JPH08267183A - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents

連続鋳造用鋳型

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JPH08267183A
JPH08267183A JP7075534A JP7553495A JPH08267183A JP H08267183 A JPH08267183 A JP H08267183A JP 7075534 A JP7075534 A JP 7075534A JP 7553495 A JP7553495 A JP 7553495A JP H08267183 A JPH08267183 A JP H08267183A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 操業中に溶射層が剥離せず鋳片やパウダーへ
の移着が生じない連続鋳造用鋳型を提供すること。 【構成】 溶湯を凝固させて連続的に鋳片を製造する連
続鋳造法に使用する鋳型である。冷却している金属製鋳
型の溶湯と接触する面に、ZrO2を20〜80重量%、残
りをAl2O3,SiO2あるいはTiO2またはこれらの混合物から
なる耐火材を溶射施工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融金属(以下、「溶
湯」という)を連続的に鋳造凝固させて鋳片を製造する
連続鋳造法において、溶湯を凝固させるための鋳型に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】凝固シェルの緩冷却化、鋳型の長寿命化
を目的として、溶湯と接触する表面に溶射を施した鋳型
の開発が進められている。このうち、凝固シェルの緩冷
却化を目的とするものでは、熱抵抗の大きい溶射層によ
り鋳型の抜熱速度を低減して、鋳片(凝固シェル)を緩
冷却するもので、これによって凝固シェルの熱変形が生
じにくくなるので、均一な厚さの凝固シェルが形成され
るとともに、鋳片の表面は割れや凹み等の欠陥が大幅に
低減し、良好な品質の鋳片を得ることができる。
【0003】また、鋳型として使用している銅合金は硬
度が小さいので、一般にはNiやCr等の耐熱性に優れ
た金属をめっきしているが、これらの金属をめっきした
ものでは摩耗したり損傷したりして鋳片の表面品質に悪
影響を及ぼすので、長時間の操業には耐えられない。こ
のため、鋳型の長寿命化を目的とするものでは、硬度が
大きく耐熱性に優れた材料を溶射して鋳型を被覆するこ
とで、鋳型の耐久性を向上している。
【0004】鋳型が振動(オシレーション)して鋳片と
同期して移動しない連続鋳造法(以下、「従来の連続鋳
造法」という)においては、特開昭61−289948
号で、鋳型表面に高温で硬度が大きく、母材と熱膨張率
がほぼ等しい金属を接合させた後、硬質金属,サーメッ
トやセラミックスを溶射施工することで、耐摩耗性に優
れ、安価に製作でき、再生も容易な鋳型を提案してい
る。なお、この鋳型に溶射するセラミックスとしては、
ZrO2,Al2O3,Si3N4,SiC等の硬い材料を使用する。
【0005】また、回転するロール1を鋳型として数m
m厚さの薄鋳片2を連続して製造する連続鋳造法(以
下、「SC(ストリップキャスティング)法」という:
図1〜図3参照)においては、特公平5−23858号
で、ロール表面に151μm〜5mm厚さの金属酸化物
または窒化物の溶射被膜を施すことにより非メタルの熱
伝達係数をある一定値以下の緩冷却となして鋳造し、均
一な凝固シェルを形成させてポロシティの発生を抑制
し、内部欠陥のない薄鋳片が得られるロールを提案して
いる。なお、このロールの非メタルとしては、低熱伝導
率材として、ZrO2,Al2O3,Cr2O3から選ばれる金属酸化物
あるいはBN,Si3N4から選ばれる金属窒化物であり、これ
らを数種類組み合わせた層であってもよい。
【0006】背面を冷却した回転する一対の薄鋼板製無
端ベルト3、あるいはキャタピラのように回転移動する
冷却ブロック4を鋳型に使用し、数十mm厚さの薄鋳片
2を連続して製造する連続鋳造法(以下、「TSC(薄
スラブ連続鋳造)法」という:図4,図5参照)におい
ては、特開昭59−174254号で、ベルト表面に耐
火性セラミックスを溶射施工することにより、溶湯5に
よるベルトへの熱負荷を軽減してベルトの変形や損傷を
防止するとともに、鋳片の割れや凹み等の欠陥を低減で
きるベルトを提案している。なお、溶射施工するセラミ
ックスとしては、低熱伝導率材としてZrO2,Al2O3,BN,Si
3N4 等が好ましいがこれらに限定されるものではなく、
溶射が比較的容易でしかも溶湯による侵食抵抗性を有し
ているものであればその種類は問わない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、鋳型
表面に施工する溶射材料については、上記した目的の一
つである凝固シェルの緩冷却の観点より低熱伝導率材で
ある、例えばZrO2,Al2O3,Cr2O3等のセラミックス(金属
酸化物)が使用されている。これらのセラミックスは耐
熱性や溶湯との耐溶損性に優れており、また高硬度で耐
摩耗性にも優れている。このため、鋳片との摺動や溶湯
との接触によっても溶射表面に疵がつきにくく、溶射層
が摩耗しにくいので耐摩耗の点では長時間の操業に使用
できる。
【0008】ところが、上記した従来の単一セラミック
スの溶射層では、凝固シェルの抜熱速度に関係する熱伝
導率と耐摩耗性に関係する硬度の2点しか注目しておら
ず、実際に高温の溶湯やパウダーと接触することは考慮
されていない。したがって、セラミックスの材料の選択
の基準も曖昧であり、一般的に溶射材として使用されて
いるZrO2,Al2O3,Cr2O3等の金属酸化物を羅列したにすぎ
なかった。
【0009】すなわち、従来のZrO2,Al2O3,Cr2O3のいず
れかを溶射した鋳型を使用した場合には、いずれの場合
もセラミックスの表層の一部が鋳片の表面やパウダー
(従来の連続鋳造法の場合)に付着して剥離する(移
着)という現象が頻繁に発生した。このため、溶射膜が
剥離した部分は溶射層が薄くなって冷却の不均一が生
じ、鋳片に割れや凸形状等の欠陥が多発した。さらに、
鋳片と鋳型が常に摺動している従来の連続鋳造法では、
この剥離によって剥離部での摩擦抵抗が大きくなり、凝
固シェルが破れ一部溶湯が流出して二重肌の鋳片欠陥を
生じたり、時にはブレークアウトして操業を中断する場
合もあった。
【0010】このように、従来のセラミック溶射鋳型で
は、溶射層の一部が移着するので、鋳片表面に割れ等の
欠陥が生じたり、ブレークアウト等の操業トラブルが生
じて、溶射本来の凝固シェルの緩冷却化による鋳片品質
の向上や鋳型寿命の増大という効果が十分発揮できてい
なかった。
【0011】また、耐熱性や溶湯との耐濡れ性に優れる
BNやSi3N4 等の窒化物やSiC を溶射材に使用することも
検討されているが、これらの窒化物やSiC は昇華あるい
は分解して安定した液相状態にならないので溶射するこ
とは困難であり、実際には鋳型に溶射されたことはなか
った。
【0012】本発明は、上記した従来の問題点に鑑みて
なされたものであり、操業中に溶射層が剥離せず鋳片や
パウダーへの移着が生じない連続鋳造用鋳型を提供する
ことを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋳型におけ
る溶射層の移着の状況を調査した結果、以下の新たな知
見が得られた。得られた鋳片や凝固したパウダーの表層
を拡大して観察すると、脱落した溶射粒子が付着してい
ることが判明した。そして、この溶射粒子が脱落した溶
射表層が溶湯や溶融したパウダーと接触すると、溶射粒
子同士の結合が十分でないことから凝固した鋳片やパウ
ダーがさらに溶射粒子を巻き込んで溶射粒子が脱落して
ゆくと考えられる。
【0014】セラミックスを溶射する場合、セラミック
スの融点は一般に金属よりも高いので、エネルギー密度
の高い熱源が得られるプラズマ溶射法が主に採用されて
いる。従来のZrO2,Al2O3またはCr2O3 の溶射材料は耐熱
性は良好であるが、純度によって多少異なるものの、い
ずれも融点が2000℃程度以上とさらに高いので、プ
ラズマ溶射法によっても溶射粒子を融点以上の高温に十
分加熱しにくく、鋳型に溶射しても溶射粒子の積層時に
粒子間に気孔が生成しやすい。気孔が生成すると粒子同
士の結合力が弱くなり、溶湯やパウダーによって表層の
溶射粒子が脱落して移着することが判明した。
【0015】以上の知見より、本発明者らは溶射材料と
して必要な耐熱性,耐熱衝撃性を確保しつつ、融点を下
げることを考慮し、以下の本発明を成立させたのであ
る。先ず耐熱性,耐熱衝撃性はZrO2あるいはMgO で確保
し、次にプラズマ溶射法によって溶射粒子を融点以上の
高温に十分加熱できるように、融点を2000℃以下に
下げるべくAl2O3,SiO2あるいはTiO2またはこれらの混合
物を加えることとしたのである。
【0016】すなわち、第1の本発明の連続鋳造用鋳型
は、溶湯を凝固させて連続的に鋳片を製造する連続鋳造
法に使用する鋳型において、冷却している金属製鋳型の
溶湯と接触する面に、ZrO2を20〜80重量%、残りを
Al2O3,SiO2あるいはTiO2またはこれらの混合物からなる
耐火材を溶射施工しているのである。
【0017】また、第2の本発明の連続鋳造用鋳型は、
溶湯を凝固させて連続的に鋳片を製造する連続鋳造法に
使用する鋳型において、冷却している金属製鋳型の溶湯
と接触する面に、MgO を30〜70重量%、残りをSiO2
あるいはTiO2またはこれらの混合物からなる耐火材を溶
射施工しているのである。
【0018】
【作用】本発明の連続鋳造用鋳型では、耐熱性のあるZr
O2あるいはMgO に、Al2O3,SiO2あるいはTiO2またはこれ
らの混合物を添加して融点を2000℃以下に下げてい
るので、プラズマによって溶射粒子を融点以上の高温ま
で十分に加熱でき、鋳型に溶射して粒子が積層する時に
粒子間に気孔が生成しにくくなる。従って、粒子同士の
結合力が強く、溶湯やパウダーによって表層の溶射粒子
が脱落することがない。
【0019】本発明において上記したセラミックスを選
択したのは以下の理由に基づくものである。ZrO2あるい
はMgO は、耐熱性,耐熱衝撃性に優れているので使用し
た。また、Al2O3,SiO2あるいはTiO2またはこれらの混合
物は、これらを上記したZrO2あるいはMgO に加えた場合
には融点を2000℃以下に下げることができるので使
用した。加えて、Al2O3,SiO2あるいはTiO2はいずれも耐
熱性のあるセラミックスであるので、溶射層の耐久性を
悪くすることはない。このうちで、耐熱性及び耐摩耗性
を重視するのならばAl2O3 を、低融点化を重視するのな
らばSiO2を、耐摩耗性を重視するのならばTiO2を選択す
ればよい。なお、ZrO2にMgO,Cr2O3 を、MgO にZrO2,Cr2
O3,Al2O3を添加しても融点はほとんど下がらないので溶
射材料としては好ましくない。
【0020】次に本発明において、ZrO2の含有量を20
〜80重量%としたのは、20重量%未満ではZrO2の持
つ耐熱性,溶湯との耐濡れ性の特性が全く得られないか
らであり、また、80重量%を超えると融点が高くなり
すぎて改善効果が見られなくなるからである。特に、Zr
O2-Al2O3系の場合はAl2O3 は融点が高いので、融点を2
000℃以下とするためにはZrO2を20〜60重量%と
するのが望ましい。また、ZrO2-TiO2 系あるいはZrO2-S
iO2 系の場合には、融点を2000℃以下とするために
はZrO2を80重量%以下とし、耐熱性を確保するために
はZrO2を40重量%以上とするのが望ましい。さらに、
ZrO2-Al2O3-TiO2 系あるいはZrO2-Al2O3-SiO2 系の場合
には、図6あるいは図7に示すように、融点を2000
℃以下とするためにはZrO2を20〜80重量%とするの
が望ましい。
【0021】また、本発明において、MgO 含有量を30
〜70重量%としたのは、30重量%未満ではMgO の持
つ耐熱性,耐熱衝撃性の特性が全く得られないからであ
り、また、70重量%を超えると融点が高くなりすぎて
改善効果が見られなくなるからである。この、MgO を含
有する場合には、MgO-SiO2系,MgO-TiO2系の場合も、ま
た、MgO-SiO2-TiO2 系の場合もMgO 含有量は30〜70
重量%とする(図8参照)。
【0022】上記したセラミックスを溶射した本発明の
連続鋳造用鋳型では、溶射粒子間の接着強度は十分にあ
るので、セラミックスの表層の一部が鋳片の表面やパウ
ダー(従来の連続鋳造法の場合)に付着して剥離する
(移着)という現象は全く起こらない。従って、凝固シ
ェルの冷却は均一となり、鋳片に割れや凸形状等の欠陥
も発生しない。従来の連続鋳造法に本発明の鋳型を使用
した場合には、鋳片と鋳型は常に摺動しているが鋳片と
鋳型間の摩擦抵抗が大きくなることもなく、安定した操
業が行える。
【0023】本発明の連続鋳造用鋳型を製造するために
溶射する上記セラミックスは、昇華や分解等の溶射施工
上の問題はないので、従来のZrO2,Al2O3またはCr2O3
同様にプラズマ溶射法で鋳型表面に容易に溶射できる。
【0024】上記セラミックスを溶射施工した本発明の
連続鋳造用鋳型を使用して鋳造しても、セラミックス溶
射本来の効果である凝固シェルの緩冷却や耐摩耗性の向
上を損なうことはない。このため、鋳型の抜熱速度の低
減により凝固シェルを均一に形成させ、鋳片の表面割れ
や凹みやポロシティ等の欠陥を防止しつつ表面性状の良
好な鋳片を得ることができ、また鋳型の耐摩耗性が向上
することにより鋳型寿命を長くできる。
【0025】従来の連続鋳造法,SC法,TSC法の各
連続鋳造法では、使用する鋳型の形状や大きさが異なる
が、上記したセラミックスを鋳型表面に溶射することに
より同様の効果を得ることができる。さらに、タンディ
ッシュと鋳型が直結した連続鋳造法である水平式連続鋳
造法の場合においても、溶射した鋳型を使用する場合に
本発明鋳型を適用することにより同様の効果が得られ
る。
【0026】上記したセラミックスを溶射する前に、鋳
型の母材表面にNi, Ni基合金等を下地(中間層)として
めっきしたり、 Ni-Cr合金等を下地として溶射施工して
も同様の効果が得られる。また、上記したセラミックス
を溶射した後の表面粗さについては、いずれの粗さでも
同様の効果が得られるが、特に表面が粗い(中心線平均
粗さRa=およそ3μm以上)場合、より良い効果が得ら
れる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の連続鋳造用鋳型を使用した場
合の効果を確認するために行った実施例について説明す
る。 〔実施例1(SC法)〕図3に示す双ロール横注ぎ方式
に本発明を適用した。使用したロール(鋳型)の諸元を
表1に、また操業条件を表2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】比較として、溶射材料をAl2O3 (融点:2
030℃)とした以外は同じ条件で試験を行った。本発
明のロール(鋳型)を使用したところ、試験後の溶射ロ
ール(鋳型)の表面には溶射層の剥離跡は見られず、疵
や摩耗等の損傷も見いだせなかった。得られた鋳片(幅
250mm×厚さ1.7mm)の表面にはロール表面の
溶射層の移着は見られず、表面割れや凹み,ポロシティ
等の欠陥は発生していなかった。本発明のロール(鋳
型)を使用した場合には、セラミックス溶射本来の効果
である凝固シェルを均一に形成させ、鋳片の表面割れや
凹みやポロシティ等の欠陥を防止しつつ表面性状の良好
な鋳片を得ることができた。また、ロールの耐摩耗性が
向上することによってロール(鋳型)寿命が長くなる。
【0031】一方、比較試験のAl2O3 を溶射した場合、
試験後の溶射ロール表面には疵や摩耗は見られなかった
ものの、直径2〜10mm程度の溶射層の剥離が多数見
られた。そして、鋳片の表面には剥離した溶射被膜が移
着していたり、剥離後に生成した鋳片の表面は凹凸があ
り、割れを伴う場合があった。このため、溶射本来の効
果を確認することはできなかった。
【0032】〔実施例2(従来の連続鋳造法)〕使用し
た鋳型の諸元を表3に、また操業条件を表4に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】比較として、溶射材料をZrO2(融点:27
00℃)とした以外は同じ条件で試験を行った。本発明
の鋳型を使用したところ、試験後の溶射鋳型の表面には
溶射層の剥離跡は見られず、疵や摩耗等の損傷も見いだ
せなかった。得られた鋳片(幅1000mm×厚さ10
0mm)の表面には鋳型振動によるオシレーションマー
クが見られただけで、表面割れや凹み,ポロシティ等の
欠陥は発生していなかった。本発明の鋳型を使用した場
合には、セラミックス溶射本来の効果である凝固シェル
を均一に形成させ、鋳片の表面割れや凹みやポロシティ
等の欠陥を防止しつつ表面性状の良好な鋳片を得ること
ができた。また、鋳型の耐摩耗性が向上することによっ
て鋳型寿命が長くなる。
【0036】一方、比較試験のZrO2を溶射した場合、試
験後の溶射鋳型の表面には疵や摩耗は見られなかったも
のの、湯面近傍に直径2〜10mm程度の溶射層の剥離
が多数見られた。そして、鋳片の表面にはオシレーショ
ンマーク以外に溶射層が剥離したためにできたと考えら
れる表面の凹凸や二重肌があり、割れを伴う場合があっ
た。このため、溶射本来の効果を確認することはできな
かった。
【0037】〔実施例3(TSC法)〕図4に示す傾斜
型双ベルト方式に本発明を適用した。使用したベルト
(鋳型)の諸元を表5に、また操業条件を表6に示す。
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】比較として、溶射材料をCr2O3 (融点:2
265℃)とした以外は同じ条件で試験を行った。本発
明のベルト(鋳型)を使用したところ、試験後の溶射ベ
ルト(鋳型)の表面には溶射層の剥離跡は見られず、疵
や摩耗等の損傷も見いだせなかった。得られた鋳片(幅
1000mm×厚さ50mm)の表面にはベルト表面の
移着は見られず、表面割れや凹み,ポロシティ等の欠陥
は発生していなかった。本発明のベルト(鋳型)を使用
した場合には、セラミックス溶射本来の効果である凝固
シェルを均一に形成させ、鋳片の表面割れや凹み等の欠
陥を防止しつつ表面性状の良好な鋳片を得ることができ
た。また、ベルトの耐摩耗性が向上することによってベ
ルト寿命が長くなる。
【0041】一方、比較試験のCr2O3 を溶射した場合、
試験後の溶射ベルトの表面には疵や摩耗は見られなかっ
たものの、直径2〜10mm程度の溶射層の剥離が多数
見られた。そして、鋳片の表面には剥離した溶射被膜が
移着していたり、剥離後生成した鋳片の表面には凹凸が
あり、割れを伴う場合があった。このため、溶射本来の
効果を確認することはできなかった。この他、同様にし
て行った試験の結果を本発明の鋳型を使用した場合につ
いては下記表7に、従来鋳型を使用した場合については
下記表8に示すが上記した実施例と同様の結果であっ
た。
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の連続鋳造
用鋳型では、耐熱性のあるZrO2あるいはMgO に、Al2O3,
SiO2あるいはTiO2またはこれらの混合物を添加して融点
を下げているので、溶射粒子を融点以上の高温まで十分
に加熱でき、鋳型に溶射して粒子が積層する時に粒子間
に気孔が生成しにくくなる。従って、粒子同士の結合力
が強く、溶湯やパウダーによって表層の溶射粒子が脱落
することがないので、操業中に溶射層が剥離せず鋳片や
パウダーへの移着が生じない。このため、セラミックス
溶射本来の目的である凝固シェルの緩冷却化により鋳片
の品質を向上でき、鋳型(ロール,ベルト,ブロック
等)寿命を増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単ロール方式のSC法の概念図である。
【図2】双ロール上注ぎ方式のSC法の概念図である。
【図3】双ロール横注ぎ方式のSC法の概念図である。
【図4】傾斜型双ベルト方式のTSC法の概念図であ
る。
【図5】双ブロック鋳型方式のTSC法の概念図であ
る。
【図6】ZrO2-Al2O3-TiO2 系における融点の等温線図で
ある。
【図7】ZrO2-Al2O3-SiO2 系における融点の等温線図で
ある。
【図8】MgO-SiO2-TiO2 系における融点の等温線図であ
る。
【符号の説明】
1 ロール 2 薄鋳片 3 無端ベルト 4 冷却ブロック 5 溶湯

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属を凝固させて連続的に鋳片を製
    造する連続鋳造法に使用する鋳型において、冷却してい
    る金属製鋳型の溶融金属と接触する面に、ZrO2を20〜
    80重量%、残りをAl2O3,SiO2あるいはTiO2またはこれ
    らの混合物からなる耐火材を溶射施工したことを特徴と
    する連続鋳造用鋳型。
  2. 【請求項2】 溶融金属を凝固させて連続的に鋳片を製
    造する連続鋳造法に使用する鋳型において、冷却してい
    る金属製鋳型の溶融金属と接触する面に、MgO を30〜
    70重量%、残りをSiO2あるいはTiO2またはこれらの混
    合物からなる耐火材を溶射施工したことを特徴とする連
    続鋳造用鋳型。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008534782A (ja) * 2005-03-28 2008-08-28 サルツァー・メトコ・ヴェンチャー・エルエルシー 溶射原料組成物
JP2020175394A (ja) * 2019-04-15 2020-10-29 日本製鉄株式会社 冷却ロール、双ロール式連続鋳造装置、薄肉鋳片の鋳造方法、及び、冷却ロールの製造方法

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JP2008534782A (ja) * 2005-03-28 2008-08-28 サルツァー・メトコ・ヴェンチャー・エルエルシー 溶射原料組成物
JP2020175394A (ja) * 2019-04-15 2020-10-29 日本製鉄株式会社 冷却ロール、双ロール式連続鋳造装置、薄肉鋳片の鋳造方法、及び、冷却ロールの製造方法

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