JPH10278046A - ディスク基板の成形用型およびディスク基板の成形方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 可動金型において、ディスク基板の中央穴を
打抜形成する雄カッタとディスク基板の成形品を離型さ
せるエジェクタとの相対摺動時のカジリ等の損傷を防止
すること。 【解決手段】 雄カッタ５０とエジェクタ５２を実質的
に一体形成せしめて、一体的に突出駆動されるようにす
ると共に、型合わせ状態下における樹脂材料の射出充填
時にキャビティ形成面の形成位置よりも後退位置せしめ
られたエジェクタ５２が、雄カッタ５０によるディスク
中央穴の打ち抜きに際して雄カッタ５０と共に突出変位
せしめられることにより、エジェクタ５２の先端面５８
がキャビティ形成面の形成位置に位置せしめられるよう
にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】本発明は、合成樹脂製の光ディスク基板を
形成するためのディスク基板の成形用型とディスク基板
の成形方法に係り、特に、スーパーピクチャーディスク
用や貼合せディスク用などのディスク基板の成形に際し
て有利に採用され得るディスク基板の成形用型およびデ
ィスク基板の成形方法に関するものである。

【０００２】

【従来技術】光ディスク（光磁気ディスクを含む）は、
オーディオやビデオ，計算機等の広い分野で記録媒体と
して用いられるようになってきているが、その製造に用
いられる合成樹脂製のディスク基板は、一般に、固定金
型と可動金型からなる成形用型を用いて、何れかの金型
のキャビティ形成面に薄肉円環板状のスタンパを装着
し、それら両金型の型合わせ面間に形成された成形キャ
ビティに樹脂材料を充填せしめて、成形と同時に、スタ
ンパ表面に刻設されたピットやプリグルーブ等の情報を
転写することによって形成される。また、このような成
形用型においては、可動金型の中心軸上をそれぞれ固定
金型側に向かって突出作動せしめられる雄カッタとエジ
ェクタスリーブが設けられており、成形キャビティへの
樹脂材料の充填後に雄カッタを突出させて固定金型側の
雌カッタに嵌合させることによりディスク中央穴を打ち
抜くと共に、型開き後にエジェクタスリーブを突出させ
ることにより成形品（ディスク基板）を離型させて取り
出すようになっている。

【０００３】ところが、一般に、エジェクタスリーブ
は、雄カッタに対して直接に外挿配置されており、雄カ
ッタの突出作動後に雄カッタの外周面上を突出作動せし
められることから、エジェクタスリーブが、その突出作
動時に雄カッタの外周面に引っ掛かってカジリ等の損傷
や作動不良などの不具合が発生するおそれがあった。

【０００４】また、可動金型側にスタンパを装着する場
合には、スタンパの内周縁部をキャビティ形成面上に押
さえて保持せしめる環状の爪部を備えたスタンパ押えス
リーブが、エジェクタスリーブの外周側に取外し可能に
装着されることとなるが、この爪部によってディスク基
板の表面に環状の凹溝が形成されることが避けられない
ために、かかる凹溝によってディスク表面における印刷
面が制限されたり、スピンコータを使用したディスク表
面への接着剤等の拡張が阻害されたりする問題がある。
そこで、近年では、特にディスク表面の略全面に印刷さ
れたスーパーピクチャーディスクやＤＶＤ等の貼合せデ
ィスクなどに用いられるディスク基板において、中央穴
が小径のスタンパを採用し、スタンパ押えスリーブの爪
部によって形成される凹溝を出来るだけディスク基板の
内周縁部に位置せしめることにより、ディスク基板の表
面を略全面に亘って平坦面化することが、提案されてい
る。具体的には、ディスク基板の中央穴径がφ１５mmの
場合には、中央穴径が２３mm以下のスタンパを採用する
ことによって、スーパーピクチャーディスクやＤＶＤの
製造等に際して問題とならない程度に、ディスク基板の
表面の平坦面化が有利に達成されることとなる。

【０００５】ところが、中央穴が小径のスタンパを採用
するためには、スタンパの中央穴に挿通されるスタンパ
押えスリーブを小径化しなければならないが、スタンパ
押えスリーブの内周側には、雄カッタとの間にエジェク
タスリーブが配設されることから、スタンパ押えスリー
ブを小径化するためには、エジェクタスリーブを薄肉と
せざるを得ず、エジェクタスリーブの部材強度や加工性
等が十分に確保できなくなってしまうという問題があっ
たのである。

【０００６】

【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、請求項１乃至４に
記載の発明は、何れも、ディスク中央穴の打抜き用の雄
カッタと成形品離型用のエジェクタを備えた可動金型に
おいて、エジェクタの雄カッタに対するカジリ等の不具
合が有効に防止される、構造が簡単で新規な構造のディ
スク基板の成形用型を提供することを、目的とする。

【０００７】また、請求項２乃至４に記載の発明は、何
れも、中央穴が小径とされたスタンパを、可動金型に対
して、エジェクタの部材強度等を十分に確保しつつ、ス
タンパ押えスリーブによって有利にセットすることが可
能であり、以て、表面が広い範囲に亘って平坦面とされ
た商品価値の高いディスク基板を有利に形成することの
出来るディスク基板の成形用型を提供することも、目的
とする。

【０００８】さらに、請求項５に記載の発明は、前述の
如き事情を背景として為されたものであり、ディスク中
央穴の打抜き用の雄カッタと成形品離型用のエジェクタ
を備えた可動金型を用いてディスク基板を成形するに際
して、エジェクタの雄カッタに対するカジリ等の不具合
の発生が防止されて、目的とするディスク基板を安定し
て連続成形することのできるディスク基板の成形方法を
提供することにある。

【０００９】

【解決手段】そして、このような課題を解決するため
に、請求項１に記載の発明の特徴とするところは、互い
に型合わせされることにより成形用キャビティを形成す
る固定金型と可動金型を含んで構成されると共に、該可
動金型から該固定金型に向かって突出せしめられて該固
定金型側の雌カッタに嵌合せしめられることにより、前
記成形用キャビティで形成されたディスク基板の中央穴
を打ち抜く雄カッタと、該雄カッタの外周側に位置せし
められて、該可動金型から該固定金型側に向かって突出
せしめられることにより、該成形用キャビティで形成さ
れて中央穴が打ち抜かれたディスク基板を型開き後に離
型させて取り出すエジェクタとが、前記可動金型にそれ
ぞれ設けられたディスク基板の成形用型において、前記
雄カッタの外周側に前記エジェクタを実質的に一体的
に、且つ該雄カッタの突出先端面が該エジェクタの突出
先端面よりも前記固定金型側に突出位置するように形成
せしめて、それら雄カッタとエジェクタが軸方向に一体
的に駆動せしめられるようにすると共に、該雄カッタが
前記雌カッタに嵌合していない樹脂材料の射出充填位置
において該エジェクタの先端面が前記可動金型の成形用
キャビティの形成位置よりも前記固定金型から離隔した
後退位置に位置せしめられ、且つ該雄カッタの突出によ
る該雌カッタへの嵌合位置において該エジェクタの先端
面が該可動金型の成形用キャビティの形成位置に位置せ
しめられるように、該雄カッタの先端面の該エジェクタ
の先端面からの突出高さを設定したことにある。

【００１０】このような請求項１に記載の発明に従う構
造とされた成形用型においては、固定金型と可動金型を
型合わせして成形用キャビティに樹脂材料を充填する
際、成形用キャビティの形成位置から所定量だけ後退し
て位置せしめられたエジェクタが、樹脂材料の充填後に
おけるディスク中央穴の打ち抜きのための雄カッタの突
出作動と同時に、雄カッタと一体的に成形用キャビティ
の形成位置まで突出移動せしめられることとなり、それ
によって、該エジェクタの先端面を含んで成形用キャビ
ティ形成面が構成されて、充填樹脂材料が目的とするデ
ィスク基板形状に成形され、冷却，固化せしめられるこ
ととなる。更に、樹脂材料が冷却，固化せしめられて固
定金型と可動金型が型開きされた後、エジェクタの突出
作動によって成形品（ディスク基板）が突き出されて可
動金型から離型せしめられることとなるが、その際に
も、雄カッタとエジェクタが一体的に突出移動せしめら
れることとなる。

【００１１】従って、このような成形用型においては、
雄カッタとエジェクタの独立した駆動による相対変位が
回避されるのであり、それ故、エジェクタの雄カッタに
対するカジリ等の不具合が完全に防止され得るのであ
る。しかも、かかる成形用型においては、雄カッタとエ
ジェクタが実質的に一体構造とされると共に、一体的に
駆動されることから、部材および駆動系の構造の簡略化
が有利に図られ得るのである。

【００１２】加えて、このような成形用型においては、
成形用キャビティへの樹脂材料の充填後に、キャビティ
形成面を構成するエジェクタが後退位置から固定金型側
に突出作動せしめられることにより、成形用キャビティ
に充填された樹脂材料に対して、冷却から固化に至るま
での段階で圧縮力が及ぼされることから、成形品（ディ
スク基板）におけるヒケ等の不良発生が防止されて、デ
ィスク基板の品質の向上と安定化が図られ得るといった
効果もある。

【００１３】また、請求項２に記載の発明は、請求項１
に記載の発明に従う構造とされたディスク基板の成形用
型において、該可動金型のキャビティ形成面に重ね合わ
せて装着したスタンパの内周縁部を表面側から押さえて
保持せしめる環状の爪部を備えた内周押えホルダが、前
記可動金型における前記エジェクタの外周側に位置し
て、取外し可能に装着されていることを、特徴とする。

【００１４】かかる請求項２に記載の発明に従う構造と
された成形用型においては、中央穴が小径のスタンパを
採用するために小径のスタンパ押えスリーブを採用した
場合でも、スタンパ押えスリーブの内周側に配設される
雄カッタとエジェクタが、相対変位されることなく実質
的に一体的に形成されることから、エジェクタスリーブ
の部材強度が有利に確保されるのであり、それによっ
て、中央穴が小径とされたスタンパが有利にセット可能
となって、表面が広い範囲に亘って平坦面とされた商品
価値の高いディスク基板を有利に形成することが出来る
のである。

【００１５】また、請求項３に記載の発明は、請求項２
に記載の発明に従う構造とされたディスク基板の成形用
型において、前記内周押えホルダの外径寸法が、φ２３
mm以下であることを、特徴とする。

【００１６】このような請求項３に記載の発明に従う構
造とされた成形用型は、ＣＤやＤＶＤ用のディスク基板
の成形に際して好適に用いられ、それによって、内周縁
部を除く表面が略全面に亘って平坦面とされて、スーパ
ーピクチャーディスクや貼合せディスク用の基板として
好適に採用されるディスク基板を、有利に形成すること
が出来るのである。

【００１７】また、請求項４に記載の発明は、請求項２
又は３の何れかに記載の発明に従う構造とされたディス
ク基板の成形用型において、前記内周押えホルダが、前
記可動金型に対して固定的に取り付けられた案内スリー
ブを介して、前記エジェクタに対する外挿状態で取り付
けられていることを、特徴とする。

【００１８】このような請求項４に記載の発明に従う構
造とされた成形用型においては、雄カッタとエジェクタ
の一体的な突出作動や、内周押えホルダの着脱操作が案
内スリーブでガイドされてスムーズに為され得ると共
に、エジェクタと内周押えホルダのかじり等に起因する
損傷や作動不良も有利に防止されて、作動の安定化の向
上が図られ得る。また、可動金型に対して固定的に取り
付けられた案内スリーブによって、雄カッタおよびエジ
ェクタや内周押えホルダの位置決め精度の向上も有利に
図られ得るのである。

【００１９】また、請求項５に記載の発明は、前述の如
き課題を解決するために為されたものであって、その特
徴とするところは、固定金型と可動金型の型合わせ面間
に形成された成形用キャビティに樹脂材料を充填してデ
ィスク基板を成形する充填工程と、該可動金型に設けら
れた雄カッタを該固定金型に設けられた雌カッタに向か
って突出させて嵌合させることにより該ディスク基板の
中央穴を打ち抜く打抜工程と、型開き後に、前記可動金
型における前記雄カッタの外周側に位置せしめられたエ
ジェクタを突出させることにより、該中央穴が打ち抜か
れたディスク基板を離型させる離型工程とを、含むディ
スク基板の成形方法であって、前記充填工程において、
前記エジェクタの先端面を前記可動金型の成形用キャビ
ティの形成位置よりも前記固定金型から離隔した後退位
置に位置せしめると共に、前記打抜工程において、前記
雄カッタと一体的に該エジェクタを突出させて、該エジ
ェクタの先端面を前記可動金型の成形用キャビティの形
成位置に位置せしめ、更に、前記離型工程において、該
雄カッタを該エジェクタと共に突出させるディスク基板
の成形方法にある。

【００２０】このような請求項５に記載の発明方法に従
えば、ディスク基板の成形および離型に際して雄カッタ
とエジェクタが同時に一体的に突出作動せしめられるこ
とから、それら雄カッタとエジェクタのかじり等の損傷
が完全に防止されるのであり、ディスク基板を安定して
製造することが可能となる。しかも、成形用キャビティ
への樹脂材料の充填後におけるエジェクタの突出作動に
より、樹脂材料に圧縮力が及ぼされることから、成形に
際してのヒケ等の不良が防止されて、ディスク基板の品
質の向上と安定化も有利に達成され得る。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施例について、図面を参照
しつつ、詳細に説明する。

【００２２】先ず、図１には、光ディスクを与えるディ
スク基板を形成するための成形装置の要部概略が示され
ている。この成形装置は、成形型としての固定金型１０
と可動金型１２を備えており、図示はされていないが、
固定金型１０が型締装置の固定盤に取り付けられる一
方、可動金型１２が型締装置の可動盤に取り付けられて
支持せしめられ、可動盤の固定盤に対する接近／離隔方
向への移動によって、それら固定金型１０と可動金型１
２が型開閉されるようになっている。そして、図示され
ているように、固定金型１０と可動金型１２が型合わせ
されることにより、型合わせ面間にディスク基板の成形
キャビティ１４が形成されるようになっており、この成
形キャビティ１４に樹脂材料を充填して、冷却，固化せ
しめることによって、ディスク基板が形成されるように
なっている。

【００２３】より詳細には、固定金型１０は、成形キャ
ビティ１４の形成側に、固定側ミラーブロック１８を有
しており、この固定側ミラーブロック１８の中央部分を
型合わせ方向に貫通して、センタブッシュ２０が固定的
に組み付けられていると共に、該センタブッシュ２０の
中心孔にスプルブッシュ２２が挿通配置されて固定され
ている。なお、本実施例では、センタブッシュ２０の内
周縁部によって、ディスク中央穴を打ち抜くための雌カ
ッタが構成されている。

【００２４】そして、固定側ミラーブロック１８の表面
とセンタブッシュ２０の軸方向端面とによって、固定側
キャビティ形成面２４が、協働して形成されている。な
お、固定側ミラーブロック１８には、固定側キャビティ
形成面２４の径方向中間部分において、ディスク基板を
積み重ねてストックしておく際にディスク基板の重ね合
わせ面間に隙間を確保するためのスタックリブ形成用の
凹部２６が、周方向に連続した円環溝形状をもって形成
されている。また、図面上では明らかでないが、固定側
ミラーブロック１８とセンタブッシュ２０の部材間の隙
間には、固定側キャビティ形成面２４に開口するエア吐
出口２８が設けられており、このエア吐出口２８から固
定側キャビティ形成面２４に圧縮空気が吐出されること
により、成形キャビティ１４で形成されたディスク基板
に対して、固定側キャビティ形成面２４からの離型力が
及ぼされるようになっている。

【００２５】また一方、可動金型１２は、成形キャビテ
ィ１４の形成側に、可動側ミラーブロック３０を有して
おり、この可動側ミラーブロック３０の中央部分を型合
わせ方向に貫通して、略円筒形状の内周押えホルダ３２
が挿入され、図示しないねじ機構等により、可動金型１
２に対して固定的に且つ軸方向に着脱可能に取り付けら
れている。また、内周押えホルダ３２の中心孔には、案
内スリーブ３４が挿通配置されて、可動金型１２に対し
て固定的に配設されている。更にまた、案内スリーブ３
４の中心孔には、突出スリーブ３６が、成形キャビティ
１４の中心軸上を軸方向（可動金型１２の固定金型１０
に対する接近／離隔方向）に移動可能に挿通配置されて
いる。更に、突出スリーブ３６の中心孔には、軸方向に
貫通して且つ軸方向に移動可能に円形ロッド状のエジェ
クタピン４０が挿通配置されている。また、図示はされ
ていないが、可動金型１２には、突出スリーブ３６とエ
ジェクタピン４０を突出作動せしめるモータやシリンダ
等のアクチュエータ機構が装着されており、それら突出
スリーブ３６とエジェクタピン４０が互いに独立して軸
方向に突出作動せしめられるようになっている。

【００２６】要するに、可動金型１２においては、成形
キャビティ１４の中心軸と同一軸上に配設されたエジェ
クタピン４０を中心として、該エジェクタピン４０の外
周側に、突出スリーブ３６，案内スリーブ３４，内周押
えホルダ３２および可動側ミラーブロック３０が、順次
径方向に重ね合わされて、それぞれ同一軸上に配設され
ているのである。

【００２７】これにより、可動金型１２においては、可
動側ミラーブロック３０の表面と、該可動側ミラーブロ
ック３０の中央部分に互いに同心的に配設された内周押
えホルダ３２，案内スリーブ３４および突出スリーブ３
６の各軸方向端面とによって、可動側キャビティ形成面
４２が協働して形成されている。

【００２８】また、可動側キャビティ形成面４２を構成
する可動側ミラーブロック３０の表面には、薄肉円環板
形状のスタンパ４３が重ね合わされており、成形キャビ
ティ１４内で成形されるディスク基板に対して、このス
タンパ４３の表面に刻設されたピットやプリグルーブ等
の情報が転写されるようになっている。ここにおいて、
内周押えホルダ３２には、軸方向端部の外周縁部分にお
いて、軸方向に僅かに突出し、径方向外方に向かって可
動側ミラーブロック３０の表面上に延び出す環状爪部４
４が一体形成されており、この環状爪部４４によって、
スタンパ４３の内周縁部が、可動側ミラーブロック３０
の表面上に保持されるようになっている。なお、図面上
に明示はされていないが、スタンパ４３の外周部分は、
公知の如く、可動金型１２に固着されたリング状の外周
押えホルダや、可動側キャビティ形成面４２に開口する
エア孔を通じて及ぼされるエア吸引力等によって、可動
側ミラーブロック３０の表面上に保持されるようになっ
ている。

【００２９】また、内周押えホルダ３２と案内スリーブ
３４の部材間の隙間には、可動側キャビティ形成面４２
に開口するエア吐出口４６が設けられており、このエア
吐出口４６を通じて、圧縮空気が可動側キャビティ形成
面４２に吐出されることにより、成形キャビティ１４で
形成されたディスク基板に対して、可動側キャビティ形
成面４２からの離型力が及ぼされるようになっている。

【００３０】更にまた、突出スリーブ３６は、突出側
（固定金型１０側）の軸方向先端面において内周側部分
が外周側部分よりも軸方向に突出せしめられることによ
り、径方向中間部分に円筒形状の段差面４８が形成され
ており、この段差面４８よりも径方向内側部分が雄カッ
タ部５０とされていると共に、段差面４８よりも径方向
外側部分がエジェクタ部５２とされている。かかる雄カ
ッタ部５０は、固定金型１０において雌カッタを構成す
るセンタブッシュ２０の内径寸法よりも僅かに小さな外
径寸法を有している。そして、図１に示されているよう
に、雄カッタ部５０が固定金型１０のセンタブッシュ２
０に対して軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめら
れることにより、それら雄カッタ部５０における突出先
端部分の外周縁部とセンタブッシュ２０における開口部
分の内周縁部との対向面間において、スプルブッシュ２
２のスプル５４を通じて供給された溶融樹脂材料を成形
キャビティ１４に導くゲート部５６が形成されるように
なっていると共に、突出スリーブ３６が軸方向に突出作
動せしめられて、雄カッタ部５０がセンタブッシュ２０
に嵌入せしめられることにより、ゲート部５６が遮断さ
れてディスク基板の中央穴が穿孔されるようになってい
る（図２参照）。

【００３１】また、エジェクタ部５２は、その軸方向先
端面５８によって、可動側キャビティ形成面４２の一部
を構成している。そこにおいて、この軸方向先端面５８
は、図１に示されている如き、雄カッタ部５０とセンタ
ブッシュ２０との間にゲート部５６を形成する突出スリ
ーブ３６の軸方向位置において、可動側キャビティ形成
面４２の構成位置、即ち内周押えホルダ３２や案内スリ
ーブ３４等の軸方向先端面の位置よりも、軸方向におい
て固定金型１０から所定寸法：Ｌだけ離隔した後退位置
に位置決めされるようになっている。そして、突出スリ
ーブ３６が軸方向に突出作動せしめられて雄カッタ部５
０がセンタブッシュ２０に嵌入せしめられたディスク基
板の中央穴の穿孔位置において、かかるエジェクタ部５
２の軸方向先端面５８が、後退位置から所定量だけ固定
金型１０側に変位せしめられることにより、内周押えホ
ルダ３２や案内スリーブ３４等の軸方向先端面と面一と
されて可動側キャビティ形成面４２を協働して構成す
る、成形キャビティの形成位置に位置せしめられるよう
になっている（図２参照）。

【００３２】更にまた、突出スリーブ３６は、エジェク
タ部５２の軸方向先端面５８が成形キャビティ１４の形
成位置から更に固定金型１０側に突出して位置せしめら
れるエジェクト位置にまで突出作動せしめられるように
なっている。そして、固定金型１０と可動金型１２の型
開き状態下で、突出スリーブ３６がエジェクト位置まで
突出せしめられることにより、軸方向先端面５８によっ
て形成されたディスク基板が押し出されて、可動金型１
２から離型せしめられるようになっている（図３参
照）。

【００３３】上述の如き構造とされたディスク成形装置
を用いてディスク基板を形成するに際しては、先ず、固
定金型１０と可動金型１２を型開きした状態下で、可動
金型１２におけるミラーブロック３０の表面にスタンパ
４３を重ね合わせて、内周押えホルダ３２と外周押えホ
ルダ等（図示せず）で保持せしめる。また、可動金型１
２における突出スリーブ３６を、図１に示されている如
き後退位置に位置決めする。

【００３４】その後、型閉作動によって可動金型１２を
固定金型１０に型合わせして両金型１０，１２の型合わ
せ面間に成形キャビティ１４を形成し、更に増圧型締し
た後、成形キャビティ１４に対して、図示しない射出装
置により、固定金型１０のスプルブッシュ２２を通じ
て、所定の樹脂材料を射出充填せしめる。

【００３５】そして、かかる樹脂材料の成形キャビティ
１４への射出充填後、固定金型１０と可動金型１２を型
締保持せしめた状態下で、充填樹脂材料の冷却，固化が
行われることとなるが、かかる樹脂材料の成形キャビテ
ィ１４への充填完了後、所定の時間遅れをもって、図２
に示されているように、可動金型１２の突出スリーブ３
６を、当初の後退位置から軸方向に突出作動せしめる。
それにより、雄カッタ部５０を固定金型１０のセンタブ
ッシュ２０の中心孔に嵌入させてディスク基板の中央穴
を打ち抜き形成すると共に、エジェクタ部５２の先端面
５８を、可動側キャビティ形成面４２を構成する位置ま
で移動させて位置決めする。なお、一般に、かかる突出
スリーブ３６の突出作動と共に、エジェクタピン４０
も、突出スリーブ３６と一体的に突出作動せしめられ
る。

【００３６】すなわち、この雄カッタ部５０によるディ
スク中央穴の打抜工程において、雄カッタ部５０と共に
エジェクタ部５２が後退位置からキャビティ形成面４２
に突出変位せしめられることにより、ディスク成形キャ
ビティ１４の容積が、該エジェクタ部５２の変位量だけ
減少せしめられることとなり、以て、目的とする形状の
ディスク基板６２が形成されるのであり、また、かかる
成形キャビティ１４の容積減少によって、成形キャビテ
ィ１４に充填された特に内周側部分の樹脂材料に対し、
その冷却，固化工程において、圧縮力が及ぼされること
となる。

【００３７】続いて、所定の冷却時間の経過後に、型締
圧を圧抜きし、型開作動によって可動金型１２を固定金
型１０から型開きした後に、可動金型１２におけるエジ
ェクタピン４０を突出作動せしめてスプル部６０を突き
出し、離型，廃棄せしめると共に、更にその後、突出ス
リーブ３６を突出作動せしめて成形されたディスク基板
６２を押し出し、可動金型１２から離型せしめて取り出
す。それによって、目的とするディスク基板６２が得ら
れることとなる。なお、突出スリーブ３６の突出作動に
よるディスク基板６２の離型工程においては、内周押え
ホルダ３２と案内スリーブ３４の部材間の隙間に形成さ
れたエア吐出口４６を通じて圧縮空気を吐出せしめるこ
とにより、ディスク基板６２に対する離型力が補助的に
及ぼされる。

【００３８】要するに、上述の如きディスク基板６２の
成形においては、ディスク中央穴を打抜形成するための
雄カッタ部５０とディスク成形品を離型させるためのエ
ジェクタ部５２が、一つの部品からなる単一構造の突出
スリーブ３６によって構成されており、ディスク中央穴
の打抜形成時と、ディスク成形品の離型時において、か
かる突出スリーブ３６の突出ストロークを、それぞれコ
ントロールすることによって、かかる単一構造の突出ス
リーブ３６により、ディスク中央穴の打抜形成とディス
ク成形品の離型とが、それぞれ行われることとなるので
ある。

【００３９】従って、このようなディスク基板６２の成
形によれば、従来から問題となっていた雄カッタとエジ
ェクタスリーブの相対摺動部位におけるカジリ等の損傷
や作動不良が完全に解消されることとなり、安定したデ
ィスク基板の連続成形が可能となるのである。

【００４０】また、ディスク中央穴の打ち抜きに際して
の突出スリーブ３６の突出作動に伴って、成形キャビテ
ィ１４に充填された樹脂材料に対して圧縮力が及ぼされ
て圧縮成形されることから、ヒケ等の成形不良が有利に
防止されて、そのような成形不良に起因する製品割れ等
の発生も低減されることにより、ディスク基板の性能の
向上と安定化が図られ得る。

【００４１】更にまた、上述の如き構造とされた成形型
においては、雄カッタ部５０とエジェクタ部５２が、一
つの部品からなる単一構造の突出スリーブ３６によって
構成されていることから、部品点数の減少と構造の簡略
化が達成されると共に、それら雄カッタ部５０とエジェ
クタ部５２の駆動系の装置構造や制御系も統一化されて
簡略化されることから、成形型だけでなく成形装置全体
の構造の簡略化も有利に達成され得るのである。

【００４２】また、雄カッタ部５０とエジェクタ部５２
が、一つの部品からなる単一構造の突出スリーブ３６に
よって構成されていることから、エジェクタ部５２にお
ける部材厚寸法や強度等が、雄カッタ部５０を含んだ全
体として有利に確保されるのであり、それ故、雄カッタ
部５０やエジェクタ部５２の強度を十分に確保しつつ、
小径の内周押えホルダ３２を採用し、中央穴が小径のス
タンパを装着することによって、表面が広い範囲に亘っ
て平坦面とされた商品価値の高いディスク基板６２を有
利に形成することが出来るのである。

【００４３】しかも、雄カッタ部５０やエジェクタ部５
２の強度確保が有利に為され得ることから、小径の内周
押えホルダ３２を採用すると共に、内周押えホルダ３２
と突出スリーブ３６の間に案内スリーブ３４を配設する
ことも可能となるのであり、それによって、内周押えホ
ルダ３２の着脱作業性や突出スリーブ３６の突出／引込
作動性の更なる向上等が、有利に図られ得るといった利
点もある。

【００４４】具体的には、本実施形態の金型構造を採用
すれば、例えば、中央穴径がφ１５mmのスーパーピクチ
ャーディスクの形成に際して、可動金型１２における雄
カッタ部５０，エジェクタ部５２，案内スリーブ３４お
よび内周押えホルダ３２の各外径寸法：φａ，φｂ，φ
ｃ，φｄ（図３参照）を、それぞれ、φａ＝１５mm，φ
ｂ＝１７mm，φｃ＝１９mm，φｄ＝２２mmに設定するこ
とにより、中央穴径がφ２２mmのスタンパ４３を使用す
ることが可能であり、それによって、僅かにスタンパ押
えスリーブ３４の環状爪部４４の外径寸法：φｅである
略φ２３mm以下の部分だけを除く、φ２３mmより外周側
の全面が平坦な印刷可能面とされたスーパーピクチャー
ディスク用の基板６２を、有利に形成することが出来る
のである。

【００４５】即ち、上述の如き成形型を用いれば、スー
パーピクチャーディスクや貼合せディスク用として好適
に用いられる商品価値の高いディスク基板を、有利に製
造することが可能となるのであり、内周押えホルダ３２
と案内スリーブ３４の嵌挿面間にエアブロー用の吐出口
４６も形成されて成形品の良好なる離型性も確保される
ことにより、成形性および品質の向上と安定化も有利に
達成されるのである。

【００４６】しかも、かかる成形型においては、スタン
パ４３の内周縁部が、内周押えホルダ３２の環状爪部４
４で覆われることから、スタンパ中央穴への樹脂材料の
侵入に起因するバリ等の不良の発生も、効果的に防止さ
れることとなる。

【００４７】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、か
かる具体的構造にのみ限定して解釈されるものではな
い。

【００４８】例えば、案内スリーブ３４やエジェクタピ
ン４０等は、必ずしも設ける必要はなく、突出スリーブ
３６の外周面上に直接に内周押えホルダ３２を配設する
ようにしたり、突出スリーブ３６を中実のロッド形状を
もって形成しても良い。

【００４９】また、雄カッタ部５０とエジェクタ部５２
は、実質的に一体的に形成されて駆動されるものであれ
ば良く、必ずしも単一部材で一体形成する必要はなく、
別々に形成された複数の部材を相互に組み合わせて突出
スリーブ３６を構成せしめることも可能である。

【００５０】更にまた、本発明は、スーパーピクチャー
ディスクや貼合せディスクの他、各種の光ディスク用の
基板の成形型および成形方法に対して、何れも有利に適
用され得るものであることは、勿論である。

【００５１】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更，修正，改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもないところである。

【００５２】

【発明の効果】上述の説明から明らかなように、請求項
１乃至４に記載の発明に従う構造とされたディスク基板
の成形用型においては、雄カッタとエジェクタが実質的
に一体的に形成されており、射出充填時に後退位置せし
められたエジェクタが、雄カッタによるディスク中央穴
の打抜形成に際して、該雄カッタと共に所定量だけ突出
変位せしめられることにより、目的とするディスク基板
を与える成形用キャビティが形成されることとなるので
あり、ディスク基板の成形に際して、雄カッタとエジェ
クタの相対変位が回避されることから、雄カッタとエジ
ェクタのカジリ等の損傷や作動不良が完全に解消される
こととなり、優れたディスク基板の成形性が発揮される
のである。

【００５３】特に、請求項２乃至４に記載の発明に従う
構造とされたディスク基板の成形用型においては、エジ
ェクタ等の部材強度を確保しつつ、小径の内周押えホル
ダを採用することが可能であることから、中央穴が小径
のスタンパを装着することによって、表面が広い範囲に
亘って平坦面とされた商品価値の高いディスク基板を有
利に形成することが出来るのである。

【００５４】また、請求項５に記載の発明方法に従え
ば、ディスク基板の成形に際して、雄カッタとエジェク
タの相対変位が回避されることにより、雄カッタとエジ
ェクタのカジリ等の損傷や作動不良が完全に解消される
ことから、ディスク基板を安定して形成することが出来
るのである。しかも、樹脂材料の充填工程において後退
位置に位置せしめられたエジェクタが、ディスク基板の
中央穴の打抜工程で成形用キャビティの形成位置まで突
出変位せしめられることにより、充填樹脂材料に対して
圧縮力が及ぼされることから、ヒケ等による成形不良が
効果的に防止されて、成形品であるディスク基板の品質
向上も有利に図られ得るのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態としてのディスク基板の成
形用型の要部を、型閉状態において示す縦断面図であ
る。

【図２】図１に示されたディスク成形用型を用いたディ
スク基板の成形方法を説明するための、ディスク中央穴
の打抜工程を示す縦断面説明図である。

【図３】図１に示されたディスク成形用型を用いたディ
スク基板の成形方法を説明するための、ディスク基板の
離型工程を示す縦断面説明図である。

【符号の説明】

１０ 固定金型 １２ 可動金型 １４ 成形キャビティ ２４ 固定側キャビティ形成面 ３２ 内周押えホルダ ３６ 突出スリーブ ４２ 可動側キャビティ形成面 ４３ スタンパ ４４ 環状爪部 ４８ 段差面 ５０ 雄カッタ ５２ エジェクタ部 ５８ 軸方向先端面 ６２ ディスク基板

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに型合わせされることにより成形用
   キャビティを形成する固定金型と可動金型を含んで構成
   されると共に、該可動金型から該固定金型に向かって突
   出せしめられて該固定金型側の雌カッタに嵌合せしめら
   れることにより、前記成形用キャビティで形成されたデ
   ィスク基板の中央穴を打ち抜く雄カッタと、該雄カッタ
   の外周側に位置せしめられて、該可動金型から該固定金
   型側に向かって突出せしめられることにより、該成形用
   キャビティで形成されて中央穴が打ち抜かれたディスク
   基板を型開き後に離型させて取り出すエジェクタとが、
   前記可動金型にそれぞれ設けられたディスク基板の成形
   用型において、 前記雄カッタの外周側に前記エジェクタを実質的に一体
   的に、且つ該雄カッタの突出先端面が該エジェクタの突
   出先端面よりも前記固定金型側に突出位置するように形
   成せしめて、それら雄カッタとエジェクタが軸方向に一
   体的に駆動せしめられるようにすると共に、該雄カッタ
   が非突出状態とされた樹脂材料の射出充填位置において
   該エジェクタの先端面が前記可動金型の成形用キャビテ
   ィの形成位置よりも前記固定金型から離隔した後退位置
   に位置せしめられ、且つ該雄カッタの突出による前記雌
   カッタへの嵌合位置において該エジェクタの先端面が該
   可動金型の成形用キャビティの形成位置に位置せしめら
   れるように、該雄カッタの先端面の該エジェクタの先端
   面からの突出高さを設定したことを特徴とするディスク
   基板の成形用型。
2. 【請求項２】 該可動金型のキャビティ形成面に重ね合
   わせて装着したスタンパの内周縁部を表面側から押さえ
   て保持せしめる環状の爪部を備えた内周押えホルダが、
   前記可動金型における前記エジェクタの外周側に位置し
   て、取外し可能に装着されている請求項１に記載のディ
   スク基板の成形用型。
3. 【請求項３】 前記内周押えホルダの外径寸法が、φ２
   ３mm以下である請求項２に記載のディスク基板の成形用
   型。
4. 【請求項４】 前記内周押えホルダが、前記可動金型に
   対して固定的に取り付けられた案内スリーブを介して、
   前記エジェクタに対する外挿状態で取り付けられている
   請求項２又は３に記載のディスク基板の成形用型。
5. 【請求項５】 固定金型と可動金型の型合わせ面間に形
   成された成形用キャビティに樹脂材料を充填する充填工
   程と、該可動金型に設けられた雄カッタを該固定金型に
   設けられた雌カッタに向かって突出させて嵌合させるこ
   とにより該ディスク基板の中央穴を打ち抜く打抜工程
   と、型開き後に、前記可動金型における前記雄カッタの
   外周側に位置せしめられたエジェクタを突出させること
   により、該中央穴が打ち抜かれたディスク基板を離型さ
   せる離型工程とを、含むディスク基板の成形方法であっ
   て、 前記充填工程において、前記エジェクタの先端面を前記
   可動金型の成形用キャビティの形成位置よりも前記固定
   金型から離隔した後退位置に位置せしめると共に、前記
   打抜工程において、前記雄カッタと一体的に該エジェク
   タを突出させて、該エジェクタの先端面を前記可動金型
   の成形用キャビティの形成位置に位置せしめ、更に、前
   記離型工程において、該雄カッタを該エジェクタと共に
   突出させることを特徴とするディスク基板の成形方法。