JP2004058094A - 遠心鋳造管の製造方法 - Google Patents

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Toshio Ishii
石井 俊夫
Masaru Ishikawa
石川 勝
Kunio Kiyono
清野 邦夫
Hideto Takasugi
高杉 英登
Shinichi Kasahara
笠原 信一
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Abstract

【課題】遠心鋳造管の受口側の管厚分布を均一化させ、且つ、受口部に表面欠陥及び内部欠陥の少ない遠心鋳造管を製造する。
【解決手段】鋳込み用取鍋としての三角取鍋5から、金型3内に挿入されたトラフ7を介して鋳造台車2に搭載された金型3内に溶湯を供給すると共に、金型3を鋳造台車2と共に三角取鍋5の反対側に移動させ、金型3内で溶湯を凝固させて遠心鋳造管13を製造する方法において、三角取鍋5からの溶湯供給流量を実質的な一定値に制御すると共に、トラフ7先端の注湯口から金型3内へ溶湯を注湯開始した後、2秒ないし4秒経過した時点で、鋳造台車2の移動速度を三角取鍋5からの溶湯供給流量に応じた定常速度に昇速する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠心鋳造設備を用いてダクタイル鋳鉄管等の遠心鋳造管を製造する方法に関し、詳しくは遠心鋳造管の受口側の管厚分布を均一化させ、且つ、受口部に表面欠陥及び内部欠陥の少ない遠心鋳造管を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダクタイル鋳鉄管等の遠心鋳造管を製造する遠心鋳造設備は、略水平に設置され、その軸芯回りに回転する金型と、この金型を搭載する鋳造台車と、金型内に溶湯を供給する鋳込み用取鍋と、鋳込み用取鍋から供給される溶湯を金型内に中継注湯する注湯用樋とを備えており、回転している金型内の奥まで挿入された注湯用樋の先端の注湯口から溶湯を注湯しながら金型を鋳造台車と共に鋳込み用取鍋とは反対側の方向に移動させることにより、注湯した溶湯を順次凝固させ、溶湯から直接遠心鋳造管を製造している。
【0003】
この場合、注湯用樋が挿入されている側とは反対側の金型の端部には中子がセットされており、この中子により、遠心鋳造管の受口側端面形状が形成されると共に、注湯用樋から供給される溶湯の漏洩が防止されている。注湯用樋は、鋳込み用取鍋から溶湯を受ける部位をシュートと呼び、シュートに接続され金型内に挿入される部位をトラフと呼んでいる。
【0004】
鋳込み用取鍋は、傾動した時に鋳込み用取鍋内の溶湯表面積が略一定となるべく、その出湯口を通る縦断面形状が扇形となる、所謂「三角取鍋」が用いられており、傾動速度を一定にすることにより鋳込み用取鍋からの溶湯供給流量がほぼ一定に制御されている。そして、金型を、鋳込み用取鍋からの溶湯供給流量に応じた一定速度で移動させることにより、金型内各部位に一定量の溶湯が供給され、製造される遠心鋳造管の管厚が管軸方向で所定値に制御されるようになっている。
【0005】
しかしながら、鋳込み開始時には、金型内には中子がセットされているため、トラフ先端の注湯口を受口側の端部に近づけることができず、金型へ挿入されたトラフの先端と金型の受口側端面との間には200mmないし400mm、大径管の場合には500mmを超える間隔を設けざるを得ない。特に、耐震管の場合には受口部が複雑な形状で且つその長さが長いため、中子の長さが長くなり、この間隔が大きくなる。
【0006】
このように受口端面から離れた位置で溶湯を注湯し、その溶湯を受口部端面まで充填して受口部を形状し、更に、受口部から直管部に至る範囲の管厚を所定範囲に制御しなければならない。これらは、溶湯供給流量を実質的に一定とした場合、金型の移動開始の時期及びその速度によって影響される。
【0007】
例えば、金型の移動開始時期が遅すぎる場合や移動速度が遅すぎる場合には、注湯された溶湯が中子をオーバーフローして受口側から漏れ出したり、又、受口部から直管部にかけての管厚が極端に厚くなったりし、一方、金型の移動時期が早すぎる場合や移動速度が速すぎる場合には、湯不足のために正常な形状の受口部が形成されない、又、受口部に流れ込む溶湯の時期のズレにより二重肌状の表面欠陥や内部欠陥が生成される、更には、受口部から直管部にかけての管厚が不足する等の問題点が生ずる。
【0008】
このように受口部の形状制御及び受口側の管厚制御は定常鋳込み部である直管部に比較して極めて困難であり、二重肌状の欠陥が生成された場合にはグラインダー研削等による表面手入れを行う、又、管厚のばらつきが規格範囲を越えた場合には屑化し再溶解する等を余儀なくされ、歩留まり低下や製造コスト上昇の慢性的な原因となっており、解決する手段が必要であるにも拘わらず、現在まで有効な手段が確立されていないのが現状であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、遠心鋳造設備を用いてダクタイル鋳鉄管等の遠心鋳造管を製造するに際し、遠心鋳造管の受口側の管厚分布を均一化させ、且つ、その受口部に表面欠陥及び内部欠陥の少ない遠心鋳造管を製造する方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意、試験並びに検討を行った。以下に、試験・検討結果を説明する。
【0011】
遠心鋳造管の受口部は、金型に嵌合された中子と、金型内に設置されたモールドの内面とによって囲まれる狭い空間内に溶湯が流入して形成される。即ち、中子とモールドとで形成される狭い空間内に、この空間を充填するに十分な量の溶湯を流し込む必要がある。この場合、当該空間内に流入した溶湯は水冷構造のモールドと接触しているため、溶湯の供給時間が長引けば凝固が進行して、最初に流入した部位とその後に流入した部位とで凝固組織が不連続になり、二重肌状の表面欠陥及び内部欠陥が発生する。又、トラフ先端の出湯口を中子に近接した位置で停止して注湯した場合には、受口を形成する空間への溶湯の供給は十分に行われるが、モールドの溶湯落下点が溶湯の熱によって溶損するため、長い時間トラフを停止したままの状態で注湯することはできない。
【0012】
これらのことを踏まえ、本発明者等は、遠心鋳造管を鋳造する際に金型内への溶湯の注湯を開始した後、鋳造台車即ち金型を移動させるまでの時間や鋳造台車の移動速度を種々変更した試験を実施し、受口部の形状や欠陥発生の有無、並びに、受口部から直管部へ移行する部分の管厚を測定した。この場合に、同一サイズの遠心鋳造管の試験では、鋳込み用取鍋からの溶湯の供給流量は実質的に一定に保った。即ち、同一サイズの遠心鋳造管の試験では、鋳込み用取鍋である三角取鍋の傾動速度を一定に保ち、直管部における鋳造台車の移動速度は同一とした。尚、耐震管の場合、その管端から370mm程度の範囲が受口部であり、中子はモールド端から260mm程度の位置まで挿入されている。一般管の場合には、受口部は短く、中子はモールド端から80mm程度の位置まで挿入されているのみである。
【0013】
その結果、鋳造台車の移動速度が、鋳込み用取鍋からの溶湯供給流量に応じた定常速度になるまでの時間が4秒を超える場合には、溶湯が中子をオーバーフローして受口側から漏れ出したり、又、受口部から直管部にかけての管厚が極端に厚くなったりした。これらの現象は、定常速度になるまでの時間が4秒よりも長くなればなるほど顕著であった。これは、過剰な溶湯が受口部に供給されるためである。一方、鋳造台車の移動速度が、鋳込み用取鍋からの溶湯供給流量に応じた定常速度になるまでの時間が2秒未満の場合には、受口部に二重肌状の表面欠陥及び内部欠陥が多発すると共に、受口部から直管部にかけての管厚が不足した。これは、十分な溶湯量を受口部に供給しないまま、定常速度に昇速したため、湯不足になったためである。
【0014】
即ち、トラフ先端の注湯口から金型内へ溶湯を注湯開始した後、2秒ないし4秒経過した時点で、鋳造台車の移動速度を鋳込み用取鍋からの溶湯供給流量に応じた定常速度に昇速することにより、受口側の管厚分布が均一で且つ受口部に表面欠陥及び内部欠陥の少ない遠心鋳造管を製造することができるとの知見が得られた。
【0015】
これらの時間は、遠心鋳造管のサイズによらず、試験した全てのサイズの遠心鋳造管に該当した。これは、凝固現象は、遠心鋳造管のサイズによるものではなく、モールドとの抜熱に左右されるためであると思われる。又、これらの現象は、鋳込み用取鍋からの溶湯供給流量の絶対量を変化させた試験の場合も同様であった。
【0016】
そして、更に、移動速度が前記定常速度に昇速するまでの鋳造台車の移動速度の目安として、鋳造台車が定常速度に昇速するまでの期間に、トラフ先端の注湯口の位置を遠心鋳造管の受口側端面から、耐震管の場合には、700mmないし900mm隔てた位置まで移動させること、一方、一般管の場合には、200mmないし400mm隔てた位置まで移動させることが好ましいとの知見も得られた。上記のそれぞれの下限値である200mm及び700mmよりも小さい場合には、溶湯の供給が過剰気味であり、一方、上記のそれぞれの上限値である400mm及び900mmよりも大きい場合には、溶湯の供給が不足気味になる。
【0017】
そして、更に又、トラフからの溶湯の注湯の際に、金型の回転方向に沿って溶湯を注湯する、即ち、回転する金型の下端位置よりも回転方向の前方に位置する部位に向けて溶湯を注湯することにより、溶湯の注湯流速のみならず重力による落下流速までが金型の回転方向と同一方向になり、溶湯の軸芯方向の広がりが均一化され、耐震管のようにトラフ先端が管端に近接しない状況下においても、トラフから供給される溶湯を受口部の管端部にまで時間差を生じることなく充填させることができるとの知見が得られた。
【0018】
本発明は上記知見に基づきなされたもので、上記課題を解決するための第1の発明に係る遠心鋳造管の製造方法は、鋳込み用取鍋から、金型内に挿入されたトラフを介して鋳造台車に搭載された金型内に溶湯を供給すると共に、金型を鋳造台車と共に鋳込み用取鍋の反対側に移動させ、金型内で溶湯を凝固させて遠心鋳造管を製造する方法において、前記鋳込み用取鍋からの溶湯供給流量を実質的な一定値に制御すると共に、トラフ先端の注湯口から金型内へ溶湯を注湯開始した後、2秒ないし4秒経過した時点で、前記鋳造台車の移動速度を鋳込み用取鍋からの溶湯供給流量に応じた定常速度に昇速することを特徴とするものである。
【0019】
第2の発明に係る遠心鋳造管の製造方法は、第1の発明において、前記遠心鋳造管は耐震管であって、鋳造台車の移動速度が前記定常速度に昇速するまでの期間に、トラフ先端の注湯口の位置が遠心鋳造管の受口側端面から700mmないし900mm隔てた位置になるように、鋳造台車を移動させることを特徴とするものである。
【0020】
第3の発明に係る遠心鋳造管の製造方法は、第1の発明において、前記遠心鋳造管は一般管であって、鋳造台車の移動速度が前記定常速度に昇速するまでの期間に、トラフ先端の注湯口の位置が遠心鋳造管の受口側端面から200mmないし400mm隔てた位置になるように、鋳造台車を移動させることを特徴とするものである。
【0021】
第4の発明に係る遠心鋳造管の製造方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記トラフの注湯口から、回転する金型の下端位置よりも回転方向の前方に位置する部位に向けて溶湯を注湯することを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る遠心鋳造管の製造方法を実施する際に用いた遠心鋳造設備の1例を示す概略図であって、その一部を断面図で示した図、図2は、注湯開始時の中子とトラフとの位置関係を示す概略拡大図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、遠心鋳造設備1は、鋳造台車2に搭載され、略水平に設置された金型3と、溶湯12を収容し、鋳込み用取鍋として使用される三角取鍋5と、三角取鍋5から供給される溶湯12を金型3内に中継注湯するためのシュート6及びトラフ7とを備えている。シュート6及びトラフ7は溶湯12を通すための溝状の流路(図示せず)を有しており、トラフ7の先端は開口しており、溶湯12の注湯口7aになっている。金型3は、その内部に溶湯12を受け凝固させるための水冷構造の金属製モールド4を有しており、このモールド4内にトラフ7が挿入されている。そして、モールド4の他端には、中子取付装置9によって押さえ付けられて中子8が嵌め込まれている。中子8とモールド4とで形成する空間により遠心鋳造管13の受口部が形成される。尚、溶湯12とは通常溶融鋳鉄である。
【0024】
鋳造台車2には電動機11が搭載されており、金型3は、電動機11によりベルト15を介して、その軸芯を回転軸として鋳造台車2に搭載されたまま回転可能な構造となっている。又、鋳造台車2は、鋳造台車2に設けられた連結金具2aを介して油圧シリンダー10のシリンダーロッド10aと連結されており、油圧シリンダー10の作動によってレール14上を車輪16により移動可能な構造となっている。油圧シリンダー10は、シリンダーロッド10aの移動速度が任意の値を選択することができるように、油圧シリンダー10へ供給される作動油が制御される油圧回路(図示せず)と接続している。
【0025】
以下、このような構成の遠心鋳造設備1を用いて、受口側の管厚分布が均一で且つ受口部に表面欠陥及び内部欠陥の少ない遠心鋳造管13を製造する方法を説明する。
【0026】
先ず、所定の組成に溶製された溶湯12を三角取鍋5に注入し、これに前後して、トラフ7の先端位置が、図2に示すように、金型3内の所定の位置となるように鋳造台車2を油圧シリンダー10により移動させる。この場合、トラフ7の先端位置とモールド4の端面との距離(De)は、中子8の長さ(Le)に応じて変化せざるを得ないものの、耐震管の中子8の長さ(Le)が260mm程度であるので、トラフ7の先端位置を中子8の先端から少なくとも50mm以上離れた位置とした上で、距離(De)を500mm以下、望ましくは400mm以下になるように設置することが好ましい。距離(De)を、500mmを超えて大きくすると、受口部を形成する空間内に溶湯12が充填されにくくなるので、好ましくない。
【0027】
次いで、三角取鍋5を傾動装置(図示せず)により一定の傾動速度で傾動させ、回転している金型3内へ実質的に一定流量の溶湯12の供給を開始する。尚、溶湯供給流量が一定であるという意味は、三角取鍋5等の鋳込み用取鍋から溶湯12の供給を開始した時点から供給を終了する時点までの期間における溶湯供給流量を一定にするという意味であり、製造される遠心鋳造管13のサイズが変更される場合には、当然ながら、溶湯供給流量は変更することができる。又、溶湯供給流量の制御が容易であることから、鋳込み用取鍋として三角取鍋5を用いているが、円筒状取鍋でも溶湯供給流量を一定に制御することは十分可能であり、従って、鋳込み用取鍋は三角取鍋5に限るものではない。
【0028】
そして、トラフ7先端の注湯口7aから溶湯12がモールド4に注湯された後、少なくとも1秒以内望ましくは0.5秒以内に、三角取鍋5の設置方向とは反対側への鋳造台車2の移動を開始し、次いで、溶湯12がモールド4に注湯された後、2秒ないし4秒経過した時点で、鋳造台車2の移動速度を三角取鍋5からの溶湯供給流量に応じた定常速度に昇速する。
【0029】
ここで、三角取鍋5からの溶湯供給流量に応じた定常速度とは、製造される遠心鋳造管13の直管部の管厚を製品規格内の所定値とするために、溶湯供給流量に応じて一義的に定まる移動速度のことである。溶湯供給流量に対して移動速度が速すぎる場合には管厚が不足し、一方、遅すぎる場合には管厚が厚くなりすぎ、何れの場合も所定の管厚の遠心鋳造管13を得ることができない。この定常速度は、200mm/秒以上の任意の値とすることができる。200mm/秒未満の場合には、生産性が低くなり、好ましくない。但し、定常速度を速くするためには、油圧シリンダー10等の駆動装置を大型化する必要があるため、自ずと上限値は定められ、現状では700mm/秒ないし800mm/秒程度が工業的な限度と思われる。又、トラフ7先端の注湯口7aから溶湯12がモールド4に注湯された時点は、中子8が嵌合された側から例えば光電管によりモールド4内を監視することで、正確に把握することができる。
【0030】
この場合、望ましくは、一般管の場合には、溶湯12がモールド4に注湯された後、2秒ないし3秒程度経過した時点で鋳造台車2の移動速度を三角取鍋5からの溶湯供給流量に応じた定常速度に昇速することが好ましく、又、耐震管の場合には、溶湯12がモールド4に注湯された後、3秒ないし4秒程度経過した時点で鋳造台車2の移動速度を三角取鍋5からの溶湯供給流量に応じた定常速度に昇速することが好ましい。これは、一般管と耐震管とでは、中子8の長さ(Le)が異なること、即ち、受口部の形状が異なり、受口部へ充填すべき溶湯量が異なることに起因する。
【0031】
そして、鋳造台車2の移動速度が定常速度に昇速するまでの期間に、トラフ7先端の注湯口7aの位置が、一般管の場合には、遠心鋳造管13の受口側端面即ちモールド4の端面から200mmないし400mm隔てた位置になるように、又、耐震管の場合には、遠心鋳造管13の受口側端面から700mmないし900mm隔てた位置になるように、当該期間の鋳造台車2の移動速度を設定することが好ましい。この場合、定常速度に昇速するまでの期間の鋳造台車2の移動速度は、一定速度であっても又次第に加速される速度であっても、どちらでもよい。要は、上記の時間内に定常速度に移行するならば、定常速度以下の速度であれば、どのような速度パターンであっても構わない。
【0032】
更に又、図3に示すように、トラフ7の注湯口7aから、回転するモールド4の下端位置Aよりも回転方向の前方に位置する部位に向けて溶湯12を注湯することが好ましい。図3は、モールド4とトラフ7から注湯される溶湯12との位置関係を中子8が設置される管端側から見た図であり、図中の矢印はモールド4の回転方法を表している。通常、トラフ7の先端はモールド4の軸芯方向に対して傾斜しており、従って、これは、モールド4の回転方向を留意するだけで行うことができる。
【0033】
その後、鋳造台車2を三角取鍋5からの溶湯供給流量に応じた移動速度で移動させ、モールド4内の全面に溶湯12を供給し、溶湯12を凝固させて遠心鋳造管13を製造する。その際、鋳込みの末期では鋳造台車2の移動速度を減速し或いは一旦停止して、所謂「押し湯」を施してもよい。
【0034】
このようにして遠心鋳造管13を製造することにより、製造される遠心鋳造管13の受口部に過不足なく溶湯12が充填され、受口側の管厚分布を均一化させ、且つ、受口部において表面欠陥及び内部欠陥の少ない遠心鋳造管13を安定して製造することが可能となる。その結果、歩留まりの向上並びに製造コストの削減が達成される。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。図1に示す遠心鋳造設備を用いて、ダクタイル鋳鉄管の耐震管を製造した。製造した耐震管は、呼び径が150mm、200mm、250mmの3種類である。中子は、3種類の耐震管共に、その長さ(Le)が257mmの中子を使用した。又、トラフ先端位置とモールドの端面との距離(De)は、3種類の耐震管共に、370mmとした。
【0036】
この場合の、鋳込み開始時期の鋳造台車の移動速度パターンを図4に示す。移動速度パターンは、図4に示すように、停止期間と移行期間と定常期間の3つ区分に分割した。3種類の耐震管共に、移行期間では、120mm/秒の移動速度で鋳造台車を移動させ、定常期間では、400mm/秒の移動速度で鋳造台車を移動させた。定常期間とは、三角取鍋からの溶湯供給流量に応じた移動速度で移動する期間であり、本実施例では、三角取鍋からの溶湯供給流量を管のサイズにより変化させ、鋳造台車の移動速度は一定とした。表1に各製造条件を示す。
【0037】
【表1】
Figure 2004058094
【0038】
表1に示すように、呼び径150mmの耐震管ではモールドへの溶湯注湯開始後3.5秒で定常速度に移行し、呼び径200mmの耐震管ではモールドへの溶湯注湯開始後3.6秒で定常速度に移行し、又、呼び径250mmの耐震管ではモールドへの溶湯注湯開始後3.6秒で定常速度に移行した。
【0039】
得られた耐震管は全て、管厚が均一で且つ受口部において表面欠陥及び内部欠陥の無い遠心鋳造管であった。このように、本発明方法によれば、健全な遠心鋳造管を安定して製造可能であることが判明した。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、トラフ先端から金型内へ溶湯を注湯開始した後、2秒ないし4秒経過した時点で、鋳造台車の移動速度を鋳込み用取鍋からの溶湯供給流量に応じた定常速度に昇速するので、製造される遠心鋳造管の受口部に過不足なく溶湯が充填され、受口側の管厚分布を均一化させ、且つ、受口部において表面欠陥及び内部欠陥の極めて少ない遠心鋳造管を安定して製造することが可能となり、その結果、歩留まりの向上並びに製造コストの削減が達成され、工業上有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遠心鋳造管の製造方法を実施する際に用いた遠心鋳造設備の1例を示す概略図である。
【図2】注湯開始時の中子とトラフとの位置関係を示す概略拡大図である。
【図3】モールドとトラフから注湯される溶湯との位置関係を示す図である。
【図4】実施例における鋳造台車の移動速度パターンである。
【符号の説明】
1 遠心鋳造設備
2 鋳造台車
2a 連結金具
3 金型
4 モールド
5 三角取鍋
6 シュート
7 トラフ
7a 注湯口
8 中子
9 中子取付装置
10 油圧シリンダー
10a シリンダーロッド
11 電動機
12 溶湯
13 遠心鋳造管
14 レール
15 ベルト
16 車輪
A 下端位置

Claims (4)

  1. 鋳込み用取鍋から、金型内に挿入されたトラフを介して鋳造台車に搭載された金型内に溶湯を供給すると共に、金型を鋳造台車と共に鋳込み用取鍋の反対側に移動させ、金型内で溶湯を凝固させて遠心鋳造管を製造する方法において、前記鋳込み用取鍋からの溶湯供給流量を実質的な一定値に制御すると共に、トラフ先端の注湯口から金型内へ溶湯を注湯開始した後、2秒ないし4秒経過した時点で、前記鋳造台車の移動速度を鋳込み用取鍋からの溶湯供給流量に応じた定常速度に昇速することを特徴とする、遠心鋳造管の製造方法。
  2. 前記遠心鋳造管は耐震管であって、鋳造台車の移動速度が前記定常速度に昇速するまでの期間に、トラフ先端の注湯口の位置が遠心鋳造管の受口側端面から700mmないし900mm隔てた位置になるように、鋳造台車を移動させることを特徴とする、請求項1に記載の遠心鋳造管の製造方法。
  3. 前記遠心鋳造管は一般管であって、鋳造台車の移動速度が前記定常速度に昇速するまでの期間に、トラフ先端の注湯口の位置が遠心鋳造管の受口側端面から200mmないし400mm隔てた位置になるように、鋳造台車を移動させることを特徴とする、請求項1に記載の遠心鋳造管の製造方法。
  4. 前記トラフの注湯口から、回転する金型の下端位置よりも回転方向の前方に位置する部位に向けて溶湯を注湯することを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の遠心鋳造管の製造方法。
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