JPH10277802A - 管外面付着物除去装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 既設管の工事などのために、管の外周面に強
固に付着している錆や汚れなどを迅速かつ確実に除去す
る。 【解決手段】 既設管１５の軸線方向に間隔をあけて、
一対の支持体１ａ，１ｂを装着する。支持体１ａ，１ｂ
の対向する表面には、外面歯車２ａ，２ｂが回転自在に
配置される。両側の外面歯車２ａ，２ｂを跨ぐように、
ボールねじ６およびガイドバー８が設けられ、バイトブ
ロック９を周方向および軸線方向に移動させることがで
きる。バイトブロック９は、ばね１１で径方向の内方に
付勢されるバイト１２を保持し、既設管１５の外周面を
切削して、付着物等を除去することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、既設の管に分岐管
やバルブなどを設置する工事を行う際に、管の外周面を
清浄化するための管外面付着物除去装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、一旦敷設工事が完了して、都
市ガスや上水などの供給に使用している既設の管に対し
て、途中に割Ｔ字管などの分岐管やバルブ等を設置する
工事が行われている。分岐管やバルブ等を設置する工事
では、既設管を部分的に切断したり、既設管に穿孔した
りして、分岐用あるいはバルブ設置用の部品を装着し、
装着する部品と既設管の表面との間は気密または液密に
封止する必要がある。

【０００３】既設管は、たとえば鋳鉄製で地中に埋設さ
れていることが多く、管の外周面には錆や土砂などの汚
れが強固に付着していることが多い。割りＴ字管等を既
設管に気密または液密に装着するためには、管の外周面
の付着物を取除かなければならない。管の外周面の付着
物の除去は、スクレーパ、サンダーあるいは金属ブラシ
などを用い、人手をかけて行われている。

【０００４】また、図１１に示すように、既設管５０を
切断し、新たな管５１を接続し、接続部分をスリーブ５
２で覆い、その端面にゴム製シール部材５３を挿入し、
押し輪５４で保持するような工事を行う場合もある。ゴ
ム製シール部材５３による封止の信頼性を高めるために
は、既設管５０の表面を清浄化しておくことが重要であ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来からの管の外周面
の清浄化は、人手によって行っているので、長い時間を
要し、作業コストがかかって能率的ではなく、しかも付
着物をきれいに除去することが困難である。また清浄化
の程度は、作業者の熟練度合によっても変化し、効率よ
く必要最小限に抑えることは困難であり、清浄化が過剰
になれば余分な作業をしたこととなり、清浄化が不足す
れば封止部分の信頼性が低くなってしまう。

【０００６】本発明の目的は、管の外周面に強固に付着
している錆や汚れなどを迅速かつ確実に除去することが
でき、管の外周面の清浄化が可能な管外面付着物除去装
置を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、管の外周面を
切削する切削手段と、切削手段を管の外周面に沿って周
回させる周回機構と、切削手段を管の軸線方向に移動さ
せる移動機構と、管に対して着脱自在で、管の外周面に
装着した状態では、環状の形状を有して周回機構を支持
し、軸線方向に間隔をあけて移動機構を支持する一対の
支持体と、周回機構および移動機構を駆動する駆動手段
とを含むことを特徴とする管外面付着物除去装置であ
る。本発明に従えば、一対の支持体を管の軸線方向に間
隔をあけて管の外周面に装着し、周回機構および移動機
構を駆動手段によって駆動し、切削手段を周回機構で管
の外周面に沿って周回させながら移動機構によって管の
軸線方向に移動させれば、管の外周面を切削して、錆や
汚れなどの付着物を除去することができる。付着物を、
下地となる管の表面と共に切削して除去することができ
るので、強固に付着しているような汚れも充分に除去
し、管に対して行う工事のために必要な表面の清浄化を
迅速に行うことができる。

【０００８】また本発明の前記切削手段は、管の表面を
切削する刃物と、刃物を支持するホルダと、ホルダに支
持されて刃物を管表面に押圧するばねとを含み、前記支
持体は、環状の形状が周方向に２以上の部分に分割さ
れ、各分割部分を一体化して固定する連結機構と、予め
定める外径の範囲内の管に対して、周回機構による切削
手段の周回軌道の同心度を保つように調整可能な調整機
構とを含むことを特徴とする。本発明に従えば、切削手
段は、調整機構によって管の軸に対する同心度を保つよ
うに調整される周回軌道を周回機構によって周回される
ホルダに支持され、ばねで管の外周に押圧される刃物を
含むので、予め定める外径の範囲内の管の外周面を確実
に切削し、付着物を除去することができる。支持体は周
方向に２以上の部分に分割されるので、管の外周面に対
する装着を容易に行うことができる。支持体を管の外周
面に装着した後では、連結機構によって一体化して固定
され、環状の形状となるので、周回機構による切削手段
の周回を連続して行うことができ、付着物の迅速な除去
が可能となる。

【０００９】また本発明の前記周回機構は、前記一対の
支持体の対向する表面側に、管の軸を中心として回転可
能にそれぞれ装着される一対の外面歯車を有し、前記移
動機構は、一対の外面歯車間を連結して前記ホルダに噛
合するボールねじと、ボールねじの軸線方向の一端に設
けられ、外周面に予め定める少数の歯が形成される星形
歯車と、移動体の星形歯車の歯に当接可能な位置に設け
られ、星形歯車を一定の角度ずつ角変位させるキッカと
を有し、前記駆動手段は、前記支持体に保持されるモー
タと、モータの出力軸から回転駆動力を外周面の歯を介
して外面歯車に伝達するための伝達歯車とを有すること
を特徴とする。本発明に従えば、駆動手段のモータ出力
軸から一対の支持体の対向する表面側に配置される一対
の外面歯車を回転駆動し、外面歯車間を連結するように
設けられるボールねじに噛合するホルダに支持される切
削手段を、管の外周に沿って周回させながら、ボールね
じの軸線方向の一端に設けられる星形歯車を、支持体に
設けられるキッカで一定の角度ずつ角変位させ、ホルダ
を軸線方向に一定距離ずつ移動させることができる。１
つのモータからの駆動力で、周回機構と移動機構とを、
同期させて駆動することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１および図２は、本発明の実施
の一形態としての管外面付着物除去装置の概略的な構成
を示す。図１は正面断面図、図２は図１の左側面図をそ
れぞれ示す。一対の支持体１ａ，１ｂは、それぞれ大略
的に円環状であり、軸線方向に間隔をあけて対向する。
支持体１ａ，１ｂの対向する内面側には、一対の外面歯
車２ａ，２ｂが中心軸を支持体１ａ，１ｂと共通にし
て、回転自在に取付けられている。外面歯車２ａ，２ｂ
は、円環状で、外周面に歯が形成される。駆動装置３か
らの駆動力を伝達するために、ドライブ軸４が両側の外
面歯車２ａ，２ｂ間に跨って、回転自在に設けられる。
ドライブ軸４の両端に取付けられる平歯車５ａ，５ｂ
は、外面歯車２ａ，２ｂの外周面の歯と噛合するので、
外面歯車２ａ，２ｂは、駆動装置３によってそれぞれ回
転駆動される。

【００１１】外面歯車２ａ，２ｂの外周寄りの部分に、
両側の外面歯車２ａ，２ｂ間に跨って、ボールねじ６が
回転自在に取付けられる。一方の支持体１ａ側で、ボー
ルねじ６の先端には星形歯車７が取付けられる。両側の
外面歯車２ａ，２ｂ間には、ボールねじ６平行に、一定
の間隔をあけてガイドバー８が設けられる。ガイドバー
８は、バイトブロック９を、軸線方向に案内する。バイ
トブロック９は、ボールねじ６と噛合し、ボールねじ６
が角変位すると、軸線方向に変位する。バイトブロック
９には、バイトホルダ１０が設けられ、ばね１１で押圧
されるバイト１２を支える。

【００１２】外面歯車２ａ，２ｂが回転駆動されると、
両側の外面歯車２ａ，２ｂ間に跨るボールねじ６および
ガイドバー８は、外面歯車２ａ，２ｂとともに周回移動
する。このような周回機構によって、刃物であるバイト
１２もバイトブロック９とともに周回移動する。バイト
１２は、鋳鉄管などを容易に切削することができるよう
に、硬質の材料のものを用いる。ボールねじ６の一端に
星形歯車７が取付けられている側の支持体１ａには、ボ
ールねじ６の周回移動時に星形歯車７の歯と先端が接触
するするキッカ１３が配置される。星形歯車７の歯がキ
ッカ１３の先端と接触すると、ボールねじ６が一定の角
度だけ角変位し、ボールねじ６と噛合しているバイトブ
ロック９が一定のピッチで軸線方向に移動する。このよ
うな移動機構によって、切削手段であるバイトブロック
９に設けられるバイト１２について、周回機構による周
回と同期するように、軸線方向への移動が行われる。

【００１３】支持体１ａ，１ｂには、周方向に間隔をあ
けて、複数、たとえば少なくとも４個の固定ねじ１４が
配置される。各固定ねじ１４は、支持体１ａ，１ｂの径
方向に身体自在であり、先端が既設管１５の外周面に当
接するように調整される。調節機構としての固定１４ね
じの調整によって、外面歯車２ａ，２ｂの回転軸が既設
管１５の中心軸と一致するように、同心度を合わせるこ
とができる。また、仮想的に示すように、固定ねじ１４
を半径方向内方に突出させれば、より外径の小さい管に
対して、支持体１ａ，１ｂを装着することができる。

【００１４】円環状の支持体１ａ，１ｂは、２分割可能
で、既設管１５の径方向の両側から挟むようにして装着
し、それぞれの連結部１６ａ，１６ｂ；１７ａ，１７ｂ
を連結機構であるボルト１８およびナット１９を用い
て、一体化させて円環状にすることができる。ボールね
じ６およびガイドバー８は、バイトブロック９の両側の
部分を、じゃばら２０ａ，２０ｂ；２１ａ，２１ｂでそ
れぞれ覆って、バイト１２による切削屑などが付着する
ことを防ぐ。ボールねじ６やガイドバー８は、グリスや
潤滑油などを塗布して円滑な移動を可能にしているの
で、切削屑や土砂などが付着することがないように覆い
を設ける必要がある。

【００１５】図３は、図１の駆動装置３に関連する構成
を拡大して示す。説明の便宜上、図１に示したじゃばら
２０ａ，２０ｂ；２１ａ，２１ｂは省略する。エアモー
タ２２の出力軸２３に駆動歯車２４が取付けられ、平歯
車５ａを回転駆動する。平歯車５ａは、ドライブ軸４を
回転させ、他方の平歯車５ｂも回転させる。また、平歯
車５ａ，５ｂは、外面歯車２ａ，２ｂにそれぞれ噛合し
ているので、外面歯車２ａ，２ｂも回転駆動される。エ
アモータ２２は、ブラッケット２５によって支持体１ａ
に取付けられる。ドライブ軸４の両端は、支持体１ａ，
１ｂに取付けられる軸受２６によって、回転自在に支持
される。外面歯車２ａ，２ｂは、軸線方向外方の表面
と、径方向内面とが支持体１ａ，１ｂの表面にそれぞれ
接触し、境界面には摺動メタル２７が介在されて、摩擦
を低減させている。他方の支持体１ｂ側で、ボールねじ
６の先端付近に装着されている星形歯車７の歯には、キ
ッカ１３の先端が接触可能である。キッカ１３は、支持
体１ｂに取付けられるキッカホルダ２８によって保持さ
れる。

【００１６】図４は、図１のバイトブロック９に関連す
る構成を拡大して示す。バイト１２は、バイトホルダ１
０に保持され、バイトブロック９の貫通孔２９内を既設
管１５の径方向に摺動変位可能である。バイトホルダ１
０は、ばね１１によって、径方向の内方へ付勢されるの
で、バイト１２の先端は、既設管１５の外周面に押圧さ
れる。この状態で、外面歯車２ａ，２ｂを回転駆動する
と、バイト１２の先端は既設管１５の表面を周方向に切
削する。図３に示すキッカ１３の先端が星形歯車７の歯
に接触すると、ボールねじ６が一定の角度だけ角変位
し、バイトブロック９が軸線方向に一定の距離だけ移動
するので、バイト１２の先端は、既設管１５の表面の別
の部分を切削可能となる。

【００１７】図５および図６は、一方の支持体１ａの正
面断面図および右側面図をそれぞれ示す。図５は、図６
の切断面線Ｖ−Ｖから見た断面に相当する。前述のよう
に、支持体１ａは、２分割可能で、連結部１６ａで２つ
の半支持体３０，３１が連結され、一体化されるると円
環状となる。この内径は、装着する既設管１５の外径よ
り大きい必要がある。各半支持体３０，３１には、外面
歯車が接触する摺動面３２，３３が設けられる。他方の
支持体１ｂも同様の構成を有する。

【００１８】図７および図８は、一方の外面歯車２ａの
正面断面図および右側面図をそれぞれ示す。前述のよう
に外面歯車２ａも円環状であり、２つの半歯車３４，３
５に２分割可能で、連結されると一体化される。図３に
示すように、外面歯車２ａは、支持体１ａの表面と接触
して、摺動メタル２７を介して摺動変位する。このと
き、図５および図６に示す支持体１ａの摺動面３２，３
３と外面歯車２ａの摺動面３６，３７とがそれぞれ摺動
関係にある。

【００１９】図９は星形歯車７、図１０はキッカ１３の
構成をそれぞれ示す。星形歯車７には、平歯車５ａ，５
ｂなどに比較して大型の歯３７が比較的少数個形成され
ている。この歯３７にキッカ１３の先端３８が接触する
と、星形歯車７は次の歯３７の位置まで角変位する。キ
ッカ１３は、図４に示すキッカホルダ２８によって保持
される。

【００２０】以上で説明した実施形態では、支持体１
ａ，１ｂおよび外面歯車２ａ，２ｂを２分割するように
しているけれども、より多数に分割することもできる。
また駆動装置３ではエアモータ２２を用いているけれど
も、電動モータなど、他の動力を用いることもできる。
さらにバイトブロック９およびその移動機構等は、２組
を超える複数であっても、単数であってもよい。

【００２１】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、周回機構
および移動機構を駆動手段によって駆動し、管の外周面
を切削して、錆や汚れなどの付着物を迅速かつ効率的に
除去することができる。下地となる管の表面と共に切削
して除去することができるので、強固に付着しているよ
うな汚れも充分に除去し、管に対して行う工事のために
必要な表面の清浄化を確実に行うことができる。既設管
などに対する工事の前処理を迅速に行うことができるの
で、作業コストを低減することができる。

【００２２】また本発明によれば、切削手段は、調整機
構によって管の軸に対する同心度を保つように調整され
る周回軌道上で、ばねで管の外周に刃物を押圧しなが
ら、予め定める外径の範囲内の管の外周面を確実に切削
し、付着物を除去することができる。支持体は周方向に
２以上の部分に分割されるので、管の外周面に対する装
着を容易に行うことができる。支持体は、連結機構によ
って一体化して固定され、環状の形状となるので、周回
機構による切削手段の周回を連続して行うことができ、
付着物の迅速な除去が可能となる。

【００２３】また本発明によれば、１つのモータからの
駆動力で、周回機構と移動機構とを、同期させて駆動
し、管の外周面を切削手段で迅速に切削し、表面の汚れ
などを充分に除去することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の一形態による管外面付着物除去
装置の正面断面図である。

【図２】図１の実施形態の右側面図である。

【図３】図１の駆動装置３に関連する部分的な断面図で
ある。

【図４】図１のバイトブロック９に関連する部分的な断
面図である。

【図５】図１の支持体１ａの正面断面図である。

【図６】図５の支持体１ａの右側面図である。

【図７】図１の外面歯車２ａの正面断面図である。

【図８】図７の外面歯車２ａの右側面図である。

【図９】図１の実施形態に用いる星形歯車７の平面図で
ある。

【図１０】図１の実施形態に用いるキッカ１３の正面図
である。

【図１１】既設管に対して行われる工事の例を示す簡略
化した断面図である。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ 支持体 ２ａ，２ｂ 外面歯車 ３ 駆動装置 ４ ドライブ軸 ５ａ，５ｂ 平歯車 ６ ボールねじ ７ 星形歯車 ８ ガイドバー ９ バイトブロック １０ バイトホルダ １１ ばね １２ バイト １３ キッカ １４ 固定ねじ １５ 既設管 １６ａ，１６ｂ，１７ａ，１７ｂ 連結部 １８ ボルト １９ ナット ２２ エアモータ ３０，３１ 半支持体 ３４，３５ 半歯車

フロントページの続き (72)発明者 岸野 惣市 大阪府大阪市中央区平野町四丁目１番２号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 今野 克昭 東京都港区新橋２丁目16番の１−701号 ニュー新橋ビル７階706号室 コスモ工機 株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 管の外周面を切削する切削手段と、 切削手段を管の外周面に沿って周回させる周回機構と、 切削手段を管の軸線方向に移動させる移動機構と、 管に対して着脱自在で、管の外周面に装着した状態で
   は、環状の形状を有して周回機構を支持し、軸線方向に
   間隔をあけて移動機構を支持する一対の支持体と、 周回機構および移動機構を駆動する駆動手段とを含むこ
   とを特徴とする管外面付着物除去装置。
2. 【請求項２】 前記切削手段は、管の表面を切削する刃
   物と、刃物を支持するホルダと、ホルダに支持されて刃
   物を管表面に押圧するばねとを含み、 前記支持体は、環状の形状が周方向に２以上の部分に分
   割され、各分割部分を一体化して固定する連結機構と、
   予め定める外径の範囲内の管に対して、周回機構による
   切削手段の周回軌道の同心度を保つように調整可能な調
   整機構とを含むことを特徴とする請求項１記載の管外面
   付着物除去装置。
3. 【請求項３】 前記周回機構は、前記一対の支持体の対
   向する表面側に、管の軸を中心として回転可能にそれぞ
   れ装着される一対の外面歯車を有し、 前記移動機構は、一対の外面歯車間を連結して前記ホル
   ダに噛合するボールねじと、ボールねじの軸線方向の一
   端に設けられ、外周面に予め定める少数の歯が形成され
   る星形歯車と、移動体の星形歯車の歯に当接可能な位置
   に設けられ、星形歯車を一定の角度ずつ角変位させるキ
   ッカとを有し、 前記駆動手段は、前記支持体に保持されるモータと、モ
   ータの出力軸から回転駆動力を外周面の歯を介して外面
   歯車に伝達するための伝達歯車とを有することを特徴と
   する請求項１または２記載の管外面付着物除去装置。