JPH10273703A - 金属焼結体の製造方法及び金属焼結体 - Google Patents

金属焼結体の製造方法及び金属焼結体

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JPH10273703A
JPH10273703A JP8024097A JP8024097A JPH10273703A JP H10273703 A JPH10273703 A JP H10273703A JP 8024097 A JP8024097 A JP 8024097A JP 8024097 A JP8024097 A JP 8024097A JP H10273703 A JPH10273703 A JP H10273703A
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JP
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setter
green body
sintering
green part
degreasing
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JP8024097A
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Shoji Yamamoto
昇司 山本
Takuya Kodama
卓弥 児玉
Jun Inahashi
潤 稲橋
Hiroshi Yamaguchi
博史 山口
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱脂、焼結時の変形のない寸法精度の良好な
金属焼結体を製造する。 【解決手段】 金属粉末と有機バインダーとの混練物に
よってグリーン体1及びグリーン体セッター2を成形す
る。グリーン体1をセッター3上に載置するに際して、
セッター3上にグリーン体セッター2を載置するととも
にこのグリーン体セッター2と前記グリーン体1との接
触面にセラミックス粉を主成分とした分離材4を塗布し
た後、グリーン体セッター2上にグリーン体1を載置し
て、脱脂および焼結処理を行う。グリーン体1とセッタ
ー3とが直接に接触しないと共に、グリーン体セッター
2がグリーン体1と同一の焼結収縮を行うため、変形の
ない焼結ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属粉末と有機バ
インダーとの混練物からなるコンパウンドを射出成形
し、脱脂及び焼結工程を経て焼結体とする金属焼結体の
製造方法及び金属焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】小物金属部品の加工方法として金属粉末
射出成形方法(Metal Injection Mo
lding、MIM)が用いられている。このMIM
は、金属粉末と有機バインダーとの混練物からなるコン
パウンドを射出成形して、成形体(グリーン体)とした
後、成形体から加熱、溶剤等によりバインダー成分を除
去する脱脂を行って脱脂体(ブラウン体)とした後、焼
結工程でブラウン体を焼結して焼結体とする製造方法で
ある。かかるMIMでは、特開平4−210405号公
報に開示されているように、セラミックス製の耐火板で
ある焼結治具(セッター)上に、グリーン体を載置し、
この載置状態のままで脱脂、焼結処理を行い焼結体を製
造している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、MIM
では、焼結時に10〜20%程度の寸法収縮が生じるた
め、セッター上に直接にグリーン体を載置すると、セッ
ター表面の状態がそのまま製品の品質に影響を与えてい
る。すなわち、セッター表面が粗い場合には、焼結収縮
時におけるセッター表面とグリーン体との間の摩擦抵抗
が大きいため、均等収縮しにくく、これにより変形やバ
ラツキが発生する。特に薄肉部分がセッター上に接触す
るような形状では、焼結収縮の駆動力が小さいため、セ
ッター面との摩擦抵抗の影響を大きく受け、より変形し
易いものとなっている。また薄肉部と厚肉部が混在する
形状の場合にも、部位により摩擦抵抗が異なるため、均
等に焼結収縮しにくく寸法精度が向上しない問題があ
る。
【0004】これに対し、セッター表面の摩擦抵抗を低
減させるため、セッター表面を研磨することも考えられ
る。ところが、変形を少なくし、寸法精度を向上させる
ためにはラップ研磨まで施す必要があり、セッターへの
処理が面倒で、コストが大幅に高くなる。
【0005】また真空下での高温焼結時に、セッターか
ら構成成分の一部が飛散し、焼結終了の冷却時に、その
飛散した成分がセッター表面に再付着して、セッターの
表面粗さを悪化させる現象が生じており、繰り返し使用
上の問題となっている。
【0006】本発明は上記問題点を鑑みてなされたもの
で、セッターとグリーン体との摩擦抵抗の悪影響を除去
し、均等な焼結収縮を可能とすることにより、変形のな
い寸法精度の良好な金属焼結体を製造することが可能な
製造方法を提供することを目的とする。又、本発明は、
この製造方法によって製造される金属焼結体を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の請求項1の発明の製造方法は、金属粉末と有機バイン
ダーとの混練物から成る成形体を脱脂、焼結して金属焼
結体を製造する方法であって、前記成形体と同一の混練
物により載置治具を形成し、この載置治具をセラミック
スから成る焼結治具上に載置すると共に、載置治具と成
形体との接触面にセラミックス粉末を主成分とした分離
材を塗布した後、分離材と接触するように成形体を載置
治具上に載置して前記脱脂及び焼結を行うことを特徴と
する。
【0008】請求項2の発明の金属焼結体は、金属粉末
と有機バインダーとの混練物により成形体及び載置治具
が成形され、載置治具に塗布されたセラミックス粉末を
主成分とした分離材に接触するように成形体が載置され
ており、前記載置治具がセラミックスからなる焼結治具
上に載置された状態で脱脂及び焼結されていることを特
徴とする。
【0009】本発明は、グリーン体と同一の混練物から
成る載置治具(以下、グリーン体セッターと記する。)
を成形し、このグリーン体セッターを焼結治具上に載置
すると共に、グリーン体セッターにおけるグリーン体と
の接触面にセラミックス粉を主成分とした分離材を塗布
し、この接触面にグリーン体を接触状態で載置して、脱
脂及び焼結を行う。このためグリーン体はグリーン体セ
ッターとは接触するが、セッターの表面とは直接に、接
触することがない。これにより、焼結収縮時にセッター
表面の摩擦抵抗を受けることがない。また、グリーン体
とグリーン体セッターは同材料であるため焼結時に同じ
収縮挙動を行うと共に、同時に収縮する。その為、グリ
ーン体はグリーン体セッターからも摩擦抵抗を受けるこ
となく円滑に焼結収縮する。
【0010】以上により、グリーン体は載置面からの摩
擦抵抗を受けることなく、焼結収縮がなされるため、載
置面との焼結収縮時の摩擦抵抗が原因で発生する載置面
部分の変形を防止することが出来る。またグリーン体と
グリーン体セッターとの接触面にはセラミックス粉から
なる分離材が塗布されているため、グリーン体とグリー
ン体セッターが焼結時に結合することがなく、焼結後に
おいても、焼結体を容易に取り出すことができる。
【0011】グリーン体セッターの作製は、グリーン体
と同じ金型を用いたファミリー取りで成形を行うことが
材料、工数の点から望ましいが、これに限ることなく汎
用性のある平板形状のグリーン体セッター用金型を用い
て、個別に成形してもよい。また、射出成形にこだわら
ずグリーン体と同材質のシートを使用しても良く、その
他いかなる手段で作製しても良い。
【0012】グリーン体セッターの形状は平板形状でも
良く、焼結するグリーン体の形状に合わせた形状でも良
い。平板形状の場合には、グリーン体セッターも脱脂、
焼結されるところから一つの部品のグリーン体セッター
としてだけではなく、その他の部品にも流用することが
できる。また、グリーン体の形状に合わせたグリーン体
セッターの場合には、複雑な形状の成形体を精度良く製
造することができる。
【0013】分離材としてのセラミックス粉末は、物理
及び化学的に安定でかつ金属との濡れ性が低いものであ
れば良く、比較的安価に入手することができるアルミナ
(Al2 3 )が望ましいが、これに限ることなくSi
2 ,BN,Si3 4 ,TiO2 −Al2 3 等を使
用しても良い。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
とともに詳細に説明する。
【0015】(実施の形態1) (構成)図1〜図3は、本発明の実施の形態1を示し、
図1は本実施の形態に使用するグリーン体を示すもの
で、(a)はその平面図、(b)は側面図、図2はグリ
ーン体の脱脂および焼結状態を示す側面図、図3は焼結
体の変形量の測定方法の平面図である。
【0016】本実施の形態において使用するグリーン体
1は、図1(a),(b)に示す如く、長方形の平板状
となっており、長さ方向の中央部に丸穴1aを有してい
る。このグリーン体1の寸法については、幅Wが4.5
mm、長さLが12.5mm、厚さTが2.5mmであ
り、丸穴1aの直径Dは3.5mmである。この実施の
形態では、SUS316Lの金属粉末100重量部と、
有機バインダーとして、パラフィンワックス、アクリ
ル、ポリスチレン、ステアリン酸を合計11重量部混練
してコンパウンドとし、このコンパウンドを射出成形し
てグリーン体とした。グリーン体1の成形は射出成形機
のシリンダー温度を最高で160℃に設定して行った。
グリーン体1の脱脂は大気雰囲気で最高350℃の温度
で加熱することにより行った。脱脂体を焼結する条件は
最高温度1320℃、Ar雰囲気5Torr下で行っ
た。また、本実施の形態で使用したセッター3はアルミ
ナ純度99.6%の平板状であり、表面粗さはJIS
B0031の▽仕上げ記号で▽▽▽のものを使用した。
【0017】まず、上述したコンパウンドを用いてグリ
ーン体1とグリーン体セッター2を射出成形した。グリ
ーン体セッター2の形状は厚さ1.5mmの平板状であ
る。そして、得られたグリーン体セッター2を図2に示
す如くセッター3上に載置する。さらにこのグリーン体
セッター2のグリーン体1との接触面に、セラミックス
粉末からなる分離材として粒度#80のアルミナ粉末4
を厚さ10mm程度で均一に塗布した後、その上にグリ
ーン体1を載置した。以上のように載置されたグリーン
体1を脱脂炉内で、上述した脱脂条件で脱脂した後、焼
結炉内で上述した焼結条件で焼結を行い、図3に示す金
属焼結体10とした。
【0018】表1は、この焼結体10の薄肉部A,Bの
変形量を光学測長機(「LMM−250」オリンパス光
学工業(株)製)にて測定した結果を示す。同表におけ
る変形量の測定方法は図3に示すように薄肉部A,Bの
最も膨らんだ部分から肉厚部の平坦部5,6へ垂線を降
ろした垂線の長さである。
【0019】比較例1として、グリーン体セッター2を
使用することなく、グリーン体1を直接に、セッター3
上に載置し、同条件で脱脂、焼結を行った際の焼結体の
変形量を測定し、その結果についても表1に示した。
【0020】表1より、比較例1においては薄肉部Aが
0.062mm,薄肉部Bが0.051mmと変形量が
大きいのに対して、本実施の形態では薄肉部Aが0.0
09mm、薄肉部Bが0.007mmと減少している。
またバラツキ(標準偏差)については、表1には示して
いないが全長、肉厚寸法共に比較例1より本実施の形態
の方が小さくなっていることが確認された。
【0021】以上のことを考察すると、比較例1では、
グリーン体1をセッター3上に直接に載置しているた
め、焼結収縮時に摩擦抵抗を大きく受け、特に焼結駆動
力の小さい薄肉部は、厚肉部に比較して焼結収縮されに
くく、焼結収縮が均等に行われずに薄肉部の変形が生じ
たといえる。
【0022】これに対して、本実施の形態では、グリー
ン体1をセッター3上に直接に載置していないため、焼
結収縮時にセッター3の表面との摩擦抵抗を受けること
がなく、またグリーン体1とグリーン体セッター2が同
材料であるため、焼結時に同じ収縮量で同時に収縮す
る。このため、グリーン体1はグリーン体セッター2か
らの摩擦抵抗を受けることなく、均等に焼結収縮がなさ
れる。これにより、変形のない寸法精度の良好な金属焼
結体を得ることができたものである。
【0023】(実施の形態2)図4及び図5は本発明の
実施の形態2を示し、図4はグリーン体20を示すもの
で、(a)は平面図、(b)は中央縦断面図、図5は脱
脂および焼結状態を示す断面図である。
【0024】グリーン体20は、図4に示す如く、薄肉
の円筒体7dと、円筒体7dの一方の外側に突設された
突起7aと、この突設7aとの対向側の外側の上下位置
に突設された2個の突起7b,7cとを有した形状とな
っている。円筒体7dは長さLが22.5mm、外径D
が14.5mm、内径dが10.5mmである。
【0025】この実施の形態では、SUS630の金属
粉末100重量部と、有機バインダーとして、パラフィ
ンワックス、アクリル、ポリスチレン、ステアリン酸を
合計10重量部混練してコンパウンドとし、このコンパ
ウンドを射出成形してグリーン体とした。グリーン体2
0の成形は、射出成形機のシリンダー温度を最高で16
0℃に設定して行った。グリーン体20の脱脂は大気雰
囲気で最高350℃の温度で加熱することにより行っ
た。脱脂体を焼結する焼結は最高温度1320℃、Ar
雰囲気5Torr下で行った。本実施の形態で使用した
セッター9は実施の形態1と同じアルミナ純度99.6
%の平板からなり、表面粗さはJIS B0031の▽
仕上げ記号で▽▽▽のものを使用した。
【0026】まず、実施の形態1と同様に、上述したコ
ンパウンドを用いてグリーン体20とグリーン体セッタ
ー8を射出成形した。グリーン体セッター8の形状は、
厚さ2.5mmの平板状である。そして、このグリーン
体セッター8をセッター9上に載置する。さらにグリー
ン体セッター8のグリーン体20との接触面にセラミッ
クス粉末からなる分離材としてて、粒度#100のアル
ミナ粉末15を塗布し、その上にグリーン体20を載置
した。この状態のままで脱脂炉内で上述の条件で脱脂し
た後、焼結炉内で上述した条件で焼結を行い金属焼結体
とした。
【0027】表1に、この実施の形態で得られた焼結体
の外径寸法(D2)と内径寸法(d2)の変形量を真円
度測定機で測定した結果を示す。変形量は外径寸法D,
内径寸法dそれぞれの実測最大寸法から、真円に換算さ
れた時の外径、内径寸法をそれぞれ差し引いた値とし
た。
【0028】比較例2として、グリーン体セッター8を
使用することなく、直接にグリーン体20をセッター9
上に載置し、同条件で脱脂、焼結を行った際の焼結体の
変形量を測定した。その結果についても表1に示す。
【0029】表1より、比較例2においては外径寸法
(D2)の変化量が0.173mm,内径寸法(d2)
の変化量が0.138mmと大きいのに対して、本実施
の形態では外径寸法D2が0.022mm、内径寸法d
2が0.016mmと減少している。またバラツキ(標
準偏差)については、表1には示していないが、円筒体
7dの全長、外径、内径寸法いずれも比較例2よりも、
本実施の形態の方が小さくなっていることが確認でき
た。
【0030】比較例2では、グリーン体20はセッター
9に直接に載置している為、焼結収縮時の摩擦抵抗が大
きく、焼結収縮が行われずに薄肉部の変形が生じたもの
である。グリーン体20は薄肉の円筒形状であるのに加
え突起7a,7b,7cが外周上に形成されている為、
載置面にかかる自重も部位によって異なっている。この
ため摩擦抵抗の影響をさらに大きく受け、均等に収縮さ
せることが難しくなっている。
【0031】これに対して、本実施の形態では、グリー
ン体20をセッター9上に直接に載置していないため、
焼結収縮時にセッター9の表面との摩擦抵抗を受けるこ
とがなく、またグリーン体20とグリーン体セッター8
が同材料であるため、焼結時に同じ収縮量で同時に収縮
しする。このためグリーン体20はグリーン体セッター
8からの摩擦抵抗を受けることなく、均等に焼結収縮が
なされる。これにより、変形の少ない寸法精度の良好な
金属焼結体を作製することができた。
【0032】(実施の形態3)図6及び図7は本発明の
実施の形態3を示し、図6はグリーン体セッターを示す
ものであって、(a)は平面図、(b)は中央縦断面
図、図7はグリーン体の脱脂および焼結状態を示す断面
図である。
【0033】実施の形態において使用するグリーン体2
1は、実施の形態2のグリーン体20と同一のものであ
るが、グリーン体セッター12は実施の形態2と異なっ
ている。このグリーン体セッター12は図6に示すよう
に、平板状の本体12aの中央部に、グリーン体21の
円筒体7dが挿入される凹部14が設けられている。凹
部14はグリーン体21の円筒体7dの外径に対応する
内径を有している。
【0034】コンパウンドとしては、実施の形態2と同
様に、SUS630の金属粉末100重量部と、有機バ
インダーとして、パラフィンワックス、アクリル、ポリ
スチレン、ステアリン酸を合計10重量部混練したもの
を用いた。グリーン体21の成形は、射出成形機のシリ
ンダー温度を最高で160℃に設定して行った。そし
て、グリーン体21の脱脂は大気雰囲気内で最高温度3
50℃で加熱を行うことにより行った。脱脂後の焼結は
最高1320℃、Ar雰囲気5Torr下で行った。本
実施の形態にて使用したセッター12は実施の形態2と
同じ材質のアルミナ純度99.6%からなり、表面粗さ
はJIS B0031の▽仕上げ記号で▽▽▽のものを
使用した。
【0035】まず、実施の形態2と同様に、上述したコ
ンパウンドを用いてグリーン体21とグリーン体セッタ
ー12を射出成形した。グリーン体セッター12の寸法
は、本体12aが厚さ10mmからなり、凹部14はグ
リーン体21の円筒体7dが挿入でき且つ分離材を塗布
できるだけのクリアランス0.1mmを有した直径1
4.6mmに成形した。
【0036】図7に示す如く、グリーン体セッター12
をセッター13上に載置し、セラミックス粉末からなる
分離材として粒度#100のアルミナ粉末16をグリー
ン体21の円筒部との接触面となるグリーン体21の凹
部14の底部17及び側面部18に塗布する。そして、
この凹部14内にグリーン体21の円筒体7dを挿入し
た。この状態で脱脂炉内で上述した条件で脱脂した後、
焼結炉内で上述した条件で焼結を行い金属焼結体とし
た。
【0037】表2に、この実施の形態で得られた焼結体
の外径寸法(D3)と内径寸法(d3)の変形量を真円
度測定機で測定した結果を示す。変形量は実施の形態2
と同様にして算出した。本実施の形態では外径寸法(D
3)の変形量が0.011mm,内径寸法(d3)の変
形量が0.068mmと小さいものである。また、バラ
ツキ(標準偏差)については、表1には示していない
が、円筒体7dの全長、外径、内径寸法いずれも比較例
2より小さくなっていることを確認した。
【0038】この実施の形態では、実施の形態1、2と
同様に変形量の少ない寸法精度の良好な金属焼結体を得
ることができる。これに加えてグリーン体セッター12
に形成された凹部14の側面の焼結駆動力によりグリー
ン体7の円筒体7dの外側も所定形状に倣うため、より
寸法精度を向上させる事ができる。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、焼結治具と成
形体との摩擦抵抗を除去できるため、焼結収縮時の部位
による収縮挙動の差がなくなって、均等に焼結収縮させ
ることができ、変形のない寸法精度の良好な金属焼結体
を製造することが可能となる。請求項2の発明によれ
ば、変形のない寸法精度の良い金属焼結体とすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施の形態1のグリーン体の平面図、
(b)はグリーン体の側面図である。
【図2】実施の形態1の脱脂、焼結状態を示す側面図で
ある。
【図3】実施の形態1の焼結体の変形量の測定方法を示
す平面図である。
【図4】(a)は実施の形態2のグリーン体の平面図、
(b)はグリーン体の中央縦断面図である。
【図5】実施の形態2の脱脂、焼結状態を示す断面図で
ある。
【図6】(a)は実施の形態3のグリーン体セッターの
平面図、(b)はグリーン体セッターの断面図である。
【図7】実施の形態3の脱脂、焼結状態を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1,20,21 グリーン体 2,8,12 グリーン体セッター 3,9,13 セッター 4,15,16 分離材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年4月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】まず、上述したコンパウンドを用いてグリ
ーン体1とグリーン体セッター2を射出成形した。グリ
ーン体セッター2の形状は厚さ1.5mmの平板状であ
る。そして、得られたグリーン体セッター2を図2に示
す如くセッター3上に載置する。さらにこのグリーン体
セッター2のグリーン体1との接触面に、セラミックス
粉末からなる分離材として粒度#80のアルミナ粉末4
を厚さ10μm程度で均一に塗布した後、その上にグリ
ーン体1を載置した。以上のように載置されたグリーン
体1を脱脂炉内で、上述した脱脂条件で脱脂した後、焼
結炉内で上述した焼結条件で焼結を行い、図3に示す金
属焼結体10とした。 以上
フロントページの続き (72)発明者 山口 博史 東京都谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリン パス光学工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属粉末と有機バインダーとの混練物か
    ら成る成形体を脱脂、焼結して金属焼結体を製造する方
    法であって、 前記成形体と同一の混練物により載置治具を形成し、こ
    の載置治具をセラミックスから成る焼結治具上に載置す
    ると共に、載置治具と成形体との接触面にセラミックス
    粉末を主成分とした分離材を塗布した後、分離材と接触
    するように成形体を載置治具上に載置して前記脱脂及び
    焼結を行うことを特徴とする金属焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属粉末と有機バインダーとの混練物に
    より成形体及び載置治具が成形され、載置治具に塗布さ
    れたセラミックス粉末を主成分とした分離材に接触する
    ように成形体が載置されており、前記載置治具がセラミ
    ックスからなる焼結治具上に載置された状態で脱脂及び
    焼結されていることを特徴とする金属焼結体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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