JPH10272649A - シボ模様を持つ反応射出成形体とその製法および金型装置 - Google Patents

シボ模様を持つ反応射出成形体とその製法および金型装置

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JPH10272649A
JPH10272649A JP9481897A JP9481897A JPH10272649A JP H10272649 A JPH10272649 A JP H10272649A JP 9481897 A JP9481897 A JP 9481897A JP 9481897 A JP9481897 A JP 9481897A JP H10272649 A JPH10272649 A JP H10272649A
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JP
Japan
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mold
grain pattern
temperature
cavity
reaction
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JP9481897A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Ozeki
宏 大関
Masahiro Funaki
正博 舟木
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Zeon Corp
Cleanup Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Cleanup Corp
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Publication date
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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 細かな凹凸模様であるシボ模様が表面に形成
された反応射出成形体を容易に成形することができる反
応射出成形体の製造方法、およびそれに用いる金型装置
と、シボ模様が形成された反応射出成形体とを提供する
こと。 【解決手段】 第1金型41と第2金型42とを有する
金型装置40を用い、キャビティ内周面にシボ模様転写
面84が形成された第2金型42の温度を第1金型41
の温度よりも高い状態で、金型装置40のキャビティ4
3内に反応原液を注入し、反応射出成形を行う。第2金
型42の温度が第1金型41の温度よりも高くなるよう
に、第2金型42の温度を制御する熱媒体流路82が設
けてある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シボ模様を持つ反
応射出成形体とその製法および金型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】反応射出成形(以下、RIMとも言う)
法は、二以上の反応原液をミキシングチャンバで混合し
て金型のキャビティに送り込み、金型内で反応させつつ
射出成形を行う製法である。このRIM法は、ノルボル
ネン系モノマーからポリマー(成形品)を成形する場合
などに好適に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】RIM成形体は、耐衝
撃性などの機械的特性に優れ、大型の成形も容易である
ことから、多方面の技術分野において用いられることが
検討されている。たとえばRIM成形体で防水パンを成
形しようとする試みが成されている。
【0004】一方、防水パンの表面にシボ模様を成形し
たい場合がある。
【0005】シボ模様としては、梨地状シボ模様、皮地
状シボ模様、布地状シボ模様、石目状シボ模様、木目状
シボ模様、幾何学模様のシボ模様、あるいはその他のシ
ボ模様などがあるが、これらのシボ模様は、日本工業規
格(JIS)で規定する表面粗さの最大高さRmaxが
25s〜1000s程度であり、あるいは凸部の最大高
さ(凸部の頂部と凹部の底部との間の最大距離)が0.
5〜5mmである。従来の技術では、このような細かな凹
凸を有するシボ模様を反応射出成形体の表面に一体的に
形成することは困難であった。
【0006】本発明は、このような実状に鑑みてなさ
れ、細かな凹凸模様であるシボ模様が表面に形成された
反応射出成形体を容易に成形することができる反応射出
成形体の製造方法、およびそれに用いる金型装置と、シ
ボ模様が形成された反応射出成形体とを提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、反応射出
成形体の表面に、細かな凹凸模様であるシボ模様を成形
する方法について鋭意検討した結果、キャビティ内周面
にシボ模様転写面が形成された第2金型の温度を第1金
型の温度よりも高い状態で、金型装置のキャビティ内に
反応原液を注入し、反応射出成形を行うことで、反応射
出成形体の表面に良好なシボ模様が成形されることを見
い出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】すなわち、本発明に係る反応射出成形体の
製造方法は、第1金型と第2金型とを有する金型装置を
用い、キャビティ内周面にシボ模様転写面が形成された
第2金型の温度を第1金型の温度よりも高い状態で、金
型装置のキャビティ内に反応原液を注入し、反応射出成
形を行うことを特徴とする。
【0009】本発明に係る金型装置は、第1金型と第2
金型とが割面で組み合わされることにより、内部にキャ
ビティが形成される反応射出成形用の金型装置であり、
シボ模様転写面がキャビティ内周面に形成された第2金
型の温度が第1金型の温度よりも高くなるように、これ
ら金型の温度を制御する温度制御手段を有する。
【0010】前記第2金型と、前記第1金型とが、線膨
張率が異なる材質で構成してあり、第2金型と第1金型
との温度差により、これら金型の熱膨張量の絶対値が略
等しくなるような材質で構成してあることが好ましい。
このような材質の組合せとしては、第1金型が鋳造アル
ミニウム製金型、第2金型がニッケルなどの高融点金属
層がレジコンで裏打ちされた電鋳製金型である組合せで
ある。レジコンとは、樹脂とアルミ粉末などを含むコン
クリート製型材である。
【0011】本発明において、温度制御手段とは、金型
の内部を循環する熱媒体用流路と、その流路に熱媒体を
循環させるポンプと、熱媒体を一定温度に保持する熱交
換部とを含む。熱媒体としては、温水、オイル、スチー
ムなどが用いられる。熱交換部には、ヒータまたは冷却
装置が装着してある。なお、温度制御手段は、金型の内
部に直接埋め込まれたヒータなどの加熱手段や、冷却素
子などの冷却手段であっても良い。
【0012】本発明において、第2金型の温度は、第1
金型の温度より、好ましくは20〜50°C、さらに好
ましくは20〜40°C程度高いことが好ましい。第1
金型の温度は、好ましくは30〜70°C、さらに好ま
しくは40〜60°Cである。このような温度範囲に設
定することで、第2金型のキャビティ内周面に形成され
たシボ模様転写面の形状が成形体に良好に転写される傾
向にある。
【0013】第1金型が鋳造アルミニウム製金型、第2
金型がニッケルメッキ電鋳製金型である場合には、それ
ぞれの線膨張率は、α1 =23×10-6/°K、α2
13.3×10-6/°Kである。室温を10°Cと仮定
し、鋳造アルミニウム製第1金型を45°Cに設定し、
ニッケルメッキ電鋳製第2金型を70°Cに設定したと
して、それぞれの線膨張度を求めると、第1金型では、
α1 ×(45−10)=8.05×10-4であり、第2
金型では、α2 ×(70−10)=7.98×10-4
あり、両者はほぼ等しくなる。したがって、第1金型と
第2金型との間に温度差を設けても、両者の熱膨張の絶
対量は略等しくなり、成形品の寸法精度に悪影響を与え
ることがない。
【0014】本発明において、反応射出成形に用いる反
応原液としては、特に限定されないが、ウレタン系、ウ
レア系、ナイロン系、エポキシ系、不飽和ポリエステル
系、フェノール系および、ノルボルネン系などが挙げら
れ、一般的成形条件としては、反応原液温度は20〜8
0°C、反応原液の粘性は、たとえば、30°Cにおい
て、5cps〜3000cps好ましくは100cps
〜1000cps程度である。
【0015】かかる成形においては、補強材を予め金型
内に設置しておき、その中に反応液を供給して重合させ
ることにより強化ポリマー(成形品)を製造することが
できる。
【0016】補強材としては、例えば、ガラス繊維、ア
ラミド繊維、カーボン繊維、超高分子量ポリエチレン繊
維、金属繊維、ポリプロピレン繊維、アルミコーティン
グガラス繊維、木綿、アクリル繊維、ボロン繊維、シリ
コンカーバイド繊維、アルミナ繊維などを挙げることが
できる。これらの強化材は、長繊維状またはチョップド
ストランド状のものをマット化したもの、布状に織った
もの、チョップ形状のままのものなど、種々の形状で使
用することができる。これらの補強材は、その表面をシ
ランカップリング材等のカップリング剤で処理したもの
が、樹脂との密着性を向上させる上で好ましい。配合量
は、特に制限はないが、成形体全重量当たり、通常10
重量%以上、好ましくは20〜60重量%である。
【0017】また、酸化防止剤、充填剤、顔料、着色
剤、発泡剤、難燃剤、摺動付与剤、エラストマー、ジシ
クロペンタジエン系熱重合樹脂およびその水添物など種
々の添加剤を配合することにより、得られるポリマーの
特性を改質することができる。酸化防止剤としては、フ
ェノール系、リン系、アミン系など各種のプラスチック
・ゴム用酸化防止剤がある。充填剤にはミルドガラス、
カーボンブラック、タルク、炭酸カルシウム、水酸化ア
ルミニウム、雲母などの無機質充填剤がある。エラスト
マーとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプ
レン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチ
レン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SB
S)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合
体(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリ
マー(EPDM)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EV
A)およびこれらの水素化物などがある。
【0018】添加剤は、通常、予め反応液のいずれか一
方または双方に混合しておく。金型内は不活性ガスでシ
ールし、重合反応に用いる成分類は窒素ガスなどの不活
性ガス雰囲気下で貯蔵し、かつ操作することが好まし
い。金型圧力は、通常0〜100Kg/cm2 の範囲で
ある。重合時間は、適宜選択すればよいが、通常、反応
液の注入終了後、30秒〜20分である。
【0019】本発明では、反応原液の注入圧は、2×1
5 〜5×105 Paであることが好ましい。この注入
圧が低すぎると、第2金型のキャビティ内周面に形成さ
れたシボ模様転写面の転写が良好に行われない傾向にあ
り、注入圧が高すぎると、金型の剛性を高くしなければ
ならず経済的でない。
【0020】また、本発明では、金型装置のキャビティ
内への反応原液の注入開始から反応が急激に進んで、生
成樹脂の表面よりわずかに白煙が上がるまでの時間t’
と、注入開始から充填完了までの充填時間tとの比であ
るゲルタイム比(t’/t)は、通常1.5〜20であ
り、好ましくは2〜15であり、より好ましくは4〜1
2である。ゲルタイムが上記の範囲より大きいと、反応
が遅いので、成形体の表面外観が悪くなり、また、サイ
クルが遅く量産できない。反対にゲルタイムが小さい
と、シボは形成されず、また充填が不十分となる。上記
t’は、成形体の大きさにもよるが、通常、100秒〜
300秒であり、好ましくは、150秒〜250秒であ
る。また、上記tは、成形体の大きさにもよるが、通
常、5秒〜100秒であり、好ましくは、8秒〜50秒
である。成形体が防水パンの場合、tは、20秒〜50
秒である。
【0021】このような範囲となるように、反応を調節
する方法としては、公知の方法に従えばよく、例えば、
特開平3−146516号公報、特開平4−33731
8号公報に開示されている方法がある。特開平3−14
6516号公報には、反応の調節剤として5−ビニルビ
シクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン(ビニルノルボ
ルネン)、5−イソプロペニルビシクロ[2,2,1]
ヘプト−2−エンのような5−アルケニル−2−ノルボ
ルネン類を用いるノルボルネン系ポリマーの製造方法が
記載されており、特開平4−337318号公報には、
活性調節剤として、5−エチニル−2−ノルボルネンな
どの5−アルキニル−2−ノルボルネン類を用いること
が示されている。ゲルタイム比を上述した範囲に設定す
ることで、第2金型のキャビティ内周面に形成されたシ
ボ模様転写面の転写が良好となる。
【0022】
【作用】本発明に係る金型装置を用いた反応射出成形体
の製造方法では、キャビティ内周面にシボ模様転写面が
形成された第2金型の温度を第1金型の温度よりも高い
状態で、金型装置のキャビティ内に反応原液を注入し、
反応射出成形を行う。その結果、従来では不可能と考え
られていたシボ模様を持つ反応射出成形体の成形が可能
になる。第2金型のシボ模様転写面の形状が良好に反応
射出成形体の表面に転写されるためである。
【0023】このように第2金型のシボ模様転写面の形
状が良好に反応射出成形体の表面に転写される理由は、
第2金型の温度を第1金型の温度よりも高く設定するこ
とで、温度が高い第2金型のキャビティ内周面に接する
部分から、より早く反応原液の反応が開始するためと考
えられる。
【0024】本発明の方法により得られる成形体の表面
に形成されたるシボ模様としては、特に限定されず、J
ISで規定する表面粗さの最大高さRmaxが25s〜
1000s程度(好ましくは50s〜900s)のシボ
模様でも、あるいは、シボ模様の凹凸をJISで規定す
ることができない場合には、凸部の最大高さ(凸部の頂
部と凹部の底部との間の最大距離;シボが形成された平
面に垂直方向距離)が0.5〜5.0mm(好ましくは
1.0〜4.0mm)のシボ模様でも良い。
【0025】なお、シボ模様の種類としては、定性的に
は、梨地状シボ模様、皮地状シボ模様、布地状シボ模
様、石目状シボ模様、木目状シボ模様、ダイヤモンドカ
ット形状などの幾何学模様状シボ模様などがあり、これ
らシボ模様は、絵柄模様あるいは文字模様と組み合わせ
て用いることができる。梨地状シボ模様、皮地状シボ模
様、布地状シボ模様などは、JISの表面粗さの規定に
よれば、Rmaxが25s〜1000s程度となり、J
ISにより特定することが可能である。ところが、石目
状シボ模様、木目状シボ模様などは、JISの表面粗さ
の規定により特定することが困難であり、JISに代わ
る基準として、凸部の最大高さを用い、特定することが
できる。この基準によれば、石目状シボ模様、木目状シ
ボ模様などは、凸部の最大高さが0.5〜5mmであるシ
ボ模様として、特定することができる。
【0026】本発明に係るシボ模様を持つ反応射出成形
体の具体的用途は、特に限定されず、防水パン、バスタ
ブ、バンパー、化粧板、建設部材などである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るシボ模様を持
つ反応射出成形体とその製法および金型装置を、図面に
示す実施形態に基づき、詳細に説明する。
【0028】図1は本発明の一実施形態に係る防水パン
の平面図、図2は図1に示すII−II線に沿う概略断面
図、図3(A)は防水パンに成形された梨地状シボ模様
の平面図、図3(B)は同図(A)に示すB−B線に沿
う要部断面図、図4は金型装置の概略構成図、図5は図
4に示すV−V線に沿う要部断面図、図6は金型のキャ
ビティ内周面を示す要部断面図、図7(A)は本発明の
他の実施形態に係る皮地状シボ模様の平面図、図7
(B)は同図(A)に示すB−B線に沿う要部断面図、
図8は本発明の他の実施形態に係る布地状シボ模様の平
面図、図9は本発明の他の実施形態に係る石目状シボ模
様の平面図、図10は本発明の他の実施形態に係る木目
状シボ模様の要部断面図である。
【0029】図1,2に示すように、本実施形態に係る
シボ模様を持つ反応射出成形体は、防水パン10であ
る。この防水パン10は、ユニットバスに用いられる防
水パンであって、平面側から見て(図1参照)、矩形状
に形成してあり、浴槽30を載置する浴槽パン部1と、
入浴者の洗い場となる洗い場パン部2とを有する。
【0030】この防水パン10は、床置き式の防水パン
であり、図2に示すコンクリート床面50上に、レベル
調節用ボルト60,60,…を用いて載置される。
【0031】図1に示すように、洗い場パン部2の裏面
には、防水パン10自体の剛性を高めるためのリブ6,
6,…が、当該防水パン10の外周縁部5に対して30
゜〜60゜、好ましくは40゜〜50゜、より好ましく
は45゜の角度をもって形成してある。本実施形態の防
水パン10は、ゲートが設けられる外周縁部5に対して
直角に反応液が注入されるので、このようにリブ6を略
45゜に傾斜させることにより、リブ形成部分に対する
反応液の回り込みをより円滑に行うことができる。ま
た、洗い場パン部2には、その表面に幅6mm程度の溝
7aと、その裏面にリブ7bを有する目じり部7が形成
してある。なお、図1は防水パンの平面図であり、裏側
にリブ6,6,…が形成してある。
【0032】一方、浴槽パン部1には、図2に示す浴槽
30が載置されるが、そのための載置部8が一般面より
上方に隆起して形成してある。また、浴槽パン部1と洗
い場パン部2との境界部分には、エプロン20を取り付
けるための隆起部3が形成されている。エプロン20と
は、浴槽30の周縁部31と防水パン10との隙間を隠
蔽するための化粧板であって、浴槽30の周縁部31か
ら隆起部3に向かって湾曲して垂れ下がるように取り付
けられる。このエプロン20を取り付けるために、本実
施形態の防水パン10においては、隆起部3の両端に、
取付フランジ4が防水パン10と一体に形成されてい
る。すなわち、反応射出成形を行う際に隆起部3と取付
フランジ4とが一体的に形成される。そして、この取付
フランジ4と浴槽30の周縁部31との間にエプロン2
0を取り付け、テクスネジなどをエプロン20及び取付
フランジ4に貫通させ、これにより当該エプロン20を
固定する。なお、図1,2において、符号「9」は排水
口、符号「70」は壁材である。
【0033】本実施形態では、防水パン10の洗い場パ
ン部2の表面に、滑り止め効果を高めるためなどの目的
で、図3(A),(B)に示す梨地状のシボ模様2aが
形成してある。梨地状のシボ模様2aは、果物の梨の表
面のような模様であり、相互に独立した微小凸部がラン
ダム状に形成してある模様である。この梨地状シボ模様
2aの表面粗さは、JISの最大高さRmaxで表示す
れば、25s〜1000s、好ましくは50s〜900
sである。
【0034】このような本実施形態の防水パン10は、
ノルボルネン系モノマーの反応射出成形(RIM)によ
り製造することができる。図4に示すように、反応射出
成形に用いる金型装置40は、第1金型41と第2金型
42とを有する。これら金型41,42の割面を合わせ
ることで、金型装置40内部には、キャビティ43が形
成される。本実施形態では、第1金型41が凹状金型
(キャビ型)であり、第2金型42が凸状金型(コア
型)である。キャビティ43の形状は、得られる成形品
の形状に対応し、本実施形態では、図1,2に示す防水
パン10を成形するために適した形状である。
【0035】図4,5に示すように、本実施形態では、
第1金型41と第2金型42との割面に、キャビティ4
3に連通するフィルムゲート44とランナー45とが形
成してある。ランナー45は、縦断面が半円形状になっ
ている。このランナー45には、スプール46が接続し
てある。スプール46は、図4,5に示すように、ミッ
クスチャンバー47に接続してあり、ミックスチャンバ
ー47には、A液タンク48と、B液タンク49とに接
続してある。これらタンク48,49とミックスチャン
バーとの間には、図示省略してあるポンプが装着してあ
る。
【0036】本実施形態では、図4に示すように、キャ
ビティ43の最下端にフィルムゲート44が形成してあ
り、その下にランナー45およびスプール46が形成し
てある。このようにゲート44をキャビティ43の下端
1箇所に形成することで、ゲート44からキャビティ4
3内に反応原液が都合良く入り込み、キャビティ43内
部に未充填箇所が形成され難くなる。また、注入時に、
キャビティ43内のガスが、上部割面または別途設けた
逃し口から都合良く抜けて行くので、反応原液に泡など
が生じ難くなる。
【0037】本実施形態では、図5に示すフィルムゲー
ト44の幅L1 は、キャビティ43の幅Lの60〜10
0%の長さ、好ましくは80〜100%の幅である。
【0038】本実施形態では、フィルムゲート44の厚
みは、0.5〜4.0mmであることが好ましい。このフ
ィルムゲート44での反応原液の流速は、0.5〜5m
/秒と成るように設計することが好ましい。本実施形態
では、成形体が防水パンの場合、キャビティ43内への
反応原液の注入開始から注入終了までの充填時間tが、
20〜50秒と成るように、ポンプの能力に合わせてゲ
ート44の厚みと幅L1 が設計してある。
【0039】フィルムゲート44の手前に位置するラン
ナー45の横断面積(流路方向に垂直な断面)は、ゲー
ト44の横断面積よりも大きく設計してある。すなわ
ち、ランナー45およびフィルムゲート44を順次通過
する反応原液は、順次絞られるように流れる。ランナー
45の長手方向長さL2 は、ゲート44の長手方向長さ
1 よりも長くしてある。
【0040】本実施形態では、成形体当り使用する反応
原液の量は、通常、5kg〜100kgであり、好まし
くは10kg〜70kgの大型の成形体を成形すること
ができる。成形体が防水パンの場合、使用する反応原液
の量は、30kg〜70kgが適している。
【0041】図4に示す金型41,42の内部には、図
6に示すように、熱媒体用流路82が形成してあり、金
型41,42のキャビティ43側温度をそれぞれ一定温
度に成るようにしてある。熱媒体用流路82は、金型に
空隙を形成することにより金型に直接形成しても良い
が、パイプなどを埋め込むことにより形成しても良い。
熱媒体用流路82は、できる限りキャビティ43に近い
位置に設けることが好ましい。キャビティ43の温度制
御を行うためである。
【0042】この熱媒体用流路82には、ポンプなどの
循環手段が装着してあり、熱交換部で一定温度に加熱さ
れた温水を循環させるようになっている。熱交換部で
は、ヒータなどの加熱手段または冷却素子などの冷却手
段により、流路82に流れる熱媒体の温度を一定に保つ
ように制御する。
【0043】本実施形態では、第1金型41を鋳造アル
ミニウムで構成してある。第2金型42は、電鋳製金型
で構成してある。図6に示すように、電鋳製金型から成
る第2金型42は、金属メッキ層80の裏面をレジコン
81で裏打ちしてある。金属メッキ層80は、たとえば
ニッケル、銅などで構成してあり、その層厚は、好まし
くは1〜10mm、さらに好ましくは3〜6mmである。レ
ジコン81は、エポキシ樹脂、ポリエステルなどの樹脂
と、アルミニウム粉末などとを含むコンクリートで構成
してある。電鋳製の第2金型には、図6に示すように、
金属メッキ層80の近くのレジコン81内部に熱媒体用
流路82が形成してある。本実施形態では、第2金型4
2に埋め込まれる熱媒体用流路82の配置間隔が、図4
に示す第1金型41に埋め込まれる熱媒体用流路の配置
間隔よりも狭いことが好ましい。アルミニウム製金型よ
りも電鋳製金型の方が熱がこもり易いので、流路82の
配置間隔を密にして、温度制御を正確にするためであ
る。
【0044】本実施形態では、熱媒体による温度制御に
より、第2金型42の温度を第1金型41の温度よりも
好ましくは20〜50°C、さらに好ましくは20〜4
0°C程度高く設定する。具体的には、第1金型41を
45°Cに設定し、第2金型42を75°Cに設定す
る。
【0045】しかも本実施形態では、電鋳製金型である
第2金型42のキャビティ内周面に装着された金属メッ
キ層80の表面に、シボ模様転写面84が形成してあ
る。このシボ模様転写面84は、シボ模様の原型母型か
ら反転して転写して作製され、電鋳加工により作製され
る。このシボ模様転写面84の反転シボ模様が、キャビ
ティ43で成形される反応射出成形体の表面に反転して
転写され、成形体の表面には、図3に示すようなシボ模
様が形成される。
【0046】次に、本実施形態に係る反応射出成形方法
について説明する。
【0047】まず、図4に示す金型41,42相互の割
面を合わせ、型締めする。型締め時の圧力は、特に限定
されないが、0〜100Kg/cm2 である。型閉の時
点では、金型内部には、反応原液が注入されておらず、
金型内の温度は、温度制御された金型自体の温度であ
り、第1金型41の温度は45°Cであり、第2金型4
2の温度は75°C程度である。
【0048】型締めと同時に、本実施形態では、図示省
略してあるパージ手段により、キャビティ内部を乾燥さ
せるため、ドライエア又は窒素をパージしても良い。こ
のパージにより、図4に示すキャビティ43の内部は、
窒素ガスで置換され、キャビティ43の内部は、0〜3
kg/cm2 (ゲージ圧)程度の窒素ガスで満たされ
る。窒素パージを行うことで、キャビティ内の湿気を追
い出し、反応原液の失活を防止することができ、成形体
の表面での反応性が良好になり、かつ金型の内周面の汚
れも防止できる。この窒素パージは、反応原液の注入開
始直前まで行われる。
【0049】本実施形態では、反応射出成形は、ノルボ
ルネン系モノマーを用いた反応射出成形である。この反
応射出成形に際して好ましく使用されるノルボルネン系
モノマーとしては、例えば、ジシクロペンタジエンやジ
ヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、
トリシクロペンタジエン等のノルボルネン環を有するシ
クロオレフィンを挙げることができる。
【0050】また、このノルボルネン系モノマーを用い
た反応射出成形において使用することができるメタセシ
ス触媒としては、例えば、六塩化タングステン、トリド
デシルアンモニウムモリブデート、トリ(トリデシル)
アンモニウムモリブデート等のモリブデン酸有機アンモ
ニウム塩等のノルボルネン系モノマーの塊状重合用触媒
として公知のメタセシス触媒であれば特に制限はない
が、モリブデン酸有機アンモニウム塩がより好ましい。
【0051】活性剤(共触媒)としては、塊状重合でノ
ルボルネン系モノマーを開環重合できるメタセシス触媒
を活性化できるものであれば特に限定されず、公知のも
のでよい。たとえば、アルキルアルミニウム、アルキル
アルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウ
ムハライド、アリールオキシアルキルアルミニウムハラ
ロイド、有機スズ化合物等が挙げられる。
【0052】活性剤の使用量は、特に限定されないが、
多すぎると、重合反応液の反応の立ち上がりが早くなる
傾向にあるため、通常、反応液全体で使用するメタセシ
ス触媒1モルに対して、0.1モル以上、好ましくは1
モル以上、且つ100モル以下、好ましくは10モル以
下である。活性剤を用いないか、またはその使用量が少
なすぎると、重合活性が低すぎて反応に時間がかかるた
め生産効率が悪くなる傾向にある。活性剤は、通常、モ
ノマーに溶解して用いるが、塊状重合による成形体の性
質を本質的に損なわない範囲であれば、少量の溶剤に懸
濁または溶解させたうえで、モノマーと混合することに
より、析出し難くしたり、溶解性を高めても良い。
【0053】本実施形態においては、上記活性剤に活性
調整剤を併用する。活性調整剤を併用することにより、
反応速度や、反応液の混合から反応開始までの時間、反
応活性などを変化させることができる。
【0054】活性調整剤としては、特開平6−9308
7号公報に開示されているようなアルコール類、ハロア
ルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、ニト
リル化合物などが例示される。アルコール類の具体例と
しては、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキ
サノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、t−ブチルアルコールなどが例
示され、ハロアルコール類の具体例としては、1,3−
ジクロロ−2−プロパノール、2−クロロエタノール、
1−クロロブタノールなどが例示される。
【0055】反応射出成形の前準備として、ノルボルネ
ン系モノマー、メタセシス触媒及び活性剤を主材とする
反応射出成形用材料をノルボルネン系モノマーとメタセ
シス触媒とよりなるA液と、前記のノルボルネン系モノ
マーと活性剤とよりなるB液との安定な2液に分けて、
それぞれを別のタンク48,49に入れておく。
【0056】反応射出成形に際しては、この2液をミキ
シングチャンバー47で混合し、次いで、この混合液
を、スプール46、ランナー45およびフィルムゲート
44を通してキャビティ43内部に注入する。注入開始
から注入終了までの充填時間tは、成形体の大きさなど
により決定される。本実施形態では、反応原液となる配
合液の配合活性は、充填時間tの4〜12倍に設定して
ある。
【0057】また、本発明では、金型装置のキャビティ
内への反応原液の注入開始から反応が急激に進んで、生
成樹脂の表面よりわずかに白煙が上がるまでの時間t’
と、注入開始から充填完了までの充填時間tとの比であ
るゲルタイム比(t’/t)は、通常1.5〜20であ
り、好ましくは2〜15であり、より好ましくは4〜1
2である。ゲルタイムが上記の範囲より大きいと、反応
が遅いので、成形体の表面外観が悪くなり、また、サイ
クルが遅く量産できない。反対にゲルタイムが小さい
と、シボは形成されず、また充填が不十分となる。上記
t’は、成形体の大きさにもよるが、通常、100秒〜
300秒であり、好ましくは、150秒〜250秒であ
る。また、上記tは、成形体の大きさにもよるが、通
常、5秒〜100秒であり、好ましくは、8秒〜50秒
である。成形体が防水パンの場合、tは、20秒〜50
秒である。
【0058】このような範囲となるように、反応を調節
する方法としては、公知の方法に従えばよく、例えば、
特開平3−146516号公報、特開平4−33731
8号公報に開示されている方法がある。特開平3−14
6516号公報には、反応の調節剤として5−ビニルビ
シクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン(ビニルノルボ
ルネン)、5−イソプロペニルビシクロ[2,2,1]
ヘプト−2−エンのような5−アルケニル−2−ノルボ
ルネン類を用いるノルボルネン系ポリマーの製造方法が
記載されており、特開平4−337318号公報には、
活性調節剤として、5−エチニル−2−ノルボルネンな
どの5−アルキニル−2−ノルボルネン類を用いること
が示されている。その量についても記載されている。ゲ
ルタイム比を上述した範囲に設定することで、第2金型
のキャビティ内周面に形成されたシボ模様転写面の転写
が良好となる。
【0059】本実施形態では、反応原液の注入圧は、2
×105 〜5×105 Paであることが好ましい。この
注入圧が低すぎると、第2金型42のキャビティ内周面
に形成されたシボ模様転写面84の転写が良好に行われ
ない傾向にあり、注入圧が高すぎると、金型41,42
の剛性を高くしなければならず経済的でない。
【0060】注入終了後に重合反応が開始し、反応終了
後、除冷され、注入終了後の約120〜150秒後に、
型開きされ、成形体が取り出される。成形体には、フィ
ルムゲート44およびランナー45に対応した形状の余
分な成形部分が一体に形成されるが、これらは、成形後
に除去される。本実施形態では、ゲート44およびラン
ナー45に相当する部分の体積が、比較的小さいので、
材料の無駄になる部分も少ない。
【0061】本実施形態に係る金型装置40を用いた反
応射出成形では、1箇所の注入口(フィルムゲート4
4)からキャビティ43内へ反応原液の充填を行うこと
ができる。しかも、その際に、フィルムゲート44の幅
1 が、キャビテ43の幅Lの60〜100%の長さで
あることから、液の流れの乱れがなく、成形体の中心部
からの注入でも、未充填箇所が発生しない。また、本実
施形態では、多点からの注入でないことから、各注入口
からの充填量のバランスを取る必要がなく、充填量の管
理のみでよいため、充填制御が容易である。
【0062】さらに、本実施形態では、第2金型42の
温度を、第1金型41の温度よりも約30°C程度に高
く設定したので、金型のキャビティ43内に反応原液が
注入されると、温度が高い第2金型42に接する部分か
らより速く反応が開始し、得られる成形体の表面に、図
3(A)に示すようなシボ模様2aが良好に転写して形
成される。なお、従来では、このようなシボ模様を反応
射出成形体の表面に転写することは不可能であると考え
られていた。
【0063】このようにして得られた本実施形態に係る
シボ模様を持つ反応射出成形体である防水パン10は、
ポリノルボルネン系樹脂で構成してあるので、きわめて
破壊し難く、耐衝撃性に優れている。しかも、洗場パン
部2の表面にシボ模様2aが形成してあるので、滑り難
く、外観的にも優れている。さらに、このようなシボ模
様2aは、反応射出成形時に一体的に形成されるので、
シボ模様を形成するための特別な作業工程を必要とせ
ず、製造コストの低減にも寄与する。
【0064】なお、本発明は、上述した実施形態に限定
されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変する
ことができる。
【0065】たとえば、成形体の外表面にシボ模様2a
を形成したい場合には、図4に示す第1金型41を電鋳
製とし、第2金型42を鋳造アルミニウム製とし、第1
金型41の温度を第2金型42の温度よりも、好ましく
は20〜50°C、さらに好ましくは20〜40°C程
度高く設定すれば良い。さらに、キャビティ43の形状
は、図1,2に示す例に限定されず、種々に改変可能で
ある。キャビティ43には、何らかの挿入体を予め配置
し、その挿入体と金型内周面との間に反応射出成形する
こともできる。
【0066】また、本発明の方法により成形される反応
射出成形体の表面に形成されるシボ模様は、図3に示す
模様に限定されず、種々に改変することができる。たと
えば図7(A),(B)に示すような獣の皮を模したよ
うな皮地状シボ模様2bでも、図8に示すような布地の
表面を模したような布地状シボ模様2cでも良い。これ
ら皮地状シボ模様2bおよび布地状シボ模様2cは、J
ISで規定する表面粗さの最大高さRmaxが25s〜
1000s程度(好ましくは50s〜900s)のシボ
模様である。
【0067】また、図9に示すように、石の表面を模し
たような石目状シボ模様2dでも、図10に示すよう
に、木材の表面の模様を模したような木目状シボ模様2
eであっても良い。これら石目状シボ模様、木目状シボ
模様などは、JISの表面粗さの規定により特定するこ
とが困難であり、JISに代わる基準として、凸部の最
大高さを用い、特定することができる。この基準によれ
ば、石目状シボ模様2d、木目状シボ模様2eなどは、
凸部の最大高さが0.5〜5.0mm(好ましくは1.0
〜4.0mm)であるシボ模様として、特定することがで
きる。
【0068】
【実施例】以下、本発明を、さらに具体的な実施例に基
づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されな
い。なお、部や%などは、特に断わりがない限り、重量
基準である。
【0069】実施例1 図4に示す第1金型41を鋳造アルミニウムで構成し、
第2金型42を電鋳製金型で構成し、そのキャビティ側
内周面に、図6に示すようなシボ模様転写面84を、電
気鋳造加工により形成した。シボ模様転写面84に形成
された反転シボ模様は、JISで規定する表面粗さの最
大高さRmaxが300sであるような図3に示す梨地
状シボ模様の反転シボ模様である。
【0070】また、ジシクロペンタジエン(DCP)9
0重量%と非対称型シクロペンタジエン3量体10重量
%とから成るノルボルネン系モノマーと、該混合モノマ
ー全量に対し3重量%のビニルノルボルネン(遅延剤)
とを2つのタンクに入れ、一方にはモノマーに対しジエ
チルアルミニウムクロリド(DEAC)を40ミリモル
濃度、1,3−ジクロロ−2−プロパノール(dcPr
OH)48ミリモル濃度に成るように添加した(A
液)。他方には、モノマーに対し、トリ(トリデシル)
アンモニウムモリブデートを10ミリモル濃度となるよ
うに添加した(B液)。これらA液およびB液は、図4
に示すそれぞれのタンク48,49に貯留した。これら
の反応原液のアルコキシ化比は、1.1であり、ゲルタ
イム比(t’/t)は、tが約30秒、t’が約180
秒であったので、6となった。
【0071】図4に示す鋳造アルミニウム製第1金型4
1およびニッケルメッキ層を有する電鋳製第2金型42
の内部に装着された熱媒体流路82(図6参照)に温水
を流すことで、第1金型41の温度を45°Cに設定
し、第2金型42の温度を75°Cに設定した。この時
のそれぞれの金型の線膨張係数は、第1金型においては
α1=23×10-6/°Kであり、第2金型ではα2=1
3.3×10-6/°Kであった。
【0072】次に、ミックスチャンバー47を用いて、
スプール46、ランナー45およびゲート44を通し
て、キャビティ43内に、同容量のA液とB液とを混合
して注入し、約5分程度経過した後、金型内から反応射
出成形体を取り出した。
【0073】取り出した成形体において、第2金型42
と接する表面を観察したところ、図6に示す第2金型4
2のシボ模様転写面84の反転シボ模様が、成形体の表
面に良好に反転して転写され、図3に示す良好なシボ模
様2aが形成されたことが確認された。
【0074】また、100ショットの成形を行い、成形
品の板厚(設計値で6mm)のバラツキを調べたところ、
絶対値で0.5mm以内に収まり、製造歩留まりは良好で
あることが確認された。
【0075】実施例2 図4に示す第1金型41を鋳造アルミニウムで構成し、
第2金型42を電鋳製金型で構成し、そのキャビティ側
内周面に、シボ模様転写面を、電気鋳造加工により形成
した。シボ模様転写面に形成された反転シボ模様は、凸
部の最大高さが3.0mmである図9に示す石目状シボ模
様2dの反転シボ模様であった。
【0076】実施例1と同様にして、ジシクロペンタジ
エン(DCP)90重量%と非対称型シクロペンタジエ
ン3量体10重量%とから成るノルボルネン系モノマー
と、該混合モノマー全量に対し3重量%のビニルノルボ
ルネン(遅延剤)とを2つのタンクに入れ、一方にはモ
ノマーに対しジエチルアルミニウムクロリド(DEA
C)を40ミリモル濃度、1,3−ジクロロ−2−プロ
パノール(dcPrOH)48ミリモル濃度に成るよう
に添加した(A液)。他方には、モノマーに対し、トリ
(トリデシル)アンモニウムモリブデートを10ミリモ
ル濃度となるように添加した(B液)。これらA液およ
びB液は、図4に示すそれぞれのタンク48,49に貯
留した。これらの反応原液のアルコキシ化比は、1.1
であり、ゲルタイム比(t’/t)は、tが約30秒、
t’が約180秒であったので、6となった。
【0077】図4に示す鋳造アルミニウム製第1金型4
1およびニッケルメッキ層を有する電鋳製第2金型42
の内部に装着された熱媒体流路82(図6参照)に温水
を流すことで、第1金型41の温度を45°Cに設定
し、第2金型42の温度を75°Cに設定した。各々の
金型の線膨張係数は実施例1と同様である。
【0078】次に、ミックスチャンバー47を用いて、
スプール46、ランナー45およびゲート44を通し
て、キャビティ43内に、同容量のA液とB液とを混合
して注入し、約5分程度経過した後、金型内から反応射
出成形体を取り出した。
【0079】取り出した成形体において、第2金型42
と接する表面を観察したところ、反転シボ模様が、成形
体の表面に良好に反転して転写され、図9に示す良好な
石目状シボ模様2dが形成された。
【0080】また、100ショットの成形を行い、成形
品の板厚(設計値で6mm)のバラツキを調べたところ、
絶対値で0.5mm以内に収まり、製造歩留まりは良好で
あることが確認された。
【0081】実施例3 図4に示す第1金型41を鋳造アルミニウムで構成し、
第2金型42を電鋳製金型で構成し、そのキャビティ側
内周面に、図10に示すような木目状シボ模様2eに対
応するシボ模様転写面を、電気鋳造加工により形成し
た。シボ模様転写面に形成された反転シボ模様は、凸部
の最大高さが1.5mmである図9に示す木目状シボ模様
2dの反転シボ模様であった。
【0082】実施例1と同様にして、ジシクロペンタジ
エン(DCP)90重量%と非対称型シクロペンタジエ
ン3量体10重量%とから成るノルボルネン系モノマー
と、該混合モノマー全量に対し3重量%のビニルノルボ
ルネン(遅延剤)とを2つのタンクに入れ、一方にはモ
ノマーに対しジエチルアルミニウムクロリド(DEA
C)を40ミリモル濃度、1,3−ジクロロ−2−プロ
パノール(dcPrOH)48ミリモル濃度に成るよう
に添加した(A液)。他方には、モノマーに対し、トリ
(トリデシル)アンモニウムモリブデートを10ミリモ
ル濃度となるように添加した(B液)。これらA液およ
びB液は、図4に示すそれぞれのタンク48,49に貯
留した。これらの反応原液のアルコキシ化比は、1.1
であり、ゲルタイム比(t’/t)は、tが約30秒、
t’が約180秒であったので、6となった。
【0083】図4に示す鋳造アルミニウム製第1金型4
1およびニッケルメッキ層を有する電鋳製第2金型42
の内部に装着された熱媒体流路82(図6参照)に温水
を流すことで、第1金型41の温度を45°Cに設定
し、第2金型42の温度を75°Cに設定した。各々の
金型の線膨張係数は、実施例1と同様である。
【0084】次に、ミックスチャンバー47を用いて、
スプール46、ランナー45およびゲート44を通し
て、キャビティ43内に、同容量のA液とB液とを混合
して注入し、約5分程度経過した後、金型内から反応射
出成形体を取り出した。
【0085】取り出した成形体において、第2金型42
と接する表面を観察したところ、反転シボ模様が、成形
体の表面に良好に反転して転写され、図10に示す良好
な木目状シボ模様2eが形成された。
【0086】また、100ショットの成形を行い、成形
品の板厚(設計値で6mm)のバラツキを調べたところ、
絶対値で0.5mm以内に収まり、製造歩留まりは良好で
あることが確認された。
【0087】比較例1 第1金型41と第2金型42の設定温度を同じ50°C
とした以外は、前記実施例1と同様にして、反応射出成
形を行い、反応射出成形体を取り出した。
【0088】成形体の第2金型側表面を観察したとこ
ろ、10cm角の面積内に、0.1〜0.5mmの微小泡
が観察され、良好な転写が行われず、シボ模様が形成さ
れなかった。また、100ショットの成形を行い、成形
品の板厚(設計値で6mm)のバラツキを調べたところ、
絶対値で2.0mmであった。
【0089】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、キャビティ内周面にシボ模様転写面が形成された第
2金型の温度を第1金型の温度よりも高い状態で、金型
装置のキャビティ内に反応原液を注入し、反応射出成形
を行う。その結果、従来では不可能と考えられていたシ
ボ模様を持つ反応射出成形体の成形を、きわめて簡便な
方法で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る防水パンの平
面図である。
【図2】図2は図1に示すII−II線に沿う概略断面図で
ある。
【図3】図3(A)は防水パンに成形された梨地状シボ
模様の平面図、図3(B)は同図(A)に示すB−B線
に沿う要部断面図である。
【図4】図4は金型装置の概略構成図である。
【図5】図5は図4に示すV−V線に沿う要部断面図で
ある。
【図6】図6は金型のキャビティ内周面を示す要部断面
図である。
【図7】図7(A)は本発明の他の実施形態に係る皮地
状シボ模様の平面図、図7(B)は同図(A)に示すB
−B線に沿う要部断面図である。
【図8】図8は本発明の他の実施形態に係る布地状シボ
模様の平面図である。
【図9】図9は本発明の他の実施形態に係る石目状シボ
模様の平面図である。
【図10】図10は本発明の他の実施形態に係る木目状
シボ模様の要部断面図である。
【符号の説明】
2a〜2e… シボ模様 10… 防水パン(反応射出成形体) 40… 金型装置 41… 第1金型 42… 第2金型 43… キャビティ 44… ゲート 45… ランナー 46… スプール 47… ミックスチャンバー 48,49… タンク 80… 金属メッキ層 81… レジコン 82… 熱媒体用流路 84… 金属メッキ層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シボ模様が表面に形成された反応射出成
    形体。
  2. 【請求項2】 第1金型と第2金型とを有する金型装置
    を用い、 キャビティ内周面にシボ模様転写面が形成された第2金
    型の温度を第1金型の温度よりも高い状態で、金型装置
    のキャビティ内に反応原液を注入し、反応射出成形を行
    うことを特徴とする反応射出成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】 第1金型と第2金型とが割面で組み合わ
    されることにより、内部にキャビティが形成される反応
    射出成形用の金型装置であり、 シボ模様転写面がキャビティ内周面に形成された第2金
    型の温度が第1金型の温度よりも高くなるように、これ
    ら金型の温度を制御する温度制御手段を有する金型装
    置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20220042637A (ko) * 2020-09-28 2022-04-05 롯데케미칼 주식회사 대리석 외관을 갖는 성형품

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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