JPH10277401A - 環境浄化組成物、環境浄化材料および製造方法 - Google Patents

環境浄化組成物、環境浄化材料および製造方法

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JPH10277401A
JPH10277401A JP9089737A JP8973797A JPH10277401A JP H10277401 A JPH10277401 A JP H10277401A JP 9089737 A JP9089737 A JP 9089737A JP 8973797 A JP8973797 A JP 8973797A JP H10277401 A JPH10277401 A JP H10277401A
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JP
Japan
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environmental purification
composition
photocatalyst
organic compound
parts
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JP9089737A
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Isato Ishibashi
勇人 石橋
Sadaichi Suzuki
貞一 鈴木
Kenzo Maeda
健蔵 前田
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Original Assignee
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光触媒の活性を向上させ、長期にわたって悪
臭、有毒ガス、細菌、黴、有機物等の有害物質を効率よ
く浄化できる環境浄化組成物、それを焼成して得られる
環境浄化材料、ならびにその製造方法を得る。 【解決手段】 酸化チタン等の光触媒と、有機金属錯体
および/またはアゾ基含有有機化合物と無機質融着剤と
を含む環境浄化組成物を焼成し、または鋼板等の基材の
表面に被覆して焼成し、融着物を環境浄化材料として使
用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、悪臭、有毒ガス、
細菌、黴、有機物等の有害汚染物質(以下、有害物質と
略す)を、光触媒によるレドックス反応を利用して浄化
するための光触媒を用いた環境浄化組成物、およびそれ
を用いた環境浄化材料ならびにその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年地球環境の悪化は社会問題としてク
ローズアップされ、その関心はますます高まるばかりで
ある。環境の改善を目的として都市や公園の緑地化等行
われているものの、氾濫する自動車による排気ガス、工
場からの汚水や有毒ガス、家庭内においてはタバコの煙
や壁等に付着するヤニなどが人間の社会生活に与える影
響は大きく、浄化要求は日増しに大きくなっている。
【0003】近年、酸化チタンに代表される光触媒(ph
otocatalyst)を利用した光触媒反応の研究が盛んに行
われてきている。酸化チタンは紫外線を照射すると光化
学反応を起こし、水や各種有機物を酸化分解する性質が
あり、多くの分野にわたりその応用がなされている。例
えば空気中の低濃度窒素酸化物の除去方法として、特公
平2−62297号公報には、空気中の低濃度窒素酸化
物を300nm以上の人工光或いは太陽光を照射した二
酸化チタン−活性炭素混合物によって除去する方法が開
示されている。
【0004】また有害物質除去法として、特開平4−2
56755号公報には、光触媒を担持させた粒状パルプ
からなる光反応性有害物質除去剤に紫外線照射を行うこ
とにより、悪臭物質、刺激臭物質、園芸作物成長促進成
分等の有害物質を除去する方法が開示されている。特開
平2−273514号には粘土成形体に光触媒を担持さ
せることが開示されている。さらに光分解法として、特
開平6−233929号公報には、太陽光を長波長帯域
と短波長帯域に分光し、光触媒を分散した溶液に短波長
帯域の光を照射して光化学反応により生成物、例えば水
から水素と酸素、CO2水溶液からCH3OHとCH4
分解する方法が開示されている。
【0005】上記のように二酸化チタンなどの光触媒を
用いると、光源として人工光、太陽光、紫外線等の特定
の光を照射することにより有害物質や有機物の除去が可
能である。しかし、これらの従来の光触媒は二酸化チタ
ン等の光反応性半導体の触媒活性をそのまま利用してい
るため、その活性が律速となる。従来は有機物質除去を
効率化するための向上策については全く検討されておら
ず、有害物質の除去率を向上させるものが望まれてい
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、光触
媒の活性を向上させ、長期にわたって悪臭、有毒ガス、
細菌、黴、有機物等の有害物質を効率よく浄化すること
ができる環境浄化組成物、それを用いた環境浄化材料、
ならびにその製造方法を得ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の環境浄化
組成物、環境浄化材料および製造方法である。 (1) 光触媒と、有機金属錯体およびアゾ基含有有機
化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物と、無
機質融着材とを含む環境浄化組成物。 (2) 光触媒と、有機金属錯体およびアゾ基含有有機
化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物と、無
機質融着材と、溶媒とを含む環境浄化組成物。 (3) 上記(1)または(2)記載の環境浄化組成物
の焼成物からなる環境浄化材料。 (4) 上記(1)または(2)記載の環境浄化組成物
の焼成物を基材の表面部に有する環境浄化材料。 (5) 上記(1)または(2)記載の環境浄化組成物
を焼成して焼成物を形成することを特徴とする環境浄化
材料の製造方法。 (6) 上記(1)または(2)記載の環境浄化組成物
を基材表面に被覆して焼成することを特徴とする環境浄
化材料の製造方法。
【0008】本発明において用いられる光触媒は、特定
波長の光を照射したときに光化学反応を起こす作用を有
する物質であり、電子の充満した価電子帯、空の伝導帯
およびこれらを隔てる禁制帯で表されるエネルギー構造
を持つ半導体が好ましい。このような光触媒としては
0.5〜5eV、好ましくは1〜3eVの禁止帯幅を有
する半導体が好ましい。
【0009】このような半導体としては、例えば、二酸
化錫、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化チタン、酸
化セリウム、チタン酸バリウム、酸化第二鉄等の金属酸
化物;硫化亜鉛、硫化カドミウム、硫化鉛、セレン化亜
鉛、セレン化カドミウム等の金属カルコゲナイド;シリ
コン、ゲルマニウム等の第IV族元素;ガリウムリン、ガ
リウムヒ素、インジウムリン等のIII−V族化合物半導
体;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、
ポリアニリン、ポリビニルカルバゾール等の有機半導体
などが挙げられる。
【0010】これらの中では酸化亜鉛、三酸化タングス
テン、酸化チタン、酸化セリウム、酸化第二鉄、二酸化
錫、チタン酸バリウム等の金属酸化物が好ましく、特に
酸化チタンが優れた光触媒性および汎用性を有すること
から好ましい。酸化チタンとしては、二酸化チタンの他
に含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オ
ルトチタン酸、水酸化チタンなどがあげられる。またそ
の結晶型としては、ルチル型およびアナタース型があげ
られるが、アナタース型が好ましい。酸化チタンの製造
方法および表面処理についてはなんら限定されない。
【0011】上記の光触媒は1種単独で、または2種以
上を混合して使用することができる。光触媒の形態とし
ては粒子状のものが好ましく、粒子径は電子顕微鏡法で
1nm〜200μmのものを用いることが好ましい。
【0012】上記の光触媒はヒ素、リン、アルミニウ
ム、ホウ素、ナトリウム、ハロゲンなどの不純物をドー
プしたものも同様に使用することができ、また表面に白
金などの貴金属を担持することにより、触媒効果の向上
をはかることもできる。さらに活性炭や酸化白土などの
担体に担持したものを用いることもできる。
【0013】本発明に用いられる有機金属錯体は金属イ
オンを含む有機錯化合物であり、特に窒素含有有機金属
錯体が好ましい。このような窒素含有有機金属錯体とし
ては、フタロシアニン環含有化合物が好ましく、具体的
には、フタロシアニン、銅フタロシアニン、フタロシア
ニンチタン、鉄フタロシアニン、錫フタロシアニン、フ
タロシアニンコバルト、フタロシアニンアルミニウム、
フタロシアニンニッケル等のフタロシアニン金属錯体か
ら選ばれる1種以上のものが好ましい。
【0014】本発明に用いられるアゾ基含有有機化合物
は、分子構造中にアゾ基を含む有機化合物である。この
ようなアゾ基含有有機化合物としては、不溶性アゾ顔
料、溶性アゾ顔料、モノアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、
縮合アゾ系顔料から選ばれる1種以上であることが望ま
しい。
【0015】不溶性アゾ顔料としては、パーマネントレ
ッド4R、ジニトロアニリンオレンジに代表されるβ−
ナフトール系、ピラゾロンオレンジ、ピラゾロンレッド
に代表されるピラゾロン系、ブリリアントカーミンF
B、パーマネントカーミンFB、パーマネントレッドF
5RKに代表されるナフトールAS系、ベンツイミダゾ
ロンオレンジに代表されるベンツイミダゾロン系が挙げ
られる。溶性アゾ顔料としては、例えばパーマネントレ
ッド2B、レーキレッドR、ボルドー10B、ボンマル
ーンメジウム、ボンマルーンライト等が挙げられる。
【0016】モノアゾ系顔料としては、例えばファース
トイエローG、ファーストイエロー10G、ファースト
イエロー5GX、ファーストイエローFGL、ベンツイ
ミダゾロンイエローH3G、ベンツイミダゾロンイエロ
ーH4G等が挙げられる。ジスアゾ系顔料としては、例
えばC.I Pigment YELLOW12、C.I Pigment YELLOW13、C.
I Pigment YELLOW14、C.I Pigment YELLOW17、C.I Pigm
ent YELLOW55、C.I Pigment YELLOW81、C.I Pigment YE
LLOW83、C.I Pigment YELLOW87等が挙げられる。縮合ア
ゾ系顔料としては、例えばC.I Pigment YELLOW93、C.I
Pigment YELLOW94、C.I Pigment YELLOW95等が挙げられ
る。
【0017】これらの金属錯体およびアゾ基含有有機物
の形態はそれぞれ、粒子状または溶液に混合したスラリ
ーもしくは液体状のものが好ましく、粒子径は電子顕微
鏡法で1nm〜200μmのものが使用でき、使用に当
たっては電子顕微鏡法で1nm〜80μmであることが
好ましい。本発明では有機金属錯体およびアゾ基含有有
機化合物のいずれか一方のみを用いてもよく、また両方
を用いてもよい。
【0018】本発明において有機金属錯体および/また
はアゾ基含有有機化合物の配合量は、光触媒100重量
部に対し0.001〜400重量部、好ましくは0.0
01〜200重量部、より好ましくは0.001〜10
0重量部である。ここで有機金属錯体および/またはア
ゾ基含有有機化合物の配合量が400重量部を越える
と、光触媒が有機金属錯体および/またはアゾ基含有有
機化合物に覆われて、十分な触媒活性を示さない。また
有機金属錯体および/またはアゾ基含有有機化合物の配
合量が0.001重量部以下では、有機金属錯体および
/またはアゾ基含有有機化合物による触媒活性の上昇が
顕著でない。
【0019】本発明で用いられる無機質融着材は、光触
媒と有機金属錯体および/またはアゾ基含有有機化合物
とを結合し、またはこれらと基材または他の添加剤とを
結合させる結合材である。この無機質融着材は加熱によ
り溶融し、冷却により固化して融着する材料である。こ
のような無機質融着材としては、例えばほうろう、グラ
スライニング、セラミックコーティング等に用いられる
ほうろうフリット、ほうろうスリップ、うわぐすり等の
ガラス質材料や、粘土、金属酸化物等のセラミック材料
等があげられる。
【0020】上記のガラス質材料は、例えばK2O、S
iO2、Al23、CaO、B23、LiO2、MgO、
Femn、Mnmn、PbO、Rb2O、Ga23、S
23、Lu23、Er23、Dymn、Gd23、S
23、Nd23、Pr23、Lamn、SrO、Zr
2、TiO2、Cr23、C2S、ZnSe、ZnS、
CuI、CuBr、CuCl、AgI、CoO、Ba
O、ZnO、K2O、Na2O、F、NiO、BeO、B
eS、Cumn、Ymn、Wmn、Umn、Nbm
n(m、nは任意の自然数)等のガラス質成分を配合し
た材料である。
【0021】これらの各成分の配合割合は溶融温度その
他の条件により異なるが、一般的にはSiO2が30〜
95重量%、好ましくは30〜70重量%、Na2Oが
5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、B23
が0〜30重量%好ましくは0〜20重量%、残部が他
の成分とすることができる。溶融温度は200〜150
0℃、好ましくは300〜900℃に調整するのが好ま
しい。
【0022】上記の無機質融着材のうちほうろうフリッ
トはアルカリの割合が比較的多くて溶融温度の低い組成
であり、グラスライニング用のうわぐすりはアルカリの
割合が比較的少なくて溶融温度が比較的高い組成である
セラミックコーディングのうわぐすりはこれらのガラス
質材料にセラミックを配合したものが好ましいが、セラ
ミックを溶融するものもある。
【0023】セラミック材料はセラミックを形成する材
料であって、各種粘土のほか、前記ガラス質材料として
例示した金属酸化物その他の化合物がセラミックの組成
となるように配合されたものである。これらの各成分の
配合比は各種セラミックの種類によって異なり一般的に
規定できないが、いずれの場合も焼成により少なくとも
表面部で融着が起こり、光触媒と有機金属錯体および/
またはアゾ基含有有機化合物とを一体化し、またはこれ
らと基材を一体化するものが使用できる。
【0024】これらの無機質融着材も1種単独で用いて
もよく、また数種を併用してもよい。これらの無機質融
着材の形態としては、粉体、水分散液、有機溶剤分散液
など、使用形態に応じて任意の形態とすることができ
る。
【0025】これらの無機質融着材は環境浄化組成物の
使用形態に応じて任意に使用され、その配合量は使用形
態に応じて異なるが、一般的には光触媒100重量部に
対して固形分換算で10〜1000重量部、好ましくは
10〜600重量部、より好ましくは10〜500重量
部である。ここで1000重量部を超えると、光触媒が
無機質融着材に被覆されて、十分な光触媒性が得られな
い。
【0026】本発明で用いる溶媒は分散液ないし溶液状
の環境浄化組成物を形成するために用いられるものであ
り、水その他の溶媒が使用できる。このような溶媒とし
ては、具体的には、例えば水、塩溶液、アルコールその
他の有機溶剤、またはこれらの混合物などが挙げられ
る。塩としてはNaCl、KCl、NH4Cl、MgC
2、CaCl2などの水溶性塩が好ましい。有機溶媒と
してはアルコール、アセトン等の水溶性の溶剤が好まし
い。
【0027】溶媒の配合量は光触媒組成物100重量部
に対し、0〜1000重量部、好ましくは0〜600重
量部、より好ましくは0〜500重量部である。ここで
溶媒が1000重量部を越えると、溶液の粘度が低下し
塗布できなくなる。環境浄化組成物をそのまま焼成して
環境浄化材料を形成する場合等には溶媒は必要でない場
合があるが、液状の被覆剤として基材に塗布する場合に
は光触媒100重量部に対して10〜1000重量部、
好ましくは50〜600重量部、より好ましくは50〜
500重量部用いるのが好ましい。
【0028】上記の各成分は環境浄化組成物の使用形
態、性質等に応じて配合割合を任意に変えることができ
る。また本発明の環境浄化組成物は上記各成分のほか、
その使用形態に応じて他の成分、例えば安定剤、促進
剤、粘度調整剤等を配合することができる。
【0029】本発明の環境浄化組成物は共通の成分とし
て光触媒と、有機金属錯体および/またはアゾ基含有有
機化合物とを含むが、これらの成分のみからなる環境浄
化組成物は焼成して環境浄化材料を製造する場合に使用
される。具体的にはこのような環境浄化組成物をそのま
ままたは成形して焼成することにより、光触媒と、有機
金属錯体および/またはアゾ基含有有機化合物と無機質
融着材の融着によって一体化した成形体からなる環境浄
化材料を製造することができる。成形に際しては前記溶
媒または樹脂等のバインダーを用いて成形することがで
きる。成形品の形状としては塊状、シート状、繊維状な
ど、任意の形状とすることができる。
【0030】光触媒と有機金属錯体および/またはアゾ
基含有有機化合物と溶媒とからなる環境浄化組成物は、
基材表面に塗布して焼成することにより、無機融着剤が
融着して光触媒と有機金属錯体および/またはアゾ基含
有有機化合物とが一体化した皮膜を基材表面に形成した
環境浄化材料を製造することもできる。塗布の方法とし
ては、一般的な塗布方法、例えば刷毛塗り、エアスプレ
ー塗布、エアレススプレー塗布、ロール塗布、フローコ
ーティング、シャワーコーティング、アプリケーターに
よる塗布、電着塗布等が挙げられる。
【0031】本発明において用いられる基材としては、
例えば鋼板、軟鋼板、建材部品、ガラス、セメント構造
物など環境浄化組成物を塗装ないし内添して環境浄化材
料を形成できる全ての物が挙げられる。
【0032】焼成工程では無機質融着材は加熱により溶
融し、冷却により固化して融着するが、このとき光触媒
と有機金属錯体および/またはアゾ基含有有機化合物と
が一体化し、またこれらと基材とが固着される。焼成の
際光触媒と有機金属錯体および/またはアゾ基含有有機
化合物は熱により一部分解するが、粒状体を使用するこ
とにより表面の分解にとどめ、内部は触媒反応促進効果
を保持することができる。
【0033】
【作用】光触媒と有機金属錯体および/またはアゾ基含
有有機化合物と無機質融着材からなる環境浄化組成物を
焼成して得られた環境浄化材料はそのまま環境に放置し
て、あるいは塔等に充填して環境浄化して使用すること
ができる。また光触媒と有機金属錯体および/またはア
ゾ基含有有機化合物と無機質融着材からなる環境浄化組
成物を基材に被覆して焼成して得られた環境浄化材料
は、基材の形状、使用形態に応じて同様に環境浄化に使
用することができる。本発明の環境浄化組成物を焼成し
て得られる環境浄化材料は自然光や人工光を照射するこ
とにより、悪臭、有毒ガス、細菌、黴、有機物等の有害
物質を分解することができる。光触媒として前記半導体
を用いる場合、禁制帯以上のエネルギーを持つ光が吸収
されると、価電子帯の電子が伝導帯に励起し、この光励
起に伴い価電子帯には正孔が残る。半導体表面において
発生した励起電子と正孔が膜中の酸素や水分に働きか
け、酸素ラジカルを発生させる。この酸素ラジカルのレ
ドックス反応を利用して有害物質が除去される。
【0034】ここで有機金属錯体および/またはアゾ基
含有有機化合物が介在すると、太陽光などの自然光や蛍
光灯等の人工光などによって励起された光触媒は有機金
属錯体および/またはアゾ基含有有機化合物に効率よく
電子を伝達する。伝達によって励起された有機金属錯体
および/またはアゾ基含有有機化合物は、空気中の水分
や酸素に効率よく電子を伝達し、酸素ラジカルを発生さ
せる。この酸素ラジカルの酸化作用によって一層高い有
害ガス、雑菌、有機物等の有害物質の光分解効果が得ら
れる。
【0035】本発明の環境浄化材料は無機質融着材の融
着により光触媒と有機金属錯体および/またはアゾ基含
有有機化合物とが一体化しているため、樹脂等のバイン
ダーで一体化した場合よりも耐候安定性、耐熱安定性、
衝撃に対する安定性、反応に対する安定性等に優れ、長
期にわたって触媒反応の活性を高く維持することができ
る。
【0036】
【発明の効果】本発明の環境浄化材料は、光触媒と有機
金属錯体および/またはアゾ基含有有機化合物と、無機
質融着材の焼成物からなるため、これらの相互作用によ
り従来の光触媒を使用した環境浄化材料に比べ、塗膜や
空気中の水分や酸素を効率よく酸素ラジカルに変換する
ことができ、この酸素ラジカルの酸化作用によって一層
高い有毒ガス、雑菌、有機物等有害物質の光分解効果を
得るとともに、劣化が少なく長期にわたって使用するこ
とができる。
【0037】光触媒と有機金属錯体および/またはアゾ
基含有有機化合物と基材表面を無機質融着材で被覆した
焼成物からなる環境浄化材料は、反応活性点を表面に形
成するため、効率よく浄化作用を行うことができる。
【0038】本発明の環境浄化組成物および製造方法に
よれば、上記のような光触媒と有機金属錯体および/ま
たはアゾ基含有有機化合物とが一体化した状態の環境浄
化材料を形成することができ、これにより有害物質の光
分解効果の高い状態を維持することができる。
【0039】光触媒と有機金属錯体および/またはアゾ
基含有有機化合物とともに溶媒を用い、基材表面に被覆
して焼成することにより、表面にのみ環境浄化組成物の
層を有する環境浄化材料を形成することができ、効率よ
く、有害物質を光分解することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、実施例および比較例により
本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の
みに限定されるものではない。各例中、%および部はそ
れぞれ重量基準である。
【0041】実施例1 〈環境浄化組成物の調製〉光触媒として二酸化チタン粉
末(テイカ(株)製、商品名;JA−3(アナタース
型)粒子径:0.18μm)100部、ほうろうスリッ
プ(川鉄建材(株)製)200部およびフタロシアニン
(大日精化工業(株)製、粒径3nm)5部を混合し
た。これに溶媒としてKCl 20%水溶液400部を加え
て攪拌により分散させ、50℃で3日間放置して乾燥さ
せ、これを粉砕することにより環境浄化組成物を得た。
【0042】〈環境浄化材料の調製〉上記の環境浄化組
成物を粉体用の静電スプレーで乾燥重量が20g/m2
になるようにほうろう用鋼板に塗布し、700℃で5分
間焼成することにより実施例1の環境浄化材料を作製し
た。
【0043】実施例2 〈環境浄化組成物の調製〉光触媒として二酸化チタン粉
末(テイカ(株)製、商品名;JA−5(アナタース
型)粒子径:0.18μm)100部、ほうろうスリッ
プ(川鉄建材(株)製)300部および鉄フタロシアニ
ン(大日精化工業(株)製)10部を混合した。これに
溶媒としてKCl 20%水溶液300部を加えて攪拌によ
り分散させ、環境浄化組成物分散液を得た。
【0044】〈環境浄化材料の調製〉上記の環境浄化組
成物をエアスプレーで乾燥重量が20g/m2になるよ
うにほうろう用鋼板に塗布し、700℃で5分間焼成す
ることにより実施例2の環境浄化材料を作製した。
【0045】実施例3 〈環境浄化組成物の調製〉光触媒として二酸化チタン粉
末(テイカ(株)製、商品名;JA−3(アナタース
型)粒子径:0.18μm)100部、ほうろうスリッ
プ(川鉄建材(株)製)400部および不溶性アゾ顔料
(富士色素(株)製、商品名;ピグメントレッド17
0)10部を混合した。これに溶媒としてKCl 20%水
溶液300部を加えて攪拌により分散させ、環境浄化組
成物分散液を得た。
【0046】〈環境浄化材料の調製〉上記の環境浄化組
成物をエアスプレーで乾燥重量が20g/m2になるよ
うにほうろう用鋼板に塗布し、700℃で5分間焼成し
て実施例3の環境浄化材料を作製した。
【0047】実施例4 〈環境浄化組成物の調製〉光触媒として二酸化チタン粉
末(テイカ(株)製、商品名;JA−3(アナタース
型)粒子径:0.18μm)100部、笠岡粘土300
部および;錫フタロシアニン(山陽色素(株)製)10
部を混合した。溶媒としてKCl 20%水溶液400部を
加え攪拌により分散させ、環境浄化組成物分散液を得
た。
【0048】〈環境浄化材料の調製〉上記の環境浄化組
成物をエアスプレーで乾燥重量が20g/m2になるよ
うにほうろう用鋼板を塗布し、700℃で5分間焼成し
実施例4の環境浄化材料を作製した。
【0049】実施例5 〈環境浄化組成物の調製〉光触媒として二酸化チタン粉
末(テイカ(株)製、商品名;JA−3(アナタース
型)粒子径:0.18μm)100部、鉄フタロシアニ
ン(大日精化工業(株)製)10部、ほうろうスリップ
(川鉄建材(株)製)300部を混合した。これに溶媒
としてKCl 20%水溶液を300部加えて攪拌により分
散させ、実施例5の環境浄化組成物分散液を得た。
【0050】実施例6 〈環境浄化組成物の調製〉光触媒として二酸化チタン粉
末(テイカ(株)製、商品名;JA−3(アナタース
型)粒子径:0.18μm)100部、不溶性アゾ顔料
(富士色素(株)製;ピグメントレッド170)10
部、ほうろうスリップ(川鉄建材(株)製)300部を
混合した。これに溶媒としてKCl 20%水溶液を300
部を加えて攪拌により分散させ、実施例6の環境浄化組
成物分散液を得た。
【0051】比較例1 実施例1の浄化組成物の分散液の調製において、フタロ
シアニン顔料を添加しなかった以外は実施例1と同様に
して比較例1の環境浄化材料を作製した。
【0052】比較例2 実施例2の浄化組成物の分散液の調製において、鉄フタ
ロシアニン顔料を添加しなかった以外は実施例2と同様
にして比較例2の環境浄化材料を作製した。
【0053】比較例3 実施例3の浄化組成物の分散液の調製において、不溶性
アゾ顔料を添加しなかった以外は実施例3と同様にして
比較例3の環境浄化材料を作製した。
【0054】比較例4 実施例4の浄化組成物の分散液の調製において、錫フタ
ロシアニン顔料を添加しなかった以外は実施例4と同様
にして比較例4の環境浄化材料を作製した。
【0055】比較例5 〈環境浄化組成物の調製〉光触媒として二酸化チタン粉
末(テイカ(株)製、商品名;JA−3(アナタース
型)粒子径:0.18μm)100部、ほうろうスリッ
プ(川鉄建材(株)製)300部を混合した。溶媒とし
てKCl 20%水溶液を300部加え攪拌により分散し、
比較例5の環境浄化組成物分散液を得た。
【0056】試験例1 〈触媒活性〉実施例1〜4および比較例1〜4の環境浄
化材料を10cm×10cmの大きさにトリミングし、
15Wの紫外線灯を備えた容器中に置いて13%のアン
モニア水を5mlを添加し、環境浄化材料の15cm上
方より紫外線光を照射し、アンモニアを酸化させた。2
時間後に添加したアンモニア溶液を回収して溶液中の硝
酸、亜硝酸などの酸性成分を分離し、生成量を電位差滴
定計(平沼自動滴定装置COM−900)を用いて測定
した。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】試験例2 〈防黴効果〉実施例1〜4および比較例1〜4の環境浄
化材料を10cm×10cmの大きさにトリミングし、
JIS−Z2911−1981の黴抵抗試験方法に従い
塗膜の防黴性を調べた。試験2週間後の結果を表2で示
す。
【0059】
【表2】
【0060】試験例3 〈防黴効果〉実施例5、6および比較例5の環境浄化組
成物を培養液(日水製薬(株)製;トリプトソーヤブイ
ヨン「ニッスイ」)100部に対し10部溶解し、黒黴
および赤黴を添加した。この環境浄化材料の溶解物を攪
拌しつつ15cm上方より15Wの蛍光灯を照射した。
2週間後に培養液を濾過しその濾過液を寒天培地(日水
製薬(株)製:サブロー寒天培地「ニッスイ」)上で培
養した。結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】〈結果〉表1より光触媒性の二酸化チタン
とアゾ基含有有機化合物、若しくは有機金属錯体を含有
する環境浄化材料はいずれも、光触媒性の二酸化チタン
のみ含有するものより、極めて優れた触媒活性を示し
た。表2より光触媒性の二酸化チタンと、有機金属錯体
もしくはアゾ基含有有機化合物を含有する環境浄化材料
はいずれも、光触媒性の二酸化チタンのみ含有するもの
より、極めて優れた防黴効果を示した。表3より光触媒
性の二酸化チタンにアゾ基含有有機化合物もしくは有機
金属錯体を混合した環境浄化組成物およびそれよりえら
れる環境浄化材料はいずれも、光触媒性の二酸化チタン
のみ含有するものに比べて極めて優れた防黴効果を示
し、安定性を有することがわかる。
【0063】以上の結果より、本発明の光触媒を用いた
環境浄化組成物およびそれより得られる環境浄化材料
は、比較例のような光触媒のみ含有するものに比べて、
極めて顕著に光触媒性、有機物の分解性や防黴効果を発
揮することがわかる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒と、有機金属錯体およびアゾ基含
    有有機化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物
    と、無機質融着材とを含む環境浄化組成物。
  2. 【請求項2】 光触媒と、有機金属錯体およびアゾ基含
    有有機化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物
    と、無機質融着材と、溶媒とを含む環境浄化組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の環境浄化組成物
    の焼成物からなる環境浄化材料。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の環境浄化組成物
    の焼成物を基材の表面部に有する環境浄化材料。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の環境浄化組成物
    を焼成して焼成物を形成することを特徴とする環境浄化
    材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載の環境浄化組成物
    を基材表面に被覆して焼成することを特徴とする環境浄
    化材料の製造方法。
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