JPH10271600A - 周波数選択的空間感向上システム - Google Patents
周波数選択的空間感向上システムInfo
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- JPH10271600A JPH10271600A JP9245996A JP24599697A JPH10271600A JP H10271600 A JPH10271600 A JP H10271600A JP 9245996 A JP9245996 A JP 9245996A JP 24599697 A JP24599697 A JP 24599697A JP H10271600 A JPH10271600 A JP H10271600A
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Abstract
の明瞭性を失うことなく、立体感のあるサウンドを再現
できる空間感向上システムを提供する。 【解決手段】 ステレオ信号を入力して3次元イメージ
ステレオ信号を作るシステムにおいて、主チャンネル信
号を入力して音の空間性と方向性を強調する空間性助成
部と、主チャンネル信号を入力して所定の周波数帯域を
補強し維持するための帯域補強部と、前記空間性助成部
の出力信号と、前記帯域補強部の出力信号と、前記主チ
ャンネル信号をマトリックス演算するチャンネルマトリ
ックス部とを、左右の信号ラインにそれぞれ具える周波
数選択的空間感向上システムであり、ステレオ信号を処
理するのに適した相互に対称的な回路構成を有し、左右
のチャンネルの音の差を利用して音の空間性を上げると
ともに、回路構成を簡潔にして信号対雑音特性の劣化を
防止して、価格に対する装置の性能を大きくし向上させ
た。
Description
を利用してステレオ信号から3次元イメージの音を再現
するにあたって、音の空間感を拡大すると共に、背景音
を強調してライブ効果を導出する3次元ステレオイメー
ジプロセッシングに関する技術である。
るための従来の技術としては、米国特許第4,748,
669号に提示された「STEREO ENHANCEMENT SYSTEM
(ステレオエンハンスメントシステム)」や、米国特許
第4,866,774号に提示された「STEREO ENHANCE
MENT AND DIRECTIVITY(ステレオエンハンスメントアン
ドディレクティヴィティ)」などがある。上記米国特許
第4,748,669号および第4,866,774号
には、ステレオイメージの拡張及び音の方向性と空間性
を拡大するための技術が開示されている。これらの従来
技術では、左側チャンネル信号(L)と右側チャンネル
信号(R)からL+R信号及びL−R信号を得て、これ
らの信号の周波数、位相、利得(GAIN)を適切に変
化させた後、最終的に左右のマトリックス段で演算し
て、結果的に音の空間感と方向性と強調するようにして
いる。
R信号を処理する処理手段が必ず必要であり、ステレオ
イメージを形成するためのL−R信号をフィルタ、利得
調整回路及び各種の演算回路に通し、その結果として立
体感のあるサウンドを得るようにしている。しかしなが
ら、この従来の方法ではL−R信号を周波数的に処理し
て、左側と右側のチャンネルでそれぞれ演算処理するよ
うに構成されているため、ステレオ信号の差成分の量が
極めて小さくなってしまう。また、主に高域帯に信号が
分布するため、音声帯域や低域の信号が抜けた状態にな
るという問題がある。
最終マトリックス段に追加することによって、左、右の
スピーカの中心位置で音が再生されるようになり、均衡
のとれたサウンドが再現できる。しかし、このような信
号処理方式では、元のステレオ信号の左右の音をL+
R、及びL−Rの信号処理を行った上で、周波数的に補
強して最終マトリックス段で再配置するようにしている
ため、音の立体感は多少得られるが、原音損失の影響が
大きくなる。特にL+R信号(モノフォニック信号)を
付加することによって、ソフト(SOFT)によっては
ステレオ感をなくしてしまうといった逆効果が生じる。
また、元のステレオ信号が左右に分離されなくなり、音
の明瞭性が劣化し、既存のステレオ効果に比べて、音質
や左右の音の分離の度合いが劣るといった現象が起こ
る。
体処理回路に信号を通すと、音声帯域の信号が減衰す
る。また、元のステレオ信号を再処理することによって
原信号に損失が生じるため、このような音を長時間聴取
すると不快感が生じることがある。また、各種のフィル
タや位相シフト等によって原音が再処理される過程で、
信号間の相互干渉や歪曲が起こるため、上述した従来の
技術では、臨場感のある音は再現できるが、原音の損失
は避けることができず、したがって、クラシック音楽な
どを再生する場合、ほとんどその原音を利用することが
できない状態になる。
ば、原音の損失を最小限に抑えることができると共に、
3次元イメージ感を向上させることができる。また、音
盤製作時の最初のミキシング過程で不可避的に生じる背
景音の量の減少を、再生過程で補強してライブな生動感
のある音を再生することができる。本発明の技術では、
上述の先行技術のようにL+R信号とL−R信号を様々
な回路で処理することなく、チャンネル信号を重視して
再処理する回路構成が採用されている。したがって、音
場の変化を最小限に抑えると共に信号対雑音比およびT
HD(Total Harmonic Distort
ion)を減らして原音の損失を少なくし、更に音の方
向性と空間性、および生動感を拡大することができる。
号を再生する場合、アンプやスピーカの品質あるいは性
能が制限されるため、低域、中域、高域の全周波数帯に
かけて美麗な音を再生することは不可能である。しか
し、本発明を適用することによって、このようなアンプ
やスピーカなどの性能上の制約をある程度解消すること
ができる。すなわち、本発明では、低域帯では原信号を
中心として利得特性をあげるようにし、中域帯は元信号
と差信号を50対50程度で構成し、音の方向性と空間
感を表現する領域である高域帯では差信号を中心に利得
を上げることによって、自然な音を再構成するようにし
ている。したがって、性能上の制限を受けざるを得ない
ような中、低級機でも音響信号の再現特性を改善するこ
とができる。
信号を処理するのに適した相互に対称的な回路構成を有
し、左右のチャンネルの音の差を利用して音の空間性を
上げると共に、回路構成を簡潔にして信号対雑音特性の
劣化を防止して、価格に対する装置の性能を大きくし向
上させた新しい概念のサラウンドシステムである。
ネル信号から空間性イメージを周波数的側面で抽出する
空間性助成部と、元の音の中域と低域を補強するための
周波数帯域補強部と、チャンネルマトリックス手段とを
主要構成とする。
択的空間感向上システムの基本的な構成(第1の実施形
態)を示すブロックダイアグラムである。尚、このシス
テムは、ステレオ入力信号から3次元イメージステレオ
信号を作るプロセッサに適用する。図1に示すように、
本実施形態のシステムは、左右の入力信号(L−in)
(R−in)をそれぞれ入力して音の空間性と方向性を
強調する空間性助成部(30)(40)と、左右の入力
信号をそれぞれ入力して元音の中域と低域を補強する帯
域補強部(50)(60)と、上記空間性助成部(3
0)(40)の出力信号と、帯域補強部(50)(6
0)の出力信号、及び左右のチャンネル信号をマトリッ
クス処理するチャンネルマトリックス段(70)(8
0)とを、左右の信号ラインにそれぞれ具えている。
は、左右の入力信号(L−in)(R−in)がバッフ
ァ(10)(20)を通って各回路に入力されるように
構成されている。ここで信号入力ラインにバッファ(1
0)(20)を設けた理由は、入力側のインピーダンス
を高くして信号伝達間における信号の減衰を減らして、
周波数特性面における信号の劣化を補強すると共に、次
段の信号がいろんな経路で処理されることによって信号
が劣化することを防止するためである。
(R−in)は、バッファ(10)(20)を経て、音
の空間性及び方向性を強調する左右の空間性助成部(3
0)(40)と、元の主チャンネル信号の中域帯と低域
帯を補強する帯域補強部(50)(60)にそれぞれ入
力される。これらの空間性助成部(30)(40)の出
力と帯域補強部(50)(60)の出力は、更に左右の
チャンネルマトリックス部(70)(80)に入力され
る。また、入力信号(L−in)(R−in)の一部を
チャンネルマトリックス部(70)(80)に直接入力
させるようにしている。
向性と空間性を作り出すためのL’とR’信号を形成す
る。ここで空間性助成部(40)の出力信号L’を右側
のマトリックス部(80)へ、また空間性助成部(3
0)の出力信号R’を左チャンネルマトリックス(7
0)に入力し、ここでL−R’とR−L’の演算がそれ
ぞれ行われる。
ネル信号の中域と低域を補強するためのものであり、こ
こで信号L”とR”が形成される。このL”とR”信号
は、左右のチャンネルマトリックス(70)(80)に
それぞれ入力され、上述のL−R’とR−L’の演算結
果に加算される。すなわち、左右のチャンネルマトリッ
クス(70)(80)は前段の空間性助成部(30)
(40)の出力(L’)(R’)と帯域補強部(50)
(60)の出力(L”)(R”)と、主チャンネル信号
(L)(R)とをマトリックス演算するよう構成されて
おり、左側チャンネル(L−OUT)ではL−R’+
L”の形態の信号を、右側チャンネル(R−OUT)で
はR−L’+R”形態の信号が最終的に、出力される。
域通過フィルタの特性を持ち、帯域補強部(50)(6
0)は低域通過フィルタの特性を持つ。これらのフィル
タが中域帯でほとんど1に近い利得を持つように構成す
ることによって、中域帯の信号が左右完全に同一である
場合は、L=L’=L”=R=R’=R”となる。した
がって、マトリックス部(70)(80)でL−R’+
L”、R−L’+R”の演算を行うことによって、左側
チャンネル(L−OUT)にL=R=1が出力し、右側
チャンネル(R−OUT)にR=L=1が出力する。ま
た、左右の中域帯の信号に差がある場合は、左側チャン
ネル(L−OUT)にL+(L”−R’)が出力し、右
側チャンネル(R−OUT)にR+(R”−L’)が出
力する特性を持つ。このように構成することによって、
中域帯では左右の信号がどんな形態であっても、その信
号がそのまま維持されて出力されることになる。
得を持つことになるため、上記のL+(L”−R’)と
R+(R”−L’)の演算を行うにあたって、信号の主
成分であるL+L”とR+R”成分が相対的に大きくな
る。従って、低域帯では元のチャンネル信号が強調され
て出力される特性を持つ。
帯では、帯域補強部(50)(60)の出力であるL”
とR”の利得が小さく、空間性助成部(30)(40)
の出力であるR’とL’の利得が1に近い。したがっ
て、L+(L”−R’)とR+(R”−L’)の演算を
行うにあたって、L−R’とR−L’が中心成分になる
ので結果的に音の空間感と方向性が増大される。
大きく3等分して、低域帯信号では主チャンネルの信号
を補強して、中域帯では主チャンネルの信号をそのまま
維持し、高域帯では相互の減算量を大きくすることによ
って、低、中、高域帯のすべての領域に亘って音の均衡
を取りながら、全体的に音の空間感と方向性が向上する
ように構成されている。
システムの空間性助成部の詳細な構成を示す図であり、
図2(a)は空間性助成部の回路構成を示す図、図2
(b)はその特性グラフである。空間性助成部は左右の
チャンネルにそれぞれ設けられており、音の空間性と方
向性および背景音を強調するためのR’とL’信号を作
る回路構成を有する。
音声周波数を中心にして高域側に該当する信号成分を周
波数選択的に通過させてR’、L’信号を作り、マトリ
ックス段にて相対する主チャンネル信号からこれを減算
することで音の3次元イメージ成分の信号を導出するこ
とである。一般的なステレオ信号は、中域帯及び低域帯
では、左右のチャンネル信号に共通成分が多く、実際に
音を左右に分離するステレオ成分、及び三次元イメージ
成分は高域帯に多く含まれている。したがって、各チャ
ンネルにおいて音性周波数を中心として高域側に該当す
る信号を周波数選択的に通過させて相対する主チャンネ
ル信号からこれを減算することで3次元イメージ成分の
信号を導出することができる。
0)はコンデンサ(C41)と抵抗(R41)でできた
回路構成を持ち、高域通過フィルタを構成している。こ
こでコンデンサ(C41)と抵抗(R41)の時定数に
応じて通過域と遮断域の周波数帯の利得特性を調整する
ことができる。また、この時定数に応じて臨場感と中域
音も調整することができる。この回路は後段のマトリッ
クス回路で主チャンネル信号から減算するためのR’成
分とL’成分を作るために設けられており、中、高域帯
での利得を1にして、低域帯で遮断周波数を持つ高域通
過フィルタを構成する。図2(b)に、空間性助成部4
0の出力の一例の周波数特性を示す。
を構成する抵抗(R41)とコンデンサ(C41)の時
定数を調整することで3次元ステレオイメージ信号の量
を自由に調整することができる。また、これらの素子の
時定数を調整することによって音の空間性を調整して各
種の3次元イメージの形態を構築することができる。
る抵抗(R42)は右チャンネルマトリックス(80)
のマトリックス演算回路の因数を決定して、右チャンネ
ルマトリックス(80)でR−L’+R”を演算する際
の−L’演算機能を実行するためのものである。
強部の詳細を示す図であり、図3(a)は帯域補強部の
回路の構成を示す図、(b)はその特性を示すグラフで
ある。帯域補強部は、マトリックス段で行われる減算作
用(L−R’)によって減衰する主チャンネル信号の
中、低域の成分を補強する機能を有し、低域通過フィル
タ特性を持つ。前述のR’信号成分は中域、高域帯で利
得が1に近いため、(L−R’)の演算を行うと相対的
に中音が減衰するので、これを補強して音の中心成分を
なくさないようにするための構成である。
は、抵抗(R51)とコンデンサ(C51)とで構成さ
れている。この抵抗(R51)とコンデンサ(C51)
の時定数に応じて低域通過フィルタの遮断周波数が決定
される。本発明では、高域帯で遮断周波数を持つ低域通
過フィルタを構成するようにした。音声帯域が1kHZ
帯なので、ここで、音声帯域すなわち中域帯で約1の利
得をもたせ、低域帯でも1の利得を持たせるようにする
ことによって主チャンネル信号の音声帯及び低域帯を補
強することができる。
(C51)は、中域、低域を補強するための低域通過フ
ィルタである。帯域補強部50の後段に左チャンネルマ
トリックス(70)に接続させて設けた抵抗(R52)
は、左チャンネルマトリックス(70)でL−R’+
L”を演算する際のL”信号成分の演算因数を決定する
ためのものである。図3(b)に、帯域補強部50の出
力の一例の周波数特性を示す。
ックス手段の詳細な構成を示す回路図である。このマト
リックス回路では、オペアンプ(U71)の加算及び減
算機能をすべて利用して、主チャンネル信号と帯域補強
部(50)の出力信号、そして空間性助成部(30)の
出力信号を加算及び減算するようにした。すなわち、主
チャンネル信号Lと帯域補強部(50)の出力信号であ
る信号L”をオペアンプ(U71)の非反転入力(+)
に入力させ、空間性助成部(30)の出力信号R’を反
転入力(−)に入力させている。
演算因数は抵抗(R71)(R72)(R73)(R7
4)で決まる。これらの抵抗をすべて同じ値にするとオ
ペアンプ(U71)の加減算構造式によってチャンネル
マトリックス(70)の出力はL+L”−R’になる。
また、マトリックス(70)と同じ構成を持つ右チャン
ネルマトリックス(80)の出力はR+R”−L’にな
る。すなわち、各信号の加減算因数はすべて1に設定さ
れる。また、用途に応じて抵抗(R71)(R72)
(R73)(R74)の値を変えて設定すれば適切な因
数を構成することができる。
は、 実際のステレオ装置を動作させたときの人間の聴
取特性等によって異なり、本発明の左側出力L+L”−
R’と右側出力R+R”−L’はその一例として見るこ
とができる。すなわち、上記、マトリックス関係式は供
給電源やその他の適用条件に応じて様々な因数の配列が
考えられ、状況に応じて上記の配列以外の値をとること
ができる。また、マトリックス回路(70)(80)に
抵抗を追加したり削除することで、同様に利得因数を調
整することもできる。
5に示すように空間性助成部(40)と帯域補強部(5
0)の後段とチャンネル信号ラインに利得調整用回路
(110a、110b、110c)を設けて、空間性助
成部(40)の出力、帯域補強部(50)の出力と、チ
ャンネル信号との相互利得を外から調整できるようにし
ても良い。あるいは、この構成に替えて、図6に示すよ
うに、マトリックス回路(70)(80)に可変抵抗
(R75)を設けて相互利得を外から調整するようにし
ても良い。このように、マトリックス回路(70)(8
0)の前段に利得調整素子を設けたり、マトリックス回
路の抵抗を調整することによって、空間性助成部(4
0)および帯域補強部(50)の出力と、各チャンネル
信号との相互利得を外から調整できるようにすれば、聴
音の状況、あるいは電源等の周辺機器の状態などに応じ
て、各帯域の利得を適宜調整することによってより高品
質の音を得ることができる。
信号の周波数−利得特性によって示すグラフである。こ
こでは、左チャンネルマトリックス(70)で行われる
演算を例にとって説明する。
信号(L)の周波数特性を示すグラフである。この信号
Lはバッファ(10)を通過して帯域補強部50とマト
リックス部70へそのまま入力される。この信号Lは可
聴周波数全帯域に亘って利得が1である信号特性を持
つ。
わち低域通過フィルタの出力信号L”の周波数特性を示
すグラフである。この信号は中域及び低域帯では1の利
得を持ち、10kHZ以上で漸次利得が減少する特性を
持つ。
の出力信号R'の周波数特性を示すグラフである。この
信号R’は主チャンネル信号の右チャンネル信号から中
高域帯以上の周波数成分を取り出して、後段の左マトリ
ックス部(70)で主チャンネルの左チャンネル信号か
ら減算するためのものである。空間性助成部(30)
は、約100HZ以上を通過域とする高域通過特性を持
っており、したがって、この信号R’は100HZ以上
の帯域で利得が約1である周波数特性を持つ。
強部(50)は外部から抵抗値を可変にできるように構
成して、フィルタの時定数を変えて遮断周波数を任意に
調整できるようにしてもよい。また、大量に生産する場
合は、時定数を固定にすることもできる。
共通成分の周波数特性を示すグラフである。図7(d)
に示すように、左右のチャンネル信号の共通成分には音
声帯域すなわち中域帯を含んだ低域帯の信号成分が多く
含まれている。すなわち、一般的なステレオ音源の特性
上、音声帯域と低域では左右チャンネルともに共通成分
が多く分布しているので、この帯域ではL=Rの性格を
持つことが多い。左チャンネルマトリックス(70)の
最終演算式がL+L”−R’なので、ここにL=R=1
を代入すると低域ではL=L”=1であり、R'信号の
分布が小さくなる。その結果、低域では利得が2とな
り、漸次小さくなる構成となる。また、中域ではL=
L”=R’=1なのでほとんど利得1の値を維持するこ
とができる。
は元のチャンネル信号を強調して音を再現し、中域帯で
は左、右側チャンネル信号の類似性の有無によって多少
の利得差はあるが、中域帯すなわち音声信号成分の利得
を維持することができるようになる。すなわち、元のチ
ャンネルの低域を強調して再現するとともに、中域帯の
音はそのまま維持する効果を同時に成し遂げられる。
高域帯の信号の出力特性、すなわち左右のステレオ信号
の差成分の周波数特性図である。一般的に、ステレオ音
源の特性や、耳の聴覚特性上、音の空間感とか方向性を
認識する領域は、中、高域帯にある。ここでマトリック
ス段の最終演算式がL+L”−R’であり、上述した通
り、中域帯では共通成分が多いのでL=L”=R’=1
と仮定すると、その演算結果はほとんど1に近くなり中
域すなわち音声域はそのまま維持される。一方、高域帯
では、帯域補強部の出力のL”成分が少ないため、信号
成分は主にチャンネル信号Lと空間性助成部の出力R’
との差成分、L−R’成分によって構成されるようにな
る。したがって、中域すなわち音の中心部分をそのまま
維持しながら、音の空間感とか方向性を決定する領域で
ある高域帯で差成分が占める割合が大きくなるので、空
間感あるいは背景音を拡大した効果を導出できる。
音(音声域)維持し、補強すべく作用して、中、高域で
は音の空間感を拡大すると共に、元の音(音声域)は維
持するようにして、全周波数帯域に亘って均衡を取ると
同時に音場感を拡大するといった理想的な結合を得るこ
とができる。
実施形態の全体の構成を示すブロックダイアグラムであ
る。図8に示すように、第2の実施形態ではマトリック
ス段(70)(80)でシステム全体の利得を上げた
後、このマトリックス段(70)(80)後段に帯域補
強部(90)(100)を設けて特定の周波数帯域を補
強するようにした。
実施形態のマトリックス段の後段の構成を示すブロック
図である。図9(a)はこの帯域補強部の詳細な回路構
成を示す図、及び図9(b)はその特性を示すグラフで
ある。マトリックス段70,80で行われるマトリック
ス演算により、低、中、高域に亘って適切な音の均衡を
とりつつ臨場感のある音の再生処理を行うことができる
が、本例では、例えば、映画のソフトと共に用いられ、
低域が重視される特定のソフトにも対応できるように、
マトリックスの後段に更に第2の帯域補強部(90)を
設け、マトリックス段での信号処理結果に再度フィルタ
リング処理をすることによって特定の周波数帯域を補強
するようにしたものである。この第2の帯域補強部(9
0)(100)にはいろんな回路を適用することができ
る。図9(a)に示すような抵抗とコンデンサで構成さ
れた受動回路や、またはオペアンプと受動素子で構成さ
れた能動回路で構成することもできる。
域補強部(90)を、抵抗(R91)(R92)とコン
デンサ(C91)でなる受動フィルタで構成している。
右側チャンネルの帯域補強部(100)の構成も同一で
ある。 図9(b)に示す特性グラフからわかるよう
に、このフィルタ構成によれば、通過域の利得が1であ
り遮断域の利得がR92/(R91+R92)になるの
で、前段のマトリックス回路の出力の利得因数を上げた
後、この帯域補強部(90)(100)を通して出力す
るようにすれば低域帯を補強することができ、また中域
及び高域帯の利得を調整することもできる。また、必要
に応じて能動回路を構成して特定の帯域の利得特性を独
立して調整することもできる。
の実施の形態の構成を示す図である。この第3の実施の
形態では、回路の簡略化を図るため帯域補強部(50)
(60)を設けずに左右の各チャンネルからの信号をチ
ャンネルマトリックス(70)(80)に入力させて利
得を上げて帯域補強部(50)(60)の代わりをする
ように全体の回路を構成した。ただし、空間性助成部
(30)(40)の回路的役割は他の例と同様である。
て、低域では元のチャンネル信号を強調するとともに、
中域帯では元の信号をそのまま維持する効果をあげ、更
に高域帯で臨場感及び方向性を上げる効果を同時に得る
ことができる。なお、必要があれば、原音の種類に応じ
て特定帯域を補強するように構成することもできる。本
発明は、ステレオ信号から3次元イメージの音を再現す
るものであればどのような装置にも適用することが可能
である。また、音響信号の再生時のみならず、記録時に
も本発明のシステムを適用することができる。
して適切に回路を設けることによって、最適な3次元立
体音響を得ることができる。本発明のサラウンド回路方
式によれば、特定帯域の音を維持すると同時に、空間感
を拡大することができる。さらに今までのサラウンド方
式で見られなかった背景音を再生する効果が得られると
ともに、フィルタカーブ特性に従って信号再生のダイナ
ミックレンジを増強できるようにした。上記の標準的な
回路を用いて、適用状況に応じて回路を構成する素子の
時定数をわずかに調整することによって、音源の様々な
条件に合致した音場効果及び背景音拡大効果を得ること
ができる。
ロックダイアグラムである。
す詳細な回路図、及び(b)はその特性グラフである。
詳細な回路図、及び(b)はその特性グラフである。
路図である。
である。
す図である。
ある。
回路図である。
詳細な回路図、及び(b)はその特性グラフである。
ある。
Claims (19)
- 【請求項1】 ステレオ信号を入力して3次元イメージ
ステレオ信号を作るシステムにおいて、チャンネル信号
を入力して音の空間性と方向性を強調する空間性助成部
と、チャンネル信号を入力して所定の周波数帯域を補強
し維持するための帯域補強部と、前記空間性助成部の出
力信号と、前記帯域補強部の出力信号と、前記チャンネ
ル信号をマトリックス演算するチャンネルマトリックス
手段とを、左右の信号ラインにそれぞれ具えることを特
徴とする周波数選択的空間感向上システム。 - 【請求項2】 請求項1に記載の周波数選択的空間感向
上システムにおいて、前記空間性助成部が低域帯に遮断
周波数を持つ高域通過フィルタ特性を有しており、左右
の音の空間性及び方向性を上げると共に、中域信号を維
持するように作用することを特徴とする周波数選択的空
間感向上システム。 - 【請求項3】 請求項1に記載の周波数選択的空間感向
上システムにおいて、前記周波数帯域補強部が高域帯に
遮断周波数を持つ低域通過フィルタ特性を有しており、
原信号の低域を補強するとともに中域を維持するように
作用することを特徴とする周波数選択的空間感向上シス
テム。 - 【請求項4】 請求項2または3に記載の周波数選択的
空間感向上システムにおいて、前記チャンネルマトリッ
クス部が、左側チャンネルマトリックス部の出力がαL
+βL”−γR’であり、右側チャンネルマトリックス
手段の出力がαR+βR”−γL’である特性を持つよ
うに構成されており、ここで信号L”と信号R”が低域
通過特性を、L’とR’が高域通過特性を持ち、α、
β、γの各因数は用途に応じて任意に設定することがで
きることを特徴とする周波数選択的空間感向上システ
ム。 - 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の周
波数選択的空間感向上システムにおいて、当該システム
が更に前記マトリックス手段の出力の特定の周波数帯域
を補強する第2の帯域補強部を、左右の信号ラインにそ
れぞれ具えることを特徴とする周波数選択的空間感向上
システム。 - 【請求項6】 ステレオ信号を入力して3次元イメージ
ステレオ信号を作るシステムにおいて、チャンネル信号
を入力して音の空間性と方向性を強調する空間性助成部
と、チャンネル信号を入力して所定の周波数帯域を補強
し維持するための帯域補強部と、前記空間性助成部の出
力信号と、前記帯域補強部の出力信号と、前記チャンネ
ル信号をマトリックス演算するチャンネルマトリックス
手段とを、左右の信号ラインにそれぞれ具えるととも
に、前記空間性助成手段の出力信号と、前記周波数帯域
補強手段の出力信号と、チャンネル信号との相互利得を
調整する利得調整手段を具えることを特徴とする周波数
選択的空間感向上システム。 - 【請求項7】 請求項6に記載の周波数選択的空間感向
上システムにおいて、前記空間性助成部が低域帯に遮断
周波数を持つ高域通過フィルタ特性を有しており、左右
の音の空間性及び方向性を上げると共に、中域信号を維
持するように作用することを特徴とする周波数選択的空
間感向上システム。 - 【請求項8】 請求項6に記載の周波数選択的空間感向
上システムにおいて、前記周波数帯域補強部が高域帯に
遮断周波数を持つ低域通過フィルタ特性を有しており、
原信号の低域を補強するとともに中域を維持するように
作用することを特徴とする周波数選択的空間感向上シス
テム。 - 【請求項9】 請求項7または8に記載の周波数選択的
空間感向上システムにおいて、前記チャンネルマトリッ
クス部が、左側チャンネルマトリックス部の出力がαL
+βL”−γR’であり、右側チャンネルマトリックス
手段の出力がαR+βR”−γL’である特性を持つよ
うに構成されており、ここで信号L”と信号R”が低域
通過特性を、L’とR’が高域通過特性を持つことを特
徴とする周波数選択的空間感向上システム。 - 【請求項10】 請求項6ないし9のいずれかに記載の
周波数選択的空間感向上システムにおいて、当該システ
ムが更に、前記マトリックス手段の出力の特定の周波数
帯域を補強する第2の帯域補強部を、左右の信号ライン
にそれぞれ具えることを特徴とする周波数選択的空間感
向上システム。 - 【請求項11】 請求項6ないし10のいずれかに記載
の周波数選択的空間感向上システムにおいて、前記利得
調整手段によって、左右のステレオ信号の共通成分に対
しては、低域で利得が大きく、中域ではその信号成分を
そのまま維持する特性を持ち、左右のステレオ信号の差
成分に対しては高域で利得が大きく、中域ではその信号
成分をそのまま維持する特性を持つように各信号の相互
利得が調整されていることを特徴とする周波数選択的空
間感向上システム。 - 【請求項12】 ステレオ入力信号を3次元イメージス
テレオ信号に変換して記録する装置に適用する周波数選
択的空間感向上システムにおいて、チャンネル信号から
空間性及び方向性を強調する成分を導出するための空間
性助成手段と、チャンネル信号の特定周波数帯域を補強
し維持するための周波数帯域補強手段と、前記空間性助
成手段の出力信号と、前記周波数帯域補強手段の出力信
号と、前記チャンネル信号とをマトリックス演算するチ
ャンネルマトリックス手段とを、左右の信号ラインにそ
れぞれ具えることを特徴とする周波数選択的空間感向上
システム。 - 【請求項13】 請求項12に記載の周波数選択的空間
感向上システムにおいて、前記空間性助成部が低域帯に
遮断周波数を持つ高域通過フィルタ特性を有しており、
左右の音の空間性及び方向性を上げると共に、中域信号
を維持するように作用することを特徴とする周波数選択
的空間感向上システム。 - 【請求項14】 請求項12に記載の周波数選択的空間
感向上システムにおいて、前記周波数帯域補強部が高域
帯に遮断周波数を持つ低域通過フィルタ特性を有してお
り、原信号の低域を補強するとともに中域を維持するよ
うに作用することを特徴とする周波数選択的空間感向上
システム。 - 【請求項15】 請求項13または14に記載の周波数
選択的空間感向上システムにおいて、前記チャンネルマ
トリックス部が、左側チャンネルマトリックス部の出力
がαL+βL”−γR’であり、右側チャンネルマトリ
ックス手段の出力がαR+βR”−γL’である特性を
持つように構成されており、ここで信号L”と信号R”
が低域通過特性を、L’とR’が高域通過特性を持ち、
α、β、γの各因数は用途に応じて任意に設定すること
ができることを特徴とする周波数選択的空間感向上シス
テム。 - 【請求項16】 請求項13または14に記載の周波数
選択的空間感向上システムにおいて、当該システムが更
に、前記マトリックス手段の出力の特定の周波数帯域を
補強する第2の帯域補強部を、左右の信号ラインにそれ
ぞれ具えることを特徴とする周波数選択的空間感向上シ
ステム。 - 【請求項17】 ステレオ信号を入力して3次元イメー
ジステレオ信号を作るシステムにおいて、チャンネル信
号を入力して音の空間性と方向性を強調する空間性助成
部と、上記空間性助成部の出力信号とチャンネル信号を
マトリックス演算するチャンネルマトリックス手段と
を、左右の信号ラインにそれぞれ具えることを特徴とす
る周波数選択的空間感向上システム。 - 【請求項18】 請求項17に記載の周波数選択的空間
感向上システムにおいて、前記チャンネルマトリックス
手段の後段に、周波数帯域を選択的に補強できる帯域補
強部を設けたことを特徴とする周波数選択的空間感向上
システム。 - 【請求項19】 請求項1ないし18のいずれかに記載
の周波数選択的空間感向上システムにおいて、左右の信
号ラインのステレオ信号に立体感を出す処理をする構成
要素の前段にチャンネルバッファをそれぞれ設けたこと
を特徴とする周波数選択的空間感向上システム。
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