基板に固定して成る合計厚さが前
記最大厚さ部よりも小となるこれらの基板又は副板の両
方又は一方にビードを形成したものである。

【０００９】また、前記基板のシリンダ孔の内周側にお
ける前記グロメットの内周端を押圧することにより該グ
ロメットの折返片と延長片とを重合した厚さが前記最大
厚さ部よりも小とするのが好ましい。

【００１０】さらに、前記グロメットの外側面にモリブ
デン被膜を施すのが好ましい。

【００１１】さらに、前記グロメット以外の部分にゴム
被膜又はモリブデン被膜を施すのが好ましい。

【００１２】さらに、前記副板の前記基板側接触面にゴ
ム被膜を施して該副板を前記基板にリベット等の固定手
段で固定するようにしてもよい。

【００１３】また、前記副板の前記基板側接触面を無被
膜として、該副板を前記基板に接着剤で固定した状態で
ビードを形成するようにしてもよい。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面を参照しながら説明する。

【００１５】図１は本発明の金属ガスケットの実施例１
を示す断面図である。図２は本発明の金属ガスケットの
実施例２を示す断面図である。図３(a) は本発明の金属
ガスケットの実施例３を示す断面図であり、図３(b) は
基板と副板とを副板の切欠片で固定した断面図である。
図４は本発明の金属ガスケットの実施例４を示す断面図
である。図５は本発明の金属ガスケットの実施例５を示
す断面図である。

【００１６】本発明の金属ガスケットは、図１又は図２
に示すように、シリンダ孔１１の内周に鋳込み式シリン
ダスリーブ１２（図１参照）又はフランジ１３付きシリ
ンダライナ１４（図２又は図５参照）を設けると共に、
シリンダ孔１１を囲繞するシリンダブロックの円筒部１
５の外周に冷却水通路１６をエンドレス状又は半エンド
レス状（冷却水通路１６が円筒部１５の外周にて完全に
エンドレス状に形成されず、円筒部１５と外壁部１９と
が部分的に連結された状態）に形成したオープンデッキ
式のシリンダブロック１７とシリンダヘッド１８との合
わせ面に介挿するものである。

【００１７】（実施例１）図１に示す金属ガスケット
は、硬質ステンレス鋼板から成る基板１をシリンダブロ
ック１７の円筒部１５と冷却水通路１６の外側を成す外
壁部１９との両方に亙って介挿し得るように形成すると
共に、冷却水通路１６に通じる複数の冷却水孔２を形成
してある。

【００１８】そして、この基板１のシリンダ孔１１の内
周に沿って、例えば軟性ステンレス鋼板から成り、外面
全体にモリブデン被膜３ｂを施したグロメット４を設け
てある。このグロメット４はシリンダブロック１７側に
冷却水通路１６の内周近傍に至る延長片５を有すると共
にシリンダヘッド１８側に折返片６を有するように形成
してあり、該グロメット４の折返片６がシリンダスリー
ブ１２の外側寄りにその外周を有してグロメット４の延
長片５と基板１とに重合して成る合計厚さＴ１が他の部
位Ｔ２、Ｔ３、Ｔ４よりも厚い最大厚さ部７を成すよう
にしてある。

【００１９】さらに、グロメット４の折返片６の外側か
らシリンダブロック１７の円筒部１５の外周までの間に
おいて基板１とグロメット４の延長片５が互いに接触し
た状態で二段の段差ビード９ａ、９ａを形成してある。

【００２０】一方、シリンダブロック１７の外壁部１９
の上面に亙って、例えば、軟性又は硬性のステンレス鋼
板又は鉄板から成る副板８を基板１にリベット１０等で
固定してあり、この副板８と基板１の合計厚さＴ３が最
大厚さ部７の厚さＴ１よりも小となるようにし、さらに
これらの基板１又は副板８の両方又は一方に段差ビード
９ａを形成してある。

【００２１】このような最大厚さ部７と冷却水通路１６
を隔てた両側に段差ビード９ａを形成したことにより、
冷却水通路１６を流通する冷却水を良好にシールするこ
とができる。

【００２２】また、図１の金属ガスケットを、図５に示
すように、シリンダヘッド１８とシリンダブロック１７
の合わせ面に介挿して、シリンダブロック１７の外壁部
１９位置でボルト締結した場合、金属ガスケット全体の
荷重は最大厚さ部７においてビード荷重Ｆ２、Ｆ３より
もはるかに強大な荷重Ｆ１を有し、この最大厚さ部７の
荷重Ｆ１が合わせ面の隙間に対して一次シールを成し、
またビード荷重Ｆ２、Ｆ３が二次シールを成して、この
合わせ面の隙間を二重にシールすることができる。

【００２３】さらに、シリンダブロック１７の円筒部１
５は、燃焼爆発の際にシリンダブロック１７の外壁部１
９とは異なる独自の挙動を示すが、グロメット４の外側
には滑り性能に優れたモリブデン被膜３ｂを施してある
ため、最大荷重Ｆ１を有する最大厚さ部７がシリンダヘ
ッド１８とシリンダブロック１７の円筒部１５に挟まれ
た状態にあっても、この円筒部１５の独自の挙動に対し
て滑り移動することにより、ビード等に無理な力が生ぜ
ず、ビード等を万全に保護することが可能である。

【００２４】また、グロメット４における内周端４ａを
押圧して潰すことにより該グロメット４の折返片６と延
長片５の重合した厚さＴ４が最大厚さ部７よりも小とな
るようにしてある。

【００２５】ただし、図１のグロメット４における内周
端４ａは、折返片６と延長片５とが圧着された状態にさ
れているが、両者は必ずしも接触する必要はなく、折返
片６と延長片５間に隙間（図５参照）を有していてもよ
い。このようなグロメット４の内周端４ａはシリンダス
リーブ１２の上面に接触することがなく、このシリンダ
スリーブ１２の陥没或は変形を生じることがない。

【００２６】また、この図１の金属ガスケットにおいて
は、基板１のシリンダヘッド１８側にゴム被膜３ａ又は
モリブデン被膜３ｂを施してある。ゴム被膜３ａを施し
た場合は、シリンダヘッド１８の面荒れに対して優れた
密着性を有し、燃焼ガスの吹き抜けを良好に防止するこ
とができ、モリブデン被膜３ｂを施した場合は、上記の
ように滑り性能を良好にするため、両側のビード８の保
護に有益である。

【００２７】さらに、副板８の両側にゴム被膜３ａを施
して基板１に対してリベット１０で固定するようにして
ある。このように副板８の両側にゴム被膜３ａを施した
場合、基板１のシリンダブロック１７側の金属表面に対
して密着性を良くし、冷却水通路１６に対しては露出せ
ず、基板１のシリンダブロック１７側の金属表面が冷却
水通路１６を流通する冷却水に対面してゴム剥れの問題
も生じない。

【００２８】（実施例２）図２に示す金属ガスケット
は、その構成は実施例１と略同様であるが、シリンダ孔
１１の内周にフランジ１３付きシリンダライナ１４を設
けたオープンデッキ式のシリンダブロック１７とシリン
ダヘッド１８との合わせ面に介挿するものである。

【００２９】この図の金属ガスケットの構成は、上記の
最大厚さ部７をシリンダライナ１４のフランジ１３に位
置するように形成してあり、この最大厚さ部７の最大荷
重がシリンダライナ１４のフランジ１３を押圧して、こ
のフランジ１３を支持するシリンダブロック１７の段差
上に作用するようにし、シリンダライナ１４の陥没及び
変形等を防止するようにしてある。

【００３０】また、上記同様、グロメット４の外側には
滑り性能の良いモリブデン被膜３ｂを施してあるため、
シリンダブロック１７の円筒部１５の独自の挙動に対し
て最大厚さ部７が滑り移動することにより、ビード等に
無理な力が生ぜず、ビード等を万全に保護し得るもので
ある。

【００３１】その他、この金属ガスケットが実施例１の
金属ガスケットと異なる点は、副板８のシリンダブロッ
ク１７側のみにゴム被膜３ａを施して、副板８の基板１
側接触面を無被膜とし、該副板８を基板１に接着剤で固
定した状態でビードを形成するようにした点にある。

【００３２】こうすることにより、両者は、ビードの段
差形状でかみ合って接着性を良好にし、またこのように
合致した副板８と基板１とに同時にビードを形成できる
という利点を有する。

【００３３】なお、シリンダブロック１７の円筒部１５
の上方部位にてグロメット４の延長片５と基板１とは互
いに隙間２０を有した状態で段差ビード９ａを形成して
あるが、実施例１のように互いに密着した基板１のビー
ドとグロメット４の延長片５のビードが両者のビード荷
重を合計したバネ力を有するのに対して、この実施例２
のように両者のビードを離すことにより、互いのビード
荷重を分散して発揮し、密着したビードよりも小なるビ
ード荷重を発揮させることができる。

【００３４】（実施例３）図３(a) に示す金属ガスケッ
トは、その構成は実施例１と略同様であるが、グロメッ
ト４の延長片５に形成した段差ビード９ａと、副板８の
基板１に対する固定方法が実施例１と異なる点である。

【００３５】即ち、シリンダブロック１７の円筒部１５
の上方部位においては、基板１に二段状の段差ビード９
ａを形成してあるが、グロメット４の延長片５を凸状の
段差に形成して、基板１の下段側の段差ビード９ａに合
致させる一方、基板１の上段側の段差ビード９ａから逆
方向に離したビード形状にしてある。このようなグロメ
ット４の延長片５のビード形状によって、基板１のビー
トと合計したビード荷重が密着したビードよりも高くす
ることができ、これらのビードによる二次シール性能を
向上することが可能となる。

【００３６】また、副板８の基板１に対する固定方法
は、副板８の両面にゴム被膜３ａを施した上、図３(b)
に示すように、副板８の切欠片１０ａを起立して基板１
に設けた貫通孔１０ｂに挿通して折り返す固定手段とし
てある。

【００３７】（実施例４）図４に示す金属ガスケット
は、その構成は実施例１と略同様であるが、シリンダブ
ロック１７の円筒部１５の上方に形成した基板１のビー
ドとグロメット４ビード、及びシリンダブロック１７の
外壁部１９の上方に形成した基板１と副板８の段差ビー
ト９ａとが実施例１と異なる点である。

【００３８】即ち、シリンダブロック１７の円筒部１５
の上方に形成した基板１のビードをグロメット４の折返
片６近傍において段差ビード９ａにし、その外側におい
て断面円弧形のビード９ｂに形成すると共に、グロメッ
ト４の延長片５に形成した段差ビード９ａを基板１の段
差ビード９ａに添って重合し、さらにその外側に基板１
の断面円弧形のビード９ｂの反対側に同様の断面円弧形
のビード９ｂを形成してある。こうすることにより、断
面円弧形のビード９ｂを形成することが可能となり、こ
の断面円弧形のビード形状による二次シール性能の向上
に資することとなる。

【００３９】また、シリンダブロック１７の外壁部１９
の上方に形成した基板１と副板８の段差ビート９ａ、９
ａを互いに離間方向に段差ビード９ａとして、シリンダ
ブロック１７の円筒部１５側の断面円弧形のビード９ｂ
とビード高さを略一致させるようにして、両者のビード
高さの均衡を図るようにしてある。

【００４０】（実施例５）図５の金属ガスケットは、シ
リンダ孔１１の内周にフランジ１３付きシリンダライナ
１４を設けたオープンデッキ式のシリンダブロック１７
とシリンダヘッド１８との合わせ面に介挿したものであ
る。

【００４１】この金属ガスケットにおいても、その構成
は実施例１と略同様であるが、シリンダブロック１７の
円筒部１５の上方に形成したビード構成とシリンダブロ
ック１７の外壁部１９の上方に形成した基板１のビード
構成と副板８とが実施例１と異なる点である。

【００４２】即ち、シリンダブロック１７の円筒部１５
の上方において基板１とグロメット４の延長片５との間
に中間板２１を挿着した状態で、基板１とグロメット４
の延長片５とに二段状の段差ビード９ａを形成し、さら
にはビード９ａ、９ａ間に隙間２０を形成してある。

【００４３】このように中間板２１にも段差ビード９ａ
を形成し、この中間板２１の材質を選択して材料硬度を
調整したり、隙間２０を変化することにより、二次シー
ルにおけるビード荷重を強大にし、また調整することが
可能となる。

【００４４】また、シリンダブロック１７の外壁部１９
の上方においては、基板１の冷却水通路１６の近傍に段
差ビード９ａを形成し、両面にゴム被膜３ａを施した平
坦形状の副板８に密着した状態にしてボルト孔２２に挿
通するボルト２３の締結部を経てその外側に断面円弧状
のビード９ｂを形成してあり、副板８と基板１はリベッ
ト１０で両者を固定した構成としてある。

【００４５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属ガス
ケットによれば、金属ガスケット全体の荷重は、グロメ
ットの折返片がシリンダスリーブの外側寄り又はシリン
ダライナのフランジ上面にその外周を有してグロメット
の延長片と基板とに重合して成る最大厚さ部において最
も強大な荷重を有し、シリンダヘッドとシリンダブロッ
クの合わせ面の隙間に対して一次シールを成し、グロメ
ットの折返片の外側からシリンダブロックの円筒部の外
周までの間において基板とグロメットの延長片に形成し
たビードと、シリンダブロックの外壁部の上面に亙る副
板とこれに固定した基板の両方又は一方に形成したビー
ドが二次シールを成して、この合わせ面の隙間を二重に
シールすることができる。

【００４６】また、本発明の金属ガスケットは、グロメ
ットの外側に滑り性能に優れたモリブデン被膜を施して
成る最大厚さ部がシリンダヘッドとシリンダブロックの
円筒部に挟まれた状態にあり、この金属ガスケットを、
冷却水通路がシリンダ孔を囲繞する円筒部の外周にエン
ドレス状又は半エンドレス状に形成されたオープンデッ
キ式のシリンダブロックとシリンダヘッドとの合わせ面
に挿着して外壁部でボルト締結した場合、燃焼爆発の際
にシリンダブロックの外壁部とは異なる独自の挙動を示
す円筒部に対して滑り移動することにより、ビード等に
無理な力が生ぜず、これを万全に保護することができ
る。

【００４７】また、最大厚さ部がシリンダスリーブの外
側寄り又はシリンダライナのフランジ上面に金属ガスケ
ットの最大荷重を発揮するため、グロメットの内周端が
シリンダスリーブの上面に接触することがなく、このシ
リンダスリーブの陥没或は変形を生じることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の金属ガスケットの実施例１を示
す断面図である。

【図２】図２は本発明の金属ガスケットの実施例２を示
す断面図である。

【図３】図３(a) は本発明の金属ガスケットの実施例３
を示す断面図であり、図３(b) は基板と副板とを副板の
切欠片で固定した断面図である。

【図４】図４は本発明の金属ガスケットの実施例４を示
す断面図である。

【図５】図５は本発明の金属ガスケットの実施例５を示
す断面図である。

【符合の説明】

１…基板 ２…冷却水孔 ３ａ…ゴム被膜 ３ｂ…モリブデン被膜 ４…グロメット ５…延長片 ６…折返片 ７…最大厚さ部 ８…副板 ９ａ…段差ビード ９ｂ…断面円弧形のビード １０…リベット １１…シリンダ孔 １２…シリンダスリーブ １３…フランジ １４…シリンダライナ １５…円筒部 １６…冷却水通路 １７…シリンダブロック １８…シリンダヘッド １９…外壁部 ２０…隙間 ２１…中間板 ２２…ボルト孔 ２３…ボルト

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダ孔の内周に鋳込み式シリンダスリ
   ーブ又はフランジ付きシリンダライナを設けると共に、
   シリンダ孔を囲繞する円筒部の外周に冷却水通路をエン
   ドレス状又は半エンドレス状に形成したオープンデッキ
   式のシリンダブロックとシリンダヘッドとの合わせ面に
   介挿する金属ガスケットにおいて、 前記シリンダブロックの円筒部と前記冷却水通路の外側
   を成す外壁部との両方に亙って介挿される基板のシリン
   ダ孔の内周に沿って外面にモリブデン被膜を施したグロ
   メットを設け、該グロメットはシリンダブロック側に前
   記冷却水通路の内周近傍に至る延長片を有すると共にシ
   リンダヘッド側に折返片を有し、該グロメットの折返片
   が前記シリンダスリーブの外側寄り又は前記シリンダラ
   イナのフランジ上面にその外周を有して前記グロメット
   の延長片と前記基板とに重合して成る合計厚さが他の部
   位よりも厚い最大厚さを成し、前記グロメットの折返片
   の外側から前記シリンダブロックの円筒部の外周までの
   間において前記基板と前記グロメットの延長片にビード
   を形成する一方、前記シリンダブロックの外壁部の上面
   に亙る副板を前記基板に固定して成る合計厚さが前記最
   大厚さ部よりも小となるこれらの基板又は副板の両方又
   は一方にビードを形成したことを特徴とする金属ガスケ
   ット。
2. 【請求項２】前記基板のシリンダ孔の内周側における前
   記グロメットの内周端を押圧することにより該グロメッ
   トの折返片と延長片とを重合した厚さが前記最大厚さ部
   よりも小となるようにしたことを特徴とする請求項１記
   載の金属ガスケット。
3. 【請求項３】前記グロメット以外の部分にゴム被膜又は
   モリブデン被膜を施したことを特徴とする請求項１記載
   の金属ガスケット。
4. 【請求項４】前記副板の前記基板側接触面にゴム被膜を
   施して該副板を前記基板にリベット等の固定手段で固定
   するようにしたことを特徴とする請求項１記載の金属ガ
   スケット。
5. 【請求項５】前記副板の前記基板側接触面を無被膜とし
   て、該副板を前記基板に接着剤で固定した状態でビード
   を形成するようにしたことを特徴とする請求項１記載の
   金属ガスケット。