JPH10271804A - 半導体スイッチング装置、これを使用した半導体スタック装置および電力変換装置 - Google Patents

半導体スイッチング装置、これを使用した半導体スタック装置および電力変換装置

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JPH10271804A
JPH10271804A JP9076888A JP7688897A JPH10271804A JP H10271804 A JPH10271804 A JP H10271804A JP 9076888 A JP9076888 A JP 9076888A JP 7688897 A JP7688897 A JP 7688897A JP H10271804 A JPH10271804 A JP H10271804A
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JP
Japan
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semiconductor switching
gate
current
switching element
electrode
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JP9076888A
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Tomohiro Kobayashi
知宏 小林
Fumio Mizohata
文雄 溝畑
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リング状のゲート端子を有する半導体スイッ
チング素子を備えた半導体スイッチング装置の製品化を
図る上において、この半導体スイッチング素子とゲート
ドライバとを平板状の導体で結合しておりスタックとし
て組み立てた場合、その外形寸法が大きくなり、その寸
法低減が大きな課題になる。 【解決手段】 GTO100とゲートドライバ200と
を接続する電流路をフレキシブル配線基板110Bで構
成する。 【効果】 半導体スタック装置としての外形寸法が大幅
に低減し、低インダクタンスの電流路が実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ゲート電極を有
する半導体スイッチング素子、および電流路を介して上
記半導体スイッチング素子のゲート電極とカソード電極
との間にターンオフ電流を供給するゲートドライバを備
えた半導体スイッチング装置、この半導体スイッチング
装置を使用してなる半導体スタック装置および電力変換
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体スイッチング装置の回路構
成の一例を、図24に示す。同図において、参照符号3
Pは半導体スイッチング素子であり、ここでは、それは
GTO(ゲートターンオフ・サイリスタ)である。GT
O3Pのゲートとカソード間には、ゲートターンオン制
御電流IGPを発生させるゲートドライバ4Pが接続され
ており、同ドライバ4Pは、上記ゲートターンオン制御
電流IGPをGTO3Pのゲートに印加することで、GT
O3Pをターンオンさせる。更に、同ドライバ4Pは、
電流変化率dIGQP/dtが20〜50A/μsで与え
られるゲート逆電流IGQPをゲートからカソードに向け
て通電する。このゲート逆電流IGQPは、アノード電流
APより分流したものである。このとき、ターンオフゲ
インは2〜5までの範囲内の値となり、GTO3Pはタ
ーンオフする。
【0003】又、アノード電極とカソード電極間電圧V
AKPの上昇率(dVAKP/dt)とサージ電圧とを抑える
ために、一般にスナバ回路が用いられる。ここでは、ス
ナバ回路は、次の通りに構成される。即ち、スナバコン
デンサCsとスナバダイオードDSとがGTO3Pに対
して並列に接続されており、また、GTO3Pのターン
オフ時にスナバコンデンサCsに充電された電荷を放電
するために、スナバ抵抗RSがスナバダイオードDSに対
して並列に接続されている。
【0004】又、インダクタンス1Pは、GTO3Pが
ターンオンしたときに流れる陽極電流IAPの上昇率dI
AP/dtを1000A/μs以下に抑えるためのもので
あり、インダクタンス1Pに対して並列接続された還流
ダイオード2Pは、GTO3Pがターンオフした時にイ
ンダクタンス1Pに発生したエネルギーを還流させるた
めのものである。
【0005】尚、インダクタンスLsは、上記スナバ回
路の配線の浮遊インダクタンスである。
【0006】上記の半導体スイッチング装置の回路に対
して、ターンオフ試験を実施して得られた実測波形を、
図25に示す。同図において、波形C1P、C2P及び
C3Pは、それぞれ陽極電流IAP、アノード電極とカソ
ード電極間電圧VAKP及びゲート逆電流IGQPを示す波形
であり、横軸は時間軸である。
【0007】図25において、時刻tP1ではGTO3
Pはターンオン状態にあり、ゲート逆電流IGQPは0の
状態にある。この時に、ゲート逆電流IGQPの上昇率d
GQP/dtの絶対値を20〜50A/μsとしてゲー
ト逆電流IGQPを立ち上げ、GTO3P自身が持つター
ンオフゲイン(陽極電流IAP/ゲート逆電流IGQPで与
えられる比の絶対値)のしきい値に当該ターンオフゲイ
ンが達すると(時刻tP2)、陽極電流IAPは減少し始
め、GTO3Pのアノード電極とカソード電極間電圧V
AKPが上昇し始める。この時、前述したスナバ回路側に
も電流ISが流れ出すこととなり、この電流ISの上昇率
とスナバ回路のインダクタンス(スナバインダクタン
ス)Lsにより電圧が発生し、この電圧がアノード電極
とカソード電極間電圧VAKPに重畳される結果、スパイ
ク電圧VDSPが発生する(時刻tP3)。このスパイク
電圧VDSPは、電力損失の原因となる。例えば、約40
00Aの電流が流れるときは、上記電力ロスは数MWに
もなる。そのため、このスパイク電圧VDSPを出来る限
り低い値に抑える必要があり、従来よりスナバインダク
タンスLSを低減する努力が続けられてきた。
【0008】又、スパイク電圧VDSPの発生後のアノー
ド電極とカソード電極間電圧VAKPの上昇率dVAKP/d
tが急峻に変化し、陽極電流IAPに極大値が発生し(時
刻tP4)、それ以後は、テール電流が発生する。その
ため、このテール電流と上記電圧VAKPとの積により、
電力損失が更に発生する。そして、上記電圧VAKPは、
時刻tP5において、ピーク電圧に達する。その後は、
上記電圧VAKPは、電源電圧VDDに到達する。
【0009】そこで、このような上昇率dVAKP/dt
を抑制するために、既述したスナバコンデンサCSが必
要となる。その容量値は、IAP/(dVAKP/dt)で
表され、通常は、dVAKP/dt≦1000V/μsの
関係式を満足するように選定されている。
【0010】図26及び図27は、図24で示した従来
の半導体スイッチング装置で用いられているGTO3P
の構造(同構造は、GTO素子のパッケージと2つのス
タック電極に大別される。)を示した図であり、両図
は、ゲートドライバ4Pを含めて図示されている。その
内、図26は、図27に示す矢印方向DP2から眺めた
GTO3Pの側面図を示すものであるが、その内の一部
分だけは断面図形式で以て表示されている。又、図27
は、図26に示す矢印方向DP1からGTO3Pを見た
ときのスタック電極27Paを除いた部分の平面図であ
る。
【0011】両図26、27において、各参照符号は以
下の部材を示す。即ち、20PはGTO素子、4PLは
ゲートドライバ4Pの内部インダクタンス、21P及び
22Pは、それぞれ、共に同軸構成のシールド線もしく
はツイストされたリード線からなるゲート外部リード
(ゲート取り出し線)及びカソード外部リード(カソー
ド取り出し線)である。そして、GTO素子20Pのゲ
ート端子25Pとゲート外部リード21Pの一端とを金
属性の連結部材23Pに溶接又は半田付けすることによ
り、又は嵌合することにより、両者25P、21Pを一
体化すると共に、カソード端子26Pとカソード外部リ
ード22Pの一端とを金属性の連結部材24Pに溶接又
は半田付けして、又は嵌合して、両者26P、22Pを
一体化する。これにより、両端子25P、26Pは、そ
れぞれ上記リード21P、22Pを介してゲートドライ
バ4Pに接続される。
【0012】参照符号27Pa、27Pbは、GTO素
子20Pを加圧するためのスタック電極である。
【0013】参照符号28PはGTOのセグメントが形
成された半導体基板であり、半導体基板28Pの上側表
面の最外周部上にA1(アルミニウム)のゲート電極2
9Paが形成され、そのゲート電極29Paよりも内側
の上記上側表面上にカソード電極29Pbが各セグメン
トに対応して形成されている。又、30P及び31P
は、それぞれ半導体基板28Pの上側表面上のカソード
電極29Pbの上側表面上に順次積載して配設されたカ
ソード歪緩衝板及びカソードポスト電極であり、他方、
32P及び33Pは、それぞれ半導体基板28Pの裏面
に形成されたアノード電極(図示せず)(上記裏面中、
カソード電極29Pbとは、反対側に位置する面に該当
している)上に順次積載されたアノード歪緩衝板及びア
ノードポスト電極である。
【0014】又、34Pは半導体基板28Pのゲート電
極29Paの上側表面に接したリング状ゲート電極、3
5Pは環状絶縁体36Pを介してリング状ゲート電極3
4Pをゲート電極29Paに押圧する皿バネ、37P
は、リング状ゲート電極34Pをカソード歪緩衝板30
P及びポスト電極31Pから絶縁するための絶縁シート
であり、38Pは、その一端がリング状ゲート電極34
Pにろう付けあるいは溶接などによって固着され且つそ
の他端がゲート端子25Pに電気的に接続されたゲート
リードであり、39Pは、その一他がカソードポスト電
極31Pに固着され且つ他端がカソード端子26Pをな
した第1のフランジであり、40Pはアノードポスト電
極33Pにその一端が固着された第2のフランジであ
り、41Pは、その開口の内面上にゲート端子25Pが
配設された、しかも突起部42Pを有する絶縁筒であ
り、絶縁筒41Pの上下面より突出した両端部43P
a、43Pbはそれぞれ第1及び第2のフランジ39P
及び40Pと気密に固着されており、これによりGTO
素子20Pは密閉された構造となっている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従来の半導体スイッチ
ング装置には、大別して2つの問題点がある。
【0016】(1)先ず、その第一は、例えば図27に示
したように、ゲート逆電流の取り出しリード21Pがリ
ング状ゲート電極34Pの内の局所的な部分から取り出
されているという点である。このため、ゲート逆電流の
取り出しが一方向となる。その結果、ターンオフ時に、
カソード電流の不均一が発生し、上述したスパイク損失
やテール電流による損失という電力損失が全てGTO内
部のカソード面の一部に局部的に集中し、局部的な温度
上昇の発生によりGTOの各素子ないし各セグメントが
破壊されて導通状態となり、結果的にターンオフが失敗
するという事態が起こる蓋然性が高いという問題点があ
り、このため装置としての信頼性に問題が生じていた。
【0017】この点を模式的に説明するのが、図28の
GTO素子の平面図と、図29のGTO素子の断面図で
ある。図29は、図28に示す線CSA−CSBに関す
る縦断面図にあたる。即ち、円柱状のウェハ内に形成さ
れたGTOの各素子の内で、リング状ゲート電極34P
に近い領域、例えば領域REO内に形成されたものほ
ど、そのゲート逆電流は、それよりも内側の領域REI
にあるGTO素子の場合よりも、より一層早く引き抜か
れることとなり、従って、より早くターンオフされるこ
ととなる。それに対して、ウェハ中心部の領域REC内
に形成されたGTOのセグメントは最もターンオフする
のに長い時間を必要とすることとなり、この中心部領域
REC内の各セグメントのカソード電極へ向けて、その
周りの各セグメントからカソード電流IKが流入してく
ることとなるので、GTOのウェハ内部の一部に電流集
中が生じてしまうのである。
【0018】(2)第2の問題点は、スナバ回路、特にス
ナバコンデンサの存在に起因するものである。即ち、上
述したように、ターンオフ時にスナバコンデンサCs
(図24)にチャージアップされた電荷は、次回のター
ンオフ迄にこれを完全に放電しておく必要がある。そこ
で、GTO3Pのターンオン時にスナバ抵抗RSを通し
て上記電荷を放電しているが、このため、大きな電力損
失が生じている。この時のスナバ抵抗RSに生じる消費
電力の容量は、PW=1/2*Cs*f(VDD 2+(V
DM−VDD2)の関係式で表される。ここで、VDDは電
源電圧、VDMはスナバコンデンサCSがターンオフ時に
チャージアップされたときの電圧である。そのため、装
置全体を冷却するための冷却装置を設ける必要性が生じ
る。
【0019】このような電力容量のスナバ抵抗を接続す
ることは、当該スナバ抵抗で生じる電力分だけが、本来
伝達すべき電力の内のロス分となってしまい、効率の低
下をもたらすと共に、上記冷却装置の設置の必要性を生
じさせるので、その点が、装置全体の簡素化、小形化を
すすめる上で大変大きな問題となっていた。
【0020】そこで、これら問題を解決するため、第
1、第2及び第3電極を有し、前記第3電極に印加され
たターンオン制御電流に応じてオン状態となったときは
前記第1電極に流れ込む主電流を前記第1電極から前記
第2電極へと直接に流す半導体スイッチング素子と、前
記第3電極と前記第2電極との間に接続され、前記ター
ンオン制御電流を生成して前記第3電極に印加する駆動
制御手段とを備え、ターンオフ時には、前記主電流の全
てを前記ターンオン制御電流とは逆方向に前記第1電極
から前記第3電極を介して前記駆動制御手段へと転流さ
せた半導体スイッチング装置を案出し、一応の解決を図
った。しかし、現実に製品化を図る上で更なる検討を加
えたところ、スタックとして組み立てる場合の構造設計
上の自由度が低いという問題点が提起された。即ち、半
導体スイッチング素子のゲート端子へターンオフ電流を
流すための電流路となる導体は、半導体スイッチング素
子の構造上、平板状のものとなるが、当該平板状の導体
をそのまま延長してゲートドライバとの接続とゲートド
ライバの支持を行うと、半導体スイッチング素子とゲー
トドライバとの相対位置がこの導体によって拘束され、
結果としてスタック組立時の寸法が大きくなる。
【0021】この発明は以上のような問題点を解決する
ためになされたもので、半導体ウエハ内の一部の半導体
スイッチング素子に電力損失が局部的に集中することを
防止して素子破壊を防止し、以て装置の信頼性向上を図
るような半導体スイッチング装置等において、スタック
組立時に合理的な形態となるよう、半導体スイッチング
素子とゲートドライバとの相対位置を設定することが可
能な半導体スイッチング装置、これを使用した半導体ス
タック装置および電力変換装置を得ることを目的とす
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る半導体ス
イッチング装置は、半導体スイッチング素子を周方向に
延在するゲート端子を備えたものとし、電流路を板状部
材で構成し、上記板状部材は上記半導体スイッチング素
子とゲートドライバとの相対位置姿勢に応じて曲げられ
たものとしたものである。
【0023】請求項2に係る半導体スイッチング装置
は、半導体スイッチング素子を周方向に延在するゲート
端子を備えたものとし、電流路をゲート側電流路を形成
する第1の導電層とカソード側電流路を形成する第2の
導電層とを絶縁層を介して積層してなる配線基板とし、
一端が上記半導体スイッチング素子のカソード電極に当
接し軸方向に圧接されて固定され他端にゲートドライバ
が取り付けられ上記第2の導電層と電気的に接続された
導体板を備え、上記配線基板および導体板は上記半導体
スイッチング素子と上記ゲートドライバとの相対位置姿
勢に応じて曲げられたものとしたものである。
【0024】請求項3に係る半導体スイッチング装置
は、半導体スイッチング素子を周方向に延在するゲート
端子を備えたものとし、電流路をゲート側電流路を形成
する第1の導電層とカソード側電流路を形成する第2の
導電層とを絶縁層を介して積層してなる配線基板とし、
上記半導体スイッチング素子のカソード電極に当接し軸
方向に圧接されて固定され上記第2の導電層と電気的に
接続された導体板を備え、上記配線基板をフレキシブル
配線基板としたものである。
【0025】請求項4に係る半導体スタック装置は、請
求項1ないし3のいずれかに記載の半導体スイッチング
装置を使用したもので、半導体スイッチング素子と上記
半導体スイッチング素子からの発熱を放熱する冷却部材
とを積み重ね取付枠内に配置してなるものである。
【0026】請求項5に係る電力変換装置は、請求項1
ないし4のいずれかに記載の半導体スイッチング装置を
使用したもので、半導体スイッチング素子をゲート制御
して電力変換を行うゲート制御装置を備えたものであ
る。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の半導体スイッチング装置
又は半導体スイッチング素子は、車両用電力変換装置
や、UPS(無停電電力システム)や、産業用電力変換
装置等の各種の電力変換装置に用いられる、パワーデバ
イスである。
【0028】本発明が提案する、新規な半導体スイッチ
ング素子の制御方法の核心部は、オン状態にある半導体
スイッチング素子に流れる主電流の全てを、駆動回路へ
転流させ、これにより半導体スイッチング素子をターン
オフ状態とする点にある。
【0029】以下では、そのような半導体スイッチング
素子として、ゲートターンオフ・サイリスタ(以下、G
TOと称す)を用いた例を示す。この場合には、GTO
の第1、第2及び第3電極は、それぞれアノード電極、
カソード電極及びゲート電極にあたる。尚、上記半導体
スイッチング素子としては、GTOのような4層構造を
もつものに限られるわけではなく、3層構造を有するト
ランジスタを本発明の半導体スイッチング素子として用
いることも可能である。この場合には、NPNトランジ
スタ利用のときは、第1、第2、第3電極は、それぞれ
コレクタ電極、エミッタ電極及びベース電極にあたり、
又、PNPトランジスタ利用のときは、第1、第2及び
第3電極は、それぞれエミッタ電極、コレクタ電極及び
ベース電極に該当する。
【0030】実施の形態1.図1は、本発明の実施の形
態1に係る半導体スイッチング装置10の回路構成を示
す。同図において、各参照符号は、それぞれ次の回路要
素を示す。即ち、3は半導体スイッチング素子としての
GTOであり、このGTO3のゲート電極3Gとカソー
ド電極3Kのノード13との間に、ゲートドライバ4
(駆動制御手段)が接続される。
【0031】ゲートドライバ4は、その駆動電源4a
(電源電圧VGD(例えば20V))、コンデンサ4b、
インダクタンス4C、トランジスタ4dから成る。尚、
その詳細な構成を、後述する図2で示す。
【0032】このゲートドライバ4は、GTO3をター
ンオンさせるためのターンオン制御電流IGを発生し
て、配線経路ないしラインL1を介してこの電流IG
ゲート電極3Gに印加する。これに応じて、GTO3は
オン状態となる。又、11はノードであり、9は同装置
10を駆動するための電源、即ち同装置10の主回路用
電源(電源電圧VDD)である。
【0033】他方、1は、GTO3がターンオンした時
に流れる主電流ないし陽極電流IAの上昇率dIA/dt
を抑制するためのインダクタンスであり、2は、GTO
3がターンオフした時にインダクタンス1に発生するエ
ネルギーを還流させるための還流用ダイオードである。
【0034】5は、アノード電極3Aのノード11とカ
ソード電極3Kのノード12との間にGTO3に対して
並列に接続されており、かつGTO3がターンオフした
時にアノード・カソード電極間電圧VAKの上昇に伴って
発生するピーク電圧のみを抑制するためのピーク電圧抑
制回路である。同回路5は、後述するように、上記電圧
AKがターンオフ時にGTO3の電圧阻止能力に応じて
定まる所定の電圧値に所定の時間だけ上記電圧VAKを保
持ないしクランプする機能を有する。
【0035】ここでは、ターンオフ時に、従来、主電流
Aより分流してゲートドライバ4側へ流入していたゲ
ート逆電流IGQの変化率ないし上昇率(勾配)dIGQ
dtの絶対値を出来る限り大きくして(理想的には、|
dIGQ/dt|は∞)、主電流IAの全てをゲート逆電
流IGQとしてゲートドライバ4を介してノード12へ流
すこととする。即ち、主電流IAとゲート逆電流IGQ
の比の絶対値で定まるターンオフゲインG(=|IA
GQ|)を1以下(G≦1)に設定することで、主電流
Aの全てを、ターンオン制御電流IGとは逆方向に、ア
ノード電極3Aからゲート電極3Gを介してゲートドラ
イバ4及びノード12側へと転流させ、以てGTO3を
ターンオフさせる。このとき、アノード電極3Aからカ
ソード電極3Kへ向けて直接GTO3内部を流れるカソ
ード電流IKは、直ちに全く流れなくなる。その意味
で、本方式は、主電流IAの分流ではなくて、「主電流
Aの転流」を実現しているのである。
【0036】ここで、ゲートドライバ4の駆動電源(主
電源)4aの電源電圧値VGDと、ループR1のインダク
タンス値との関係に応じて、上昇率dIGQ/dtの値を
変化させることができるので、両者4(4a)、R1の
値を適切に設定することで、上昇率|dIGQ/dt|を
限りなく∞値に近い極めて大きな値に設定してやれば、
極めて短時間で主電流IAを全てゲートドライバ4側へ
転流させることができる。
【0037】他方、そのようなゲート逆電流IGQの転流
をゲートドライバ4単独で以て実現することは、当該ド
ライバ4の駆動電源4aがとりうる電源電圧値VGDに限
界があるため容易でないが、その反面、ゲートドライバ
4の駆動電源電圧VGDを設定可能な実用値に設定してお
き、ゲートターンオフゲインGを1以下とするために必
要な上昇率dIGQ/dtの絶対値を実現しうるループR
1の内部インダクタンスの値を設定することは、現実に
可能である。
【0038】そこで、ゲート電極3Gからゲートドライ
バ4までのラインL1と、ゲートドライバ4と、ゲート
ドライバ4からノード13を介してカソード電極3Kま
でのラインL2と、ゲート・カソード電極間のGTO3
内部の経路とからなるループないし経路R1内の(浮
遊)内部インダクタンスの値を、ターンオフゲインGを
1以下とするのに必要な値にまで低減させることが求め
られる。
【0039】但し、ゲートドライバ4は、主電流IA
上の値のゲート逆電流IGQを流せるだけのキャパシタン
スを有するように、設定されなければならない。
【0040】例えば、ゲートドライバ4の主電源4a
電源電圧VGDを20Vに設定し、上昇率dIGQ/dtの
絶対値を約8000A/μsに設定する場合には、上記
ループR1のインダクタンス値は2.5nH以下、ゲー
トドライバ4の内部インダクタンス値は1nH以下とす
るのが好ましい。
【0041】そのようなキャパシタンスを有するゲート
ドライバ4の具体的な回路図を、図2に示す。同図にお
いて、駆動電源50はゲートドライバ4を駆動するため
の主電源であり、副電源51はターンオンゲート電流用
の電源、副電源52はターンオン用トランジスタTr
1、Tr2を駆動するための駆動回路56用の電源、副
電源53はターンオフゲート電流用の電源、副電源54
はターンオフ用トランジスタTr3を駆動するための駆
動回路57用の電源、副電源55は制御信号62よりタ
ーンオン信号及びターンオフ信号を生成する回路部58
を駆動するための電源であり、トランジスタTr1は図
3に示すターンオン・ハイゲート電流IG1を供給するた
めのスイッチであり、トランジスタTr2はターンオン
・定常ゲート電流IG2を供給するためのスイッチ、トラ
ンジスタTr3はターンオフゲート電流IGQ(ゲート逆
電流)を供給するためのスイッチである。尚、上記電流
G1、IG2を総称したのが、ターンオン制御電流IG
ある。C1はターンオンゲート電流IG用のコンデンサ
であり、C2はターンオフゲート電流IGQ用のコンデン
サである。
【0042】以上のゲートドライバ回路4において、外
部より制御信号62を与えると、ノイズカット回路59
は制御信号62より制御信号62に含まれるノイズ成分
を取り除き、ノイズ除去された制御信号を受けて、ター
ンオン信号生成回路60、ターンオフ信号生成回路61
は、それぞれターンオン用信号63とターンオフ用信号
64を生成して、各信号63、64を対応する駆動回路
56、57へ供給する。
【0043】同信号63、34を受け取った両駆動回路
56、57は、次の通りに動作する。即ち、時刻t01
おいて、駆動回路56は、トランジスタTr1を駆動で
きるだけの信号を生成し、これをトランジスタTr1の
ベースへと供給する。ここで、両コンデンサC1とC2
は、それぞれ副電源51と副電源53により充電されて
いるので、ターンオン・ハイゲート電流IG1がコンデン
サC1からトランジスタTr1を通してGTO3へと流
れる。そして、時刻t02において、駆動回路56は、ト
ランジスタTr1のベース電流の供給を止め、今度は、
トランジスタTr2を駆動できるだけのベース電流を発
生して、これをトランジスタTr2のベースへ供給す
る。これにより、トランジスタTr1はオフし、代わっ
てトランジスタTr2がオンし、ターンオン・定常ゲー
ト電流IG2がコンデンサC1からトランジスタTr2を
通してGTO3へと流れる。
【0044】また、時刻t1では、駆動回路56はトラ
ンジスタTr2のベース電流の供給を止め、駆動回路5
7が、信号64に応じて、トランジスタTr3をオンす
るのに必要なベース電流を生成して、これをトランジス
タTr3のベースへ供給する。これにより、トランジス
タTr2はオフし、代わってトランジスタTr3がオン
する結果、コンデンサC2に充電されている電荷がトラ
ンジスタTr3を介してGTO3側へと放電されること
となり、従って、ターンオフゲート電流IGQがGTO3
からトランジスタTr3を通してGTO3のカソード電
極3Kのノード13へ流れることとなる。しかも、この
電流IGQは、極めて短時間の間に主電流IAの絶対値と
等しいか、又はそれ以上の値となり、逆に、カソード電
流は極めて短時間の間に0値へ減少する。
【0045】上述した通り、ターンオフゲインGが1以
下となるような上昇率dIGQ/dtを実現するために
は、ゲートドライバ4内部の配線経路を含むループR1
全体のインダクタンス値を低減することが必要である。
そして、この点は、GTO素子の配線ないしパッケージ
構造という機構部品の改良を以て実現することが望まれ
る。
【0046】しかるに、従来のGTO3Pのパッケージ
構造は、図26及び図27で示した様な構造となってい
るため、GTO素子20Pの内部のインダクタンス(リ
ード21P〜リング状ゲート電極34P〜カソード電極
30P〜リード22Pまでの経路のインダクタンス)
は、例えば50nH程度もの大きな値であった。この値
では、到底、約8000A/μsもの上昇率dIGQ/d
tを達成することはできない。従って、このGTO素子
20Pの内部インダクタンス値を、例えば2nH以下と
いうような所望値にまで低減するためには、ゲート側の
連結部23P及びカソード側の連結部24PとGTO素
子20Pのゲート端子25P及びカソード端子26Pと
のそれぞれの結合で生じるロスや、ゲート外部リード2
1P及びカソード外部リード22Pとゲートドライバ4
Pとのそれぞれの結合で生じるロスや、ゲートリード3
8Pのインダクタンス値や、更にはループR1中の全イ
ンダクタンス値の内の90%をも占めるゲート及びカソ
ードの各外部リード線21P、22P自体のインダクタ
ンス値を低減する必要がある。
【0047】そこで、本願出願人は、上述した観点から
GTO素子のパッケージ構造を検討し、改良を加えるこ
ととし、その結果、つぎの様な構造を有する圧接型半導
体素子を実現した。
【0048】即ち、図4は、圧接型GTO素子20と、
それを上下方向から加圧するスタック電極27a、27
bとを示す断面図であり、又、図5は、図4に示す矢印
方向D1からGTO素子20を眺めた正面図(スタック
電極27aを除く)である。従って、図5の線SA−S
Bに関する縦断面図が図4にあたる。
【0049】両図4、5において、各参照符号は、以下
の部材を示す。即ち、20は圧接型半導体素子、即ち、
ここではGTO素子の全体を示し、28はGTOの各セ
グメントが形成された半導体基板であり、半導体基板2
8の上側表面の内の外周部側に位置する面上にA1(ア
ルミニウム)のゲート電極29aが形成されており、さ
らにゲート電極29aよりも内側の半導体基板28の上
側表面上には、各セグメントの位置に対応して各カソー
ド電極29bが形成されている。各セグメントの構造な
いしGTO素子のウェハ構造は、図29の断面図に示し
た構造と同様である。
【0050】30及び31は、それぞれ半導体基板28
の上側表面上のカソード電極29bの上側表面上に順次
に積載されたカソード歪緩衝板及びカソードポスト電極
であり、他方、32及び33は、それぞれ半導体基板8
の裏面上に形成された図示しないアノード電極の表面
(カソード電極29bと反対側の面)上に順次に積載さ
れたアノード歪緩衝板及びアノードポスト電極であり、
34は半導体基板28のゲート電極29aの上側表面に
接するリング状ゲート電極であり、38は環状金属板か
らなるリング状ゲート端子であって、その内周平面25
がリングゲート電極34と摺動可能に同電極34に対し
て接触・配置されている。35は、環状絶縁体36を介
して、リング状ゲート端子38とともに、リング状ゲー
ト電極34をゲート電極29aに対して押圧するための
皿バネあるいは波バネのような弾性体であり、37は、
リング状ゲート電極34をカソード歪緩衝板30及びカ
ソードポスト電極31から絶縁するための絶縁シート等
からなる絶縁体であり、26は、その一端部分がカソー
ドポスト電極31に固着された第1のフランジであり、
40は、その一端部分がアノードポスト電極33に固着
された第2のフランジであり、41はセラミック等から
なり、リング状ゲート端子38を挟んで上下に分割され
且つ突起部42を有する絶縁筒である。そして、リング
状ゲート端子38の外周側部分23が絶縁筒41の側面
から外部に突出するとともに、その他端38Eよりも内
周側の位置に取り付け穴21が所定の間隔で複数個設け
られている。そして、上側の絶縁筒41の上面より上方
に突出した部分43aが第1のフランジ26の他端部2
6Eと気密に固着され、下側の絶縁筒41の裏面より下
方に突出した部分43bが第2のフランジ40の他端部
と気密に固着されており、これによって圧接型半導体素
子20は、密閉されたパッケージ構造になっている。
尚、この内部は、不活性ガスで置換されている。
【0051】又、図6は、ゲートドライバ4の機構部分
を示す平面図であり、図7は、ゲートドライバ4に図
4、図5に示した構造のGTO素子20(スタック電極
27a、27bで加圧されている)を装着した状態を示
す縦断面図である。両図6、7において、参照符号4A
はゲートドライバ本体4Cをカバーするためのケース
を、4Bはゲートドライバ本体4Cの座となるケースを
各々示しており、70はゲートドライバ本体4とGTO
素子20とを電気的に接続するための、回路パターンが
形成された基板全体を示している。同基板70は、丁
度、従来パッケージのゲートリード線21P、22P
(図26)に代わるものであって、GTO素子20の重
量をささえ得るだけの強度を有する。71は、GTO素
子20のカソード電極29bと圧接により接続されるカ
ソード電極であり、スタック電極27aにあたる。21
Aは、ゲートドライバ4の基板70に対応する取り付け
穴21を介してGTO素子20を接続する為の、基板7
0に設けられた取り付け穴であり、ゲートドライバ4と
GTO素子20とを接続する為には、例えば6つ程度の
取り付け穴21Aが必要となる。
【0052】上述した基板70は、絶縁体を挟んで対向
した次の2つの回路パターン基板を有する。即ち、同基
板70は、ゲートリード基板72、カソードリード基板
73、両基板72と73とを絶縁するための絶縁体74
とを有している。このような多層基板構造を設けたの
は、ゲートドライバ4側の内部インダクタンスを低減す
るためである。GTO素子本体20は、ネジ75、76
又は溶接、かしめ等により、ゲートドライバ本体4Cと
接続される。
【0053】以上のように、本GTO3の気密パッケー
ジは、半導体基板上に形成された内部のゲート電極29
a側からゲートドライバ本体4C側へ向けて延長された
リング状ないし円盤状のゲート電極38を有しており、
しかも当該パッケージ(20)は、上記リング状ゲート
電極38の外周部分を直接ゲートドライバ4の本体4C
より延びた基板70に取り付け穴21Aを介して接続・
固定するだけで、ゲートドライバ4に接続される。その
ため、当該接続にあたっては、ゲートリード線は一切使
用されていない。従って、従来構成における問題点は全
て改善される。即ち、従来、GTO素子の内部ゲートリ
ード部とGTO素子のゲート端子及びカソード端子との
それぞれの結合で発生していた結合ロスというものは、
上述のようにゲートリードの取り出しを円盤状構造とす
ることにより大幅に低減されると共に、従来、外部ゲー
トリード線とゲートドライバとの結合により生じていた
結合ロスに相当する電力ロスは、この発明では円盤状の
ゲートリード部ないしゲート電極38の全体がゲートド
ライバ4のゲート電流通電用基板70に直接に接続され
るため、大幅に低減される。更に、従来、ループR1の
全インダクタンスの90%をも占めていた外部ゲートリ
ード線自体のインダクタンスは、この発明では、それら
自体が使用されないため、存在しない。
【0054】この様に、GTO素子20(3)の内部イ
ンダクタンスの低減とゲートドライバ4の内部インダク
タンスの低減とを実現することが可能となった。これら
の改善に加えて、更に、GTO素子20とゲートドライ
バ4との接続を既述したように工夫を行うことにより
(図7)、GTO素子3を、ターンオフゲインG≦1と
いう条件で以てターンオフさせることが可能な上昇率d
GQ/dtの領域を現実に発生させることが可能となっ
た。
【0055】尚、ゲート電流を、図8の平面図に示す基
板70Aを用いて、対角に位置する2方向、又は4方向
へと取り出すようにしても良く、更にそれ以上の方向へ
とゲート電流を取り出すようにしても良い。
【0056】以上の様な回路構成、機構を備える半導体
スイッチ装置の動作を、図9と図10に基づき説明す
る。尚、図9は、動作波形を示しており、図10は、G
TO3をPNPトランジスタ80とNPNトランジスタ
81とから成る回路構成に置き換えた場合の等価モデル
を示す。
【0057】図9において、GTO3がターンオンして
陽極電流IAが流れている状態の時に(時刻t1)、制御
信号62(図2)に応じてゲートドライバ4がゲート逆
電流IGQを急激な上昇率ないし傾きで以て上昇させる
と、ゲート逆電流IGQは、その絶対値が極めて短時間に
陽極電流IAの絶対値と等しい電流値に達する(IGQ
−IA)(時刻T2)。この状態で、GTO3のアノード
電極3Aに流れ込む陽極電流IAは全てゲート電極3
G、配線経路L1を介してゲートドライバ4に転流し、
|GTO3の陽極電流IA|≦|ゲート逆電流IGQ|の
関係式が成立し、カソード電流IK=0の状態となる。
これ以降、ゲート逆電流IGQは、GTO3が完全にター
ンオフするまで、|IA|≦|IGQ|の状態を維持し続
ける。
【0058】図9に示す電流差ΔIGQは、図10に示す
NPNトランジスタ81のリカバリー電流であるものと
考えられる。これは、次のような現象により生ずる。即
ち、図10において、GTO3がターンオンして陽極電
流IAが半導体基板内を流れている状態では、その電流
Aは、GTO3のアノード電極3Aからループ82と
ループ83とに別れてカソード電極3Kへと流れてい
る。この状態からGTO3がターンオフへ移行すると、
陽極電流IAの全ては強烈にゲートドライバ4へと引っ
張られ、ループ84とループ85へと流れていく。この
時、NPNトランジスタ81のベース電流は正方向から
負の方向へ反転し、NPNトランジスタ81は急激にタ
ーンオフしてしまい、その内部キャリアがリカバリ電流
となって重畳的に流れることとなる。このリカバリ電流
の増加分が上述の電流差ΔIGQとなって表われ、この
時、|ゲート逆電流IGQ|>|陽極電流IA|となる。
【0059】このように、ゲート逆電流|IGQ|>|陽
極電流IA|となって、図10のNPNトランジスタ8
1がターンオフしてしまうと、PNPトランジスタ80
のベース電流は0となり(IB=0)、PNPトランジ
スタ80はターンオフへと移行していく。
【0060】PNPトランジスタ80の電圧阻止機能が
回復し始めると(時刻T3)、図9に示すアノード・カ
ソード電極間電圧VAKが上昇し始め、このアノード・カ
ソード電極間電圧VAKが電源電圧VDDと等しい値に達し
た時(時刻T4)、陽極電流IAが減少し始め、GTO3
はターンオフ状態へと移行していく。この時のアノード
・カソード電極間電圧VAKの上昇率dVAK/dtは、G
TO3の電圧阻止機能の回復するスピードのみによって
決定されるものであり、外部接続回路等により決定され
るものではない。この点で、スナバコンデンサCSに依
存してアノード・カソード電極間電圧の上昇率が決定さ
れていた従来技術とは、本発明は明確に異なる。
【0061】図9において、本発明のピーク電圧(サー
ジ電圧)VPとは、GTO3がターンオフした時に主回
路(電源9からノード11、GTO3、ノード12を経
て電源9に至るまでのループ)の浮遊インダクタンスL
に起因して発生する起電圧(そのエネルギーはE=1/
2*L*I2で表される)が電源電圧VDDに重畳されて
得られる電圧である。このピーク電圧VPが仮にGTO
3の電圧阻止能力を超えると、GTO3は破壊されてし
まう。そこで、GTO3のターンオフ時に上記ピーク電
圧VPへ向けて上昇し続けるアノード・カソード電極間
電圧VAKを、GTO3の電圧阻止能力を超えないように
抑圧するピーク電圧抑制回路5を、GTO3のノード1
1、12間にGTO3に対して並列に接続しておく必要
がある。図1のピーク電圧抑制回路5は、そのような機
能をもったものであり、例えばツェナーダイオード、バ
リスタ、セレスタ、アレスタ等から成る、電圧クランプ
回路である。同回路5は、GTOのターンオフ時に上昇
し続ける電圧VAKが、GTO3の電圧阻止能力を越えな
い範囲内に設定された所定の電圧値VSPに達した後は、
もし同回路5がなかったならば同電圧VAKがピーク電圧
Pに達し、再び所定の電圧値VSPに戻るまでに要する
時間である所定の時間Δt(図9)だけ、電圧VAKを抑
制後のピーク電圧VSPに保持し続ける。従って、ピーク
電圧VPは発生せず、GTO3素子が破壊されることは
全くない。
【0062】以上の様に、この発明では、ターンオフ時
に、図11に示す上昇率dIGQ/dtの領域RAにおい
てGTO3を制御することで、GTO3をターンオフさ
せている。同図中、曲線CA上の点PAが、主電流IA
のゲートドライバ4側への転流が生じる転流点であり、
この場合は、前述のリカバリー電流が無いと考えた場合
の理想状態にある。現実的には、転流した主電流にリカ
バリー電流が重畳されるので、ターンオフゲインG<1
の領域内でGTO3のターンオフが実現されている。
【0063】図12及び図13は、それぞれ、従来技術
及び本発明における主電流IAのターンオフ時の流れを
比較的に示した図である。従来技術、例えば特開平5−
111262号公報(スイス国出願番号9110619
19)や特開平6−188411号公報(ドイツ国出願
番号P4227063)に開示された技術では、図12
に示すとおり、ターンオフ時においても、カソード電流
KがGTO3P内を流れている。即ち、主電流IAは、
ターンオフ時、カソード電流IKとIGQPとに分流してい
る。しかし、この場合は、個々のセグメントに流れるカ
ソード電流IKは小さな値であっても、それらが一部の
セグメントに集中的に流れ込むこととなるので、GTO
素子の破壊という問題点を内在している。
【0064】これに対して、本発明では、図13に示す
通り、ターンオフ時、カソード電流IKは全く流れなく
なり、主電流IAは全てゲートドライバ4側の経路へ転
流し、リカバリー電流の発生によってゲート逆電流IGQ
の絶対値は主電流IAの絶対値とリカバリー電流の絶対
値との和となり、|IGQ|≧|IA|の関係式が成立し
ている(従来技術では、|IGQP|<|IA|)。
【0065】以上のように、この発明では、ターンオフ
モード期間中にわたり|陽極電流IA|≦|ゲート逆電
流IGQ|となる、新規のゲート転流方式を採用している
ため、ターンオフ時にはカソード電流IK=0となり、
GTO3Pの内部のカソード面にカソード電流が流れ込
むという状態は全く発生せず、従来ターンオフ失敗の原
因となっていたカソード面への局在的な電流集中は全く
おこり得ない。よって、ターンオフ失敗による素子破壊
のおそれは、この発明では皆無となり、装置の信頼度は
格段に向上する。この効果は、本発明の核心的効果であ
って、上述した各文献に示された技術の組合せを以てし
ても得られない利点であると言える。
【0066】加えて、アノード・カソード電極間電圧V
AKの上昇を抑制してサージ電圧を抑制する回路5を設け
ているので、スパイク電圧は、同回路5によりカットさ
れて全く発生しない。そのため、従来、ターンオフ時に
蓄積された電荷を放電させるために必要であったスナバ
コンデンサCSを不要とすることができる。即ち、従来
技術では必要不可欠であったスナバ回路を不必要とする
ことができ、これにより装置の小形化、簡素化、低コス
ト化、高効率化を実現することができる。
【0067】図14は、図1のものとは異なるピーク電
圧保護回路を採用した半導体スイッチング装置の回路構
成を示す。同図において、図1中の参照符号と同一符号
のものは、同一のものを示す。そして、GTO3のパッ
ケージ構造やゲートドライバ4の機構も、図1で述べた
ものが用いられる。参照符号6から8のそれぞれは、G
TO3がターンオフ状態となったときに発生するスパイ
ク電圧やピーク電圧(サージ電圧)による電力ロスを抑
制ないし低減する、保護回路を構成する素子であり、順
番にダイオード、抵抗素子、コンデンサを示す。特に、
ここでは、ノード11とノード12間にGTO3に対し
て並列に配設されたバイパス線BLに含まれるコンデン
サ8(容量素子)の一端15が、抵抗素子7を含み且つ
ノード14において電源9と接続された配線経路R4を
介して、電源9に接続されている点に特徴点がある。
【0068】以上の様な半導体スイッチング装置10A
ないし、GTO3の動作を、実測波形を示す図15を基
に説明する。
【0069】この場合のGTO3の動作は既述した図1
の装置での動作と同等であり、アノード・カソード電極
間電圧VAKのピーク電圧抑制動作のみが図1の場合と異
なる。図15の実測波形は、IA=1000(A/
d)、VAK=1000(V/d)、IGQ=1200(A
/d)、VGD=20(V/d)、t=2(μs/d)と
した場合の例である。同図中、曲線C1、C2、C3、
C4は、それぞれ陽極電流IA、アノード・カソード電
極間電圧VAK、ゲート逆電流IGQ、ゲート電圧VGの実
測波形を示す。
【0070】図14において、コンデンサ8は抵抗素子
7を通して常に電源電圧VDDに充電されており、ターン
オフ動作時においては、発生するスパイク電圧VDSP
びピーク電圧VPから電源電圧VDDを超えた電圧部分
(VDSP−VDD、VP−VDD)による電流のみが、ダイオ
ード6を通してコンデンサ8に吸収される。従って、上
記超過した部分だけが、その超過する時間だけ、コンデ
ンサ8に新たに充電されるにすぎない。
【0071】以上の点を、図15に基づいて説明する。
アノード・カソード電極間電圧VAKが電源電圧VDDに達
するまでは、コンデンサ8は機能せず、この期間(t2
−t1)の上昇率dVAK/dtはGTO3の能力により
決定される(このとき、全主電流IAはゲートドライバ
4側へ転流している)。そして、アノード・カソード電
極間電圧VAKが電源電圧VDDに達して陽極電流IAが減
少し始めると(時刻t2)、それと同時に、ノード11
に流れ込む主電流はダイオード6を通してコンデンサ8
側へと、即ちバイパス経路BLへと流れ始める。この
時、流れ込むバイパス電流iの上昇率di/dtと、G
TO3とダイオード6とコンデンサ8とから成る閉回路
ないし第1ループR2に浮遊するインダクタンス
(Lf1)とによって起電圧が発生する。これが、図15
に示すスパイク電圧VDSPである(時刻t3)。これ以
後、時刻t5までは、アノード・カソード電極間電圧V
AKのピーク電圧VPと電源電圧VDDとの差はコンデンサ
8に吸収される。その際、コンデンサ8に吸収される過
充電分が、GTO3の電圧阻止能力以下となるように、
コンデンサ8の容量値は適切に決定されている。つま
り、時刻t4から時刻t5までに上昇するアノード・カソ
ード電極間電圧VAKのピーク値VPがGTO3の電圧阻
止能力以下となるように、コンデンサ8の容量値によっ
て決定される。
【0072】尚、コンデンサ8によって吸収されたピー
ク電圧の過充電分は、抵抗素子7を通して、次回ターン
オフまでに電源9側に放電される。一方、GTO3のタ
ーンオン時においてもコンデンサ8に充電された電圧な
いし電荷は、それが放電しようとしてもダイオード6に
阻止されるので、放電することはない。よって、コンデ
ンサ8は、常に電源電圧VDDと等しい電圧に充電されて
いることになる。
【0073】尚、時刻t4から時刻t5までのピーク電圧
Pは、第2ループR3内の浮遊インダクタンス
(LA2)とコンデンサ8の容量値とに起因して生ずる起
電力に基づく。
【0074】以上の様に、この半導体スイッチング装置
10Aのピーク電圧抑制回路ないし保護回路のコンデン
サ8に蓄積されるエネルギーについては、従来技術にお
けるスナバコンデンサのようにスナバ抵抗によって0値
に至るまで全てが放電されてしまうのではなくて、その
内の過充電分のみが放電されるに過ぎなく、従来問題と
なっていたスナバ回路の放電損失を格段に低減すること
ができる。しかも、この半導体スイッチング装置10A
では、従来技術のスナバ回路で用いられていた部材をそ
のまま用い、かつスナバ抵抗として用いられていた抵抗
素子の配線を配線経路R4として電源9のノード14に
直接接続するだけで、上記保護回路を簡単に構成できる
ため、即ち、従来のスナバ回路をそのまま利用して放電
損失を十分低減させることが可能となるため、非常に実
現性の高い装置を実現できる利点がある。勿論、同装置
10Aでも、図1の装置10と同様に、ターンオフ時の
GTO3の素子破壊を完全に阻止することができる。
【0075】先の課題の項で触れたように、以上図1な
いし図15で説明した半導体スイッチング装置により、
従来からの課題は基本的には解決されるが、現実の製品
化を図るためには、構造は勿論、製造、保守時の作業性
等、更には周辺機器、部品を含めた具体化への検討が必
要となり、これら具体化の中で提起される問題点も解決
していかねばならない。
【0076】即ち、本願発明になる半導体スイッチング
装置においては、ゲートドライバから半導体スイッチン
グ素子のゲート電極へターンオフ電流を流すため、半導
体スイッチング素子のリング状のゲート端子とゲートド
ライバからの導体とを電気的に接続する必要があるが、
先の図6、図7に示した例では、この接続をネジを使用
して締め付ける構造のものとしている。この場合、ゲー
ト端子に流入する電流はその周方向に沿って均等に分布
することが要求されるので、ネジの取付ピッチは大きく
できず、結果としてネジの本数が増える。発明者等が試
作した4000A定格のGTOの場合は少なくとも16
本のネジが必要となる。このため、当該部分のネジ穴寸
法の要求精度が極めて高くなって加工コストが増大する
とともに、当該部分の着脱時の作業性が極めて煩雑にな
る。
【0077】図16は、上記した作業上の煩雑性を解消
した半導体スイッチング装置の要部、即ち、半導体スイ
ッチング素子のゲート端子の接続部分を示す構成図であ
る。同図(1)は、その平面図、同図(2)は、同図
(1)のX1−X1線で切断した断面図である。なお、
以下では、図1〜図15で説明した内容とその主たる着
目点が異なるので、同一または相当部分についても新た
な符号を付して説明するものとする。
【0078】図において、100は周方向に延在するリ
ング状のゲート端子101を備えた半導体スイッチング
素子としてのGTO、102および103はGTO10
0の軸方向上下端に形成されたアノード電極およびカソ
ード電極、104は各電極端子間を絶縁する絶縁筒であ
る。200はゲートドライバである。110はGTO1
00とゲートドライバ200との間の電流路を構成する
配線基板で、図17にその詳細断面を示すように、互い
に絶縁層115を介して積層された4層の導電層111
〜114を備えている。そして、第1層、第3層の第1
の導電層111、113はゲート側電流路を形成し、そ
れぞれの一端(図17では、図示を省略している左方
端)はゲートドライバ200のゲート側出力端子に接続
され、第2層、第4層の第2の導電層112、114は
カソード側電流路を形成し、それぞれの一端はゲートド
ライバ200のカソード側出力端子に接続されている。
なお、第1の導電層111、113および第2の導電層
112、114は、ゲート端子101の接続位置近傍に
おいて、スルーホール116によりそれぞれ相互に電気
的に接続されている。また、117は配線基板110の
表裏両面に施された絶縁被膜である。
【0079】図16に戻り、120は平板状の導体板で
図18で後述するように、スタック構造として組み立て
られた時点でその右方端がカソード電極103に当接
し、軸方向に圧接されて固定される。導体板120の左
方端はゲートドライバ200と一体に固定される。12
1は第1の締付具としての皿ネジ122により導体板1
20に一体に固着された導電材からなるカソードスペー
サリングで、その上面には第2の導電層114を露出さ
せた配線基板110の下面が当接する。
【0080】123はGTO100と同軸に配設されそ
の内周に雌ネジ124が形成された導電材からなるリン
グ状の固定側部材としての取付座で、その下面には第1
の導電層111を露出させた配線基板110の上面が当
接する。125は第2の締付具としてのボルトで、カソ
ードスペーサリング121と取付座123とで配線基板
110を挟持圧接し三者を一体に固定する。126はボ
ルト125を絶縁するための絶縁スペーサである。12
7は外周に形成された雄ネジ128を取付座123の雌
ネジ124に螺合させることによりゲート端子101を
軸方向下方へ圧接してゲート端子101と第1の導電層
111とを電気的に接続する可動側部材としてのゲート
押えリングである。127aはこの螺合の際に使用する
工具を係合させるためゲート押えリング127の周方向
4個所に設けられた凹部である。
【0081】図16に示す半導体スイッチング装置にお
いては、予め皿ネジ122およびボルト125を使用し
て取付座123、配線基板110、カソードスペーサリ
ング121および導体板120、更にゲートドライバを
一体に組み立てておき、GTO100を位置合わせした
後、ゲート押えリング127を取付座123に螺合させ
ることによりゲート端子101と配線基板110の第1
の導電層111とが接触する。なお、この接触は、ゲー
ト端子101の下面だけでなく、取付座123およびゲ
ート押えリング127を経てゲート端子101の上面か
らもなされるので、良好な導通状態が得られる。そし
て、この導電層111はスルーホール116により導電
層113と接続されているので、ゲートドライバ200
のゲート側出力端子からの電流は両導電層111、11
3を経てゲート端子101に流れることになる。
【0082】また、カソード電極103は導体板120
およびカソードスペーサリング121を経て第2の導電
層114と接続される。そして、この導電層114はス
ルーホール116により導電層112と接続されている
ので、ゲートドライバのカソード側出力端子からの電流
は両導電層112、114を経てカソード電極103に
流れることになる。以上のように、ゲートドライバとG
TO100との間を接続する電流路が、電流が互いに逆
方向に流れる一対の導電層を2組積層してなる配線基板
110で構成されているので、この電流路のインダクタ
ンスを極めて小さな値に抑えることができ、前述した原
理にもとづく所望の急峻なターンオフ電流の供給が容易
確実になされる訳である。
【0083】また、ゲート端子101の切り離しは、ゲ
ート押えリング127の螺合状態を緩め、取付座123
から分離させればよい。以上のように、図16の半導体
スイッチング装置のゲート端子の接続脱着構造にあって
は、ゲート押えリング127という1個のネジ構造部品
の螺合操作でその着脱が可能となるので、その作業性が
極めて簡便になる。しかも、先の図6、図7のように、
多数のネジ穴を必要としないので、特別に高い加工精度
が不要となり製品価格を低減することができる。また、
小径のネジ穴が多い場合には、組立作業時に、ネジの切
り屑が原因となって、ゲート、カソード間が短絡状態と
なる可能性があるが、このような懸念が皆無となる。
【0084】なお、図18は、以上で説明した半導体ス
イッチング装置を複数個使用し他の周辺部品とともに半
導体スタック装置として組み立てたものである。同図
(1)はその構造図、同図(2)はその回路ブロック図
である。図において、100はGTO、200はゲート
ドライバ、201は環流ダイオード、202はスナバダ
イオード、203は冷却部材としての冷却フィン、20
4はスタック電極、205は絶縁スペーサである。この
内、冷却フィン203には水冷配管206が接続され、
GTO100や環流ダイオード201からの発熱を冷却
水へ放熱する。210は以上の各部品を積み重ね上下か
ら締め付け、各構成部品を圧接状態で格納する取付枠で
ある。図18から判るように、ゲートドライバ200は
導体板120を介して支持されスタック構造と一体の構
成となる。
【0085】ところで、ここで新たな問題点が生じる。
即ち、図16に示す半導体スイッチング装置において
は、既述した通り、スタック組立時、その右方端がカソ
ード電極103に当接し軸方向に圧接されて固定される
導体板120を設け、この導体板120の左方端にゲー
トドライバ200が一体に固定される。そして、この導
体板120は平板状に形成されているので、図18に示
すように、半導体スタック装置としての外形寸法が大き
くなるとともに、取付枠210で固定される位置からゲ
ートドライバ200の重心までの寸法が長くなり、耐振
特性も劣る結果となる。
【0086】図19は上記した新たな問題点をも解決し
た、この発明の実施の形態1における半導体スイッチン
グ装置を示す構成図で、同図(1)はその平面図、同図
(2)はその側面図である。図において、図16と同一
の部分には同一の符号を付して個々の説明は省略する。
導体板120Aは、スタック組立時、その一端がカソー
ド電極103に当接し軸方向に圧接されて固定され他端
にゲートドライバ200が一体に固定される点は図16
の導体板120と同様であるが、図19に示すように、
その途中で曲げられている(この例では90度の角度で
曲げられている)。従って、配線基板110Aも導体板
120Aと平行となるよう同様の個所で90度の角度に
曲げて成形されている。
【0087】図20は図19で示す半導体スイッチング
装置を複数個使用し他の周辺部品とともに半導体スタッ
ク装置として組み立てたものである。同図では、細部の
符号は図示を省略しているが、ゲートドライバ200を
支持する導体板120Aをその途中を90度曲げたもの
としたので、半導体スタック装置としての外形寸法が図
18の場合に比較して大幅に低減するとともに、取付枠
210で固定される位置からゲートドライバ200の重
心位置までの寸法が大幅に短縮され耐振特性が向上す
る。
【0088】実施の形態2.図21はこの発明の実施の
形態2における半導体スイッチング装置を示す構成図
で、同図(1)はその側面図、同図(2)は配線基板1
10BのGTO100側端部近傍を拡大して示す断面図
である。図19の形態例との差は、配線基板をフレキシ
ブル配線基板110Bとした点である。即ち、第1の導
電層111、113および第2の導電層112、114
の4層の導電層を絶縁層を挟んで形成する点は先の配線
基板110と同一であるが、各材料に可撓性材料を使用
したフレキシブル配線基板としている。そして、スタッ
ク構造として組み立てた場合に要請されるGTO100
とゲートドライバ200との相対位置姿勢に応じて自由
に曲がって変形できるようにしている。導体板120B
は、図21(2)に示すように、平面外形が取付座12
3の外形と同一となる円板状のもので、ゲートドライバ
200とは結合しない構造となっている。
【0089】図22は図21で示す半導体スイッチング
装置を複数個使用し他の周辺部品とともに半導体スタッ
ク装置として組み立てたものである。同図では細部の符
号は図示を省略している。ここでは、各ゲートドライバ
200は、図に断面で示す装置の固定枠250に取付け
られており、ゲートドライバ200の重量がGTO10
0側にかからない構造となっている。従って、半導体ス
タック装置としての外形寸法が大幅に低減するととも
に、耐振特性も向上する。
【0090】図22では、GTO100のゲート端子1
01の面とゲートドライバ200の面とが直角となる場
合について示したが、両者を接続する電流路にフレキシ
ブル配線基板110Bを使用しているので、直角に限る
ことなく任意の形状に合わすことができる。また、ゲー
トドライバ200の取付位置の誤差もこのフレキシブル
配線基板110Bで吸収することができる。更に、共通
の取付枠210で組み立てられた複数のGTO100の
各ゲートドライバ200をそれぞれ異なる相対位置姿勢
で取り付けることも可能となる。
【0091】なお、上記各形態例におけるゲート端子1
01はいずれもGTO100の周方向に延在するリング
状の形態のものとして説明したが、図23に示すよう
に、GTO100の周方向に沿って等間隔に複数の端子
片109が設けられたもので、いわば、周方向に不連続
に延在する形態のゲート端子101Aであっても、この
発明は同様に適用することができ同等の効果を奏するも
のである。
【0092】また、この発明に係る半導体スイッチング
素子を適用し、更にこれら半導体スイッチング素子をゲ
ート制御して電力変換を行うゲート制御装置を備えるこ
とにより、上述した通り、外形寸法を低減することがで
きる、例えばインバータ等の電力変換装置を得ることが
できる。
【0093】
【発明の効果】以上のように、請求項1に係る半導体ス
イッチング装置は、半導体スイッチング素子を周方向に
延在するゲート端子を備えたものとし、電流路を板状部
材で構成し、上記板状部材は上記半導体スイッチング素
子とゲートドライバとの相対位置姿勢に応じて曲げられ
たものとしたので、半導体スイッチング装置としての特
定の方向の外形寸法の低減が可能となる。
【0094】請求項2に係る半導体スイッチング装置
は、半導体スイッチング素子を周方向に延在するゲート
端子を備えたものとし、電流路をゲート側電流路を形成
する第1の導電層とカソード側電流路を形成する第2の
導電層とを絶縁層を介して積層してなる配線基板とし、
一端が上記半導体スイッチング素子のカソード電極に当
接し軸方向に圧接されて固定され他端にゲートドライバ
が取り付けられ上記第2の導電層と電気的に接続された
導体板を備え、上記配線基板および導体板は上記半導体
スイッチング素子と上記ゲートドライバとの相対位置姿
勢に応じて曲げられたものとしたので、半導体スイッチ
ング装置としての特定の方向の外形寸法の低減が可能と
なるとともに、ゲートドライバはそれ自体半導体スイッ
チング素子と一体で支持されるコンパクトな構造とな
る。更に、配線基板の採用で低インダクタンスの電流路
が実現する。
【0095】請求項3に係る半導体スイッチング装置
は、半導体スイッチング素子を周方向に延在するゲート
端子を備えたものとし、電流路をゲート側電流路を形成
する第1の導電層とカソード側電流路を形成する第2の
導電層とを絶縁層を介して積層してなる配線基板とし、
上記半導体スイッチング素子のカソード電極に当接し軸
方向に圧接されて固定され上記第2の導電層と電気的に
接続された導体板を備え、上記配線基板をフレキシブル
配線基板としたので、半導体スイッチング素子とゲート
ドライバとの相対位置姿勢を自由に設定でき、半導体ス
イッチング装置としての特定の方向の外形寸法の低減が
可能となる。更に、フレキシブル配線基板の採用で低イ
ンダクタンスの電流路が実現する。
【0096】請求項4に係る半導体スタック装置および
請求項5に係る電力変換装置は、以上の半導体スイッチ
ング素子を備えた、特にその外形寸法の低減が可能な半
導体スタック装置および電力変換装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る半導体スイッチ
ング装置の回路図である。
【図2】 ゲートドライバ回路の具体的な構成を示す図
である。
【図3】 ゲート側に流れる電流の波形を示す図であ
る。
【図4】 本発明のGTO素子パッケージを示す断面図
である。
【図5】 本発明のGTO素子パッケージの外観を示す
平面図である。
【図6】 本発明のゲートドライバの外観を示す平面図
である。
【図7】 本発明のGTO素子パッケージとのゲートド
ライバとの接続方法を示す断面図である。
【図8】 多方向からゲート逆電流を取り出す場合のゲ
ートドライバーを示す平面図である。
【図9】 本発明の実施の形態1に係る半導体スイッチ
ング装置の動作を示す図である。
【図10】 GTOの等価モデルを示す図である。
【図11】 アノード・カソード電極間電圧の上昇率と
ターンオフゲインとの関係を示す図である。
【図12】 従来技術におけるターンオフ時の主電流の
流れを示す図である。
【図13】 本発明におけるターンオフ時の主電流の流
れを示す図である。
【図14】 図1とは異なる、本発明の実施の形態1に
係る半導体スイッチング装置の回路図である。
【図15】 図14の装置における実測波形を示す図で
ある。
【図16】 この発明の実施の形態1における半導体ス
イッチング装置の要部を示す構成図である。
【図17】 図16の一部を拡大して示す断面図であ
る。
【図18】 図16の半導体スイッチング装置を使用し
た半導体スタック装置を示す構成図である。
【図19】 この発明の実施の形態1における半導体ス
イッチング装置の要部を示す構成図である。
【図20】 図19の半導体スイッチング装置を使用し
た半導体スタック装置を示す構成図である。
【図21】 この発明の実施の形態2における半導体ス
イッチング装置を示す構成図である。
【図22】 図21の半導体スイッチング装置を使用し
た半導体スタック装置を示す構成図である。
【図23】 周方向に延在するゲート端子101の変形
例を示す図である。
【図24】 従来装置の回路を示す図である。
【図25】 従来回路による実測波形を示す図である。
【図26】 従来のGTO素子パッケージの断面図であ
る。
【図27】 従来のGTO素子パッケージの外観を示す
平面図である。
【図28】 従来の問題点を指摘するための図である。
【図29】 従来の問題点を指摘するための図である。
【符号の説明】
3 GTO、3A アノード電極、3K カソード電
極、3G ゲート電極、4 ゲートドライバ、5 ピー
ク電圧抑制回路、R1 経路、IA 主電流、IG ター
ンオン制御電流、IGQ ゲート逆電流、100 GT
O、101,101A ゲート端子、102 アノード
電極、103 カソード電極、110,110A 配線
基板、110B フレキシブル配線基板、111,11
3 第1の導電層、112,114 第2の導電層、1
15 絶縁層、120,120A,120B 導体板、
200 ゲートドライバ、203 冷却フィン、210
取付枠。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲート電極を有する半導体スイッチング
    素子、および電流路を介して上記半導体スイッチング素
    子の上記ゲート電極とカソード電極との間にターンオフ
    電流を供給するゲートドライバを備えた半導体スイッチ
    ング装置において、 上記半導体スイッチング素子を周方向に延在するゲート
    端子を備えたものとし、上記電流路を板状部材で構成
    し、上記板状部材は上記半導体スイッチング素子と上記
    ゲートドライバとの相対位置姿勢に応じて曲げられたも
    のとしたことを特徴とする半導体スイッチング装置。
  2. 【請求項2】 ゲート電極を有する半導体スイッチング
    素子、および電流路を介して上記半導体スイッチング素
    子の上記ゲート電極とカソード電極との間にターンオフ
    電流を供給するゲートドライバを備えた半導体スイッチ
    ング装置において、 上記半導体スイッチング素子を周方向に延在するゲート
    端子を備えたものとし、上記電流路をゲート側電流路を
    形成する第1の導電層とカソード側電流路を形成する第
    2の導電層とを絶縁層を介して積層してなる配線基板と
    し、一端が上記半導体スイッチング素子のカソード電極
    に当接し軸方向に圧接されて固定され他端に上記ゲート
    ドライバが取り付けられ上記第2の導電層と電気的に接
    続された導体板を備え、上記配線基板および導体板は上
    記半導体スイッチング素子と上記ゲートドライバとの相
    対位置姿勢に応じて曲げられたものとしたことを特徴と
    する半導体スイッチング装置。
  3. 【請求項3】 ゲート電極を有する半導体スイッチング
    素子、および電流路を介して上記半導体スイッチング素
    子の上記ゲート電極とカソード電極との間にターンオフ
    電流を供給するゲートドライバを備えた半導体スイッチ
    ング装置において、 上記半導体スイッチング素子を周方向に延在するゲート
    端子を備えたものとし、上記電流路をゲート側電流路を
    形成する第1の導電層とカソード側電流路を形成する第
    2の導電層とを絶縁層を介して積層してなる配線基板と
    し、上記半導体スイッチング素子のカソード電極に当接
    し軸方向に圧接されて固定され上記第2の導電層と電気
    的に接続された導体板を備え、上記配線基板をフレキシ
    ブル配線基板としたことを特徴とする半導体スイッチン
    グ装置。
  4. 【請求項4】 半導体スイッチング素子と上記半導体ス
    イッチング素子からの発熱を放熱する冷却部材とを積み
    重ね取付枠内に配置してなることを特徴とする請求項1
    ないし3のいずれかに記載の半導体スイッチング装置を
    使用した半導体スタック装置。
  5. 【請求項5】 半導体スイッチング素子をゲート制御し
    て電力変換を行うゲート制御装置を備えたことを特徴と
    する請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体スイッ
    チング装置を使用した電力変換装置。
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