JPH10279836A - 透光性粉体塗料 - Google Patents

透光性粉体塗料

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JPH10279836A
JPH10279836A JP8954797A JP8954797A JPH10279836A JP H10279836 A JPH10279836 A JP H10279836A JP 8954797 A JP8954797 A JP 8954797A JP 8954797 A JP8954797 A JP 8954797A JP H10279836 A JPH10279836 A JP H10279836A
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JP
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acid
polyester resin
powder coating
pigment
group
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JP8954797A
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English (en)
Inventor
Takahiro Ishihara
隆博 石原
Norio Horigami
憲生 堀上
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Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充分な透光性を有しつつ、鮮明な色味を示す
透光性粉体塗料を提供する。 【解決手段】 (I) (i) 一般式(1) のジオール成分と、
(ii)ジカルボン酸類と、(iii) 3価以上の多価カルボン
酸類もしくは多価アルコールとを共重縮合して得られ
る、AV/OHVが1.2以上のポリエステル樹脂と、
(II)一般式(2) の銅フタロシアニン系顔料、一般式(5)
のキナクリドン系顔料または一般式(6) のビスアゾ系顔
料とを含む透光性粉体塗料。 【化1】 (式中、R1 〜R5 、X1 〜X4 、Q1 〜Q2 、xおよ
びyは明細書に記載のとおりである。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透光性粉体塗料に
関し、より詳しくは、鮮明な発色を実現できる透光性粉
体塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】粉体塗料は、ポリエチレン系樹脂等の結
着樹脂中に着色剤等を溶融、混練した後、造粒してなる
無溶剤で粉末状の塗料であって、近年、家電製品や建材
等の塗装に広く用いられている。この粉体塗料は、溶剤
を用いずに空気を媒体として塗装することから、ディッ
ピング法やスプレー法等の塗装方法を用いる溶剤系塗料
に比べて塗装作業が容易で、作業環境等の安全性が高い
ことのほか、塗料の回収再利用が可能で利用効率が高い
等の利点を有する。
【0003】一方、粉体塗料による塗装は、例えば、流
動槽内において、粉体塗料の粒子をコロナ放電によって
帯電し、逆極性に帯電させた被塗物に静電付着させた
後、加熱溶融させる方法により行われるため、塗料の色
替えが困難である等の問題がある。また、粉体塗料の着
色剤には、通常、顔料が用いられていることから、透明
性が低い。その結果、金属光沢等の被塗物の素地を活か
した塗膜を形成することは困難であったり、所望の色味
を得るために複数種の塗料を混ぜ合わせて調色したとき
に、色がまだらになったり、鮮やかな色が得られなくな
るという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで近年、上記の問
題を解決するために、透光性(透明性)を有する粉体塗
料が提案されている(特開平8−183916号公
報)。透光性を有しない粉体塗料においては、鮮明な色
味を得るため、顔料の配合量が樹脂100重量部に対し
て2〜5重量部程度に設定されていた。これに対し、従
来の透光性粉体塗料では、充分な透光性を得るという観
点から、顔料の含有割合が樹脂100重量部に対して
0.01〜0.5重量部と極めて少量である。その結
果、従来の透光性粉体塗料では充分な発色が得られず、
被塗物の素地を活かした塗膜を形成すると、鮮明な色味
が得られなくなるといった問題があった。
【0005】そこで本発明の目的は、単独で使用した場
合、または2種以上を混合し、調色して使用した場合で
あっても、充分な透光性を有しつつ、鮮明な色味を示す
透光性粉体塗料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、結着樹脂およ
び着色剤として所定のポリエステル樹脂と顔料とを用い
たときは、充分な透光性を有しつつ、鮮明な色味を示す
透光性粉体塗料が得られるという新たな事実を見出し、
本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明の第1の透光性粉体塗料
は、(I)(i)一般式(1) :
【0008】
【化6】
【0009】(式中、R1 およびR2 は同一または異な
って低級アルキレン基を示す。xおよびyは同一または
異なって0または1以上の整数を表し、かつx+yは1
〜7である。)で表されるジオール成分と、(ii)ジカル
ボン酸、その酸無水物または低級アルキルエステルと、
(iii) 3価以上の多価カルボン酸、その酸無水物もしく
は低級アルキルエステル、または3価以上の多価アルコ
ールとを共重縮合して得られ、かつ酸価(AV)に対する水
酸基価(OHV) の割合OHV/AVが1.2以上であるポ
リエステル樹脂と、(II)一般式(2) :
【0010】
【化7】
【0011】〔式中、X1 ,X2 ,X3 およびX4 は同
一または異なって、水素原子、基(3)または基(4) :
【0012】
【化8】
【0013】(式中、R3 およびR4 は炭素数1〜5の
アルキレン基を示す。)を示す。但し、X1 ,X2 ,X
3 およびX4 は同時に水素原子でないものとする。〕で
表される銅フタロシアニン系顔料とを含むことを特徴と
する。本発明の第2の透光性粉体塗料は、上記と同じポ
リエステル樹脂と、一般式(5) :
【0014】
【化9】
【0015】(式中、Q1 およびQ2 は同一または異な
って、水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を示
す。但し、Q1 およびQ2 は同時に水素原子でないもの
とする。)で表されるキナクリドン系顔料とを含むこと
を特徴とする。本発明の第3の透光性粉体塗料は、上記
と同じポリエステル樹脂と、一般式(6) :
【0016】
【化10】
【0017】(式中、R5 は水素原子、アルキル基また
はアルコキシ基を示す。)で表されるビスアゾ系顔料と
を含むことを特徴とする。上記第1〜3の透光性粉体塗
料において、着色剤として用いられる一般式(2),(5) お
よび(6) で表される顔料は、いずれも分光反射特性およ
び分光透過特性に優れており、かつ帯電性が良好である
ことから、粉体塗料の透光性を低下させる原因の1つで
ある電荷制御剤等の含有量を低減することができる。
【0018】また、結着樹脂として用いられるポリエス
テル樹脂は非常に透明性に優れており、上記一般式(2),
(5) および(6) で表される顔料に対する分散性にも優れ
ていることから、かかる顔料と組み合わせて用いること
により、充分な透光性を有しつつ、鮮明な色味を示す透
光性粉体塗料が得られる。従って、本発明の透光性粉体
塗料を用いたときは、被塗物の素地を活かした塗膜を形
成できる。また、透光性に優れることから、2種以上を
混合しても鮮明な色味が得られ、塗装段階での調色を容
易に行うことができる。さらに、本発明の第1〜3の透
光性粉体塗料は、それぞれシアン、マゼンタおよびイエ
ローの3原色であることから、各透光性粉体塗料を所定
の割合で混合してを用いることにより、種々の色味が得
られる。
【0019】本発明の透光性粉体塗料において、ポリエ
ステル樹脂の酸価(AV)とは、該樹脂中の遊離酸の含有量
を示す指数であって、前記遊離酸を中和するのに要した
水酸化カリウムの量を、ポリエステル樹脂1gに対する
mg数で表したものである。また、水酸基価(OHV) と
は、ポリエステル樹脂中の水酸基の含有量を示す指数で
あって、前記水酸基をアセチル化して、アセチル化に要
した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量を、
試料1gに対するmg数で表したものである。
【0020】上記第1〜3の透光性粉体塗料において、
顔料の配合量は、結着樹脂100重量部に対して1〜2
0重量部であるのが好ましい。本発明の透光性粉体塗料
においては、結着樹脂として用いられるポリエステル樹
脂の透明性が高く、かつ顔料の分散性が良好であること
から、顔料の含有量を、通常の粉体塗料の場合と同程度
あるいはそれ以上に設定しても塗料の透光性が損なわれ
ることがない。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の透光性粉体塗料に
ついて、詳細に説明する。 (結着樹脂)結着樹脂として用いられるポリエステル樹
脂は、前述のように、前記一般式(1) で表されるジオー
ル成分、ジカルボン酸成分および3価以上の多価カルボ
ン酸または多価アルコール成分を共重縮合することによ
って得られる。
【0022】上記ポリエステル樹脂の酸価(AV)に対する
水酸基価(OHV) の割合OHV/AVは1.2以上、好ま
しくは1.2〜50、より好ましくは2〜40である。
前記OHV/AVが1.2を下回ると、末端の酸性基が
多くなり、一定温度で完全溶融(シャープメルト)しな
くなるため、樹脂の最低溶融温度が高くなったり、粉体
塗料の流動性が低下するといった問題が生じる。なお、
酸価(AV)は5〜60KOH mg/g程度、水酸基価(OHV)
は10〜1000KOH mg/g程度であるのが好まし
い。酸価(AV)および水酸基価(OHV) は、JIS K 0
211に記載の方法に従って求めたものである。
【0023】一般式(1) で表されるジオール成分中、R
1 およびR2 に相当する低級アルキレン基としては、例
えばメチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、
テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘ
キサメチレン等の炭素数1〜6の基があげられる。一般
式(1) で表されるジオール成分において、x+yは1〜
7、好ましくは3〜5である。x+yが7を超えると、
ジオール成分の分子量が大きくなりすぎて、塗膜の透明
性が低下するといった問題が生じる。但し、上記したx
+yの範囲は平均値である。
【0024】一般式(1) で表されるジオール成分として
は、例えばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシ
プロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポ
リオキシプロピレン(2)−ポリオキシエチレン(2)
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
ポリオキシプロピレン(6.0)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン等があげられる。
【0025】また、一般式(1) で表されるジオール成分
のほか、例えばヒドロキノン、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水
素添加ビスフェノールA等の他のジオール成分を加えて
もよい。上記他のジオール成分は、ポリエステル樹脂の
原料における多価アルコール成分のうち、10モル%程
度以下の割合で用いられる。
【0026】ジカルボン酸としては、例えばシュウ酸、
マロン酸、コハク酸、イタコン酸、グルタコン酸、アジ
ピン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が
あげられる。これらのジカルボン酸は、酸無水物や低級
アルキルとのエステルであってもよい。低級アルキル基
としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ
プロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−
ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等の炭素数1〜6
のアルキル基があげられる。
【0027】3価以上の多価カルボン酸、その酸無水物
または低級アルキルエステルとしては、例えばトリメリ
ト酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,
2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタ
ントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチ
ル−2−メトキシカルボニルプロパン、テトラ(メトキ
シカルボニル)メタン、1,2,7,8−オクタンテト
ラカルボン酸等があげられる。
【0028】3価以上の多価アルコールとしては、例え
ばグリセリン、2−メチル−1,2,3−プロパントリ
オール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−
1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタト
リオール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリト
ール、トリペンタエリトリトール、ヘキシトール、ソル
ビトール、1,4−ソルビタン、1,2,4−ベンゼン
トリオール等があげられる。
【0029】上記した3価以上の多価カルボン酸、その
酸無水物または低級アルキルエステル、および3価以上
の多価アルコールは、ポリエステル樹脂の酸価および水
酸基価を所定の値に設定することと、ポリエステル樹脂
を3次元網目状にすることを目的として配合されるもの
であって、ポリエステル樹脂の原料における多価カルボ
ン酸成分のうち、5〜60モル%程度の割合で用いられ
る。
【0030】本発明におけるポリエステル樹脂は、上記
各成分を、例えば不活性ガス雰囲気下にて180〜25
0℃の温度で重縮合することによって得られる。反応の
際に、反応を促進させる目的で通常使用されているエス
テル化触媒、例えば酸化亜鉛、酸化第一スズ、ジ−n−
ブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート等を使
用することができる。また、同様の目的で減圧下で反応
させてもよい。
【0031】本発明の透光性粉体塗料における結着樹脂
には、上記ポリエステル樹脂に加えて、従来公知の種々
の樹脂を使用することができる。例えば、ポリスチレ
ン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、
スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピ
レン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレ
ン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合
体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共
重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレ
ン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸
オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重
合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、
(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−
メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸
ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重
合体等)、スチレン−α−クロロアクリル酸メチル共重
合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステ
ル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレ
ン置換体を含む単独重合体または共重合体)、アクリル
酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メ
タクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタ
クリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル等のア
クリル系樹脂〔(メタ)アクリル酸およびそのエステル
を主体とする単独重合体または共重合体〕、ポリ塩化ビ
ニル、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレ
ン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリビニル
ブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変
性マレイン−樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リエステル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹
脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ポリ
アミド樹脂等の樹脂を単独でまたは2種以上混合して使
用することができる。なお、これらの樹脂は、上記ポリ
エステル樹脂に対して、1〜30重量%の割合で含有さ
せることができる。
【0032】上記結着樹脂は、ガラス転移温度が40〜
80℃であるのが好ましい。ガラス転移温度が上記範囲
を下回ると粉体塗料の保存安定性が悪くなり、上記範囲
を超えると塗膜形成に悪影響を及ぼすおそれがある。 (着色剤)本発明の透光性粉体塗料に用いられる着色剤
は、所望の色に応じて、前記一般式(2) で表される銅フ
タロシアニン系顔料、一般式(5) で表されるキナクリド
ン系顔料および一般式(6) で表されるビスアゾ系顔料か
ら適宜選択される。
【0033】一般式(2) で表される銅フタロシアニン系
顔料はシアン系塗料用の着色剤である。基(3) および基
(4) に相当するアルキレン基としては、前記例示の低級
アルキレン基のうち、炭素数1〜5の基があげられる。
すなわち、基(3) および(4)の具体例としては、例えば
基(3-1),(3-2),(4-1) および(4-2) があげられる。
【0034】
【化11】
【0035】基(3) または基(4) の導入数としては、1
から4、好ましくは2〜4が好ましい。基(3) および基
(4) の置換位置は特に限定されない。上記銅フタロシア
ニン系顔料(2) の具体例としては、例えば式(2-1) :
【0036】
【化12】
【0037】で表される顔料等があげられる。一般式
(5) で表されるキナクリドン系顔料はマゼンタ系塗料用
の着色剤である。一般式(5) 中、Q1 およびQ2 に相当
するアルキル基としては、前記と同様な炭素数1〜6の
基があげられる。アルコキシ基としては、例えばメトキ
シ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−
ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘ
キシルオキシ等の炭素数1〜6の基があげられる。
【0038】上記キナクリドン系顔料(5) の具体例とし
ては、例えばC.I.ピグメントバイオレット122
(Q1 およびQ2 がいずれもメチル基)、C.I.ピグ
メントバイオレット192(Q1 がメチル基、Q2 が水
素原子)等があげられる。一般式(6) で表されるアセト
酢酸アリリド系ジスアゾ顔料はイエロー系塗料用の着色
剤である。
【0039】一般式(6) 中、R5 に相当するアルキル基
およびアルコキシ基としては、前記と同様な基があげら
れる。上記アセト酢酸アリリド系ジスアゾ顔料(6) の具
体例としては、例えば式(6-1) :
【0040】
【化13】
【0041】で表されるC.I.ピグメントイエロー1
7(R5 がメトキシ基)の他に、C.I.ピグメントイ
エロー12(R5 が水素原子)、C.I.ピグメントイ
エロー14(R5 がメチル基)等があげられる。本発明
に用いられるイエロー系塗料用の着色剤としては、上記
アセト酢酸アリリド系ジスアゾ顔料(6) のほか、一般式
(7) :
【0042】
【化14】
【0043】(R11はアルキル基、アルコキシ基または
ニトロ基を示し、R6 はハロゲン原子、アルキル基、ア
ルコキシ基、ニトロ基、アリール置換スルファモイル
基、またはCa,Ba,MnまたはSrで置換されたス
ルホ基を示す。R7 、R8 、R9およびR10は同一また
は異なって水素原子、ハロゲン原子、アルキル基または
アルコキシ基を示す。)で表されるアセト酢酸アリリド
系モノアゾ顔料を用いることもできる。
【0044】上記アセト酢酸アリリド系モノアゾ顔料
(7) の具体例としては、例えばC.I.ピグメントイエ
ロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグ
メントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー7
3、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメ
ントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、
C.I.ピグメントイエロー130、C.I.ピグメン
トイエロー133、C.I.ピグメントイエロー169
等があげられる。
【0045】上記一般式(2),(5),(6) および(7) で表さ
れる顔料は、それぞれ結着樹脂100重量部に対して1
〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の割合で配合
される。顔料の配合量が上記範囲を下回ると、色が薄く
なり、鮮明な色味が得られなくなるおそれがある。一
方、顔料の配合量が上記範囲を超えると、塗料の透光性
が低下するおそれがある。
【0046】(他の添加剤)本発明の透光性粉体塗料に
は、前述の結着樹脂および着色剤のほか、硬化剤、さら
に必要に応じて電荷制御剤、流展(平滑剤)、消泡剤、
硬化促進剤等を配合することができる。硬化剤として
は、例えばブロックイソシアネート、ドデカン二酸、水
分散性エポキシ樹脂、水分散性アミノ樹脂、水分散性ア
ジリジン化合物、多価カルボン酸等があげられる。硬化
剤は、ポリエステルの反応基の等量に応じて添加すれば
よい。
【0047】電荷制御剤は、静電塗装にて塗装する場合
に、粉体塗料が被塗物に静電付着しやすくするために配
合されるものである。本発明においては、一般式(2),
(5),(6) および(7) で表される顔料が電荷制御剤として
も作用するが、塗装時における粉体塗料の帯電量をより
充分なものとするには、従来公知の種々の電荷制御剤を
配合してもよい。
【0048】かかる電荷制御剤として、正帯電用の電荷
制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩、ニグロシ
ン系の電子供与性染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の
金属塩、アルコキシル化アミン、アルキルアミド、キレ
ート、フッ素処理活性剤、顔料等があげられる。負帯電
用の電荷制御剤としては、例えば電子受容性の有機錯
体、その他塩素化パラフィン、塩素化ポリエステル、酸
基過剰のポリエステル、銅フタロシアニンのスルホニル
アミン等があげられる。
【0049】流展(平滑)剤としては、例えばアクロナ
ール 4F(BASF社の商品名)、YF3919(東
芝シリコーン(株)製)、モダフロー2000(モンサ
ント社製)等があげられる。流展剤の配合量は、樹脂1
00重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で調整すれ
ばよい。消泡剤としては、例えばベンゾイン等があげら
れる。消泡剤の配合量は、樹脂100重量部に対して
0.1〜2重量部の範囲で調整すればよい。
【0050】硬化促進剤としては、ジオクチル錫マレエ
ートなどがあげられる。硬化促進剤の配合量は、樹脂1
00重量部に対して0.1〜2重量部の範囲で調整すれ
ばよい。上記例示の添加剤の配合量が前記範囲を超える
と、粉体塗料の透光性が低下するおそれがあるため、好
ましくない。
【0051】(透光性粉体塗料の製造方法)本発明の透
光性粉体塗料は、以上の各成分を乾式ブレンダー、ヘン
シェルミキサー、ボールミル等によって均一に予備混練
して得られた混合物を、例えばジェットミル、バンバリ
ーミキサー、ロール、一軸または二軸の押出混練機等の
混練装置を用いて均一に溶融混練した後、得られた混練
物を冷却して粉砕し、必要に応じて分級することで製造
される。この他に、重合法、マイクロカプセル重合法、
スプレードライ法等の従来公知の製造方法で製造するこ
ともできる。
【0052】透光性粉体塗料の粒径は、平均粒径で50
μm以下、好ましくは1〜30μm、より好ましくは5
〜20μmである。
【0053】
【実施例】以下、本発明を参考例、実施例および比較例
に基づいて説明する。 参考例 (ポリエステル樹脂の作製)ポリオキシプロピレン
(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン(一般式(1) 中のR1 およびR2 がトリメチレ
ンで、xおよびyがそれぞれ2であるジオール成分)8
40g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般式(1) 中の
1 およびR2 がエチレンで、xが2、yが0であるジ
オール成分)195g、テレフタル酸(ジカルボン酸)
29g、ジ−n−ブチルスズオキシド(安定剤)2gお
よびヒドロキノン(ジオール成分)1.5gを2リット
ルのフラスコに入れて、200℃で攪拌しつつ共重縮合
させた。反応は、ASTM E 28−51Tに準じ
て、軟化点が122℃に達したときに終了させた。
【0054】得られたポリエステル樹脂は、淡黄色の固
体であり、DSC(示差熱量計)によるガラス転移温度
は66℃であった。酸価(AV)は14KOH mg/g、水酸
基価(OHV) は36KOH mg/g(OHV/AV=2.5
7)であった。 実施例1 (シアン系透光性粉体塗料の製造)以下の成分をヘンシ
ェルミキサーで混合し、押出混練機で溶融、混練した
後、ジェットミルで粉砕した。 ・結着樹脂:上記参考例で得たポリエステル樹脂 100重量部 ・着色剤:前記式(2-1) で表される銅フタロシアニン系顔料 5重量部 ・硬化剤:ブロックイソシアネート 18重量部 ・電荷制御剤:第4級アンモニウム塩 1重量部 ・流展剤:アクロナール 4F(前出) 1重量部 次いで、粉砕物を150メッシュで分級し、平均粒径1
0μmのシアン系透光性粉体塗料を得た。
【0055】比較例1〜3 (シアン系透光性粉体塗料の製造)着色剤としてC.
I.ピグメントブルー15(一般式(2) のR3 、R4
5およびR6 がいずれも水素原子である銅フタロシア
ニン系顔料)、C.I.ソルベントブルー14(アント
ラキノン系染料)またはC.I.ソルベントブルー70
をそれぞれ5重量部用いたほかは、実施例1と同様にし
て、平均粒径10μmのシアン系透光性粉体塗料を得
た。
【0056】実施例2 (マゼンタ系透光性粉体塗料の製造)着色剤としてC.
I.ピグメントバイオレット122(前出)5重量部を
用いたほかは、実施例1と同様にして平均粒径10μm
のマゼンタ系透光性粉体塗料を得た。
【0057】比較例4〜6 (マゼンタ系透光性粉体塗料の製造)着色剤としてC.
I.ピグメントバイオレット19(一般式(5) のQ1
よびQ2 がいずれも水素原子であるキナクリドン系顔
料)、C.I.ピグメントレッド57:1またはC.
I.ピグメントレッド48:1をそれぞれ5重量部用い
たほかは、実施例2と同様にして平均粒径10μmのマ
ゼンタ系透光性粉体塗料を得た。
【0058】実施例3 (イエロー系透光性粉体塗料の製造)着色剤として前記
式(6-1) で表されるC.I.ピグメントイエロー17を
5重量部用いたほかは、実施例1と同様にして平均粒径
が10μmのイエロー系透光性粉体塗料を得た。
【0059】比較例7〜9 (イエロー系透光性粉体塗料の製造)着色剤として式(Y
-1) :
【0060】
【化15】
【0061】で表されるC.I.ピグメントイエロー1
3、式(Y-2) :
【0062】
【化16】
【0063】で表されるC.I.ピグメントイエロー5
5または式(Y-3) :
【0064】
【化17】
【0065】で表されるC.I.ピグメントイエロー8
3をそれぞれ5重量部用いたほかは、実施例3と同様に
して平均粒径10μmのイエロー系透光性粉体塗料を得
た。 (透光性粉体塗料の評価)実施例1〜3および比較例1
〜9で得られた透光性粉体塗料について以下の評価試験
を行った。
【0066】(a) 分散性の評価 実施例1〜3および比較例1〜9で得られた各透光性粉
体塗料をそれぞれ2枚のガラス板に挟み、110℃で1
分間加熱して溶融し、厚さ1μmの試料とした。この試
料1,000,000μm2 当たりの塗料粒子中に面積
が12.5〜15μm2 の大きさを有する顔料粒子の個
数を画像解析にて測定し、顔料の分散性を評価した。
【0067】分散性評価の基準は表1に示すとおりであ
る。評価が〇であれば、分散性が良好であることを示
す。
【0068】
【表1】
【0069】(b) 透光性の評価 上記試料についての光透過率を分光光度計にて測定し、
以下に示す基準にて透光性を評価した。なお、〇の評価
は透光性が充分であることを示す。 ・シアン系透光性粉体塗料:650nmの光透過率を
2.0%にしたとき、400〜600nmのうちピーク
となる光透過率が40%以上であれば○、40%未満で
あれば×とした。 ・マゼンタ系透光性粉体塗料:550nmの光透過率を
2.0%にしたとき、700nmの光透過率が50%以
上であれば○、50%未満であれば×とした。 ・イエロー系透光性粉体塗料:450nmの光透過率を
2.0%にしたとき、600nmの光透過率が50%以
上であれば○、50%未満であれば×とした。
【0070】評価結果を表2〜4に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】表2〜4から明らかなように、前述のポリ
エステル樹脂と、一般式(2),(5) または(6) の顔料とを
組み合わせた実施例1〜3の粉体塗料は、いずれもポリ
エステル樹脂中での顔料の分散性が優れており、充分な
透光性を示している。これに対し、比較例1〜9の粉体
塗料は、顔料の分散性が低く、透光性が不十分であっ
た。
【0075】
【発明の効果】上述したように、本発明の透光性粉体塗
料によれば、金属光沢等の被塗物の素地を活かしつつ、
鮮明な色味を有する塗膜を形成できるという特有の効果
を有する。また、2種以上を混合しても鮮明な色味が得
られ、塗装段階での調色を容易に行うことができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(I)(i)一般式(1) : 【化1】 (式中、R1 およびR2 は同一または異なって低級アル
    キレン基を示す。xおよびyは同一または異なって0ま
    たは1以上の整数を表し、かつx+yは1〜7であ
    る。)で表されるジオール成分と、(ii)ジカルボン酸、
    その酸無水物または低級アルキルエステルと、(iii) 3
    価以上の多価カルボン酸、その酸無水物もしくは低級ア
    ルキルエステル、または3価以上の多価アルコールとを
    共重縮合して得られ、かつ酸価(AV)に対する水酸基価(O
    HV) の割合OHV/AVが1.2以上であるポリエステ
    ル樹脂と、(II)一般式(2) : 【化2】 〔式中、X1 ,X2 ,X3 およびX4 は同一または異な
    って、水素原子、基(3)または基(4) : 【化3】 (式中、R3 およびR4 は炭素数1〜5のアルキレン基
    を示す。)を示す。但し、X1 ,X2 ,X3 およびX4
    は同時に水素原子でないものとする。〕で表される銅フ
    タロシアニン系顔料とを含むことを特徴とする透光性粉
    体塗料。
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリエステル樹脂と、一般
    式(5) : 【化4】 (式中、Q1 およびQ2 は同一または異なって、水素原
    子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。但し、Q1
    およびQ2 は同時に水素原子でないものとする。)で表
    されるキナクリドン系顔料とを含むことを特徴とする透
    光性粉体塗料。
  3. 【請求項3】請求項1記載のポリエステル樹脂と、一般
    式(6) : 【化5】 (式中、R5 は水素原子、アルキル基またはアルコキシ
    基を示す。)で表されるビスアゾ系顔料とを含むことを
    特徴とする透光性粉体塗料。
  4. 【請求項4】請求項1記載の銅フタロシアニン系顔料、
    請求項2記載のキナクリドン系顔料または請求項3記載
    のビスアゾ系顔料の配合量が、請求項1記載のポリエス
    テル樹脂100重量部に対し、1〜20重量部である請
    求項1〜3のいずれかに記載の透光性粉体塗料。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023182207A1 (ja) * 2022-03-24 2023-09-28 株式会社Lixil 硬化塗膜及び被塗物

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WO2023182207A1 (ja) * 2022-03-24 2023-09-28 株式会社Lixil 硬化塗膜及び被塗物

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