JP5016965B2 - 電力変換回路、当該導体構造および電力用スイッチング素子 - Google Patents

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Description

本発明は、電力変換装置および電力用スイッチング素子に係り、特に、低オン抵抗のMOSFETを多並列接続することで大電力化、高効率化および小型化を図った電力変換回路、当該導体構造および電力用スイッチング素子に関する。
従来、主回路のスイッチング素子に還流ダイオードが逆並列接続された構成の電力変換回路においては、還流ダイオードの逆回復電流が流れることで生じる損失の低減化を図った電力変換回路が提案されている。このような電力変換回路および当該回路で使用される電力用スイッチング素子は、例えば、特開平10−327585号公報(特許文献1)が提案されている。
特開平10−327585号公報
ところが、従来の電力変換装置に適用される電力変換回路において主素子であるMOSFETを多並列接続して大電力化した電力変換装置を構成すると、配線のインピーダンスの不均一によって、各素子の還流ダイオードの逆回復電流に差異が生じるため、逆回復が完了するまでの時間に大きなばらつきが生じる。このため、逆回復動作を行うための時間が不揃いとなり、最も長い逆回復時間を要する素子に合わせて相補となる主素子のターンオンタイミングを遅らせる必要が生じる。結果として、アーム短絡防止用のデッドタイムを長く設定しなければならず、インバータの制御性能を低下させていた。
本発明は、上記課題を考慮してなされたものであり、特に、低オン抵抗のMOSFETを多並列接続し大電力で高効率な小型の電力変換装置並びに当該電力変換装置を実現するための電力変換回路、当該導体構造および電力用スイッチング素子を提供することを目的とする。
本発明に係る電力変換回路は、上述した課題を解決するために、直流電圧源に主回路スイッチング素子を2つ並列接続して構成される主回路スイッチング素子ユニットを少なくとも1ユニット以上並列接続して構成される主回路スイッチングデバイスと、前記主回路スイッチングデバイスを直列接続して各主回路スイッチングデバイスの間から負荷に電力を供給する負荷端子と、前記主回路スイッチング素子ユニットの還流ダイオードの遮断時に前記直流電圧源の電圧より低い直流電圧を前記還流ダイオードに印加する個別の低電圧直流電圧源で構成された逆電圧印加回路と、前記逆電圧印加回路から前記主回路スイッチング素子ユニットに逆電圧を印加する補助ダイオードと、前記各主回路スイッチング素子との配線インダクタンスが均等になる位置に各々の主回路スイッチング素子を配置した構成部分と、前記逆電圧印加回路を前記主回路スイッチング素子の近傍に配置した構成部分と、前記逆電圧印加回路を構成するコンデンサ、逆電圧印加スイッチング素子、ダイオードおよび前記主回路スイッチング素子の正極端子の共通接続点に至る前記直流電圧源からの正側配線経路と、前記主回路スイッチング素子の負極端子の共通接続点から前記逆電圧印加回路のコンデンサに至る負側配線経路とが極力短くなる位置に前記逆電圧印加回路のコンデンサ、逆電圧印加スイッチング素子、ダイオードおよび前記主回路スイッチング素子を配置した構成部分とを有し、前記主回路スイッチング素子に直接接続した正負の主回路直流電極の絶縁を確保しつつ密着させて構成した導体構造と、を備え、前記逆電圧印加回路が多並列接続された前記主回路スイッチング素子に分担して逆電圧を与えるように構成される。
本発明に係る電力変換回路の導体構造は、上述した課題を解決するために、各主回路スイッチング素子との配線インダクタンスが均等になる位置に各々の主回路スイッチング素子を配置した構成部分と、逆電圧印加回路を前記主回路スイッチング素子の近傍に配置した構成部分と、前記逆電圧発生回路を構成するコンデンサ、逆電圧印加スイッチング素子、ダイオードおよび前記主回路スイッチング素子の正極端子の共通接続点に至る前記直流電圧源からの正側配線経路と、前記主回路スイッチング素子の負極端子の共通接続点から前記逆電圧発生回路のコンデンサに至る負側配線経路とが極力短くなる位置に前記逆電圧発生回路のコンデンサ、逆電圧印加スイッチング素子、ダイオードおよび前記主回路スイッチング素子を配置した構成部分とを有し、前記主回路スイッチング素子に直接接続した正負の主回路直流電極の絶縁を確保しつつ密着させて構成したことを特徴とする。
本発明に係る電力用スイッチング素子は、上述した課題を解決するために、電力変換回路に適用され主回路のスイッチングを行う電力用スイッチング素子において、前記電力用スイッチング素子は、MOSFETおよびIGBTの何れかの正極端子に、前記正極端子へ向かう方向を順方向として補助ダイオードを接続して構成され、前記MOSFETおよびIGBTの3つ端子と、前記補助ダイオードの入力端子との4端子を有する素子として構成されることを特徴とする。
本発明に係る電力変換回路によれば、逆電圧印加回路のコンデンサからの電荷放電が均等になるとともに、速やかに還流ダイオードの逆回復が完了できるので、効果的に還流ダイオードで生じる損失を低減することができる。また、MOSFETは、ターンオン時において純粋な抵抗体となるので、MOSFETを多並列接続することで、導通損を低減することができ、従来よりも大電力、高効率および小型化した電力変換回路および電力変換装置を提供することができる。
本発明に係る電力変換回路の導体構造によれば、見かけ上、低インダクタンス化することができるので、主回路のサージ過電圧が抑制されて直流スナバが殆どなくすことができる。その結果、従来よりも逆電圧印加時のスイッチング損失の低減効果を大幅に改善した電力変換回路および電力変換装置を提供することができる。
本発明に係る電力用スイッチング素子によれば、主回路構造が簡略化され、アシスト電圧印加端子Aを低圧側とすることができるため、絶縁に対する考慮が不要となり、主回路構成を簡易化できると共に装置の小型化を実現することができる。
以下、本発明に係る電力変換回路および半導体スイッチについて図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換回路の一実施例である電力変換回路1Aについての回路図である。尚、図1において示されるPは正側電位を示す電極(以下、P電極とする)、Nは負側電位を示す電極(以下、N電極とする)であり、図2以降も同様である。
図1に示される電力変換回路1Aおいて、直流電圧源11は、例えば、三相交流電源を整流し、コンデンサで平滑することで得られる直流電圧源である。直流電圧源11からは、正極側直流母線12aおよび負極側直流母線12bが形成され、正極側直流母線12aと負極側直流母線12bとの間には、主回路スイッチング素子としてのMOSFET14を2個並列接続して構成した主回路スイッチング素子ユニット15を、少なくとも1個以上(例えば図1では2個)並列接続して構成した主回路スイッチングデバイス16が2個直列に接続される。すなわち、電力変換回路1Aでは、本発明特有の主回路スイッチング素子として主回路スイッチングデバイス16を適用した点が特徴である。
ここで、符号13は、平滑用コンデンサである。また、正極側直流母線12a側に接続される主回路スイッチングデバイス16を正側主回路スイッチングデバイス16uと称し、負極側直流母線12b側に接続される主回路スイッチングデバイス16を負側主回路スイッチングデバイス16xと称する。
主回路スイッチングデバイス16u,16xの主回路スイッング素子14u,14xの双方には、各々還流ダイオード17u、17xが内在されている。電力変換回路1Aおいて、負荷(図1において省略)との接続を担う負荷端子18は、正側主回路スイッチング素子14uと負側主回路スイッチング素子14xの間に設けられる。
主回路スイッチング素子14(14u,14x)のドレイン端子、すなわち還流ダイオード17(17u,17x)のカソード端子と、主回路スイッチング素子14(14u,14x)のソース端子、すなわち還流ダイオード17(17u,17x)のアノード端子との間に還流ダイオード17の逆電圧印加回路21が接続される。逆電圧印加回路21の逆電圧は、主回路スイッチング素子ユニット15の正側、すなわち、主回路スイッチング素子ユニット15における主回路スイッチング素子14の各々のドレイン端子を電気的に接続する電源ライン(接続導体)22に印加する構成とする。
逆電圧印加回路21は、図1に示されるように、直流電圧源11よりも低電圧の直流電圧源(低電圧直流電圧源)24と、コンデンサ25と、例えば、MOSFET等の逆電圧印加スイッチング素子26と、主回路スイッチング素子ユニット15へ逆電圧を印加する補助ダイオード27とを備える。補助ダイオード27の個数は、逆電圧印加の対象となる主回路スイッチング素子ユニット15の個数(図1に示される例では2個)と同数である。
このように構成された電力変換回路1Aでは、逆電圧印加回路21のコンデンサ25からの電荷放電が均等になり、なおかつ速やかに還流ダイオード17の逆回復が完了できるので、効果的に還流ダイオード17で生じる損失を低減することができる。また、主回路スイッチング素子としてのMOSFET14は、ターンオン時において純粋な抵抗体となるので、MOSFET14が多並列接続された場合、そのオン抵抗は「1/素子並列数」となる。すなわち、オン抵抗が減少するので、導通損を低減することができる。
本発明の実施の形態によれば、従来の電力変換回路よりも発生損失が少なく高効率を実現した電力変換回路1Aを提供することができる。
[第2の実施の形態]
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る電力変換回路の一実施例である電力変換回路1Bについての回路図である。
電力変換回路1Bは、電力変換回路1Aにおいて主回路スイッチング素子として適用したMOSFET14の代わりにIGBT34を適用した点で相違するが、その他の点は実質的に相違しない。そこで、実質的に相違しない構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
図2に示される電力変換回路1Bおいて、正極側直流母線12aと負極側直流母線12bとの間には、主回路スイッチング素子に相当するIGBT34を2個並列接続して構成される主回路スイッチング素子ユニット35を、少なくとも1個以上(例えば図2では1個)並列接続して構成される主回路スイッチングデバイス36が2個直列に接続される。尚、IGBT34では、還流ダイオード17を内在しない構成のため、図2に示されるように、IGBT34の負極端子から正極端子に向かって還流ダイオード17を接続して実質的にMOSFET14と等価にして適用する。すなわち、還流ダイオード17を逆並列接続して適用する。
ここで、正極側直流母線12a側に接続される主回路スイッチングデバイス36を正側主回路スイッチングデバイス36uと称し、負極側直流母線12b側に接続される主回路スイッチングデバイス36を負側主回路スイッチングデバイス36xと称する。また、図2においては、正側主回路スイッチングデバイス36uおよび負側主回路スイッチングデバイス36xのIGBT34をおよび主回路スイッチング素子ユニット35については、それぞれ34u,35uおよび34x,35xと符号を付す。さらに、符号37は、逆電圧印加回路であり、図1に示される逆電圧印加回路21との相違は、備える補助ダイオード25の個数が1個であるか2個であるかの点であり、本質的な相違はない。
このように構成された電力変換回路1Bでは、主回路スイッチング素子としてIGBT34を適用している。IGBT34は、トレンチ技術の進化から特性は飛躍的に改善されたものの、PN結合部に電圧降下が生じることから原理的にオン電圧の低下が望めず損失(導通損)の低下に限界がある。それでも、電力変換回路1Bでは、還流ダイオード17の逆回復時で生じる損失を低減できる。
本発明の実施の形態によれば、主回路スイッチング素子としてIGBTを適用した従来の電力変換回路よりも発生損失が少なく高効率を実現した電力変換回路1Bを提供することができる。
[第3の実施の形態]
図3は、本発明の第3の実施の形態に係る電力変換回路の一実施例である電力変換回路1Cについての回路図である。尚、上述の電力変換回路1A,1Bと実質的に異ならない構成要素については同じ符号を付して説明を省略する。
電力変換回路1Cは、電力変換回路1Aにおける各逆電圧印加回路21の各直流電圧源22の基準電位を、主回路のNで示す低電位(対地側)を基準とした電位から供給するように構成される。すなわち、共通する直流電圧源41を、ダイオード42を介して正極側直流母線12a側に接続される逆電圧印加回路43および負極側直流母線12b側に接続される逆電圧印加回路44へ供給して逆電圧印加回路43,44のコンデンサ25を充電する。尚、符号45は、逆電圧印加回路43,44への電源供給を行う電源供給回路である。
また、正極側直流母線12a側に接続される逆電圧印加回路43では、還流ダイオード17uの逆回復の確実化を図るべく小容量(小型)の低電圧の直流電圧源(低電圧直流電圧源)48から抵抗47を介してコンデンサ25を充電して、電力変換回路1Cを備える電力変換器の起動時のゲート駆動電源を確保した構成とする。尚、その他の点は実質的に電力変換回路1Aと異ならないので、同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
このように構成された電力変換回路1Cによれば、個別絶縁電源の容量を小さくし、共通の比較的大容量の電源を1個用意することで、電力変換回路1Cおよび当該回路1Cを適用した電力変換装置を小型化および低コスト化できる。
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態に係る電力変換回路の一例である電力変換回路1Dは、その導体構造に特徴を有し、回路図としては、図1ないし図3の何れかに示されるものと実質的には同一である。以下、図4および図5を引用して電力変換回路1Dの導体構造について説明する。
図4および図5は、本発明の第4の実施の形態に係る電力変換回路の一例である電力変換回路1Dの導体構造を示した説明図である。より具体的には、図4(a)は、本発明の実施の形態に係る電力変換回路の一例である電力変換回路1C(図3)の部分回路図と当該回路図に対応するプリントパターンを示した説明図(多層プリント基板または多層プリント導体の上面図)であり、図4(b)は、図4(a)に示されるI−I線に沿う方向の断面図である。尚、符号AFは、電力変換回路1Dを構成する各部品の装着面(Attaching Face)である。
また、図5は、図4(b)に示される多層プリントパターンにおいて、主回路スイッチング素子としてのMOSFET14u側(上から)から2番目の層(P電極に相当する電極層)のプリントパターンを示した説明図である。尚、符号49は、絶縁体領域(絶縁部分)であり、図中のその他の領域は導体である。
主回路スイッチング素子の多並列回路を含む電力変換回路では、主回路スイッチング素子に流れる電流分担と逆電圧印加回路を主回路スイッチング素子の近傍に配置設置して、逆電圧印加回路ループ、すなわち、逆電圧発生回路のコンデンサ25、逆電圧印加スイッチング素子26、ダイオード27、主回路スイッチング素子14のD(ドレイン端子)、同素子14のS(ソース端子)およびコンデンサ25に至るループを適値にすることは、サージ抑制のためにも重要である。
そこで、電力変換回路1Dでは逆電圧の印加は、並列接続した各主回路スイッチング素子14のドレイン端子(Dで示す)の中央から与えることで、各主回路スイッチング素子14u,14xと逆電圧印加回路43,44の回路ループが均一になる工夫が成されている。また、電力変換回路1Dでは主回路スイッチング素子14に接続する導体を積層構造とする。
具体的には、図4(b)に示されるように、上から順に、1番目の層は、主回路スイッチング素子14に隣接した層、すなわち、逆電圧発生回路等の回路部品装着面、次の層は負側主回路素子14xのソース端子S(N電極に相当する電極層であり、以下、N電極層とする)、次の層は正側主回路素子14uのソース端子Sと負側主回路素子14xのドレイン端子Dを接続した負荷出力端子18、最下層は正側主回路素子14uのドレイン端子D(P電極に相当する電極層であり、以下、P電極層とする)となるように、導体の積層構造を構成する。尚、図5に示されるように、P電極層とN電極層は、接触不可部分には絶縁部分49を確保し、全体をドレインと同電位にする。
すなわち、電力変換回路1Dは、主回路スイッチング素子14への接続配線のインダクタンス(配線インダクタンス)を均一とする観点から、各主回路スイッチング素子14への配線が均等になる位置に各々の主回路スイッチング素子14を配置した構成部分と、逆電圧印加回路43,44内のインダクタンスをできるだけ小さくする観点から逆電圧印加回路43,44を主回路スイッチング素子14の近傍に配置した構成部分と、逆電圧発生回路43,44のコンデンサ25、逆電圧印加スイッチング素子26、ダイオード27および主回路スイッチング素子14のD(ドレイン端子:正極端子)の共通接続点に至る正側配線経路12aと、主回路スイッチング素子14のS(ソース端子:負極端子)の共通接続点からコンデンサに至る負側配線経路12bとができるだけ短くなるように配置した構成部分とを有し、図3に示される主回路の直流電圧源11(図4において省略)を供給する導体12a,12bを低インダクタンス化する観点から主回路スイッチング素子14に直接接続した正負の主回路直流電極P,Nの絶縁を確保しつつできるだけ密着させて構成した導体構造を備えて構成される。
このように電力変換回路1Dおよび当該回路1Dの導体構造によれば、P電極層とN電極層が近接設置された構造を備える。すなわち、近接する層の導体部分を流れる電流の関係は、同じ大きさで、かつ、逆方向となるので、それぞれ発生する磁束を打ち消し合う結果、見かけ上、直流電圧源11の供給導体12a,12bの低インタンス化を図ることができる。この結果、電力変換回路1Dにおいては、サージ過電圧が抑制されて直流スナバが小容量または皆無となり、逆電圧印加時のスイッチング損失の低減効果が大幅に改善される。
尚、図4では、図3に示される電力変換回路1Cを例にしているが、上述したように、電力変換回路1A,1Bについても適用できる。
[第5の実施の形態]
図6および図7を引用して、本発明の第5の実施形態に係る電力変換回路について説明する。尚、上述の電力変換回路1A〜1Dと実質的に異ならない構成要素については同じ符号を付して説明を省略する。
図6は、本発明の第5の実施形態に係る電力変換回路の一実施例である電力変換回路1Eの回路図である。
初めに正側スイッチング素子であるMOSFET14uのゲート駆動信号GPがゲート駆動回路50から出力されていると仮定する。このゲート駆動信号GPがオン信号からオフ信号に変化する場合、例えば、P−チャネルMOSFET51等の逆電圧を発生するスイッチ素子のゲートGは、抵抗52およびコンデンサ53で構成される微分回路によってゲート電位は後述する図7に示されるように動作する。
閾値に至る傾斜と逆電圧発生時間は、図6に示されるP−MOSFET51のG−S間入力容量と抵抗52,54の抵抗値で調整することができる。また、ダイオード58およびコンデンサ59でP−MOSFET51をサージ過電圧から保護する保護回路を構成する。
尚、図6において、符号60は逆電圧印加回路、61は低電圧直流電圧源、62〜64は抵抗、65〜68はダイオード、69はコンデンサである。
図7は、電力変換回路1Eの動作を説明する説明図であり、図7(a)はMOSFET14xのゲート信号の推移を示す図、図7(b)はMOSFET14uのゲート信号の推移を示す図、図7(c)はP−チャネルMOSFET51のゲート電位の推移を示す図、図7(d)はP−チャネルMOSFET51の動作状態を示す図である。尚、図7(a)〜図7(d)は、共通の時間を基準として示されている。
図7(a)および図7(b)によれば、MOSFET14xおよびMOSFET14uのゲート信号は、一方がOFFとなってからTDの時間遅れをもって他方がONとなるようにして与えられる。この場合において、P−チャネルMOSFET51は、図7(d)に示されるように、P−チャネルMOSFET51のゲート電位が、所定の電位(例えば+12V)から下がっていき、閾値を超えた時にONとなる。そして、図7(a)に示されるFETゲート信号がONとなる時点から図7(c)に示されるP−チャネルMOSFET51のゲート電位が上昇し閾値を超えた時までの期間が、逆電圧印加期間となる。
このように構成された電力変換回路1Eによれば、逆電圧発生回路60のスイッチ素子(P−チャネルMOSFET51)と、主回路のスイッチ素子(MOSFET14u)の駆動回路50が共通化できるので、駆動回路50の簡素化(省スペース化)を図ることができ電力変換回路1Eの小型化に寄与することができる。
[第6の実施の形態]
本発明に係る電力用スイッチング素子の実施の形態について以下の図8および9を引用して説明する。
図8および図9は、本発明に係る電力用スイッチング素子70A,70Bの構成を概略的に示した構成図であり、図8は、主素子がMOSFET14の場合、図9は、主素子がIGBT34の場合を示している。尚、図8および図9において、Aはアシスト端子、Gはゲート端子、Dはドレイン端子、Sはソース端子、Bはベース端子、Cはコレクタ端子、Eはエミッタ端子である。
図8に示される電力用スイッチング素子70Aは、図1に示される電力変換回路1Aにおいて、MOSFET14、還流ダイオード17および補助ダイオード27を抜き出して1つの素子として構成したものである。すなわち、電力用スイッチング素子70Aは、還流ダイオード17を内在するMOSFET14の正極端子(図8におけるD)に、正極端子(図8におけるD)へ向かう方向が順方向となるように補助ダイオード27を電気的に接続して構成されるA、G、DおよびSの4端子を有する素子である。
図9に示される電力用スイッチング素子70Bも実質的には、電力用スイッチング素子70Aと同様であり、図2に示される電力変換回路1Bにおいて、IGBT34、還流ダイオード17および補助ダイオード27を抜き出して1つの素子として構成したものである。すなわち、電力用スイッチング素子70Bは、還流ダイオード17を逆並列接続したIGBT34の正極端子(図9におけるC)に、正極端子(図9におけるC)へ向かう方向が順方向となるように補助ダイオード27を電気的に接続して構成した素子である。
このように構成された本実施の形態において、主回路構造は簡略化され、アシスト電圧印加端子Aが低圧側となるため、絶縁に対する考慮が不要であり、この結果、主回路構成が容易となると共に装置の小型化が可能になる。尚、図8および図9においては、MOSFET14およびIGBT34はn型の場合を示しているが、p型であっても同様に適用できる(但しp型では正極端子がn型の場合と逆転する点に留意する必要がある)。
以上、本発明に係る電力変換回路によれば、MOSFET14を多並列接続した場合、MOSFET14は、ターンオン時において純粋な抵抗体となるので、そのオン抵抗は「1/素子並列数」となり、導通損を低減することができる。従って、従来の電力変換回路よりも発生損失が少なく高効率を実現することができる。
また、IGBT34を多並列接続して適用した場合にも、MOSFET14を多並列接続した場合には及ばないものの従来の電力変換回路よりは、発生損失を少なくし効率を向上させることができる。
さらに、個別絶縁電源の容量を小さくし、共通の比較的大容量の電源(図3に示される直流電圧源41)を1個用意し、各逆電圧印加回路の各直流電圧源の基準電位を、Nで示す低電位(対地側)を基準とした電位から供給するように構成すれば、電力変換回路および電力変換装置を小型化および低コスト化できる。
また、本発明に係る電力変換回路の導体構造によれば、P電極とN電極が隣接設置された構造から、見かけ上、低インダクタンス化することができる。従って、主回路のサージ過電圧が抑制されて直流スナバが小容量又皆無となり、逆電圧印加時のスイッチング損失の低減効果が大幅に改善することができる。
本発明に係る電力用スイッチング素子によれば、主回路構造が簡略化され、アシスト電圧印加端子Aを低圧側とすることができるため、絶縁に対する考慮が不要となり、主回路構成が簡易化できると共に装置の小型化を実現することができる。
尚、本発明は上記の各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化しても良い。
本発明の第1の実施の形態に係る電力変換回路の回路図。 本発明の第2の実施の形態に係る電力変換回路の回路図。 本発明の第3の実施の形態に係る電力変換回路の回路図。 本発明の第4の実施の形態に係る電力変換回路の導体構造を説明する説明図であり、(a)は、電力変換回路の部分回路図と当該部分回路図に対応するプリントパターンを示した説明図であり、(b)は図4(a)に示されるI−I線に沿う方向の断面図。 本発明の第4の実施の形態に係る電力変換回路の導体構造におけるプリントパターン例を説明する説明図。 本発明の第5の実施の形態に係る電力変換回路の回路図。 本発明の第5の実施の形態に係る電力変換回路の動作を説明する説明図。 本発明に係る電力用スイッチング素子の構成を概略的に示した構成図(主素子がMOSFETの場合)。 本発明に係る電力用スイッチング素子の構成を概略的に示した構成図(主素子がIGBTの場合)。
符号の説明
1A,1B,1C,1D,1E 電力変換回路
11 直流電圧源
12a 正極側直流母線
12b 負極側直流母線
13 平滑用コンデンサ
14(14u,14x) MOSFET
15(15u,15x) 主回路スイッチング素子ユニット
16(16u,16x) 主回路スイッチングデバイス
17(17u,17x) 還流ダイオード
18 負荷端子
21 逆電圧印加回路
22 電源ライン
24 直流電圧源(低電圧直流電圧源)
25 コンデンサ
26 逆電圧印加スイッチング素子
27 補助ダイオード
34(34u,34x) IGBT
35(35u,35x) 主回路スイッチング素子ユニット
36(36u,36x) 主回路スイッチングデバイス
37 逆電圧印加回路
41 直流電圧源
42 ダイオード
43 逆電圧印加回路
44 逆電圧印加回路
45 電源供給回路
47 抵抗
48 直流電圧源(低電圧直流電圧源)
49 絶縁体領域(絶縁部分)
50 駆動回路
51 P−チャネルMOSFET
52 抵抗
53 コンデンサ
54 抵抗
58 ダイオード
59 コンデンサ
60 逆電圧印加回路
61 低電圧直流電圧源
62,63,64 抵抗
65,66,67,68 ダイオード
69 コンデンサ
70A,70B 電力用スイッチング素子
P 正側電極
N 負側電極
A アシスト端子
G ゲート端子
D ドレイン端子
S ソース端子
B ベース端子
C コレクタ端子
E エミッタ端子

Claims (6)

  1. 直流電圧源に主回路スイッチング素子を2つ並列接続して構成される主回路スイッチング素子ユニットを少なくとも1ユニット以上並列接続して構成される主回路スイッチングデバイスと、
    前記主回路スイッチングデバイスを直列接続して各主回路スイッチングデバイスの間から負荷に電力を供給する負荷端子と、
    前記主回路スイッチング素子ユニットの還流ダイオードの遮断時に前記直流電圧源の電圧より低い直流電圧を前記還流ダイオードに印加する個別の低電圧直流電圧源で構成された逆電圧印加回路と、
    前記逆電圧印加回路から前記主回路スイッチング素子ユニットに逆電圧を印加する補助ダイオードと、
    前記各主回路スイッチング素子との配線インダクタンスが均等になる位置に各々の主回路スイッチング素子を配置した構成部分と、前記逆電圧印加回路を前記主回路スイッチング素子の近傍に配置した構成部分と、前記逆電圧印加回路を構成するコンデンサ、逆電圧印加スイッチング素子、ダイオードおよび前記主回路スイッチング素子の正極端子の共通接続点に至る前記直流電圧源からの正側配線経路と、前記主回路スイッチング素子の負極端子の共通接続点から前記逆電圧印加回路のコンデンサに至る負側配線経路とが極力短くなる位置に前記逆電圧印加回路のコンデンサ、逆電圧印加スイッチング素子、ダイオードおよび前記主回路スイッチング素子を配置した構成部分とを有し、前記主回路スイッチング素子に直接接続した正負の主回路直流電極の絶縁を確保しつつ密着させて構成した導体構造と、を備え、
    前記逆電圧印加回路は、多並列接続された前記主回路スイッチング素子に分担して逆電圧を与えるように構成されたことを特徴とする電力変換回路。
  2. 前記主回路スイッチング素子は、前記還流ダイオードを内蔵したMOSFETまたは前記還流ダイオードをIGBTの負極端子から正極端子へ向かう方向を順方向として接続して構成される素子であることを特徴とする請求項1記載の電力変換回路。
  3. 前記逆電圧印加回路の個別の低電圧直流電圧源を、主回路の負電位側(対地電位)を基準とした一の共通電圧源から供給することを特徴とする請求項1記載の電力変換回路。
  4. 前記逆電圧印加回路は、前記スイッチング素子と逆電圧印加回路駆動素子の駆動信号を、主回路スイッチング素子のゲート駆動信号から生成してゲート駆動回路を簡素化して構成されることを特徴とする請求項記載の電力変換回路。
  5. 各主回路スイッチング素子との配線インダクタンスが均等になる位置に各々の主回路スイッチング素子を配置した構成部分と、
    逆電圧印加回路を前記主回路スイッチング素子の近傍に配置した構成部分と、
    前記逆電圧印加回路を構成するコンデンサ、逆電圧印加スイッチング素子、ダイオードおよび前記主回路スイッチング素子の正極端子の共通接続点に至る前記直流電圧源からの正側配線経路と、前記主回路スイッチング素子の負極端子の共通接続点から前記逆電圧印加回路のコンデンサに至る負側配線経路とが極力短くなる位置に前記逆電圧印加回路のコンデンサ、逆電圧印加スイッチング素子、ダイオードおよび前記主回路スイッチング素子を配置した構成部分とを有し、前記主回路スイッチング素子に直接接続した正負の主回路直流電極の絶縁を確保しつつ密着させて構成したことを特徴とする電力変換回路の導体構造
  6. 電力変換回路に適用され主回路のスイッチングを行う電力用スイッチング素子において、
    前記電力用スイッチング素子は、MOSFETおよびIGBTの何れかの正極端子に、前記正極端子へ向かう方向を順方向として補助ダイオードを接続して構成され、前記MOSFETおよびIGBTの3つ端子と、前記補助ダイオードの入力端子との4端子を有する素子として構成されることを特徴とする電力用スイッング素子。
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