JPH10277718A - 遠心力鋳造用鋳込装置 - Google Patents

遠心力鋳造用鋳込装置

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JPH10277718A
JPH10277718A JP8786897A JP8786897A JPH10277718A JP H10277718 A JPH10277718 A JP H10277718A JP 8786897 A JP8786897 A JP 8786897A JP 8786897 A JP8786897 A JP 8786897A JP H10277718 A JPH10277718 A JP H10277718A
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molten metal
casting
gutter
detecting
gate
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JP8786897A
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Minoru Ozaki
実 尾崎
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Kubota Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶湯鍋4と、その溶湯鍋4から傾注される溶
湯を受け入れるホッパ2とその溶湯を金型21内に導く
樋3とを備えた鋳込樋1とを設け、溶湯鍋4からホッパ
2への溶湯の供給を制御する注湯制御手段13と、金型
21内に樋3を挿入して金型21の一端部側から他端部
側にかけて順次注湯すべく、金型21に対して鋳込樋1
を相対近接離間可能に構成してある相対駆動機構6とを
設けてある遠心力鋳造用鋳込装置において、鋳込む金属
の条件に影響されることなく湯口を的確な時期に移動開
始させることを可能とする。 【解決手段】 樋3の湯口部3bに、湯道3aから金型
21内に鋳込まれる溶湯の出湯を検出可能な溶湯検出手
段10を設けてある。尚、湯口部3bに設けた湯道3a
からの溶湯を検出可能な検出端11と、検出端11から
の情報伝達路12を溶湯検出手段10の検出部10aに
回路接続してあればなおよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遠心力鋳造用鋳込
装置に関し、詳しくは、溶湯鍋を設けるとともに、その
溶湯鍋から傾注される溶湯を受け入れるホッパとその溶
湯を金型内に導く樋とを備えた鋳込樋を設け、前記溶湯
鍋から前記ホッパへの溶湯の供給を制御する注湯制御手
段と、横軸芯周りに回転駆動される前記金型内に前記樋
を挿入して前記金型の一端部側から他端部側にかけて順
次注湯すべく、前記金型に対して前記鋳込樋を相対近接
離間可能に構成してある相対駆動機構とを設けてある遠
心力鋳造用鋳込装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複層管を製造する遠心力鋳造用鋳
込装置においては、図4に示すように、回転可能に支持
され、かつ、回転駆動される金型21に中空円板状の堰
22A,22Bを夫々その一端部及び他端部に各別に設
け、その金型21の他端側の堰22Bの円形の開口部で
ある鋳込口22a近傍より一方の鋳込樋1の湯口3cを
前記金型21内に臨ませ、金型21の他端側から注湯し
て金型21内に外層金属溶湯を鋳込んで前記金型21の
一端側にまで湯を供給して凝固させ、外層金属C 1 を形
成した後、引き続きその金型21の一端側の堰22Aの
円形の開口部である鋳込口22a近傍より他方の鋳込樋
1の湯口3cを前記金型21内に臨ませ、金型21の一
端側から注湯して他端側にまで溶湯を供給して内層金属
溶湯Mを鋳込むことが行われている。この内層金属溶湯
Mを鋳込む時期を調節するために、外層金属溶湯の凝固
後の外層金属C1 の内表面温度を赤外線温度計30で測
定している。しかし、こうした上記図4に示したような
従来の遠心力鋳造用鋳込装置を用いて複層管を鋳造する
にあたっては後述の問題があり、この問題解決のため
に、発明者らは先に複層管の遠心力鋳造方法及び、例え
ば図5、図6に示すような構成の遠心力鋳造装置を提案
した(特願平7−72716号)。
【0003】前記鋳造方法は、所謂ドラボー鋳造法によ
るもにであり、外層金属溶湯を鋳込んだ後に、金型を湯
元側を低く傾斜させて回転させながら、内層金属溶湯M
を、前記外層金属溶湯の凝固後の外層金属C1 の内側
に、前記湯元側から順次湯先側に向けて湯口を移動させ
ながら鋳込む方法であり、注湯する溶湯に湯流れを起こ
させないで鋳込む点に特徴を有するものであり、さら
に、前記内層金属溶湯Mを鋳込む時期の、前記外層金属
1 の内表面温度Tiを、特定の条件が満たされるよう
にした点に特徴を有するものである。前記湯流れを阻止
することによって、外層金属C1 の内面の内層金属溶湯
Mによる所謂 "洗われ" を防止し、前記内表面温度Ti
を所要条件に維持しながら内層金属溶湯Mを注湯するこ
とによって、外層金属C1 と内層金属C2 との境界部に
所謂 "剥がれ" や所謂 "巻き込み" 等の欠陥を生ずるこ
とを防止する点にある。これに適した遠心力鋳造装置
は、例えば図5及び図6に示すような構成のものであ
る。
【0004】詳しく説明すると、図5(イ)は発明者ら
の提案した複層管の遠心力鋳造装置の側面図であり、は
外層金属溶湯の鋳込位置の状態を示し、図5(ロ)は内
層金属溶湯の鋳込位置の状態を示し、図6は図5に対応
する要部の平面図である。上記遠心力鋳造装置は、内層
金属溶湯に対しては、鋳型として機能する金型内の外層
金属の内表面を保護して、外層金属と内層金属とをその
境界部で一体化させることを目的とするもので、鋳込ん
だ溶湯が先に鋳込んである外層金属の内面に沿って流動
することを避けるために、内層金属溶湯の湯足に合わせ
て鋳込位置を移動させるものである。そのために、内層
金属溶湯の鋳込みに際しては、金型を傾斜させるように
してある。つまり、上下揺動支持装置26の支持体27
が、その一端部に設けられた枢支部26aでその他端部
側を上下揺動可能に支持脚26bに枢支されている。こ
の支持体27を上下揺動可能に枢支するエアシリンダを
備えた昇降駆動装置28を設けてあり、前記支持体27
と前記枢支部26aおよび前記支持脚26bとで前記上
下揺動支持装置26を構成している。この支持体27上
に金型21を回転可能に支持する回転支持装置23が設
置されており、前記支持体27の上面が水平に位置する
上昇端位置を支持装置26の外層鋳込位置とし、前記支
持体27の下降端位置を支持装置26の内層鋳込位置と
してあり、この内層鋳込位置では、前記支持体27はそ
の一端側から他端側に向けて例えば3〜7°の傾斜角の
下り勾配を持って傾斜するようにしてある。
【0005】回転支持装置23は2基の回転支持台24
により構成され、一方の回転支持台24は前記支持体2
7の一端寄りに設けられ、他方の回転支持台24は前記
支持体27の他端寄りに設けられている。この回転支持
台24には各一対のローラ24aが並列軸支されてお
り、他方の回転支持台24の一方のローラ24aの軸を
延長した延長軸には、そのローラ24aを回転駆動する
ための従動側プーリ25bを取り付けてあり、その上に
支持する金型21を回転駆動する際に、載置される金型
21の外周に設けられた溝3cに嵌まり込むように構成
してある。そして、前記従動側プーリ25bをを介して
ローラ24aを回転駆動するために、回転駆動機構25
が設けられており、その駆動側プーリ25aと前記従動
側プーリ25bとに亘って駆動ベルト25cが掛け渡さ
れている。
【0006】前記支持体27の両側に鋳込装置10が設
けられており、他端側には外層金属溶湯を鋳込む第一鋳
込装置10Aの鋳込樋1Aを支持する支持装置5Aが固
定されており、一端側には内層金属溶湯Mを鋳込むため
の第二鋳込装置10Bの支持装置5Bが設けられてい
る。
【0007】前記支持装置5Aは、内層金属溶湯Mを外
層金属の内表面上に鋳込む際に、鋳込位置を移動させる
ための相対駆動機構6Aを備え、前記第一鋳込装置10
Aの鋳込樋1Aを支持する支持体5aを、回転支持装置
23に対してその回転軸芯方向に近接離間可能にエアシ
リンダによって移動させるように構成してある。前記支
持体5aは、水平に設置されたレール6a上に前後移動
可能に設けられている。さらにこの支持体5aに、前記
鋳込樋1Aのホッパ2に給湯するための溶湯鍋4Aを、
傾動可能に枢支して設けてある。この溶湯鍋4Aは、前
記支持体5aに一端部を枢支された傾動機構4aを備
え、貯湯部4bを、この傾動機構4aのエアシリンダを
定速駆動することによって傾動して定量給湯できるよう
に構成してある。
【0008】また、前記支持体27の一端側には、床面
から前記支持体27の下方に向けて傾斜した傾斜レール
が設けられており、前記第二鋳込装置10Bの支持装置
5Bが、相対駆動機構6Aによってこの傾斜レール上に
前後移動させるように配置されている。前記第二鋳込装
置10Bの鋳込樋1Bの湯口部3bを、前記内層鋳込位
置にある回転支持装置23に載置される金型21の一端
側の鋳込口22aからその金型21の他端側の鋳込口2
2a部まで挿入し、内層金属溶湯Mを鋳込みながら引き
戻してその一端側の鋳込口22aから引き出すように、
前記支持装置5Bの支持体5aを前後移動可能な駆動車
輪6bを介して前記支持体5aを前記レール6a上に載
置してある。前記鋳込樋1Bの湯口部3bは、前記支持
体5aを上下移動させて高さを調節するようにしてあ
る。さらに、この支持体5aにはこの鋳込樋1Bのホッ
パ2に給湯するための溶湯鍋4Bを傾動可能に枢支して
あり、この溶湯鍋4Bも、前記第一鋳込装置10Aと同
様に、これを傾動させるための傾動機構4aと、この傾
動機構4aのエアシリンダを定速駆動することにより定
量給湯できるように構成してある貯湯部4bを備えてい
る。前記傾斜レールは、前記支持体27の内層鋳込位置
での前記金型21の勾配に等しく傾斜角を例えば3〜7
°にして傾斜勾配を合わせてある。
【0009】さらに、前記溶湯鍋4Bに給湯するための
給湯鍋29を、エアシリンダを備えた傾動機構により傾
動可能に設けてある。前記支持装置29aは同期モータ
によって駆動される駆動車輪を有して前記支持装置5B
に対して近接離間可能にレール29b上に支持されてお
り、前記給湯鍋29を前記第二鋳込装置10Bに近接移
動させ、傾動して前記溶湯鍋4Bに給湯できるように構
成してある。
【0010】鋳込装置10の鋳込樋1は、樋3の基端部
をホッパ2に嵌設されており、先端部には湯口部3bを
嵌挿して構成してある。その樋3の基端部から湯口部3
bにかけて、その断面円形状の湯道3aが、上方が開口
角90°にわたって切り欠かれて開放型に形成されて、
その湯口3cは金型21の下側の回転接線方向に向け
て、樋3の軸芯方向に対して30°の角度に偏向して前
記湯口部3bの側面に形成されている。前記鋳込樋1B
はこのホッパ2部で前記支持体5aに取り付けられてい
る。
【0011】第一鋳込装置10Aは前記鋳込装置10の
構成を説明したように構成してあり、その備える鋳込樋
1Aは、樋3の長さを、その回転支持装置23への最近
接点においてその先端の湯口部3bを金型21の他端部
の鋳込口22aから金型21内に臨ませるに適した長さ
に形成してある。
【0012】第二鋳込装置10Bも前記第一鋳込装置1
0Aと構成はほぼ同様であるが、載置されるレール6a
が傾斜しており、備える鋳込樋1Bは、樋3の長さを長
く構成して、3分割し、順次嵌着して一体に構成してあ
る。こうして、この鋳込樋1Bの樋3は、その回転支持
装置23への最近接点において、その先端の湯口部3b
を金型21の一端から挿入して他端部に達する長さに、
金型21の長さに適合する長さに変更可能に形成してあ
る。
【0013】後者の遠心力鋳造装置による複層管の遠心
力鋳造方法においては、以下のような工程で複層管が鋳
造される。つまり、金型21の予熱が終わると、回転支
持装置23を回転駆動機構25によって前記延長軸を設
けたローラ24aを回転駆動して金型21を回転させ
る。この金型回転速度は鋳込まれた溶湯に加わる遠心力
場が100〜150Gになるように鋳込金属材料に適合
するように設定される。金型21の回転速度が安定した
ところで第一鋳込装置20Aの支持体5aを前進移動
し、図5に示すように、湯口部3bを支持装置5Aに備
えた高さ調節装置によりその高さを合わせつつ金型21
の他端に取り付けた堰22Aの鋳込口22aから金型2
1内に臨ませ、外層金属溶湯を溶湯鍋4Aの貯湯部4b
に供給し、前記溶湯鍋4Aの傾動機構4aを操作して金
型21内に所定量注湯する。
【0014】外層金属溶湯の注湯が終わったところで、
支持体5aを後退させ、昇降駆動装置28を操作して、
上下揺動支持装置26の支持体27を揺動下降させ、内
層鋳込位置に位置させる。外層金属C1 が形成される
と、第二鋳込装置20Bの鋳込樋1Bの湯口部3bの高
さを金型21の位置に合わせ、相対駆動機構6の駆動車
輪6bを駆動して支持装置5Bを前進移動させて、前記
鋳込樋1Bの樋3を金型21の一端部に設けられた堰2
2Bの鋳込口22aから挿入し、第二鋳込装置20Bを
回転支持装置23に向けて近接移動させ、湯口部3bを
金型21の他端部の堰22Aに近接させて位置させる。
その後、第二鋳込装置20Bの鋳込樋1Bの溶湯鍋4B
に給湯可能な位置に給湯鍋29を移動させ、給湯鍋29
を傾動させて、所定量の内層金属溶湯Mを溶湯鍋4Bに
給湯しておく。
【0015】前記外層金属溶湯の凝固した外層金属C1
の内表面温度Tiを赤外線式表面温度計30によって測
定し、外層金属材料の凝固温度Tsから予め実験によっ
て求めて設定されている設定温度差ΔT(例えばΔTは
200〜300℃の範囲内に設定される。)だけ温度降
下したところ、即ち、外層金属C1 の内表面温度Tiが
所定温度〔Ti=Ts−ΔT〕に達したところで、傾動
機構4aを操作して鋳込樋1Bのホッパ2に所定鋳込速
度で注湯しつつ、駆動車輪6bを駆動して支持装置5B
を金型21から離間する方向に予め設定された移動速度
で後退させ、湯口3cを前記金型21の一端側に移動さ
せつつ注湯して内層金属溶湯Mを鋳込む。前記内層金属
溶湯Mの鋳込温度は、その凝固温度よりも150〜25
0℃高い温度とする。湯口3cが金型21の一端側の鋳
込口22a部に達したところで注湯は終了する。内層金
属溶湯Mが凝固して内層金属C2 が形成されると複層遠
心鋳造管の鋳造を終わる。
【0016】尚、前記内表面温度Tiが外層金属C1
凝固温度Tsから前記設定温度差ΔTよりも大きく温度
低下した場合、つまり内層金属溶湯Mの鋳込み時の前記
内表面温度Tiが好適な温度範囲よりも低い場合には、
外層金属C1 と内層金属C2との境界部に融合不良を招
き、所謂"剥がれ"を生ずるようになり、温度低下が前記
設定温度差ΔTに至らない場合、つまり内層金属溶湯M
の鋳込み時の前記内表面温度Tiが好適な温度範囲より
も高い場合には、鋳型を形成する外層金属C1の温度が
高すぎることから、内層金属溶湯Mの冷却速度を低下さ
せるので、樹枝状結晶の粗大化を招き、その樹枝状結晶
間の空間内の溶湯の鋳引けのために、所謂"引け巣"を生
成しやすくなる。
【0017】上記内層金属溶湯Mの鋳込みは、例えば図
7及び図8に示すフローチャートに示した手順に基づい
て行われる。外層金属溶湯を鋳込んだ後、予め給湯鍋2
9に溶解炉から移し湯〈ステップ#1〉し、分析試料の
採取等の後、溶湯の温度を検出〈ステップ#2〉し、所
定温度に保温しながら〈ステップ#2,ステップ#
3〉、相対駆動機構6の駆動車輪6aを駆動して前記第
二鋳込み装置20Bの支持装置5Aを金型21に向けて
レール6aに沿って前進して、鋳込樋1Bの湯口3c
を、前記金型21内に一端側から他端側の所定位置にま
で挿入する。鋳込樋1Bの湯口3cを所定の鋳込み開始
点に位置させるように移動し〈ステップ#4〉、給湯鍋
29の支持装置29aをレール29b上を移動させ〈ス
テップ#5〉て、第二鋳込み装置20Bの溶湯鍋4Bに
所定量の溶湯を注湯しておく〈ステップ#6〉。その
後、外層金属C2 の内表面温度Tiを検出し〈ステップ
#7〉て、前記内表面温度Tiが所定温度に達したとこ
ろで〈ステップ#7,ステップ#8〉前記溶湯鍋4Bの
傾動を開始して内層金属溶湯Mをホッパ2内に給湯する
〈ステップ#9〉。ここで鋳込タイマーと傾動タイマー
とを同時にスタートさせ〈ステップ#10,ステップ#
11〉、前記鋳込タイマーのタイムアップとともに〈ス
テップ#12〉前記支持装置5Aの後退を開始し、所定
速度で前記金型21の一端側の所定位置まで後退させな
がら、前記外層金属C2 の内表面に沿って前記内層金属
溶湯Mを鋳湯する〈ステップ#13〉。前記傾動タイマ
ーのタイムアップ(例えば17.6秒経過)とともに
〈ステップ#14〉、前記溶湯鍋4Bの傾動と前記支持
装置5Aの後退を停止〈ステップ#15,ステップ#1
6〉するとともに垂れ切りタイマーをスタートさせる
〈ステップ#17〉。前記垂れ切りタイマーのタイムア
ップ(前記内層金属溶湯Mの完全流出、例えば10秒)
を待って〈ステップ#18〉、前記支持装置5Aをさら
に後退させ、鋳込樋1Bの樋3を前記金型21から抜き
出す〈ステップ#19〉。前記鋳込タイマーの設定時間
は、溶湯鍋4Aの傾動開始の後溶湯がホッパ2に注入さ
れるまでの時間(溶湯鍋空動時間、例えば2.3秒)
と、溶湯が湯道3aを通過するのに要する時間(鋳込樋
通過時間、例えば4.5秒)と、鋳込開始時に湯口3c
から金型21の他端側に溶湯を必要量供給するに要する
時間(先端部補給時間、例えば1.4秒)の合計時間
(上記例によれば8.2秒)を設定してある。前記支持
装置5Bの移動開始時期は重要で、これが遅れると、湯
元(金型21の一端側端部)における鋳湯過剰が原因
で、湯元側から湯先側(金型21の他端側)への溶湯の
流動を招き、早過ぎると、前記湯元における注湯量の不
足により、湯元側(この場合は湯口3cの位置)から前
記金型21の一端側への溶湯の流動を招くことになる。
また、鋳湯中の溶湯の流動を抑制するために、前記支持
装置5Bの移動速度、つまり、湯口3cの移動速度は、
前記湯口3cから注湯される内層金属溶湯Mの湯足(湯
が湯先側、つまり、金型21の一端側へ向かって流れ出
そうとする速度)に合わせてある。前記傾動タイマーの
設定時間は鋳込速度と鋳込量とに基づいて設定する。前
記垂れ切りタイマーは、湯道3a内に残留する金属溶湯
が湯口3cから滴下して完全に流出するに要する時間を
与えるためのものである。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかし、こうした上記
従来の図4に示したような遠心力鋳造用鋳込装置を用い
て複層管を鋳造する場合には、前記外層金属C1 の内表
面上に金型21の一端側から内層金属溶湯Mを鋳込んで
前記金型21の他端側に溶湯を供給するので、前記内層
金属溶湯Mの流動によって前記外層金属C1 の内表面が
洗われて前記外層金属C1 と内層金属C1 との境界部に
過剰の溶け込みが起こり、また、前記内表面温度が所定
の温度範囲よりも低い場合には、前記内表面と前記内層
金属溶湯Mの凝固後の内層金属C2 との間の境界部に融
合不良が起こって、前記外層金属C 1 と前記内層金属C
2 との間の境界部に鋳造欠陥が生じやすいという問題が
あった。
【0019】そこで、発明者らは上記図5及び図6に示
すような構成の遠心力鋳造装置を提案したが、この遠心
力鋳造装置においては、上記の条件が満たされれば良好
な複層管を鋳造できるのであるが、先述のように、複層
管の内層金属溶湯を鋳込む際に溶湯の流動を極力抑制す
ることがより好ましく、このためには、内層金属C2
鋳込む際の、湯口3cの移動開始の好適な時期を的確に
把握できることが好ましいが、前記湯口3cからの内層
金属溶湯Mの出湯を直接検知するようにはしていないか
ら、溶湯鍋4の傾動開始後の支持装置5Bの後退開始時
期を、鋳込タイマーにより設定しており、鋳込む金属の
材質毎に設定時間を前記鋳込タイマーに設定しなければ
ならず、この設定時間が適正に設定されないと、内層金
属溶湯の鋳込開始時の前記内層金属溶湯Mの流動を確実
に抑制することが困難であるという問題が残存してい
た。
【0020】そこで、本発明の遠心力鋳造用鋳込装置
は、上記の問題点を解決し、内層金属溶湯を鋳込む際の
湯口からの出湯を検知する手段を設けることにより、鋳
込む金属の条件に影響されることなく湯口を的確な時期
に移動開始させることを可能とする手段を提供すること
を目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
〔遠心力鋳造用鋳込装置の特徴構成〕上記の目的のため
の本発明の遠心力鋳造用鋳込装置は、請求項1に記載の
如く、樋の湯口部に、前記樋の湯道から金型内に鋳込ま
れる溶湯の湯口からの出湯を検出可能な溶湯検出手段を
設けてある点にある(第1特徴構成)。前記溶湯検出手
段は、例えば湯口部の湯道に対極を配置して静電容量を
検出する静電容量検出手段であってもよく、また、湯口
部に設けた電流を導通可能なコイルであってもよく、さ
らに、樋の湯口に揺動可能に上方から懸垂された、出湯
される溶湯に接触可能な揺動体であってもよく、溶湯検
出手段を前記揺動体の揺動を検出する手段であってもよ
い。また、樋に沿って、湯口からの溶湯の経路を横切っ
て投光する光源部と、前記光源部からの光を受光する受
光部とを備えた光検知手段を備えた溶湯検出手段を設け
てあってもよい。尚、請求項2に記載の如く、前記第1
特徴構成における溶湯検出手段を、樋の湯口部に、前記
樋の湯道から金型内に鋳込まれる溶湯を検出可能な検出
端を設けるとともに、前記検出端からの情報伝達路を前
記溶湯検出手段の検出部に回路接続して、前記検出端に
よって前記湯口部を経て出湯される溶湯を検出可能に構
成して(第2特徴構成)あればよく、例えば、検出端と
して湯口部に、湯口に臨ませて、出湯される溶湯からの
熱を検知する熱電対を配置してあってもよく、湯口部に
湯道を包囲して配置した検出コイルを設け、樋に湯道を
包囲して交番電流を通電可能な一次コイルを配置して、
前記一次コイルに交番電流を通電しながら、湯道に溶湯
を流せば、前記湯道に流れる溶湯に誘導電場が生じるの
で、前記検出コイルに誘起される二次誘導電流を検出す
るように溶湯検出手段を構成してもよい。また、請求項
3に記載の如く、前記第2特徴構成における検出端が、
前記湯口からの溶湯に対して接触可能に、前記湯口に開
路状態で設けられた一対の電気接点であり、前記情報伝
達路が電線路であっても(第3特徴構成)よく、前記電
気接点は、タングステン線、グラファイト棒等が好適に
使用される。前記電線路は、樋の湯道を形成する耐火断
熱材中に埋設してあってもよく、前記耐火断熱材と鉄皮
との間に電気絶縁を施して介装してあってもよい。ま
た、請求項4に記載の如く、前記第1特徴構成〜第3特
徴構成の何れかの特徴構成における溶湯検出手段からの
溶湯の検出結果に基づき、前記相対駆動機構の駆動を制
御可能に前記注湯制御手段を構成して(第4特徴構成)
あればさらによい。
【0022】〔遠心力鋳造用鋳込装置の特徴構成の作用
効果〕上記第1特徴構成のように構成すれば、金型内
で、外層金属の内側に注湯される内層金属溶湯の湯流れ
を抑制することが可能となる。つまり、溶湯検出手段に
よって湯口からの出湯を検知できるので、湯口を出湯に
合わせて移動開始することが可能となるから、内層金属
溶湯の湯足に合わせた移動速度で湯口を移動させること
により、鋳込んだ内層金属溶湯が金型内でその長手方向
に流動することを阻止できるようになる。例えば上記の
ように静電容量検出手段を設けてあれば、湯口部の湯道
に溶湯が流れれば、前記湯道の静電容量が変化するの
で、その変化を検出することによって出湯を検知するこ
とが可能であり、コイルを湯口部に配置してあれば、前
記コイルに交番電圧を印加しておけば、湯口部の湯道に
溶湯が流れることによってインピーダンスが変化するの
で、そのインピーダンスの変化を検出することによって
出湯を検知することが可能であり、さらに、揺動体を湯
口に設けてあれば、出湯される溶湯に前記揺動体が接触
すれば、前記溶湯に弾かれて揺動するので、この揺動を
検知する手段を設けてあれば、出湯を検知できるので、
その検知とともに鋳込樋の移動を開始すればよいのであ
る。また、上記のように光検知手段を設けてあれば、出
湯と同時に光源部からの光が溶湯によって遮られて受光
部に達しなくなるので、前記光検知手段で光を検知しな
くなるのに伴って鋳込樋の移動を開始すればよいのであ
る。
【0023】尚、前記第2特徴構成のように構成すれ
ば、湯口部に検出端を設けてあるので、溶湯検出手段の
保守が容易となる。例えば、湯道を包囲する一次コイル
と検出コイルとを配置した場合には、溶湯によって両コ
イルを層ご誘導により結合できるので、検出コイルの電
流を検出して鋳込樋の移動を開始するようにすればよ
く、熱電対を湯口に臨ませて配置し、前記出湯される溶
湯に接触しないように配置しておけば、前記検出端とし
ての熱電対の損耗を抑制でき、前記熱電対の検出する温
度が、出湯と同時に急上昇するので、この検出温度の急
変を検知したときに鋳込樋の移動を開始すればよい。ま
た、前記第3特徴構成のように構成すれば、開路状態の
電気接点間が出湯される溶湯によって閉路されるので、
前記電線路の導通を溶湯検出手段の検出部で検知して鋳
込樋の移動を開始すればよいのである。さらに、前記第
4特徴構成のように構成すれば、鋳込樋の移動を自動化
することが可能である。
【0024】その結果、外層金属の内表面上に内層金属
溶湯を置くように鋳込めるので、外層金属と内層金属と
の境界部における欠陥の発生を防止できるようになる。
【0025】〔鋳込樋の特徴構成〕次に、上記の目的の
ための本発明の遠心力鋳造用鋳込樋は、請求項5に記載
の如く、樋の湯口部に、前記樋の湯道から前記金型内に
鋳込まれる溶湯を検知可能な検出端を設けるとともに、
前記検出端からの情報伝達路を検出部に回路接続してあ
る溶湯検出手段を設けて、前記検出端で前記溶湯を検知
することにより、前記湯口部を経て注湯される溶湯を検
出可能に構成してある(第5特徴構成)点にある。例え
ば検出端で湯口から出湯される溶湯の光を検出し、検出
した光を受光部を備えた検出部に伝達する光路を情報伝
達路としてあってもよい。また、請求項6に記載の如
く、前記第5特徴構成における検出端を、前記湯口部を
経て出湯される溶湯を通ずる電流を検出する検出電極で
構成し、情報伝達路を、前記検出電極と前記検出部とを
電気接続する電線路で構成して、前記検出電極を経て出
湯される溶湯を経由する電流を検出することにより、前
記湯口部を経て出湯される溶湯を検出可能に構成して
(第6特徴構成)あればよく、例えば、信号電圧を検出
する一方の電極として検出電極を湯口に近接して配置
し、信号電圧を印加する他方の電極を溶湯鍋の溶湯収容
空間に近接して配置し、高周波電圧を信号電圧として、
前記検出電圧で検出するように溶湯検出手段を構成して
あってもよい。さらに、請求項7に記載の如く、前記第
6特徴構成における検出電極が、湯口からの溶湯に対し
て接触可能に、前記湯口に開路状態で設けられた一対の
電気接点であってもよく(第7特徴構成)、この電気接
点にはタングステン電極が好適で、基端部を黒鉛製のプ
ラグで構成しておけば、この検出電極を着脱自在に構成
することが可能である。
【0026】〔鋳込樋の特徴構成の作用効果〕上記第5
特徴構成のように構成すれば、鋳込樋自身で出湯を検出
することが可能になり、付帯設備を必要としないように
できる。従って、この鋳込樋を備える鋳込装置の制御が
容易になり、金型内で、外層金属の内側に注湯される内
層金属溶湯の湯流れを抑制することが可能となる。つま
り、溶湯検出手段によって湯口からの出湯を検知できる
ので、湯口を出湯に合わせて、この鋳込樋を備える鋳込
装置の移動開始することが可能となるから、内層金属溶
湯の湯足に合わせた移動速度で湯口を移動させることが
可能で、鋳込んだ内層金属溶湯が金型内でその長手方向
に流動することを阻止できるようになる。例えば検出端
で出湯される溶湯の光を検出するようにすれば、溶湯自
身を直接検出することになり、確実に出湯を検知できる
ようになる。
【0027】前記第6特徴構成のように構成することに
より、鋳込樋自身で出湯を検出することが可能になり、
付帯設備を必要としないようにできると同時に、電気的
に検出するので、例えばこの鋳込樋を備える鋳込装置の
制御回路に直接入力することが可能になり、簡単な構成
で鋳込み装置の駆動制御手段を構成することが可能とな
る。
【0028】前記第7特徴構成のように構成すれば、直
流電圧を印加して出湯を検出することが可能であり、雑
音を排除しやすくなる。さらに、前記検出電極を着脱自
在に構成しておけば、検出電極の保守が極めて容易とな
る。
【0029】その結果、本発明の鋳込樋を鋳込装置に備
えさせれば、外層金属の内表面上に内層金属溶湯を置く
ように鋳込めるので、外層金属と内層金属との境界部に
おける欠陥の発生を防止できるようになる。
【0030】
【発明の実施の形態】上記本発明の遠心力鋳造用鋳込装
置並びにその鋳込樋の実施の形態の一例について、以下
に、図面を参照しながら説明する。尚、前記従来の技術
において説明した要素と同じ要素並びに同等の機能を有
する要素に関しては、先の図4乃至図6に付したと同一
の符号を付し、詳細の説明の一部は省略する。
【0031】本発明の遠心鋳造用鋳込装置の鋳込樋1
は、図1に示すように、樋3の基端部が溶湯を受けるホ
ッパ2に嵌設されており、先端部には湯口部3bが嵌挿
されて構成されている。この鋳込樋1は、このホッパ2
部で鋳込樋1を支持する支持装置5の支持体5aに取り
付けられており、その湯口部3bの湯口3cは、金型2
1の下側の回転接線方向に向けて樋3の軸芯方向に対し
て30°の角度に偏向して形成されている。そして、図
2に示すように、前記樋3には基端部から前記湯口部3
bにかけて、その断面円形状の湯道3aが、上方が開口
角90°にわたって切り欠かれて開放型に形成されてい
る。さらに、前記湯口3cからの出湯を検出する溶湯検
出手段10として、前記湯口部3bの湯口3cの上方に
は、一対の検出電極11Aを装着する黒鉛製の一対のソ
ケット32,32を、夫々前記湯口部3bを嵌挿した樋
3の湯道3aを形成する耐熱性耐火物であるシャモット
の外表面部に埋設するとともに、前記シャモット中に電
気絶縁を施して埋設してある電線路12Aに電気接続し
てあり、前記シャモットには、これを保護するために鉄
皮3dを施してある。
【0032】前記検出電極11Aは、タングステン線で
湾曲形成された電気接点31と、前記電気接点31の基
端部を覆う黒鉛で形成されたプラグ31aを嵌着固定し
て電気接続する前記ソケット32とからなり、前記電気
接点31を交換可能に構成してある。前記電気接点31
は、プラグ31aを前記ソケット32に嵌着するのに、
下方にその先端部を向けて、前記湯口3cから出湯され
る溶湯の流路内に前記先端部が位置するように固定され
る。そして、前記電気接点31の短絡を検知して、前記
湯口3cからの溶湯の出湯を検出する溶湯検出手段10
の検出部10aに、前記電気接点31からの検出情報を
伝達する、情報伝達路12としての電線路12aを接続
してある。
【0033】遠心鋳造用鋳込装置には、図1に示すよう
に、第二鋳込装置20Bに本発明の鋳込樋1を備えてお
り、鋳込樋1Bの樋3に備える湯口部3bに設けた一対
の電気接点31を用いた検出端11を、溶湯検出手段1
0の検出部10aに、電線路12Aからなる情報伝達路
12を用いて回路接続してある。前記電気接点31は開
路状態で前記湯口部3bの湯口3cに臨ませて配置して
あり、溶湯が湯口3cから出湯されると、両電気接点3
1,31の先端部が出湯される溶湯に接して、前記両電
気接点31,31間は溶湯によって短絡される。この両
電気接点31,31間の回路の開閉を前記検出部10a
で検出するようにしてある。
【0034】さらに、前記第二鋳込装置20Bの支持装
置5Bを前進後退制御可能な、その支持装置5Bを前進
後退駆動するための相対駆動機構6の駆動車輪6bの駆
動速度を制御可能に構成された注湯制御手段13を設け
てあり、前記溶湯検出手段10の検出結果に基づく注湯
制御を可能にするように構成されている。つまり、湯口
3cからの出湯の検知の後に、先述の先端部補給時間だ
け遅らせて前記相対駆動機構6の後退駆動を開始させる
ようにしてある。従って、従来備えていた鋳込タイマー
のタイムアップによる後退時期の設定に代えて前記溶湯
検出手段10の検出結果に基づいて鋳込樋1Bの後退時
期を決定するようにしたものであり、前記後退時期のず
れを防止できるものである。その結果、内層金属溶湯M
の鋳込開始時期における流動を抑制することが容易とな
った。つまり、推定時間を設定するのは上記先端補給時
間のみであるからである。
【0035】上記本発明による遠心力鋳造用鋳込装置又
は遠心力鋳造用鋳込樋を用いた複層管の鋳造の内層の鋳
込みは、例えば図3に示すフローチャートに示した手順
に基づいて行われる。尚、図3においては、従来と同様
の手順は省略して記述してある。外層金属溶湯を鋳込ん
だ後、予め溶解炉から移し湯し、分析試料の採取等の
後、所定温度に保温しながら貯湯している給湯鍋29
を、相対駆動機構6の駆動車輪6aを駆動して前記第二
鋳込み装置20Bの支持装置5Aを金型21に向けてレ
ール6aに沿って前進して、鋳込樋1Bの湯口3cを、
前記金型21内に一端側から他端側の所定位置にまで挿
入する。鋳込樋1Bの湯口3cを所定の鋳込み開始点に
位置させるように移動し、給湯鍋29の支持装置29a
をレール29b上を移動させ〈ステップ#1〉て、第二
鋳込み装置20Bの溶湯鍋4Bに所定量の溶湯を注湯し
ておく〈ステップ#2〉。その後、外層金属C2 の内表
面温度Tiを検出し〈ステップ#3〉て、前記内表面温
度Tiが所定温度に達したところで〈ステップ#3,ス
テップ#4〉前記溶湯鍋4Bの傾動を開始して内層金属
溶湯Mをホッパ2内に給湯する〈ステップ#5〉と同時
に、傾動タイマーをスタートする〈ステップ#6〉。鋳
込樋1Bの湯口3cに設けた検出端11で内層金属溶湯
Mの出湯を検出したことを溶湯検出手段10の検出部1
0aで検知すると〈ステップ#7〉、補給時間タイマー
をスタートする〈ステップ#8〉。前記補給時間タイマ
ーのタイムアップ(例えば1.4秒経過)とともに〈ス
テップ#9〉前記支持装置5Aの後退を開始し、所定速
度で前記金型21の一端側の所定位置まで後退させなが
ら、前記外層金属C2 の内表面に沿って前記内層金属溶
湯Mを鋳湯する〈ステップ#10〉。前記傾動タイマー
のタイムアップ(例えば17.6秒経過)とともに〈ス
テップ#11〉、前記溶湯鍋4Bの傾動と前記支持装置
5Aの後退を停止〈ステップ#12,ステップ#13〉
し、その後前記支持装置5Aをさらに後退させ、鋳込樋
1Bの樋3を前記金型21から抜き出して、第二鋳込装
置20Bを退避させる〈ステップ#14〉。以上のよう
に、溶湯鍋4Aの傾動開始の後溶湯がホッパ2に注入さ
れるまでの時間(溶湯鍋空動時間、例えば2.3秒)
と、溶湯が湯道3aを通過するのに要する時間(鋳込樋
通過時間、例えば4.5秒)とは、設定することなく、
出湯を検知することによって正確に時期を捉えることが
可能になり、鋳込開始時に湯口3cから金型21の他端
側に溶湯を必要量供給するに要する時間(先端部補給時
間、例えば1.4秒)のみを前記補給時間タイマーで設
定してある。先述のように前記支持装置5Bの移動開始
時期は重要で、従来タイマー設定していた推定時間(例
えば17.4秒)を、先端部補給時間のみをタイマー設
定すればよく、設定時間を短くできたことによって、第
二金属溶湯Mの流動を極めて小さく抑制することが可能
となった。尚、前記支持装置5Bの移動速度は、従来と
同様に前記湯口3cから注湯される内層金属溶湯Mの湯
足に合わせてある。前記傾動タイマーの設定時間は鋳込
速度と鋳込量とに基づいて設定する点も従来と同様であ
る。
【0036】次に、本発明の他の実施の形態について説
明する。 〈1〉上記実施の形態に於いては、溶湯検出手段10と
して、湯口部3bの湯口3cの上方に一対の検出電極1
1Aを装着する黒鉛製の一対のソケット32,32を、
夫々前記湯口部3bを嵌挿した樋3の湯道3aを形成す
る耐熱性耐火物であるシャモットの外表面部に埋設して
あり、前記シャモット中に電気絶縁を施して埋設してあ
る電線路12Aに電気接続して、前記検出電極11A
を、タングステン線で湾曲形成された電気接点31と、
前記電気接点31の基端部を覆う黒鉛で形成されたプラ
グ31aを嵌着固定して電気接続する前記ソケット32
とで構成して、前記電気接点31を交換可能に構成し、
前記電気接点31をプラグ31aを前記ソケット32に
嵌着して装着する例を示したが、前記検出電極11A
は、湯口3cからの出湯を検出可能であればよいもの
で、一方の検出電極11Aを前記湯口3cに配置し、他
方の極は溶湯に直接導通させるように、例えばホッパ2
内の溶湯中に浸漬されるように構成してあってもよい。
また、前記溶湯検出手段10は、上記検出電極11Aに
限らず、上述のように、電磁誘導を利用した誘導検出手
段によって溶湯の出湯を検出するようにしてあってもよ
い。 〈2〉上記実施の形態に於いては、検出端11としての
検出電極11Aを電気接点31で構成し、前記電気接点
31の溶湯による短絡を検知して、前記湯口3cからの
溶湯の出湯を検出する溶湯検出手段10の検出部10a
に検出情報を伝達する情報伝達路12として、電線路1
2aを接続してある例を示したが、前記検出端11は電
極に限らず前記湯口3cから出湯される溶湯の温度を検
知してもよく、上述のように光検知手段を設けて、前記
情報伝達路12をその光路で形成してあってもよい。 〈3〉上記実施の形態に於いては、溶湯検出手段10と
して、湯口3cからの出湯を検出可能に構成した例を示
したが、これを出湯完了をも検知するように構成してあ
ってもよい。例えば、湯口部3b近傍の湯道3a内の溶
湯の存在を検出するように前記溶湯検出手段10を構成
してあってもよい。 〈4〉上記〈3〉において、例えば、湯口部3b近傍の
湯道3aを囲繞する電磁誘導回路を設けるとともに、前
記湯道3a内の溶湯に誘導された電流を検出する検出手
段を設けて溶湯検出手段10を構成してあってもよい。
前記検出手段として、前記湯道3aを囲繞する検出コイ
ルを設けてあれば、前記電磁誘導回路により誘起された
溶湯内の電流を検出することは容易であり、前記溶湯内
の電流が検出されなくなった時を出湯完了の時として検
出するようにしてあってもよい。 〈5〉上記実施の形態に於いては、内層金属溶湯Mの鋳
込みの手順として、溶湯鍋4の傾動時間を設定する傾動
タイマーを用いて、前記傾動タイマーのタイムアップか
ら垂れ切れタイマーの設定時間後を鋳込み完了時として
第二鋳込装置20Bの制御を行う例を示したが、前記鋳
込み完了時は、上記〈4〉に示した例のように溶湯検出
手段10を構成すれば、前記傾動タイマーのタイムアッ
プに代えて、前記検出コイルが溶湯内電流を検出しなく
なった時を検出するようにしてもよい。
【0037】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による遠心力鋳造用鋳込装置を用いた遠
心力鋳造装置の一例の側面図
【図2】本発明による鋳込樋の要部を説明する斜視図
【図3】本発明による遠心力鋳造用鋳込装置を用いる場
合の鋳込手順の一例の流れ図
【図4】従来の遠心力鋳造装置の一例を説明する側断面
【図5】従来の遠心力鋳造装置の他の例を説明する2面
【図6】図5に示す遠心力鋳造装置の平面図
【図7】図5に示す遠心力鋳造装置を用いる場合の鋳込
手順の一例の流れ図の前部
【図8】図5に示す遠心力鋳造装置を用いる場合の鋳込
手順の一例の流れ図の後部
【符号の説明】
1 鋳込樋 2 ホッパ 3 樋 3a 樋の湯道 3b 樋の湯口部 3c 樋の湯口 4 溶湯鍋 6 鋳込装置の相対駆動機構 10 溶湯検出手段 10a 溶湯検出手段の検出部 11 検出端 11A 検出電極 12 情報伝達路 12A 電線路 13 注湯制御手段 21 金型 31 電気接点

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶湯鍋(4)を設けるとともに、その溶
    湯鍋(4)から傾注される溶湯を受け入れるホッパ
    (2)とその溶湯を金型(21)内に導く樋(3)とを
    備えた鋳込樋(1)を設け、 前記溶湯鍋(4)から前記ホッパ(2)への溶湯の供給
    を制御する注湯制御手段(13)と、 横軸芯周りに回転駆動される前記金型(21)内に前記
    樋(3)を挿入して前記金型(21)の一端部側から他
    端部側にかけて順次注湯すべく、前記金型(21)に対
    して前記鋳込樋(1)を相対近接離間可能に構成してあ
    る相対駆動機構(6)とを設けてある遠心力鋳造用鋳込
    装置であって、 前記樋(3)の湯口部(3b)に、前記樋(3)の湯道
    (3a)から前記金型(21)内に鋳込まれる溶湯の、
    湯口(3c)からの出湯を検出可能な溶湯検出手段(1
    0)を設けてある遠心力鋳造用鋳込装置。
  2. 【請求項2】 前記溶湯検出手段(10)を、前記樋
    (3)の湯口部(3b)に、前記樋(3)の湯道(3
    a)から前記金型(21)内に鋳込まれる溶湯を検出可
    能な検出端(11)を設けるとともに、 前記検出端(11)からの情報伝達路(12)を前記溶
    湯検出手段(10)の検出部(10a)に回路接続し
    て、 前記検出端(11)によって前記湯口部(3b)を経て
    出湯される溶湯を検出可能に構成してある請求項1記載
    の遠心力鋳造用鋳込装置。
  3. 【請求項3】 前記検出端(11)が、前記湯口(3
    c)からの溶湯に対して接触可能に、前記湯口(3c)
    に開路状態で設けられた一対の電気接点(31)であ
    り、前記情報伝達路(12)が電線路(12A)である
    請求項2記載の遠心力鋳造用鋳込装置。
  4. 【請求項4】 前記溶湯検出手段(10)からの溶湯の
    検出結果に基づき、前記相対駆動機構(6)の駆動を制
    御可能に前記注湯制御手段(13)を構成してある請求
    項1〜3の何れか1項に記載の遠心力鋳造用鋳込装置。
  5. 【請求項5】 溶湯鍋(4)を設けるとともに、その溶
    湯鍋(4)から傾注される溶湯を受け入れるホッパ
    (2)とその溶湯を金型(21)内に導く樋(3)とを
    備えた遠心力鋳造用鋳込樋であって、 前記樋(3)の湯口部(3b)に、前記樋(3)の湯道
    (3a)から前記金型(21)内に鋳込まれる溶湯を検
    出可能な検出端(11)を設けるとともに、 前記検出端(11)からの情報伝達路(12)を検出部
    (10a)に回路接続路してある溶湯検出手段(10)
    を設けて、 前記検出端(11)で前記溶湯を検知することにより、
    前記湯口部(3b)を経て注湯される溶湯を検出可能に
    構成してある遠心力鋳造用鋳込樋。
  6. 【請求項6】 前記検出端(11)を、前記湯口部(3
    b)を経て出湯される溶湯内に通じる電流を検出する検
    出電極(11A)で構成し、 前記情報伝達路(12)を、前記検出電極(11A)と
    前記検出部(10a)とを電気接続する電線路(12
    A)で構成して、 前記検出電極(11A)を経て出湯される溶湯を経由す
    る電流を検出することにより、前記湯口部(3b)を経
    て出湯される溶湯を検出可能に構成してある請求項5記
    載の遠心力鋳造用鋳込樋。
  7. 【請求項7】 前記検出電極(11A)が、前記湯口
    (3c)からの溶湯に対して接触可能に、前記湯口(3
    c)に開路状態で設けられた一対の電気接点(31)で
    ある請求項6記載の遠心力鋳造用鋳込樋。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102266931A (zh) * 2011-06-15 2011-12-07 新兴河北工程技术有限公司 纵摆式接管机
CN108637201A (zh) * 2018-07-27 2018-10-12 新兴铸管股份有限公司 接管车和接管托轮的位置检测装置及热模离心机接管车

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