JPH10277708A - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents

連続鋳造用鋳型

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JPH10277708A
JPH10277708A JP10270297A JP10270297A JPH10277708A JP H10277708 A JPH10277708 A JP H10277708A JP 10270297 A JP10270297 A JP 10270297A JP 10270297 A JP10270297 A JP 10270297A JP H10277708 A JPH10277708 A JP H10277708A
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continuous casting
water
casting mold
cooled copper
self
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JP10270297A
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Kazuhiro Nibuya
一廣 丹生谷
Tomohiro Takada
友弘 高田
Suketaka Umeyama
祐登 梅山
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Mishima Kosan Co Ltd
Original Assignee
Mishima Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性の被覆材を適用して、特に機械的摩
耗の大きくなる特定箇所の摩耗を効果的に抑制して、損
耗プロフィールを均一化させることのできる連続鋳造用
鋳型を提供する。 【解決手段】 4枚の水冷銅板15、15a、16、1
6aを枠組して構成され、上部から溶鋼11を供給し
て、下部から鋳片18として引き出す連続鋳造用鋳型1
4において、各水冷銅板15、15a、16、16aの
内側面の上部中央A1を銅裸地又はニッケルめっき地2
1とし、各水冷銅板15、15a、16、16aの内側
面の下部両側Cの摩耗領域に金属炭化物、金属硼化物、
金属窒化物の一種又は二種以上を含むサーメット溶射皮
膜19を形成し、各水冷銅板15、15a、16、16
aの内側面の他の領域に自溶性合金溶射皮膜20を形成
したことを特徴とする連続鋳造用鋳型。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶鋼の凝固してな
る鋳片を水冷銅板で枠組される鋳型の下部から引き抜い
て連続鋳造を行う際に、水冷銅板に生じる摩耗を軽減す
ることのできる連続鋳造用鋳型に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、連続鋳造用鋳型には熱伝導性の
良好な銅又は銅合金の水冷銅板が用いられ、注入される
溶鋼を水冷銅板の内側面から冷却して、連続鋳造用鋳型
の下部から鋳片を引き抜くことにより連続鋳造が行われ
ている。ところが、このような水冷銅板では、引き抜か
れる鋳片が水冷銅板の内側面と接触する際の機械的摩耗
量が大きく、耐用性に問題がある。この水冷銅板の内側
面の摩耗対策として、従来から種々のコーティングを水
冷銅板の表面に被覆して耐摩耗性を向上させる方法が提
案されている。例えば、特開平8−187554号公報
には、銅若しくは銅合金製鋳型本体の内表面にNi、C
o、Fe若しくはこれらを基材とする合金メッキ層を施
し、該合金メッキ層上部に、Cr3 2 15〜40重量
%、残部Ni−Cr系合金、又はWC15〜40重量
%、残部Ni−Cr系合金を超音速フレーム溶射法によ
り溶射してなる連続鋳造用鋳型が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平8−187554号公報に記載の合金メッキ層(合
金めっき層)の上に溶射層を被覆する方法では以下の
〜に示すような問題点があった。 鋳片と鋳型本体(水冷銅板)との機械的接触の度合い
の特に大きくなるような鋳型本体の内側面の下部両側に
おける摩耗に対しては、熱処理がなされておらず各被覆
層間の接合密着性が低いために、摩耗量が多くなる。 銅合金製鋳型本体、合金めっき層、及び溶射層間の密
着性が乏しく、各層が互いに剥離し易い。このため、鋳
片に表面疵を発生させる要因となる。 鋳型本体の各部位毎の摩耗程度に対応した被覆層が形
成されていないために、摩耗による鋳型表面の損耗プロ
フィールの変動が大きく、引き出される鋳片の形状を一
定に維持させることが困難であると共に、被覆材にかか
るコストが必要以上に大きくなる。 本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、耐摩
耗性の被覆材を適用して、特に機械的摩耗の大きくなる
特定箇所の摩耗を効果的に抑制して、損耗プロフィール
を均一化させることのできる連続鋳造用鋳型を提供する
ことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の連続鋳造用鋳型は、4枚の水冷銅板を枠組して構
成され、上部から溶鋼を供給して、下部から鋳片として
引き出す連続鋳造用鋳型において、前記各水冷銅板の内
側面の上部中央を銅裸地又はニッケルめっき地とし、前
記各水冷銅板の内側面の下部両側の摩耗領域に金属炭化
物、金属硼化物、金属窒化物の一種又は二種以上を含む
サーメット溶射皮膜を形成し、前記各水冷銅板の内側面
の他の領域に自溶性合金溶射皮膜を形成している。サー
メット溶射皮膜とは、耐摩耗性及び耐熱性の大きい金属
炭化物、金属窒化物、金属硼化物等からなるセラミック
スの粒子が、ニッケル合金からなるマトリックスに分散
した分散強化型の組織を有する溶射皮膜をいう。金属炭
化物とは、Cr3 2 、WC、NbC、ZrC、SiC
等の耐摩耗性の高いセラミックスをいう。また、金属窒
化物にはBN、Si3 4 等が含まれ、金属硼化物には
ZrB2 、硼化クロム等のセラミックスが含まれる。自
溶性合金溶射皮膜とは、ニッケル(Ni)、Cr、S
i、Fe等の金属あるいはそれらの合金等にボロン
(B)等のフラックス成分を含有させてなる混合粉末を
火炎あるいはプラズマ中で溶融して被溶射面に付着、凝
固させ、合金からなる被覆層を形成させて得られる溶射
皮膜である。
【0005】請求項2記載の連続鋳造用鋳型は、4枚の
水冷銅板を枠組して構成され、上部から溶鋼を供給し
て、下部から鋳片として引き出す連続鋳造用鋳型におい
て、前記各水冷銅板の内側面の上部及びこれに続く中間
部中央の溶鋼冷却領域を銅裸地又はニッケルめっき地と
し、前記各水冷銅板の内側面の下部両側の摩耗領域に金
属炭化物、金属硼化物、金属窒化物の一種又は二種以上
を含むサーメット溶射皮膜を形成し、前記各水冷銅板の
内側面の他の領域に自溶性合金溶射皮膜を形成してい
る。
【0006】請求項3記載の連続鋳造用鋳型は、請求項
1又は2記載の連続鋳造用鋳型において、前記サーメッ
ト溶射皮膜は下地めっき層の上に形成されている。下地
めっき層とは、連続鋳造用鋳型の内側面に電気めっき、
無電解めっき等の方法により形成され、厚みが100〜
200μmのNi、Co系等のめっき層をいう。請求項
4記載の連続鋳造用鋳型は、請求項1〜3のいずれか1
項に記載の連続鋳造用鋳型において、前記サーメット溶
射皮膜は下地に自溶性合金溶射皮膜が形成されている。
請求項5記載の連続鋳造用鋳型は、請求項1〜4のいず
れか1項に記載の連続鋳造用鋳型において、前記自溶性
合金溶射皮膜は下地めっき層の上に形成されている。
【0007】請求項6記載の連続鋳造用鋳型は、請求項
1〜5のいずれか1項に記載の連続鋳造用鋳型におい
て、前記水冷銅板の表面は予め表面粗度50〜150μ
mの範囲で粗面化処理がなされている。水冷銅板の表面
粗度が50μmより小さいと、水冷銅板の上に形成させ
る溶射皮膜あるいは下地めっき層との接合面積が減少し
て、接合強度が低下する。また、表面粗度が150μm
を越えると、被覆層表面の平滑性が損なわれるために、
鋳片との接触抵抗が大きくなるので好ましくない。請求
項7記載の連続鋳造用鋳型は、請求項1〜6のいずれか
1項に記載の連続鋳造用鋳型において、前記サーメット
溶射皮膜及び前記自溶性合金溶射皮膜は、高速フレーム
溶射によって形成されている。高速フレーム溶射とは、
火炎溶射におけるフレーム速度が2000〜2700m
/秒、火炎温度が2400〜2700℃となる条件範囲
での火炎溶射をいう。
【0008】請求項8記載の連続鋳造用鋳型は、請求項
1〜7のいずれか1項に記載の連続鋳造用鋳型におい
て、前記サーメット溶射皮膜及び前記自溶性合金溶射皮
膜が形成された前記各水冷銅板は熱処理がなされてい
る。熱処理とは、溶射皮膜及び自溶性合金溶射皮膜の形
成された連続鋳造用鋳型を、例えば空気中又は還元性雰
囲気中1000℃近傍の温度下で5分以上保持した後、
これを所定の冷却速度で冷却することにより溶射皮膜と
下地層あるいは水冷銅板間の密着性を高めるための処理
をいう。
【0009】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに図1は本発明の実施の形態に
係る連続鋳造用鋳型を適用する連続鋳造設備の概略説明
図、図2は本発明の第1の実施の形態に係る連続鋳造用
鋳型の短片の斜視図、図3は本発明の第2の実施の形態
に係る連続鋳造用鋳型の短片の斜視図である。
【0010】まず、本発明の実施の形態に係る連続鋳造
用鋳型を適用する連続鋳造設備10について説明する。
図1に示すように連続鋳造設備10は、溶鋼成分、温度
等を均一化させて溶鋼11を保持するタンディッシュ1
2と、該タンディッシュ12の下部に設けられ溶鋼11
を供給するための浸漬ノズル13と、浸漬ノズル13の
下部から注入される溶鋼11を冷却して凝固させる連続
鋳造用鋳型14を有している。そして、連続鋳造用鋳型
14は、それぞれの内側面を対向して配置される水冷銅
板の一例である一対の長片15、15aと、一対の短片
16、16aとを互いに直角となるように枠組して構成
されている。なお、水冷銅板の素材としては銅製のもの
を使用するが、これをCu−Cr−Zr系の銅合金とし
てもよい。連続鋳造用鋳型14の上部の開口部から溶鋼
11が注入されると、溶鋼11の凝固してなる凝固殻1
7を有する鋳片18がその下部から引き抜かれるように
なっている。短片16、16aと長片15、15aが枠
組されてなる連続鋳造用鋳型14において、溶鋼と接す
る鋳型内側面の水平方向の長さ(横巾と縦巾)はそれぞ
れ250mm、1200mmで、連続鋳造用鋳型14の
鋳片18の引き抜き方向の長さは900mmである。こ
れによって、250mm×1200mmの矩形断面の鋳
片18を鋳造することができる。なお、銅製の短片1
6、16aと長片15、15aのそれぞれの内部には図
示しない中空部が形成されていて、この中空部に冷却水
を供給して、連続鋳造用鋳型14内に浸漬ノズル13か
ら注入される溶鋼11をその周囲から冷却するようにな
っている。
【0011】タンディッシュ12は耐火物で内張りされ
た鋼製容器であり、図示しない取鍋から注入される溶鋼
11を静置して溶鋼の成分、温度等を均一化させると共
に、溶鋼11中に浮遊するアルミナ質等からなる非金属
介在物を浮上させる働きを担う。浸漬ノズル13はアル
ミナ黒鉛質等を主材とする底付きの円筒状耐火物であ
り、浸漬ノズル13の底部側壁に設けられた図示しない
吐出孔より、タンディッシュ12内の溶鋼11が連続鋳
造用鋳型14の中に供給される。
【0012】図2は本発明の第1の実施の形態に係る連
続鋳造用鋳型における短片16の斜視図である。同図に
示すように、銅製の母材からなる短片16の内側面に
は、サーメット溶射皮膜19と自溶性合金溶射皮膜20
及びニッケルめっき地21が配置されている。なお、前
記内側面には予め下地めっき層としてニッケルめっき地
21が全面にわたって形成されており、ニッケルめっき
地21の上に、自溶性合金溶射皮膜20と、サーメット
溶射皮膜19とが被覆されるようになっている。サーメ
ット溶射皮膜19は、図2に示すように短片16の下部
両側Cの摩耗領域に配置され、縦、横の長さがそれぞれ
400〜600mm、20〜100mmの範囲に形成さ
れている。ニッケルめっき地21は、内側面の溶鋼冷却
領域である上部中央A1の縦、横の長さが内側面の全巾
に対してそれぞれ1/2〜1/4倍、1/3〜1/4倍
の領域に形成されている。なお、このニッケルめっき地
21の領域を銅裸地とすることも可能である。この場合
には、銅の熱伝導率が高いために溶鋼領域での抜熱量を
大きくでき、例えば鋳造速度を速くした際の鋳片18の
冷却速度を適正範囲に調整することができる。自溶性合
金溶射皮膜20は、ニッケルめっき地21の領域及びサ
ーメット溶射皮膜19の領域を除く内側面に形成される
ようになっている。なお、図2では示していない長片1
5、15a、短片16aの内側面にもニッケルめっき
地、自溶性合金溶射皮膜、及びサーメット溶射皮膜
が前記短片16とほぼ同様の構成で配置されている。以
下、このような各皮膜〜の形成方法について説明す
る。
【0013】ニッケルめっき地21は以下のようにし
て形成する。銅素材からなる長片15、15a及び短片
16、16aを電解めっき液に浸漬させ、これらの内側
面に電気めっきを施して厚みが100μm程度のニッケ
ルめっき地21を形成させることができる。なお、必要
に応じて内側面を予めマスキングしておき、内側面の必
要箇所のみにニッケルめっきを施すこともできる。この
場合の電解めっき液としては、1リットル中にスルファ
ミン酸ニッケルを350g、塩化ニッケルを5g、ほう
酸を30g含む水溶液を使用し、電解めっき液の温度は
45〜60℃、電流密度は3A/dm2 とする条件でニ
ッケルめっきが得られる。この実施の形態では下地めっ
き層をニッケルめっき地21としたが、例えばCo、F
e又はこれらを主材とする合金めっき皮膜としてもよ
い。また、水冷銅板の表面に下地めっき層を形成させな
いで表面に直接、自溶性合金溶射皮膜20及びサーメッ
ト溶射皮膜19を形成させることもできる。次に、この
ニッケルめっき地21又は水冷銅板の表面にブラスト処
理を行い、その表面粗度Rzを50〜150μmに調整
して、粗面化処理(ブラスト処理)された面上に付着さ
れる溶射皮膜の結合度を投釘効果により向上させること
ができる。
【0014】自溶性合金溶射皮膜20は、プラズマ溶
射機又は火炎溶射機を用いて以下のようにして形成す
る。ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、珪素(Si)
又はそれらの合金粉末をそれらの融点の温度、又は半溶
融状態となる温度以上の高温ガス流中に供給して、所定
箇所の被施工面に吹付ける。これによってセラミックス
を含まない、例えば融点が980〜1030℃の自溶性
合金の層からなる溶射皮膜を形成させることができる。
また、前記溶射皮膜の形成に当たっては一回のパスで、
0.5〜1mm厚みの溶射皮膜を形成させるのが困難で
あるので、同一箇所を複数回パスして溶射を行うが、溶
射皮膜と溶射皮膜の境界部分が不連続になるので、境界
部分の各層の溶射皮膜が互いに順次重なるようにして溶
射を行うことが好ましい。
【0015】サーメット溶射皮膜19は、単一金属あ
るいは合金等の金属相からなるマトリックス中にセラミ
ックスの粒子が分散した結合組織を有する耐摩耗性及び
耐熱性に優れた溶射皮膜である。この溶射に際しては、
灯油を酸素ガス又は空気と共に燃焼させて高温ガス流を
発生させる。そして、この高温ガス流中にセラミックス
粒子を含む合金、金属等の粉末を供給して、被溶射面に
吹き付ける火炎溶射(高速フレーム溶射)を行うことに
より、被溶射面にサーメット溶射皮膜を形成させること
ができる。前記火炎溶射における高温ガス流の温度は2
400〜2700℃であり、該高温ガス流の速度は例え
ば約2200m/秒である。また、この溶射されるセラ
ミックスの粒度は10〜50μmの範囲に選定すること
が望ましい。これはセラミックスの粒度が10μm未満
の場合には、耐摩耗性を低下させると共に、溶射される
セラミックスの粒子の運動量が小さくなって合金粉末等
が気流に流され易くなるからである。逆に粒度が50μ
mを超えると溶射皮膜が粗くなって実質的に強度が落ち
る傾向が現れるので好ましくない。ここでセラミックス
としては、アルミナ、ジルコニア、アルミナシリカ等の
金属酸化物、炭化珪素、炭化硼素、炭化クロム、炭化ジ
ルコニア等の金属炭化物、窒化珪素、立方晶窒化硼素等
の金属窒化物、ジルコニウムボライド等の金属硼化物、
及びサイアロン等の酸窒化物の一種又は二種以上を用い
ることができる。そして、特に耐摩耗性の面からは炭化
物、窒化物、硼化物を用いることが望ましい。
【0016】また、マトリックスを形成させるための合
金の粉末としては、クロム、硼素、アルミニウム、イッ
トリウム、ニッケル、鉄、銅、コバルト等からなる単体
金属の混合粉末や、それらの金属合金からなる粒度が5
0μm以下の粉末を用いることができる。この合金粉末
の粒度が50μmより大きくなると、高温ガス流中での
溶融が不十分となって、緻密な溶射皮膜の形成が困難に
なるからである。そして、溶射される複合粉末に対する
セラミックスの割合は10〜90重量%とすることが好
ましい。これは、セラミックスの割合が10重量%より
少ないと、溶射されるサーメット溶射皮膜の耐摩耗性を
充分に維持させることができず、逆にセラミックスの割
合が90重量%より多くなると、溶射時における原料粒
子の溶融が不十分となって、形成される溶射組織の均一
性が低下するからである。
【0017】こうして形成される前記ニッケルめっき
地21、自溶性合金溶射皮膜20、サーメット溶射
皮膜19のにおける耐摩耗性は、前記サーメット溶射
皮膜19の場合が最も高く、以下、の順に減少して
いる。従って、本発明においては、連続鋳造に際して、
引き抜かれる鋳片18の凝固殻17と接触して最も摩耗
が大きくなる長片15、15a及び短片16、16aの
内側面の下部両側Cの摩耗領域に高耐摩耗性のサーメッ
ト溶射皮膜19が形成れているので、連続鋳造用鋳型の
損耗プロフィールを適正に維持して、鋳片18の形状及
び、表面状態を適正に維持すると共に、連続鋳造用鋳型
14の耐用性を大幅に向上させることができる。
【0018】
【実施例】ここで、表1に示す実施例1〜5は、セラミ
ックスと合金(ニッケル系合金)との比率及び、使用す
るセラミックスの種類を変えてサーメット溶射皮膜19
を形成して、そのときの連続鋳造用鋳型14の耐用性を
サーメット溶射皮膜を適用しない従来例の場合を100
%として比較したものである。
【0019】
【表1】
【0020】表1に示すように、実施例1〜5において
は従来例(100%)に較べて何れも耐用性が120〜
200%と大幅に向上していることが分かる。なお、こ
こで用いるニッケル系合金は、Crが10〜20wt
%、Siが1.5〜5.0wt%、Bが1.0〜4.5
wt%、残部がNiとなる自溶性合金である。
【0021】続いて、本発明の第2の実施の形態に係る
連続鋳造用鋳型について説明する。図3は本発明の第2
の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型における短片22の
説明図であり、銅又は銅合金の母材からなる内側面に
は、サーメット溶射皮膜23と自溶性合金溶射皮膜24
とが配置されている。サーメット溶射皮膜23は、図3
に示すように短片22の内側面の下部両側Cある縦、横
の長さがそれぞれ400〜600mm、20〜100m
mの摩耗領域に形成されている。前記内側面の上部Aは
母材が露出した銅の裸地(又は銅合金の裸地)となっ
て、上部Aに続く中間部中央Bの溶鋼冷却領域にも銅の
裸地が拡張して設定され即ち銅裸地25の全体が逆凸字
型の領域となっている。ここで、銅裸地25の領域をニ
ッケルめっき地として形成しても差し支えない。自溶性
合金溶射皮膜24は、サーメット溶射皮膜23及び銅裸
地25の領域を除く内側面の領域に形成される。ここで
図示しない長片、他の短片の内側面にも銅裸地、自溶性
合金溶射皮膜、及びサーメット溶射皮膜が前記短片22
とほぼ同様の構成で配置されている。なお、自溶性合金
溶射皮膜24及びサーメット溶射皮膜23の形成方法は
前記第1の実施の形態に示したものと同一であるのでこ
の説明を省略する。また、前記自溶性合金溶射皮膜2
4、及びサーメット溶射皮膜23の形成に際して、予め
水冷銅板の内側面に下地めっき層を形成しておくことも
できる。この場合には、水冷銅板の表面に直接サーメッ
ト溶射皮膜23又は自溶性合金溶射皮膜24を溶射する
場合に較べて、各接合面間の化学的親和性が増すために
各溶射皮膜と母材面との接着性を向上させることができ
る。
【0022】第2の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型に
おいては、サーメット溶射皮膜23と自溶性合金溶射皮
膜24がそれぞれ形成された長片と短片22とを約10
00℃の温度の不活性雰囲気中又は大気中で1〜2時間
保持した後、例えば10℃/分の冷却速度で冷却するよ
うな熱処理の操作を行う。この熱処理の操作によって、
各溶射皮膜と母材面あるいは下地めっき層間における金
属成分が溶融して各層間の密着性を高めると共に、溶射
過程等で生じる各鋳型片の歪みが解放されて各溶射皮膜
の欠陥が修復されるために連続鋳造用鋳型の耐用性を更
に向上させることができる。そして、本実施の形態にお
いては、高耐摩耗性のサーメット溶射皮膜23が内側面
の下部両側に形成されていて、しかも溶射皮膜と水冷銅
板の面間の密着性が熱処理により高められているため
に、連続鋳造用鋳型の内側面の損耗が極めて少なくな
り、連続鋳造用鋳型の耐用性を大幅に向上させることが
できた。
【0023】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明はこのような実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。例えば、本実施の形態においては、サーメ
ット溶射皮膜を水冷銅板の内側面の下部両側のみに配置
する例について述べたが、必要に応じて内側面の下部の
領域及び下部の領域に隣接する上部の領域にまで拡張し
て形成させることも可能である。また、サーメット溶射
皮膜の下地に自溶性合金容射皮膜を形成させた二層構造
の皮膜を銅裸地上に形成させることも可能である。更
に、この二層構造を下地めっき層の上に形成させた三層
構造とすることもできる。
【0024】
【発明の効果】請求項1記載の連続鋳造用鋳型において
は、各水冷銅板の内側面の上部中央を銅裸地又はニッケ
ルめっき地とし、各水冷銅板の内側面の下部両側の摩耗
領域にサーメット溶射皮膜を形成し、内側面の他の領域
に自溶性合金溶射皮膜を形成しているので、水冷銅板に
おける各領域での抜熱量、及び摩耗量のバランスが適正
に調整され、溶鋼の凝固速度及び鋳片の形状を良好に維
持させることができる。さらに、水冷銅板の全体的な摩
耗バランスが適正化され連続鋳造用鋳型の耐用性を向上
させることができる。
【0025】請求項2記載の連続鋳造用鋳型において
は、各水冷銅板の内側面の上部及びこれに続く中間部中
央の溶鋼冷却領域を銅裸地又はニッケルめっき地として
いるので、溶鋼冷却領域における水冷銅板からの抜熱量
を大きくして、溶鋼の凝固速度を適正に確保することが
できる。そして、各水冷銅板の内側面の下部両側の摩耗
領域に金属炭化物、金属硼化物、金属窒化物の一種又は
二種以上を含むサーメット溶射皮膜を形成しているの
で、鋳片の引き出しの際に摩耗の大きくなる下部両側を
耐摩耗性の大きいサーメット溶射皮膜によって効果的に
保護することができる。さらに、各水冷銅板の内側面の
他の領域に自溶性合金溶射皮膜を形成しているので、摩
耗領域及び溶鋼領域を含む水冷銅板の全体的な摩耗バラ
ンス、抜熱バランスを適正に調整できる。これによっ
て、引き抜かれる鋳片のプロフィール及び品質が安定に
維持されると共に、連続鋳造用鋳型の損耗プロフィール
が均一となり耐用性向上が図られる。
【0026】請求項3記載の連続鋳造用鋳型において
は、上記効果に加えて更に、サーメット溶射皮膜は下地
めっき層の上に形成されているので、連続鋳造用鋳型の
内側面における伝熱抵抗を増大させて、鋳片表面の温度
分布の均一化が促進されると共に、サーメット溶射皮膜
と内側面との密着性を向上することが可能である。請求
項4記載の連続鋳造用鋳型においては、サーメット溶射
皮膜は下地に自溶性合金溶射皮膜が形成されているの
で、連続鋳造用鋳型の内側面における伝熱抵抗を増大さ
せることができ、鋳片表面の温度分布の均一化が促進さ
れる。請求項5記載の連続鋳造用鋳型においては、自溶
性合金溶射皮膜は下地めっき層の上に形成されているの
で、下地めっき層を介して接合される連続鋳造用鋳型の
水冷銅板表面及び自溶性合金皮膜間の密着接合性をより
強固にすることができると共に、腐食性ガスに対しても
水冷銅板を確実に保護できる。
【0027】また、請求項6記載の連続鋳造用鋳型にお
いては、水冷銅板の表面は予め特定範囲の表面粗度で粗
面化処理がなされているので、その上に形成される皮膜
層の密着接合性をさらに高めることができる。請求項7
記載の連続鋳造用鋳型においては、サーメット溶射皮膜
及び自溶性合金溶射皮膜は、高速フレーム溶射によって
形成されているので、より緻密で、強度の高い溶射皮膜
を得ることができる。特に、請求項8記載の連続鋳造用
鋳型においては、サーメット溶射皮膜及び自溶性合金溶
射皮膜が形成された各水冷銅板は熱処理がなされている
ので、溶射層と下地層あるいは鋳型母材表面間の密着性
を高めて、連続鋳造用鋳型の耐用性をさらに向上させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型を適
用する連続鋳造設備の概略説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る連続鋳造用鋳
型の短片の斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る連続鋳造用鋳
型の短片の斜視図である。
【符号の説明】
10 連続鋳造設備 11 溶鋼 12 タンディッシュ 13 浸漬ノズ
ル 14 連続鋳造用鋳型 15 長片(水
冷銅板) 15a 長片(水冷銅板) 16 短片(水
冷銅板) 16a 短片(水冷銅板) 17 凝固殻 18 鋳片 19 サーメッ
ト溶射皮膜 20 自溶性合金溶射皮膜 21 ニッケル
めっき地 22 短片(水冷銅板) 23 サーメッ
ト溶射皮膜 24 自溶性合金溶射皮膜 25 銅裸地 A 上部 A1 上部中央 B 中間部中央 C 下部両側

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4枚の水冷銅板を枠組して構成され、上
    部から溶鋼を供給して、下部から鋳片として引き出す連
    続鋳造用鋳型において、 前記各水冷銅板の内側面の上部中央を銅裸地又はニッケ
    ルめっき地とし、前記各水冷銅板の内側面の下部両側の
    摩耗領域に金属炭化物、金属硼化物、金属窒化物の一種
    又は二種以上を含むサーメット溶射皮膜を形成し、前記
    各水冷銅板の内側面の他の領域に自溶性合金溶射皮膜を
    形成したことを特徴とする連続鋳造用鋳型。
  2. 【請求項2】 4枚の水冷銅板を枠組して構成され、上
    部から溶鋼を供給して、下部から鋳片として引き出す連
    続鋳造用鋳型において、 前記各水冷銅板の内側面の上部及びこれに続く中間部中
    央の溶鋼冷却領域を銅裸地又はニッケルめっき地とし、
    前記各水冷銅板の内側面の下部両側の摩耗領域に金属炭
    化物、金属硼化物、金属窒化物の一種又は二種以上を含
    むサーメット溶射皮膜を形成し、前記各水冷銅板の内側
    面の他の領域に自溶性合金溶射皮膜を形成したことを特
    徴とする連続鋳造用鋳型。
  3. 【請求項3】 前記サーメット溶射皮膜は下地めっき層
    の上に形成されていることを特徴とする請求項1又は2
    記載の連続鋳造用鋳型。
  4. 【請求項4】 前記サーメット溶射皮膜は下地に自溶性
    合金溶射皮膜が形成されていることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の連続鋳造用鋳型。
  5. 【請求項5】 前記自溶性合金溶射皮膜は下地めっき層
    の上に形成されていることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の連続鋳造用鋳型。
  6. 【請求項6】 前記水冷銅板の表面は予め表面粗度50
    〜150μmの範囲で粗面化処理がなされていることを
    特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の連続鋳
    造用鋳型。
  7. 【請求項7】 前記サーメット溶射皮膜及び前記自溶性
    合金溶射皮膜は、高速フレーム溶射によって形成されて
    いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記
    載の連続鋳造用鋳型。
  8. 【請求項8】 前記サーメット溶射皮膜及び前記自溶性
    合金溶射皮膜が形成された前記各水冷銅板は熱処理がな
    されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1
    項に記載の連続鋳造用鋳型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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