JPH10281249A - 摩擦ローラ式変速機 - Google Patents

摩擦ローラ式変速機

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JPH10281249A
JPH10281249A JP9242297A JP9242297A JPH10281249A JP H10281249 A JPH10281249 A JP H10281249A JP 9242297 A JP9242297 A JP 9242297A JP 9242297 A JP9242297 A JP 9242297A JP H10281249 A JPH10281249 A JP H10281249A
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center
outer ring
wedge
rollers
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Ryoichi Otaki
大滝  亮一
Koichi Sakai
幸一 坂井
Takashi Machida
尚 町田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた伝達効率を有し、しかも組立作業が容
易な構造を実現する。 【解決手段】 外周面を第一の円筒面10bとした中心
ローラ9aと、内周面を第二の円筒面13bとした外輪
11bとを偏心させる。上記第一の円筒面10bと第二
の円筒面13bとの間の環状空間14bの幅を、円周方
向に亙り不同にする。上記環状空間14b内に、固定の
枢軸15a、15aにより枢支したガイドローラ32
a、32bと、変位自在な枢軸15bにより枢支したウ
ェッジローラ31cとを設ける。各ローラ31c、32
a、32bの内側に中心ローラ9aを挿入する際には、
中心ローラ9aの先端部に形成したテーパ面部を押し込
む。回転伝達時には上記ウェッジローラ31cを、上記
環状空間14bの幅の狭い部分に移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種機械装置に
組み込んで、減速或は増速しつつ回転運動を伝達する摩
擦ローラ式変速機の改良に関し、安価で小型に構成で
き、しかも優れた耐久性を有する構造を実現するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】摩擦ローラ式変速機は、遊星歯車式等の
歯車式変速機に比べて、高速で運転した場合にも発生す
る騒音が小さい。この為、摩擦ローラ式変速機を電動モ
ータの出力部に組み付けて減速機として使用し、この電
動モータの回転運動を減速すると共にトルクを増大させ
る構造が、例えば特開平8−210455号公報に記載
されている。図7〜8は、この公報に記載されている、
摩擦ローラ式減速機付電動モータを示している。
【0003】電動モータ1を構成するモータケース2
は、有底円筒状のケース本体3と、このケース本体3の
一端(図7の下端)開口部を塞ぐ蓋体4とから成る。そ
して、この様なモータケース2の内側中心部に回転駆動
軸5を、回転自在に支持している。上記ケース本体3の
内周面にはステータ6を、上記回転駆動軸5の中間部外
周面でこのステータ6の内周面に対向する部分にはロー
タ7を、それぞれ固定し、上記ステータ6への通電に基
づいて、上記回転軸5を回転駆動自在としている。そし
て、上記蓋体4の外面(図7の下面)に、摩擦ローラ式
減速機8を設けている。
【0004】この摩擦ローラ式減速機8は、第一の回転
軸である上記回転駆動軸5の一端部(図7の下端部)
で、上記蓋体4の外面から突出した部分を、中心ローラ
9として機能させている。この中心ローラ9は、上記回
転駆動軸5と同心であり、外周面を第一の円筒面10と
している。上記中心ローラ9の周囲には外輪11を、こ
の中心ローラ9に対する相対回転自在に配置している。
図示の例では、上記蓋体4の外面外径寄り部分に形成し
た円筒壁部12の内側に上記外輪11を内嵌すると共
に、複数本の固定ボルト21、21により上記外輪11
を、上記蓋体4の下面に固定している。即ち、図示の例
では、固定の上記外輪11の内側で、上記中心ローラ9
が回転する。この様な外輪11の内周面は、第二の円筒
面13としている。
【0005】この第二の円筒面13と、上記第一の円筒
面10との間の環状空間14内には、複数本(図示の例
では4本)の枢軸15、15の一部を挿入している。こ
れら各枢軸15、15は、それぞれ上記回転駆動軸5と
平行に配置している。又、これら各枢軸15、15の一
部で上記環状空間14の内側に位置する部分に中間ロー
ラ16、16を、ラジアルニードル軸受17、17によ
り、これら各枢軸15、15に対する回転自在に支持し
ている。上記各中間ローラ16、16の外周面は、それ
ぞれ上記第一の円筒面10及び上記第二の円筒面13に
当接する第三の円筒面18としている。更に、上記各枢
軸15、15の端部で上記環状空間14から突出した部
分を、支持部材である円輪状の連結板19に結合固定し
ている。そして、この連結板19の中心部に、第二の回
転軸である出力軸20の基端部を結合固定している。こ
の出力軸20は、複数本の連結ボルト22、22により
上記円筒壁部12の先端部に連結固定したカバー23の
中心部に設けた円筒部24の内側に、1対の玉軸受5
6、56により、回転自在に支持している。
【0006】上述の様に構成される摩擦ローラ式減速機
付電動モータの作用は、次の通りである。前記ステータ
6への通電に基づいて前記回転駆動軸5が回転すると、
前記中心ローラ9の第一の外周面10と上記各中間ロー
ラ16、16の第三の円筒面18、18との摩擦に基づ
き、これら各中間ローラ16、16が、上記中心ローラ
9の周囲で自転しつつ公転する。この公転運動は、上記
各枢軸15、15及び上記連結板19を介して上記出力
軸20に伝達され、この出力軸20が、上記回転駆動軸
5よりも低速で回転する。
【0007】尚、摩擦ローラ式変速機の伝達効率を確保
すべく、上記第三の円筒面18、18と上記第一、第二
の円筒面10、13との滑りを防止する為には、これら
各円筒面18、10、13同士の当接圧を確保する必要
がある。この当接圧を確保する為に図7〜8に示した構
造の場合、焼きばめにより、上記各中間ローラ16、1
6を上記第一の円筒面10と上記第二の円筒面13との
間の環状空間14内に挿入している。即ち、上記第二の
円筒面13を設けた外輪11を加熱してこの外輪11を
熱膨張させる事により、上記第二の円筒面13の直径を
広げた状態で、上記各中間ローラ16、16を上記環状
空間14内に挿入する。挿入後、上記外輪11が冷却さ
れて上記第二の円筒面13の直径が縮めば、上記各円筒
面18、10、13同士が、摩擦ローラ式減速機8の構
成各部材9、11、16の弾性変形に基づいて、十分に
大きな圧力で当接する。
【0008】一方、米国特許第4709589号明細書
には、図9〜11に示す様な摩擦ローラ式変速機が記載
されている。この従来構造の第2例の摩擦変速機は、有
底円筒状の本体25とこの本体25の基端開口部を塞ぐ
蓋体26とから成る固定のハウジング29内に中心ロー
ラ9aの内半部(図9の右半部)を、上記蓋体26の略
中央部に形成した通孔27を通じて挿入している。尚、
この通孔27は、上記蓋体26の中心から、少しだけ外
れた位置に設けている。又、上記中心ローラ9aの外半
部(図9の左半部)で上記蓋体26から突出した部分に
は、第一の回転軸である入力軸28の端部を結合固定し
ている。
【0009】又、上記ハウジング29の内側で上記中心
ローラ9aの周囲部分には、3本の枢軸15a、15
b、15cを、それぞれこの中心ローラ9aと平行に配
置している。即ち、これら各枢軸15a、15b、15
cの一端部(図9の左端部)を上記蓋体26に支持する
と共に、他端部(図9の右端部)を連結板19aに支持
している。尚、これら3本の枢軸15a、15b、15
cのうち、図10〜11の上部中央に位置する1本の枢
軸15aは、その両端部を上記蓋体26及び連結板19
aに形成した嵌合孔に圧入固定している。従って、この
枢軸15aが、上記ハウジング29内で円周方向或は直
径方向に変位する事はない。
【0010】これに対して、図10〜11の下部左右両
側に位置する残り2本の枢軸15b、15cは、両端部
を上記蓋体26及び連結板19aに対し、上記ハウジン
グ29の円周方向及び直径方向に亙る若干の変位自在に
支持している。この為に、上記蓋体26及び連結板19
aの一部で上記枢軸15b、15cの両端部に整合する
部分には、図11に示す様に、上記両枢軸15b、15
cの外径よりも大きな内径を有する支持孔30、30を
形成し、これら各支持孔30、30に、上記両枢軸15
b、15cの両端部を緩く係合させている。そして、こ
れら各枢軸15a、15b、15cの中間部周囲に、そ
れぞれが中間ローラであるガイドローラ32及びウェッ
ジローラ31a、31bを、それぞれラジアルニードル
軸受17により、回転自在に支持している。尚、上記連
結板19aは、上記蓋体26の内面(上記ガイドローラ
32及びウェッジローラ31a、31bを設置した空間
側の面で、図9の右面)の一部で、上記ガイドローラ3
2及びウェッジローラ31a、31bから外れた位置に
突設した突部33、33に突き当て、連結ボルト34、
34により、上記蓋体26に連結固定している。
【0011】又、上記ハウジング29の内側で上記ガイ
ドローラ32及びウェッジローラ31a、31bを囲む
部分には、円環状の外輪11aを、回転自在に設けてい
る。この外輪11aの内周面中央部は直径方向内方に突
出させる事により、土手状の凸部35とし、この凸部3
5の内周面を第二の円筒面13aとしている。そして、
この第二の円筒面13aと、上記ガイドローラ32及び
ウェッジローラ31a、31bの外周面である第三の円
筒面18a、18aとを当接自在としている。又、上記
外輪11aには、結合ブラケット36の外径側端部を外
嵌固定し、この結合ブラケット36の中心部に、出力軸
20aの内端部を結合固定している。この出力軸20a
は、前記ハウジング29を構成する本体25の中央部に
形成した第二の通孔37を回転自在に挿通して、このハ
ウジング29外に突出させている。
【0012】上記ガイドローラ32及びウェッジローラ
31a、31bの外周面は、前記中心ローラ9aの外周
面と上記外輪11aの内周面とに当接させている。上記
中心ローラ9aの中心と上記出力軸20a及び外輪11
aの中心とは互いに偏心している。即ち、前述の様に、
上記中心ローラ9aを挿通する通孔27は、上記ハウジ
ング29の中心から少しだけ外れた位置に設けているの
に対して、上記出力軸20aを挿通する第二の通孔37
は、上記ハウジング29の中心に設けている。又、この
第二の通孔37の内側に回転自在に支持した出力軸20
aと外輪11aとは、互いに同心である。従って、上記
中心ローラ9aと上記外輪11a及び出力軸20aと
は、上記通孔27のハウジング29の中心からのずれ量
δ(図9参照)分だけ、互いに偏心している。そして、
上記中心ローラ9aの外周面に設けた第一の円筒面10
aと上記外輪11aに形成した凸部35の内周面に設け
た第二の円筒面13aとの間に存在して上記ガイドロー
ラ32及びウェッジローラ31a、31bが設けられた
環状空間14aの幅寸法が、このδ分の偏心量に見合う
分だけ、円周方向に亙り不同になっている。
【0013】この様に、上記環状空間14aの幅寸法を
円周方向に亙り不同にした分、上記ガイドローラ32及
びウェッジローラ31a、31bの外径を異ならせてい
る。即ち、上記外輪11aに対して中心ローラ9aが偏
心している側(図9〜11の下側)に位置するウェッジ
ローラ31a、31bの径を、互いに同じとすると共に
比較的小径にしている。これに対して、上記外輪11a
に対して中心ローラ9aが偏心しているのと反対側(図
9〜11の上側)に位置するガイドローラ32の径を、
上記両ウェッジローラ31a、31bよりも大きくして
いる。そして、これら3個の、それぞれが中間ローラで
あるガイドローラ32及びウェッジローラ31a、31
bの外周面に設けた第三の円筒面18a、18aを、上
記第一、第二の円筒面10a、13aに当接させてい
る。
【0014】尚、それぞれが中間ローラである、上記1
個のガイドローラ32及び2個のウェッジローラ31
a、31bのうち、ガイドローラ32を支持した枢軸1
5aは、前述の様に、上記ハウジング29内に固定して
いる。これに対して、ウェッジローラ31a、31bを
支持した枢軸15b、15cは、やはり前述した様に上
記ハウジング29内に、円周方向及び直径方向に亙る若
干の変位を自在に支持している。従って、上記ウェッジ
ローラ31a、31bも、上記ハウジング29内で円周
方向及び直径方向に亙り若干の変位自在である。そし
て、前記蓋体26のシリンダ孔38、38内に装着した
圧縮コイルばね39、39等の弾性材により、上記各ウ
ェッジローラ31a、31bを支持した枢軸15b、1
5cを、これら各枢軸15b、15cに回転自在に支持
したウェッジローラ31a、31bを前記環状空間14
aの幅の狭い部分に向け移動させるべく、弾性的に軽く
押圧している。
【0015】上述の様に構成される従来構造の第2例の
摩擦ローラ式変速機の場合、入力軸28に結合した中心
ローラ9aの回転は、この中心ローラ9aの外周面に設
けた第一の円筒面10aと、ガイドローラ32及びウェ
ッジローラ31a、31bの外周面に設けた第三の円筒
面18a、18aとの当接部である、各内径側当接部4
0、40を介して、これらガイドローラ32及びウェッ
ジローラ31a、31bに伝わる。更に、これらガイド
ローラ32及びウェッジローラ31a、31bの回転
は、上記各第三の円筒面18a、18aと前記外輪11
aの内周面に設けた第二の円筒面13aとの当接部であ
る、各外径側当接部41、41を介して、この外輪11
aに伝わる。そして、この外輪11aに結合固定した前
記出力軸20aが回転する。
【0016】上記中心ローラ9aが図10〜11の時計
方向(又は反時計方向)に、外輪11aが同じく反時計
方向(又は時計方向)に、それぞれ回転すると、図10
〜11の右側の枢軸15b(又は左側の枢軸15c)に
回転自在に支持したウェッジローラ31a(又は31
b)が、上記第一、第二の円筒面10a、13a同士の
間に存在する環状空間14a内で、この環状空間14a
の幅の狭い部分(図10〜11の下側中央部分)に向け
移動する。この結果、上記枢軸15b(又は15c)に
回転自在に支持したウェッジローラ31a(又は31
b)の外周面に設けた第三の円筒面18aが、上記第一
の円筒面10aと第二の円筒面13aとを強く押圧す
る。そして、当該ウェッジローラ31a(又は31b)
に関する第三の円筒面18aと上記第一の円筒面10a
との当接部である内径側当接部40、及び、当該ウェッ
ジローラ31a(又は31b)に関する第三の円筒面1
8aと上記第二の円筒面13aとの当接部である外径側
当接部41の当接圧が高くなる。
【0017】上記1個のウェッジローラ31a(又は3
1b)に関する内径側、外径側両当接部40、41の当
接圧が高くなると、上記中心ローラ9aと外輪11aと
のうちの少なくとも一方の部材が、組み付け隙間、或は
弾性変形等に基づき、それぞれの直径方向に亙り僅かに
変位する。この結果、残り2個の中間ローラである、ガ
イドローラ32及びウェッジローラ31b(又は31
a)の外周面に設けた第三の円筒面18a、18aと上
記中心ローラ9aの外周面である第一の円筒面10aと
の当接部である2個所の内径側当接部40、40、及び
これらウェッジローラ31b(又は31a)及びガイド
ローラ32の外周面である第三の円筒面18a、18a
と外輪11aの内周面である第二の円筒面13aとの当
接部である2個所の外径側当接部41、41の当接圧が
高くなる。
【0018】上記1本の枢軸15bに回転自在に支持し
たウェッジローラ31a(又は31b)を、上記環状空
間14a内でこの環状空間14aの幅の狭い部分に向け
移動させようとする力は、上記中心ローラ9aから上記
外輪11aに伝達するトルクの大きさに応じて変化す
る。即ち、上記中心ローラ9aの駆動トルクが大きくな
る程、上記ウェッジローラ31a(又は31b)を上記
環状空間14aの幅の狭い部分に向け移動させようとす
る力が大きくなる。そして、この力が大きくなる程、上
記各内径側、外径側両当接部40、41の当接圧が大き
くなる。逆に言えば、上記駆動トルクが小さい場合に
は、これら各内径側、外径側両当接部40、41の当接
圧が小さい。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】上述の様に構成され
る、従来から知られている摩擦ローラ式変速機は、第
一、第二の円筒面10、10a、13、13aと第三の
円筒面18、18aとの当接圧を確保しつつ、中心ロー
ラ9、9aと外輪11、11aと各ローラ16、31
a、31b、32とを組み立てる事が面倒であった。先
ず、図7〜8に示した従来構造の第1例の場合には、外
輪11を加熱して第二の円筒面13の直径を大きくした
状態で、上記外輪11の内側に中間ローラ16、16と
中心ローラ9とを組み付ける、焼きばめ作業を行なう。
この中心ローラ9と一体に設けた回転駆動軸5には、摩
擦ローラ式変速機を組み立てる以前にロータ7を組み付
ける必要がある為、上記中心ローラ9は、重量が嵩むだ
けでなく、形状的に取り扱いが面倒である。この為、上
記摩擦ローラ式変速機の組立作業が面倒で、この摩擦ロ
ーラ式変速機のコストが嵩む原因となる。
【0020】これに対して、図9〜11に示した従来構
造の第2例の場合には、焼きばめの必要がない代わり
に、各ウェッジローラ31a、31bを枢支した各枢軸
15b、15cを圧縮コイルばね39、39の弾力に抗
して変位させつつ、中心ローラ9aの組み付け作業を行
なう必要がある。即ち、上記各ウェッジローラ31a、
31b及び圧縮コイルばね39、39は、上記中心ロー
ラ9aの組み付けに先立って、環状空間14a内に設置
しておく必要がある。又、上記各圧縮コイルばね39、
39の弾力により上記各ウェッジローラ31a、31b
を支持孔30、30内で各枢軸15b、15cが変位で
きる範囲内で、上記環状空間14aの幅の狭い部分及び
外輪11aの直径方向内方に変位させ切った状態では、
これら各ウェッジローラ31a、31b及びガイドロー
ラ32の(最大)内接円の直径が、上記中心ローラ9a
の外径よりも小さくなる。従って、これら3個のローラ
31a、31b、32の内側に上記中心ローラ9aを押
し込む作業は、この中心ローラ9aを傾斜させた状態で
こじる様にして行なわなければならず、やはり面倒であ
る。本発明の摩擦ローラ式変速機は、この様な面倒を解
消すべく発明したものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の対象となる摩擦
ローラ式変速機のうち、請求項1に記載した摩擦ローラ
式変速機は、前述の図9〜11に示した従来構造の第2
例の摩擦ローラ式変速機と同様に、第一の回転軸と、こ
の第一の回転軸の端部にこの第一の回転軸と同心に固定
され、外周面を第一の円筒面とした中心ローラと、内周
面を第二の円筒面として上記中心ローラの周囲に、この
中心ローラに対する相対回転を自在に設けた外輪と、こ
の外輪と同心で一端部をこの外輪に結合固定した第二の
回転軸と、上記第一の円筒面と上記第二の円筒面との間
の環状空間内に、上記第一の回転軸と平行に配置された
3本以上の枢軸と、これら各枢軸により回転自在に支持
され、それぞれの外周面を第三の円筒面とした3個以上
の中間ローラとを備える。そして、上記第一の回転軸の
中心と上記第二の回転軸及び外輪の中心とを偏心させる
事により、上記環状空間の幅寸法を円周方向に亙って不
同にし、上記3個以上の中間ローラのうちの少なくとも
1個の中間ローラを、少なくとも上記内部空間の円周方
向に亙る若干の変位自在に支持してウェッジローラとす
る事により、上記第一の回転軸及び外輪が所定方向に回
転した場合に、上記ウェッジローラとなる少なくとも1
個の中間ローラを、上記環状空間の幅の狭い部分に向け
移動自在としている。
【0022】特に、請求項1に記載した摩擦ローラ式変
速機に於いては、上記中心ローラの一端部外周面の形状
を、この中心ローラの一端縁に向かう程外径が小さくな
るテーパ面としている。そして、上記中心ローラの一端
縁の外径は、上記ウェッジローラとなる中間ローラが上
記3個以上の中間ローラの内側に存在する空間を狭くす
る方向に向け移動し切った状態での、上記3個以上の中
間ローラのうちから選択される3個の中間ローラの内接
円のうちの最も小さい内接円の直径よりも小さくしてい
る。
【0023】又、請求項2に記載した摩擦ローラ式変速
機は、第一の回転軸と、この第一の回転軸の端部にこの
第一の回転軸と同心に固定され、外周面を第一の円筒面
とした中心ローラと、内周面を第二の円筒面として上記
中心ローラの周囲に、この中心ローラに対する相対回転
を自在に設けた外輪と、この外輪と同心で一端部をこの
外輪に結合固定した第二の回転軸と、上記第一の円筒面
と上記第二の円筒面との間の環状空間内に、上記第一の
回転軸と平行に配置された複数本の枢軸と、これら各枢
軸により回転自在に支持され、それぞれの外周面を第三
の円筒面とした複数個の中間ローラとを備える。そし
て、上記第一の回転軸の中心と上記第二の回転軸及び外
輪の中心とを偏心させる事により、上記環状空間の幅寸
法を円周方向に亙って不同にし、上記複数個の中間ロー
ラのうちの少なくとも1個の中間ローラを、少なくとも
上記内部空間の円周方向に亙る若干の変位自在に支持し
てウェッジローラとする事により、上記第一の回転軸及
び外輪が所定方向に回転した場合に、上記ウェッジロー
ラとなる少なくとも1個の中間ローラを、上記環状空間
の幅の狭い部分に向け移動自在としている。
【0024】特に、請求項2に記載した摩擦ローラ式変
速機に於いては、上記中心ローラの一端部外周面の形状
を、この中心ローラの一端縁に向かう程外径が小さくな
るテーパ面としている。そして、上記中心ローラの仮想
中心軸を考え、この仮想中心軸から上記中心ローラの一
端縁までの距離を、上記ウェッジローラとなる中間ロー
ラが上記仮想中心軸に向け最も近づいた状態での、この
仮想中心から上記ウェッジローラとなる中間ローラの外
周面に設けた第三の円筒面までの距離よりも小さくして
いる。
【0025】
【作用】上述の様に構成される本発明の摩擦ローラ式変
速機によれば、中心ローラを複数個の中間ローラの内側
に装着し、且つこれら各中間ローラの外周面に設けた第
三の円筒面と、上記中心ローラの外周面に設けた第一の
円筒面及び外輪の内周面に設けた第二の円筒面との当接
圧を確保する作業を容易に行なえる。
【0026】
【発明の実施の形態】図1〜4は、請求項1に対応す
る、本発明の実施の形態の第1例を示している。本発明
の対象となる摩擦ローラ式変速機42は、ハウジング4
3を備える。このハウジング43は、電動モータ1の回
転駆動軸5の端部にこの回転駆動軸5と同心に、且つこ
の回転駆動軸5と一体に設けた中心ローラ9aを覆う状
態で設け、図示しないフレーム等に固定している。この
ハウジング43は、有底円筒状の本体44と、この本体
44の基端開口部を塞ぐ蓋体45とから成る。上記中心
ローラ9aは、この蓋体45の中心から少しだけ外れた
位置に設けた通孔46を通じて、上記ハウジング43内
に挿入している。又、この通孔46の内周面と上記中心
ローラ9aの基端部外周面との間には、軸受47を設け
ている。
【0027】又、上記ハウジング43の内側で上記中心
ローラ9aの周囲部分には、3本の枢軸15a、15b
を、それぞれこの中心ローラ9aと平行に配置してい
る。即ち、これら各枢軸15a、15bの一端部(図
1、4の上端部)を上記蓋体45に支持すると共に、他
端部(図1、4の下端部)を連結板19bに支持してい
る。尚、これら3本の枢軸15a、15bのうち、2本
の枢軸15a、15aは、それぞれの両端部を上記蓋体
45及び連結板19bに設けた嵌合孔57、57に圧入
若しくはがたつきなく挿入する事により、固定してい
る。従って、これら2本の枢軸15a、15aが、上記
ハウジング43内で円周方向或は直径方向に変位する事
はない。これに対して、残り1本の枢軸15bは、両端
部を上記蓋体45及び連結板19bに対し、上記ハウジ
ング43の円周方向及び直径方向に亙る若干の変位自在
に支持している。この為に、上記蓋体45及び連結板1
9bの一部で上記枢軸15bの両端部に整合する部分に
は、前述の図11に示した様に、上記枢軸15bの両端
部の外径よりも大きな内径を有する支持孔30(図3参
照)を形成し、これら両支持孔30に、上記枢軸15b
の両端部を緩く係合させている。そして、これら各枢軸
15a、15bの中間部周囲に、それぞれが中間ローラ
であるウェッジローラ31c及びガイドローラ32a、
32bを、それぞれラジアルニードル軸受17(図1参
照。図2、3には省略。)により、回転自在に支持して
いる。尚、上記連結板19bの一部は、上記蓋体45の
内面(上記ウェッジローラ18a及びガイドローラ18
b、18cを設置した空間側の面で、図1の下面)の一
部で上記ウェッジローラ31c及びガイドローラ32
a、32bから外れた位置に突設した、突部33(図1
参照。図2、3には省略。)に結合している。
【0028】又、上記ハウジング43の内側で上記ウェ
ッジローラ31c及びガイドローラ32a、32bを囲
む部分には、有底円筒状の外輪11bを、回転自在に設
けている。この外輪11bは、円筒部48と、この円筒
部48の一端(図1の下端)開口を塞ぐ円板部49とか
ら成る。このうちの円筒部48の内周面は平滑な円筒面
として、やはり平滑に形成した、上記ウェッジローラ3
1c及びガイドローラ32a、32bの外周面と当接自
在としている。又、上記円板部49の外側面(上記ウェ
ッジローラ31c及びガイドローラ32a、32bを設
置した空間と反対側面で、図1の下面)には、出力軸2
0bの基端部(図1の上端部)を結合固定している。そ
してこの出力軸20bを、上記ハウジング43を構成す
る本体44の中央部に設けた第二の通孔50を通じて、
上記ハウジング43外に突出させている。尚、上記出力
軸20bの基端寄り部分の外周面と上記第二の通孔50
の内周面との間には軸受51を設けて、上記外輪11b
及び出力軸20bを、上記ハウジング43に対し回転自
在に支持している。又、上記出力軸20bの先半部(図
1の下半部)で上記ハウジング43外に突出した部分に
は、動力取り出し用の歯車52を固定している。
【0029】上記ウェッジローラ31c及びガイドロー
ラ32a、32bの外周面は、前記中心ローラ9aの外
周面と上記外輪11bの内周面とに当接させている。本
発明の摩擦ローラ式変速機の場合には、前述の図9〜1
1に示した、従来構造の第2例の摩擦ローラ式変速機の
場合と同様に、上記中心ローラ9aの中心と上記出力軸
20b及び外輪11bの中心とを偏心させている。即
ち、前述の様に、上記中心ローラ9aを挿通する通孔4
6は、上記ハウジング43の中心から少しだけ外れた位
置に設けているのに対して、上記出力軸20bを挿通す
る第二の通孔50は、上記ハウジング43の中心に設け
ている。又、この第二の通孔50の内側に支持された出
力軸20bと外輪11bとは互いに同心である。従っ
て、上記中心ローラ9aと上記外輪11b及び出力軸2
0bとは、上記通孔46のハウジング43の中心からの
ずれ量δ分だけ、互いに偏心している。そして、上記中
心ローラ9aの外周面と上記外輪11bの内周面との間
に存在して上記ウェッジローラ31c及びガイドローラ
32a、32bが設けられた環状空間14bの幅寸法
が、このδ分の偏心量に見合う分だけ、円周方向に亙り
不同になっている。
【0030】この様に、上記環状空間14bの幅寸法を
円周方向に亙り不同にした分、上記ウェッジローラ31
c及びガイドローラ32a、32bの外径を異ならせて
いる。即ち、上記外輪11bに対して中心ローラ9aが
偏心している側(図2、3の左側)に位置するウェッジ
ローラ31c及びガイドローラ32a(小径ガイドロー
ラ)の径を、互いに同じとすると共に比較的小径にして
いる。これに対して、上記外輪11bに対して中心ロー
ラ9aが偏心しているのと反対側(図2、3の右側)に
位置するガイドローラ32b(大径ガイドローラ)の径
を、ウェッジローラ31c及びガイドローラ32aより
も大きくしている。そして、これら3個の、それぞれが
中間ローラであるウェッジローラ31c及びガイドロー
ラ32a、32bの外周面に設けた第三の円筒面18
b、18bを、上記中心ローラ9aの外周面に設けた第
一の円筒面10bと上記外輪11bの内周面に設けた第
二の円筒面13bとに当接させている。尚、摩擦ローラ
式減速機42の減速比は、上記第一の円筒面10bの直
径と第二の円筒面13bの直径との比により定まる。従
って、必要な減速比を得る為に、上記中心ローラ9aの
先端部にスリーブを外嵌固定し、このスリーブの外周面
と上記ウェッジローラ31c及びガイドローラ32a、
32bの外周面とを当接させる事もできる。この場合、
第一の円筒面は、上記スリーブの外周面となる。
【0031】尚、それぞれが中間ローラである、上記1
個のウェッジローラ31c及び2個のガイドローラ32
a、32bのうち、ガイドローラ32a、32bを支持
した枢軸15a、15aは、前述の様に、上記ハウジン
グ43内に固定している。これに対して、ウェッジロー
ラ31cを支持した枢軸15bは、やはり前述した様に
上記ハウジング43内に、円周方向及び直径方向に亙る
若干の変位を自在に支持している。従って、上記ウェッ
ジローラ31cも、上記ハウジング43内で、円周方向
及び直径方向に亙る変位自在である。そして、前記蓋体
45のシリンダ孔38内に装着した圧縮コイルばね39
(図11参照。図1〜4には省略。)等の弾性材によ
り、上記ウェッジローラ31cを支持した枢軸15bを
この枢軸15bに回転自在に支持したウェッジローラ3
1cを上記環状空間14bの幅の狭い部分に向け移動さ
せるべく、弾性的に軽く押圧している。
【0032】上述の様な構成による本発明の摩擦ローラ
式変速機の組立作業のうち、それぞれが中間ローラであ
る1個のウェッジローラ31c並びに2個のガイドロー
ラ32a、32bの内側に中心ローラ9aを装着する作
業を容易にすべく、上記中心ローラ9aの先端部(図
1、4の下端部)外周面には、この中心ローラ9aの先
端縁に向かう程外径が小さくなるテーパ面部53を形成
している。そして、このテーパ面部53のうち最も外径
の小さな部分である上記中心ローラ9aの先端縁の外径
53{図4(A)}を、上記ウェッジローラ31cが、
このウェッジローラ31c並びに2個のガイドローラ3
2a、32bの内側に存在する、上記中心ローラ9aを
挿入すべき空間を狭くする方向に向け移動し切った状態
での、上記各ローラ31c、32a、32bの(最大)
内接円54の直径D54(図3)よりも小さく(d53<D
54)している。即ち、上記圧縮コイルばね39の弾力に
基づいて上記枢軸15bが、前記支持孔30の上記圧縮
コイルばね39と反対側の内周縁にまで押し付けられた
状態(上記枢軸15b及びウェッジローラ31cが、図
3の実線で示す位置にまで押し付けられた状態)での上
記各ローラ31c、32a、32bの(最大)内接円5
4の直径D54よりも、上記先端縁の外径d53を小さくし
ている。更に好ましくは、上記枢軸15bが上記支持孔
30の内側で、前記外輪11bの直径方向内方に変位し
切り、上記直径D54がより小さくなった場合よりも、上
記外径d53を小さくする。
【0033】上述の様な中心ローラ9aを上記各ローラ
31c、32a、32bの内側に装着する際には、先
ず、図4(A)に示す様に、上記テーパ面部53を形成
した上記中心ローラ9aの先端縁部分を、これら各ロー
ラ31c、32a、32bの内側に差し込む。そしてこ
の状態から、図4(B)に示す様に、この中心ローラ9
aの先端部を、上記各ローラ31c、32a、32bの
内側に押し込む。この様な押し込み作業に伴い上記中心
ローラ9aの先端部は、上記テーパ面部53により上記
ウェッジローラ31cを、上記環状空間14bの幅の広
い部分に向け、上記圧縮コイルばね39の弾力に抗して
図3〜4の矢印αで示す方向に変位させ、上記各ローラ
31c、32a、32bの最大内接円54の直径D54
押し広げつつ、図4の矢印βで示す様に、これら各ロー
ラ31c、32a、32bの内側に進入する。従って、
上記中心ローラ9aを図4(B)に示す状態よりも更に
押し込めば、図1に示す位置関係で、上記中心ローラ9
aを上記各ローラ31c、32a、32bの内側に装着
できる。尚、上述の様に中心ローラ9aの先端部を各ロ
ーラ31c、32a、32bの内側に押し込む際、この
中心ローラ9aの外周面に設けた第一の円筒面10bと
上記テーパ面部53との連続部が、上記各ローラ31
c、32a、32bの外周面をかじらない(擦り傷を付
けない)様にすべく、当該連続部は、上記第一の円筒面
10bと上記テーパ面部53とを滑らかに連続させる曲
面に形成する。同様に、上記各ローラ31c、32a、
32bの外周縁が上記中心ローラ9aの外周面に設けた
第一の円筒面10aを傷付けない様にすべく、上記各ロ
ーラ31c、32a、32bの外周縁部を、外周面と側
面とを滑らかに連続させる曲面とする。
【0034】上述の様に中心ローラ9a及び各ローラ3
1c、32a、32bを所定位置に装着して摩擦ローラ
式変速機42を構成した後、この摩擦ローラ式変速機4
2により回転力の伝達を行なえば、上記1個のウェッジ
ローラ31c並びに2個のガイドローラ32a、32b
の外周面に設けた第三の円筒面18b、18bと、上記
中心ローラ9aの外周面に設けた第一の円筒面10b及
び上記外輪11bの内周面に設けた第二の円筒面13b
との当接圧を確保できる。
【0035】即ち、図示の例では、上記摩擦ローラ式変
速機42による回転力の伝達時に、上記中心ローラ9a
が図2に矢印イで示す様に、同図の時計方向に回転する
様に、構成各部の組み付け方向を規制している。即ち、
前記電動モータ1への通電時には、上記ウェッジローラ
31c及びガイドローラ32a、32bが、図2に矢印
ロ、ロで示す様に、上記各枢軸15a、15bを中心に
反時計方向に回転し、上記外輪11bが同じく矢印ハで
示す様に反時計方向に回転する。この様に、上記1個の
ウェッジローラ31cが矢印ロで示す様に回転し、この
ウェッジローラ31cを前記ハウジング43の直径方向
の内外両側から挟持した中心ローラ9a及び外輪11b
がそれぞれ矢印イ、ハに示す様に回転する結果、上記ウ
ェッジローラ31c全体が、図2に矢印ニで示す様に、
図2の時計方向に変位する傾向となる。即ち、上記ウェ
ッジローラ31cは、矢印イ方向に回転する上記中心ロ
ーラ9aから、上記矢印ニ方向の力を受け、ウェッジロ
ーラ31c自身が矢印ロ方向に回転する事で外輪11b
の内周面との当接部から受ける反作用により、やはり上
記矢印ニ方向の力を受ける。この結果、上記中心ローラ
9aの回転時に上記ウェッジローラ31cが、上記環状
空間14bの幅の狭い部分に向けて移動する傾向にな
る。そして、このウェッジローラ31cの外周面が、上
記中心ローラ9aの外周面と外輪11bの内周面とを強
く押圧する。この結果、当該ウェッジローラ31cの外
周面と上記中心ローラ9aの外周面との当接部である内
径側当接部40、及び、当該ウェッジローラ31cの外
周面と外輪11bの内周面との当接部である外径側当接
部41の当接圧が高くなる。
【0036】上記ウェッジローラ31cに関する内径
側、外径側両当接部40、41の当接圧が高くなると、
それぞれがこのウェッジローラ31cの外周面により押
圧される部材である、上記中心ローラ9aと外輪11b
とのうちの少なくとも一方の部材が、組み付け隙間、或
は弾性変形等に基づき、それぞれの直径方向に亙り僅か
に変位する。この結果、残り2個の中間ローラである、
ガイドローラ32a、32bの外周面と上記中心ローラ
9aの外周面との当接部である2個所の内径側当接部4
0、40、及びこれら2個のガイドローラ32a、32
bの外周面と外輪11bの内周面との当接部である2個
所の外径側当接部41、41の当接圧が高くなる。上記
1本の枢軸15bに回転自在に支持したウェッジローラ
31cを、上記環状空間14b内でこの環状空間14b
の幅の狭い部分に向け移動させようとする力は、上記中
心ローラ9aから上記外輪11bに伝達するトルクの大
きさに応じて変化する。そして、この力が大きくなる
程、上記各内径側、外径側両当接部40、41の当接圧
が大きくなる。逆に言えば、上記駆動トルクが小さい場
合には、これら各内径側、外径側両当接部40、41の
当接圧が小さい。従って、前記摩擦ローラ式変速機42
を通じて伝達するトルクが大きい場合には上記当接圧を
大きくして、当接部で滑りが生じる事を防止し、上記摩
擦ローラ式変速機42の伝達効率低下を防止する。これ
に対して摩擦ローラ式変速機42を通じて伝達するトル
クが小さい場合には上記当接圧を小さくして、過大な当
接圧により上記摩擦ローラ式変速機42の伝達効率が低
下する事を防止する。尚、本発明は、本例の様にウェッ
ジローラを1個のみ設けた構造は勿論、前述の図9〜1
1に示した様な、ウェッジローラを2個設けた構造にも
適用できる。
【0037】次に、図5は、本発明の実施の形態の第2
例を示している。上述した第1例の摩擦ローラ式変速機
が、中間ローラを3個設け、このうちの1個をウェッジ
ローラ31cとし、残りの2個をガイドローラ32a、
32bとした構造であったのに対し、本例の摩擦ローラ
式変速機は、中間ローラを4個設け、このうちの2個の
中間ローラを比較的小径のウェッジローラ31d、31
dとし、残りの2個を上記ウェッジローラ31d、31
dよりも大径のガイドローラ32c、32cとした構造
を採用している。
【0038】この様な構成による本例の摩擦ローラ式変
速機の場合も、上記4個のローラ31d、32cの内側
に装着する中心ローラ9a(図1、4参照)の先端部外
周面には、やはり上述した第1例の場合と同様のテーパ
面部53(図1、2、4参照)を形成する。即ち、本例
の場合、このテーパ面部53のうち最も外径の小さな部
分である上記中心ローラ9aの先端縁の外径d53{図4
(A)参照}を、上記1対のウェッジローラ31d、3
1dが、図5に実線で示す様に、このウェッジローラ3
1c並びに2個のガイドローラ32a、32bの内側に
存在する、上記中心ローラ9aを挿入すべき空間を狭く
する方向に向け移動し切った状態での、上記4個のロー
ラ31d、32cの最大内接円55の直径D55よりも小
さくしている。尚、中間ローラを4個設けた場合には、
この4個の中間ローラのうちから選択される3個の中間
ローラに関する最大内接円の直径と、別の3個の中間ロ
ーラに関する最大内接円の直径とが異なる場合が考えら
れる。この場合には、上記中心ローラ9aの先端縁の外
径d53は、最も小さい最大内接円の直径よりも小さくす
る。中間ローラを4個設けた以外の構成及び作用は、上
述した本発明の実施の形態の第1例、或は前述した従来
構造の第2例の摩擦ローラ式変速機の場合と同様である
為、重複する図示及び説明は省略する。
【0039】次に、請求項2に記載した発明に就いて、
前述の実施の形態の第1例の説明に使用した図4を参照
しつつ説明する。請求項2に記載した摩擦ローラ式変速
機の場合も、中心ローラ9aの先端部外周面に、この中
心ローラ9aの先端縁に向かう程外径が小さくなるテー
パ面部53を形成している。特に、請求項2に記載した
発明の場合には、上記中心ローラ9aの仮想中心軸Xを
考え、この仮想中心軸Xとの関係で、上記中心ローラ9
aの先端縁の直径並びにウェッジローラ31cの外周面
に設けた第三の円筒面18bの位置を規制している。即
ち、上記仮想中心Xから上記先端縁までの距離L53(=
53/2)を、上記ウェッジローラ31cが上記仮想中
心軸Xに向け最も近づいた状態での、この仮想中心Xか
ら上記ウェッジローラ31cの外周面に設けた第三の円
筒面18bまでの距離L18b よりも小さく(L53<L
18b )している。
【0040】本例の場合には、上記先端縁の位置と上記
第三の円筒面18bの位置との関係を上述の様に規制す
る事により、上記中心ローラ9aの先端面59と上記ウ
ェッジローラ31cを含む複数個の中間ローラの軸方向
端面との干渉を防止して、上記中心ローラ9aを上記複
数個の中間ローラの内側に挿入できる。即ち、上記中心
ローラ9aを上記複数個の中間ローラの内側に挿入する
際に、この中心ローラ9aは、軸受47(図1)に案内
される為、ラジアル方向への振れは少ない。そこで、上
記各距離L53、L18b 同士の関係を上述の様に規制すれ
ば、上記干渉防止を有効に図れる。
【0041】尚、本例の場合には、中間ローラを3個以
上設けた摩擦ローラ式変速機に限らず、2個以上設けた
摩擦ローラ式変速機にも適用できる。但し、中間ローラ
を2個設ける場合には、図6示す様に、中間ローラ5
8、58を、外輪11bの直径方向に関して、ほぼ反対
位置に設け、中心ローラ9aをこれら両中間ローラ5
8、58の間に配置する等により、ウェッジローラの作
動時に、各円筒面10a、13a、18aの当接圧を効
率良く高められる様にする。これら中間ローラ58、5
8は、回転方向が一定であれば、一方がガイドローラと
なり、他方がウェッジローラとなる。又、回転方向が不
定である場合には、両方がウェッジローラとなる。2個
の中間ローラ58、58の両方をウェッジローラとした
場合には、何れの中間ローラ58、58に就いても、上
記関係を満たすべく、各部を構成する。
【0042】
【発明の効果】本発明の摩擦ローラ式変速機は、以上に
述べた通り構成され作用するので、各ローラに設けた第
一〜第三の円筒面同士の当接圧を十分に確保して優れた
伝達効率を有する構造を、容易に組み立てる事ができ
る。従って、高性能の摩擦ローラ式変速機を安価に実現
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す部分縦断側
面図。
【図2】摩擦ローラ式変速機のみを取り出し、図1と直
角方向で切断した状態で示す略断面図。
【図3】圧縮コイルばねの作用により、ウェッジローラ
を環状空間の幅の狭い部分に向け変位させ切った状態を
示す模式図。
【図4】中心ローラの装着作業を示しており、(A)は
装着作業の開始時の状態を、(B)は同じく途中の状態
を、それぞれ示す模式図。
【図5】本発明の実施の形態の第2例を示す、図3と同
様の図。
【図6】中間ローラを2個設けた場合の配置状態を示す
模式図。
【図7】従来構造の第1例を示す断面図。
【図8】摩擦ローラ式変速機のみを取り出して示す、図
7のA−A断面図。
【図9】従来構造の第2例を示す断面図。
【図10】図9のB−B断面図。
【図11】同C−C断面図。
【符号の説明】
1 電動モータ 2 モータケース 3 ケース本体 4 蓋体 5 回転駆動軸 6 ステータ 7 ロータ 8 摩擦ローラ式減速機 9、9a 中心ローラ 10、10a、10b 第一の円筒面 11、11a、11b 外輪 12 円筒壁部 13、13a、13b 第二の円筒面 14、14a、14b、14c 環状空間 15、15a、15b 枢軸 16 中間ローラ 17 ラジアルニードル軸受 18、18a、18b 第三の円筒面 19、19a、19b 連結板 20、20a、20b 出力軸 21 固定ボルト 22 連結ボルト 23 カバー 24 円筒部 25 本体 26 蓋体 27 通孔 28 入力軸 29 ハウジング 30 支持孔 31a、31b、31c、31d ウェッジローラ 32、32a、32b、32c ガイドローラ 33 突部 34 連結ボルト 35 凸部 36 結合ブラケット 37 第二の通孔 38 シリンダ孔 39 圧縮コイルばね 40 内径側当接部 41 外径側当接部 42 摩擦ローラ式変速機 43 ハウジング 44 本体 45 蓋体 46 通孔 47 軸受 48 円筒部 49 円板部 50 第二の通孔 51 軸受 52 歯車 53 テーパ面部 54、55 最小内接円 56 玉軸受 57 嵌合孔 58 中間ローラ 59 先端面

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の回転軸と、この第一の回転軸の端
    部にこの第一の回転軸と同心に固定され、外周面を第一
    の円筒面とした中心ローラと、内周面を第二の円筒面と
    して上記中心ローラの周囲に、この中心ローラに対する
    相対回転を自在に設けた外輪と、この外輪と同心で一端
    部をこの外輪に結合固定した第二の回転軸と、上記第一
    の円筒面と上記第二の円筒面との間の環状空間内に、上
    記第一の回転軸と平行に配置された3本以上の枢軸と、
    これら各枢軸により回転自在に支持され、それぞれの外
    周面を第三の円筒面とした3個以上の中間ローラとを備
    え、上記第一の回転軸の中心と上記第二の回転軸及び外
    輪の中心とを偏心させる事により、上記環状空間の幅寸
    法を円周方向に亙って不同にし、上記3個以上の中間ロ
    ーラのうちの少なくとも1個の中間ローラを、少なくと
    も上記内部空間の円周方向に亙る若干の変位自在に支持
    してウェッジローラとする事により、上記第一の回転軸
    及び外輪が所定方向に回転した場合に、上記ウェッジロ
    ーラとなる少なくとも1個の中間ローラを、上記環状空
    間の幅の狭い部分に向け移動自在とした摩擦ローラ式変
    速機に於いて、上記中心ローラの一端部外周面の形状
    を、この中心ローラの一端縁に向かう程外径が小さくな
    るテーパ面としており、上記中心ローラの一端縁の外径
    は、上記ウェッジローラとなる中間ローラが上記3個以
    上の中間ローラの内側に存在する空間を狭くする方向に
    向け移動し切った状態での、上記3個以上の中間ローラ
    のうちから選択される3個の中間ローラの内接円のうち
    の最も小さい内接円の直径よりも小さくしている事を特
    徴とする摩擦ローラ式変速機。
  2. 【請求項2】 第一の回転軸と、この第一の回転軸の端
    部にこの第一の回転軸と同心に固定され、外周面を第一
    の円筒面とした中心ローラと、内周面を第二の円筒面と
    して上記中心ローラの周囲に、この中心ローラに対する
    相対回転を自在に設けた外輪と、この外輪と同心で一端
    部をこの外輪に結合固定した第二の回転軸と、上記第一
    の円筒面と上記第二の円筒面との間の環状空間内に、上
    記第一の回転軸と平行に配置された複数本の枢軸と、こ
    れら各枢軸により回転自在に支持され、それぞれの外周
    面を第三の円筒面とした複数個の中間ローラとを備え、
    上記第一の回転軸の中心と上記第二の回転軸及び外輪の
    中心とを偏心させる事により、上記環状空間の幅寸法を
    円周方向に亙って不同にし、上記複数個の中間ローラの
    うちの少なくとも1個の中間ローラを、少なくとも上記
    内部空間の円周方向に亙る若干の変位自在に支持してウ
    ェッジローラとする事により、上記第一の回転軸及び外
    輪が所定方向に回転した場合に、上記ウェッジローラと
    なる少なくとも1個の中間ローラを、上記環状空間の幅
    の狭い部分に向け移動自在とした摩擦ローラ式変速機に
    於いて、上記中心ローラの一端部外周面の形状を、この
    中心ローラの一端縁に向かう程外径が小さくなるテーパ
    面としており、上記中心ローラの仮想中心軸を考え、こ
    の仮想中心軸から上記中心ローラの一端縁までの距離
    を、上記ウェッジローラとなる中間ローラが上記仮想中
    心軸に向け最も近づいた状態での、この仮想中心から上
    記ウェッジローラとなる中間ローラの外周面に設けた第
    三の円筒面までの距離よりも小さくした事を特徴とする
    摩擦ローラ式変速機。
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