JPH10279944A - 液晶配向剤 - Google Patents

液晶配向剤

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JPH10279944A
JPH10279944A JP8257197A JP8257197A JPH10279944A JP H10279944 A JPH10279944 A JP H10279944A JP 8257197 A JP8257197 A JP 8257197A JP 8257197 A JP8257197 A JP 8257197A JP H10279944 A JPH10279944 A JP H10279944A
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圭一 山本
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直樹 柳通
Keisuke Kuriyama
敬祐 栗山
Masayuki Kimura
雅之 木村
Yasuo Matsuki
安生 松木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電圧保持率が高く、しかも、残留DC電圧が
低い液晶表示素子を作製することができる液晶配向剤の
提供。 【解決手段】 ポリアミック酸およびそのイミド化重合
体から選ばれる少なくとも1種の重合体と、誘電率が4
以上である高分子化合物およびこれを構成する単量体か
ら選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子の液
晶配向膜を形成するために用いられる液晶配向剤に関
し、さらに詳しくは、電圧保持率が高く、残留DC電圧
の低い液晶表示素子を作製することができる液晶配向剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、透明導電膜を介して液晶配向膜が
表面に形成されている2枚の基板の間に、正の誘電異方
性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッ
チ構造のセルとし、前記液晶分子の長軸が一方の基板か
ら他方の基板に向かって連続的に90度捻れるようにし
た、いわゆるTN(Twisted Nematic)
型液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られてい
る。また、最近においては、TN型液晶表示素子に比し
てコントラストが高くて、その視角依存性の少ないST
N(Super Twisted Nematic)型
液晶表示素子が開発されている。このSTN型液晶表示
素子は、ネマチック型液晶に光学活性物質であるカイラ
ル剤をブレンドしたものを液晶として用い、当該液晶分
子の長軸が基板間で180度以上にわたって連続的に捻
れる状態となることにより生じる複屈折効果を利用する
ものである。これらTN型液晶表示素子およびSTN型
液晶表示素子における液晶分子の配向は、通常、ラビン
グ処理により液晶分子の配向能が付与された液晶配向膜
により実現される。ここに、液晶表示素子を構成する液
晶配向膜の材料としては、従来より、ポリアミック酸、
およびポリアミック酸を脱水閉環したイミド化重合体が
知られており、これらは、耐熱性、液晶との親和性、機
械的強度などに優れているために多くの液晶表示素子に
使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような液晶表示素
子を一定のフレーム周期で駆動させる場合において、コ
ントラストの良好な表示を得るためには、当該液晶表示
素子における電圧保持率(フレーム周期間での電圧保持
率)が高いことが望ましい。また、残像に起因するコン
トラストの低下および画像の焼付き現象を防止する観点
からは、印加電圧を解除した後に残留する直流電圧(以
下「残留DC電圧」という)が可及的に低いことが望ま
しい。しかしながら、高い電圧保持率と、低い残留DC
電圧とを十分に満足する液晶表示素子は提供されていな
いのが現状である。
【0004】本発明は、以上のような事情に基づいてな
されたものであって、その目的は、電圧保持率が高く、
しかも、残留DC電圧が極めて低い液晶表示素子を作製
することができる液晶配向剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶配向剤は、
ポリアミック酸およびそのイミド化重合体から選ばれる
少なくとも1種の重合体と、誘電率が4以上である高分
子化合物およびこれを構成する単量体から選ばれる少な
くとも1種の化合物(以下「特定化合物」ともいう)と
を含有することを特徴とする。
【0006】本発明の液晶配向剤においては下記の形態
が好ましい。 〔1〕特定化合物(高分子化合物)の誘電率が4〜1
9、特に4.5〜10であること。 〔2〕特定化合物が、セルロース誘導体、ハロゲン含有
高分子化合物、メラミン樹脂、ノボラック樹脂、メラミ
ン−フェノール樹脂、ポリウレタンからなる群より選ば
れる少なくとも1種の高分子化合物であること。 〔3〕特定化合物がノボラック樹脂であること。 〔4〕特定化合物(単量体)により構成される高分子化
合物の誘電率が4〜19、特に4.5〜10であるこ
と。 〔5〕特定化合物が、アクリル酸、アクリル酸誘導体、
アクリル酸エステル誘導体、アクリロニトリルおよびア
クリロニトリル誘導体からなる群より選ばれる少なくと
も1種の単量体であること。 〔6〕ポリアミック酸およびイミド化重合体の合計10
0重量部に対して10〜90重量部、特に15〜50重
量部の割合で特定化合物が含有されていること。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の液晶配向剤には、ポリアミック酸および
/またはそのイミド化重合体が含有されている。本発明
の液晶配向剤を構成するポリアミック酸は、テトラカル
ボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させることに
より得ることができ、イミド化重合体は、当該ポリアミ
ック酸を脱水閉環させることにより得ることができる。
【0008】<テトラカルボン酸二無水物>ポリアミッ
ク酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物と
しては、特に限定されるものではなく、例えばブタンテ
トラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタ
ンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,
2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、
1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテト
ラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,
3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,
2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブ
タンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シク
ロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−ト
リカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,
4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、
3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン
酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン
−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフ
ランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,
5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5
−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−
フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b
−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−
2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−
c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,
5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒ
ドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト
[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3
a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−
(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−
ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,
3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−
5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニ
ル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオ
ン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−
メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−
フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−
ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−
8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−
3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,
3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒド
ロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−
ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フ
ラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラ
ヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−
1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,
2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカル
ボン酸二無水物、下記式(1)で表される化合物〔その
具体例を式(7)〜(9)に表す。〕、下記式(2)で
表される化合物〔その具体例を式(10)に表す。〕な
どの脂肪族テトラカルボン酸二無水物および脂環式テト
ラカルボン酸二無水物;
【0009】ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,
4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,
3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸
二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン
酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテ
ルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジ
メチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、
3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカル
ボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボ
ン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’
−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル
スルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボ
キシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,
3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタ
ル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフ
ィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリ
フェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス
(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニ
ルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水
物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェ
ニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アン
ヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス
(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオー
ル−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキ
サンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、
1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリ
テート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式
(3)〜(6)で表される化合物などの芳香族テトラカ
ルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種
単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0010】
【化1】
【0011】(式中、R1 およびR3 は、芳香環を有す
る2価の有機基を示し、R2 およびR 4 は、水素原子ま
たはアルキル基を示す。複数存在するR2 およびR
4 は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0012】
【化2】
【0013】
【化3】
【0014】これらのうち、1,2,3,4−シクロブ
タンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シク
ロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−ト
リカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3
a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ
−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2
−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオ
キソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘ
キセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ
[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−
テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテ
トラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレン
テトラカルボン酸二無水物および上記式(5)〜(8)
で表される化合物が好ましく、特に好ましいものとし
て、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二
無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢
酸二無水物およびピロメリット酸二無水物を挙げること
ができる。
【0015】<ジアミン化合物>ポリアミック酸の合成
反応に供されるジアミン化合物としては、特に限定され
るものではなく、例えばp−フェニレンジアミン、m−
フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメ
タン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’
−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ
ジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−
ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリ
ド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−
ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジ
アミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフ
ェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミ
ノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリ
メチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテ
ル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジ
アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェ
ノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2
−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベン
ゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒ
ドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,
9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’
−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,
5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニ
ル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,
5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−
4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−(p−フェ
ニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−
(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、
2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロ
メチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパ
ン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオ
ロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ
−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフル
オロビフェニルなどの芳香族ジアミン;ジアミノテトラ
フェニルチオフェンなどのヘテロ原子を有する芳香族ジ
アミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プ
ロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチ
レンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレ
ンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジ
アミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、
1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミ
ン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、
ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレン
ジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7 ]−ウンデ
シレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シ
クロヘキシルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミ
ン;
【0016】2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジア
ミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジ
アミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシア
ノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシ
ピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−
1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプ
ロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロ
ポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−
6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジア
ミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4
−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジ
アミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−
2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−
フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6
−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジア
ミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−
2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ
−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピ
ペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−ア
ミノフェニル)フェニルアミン、並びに下記式(11)
で表される化合物〔その具体例を式(20)に表す。〕
および下記式(12)で表される化合物〔その具体例を
式(21)に表す。〕などの、2つの1級アミノ基およ
び当該1級アミノ基を構成する窒素原子以外の窒素原子
を分子中に有する化合物;下記式(13)で表されるモ
ノ置換フェニレンジアミン類〔その具体例を式(22)
〜(27)に表す。〕;下記式(14)で表されるジア
ミノオルガノシロキサン;下記式(15)〜(19)で
表される化合物などを挙げることができる。これらのジ
アミン化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用
いることができる。
【0017】
【化4】
【0018】(式中、R5 は2価の有機基を示し、R6
は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンお
よびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有
する1価の有機基を示す。)
【0019】
【化5】
【0020】(式中、R7 は2価の有機基を示し、複数
存在するR7 は同一であっても異なっていてもよい。R
8 は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジン
およびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を
有する2価の有機基を示す。)
【0021】
【化6】
【0022】(式中、R9 は、−O−、−COO−、−
OCO−、−NHCO−、−CONH−および−CO−
から選ばれる2価の有機基を示し、R10は、ステロイド
骨格、トリフルオロメチル基およびフルオロ基から選ば
れる少なくとも1つの基を有する1価の有機基、あるい
は炭素数6〜30のアルキル基を示す。)
【0023】
【化7】
【0024】(式中、R11は炭素数1〜12の炭化水素
基を示し、複数存在するR11は、それぞれ同一であって
も異なっていてもよい。pは1〜3の整数であり、qは
1〜20の整数である。)
【0025】
【化8】
【0026】(式中、yは2〜12の整数であり、zは
1〜5の整数である。)
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】これらのうち、p−フェニレンジアミン、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミ
ノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’
−ジアミノジフェニルエーテル、4.4’−(p−フェ
ニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2−ビス
[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフル
オロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘ
キサフルオロプロパン、2,2’−ビス[4−(4−ア
ミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]
ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,
2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニルおよび
4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチ
ル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニルが好まし
く、特に好ましいものとして、p−フェニレンジアミ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび4,
4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリ
ンを挙げることができる。
【0031】<ポリアミック酸>本発明の液晶配向剤を
構成するポリアミック酸の合成反応において、テトラカ
ルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、ジア
ミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラ
カルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量とな
る割合であることが好ましく、更に好ましくは0.3〜
1.2当量となる割合である。本発明の液晶配向剤を構
成するポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中で、通
常−20〜150℃、好ましくは0〜100℃の反応温
度で1〜48時間にわたって行われる。上記有機溶媒と
しては、反応で生成するポリアミック酸を溶解しうるも
のであれば特に制限はない。具体的には、例えばN−メ
チル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサ
メチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶
媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロ
ゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げること
ができる。有機溶媒の使用量は、通常、テトラカルボン
酸二無水物およびジアミン化合物の総量が、反応溶液の
全量に対して0.1〜30重量%になる量であることが
好ましい。
【0032】なお、上記有機溶媒には、ポリアミック酸
の貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、
エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類など
を、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用す
ることができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例え
ばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピル
アルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキ
サノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチル
メトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネー
ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエ
ーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレン
グリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−
プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピル
エーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコ
ールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール
ジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエー
テル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリ
コールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフ
ラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,
4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼ
ン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オク
タン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げること
ができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせ
て用いることができる。
【0033】以上の合成反応によって、ポリアミック酸
を溶解してなる反応溶液が得られる。そして、この反応
溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物
を減圧下で乾燥することにより、下記式(28)で表さ
れる構造単位を有するポリアミック酸を得ることができ
る。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解さ
せ、次いで貧溶媒で析出させる工程を1回または数回行
うことにより、ポリアミック酸の精製を行うことができ
る。
【0034】
【化12】
【0035】<イミド化重合体>本発明の液晶配向剤を
構成するイミド化重合体には、〔イ〕上記式(28)で
表される構造単位および下記式(29)で表される構造
単位を有する重合体(以下、「イミド基含有ポリアミッ
ク酸」という。)、並びに〔ロ〕下記式(29)で表さ
れる構造単位のみを有するイミド化率が100%の重合
体(以下、「ポリイミド」という。)が含まれる。本明
細書において、「イミド化率」とは、重合体における繰
り返し単位の総数に対する、イミド環を形成してなる繰
り返し単位の数の割合を%で表したものをいう。
【0036】
【化13】
【0037】本発明の液晶配向剤を構成するイミド化重
合体(イミド基含有ポリアミック酸およびポリイミド)
は下記(1)〜(4)の方法により調製することができ
る。 (1)上記ポリアミック酸を加熱することにより、当該
ポリアミック酸を脱水閉環(イミド化反応)させてイミ
ド化重合体を得る方法。 (2)上記ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶
液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて
加熱することにより、当該ポリアミック酸を脱水閉環さ
せてイミド化重合体を得る方法。 (3)テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とジ
イソシアネート化合物との混合物を反応させてイミド基
含有ポリアミック酸を得る方法。 (4)テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート化
合物との混合物を反応させてポリイミドを得る方法。
【0038】上記(1)の方法における反応温度は、通
常60〜300℃とされ、好ましくは100〜250℃
とされる。反応温度が60℃未満では脱水閉環反応が十
分に進行せず、反応温度が300℃を超えると得られる
イミド化重合体の分子量が低下することがある。上記
(2)の方法において、脱水剤としては、例えば無水酢
酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸
無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリ
アミック酸の繰り返し単位1モルに対して1.6〜20
モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒として
は、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチル
アミンなどの第3級アミンを用いることができるが、こ
れらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量
は、使用する脱水剤1モルに対して0.5〜10モルと
するのが好ましい。なお、脱水閉環反応に用いられる有
機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるも
のとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そし
て、脱水閉環反応の反応温度は、通常0〜180℃、好
ましくは60〜150℃とされる。また、このようにし
て得られる反応溶液に対し、ポリアミック酸の精製方法
と同様の操作を行うことにより、イミド化重合体を精製
することができる。上記(3)〜(4)の方法において
用いられるジイソシアネート化合物としては、ヘキサメ
チレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート
化合物;シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式
ジイソシアネート化合物;ジフェニルメタン−4,4'
−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4' −
ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4' −ジ
イソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4' −ジ
イソシアネート、1,2−ジフェニルエタン−p,p'
−ジイソシアネート、2,2−ジフェニルプロパン−
p,p' −ジイソシアネート、2,2−ジフェニル−
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−
p,p' −ジイソシアネート、2,2−ジフェニルブタ
ン−p,p' −ジイソシアネート、ジフェニルジクロロ
メタン−4,4' −ジイソシアネート、ジフェニルフル
オロメタン−4,4' −ジイソシアネート、ベンゾフェ
ノン−4,4'ジイソシアネート、N−フェニル安息香
酸アミド−4,4' −ジイソシアネートなどの芳香族ジ
イソシアネート化合物を挙げることができ、これらは単
独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記(3)〜(4)の方法においては、反応触媒は特に
必要とされず、反応温度は、通常50〜200℃、好ま
しくは100〜160℃とされる。
【0039】<末端修飾型の重合体>本発明の液晶配向
剤を構成するポリアミック酸およびイミド化重合体は、
分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。
この末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の
効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性などを改
善することができる。このような末端修飾型のものは、
ポリアミック酸を合成する際に、ジカルボン酸一無水
物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物など
を反応系に添加することにより合成することができる。
ここで、ジカルボン酸一無水物としては、例えば無水マ
レイン酸、無水フタル酸、無水ナジック酸、無水イタコ
ン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシル
サクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック
酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物など
を挙げることができる。また、モノアミン化合物として
は、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチ
ルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、
n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニル
アミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n
−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラ
デシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデ
シルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシ
ルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることがで
きる。また、モノイソシアネート化合物としては、例え
ばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートな
どを挙げることができる。
【0040】<重合体の対数粘度>本発明の液晶配向剤
を構成するポリアミック酸およびイミド化重合体は、そ
の対数粘度(ηln)の値が、通常0.05〜10dl
/gとされ、好ましくは0.05〜5dl/gとされ
る。ここに、対数粘度(ηln)の値は、N−メチル−
2−ピロリドンを溶媒として用い、ポリマーの濃度が
0.5g/100ミリリットルである溶液について30
℃で粘度の測定を行い、下記数式によって求められるも
のである。
【0041】
【数1】
【0042】<特定化合物>本発明の液晶配向剤は、ポ
リアミック酸および/またはそのイミド化重合体ととも
に、特定化合物が含有されて構成されている点に特徴を
有する。ここに、特定化合物は、誘電率が4以上である
高分子化合物(以下「特定高分子化合物」ともいう)、
および特定高分子化合物を構成する単量体(以下「特定
単量体」ともいう)から選ばれる少なくとも1種の化合
物である。なお、「特定高分子化合物」には、重合度が
3以上のオリゴマーが含まれるものとする。
【0043】そして、このような特定化合物を含有する
本発明の液晶配向剤によれば、作製される液晶表示素子
の電圧保持率(フレーム周期間での電圧保持率)を高く
することができ(例えば98%以上)、当該液晶表示素
子によれば、コントラストの高い品質の良好な表示を得
ることができる。しかも、特定化合物を含有する本発明
の液晶配向剤により作製される液晶表示素子は、残留D
C電圧が極めて低いものとなる。従って、当該液晶表示
素子には、印加電圧の解除後において残像が生じにく
く、また、画像の焼付き現象などが生じることもない。
【0044】ここに、液晶配向剤中に特定化合物を含有
させることにより、作製される液晶表示素子の残留DC
電圧が著しく低下するのは、ポリアミック酸および/ま
たはそのイミド化重合体と特定化合物の誘電率が異なる
ため、得られた液晶表示素子に直流電圧を印加した際に
該重合体と特定化合物との界面に電荷が残留し、液晶と
液晶配向膜との誘電率の差によって残留する電荷が相殺
されるためであると考えられる。また、作製される液晶
表示素子において高い電圧保持率が維持されるのは、特
定化合物が液晶中に存在する不純物の捕捉剤として働
き、液晶中の不純物濃度を低下させるためであると考え
られる。
【0045】特定高分子化合物および特定単量体から構
成される高分子化合物の誘電率は、通常4以上とされ、
好ましくは4〜19、更に好ましくは4.5〜10とさ
れる。誘電率が4未満である場合には、得られる液晶配
向剤により作製される液晶表示素子において、電圧保持
率の低下および残留DC電圧の上昇を招く。
【0046】本発明の液晶配向剤に含有される特定高分
子化合物としては、 誘電率が4以上であること、
ポリアミック酸およびイミド化重合体との相溶性が良
好であること、 ポリアミック酸および/またはイミ
ド化重合体により発現される優れた液晶配向性を損うも
のでないことなどの条件を満足するものであれば特に限
定されるされるものではない。
【0047】特定高分子化合物の具体例としては、例え
ばセルロース誘導体、ハロゲン含有高分子化合物、アク
リロニトリル(共)重合体、ポリ(アクリロニトリル誘
導体)、メラミン樹脂、ポリアクリル酸、ポリ(アクリ
ル酸誘導体)、ポリ(アクリル酸エステル誘導体)、ノ
ボラック樹脂、ポリビニルブチラール、メラミン−フェ
ノール樹脂、ポリウレタンなどを挙げることができる。
【0048】ここに、「セルロース誘導体」の具体例と
しては、セルロースアセテート、セルローストリアセテ
ート、セルロースプロピオネート、メチルセルロース、
エチルセルロース、プロピルセルロース、セルロースナ
イトレートおよびセルロイドなどが挙げられる。また、
「ハロゲン含有高分子化合物」の具体例としては、ポリ
ビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド、ポ
リビニルクロリドおよびポリビニリデンクロリドなどが
挙げられる。また、「アクリロニトリル(共)重合体」
の具体例としては、ポリアクリロニトリルおよびビニル
クロリド−アクリロニトリル共重合体などが挙げられ
る。また、「ポリ(アクリロニトリル誘導体)」の具体
例としては、ポリ(α−クロロアクリトニトリル)およ
びポリシアノビニリデンなどが挙げられる。また、「メ
ラミン樹脂」の具体例としては、メラミン−ホルムアル
デヒド樹脂、メチル化ポリ(メラミン−ホルムアルデヒ
ド)、エチル化ポリ(メラミン−ホルムアルデヒド)、
ブチル化ポリ(メラミン−ホルムアルデヒド)、アクリ
ル化ポリ(メラミン−ホルムアルデヒド)およびメタク
リル化ポリ(メラミン−ホルムアルデヒド)などが挙げ
られる。また、「ポリ(アクリル酸誘導体)」として
は、ポリ(ウロカニック酸)などが挙げられる。また、
「ポリ(アクリル酸エステル誘導体)」としては、ポリ
(エチル−β―アミノクロトネート)、ポリ(メチル−
2−アセトアミドアクリレート)、ポリ(エチル−エト
キシ−メチレン−シアノアセテート)およびポリ(メチ
ル−3−ブロモ−2−メチル−プロペネート)などが挙
げられる。これらの化合物は、単独でまたは2種以上を
組み合わせて使用することができる。これらのうち、セ
ルロース誘導体、ハロゲン含有高分子化合物、メラミン
樹脂、ノボラック樹脂、メラミン−フェノール樹脂、ポ
リウレタンが好ましく、ノボラック樹脂が特に好まし
い。
【0049】本発明の液晶配向剤に含有される特定単量
体の具体例としては、アクリル酸;ウロカニック酸など
のアクリル酸誘導体;エチル−β―アミノクロトネー
ト、メチル−2−アセトアミドアクリレート、エチル−
エトキシ−メチレン−シアノアセテート、メチル−3−
ブロモ−2−メチル−プロペネートなどのアクリル酸エ
ステル誘導体;アクリロニトリル;α−クロロアクリト
ニトリル、シアノビニリデンなどのアクリロニトリル誘
導体などを挙げることができ、これらの化合物は、単独
でまたは2種以上を組み合わせて使用することができ
る。特定単量体を含有する液晶配向剤を用いる場合に
は、基板上に形成される薄膜を更に加熱したり、当該薄
膜に紫外線などの光を照射したりすることによって、薄
膜中に存在する特定単量体を重合させることができる。
【0050】本発明の液晶配向剤における特定化合物
(特定高分子化合物および特定単量体)の含有量として
は、ポリアミック酸およびイミド化重合体の合計100
重量部に対して、通常10〜90重量部とされ、好まし
くは15〜50重量部とされる。特定化合物の含有量が
過少である場合には、作製される液晶表示素子におい
て、「残留DC電圧の低減効果」および「電圧保持率の
向上効果」を十分に達成することができない。一方、特
定化合物を過剰に添加すると、形成される液晶配向膜の
液晶配向性が低下する場合がある。
【0051】<液晶配向剤>本発明の液晶配向剤は、ポ
リアミック酸および/またはイミド化重合体と、上記特
定化合物(特定高分子化合物および/または特定単量
体)とが有機溶媒に含有された溶液よりなるものであ
る。本発明の液晶配向剤を、例えば印刷法、スピンコー
ト法などにより基板表面に塗布し、塗膜を乾燥して有機
溶媒を除去することにより、配向膜材料である薄膜が形
成される。本発明の液晶配向剤を構成する有機溶媒とし
ては、ポリアミック酸およびイミド化重合体並びに特定
化合物を溶解できるものであれば特に制限されるもので
はなく、例えば、ポリアミック酸の合成反応に用いられ
るものとして例示した溶媒を挙げることができる。ま
た、ポリアミック酸の合成反応の際に併用することがで
きるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用する
ことができ、貧溶媒を併用することにより、当該液晶配
向剤の塗布特性を向上させることができる。本発明の液
晶配向剤におけるポリアミック酸およびイミド化重合体
の含有割合は、粘性、揮発性などを考慮して規定される
が、液晶配向剤の0.1〜20重量%であることが好ま
しく、さらに好ましくは1〜10重量%の範囲とされ
る。この含有割合が0.1重量%未満である場合には、
形成される薄膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜
を得ることができないことがあり、20重量%を超える
場合には、薄膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜
を得難く、また、液晶配向剤の粘度が増大して塗布特性
に劣るものとなることがある。また、本発明の液晶配向
剤中における特定化合物の含有割合は、上記のように、
ポリアミック酸およびイミド化重合体の含有量を考慮し
て規定されるが、液晶配向剤の0.1〜80重量%であ
ることが好ましく、さらに好ましくは1〜60重量%と
される。
【0052】本発明の液晶配向剤には、基板表面に対す
る薄膜の接着性を向上させる観点から、官能性シラン含
有化合物が含有されていてもよい。このような官能性シ
ラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルト
リメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエ
チル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラ
ン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エ
トキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルト
リエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルト
リエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピ
ルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル
−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシ
リル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシ
シリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエ
トキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−
ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N
−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−
3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げるこ
とができる。
【0053】<液晶表示素子>本発明の液晶配向剤を用
いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法によって
製造することができる。
【0054】(1)パターニングされた透明導電膜が設
けられた基板の一面(透明導電膜側の表面)に、本発明
の液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンナー
法、印刷法などの方法によって塗布し、次いで、塗膜を
加熱して有機溶媒を除去することにより薄膜を形成す
る。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソ
ーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホ
ン、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる透明
基板を用いることができる。基板の一面に設けられた透
明導電膜としては、酸化スズ(SnO2 )からなるNE
SA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸
化スズ(In2 3 −SnO2 )からなるITO膜など
を用いることができ、これらの透明導電膜のパターニン
グには、フォト・エッチング法、予めマスクを用いる方
法などが用いられる。液晶配向剤の塗布に際しては、基
板表面および透明導電膜と薄膜との接着性をさらに良好
にするために、基板および透明導電膜上に、官能性シラ
ン含有化合物、官能性チタン含有化合物などを予め塗布
することもできる。塗膜の加熱温度は、通常80〜30
0℃とされ、好ましくは120〜250℃とされる。形
成される薄膜の膜厚は、通常0.001〜1μmとさ
れ、好ましくは0.005〜0.5μmとされる。な
お、ポリアミック酸および/またはイミド基含有ポリア
ミック酸を含有する薄膜をさらに加熱することによっ
て、アミック酸構造の脱水閉環(イミド化)を進行させ
ることもできる。また、特定単量体を含有する薄膜を更
に加熱したり、当該薄膜に光を照射したりすることによ
り、当該特定単量体を重合させることができる。
【0055】(2)形成された薄膜を、ナイロン、レー
ヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロー
ルで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、
当該薄膜は、液晶分子の配向能が付与された液晶配向膜
となる。また、ラビング処理による方法以外に、薄膜表
面に偏光紫外線を照射して配向能を付与する方法、一軸
延伸法、ラングミュア・ブロジェット法などで薄膜を得
る方法などにより、液晶配向膜を形成することもでき
る。なお、ラビング処理時に発生する微粉末(異物)を
除去して表面を清浄な状態とするために、形成された液
晶配向膜をイソプロピルアルコールなどによって洗浄す
ることが好ましい。また、本発明の液晶配向剤により形
成された液晶配向膜に、例えば特開平6−222366
号公報や特開平6−281937号公報に示されている
ような、紫外線を部分的に照射することによってプレチ
ルト角を変化させるような処理、あるいは特開平5−1
07544号公報に示されているような、ラビング処理
された液晶配向膜上にレジスト膜を部分的に形成し、先
行のラビング処理とは異なる方向にラビング処理を行っ
た後、前記レジスト膜を除去して、液晶配向膜の配向能
を変化させるような処理を行うことによって、液晶表示
素子の視界特性を改善することが可能である。
【0056】(3)上記のようにして液晶配向膜が形成
された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜におけ
るラビング方向が直交または逆平行となるように、2枚
の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、
2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基
板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内
に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成
する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セル
を構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を、その
偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラ
ビング方向と一致または直交するように貼り合わせるこ
とにより、液晶表示素子が得られる。ここに、シール剤
としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化
アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いるこ
とができる。液晶としては、ネマティック型液晶および
スメクティック型液晶を挙げることができ、その中でも
ネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系
液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシ
クロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系
液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系
液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キ
ュバン系液晶などを用いることができる。また、これら
の液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリル
ノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステ
リック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メ
ルク社製)として販売されているようなカイラル剤など
を添加して使用することもできる。さらに、p−デシロ
キシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシン
ナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
また、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板として
は、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ
素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース
保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏
光板を挙げることができる。
【0057】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるも
のではない。なお、以下において、「部」は「重量部」
を意味するものとする。また、以下の実施例および比較
例によって調製された液晶配向剤、作製された液晶表示
素子についての測定方法および評価方法、並びに、使用
した高分子化合物の誘電率の測定方法は下記のとおりで
ある。
【0058】〔電圧保持率〕60℃の恒温槽内におい
て、電圧5V、印加時間60μsecのパルス電圧を1
67msecのスパンで液晶表示素子に印加した後、当
該電圧の印加を解除してから167msec後における
当該液晶表示素子の保持電圧(V)を測定して、保持率
〔(V/5)×100[%]〕を求めた。
【0059】〔残留DC電圧〕70℃の恒温槽内におい
て、1.0Vの直流電圧が重畳された30Hz、2.0
Vの矩形波を液晶表示素子に1時間印加し、直流電圧の
印加を解除した直後において、液晶セル内に残留した電
圧(残留DC電圧)をフリッカー消去法により求めた。
【0060】〔液晶配向性〕液晶表示素子に電圧をオン
・オフ(印加・解除)したときの異常ドメインの有無を
偏光顕微鏡で観察し、異常ドメインのない場合を「良
好」と判定した。
【0061】〔誘電率の測定方法〕シリコーンウェハー
上にスピンコート法により液晶配向剤を2μmの膜厚で
塗布し、180℃の温度で1時間焼成し、その上にスパ
ッタリングにより白金膜を形成し、サンプルとした。窒
素雰囲気、25℃の環境下でLCRメーターで測定され
た電気容量から誘電率を求めた。
【0062】〔合成例1〕上記式(22)で表されるジ
アミン5.23g(10ミリモル)と4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタン17.8g(90ミリモル)と2,
3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物2
2.4g(100ミリモル)とをN−メチル−2−ピロ
リドン450gに溶解させ、この溶液を60℃で6時間
反応させた。次いで、得られた反応溶液を大過剰のメチ
ルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その
後、固形物を分離してメチルアルコールで洗浄し、減圧
下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度
(ηln)が0.95dl/gであるポリアミック酸
〔これを「重合体(a1)」とする。〕40.8gを得
た。
【0063】〔合成例2〕上記式(22)で表されるジ
アミン5.23g(10ミリモル)と4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタン17.8g(90ミリモル)と1,
2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1
9.6g(100ミリモル)とをN−メチル−2−ピロ
リドン450gに溶解させ、この溶液を60℃で6時間
反応させた。次いで、得られた反応溶液を大過剰のメチ
ルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その
後、固形物を分離してメチルアルコールで洗浄し、減圧
下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度
(ηln)が0.98dl/gであるポリアミック酸
〔これを「重合体(a2)」とする。〕38.8gを得
た。
【0064】〔合成例3〕上記式(23)で表されるジ
アミン5.24g(10ミリモル)と4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタン17.8g(90ミリモル)と2,
3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物2
2.4g(100ミリモル)とをN−メチル−2−ピロ
リドン450gに溶解させ、この溶液を60℃で6時間
反応させた。次いで、得られた反応溶液を大過剰のメチ
ルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その
後、固形物を分離してメチルアルコールで洗浄し、減圧
下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度
(ηln)が0.95dl/gであるポリアミック酸
〔これを「重合体(a3)」とする。〕40.8gを得
た。
【0065】〔合成例4〕上記式(23)で表されるジ
アミン5.24g(10ミリモル)と4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタン17.8g(90ミリモル)と1,
2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1
9.6g(100ミリモル)とをN−メチル−2−ピロ
リドン450gに溶解させ、この溶液を60℃で6時間
反応させた。次いで、得られた反応溶液を大過剰のメチ
ルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その
後、固形物を分離してメチルアルコールで洗浄し、減圧
下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度
(ηln)が0.96dl/gであるポリアミック酸
〔これを「重合体(a4)」とする。〕38.6gを得
た。
【0066】〔合成例5〕上記式(22)で表されるジ
アミン5.23g(10ミリモル)と4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタン17.8g(90ミリモル)とピロ
メリット酸二無水物21.8g(100ミリモル)とを
N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、この
溶液を25℃で6時間反応させた。次いで、得られた反
応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物
を沈澱させた。その後、固形物を分離してメチルアルコ
ールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させること
により、対数粘度(ηln)が1.50dl/gである
ポリアミック酸〔これを「重合体(a5)」とする。〕
37.8gを得た。
【0067】〔合成例6〕上記式(15)で表されるジ
アミン6.43g(10ミリモル)と4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタン17.8g(90ミリモル)とピロ
メリット酸二無水物21.8g(100ミリモル)とを
N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、この
溶液を25℃で6時間反応させた。次いで、得られた反
応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物
を沈澱させた。その後、固形物を分離してメチルアルコ
ールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させること
により、対数粘度(ηln)が0.80dl/gである
ポリアミック酸〔これを「重合体(a6)」とする。〕
38.8gを得た。
【0068】〔合成例7〕上記式(26)で表されるジ
アミン4.22g(10ミリモル)と4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタン17.8g(90ミリモル)とピロ
メリット酸二無水物21.8g(100ミリモル)とを
N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、この
溶液を25℃で6時間反応させた。次いで、得られた反
応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物
を沈澱させた。その後、固形物を分離してメチルアルコ
ールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させること
により、対数粘度(ηln)が1.80dl/gである
ポリアミック酸〔これを「重合体(a7)」とする。〕
38.2gを得た。
【0069】〔合成例8〕2,2−ビス[4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル]プロパン41.0g(10
0ミリモル)とピロメリット酸二無水物19.6g(9
0ミリモル)と上記式(3)で表されるテトラカルボン
酸二無水物7.52g(10ミリモル)とをN−メチル
−2−ピロリドン450gに溶解させ、この溶液を25
℃で6時間反応させた。次いで、得られた反応溶液を大
過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させ
た。その後、固形物を分離してメチルアルコールで洗浄
し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対
数粘度(ηln)が1.60dl/gであるポリアミッ
ク酸〔これを「重合体(a8)」とする。〕62.0g
を得た。
【0070】〔合成例9〕合成例1で得られた重合体
(a1)25.0gをN−メチル−2−ピロリドン45
0gに溶解し、この溶液にピリジン7.0gと無水酢酸
9.1gとを添加し、100℃で3時間加熱することに
より脱水閉環させた。次いで、合成例1と同様にして、
反応生成物の沈殿・分離・洗浄・乾燥を行うことによ
り、対数粘度(ηln)が0.93dl/g、イミド化
率が70%であるイミド基含有ポリアミック酸〔これを
「重合体(b1)」とする。〕19.0gを得た。
【0071】〔合成例10〕合成例2で得られた重合体
(a2)25.0gをN−メチル−2−ピロリドン45
0gに溶解し、この溶液にピリジン2.9gと無水酢酸
2.3gとを添加し、100℃で3時間加熱することに
より脱水閉環させた。次いで、合成例1と同様にして、
反応生成物の沈殿・分離・洗浄・乾燥を行うことによ
り、対数粘度(ηln)が0.91dl/g、イミド化
率が12%であるイミド基含有ポリアミック酸〔これを
「重合体(b2)」とする。〕19.0gを得た。
【0072】〔合成例11〕合成例3で得られた重合体
(a3)25.5gをN−メチル−2−ピロリドン45
0gに溶解し、この溶液にピリジン7.2gと無水酢酸
9.2gとを添加し、100℃で3時間加熱することに
より脱水閉環させた。次いで、合成例1と同様にして、
反応生成物の沈殿・分離・洗浄・乾燥を行うことによ
り、対数粘度(ηln)が0.93dl/g、イミド化
率が70%であるイミド基含有ポリアミック酸〔これを
「重合体(b3)」とする。〕19.5gを得た。
【0073】〔合成例12〕合成例1で得られた重合体
(a1)25.5gをN−メチル−2−ピロリドン45
0gに溶解し、この溶液にピリジン29.2gと無水酢
酸22.6gとを添加し、100℃で3時間加熱するこ
とにより脱水閉環させた。次いで、合成例1と同様にし
て、反応生成物の沈殿・分離・洗浄・乾燥を行うことに
より、対数粘度(ηln)が0.89dl/g、イミド
化率が100%であるポリイミド〔これを「重合体(c
1)」とする。〕17.5gを得た。
【0074】<実施例1> (1)液晶配向剤の調製:表1に示す処方に従って、合
成例1で得られた重合体(a1)100部と、ノボラッ
ク樹脂(特定高分子化合物:誘電率=6.0)20部と
を、γ−ブチロラクトンに溶解させて重合体濃度4重量
%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾
過することにより、本発明の液晶配向剤を調製した。
【0075】(2)液晶表示素子の作製:ITO膜から
なる透明電極が設けられたガラス基板(厚さ1mm)の
一面(透明電極側の表面)に、上記のようにして調製さ
れた本発明の液晶配向剤をスピンナーを用いて塗布し、
180℃で1時間かけて塗膜を加熱することにより、乾
燥膜厚800Åの薄膜を形成した。このようにして形成
された薄膜の表面に対して、ナイロン製の布を巻き付け
たロールを有するラビングマシーンを用いてラビング処
理を行うことにより、液晶分子の配向能を当該薄膜に付
与して液晶配向膜を形成した。ここに、ラビング処理条
件としては、ロールの回転数を500rpm、ステージ
の移動速度を1cm/秒とした。上記のようにして液晶
配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの基板
の外縁部に、直径17μmの酸化アルミニウム球を含有
するエポキシ樹脂系接着剤をスクリーン印刷法により塗
布した後、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向
が逆平行となるように2枚の基板を間隙を介して対向配
置し、外縁部同士を当接させて圧着して接着剤を硬化さ
せた。次いで、基板の表面および外縁部の接着剤により
区画されたセルギャップ内に、ネマティック型液晶「M
LC−2001」(メルク社製)を注入充填し、次い
で、注入孔をエポキシ系接着剤で封止して液晶セルを構
成した。その後、液晶セルの外表面に、すなわち、液晶
セルを構成するそれぞれの基板の他面に、偏光方向が当
該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と
一致するように偏光板を貼り合わせることにより、液晶
表示素子を作製した。以上のようにして作製された液晶
表示素子について、電圧保持率および残留DC電圧を測
定し、液晶配向性を評価した。以上の結果を表1に示
す。
【0076】<実施例2〜14>表1に示す処方に従っ
て、合成例1〜12で得られた重合体の各々100部
と、特定高分子化合物の各々とをγ−ブチロラクトンに
溶解させて重合体濃度4重量%の溶液とし、得られた溶
液を孔径1μmのフィルターで濾過したこと以外は実施
例1と同様にして、本発明の液晶配向剤を調製し、当該
液晶配向剤によって薄膜を形成し、当該薄膜を有する液
晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子の各々
についての電圧保持率および残留DC電圧の測定結果、
当該液晶表示素子についての液晶配向性の評価結果を表
1に示す。
【0077】<実施例15>表1に示す処方に従って、
合成例1で得られた重合体(a1)100部と、アクリ
ル酸(特定単量体)20部と、4,4’−アゾビス(4
−シアノバレリック酸)(重合開始剤)1.0部とを、
γ−ブチロラクトンに溶解させて重合体濃度4重量%の
溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過す
ることにより、本発明の液晶配向剤を調製した。得られ
た液晶配向剤を用い、塗膜の加熱条件を150℃で1時
間に変更したこと以外は実施例1と同様にして薄膜を形
成し、当該薄膜を有する液晶表示素子を作製した。作製
された液晶表示素子についての電圧保持率および残留D
C電圧の測定結果、当該液晶表示素子についての液晶配
向性の評価結果を表1に示す。
【0078】<実施例16>表1に示す処方に従って、
合成例1で得られた重合体(a1)100部と、α−ク
ロロアクリトニトリル(特定単量体)20部と、 4,
4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)(重合開始
剤)1.0部とを、γ−ブチロラクトンに溶解させて重
合体濃度4重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmの
フィルターで濾過することにより、本発明の液晶配向剤
を調製した。得られた液晶配向剤を用い、塗膜の加熱条
件を150℃で1時間に変更したこと以外は実施例1と
同様にして薄膜を形成し、当該薄膜を有する液晶表示素
子を作製した。作製された液晶表示素子についての電圧
保持率および残留DC電圧の測定結果、当該液晶表示素
子についての液晶配向性の評価結果を表1に示す。
【0079】<実施例17>表1に示す処方に従って、
合成例1で得られた重合体(a1)100部と、シアノ
ビニリデン(特定単量体)20部と、4,4’−アゾビ
ス(4−シアノバレリック酸)(重合開始剤)1.0部
とを、γ−ブチロラクトンに溶解させて重合体濃度4重
量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで
濾過することにより、本発明の液晶配向剤を調製した。
得られた液晶配向剤を用い、塗膜の加熱条件を150℃
で1時間に変更したこと以外は実施例1と同様にして薄
膜を形成し、当該薄膜を有する液晶表示素子を作製し
た。作製された液晶表示素子についての電圧保持率およ
び残留DC電圧の測定結果、当該液晶表示素子について
の液晶配向性の評価結果を表1に示す。
【0080】<比較例1>表1に示す処方に従って、合
成例1で得られた重合体(a1)100部をγ−ブチロ
ラクトンに溶解させて重合体濃度4重量%の溶液とし、
得られた溶液を孔径1μmのフィルターで濾過したこと
以外は実施例1と同様にして、比較用の液晶配向剤を調
製し、当該液晶配向剤によって薄膜を形成し、当該薄膜
を有する液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示
素子についての電圧保持率および残留DC電圧の測定結
果、当該液晶表示素子についての液晶配向性の評価結果
を表1に示す。
【0081】<比較例2>表1に示す処方に従って、合
成例5で得られた重合体(a5)100部と、ポリメタ
クリル酸メチル(比較用の高分子化合物:誘電率=3.
1)20部とを、γ−ブチロラクトンに溶解させて重合
体濃度4重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフ
ィルターで濾過したこと以外は実施例1と同様にして、
比較用の液晶配向剤を調製し、当該液晶配向剤によって
薄膜を形成し、当該薄膜を有する液晶表示素子を作製し
た。作製された液晶表示素子についての電圧保持率およ
び残留DC電圧の測定結果、当該液晶表示素子について
の液晶配向性の評価結果を表1に示す。
【0082】<比較例3>表1に示す処方に従って、合
成例2で得られた重合体(a2)100部と、ポリスル
ホン(比較用の高分子化合物:誘電率=3.4)20部
とを、γ−ブチロラクトンに溶解させて重合体濃度4重
量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで
濾過したこと以外は実施例1と同様にして、比較用の液
晶配向剤を調製し、当該液晶配向剤によって薄膜を形成
し、当該薄膜を有する液晶表示素子を作製した。作製さ
れた液晶表示素子についての電圧保持率および残留DC
電圧の測定結果、当該液晶表示素子についての液晶配向
性の評価結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】〔表1中の(特定)化合物〕 P1:ノボラック樹脂 P2:ポリビニリデンフルオライド P3:アクリル化ポリ(メラミン−ホルムアルデヒド) P4:ポリ(α−クロロアクリロニトリル) P5:ポリシアノビニリデン P6:ポリビニルブチラール P7:セルロースアセテート P8:ポリビニリデンクロリド P9:ポリビニルクロリド M1:アクリル酸 M2:α−クロロアクリロニトリル M3:シアノビニリデン p1(比較用):ポリメタクリル酸メチル p2(比較用):ポリスルホン
【0085】
【発明の効果】本発明の液晶配向剤によれば、電圧保持
率が高く(例えば98%以上)、しかも、残留DC電圧
が極めて低い(例えば100mV未満)液晶表示素子を
作製することができる。本発明の液晶配向剤により形成
される液晶配向膜を備えてなる液晶表示素子は、TN型
液晶表示素子のみならずSTN(Super Twis
ted Nematic)型液晶表示素子、SH(Su
per Homeotropic)型液晶表示素子、I
PS(In−Plane−Switching)型液晶
表示素子、強誘電性液晶表示素子および反強誘電性液晶
表示素子など種々の液晶表示素子として好適に使用する
ことができる。当該液晶表示素子は、種々の装置に有効
に使用することができ、例えば卓上計算機、腕時計、置
時計、計数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコン
ピュータ、液晶テレビなどの表示装置として好適に用い
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 雅之 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内 (72)発明者 松木 安生 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミック酸およびそのイミド化重合
    体から選ばれる少なくとも1種の重合体と、 誘電率が4以上である高分子化合物およびこれを構成す
    る単量体から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有
    することを特徴とする液晶配向剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005060649A (ja) * 2003-07-31 2005-03-10 Dainippon Ink & Chem Inc エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物、及びノボラック樹脂
CN100349057C (zh) * 2003-12-29 2007-11-14 Lg.菲利浦Lcd株式会社 面内切换模式液晶显示器件及其制造方法

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