JPH10267104A - ボールねじ用シール - Google Patents

ボールねじ用シール

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JPH10267104A
JPH10267104A JP7547497A JP7547497A JPH10267104A JP H10267104 A JPH10267104 A JP H10267104A JP 7547497 A JP7547497 A JP 7547497A JP 7547497 A JP7547497 A JP 7547497A JP H10267104 A JPH10267104 A JP H10267104A
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JP
Japan
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seal
ball screw
ball
screw shaft
screw
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JP7547497A
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Inventor
Isamu Yoshida
勇 吉田
Masahiro Nobutomo
雅弘 信朝
Hiroshi Yamada
博 山田
Hiromitsu Kondo
博光 近藤
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低圧もしくは真空または清浄雰囲気で使用さ
れるボールねじにグリースの供給の必要がなく、潤滑油
起源のガス発生がなく低発塵性であるボールねじ用シー
ルまたはシール装置とすることである。 【解決手段】 ボールねじのねじ軸1とボールナット3
の間に介在し、ねじ軸1に摺接するボールねじ用シール
またはこのシールを取りつけたシール装置7において、
シール片6、7等からなるシールをポリイミド樹脂の焼
結体等の体積比5〜25%の連通気孔を有する多孔質体
で形成し、これに下記の化7で示されるアルキル化した
シクロペンタン系油を含浸する。 【化7】 (式中、Rは炭素数4〜130の直鎖状または分岐を有
するアルキル基であり、m=3〜4である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はボールねじ用シー
ル及びこれを用いたボールねじのシール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図1aを利用して説明すると、ボールね
じは、ねじ軸1の外周面に形成した螺旋溝2と、ボール
ナット3の内周面に形成した螺旋溝4の間に複数のボー
ル5を介在させたものであり、ねじ軸1またはボールナ
ット3の回転動力をボール5を介してボールナット3
(またはねじ軸1)に伝達して、これを軸方向に移動さ
せるものである。通常、このようなボールナットの内部
には、潤滑グリースなどの潤滑剤が保持されており、こ
の潤滑剤でボールと螺旋溝との摩擦係数を低減させてい
る(実開平6−80947号公報)。
【0003】このようなボールねじは、直交する2軸
(X−Y軸)方向に移動可能なX−Yテーブルにおける
直動部などに使用されるが、半導体製造装置などの真空
または清浄な雰囲気中で使用される場合があり、潤滑グ
リースなどの潤滑剤が周囲を汚染しないようにシール装
置が付設されている。
【0004】ボールねじ内部に充填されたグリースを密
封するボールねじのシール装置は、図1および図2に示
されるように、ボールねじの両端部においてねじ軸1と
ボールナット3の間を密封しており、シールはねじ軸1
の外周に沿って間隔を開けて4つの弧状のシール片をリ
ング状に配置されたものからなる。そして、シール片は
フッ素ゴムなどのゴム材で形成され、各シール片は、コ
イルスプリングをリング状に形成したガータスプリング
10でねじ軸1の外周に弾性的に押圧されていた。
【0005】しかしながら、このような構成の従来のボ
ールねじのシール装置では、グリースを完全に密封する
ことはできず、ねじ軸には余剰のグリースが付着する場
合がある。
【0006】また、実開平6−47762号公報には、
上記したものと同様な形状のシールを、ポリエチレン1
〜95重量%とグリース99〜5重量%との混合物を所
定温度で加熱して固形状化したプラスチックグリースで
形成したボールねじのシール装置が開示されている。
【0007】上記した組成のプラスチックグリースで形
成されたシールは、ボールねじのトルク伝動時に、シー
ル片の内部組織に保持されている潤滑成分が徐々に滲み
出して摩擦面に油膜を形成し、比較的少ない潤滑油でね
じ軸の摺接部における摩擦抵抗を低減する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなボ
ールねじ用シールであっても、近年の精密部品の高性能
化に伴う低発塵性の要求を充分に満足させることはでき
ず、例えば半導体の製造設備などにおける閉された清浄
な雰囲気、特に真空などの低圧の清浄雰囲気で使用する
と、滲み出した潤滑油から蒸気が発生したり、潤滑油微
粒子が飛散して精密部品の性能に悪影響を及ぼす場合が
あり、高密度パターンの半導体を製造する技術に充分に
対応できない場合がある。
【0009】なお、真空条件で使用される潤滑油とし
て、低蒸気圧のフッ素化油が知られているが、このフッ
素化油は、鋼の摺動面を比較的高い面圧で潤滑させると
発塵やガス発生量が多くなるという問題点がある。
【0010】上記したガス発生の原因については、摺動
面の材質がステンレス鋼などの鋼である場合に、それら
の表面に存在するFeとフッ素油中のFとの反応により
FeF3 が発生し、これが触媒となってフッ素化油の分
解がさらに進行したことによると推定される。
【0011】そこで、この発明の課題は上記した問題点
を解決して、低圧もしくは真空または清浄雰囲気で使用
されるボールねじにグリースの供給(所謂グリースアッ
プ)の必要がなく、その使用中の発塵量を可及的に少量
にし、潤滑油起源のガス発生がなく低発塵性であるボー
ルねじ用シールとし、または同様に潤滑油起源のガス発
生がなく低発塵性で摩擦面の潤滑を行なえるボールねじ
のシール装置とすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、ボールねじのねじ軸とボール
ナットの間に介在し、ねじ軸に摺接するシールにおい
て、このシールを連通気孔を有する多孔質体で形成し、
これにアルキル化したシクロペンタン系油を含浸したボ
ールねじ用シールとしたのである。
【0013】上記した多孔質体は、体積比5〜25%の
連通気孔を有する多孔質体であることが好ましい。ま
た、上記した多孔質体として、ポリイミド樹脂からなる
焼結体を採用することができる。
【0014】また、同様に前記した課題を解決するた
め、ボールねじのねじ軸とボールナットの間に介在し、
ねじ軸の外周に沿って間隔を開けて複数の弧状のシール
片をリング状に配置し、このシール片を連通気孔を有す
る多孔質体で形成し、これにアルキル化したシクロペン
タン系油を含浸し、各シール片を弾性的にねじ軸外周に
押圧する手段を設けたボールねじのシール装置としたの
である。
【0015】この発明のボールねじ用シールまたはシー
ル装置は、多孔質性のシールに含浸されたアルキル化し
たシクロペンタン系油が、極めて少量(潤滑に必要な必
要十分な量)滲み出てボールとボールねじおよびボール
ナットを潤滑するので、ボールねじの使用環境における
雰囲気を汚染することがなく、グリース等の潤滑油の供
給(グリースアップ)の必要性も殆どなくなる。
【0016】この発明のボールねじ用シールは、多孔質
体に含浸したアルキル化シクロペンタン系油が不活性で
あり、ねじ軸やボールの表面に存在するFeが触媒を生
成するような反応を起こさない。またアルキル化シクロ
ペンタン系油は、フッ素化油と比べると鋼に対し不活性
であるので、分子鎖が切断されずガスが発生しない。
【0017】また、アルキル化したシクロペンタン系油
の比重は、フッ素化油の比重(1.85g/cc)より
小さいので、このような油を含浸したシールは、遠心力
の影響を受け難く、ボールねじの回転効率を向上させ
る。
【0018】所定気孔率の連通気孔を有する多孔質体に
所定の潤滑油を含浸した発明では、潤滑油を効率よく多
量に保持できると共に、潤滑油の滲出量および滲出速度
が安定し、長期間にわたって極めて安定した潤滑性が得
られる。
【0019】また多孔質体として、ポリイミド樹脂焼結
体を採用したシールは、優れた耐熱性、耐薬品性、機械
的性質、電気絶縁性が備わる。
【0020】
【発明の実施の形態】本願の各発明における連通気孔を
有する多孔質体は、セラミックス、金属または合成樹脂
を焼結または発泡させる周知の方法で得られるものであ
り、前記の合成樹脂としては耐熱性、耐薬品性、機械的
性質および電気絶縁性に優れたポリイミド樹脂を採用す
ることが好ましい。また、多孔質体を形成する金属材料
の具体例としては、鉄系または銅系の焼結合金、セラミ
ックス材料としては、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、
炭化ケイ素などが挙げられる。
【0021】前記したポリイミド樹脂(以下、PI樹脂
と略記する。)は、芳香族カルボン酸と芳香族アミンを
縮重合して得られる樹脂であって、優れた耐熱性と共に
耐薬品性、シールとして充分な機械的強度および電気絶
縁性を有する周知の化学構造を有するもの(熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂の何れであってもよい)である。な
お、本願の発明においていうPI樹脂とは、主鎖にイミ
ド結合およびアミド結合を有するポリアミドイミド樹脂
(以下、PAI樹脂と略記する)と呼ばれる樹脂を含ま
ない。
【0022】市販のPI樹脂であって、この発明に使用
できるものとしては、オーストリア国レンジング社製:
P84−HT、東レ社製:TI−3000、宇部興産社
製:UIP−S.R、デュポン社製:ベスペル、三井東
圧化学社製:オーラム、米国フューロン社製:メルディ
ンなどが挙げられる。
【0023】このようなPI樹脂は、耐熱性が高く、真
空中のように放熱がない場合でも溶融しないので、広い
温度範囲条件で良好な摩擦・摩耗特性を示し、また成形
時にも熱可塑性樹脂のように溶融せずその粒界の気孔率
をコントロールして連通気孔を有する成形体を得ること
ができる。このようにしてPI樹脂製多孔質体は、潤滑
油の含油量や滲み出し速度を任意に調節でき、ボールね
じの長寿命化を図ることができる。
【0024】なお、PI樹脂の成形性や摺動特性を改良
するためには、PTFE、グラファイト、二硫化モリブ
デン、窒化ホウ素などの固体潤滑剤を添加してもよい。
【0025】PI樹脂からなる多孔質性シールの製造方
法としては、室温(または常温)で粉末状樹脂を加圧成
形した後、不活性ガスまたは加圧雰囲気の下で焼成する
方法、または加熱圧縮成形、ラム押出し成形、CIPな
どによる成形方法を採用することができる。
【0026】本願の各発明に用いるシールは、体積比5
〜25容量%の気孔率で連通気孔を有する多孔質体から
形成することが好ましい。なぜなら、気孔率5容量%未
満では、含浸油の保持率が低くなって長期間潤滑性を発
揮させることが難しくなり、25容量%を越える気孔率
では、滲出量の制御およびシールの機械的強度の点で好
ましいものが得られないからである。上記した体積比の
気孔率の成形体は、原料の樹脂粉末の粒径(平均粒
径)、成形圧力、焼成温度等を適宜に調整することによ
って製造できる。
【0027】以上述べたような所定気孔率の連通気孔を
有する多孔質体に含浸するアルキル化したシクロペンタ
ン系油は、下記の化1に示す構造の潤滑油である。
【0028】
【化1】
【0029】(式中、Rは、炭素数4〜130の直鎖状
または分岐を有するアルキル基であり、m=3〜4であ
る。) このようなシクロペンタン系油の具体例としては、下記
の化2に示されるトリ(2−オクチルドデシル)シクロ
ペンタンであって、米国 NYE LUBICANTS社製のNYE SYNT
HETIC OIL 2001A (商品名)がある。
【0030】
【化2】
【0031】(式中、R2 は、炭素数19で分岐を有す
るアルキル基である。分子式C65130 ) このものは、25℃の蒸気圧8.5×10-13 Torr
であり、真空環境下での使用に充分耐える潤滑油であ
る。そして、この潤滑油は比重が0.85g/ccであ
って、フッ素化油のそれの半分以下である。また、この
潤滑油は不活性であり、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性に
優れており、また分子鎖の結合力が強いので耐荷重性に
優れ、分解ガス(アウトガス)の発生量も少ないもので
ある。
【0032】多孔質体に、前述した所定の潤滑油を含浸
するには、減圧の雰囲気下で含浸することが気孔内の空
気や水分を排除するために好ましく、含浸した後に過剰
の潤滑油を拭って取り除けばボールねじ用シールが得ら
れる。含浸を効率よく行なうには潤滑油やシールを加熱
することが好ましい。
【0033】また、本願の発明におけるボールねじは、
ボールナット、ねじ軸の転がり摩擦面、滑り摩擦面およ
びボールが、ボールねじの構成材料として周知のものか
らなり、例えばステンレス鋼材(例えばSUS440C
等)、タングステン系高速度工具鋼(例えばSKH4
等)などの金属材料、セラミックス(例えば窒化ケイ素
系、炭化ケイ素系のもの等)などがその構成材料として
挙げられる。
【0034】また、ボールねじの転がり摩擦面、滑り摩
擦面およびボールの表面には、チタン(Ti)層を下地
層として、その上に窒化チタン(TiN)層および炭窒
化チタン(TiC1-x x )層からなる複合被膜をイオ
ンプレーティング法などの周知の手法によって形成して
もよい。このようにすると表面の硬度が高まって耐久性
がより増すことになり、また鋼表面が不活性になって潤
滑油の分解を抑制することができる。
【0035】シール装置の実施形態を以下に添付図面に
基づいて説明する。図1に示すように、ボールねじは、
ねじ軸1の外周面に形成した螺旋溝2と、ボールナット
3の内周面に形成した螺旋溝4の間に複数のボール5を
転動自在に介在させたものであり、ねじ軸1またはボー
ルナット3の回転動力を複数のボール5を介してボール
ナット3(またはねじ軸1)に伝達して、これを軸方向
に移動させるものである。
【0036】このようなボールねじに装着される第1実
施形態のシール装置Aは、ボールねじの両端部において
ねじ軸1とボールナット3の間を密封する装置であり、
図2に示すように、4つの弧状のシール片6、7、8、
9をねじ軸1の外周に沿って間隔を開けてリング状に配
置したシールを有する。これらのシール片6、7、8、
9は、粉末状のポリイミド樹脂を圧縮成形し、得られた
圧粉体を焼成して体積比5〜25%の連通気孔を有する
焼結体からなる多孔質体とし、これに前記の化2に示さ
れるトリ(2−オクチルドデシル)シクロペンタン(米
国 NYE LUBICANTS社製:NYE SYNTHETIC OIL 2001A )を
含浸したものである。
【0037】また、3つのシール片6、7、8は、その
内径から内径側に突出する突条6a、7a、8aを有
し、残りのシール片9は、他のシール片の内径よりも若
干小径の円筒部9aを有する。これら4つのシール片
6、7、8、9は、リング状のコイルスプリングからな
るガータスプリング10でねじ軸1の外周に弾性的に押
圧されている。
【0038】図1bおよび図1cに拡大して示すよう
に、シール片6の突部6aは、ねじ軸1の螺旋溝2に嵌
合接触し(図2aのシール片7、8の突部7a、8aに
ついても同じ。)、螺旋溝2からボールねじ内部への異
物侵入および外部への潤滑剤漏れを防止している。シー
ル片6の内径面11は、ねじ軸1の外径面12とは接触
しておらず、両者の間には若干のすきまSが設けられて
いる。このすきまSを設けることにより、ねじ軸1やシ
ール(シール片6、7、8、9)の寸法誤差に関係な
く、突条6a、7a、8aを常に螺旋溝2に接触させる
ことができる。一方、図1cに示すように、シール片9
の円筒部9aは、ねじ軸1の外径12に接触し、外径1
2からの異物侵入および潤滑剤漏れを防止する。
【0039】図3および図4に示すように、第2実施形
態のボールねじのシール装置Bは、第1実施形態のシー
ル装置Aと全く同じ材質のシールを採用し、このシール
を3つの弧状のシール片13、14、15をリング状に
配置して構成したこと、各シール片13、14、15を
弾性的にねじ軸1外周に押圧する手段としてボールプラ
ンジャ16を採用したこと、および補助リング17を設
けたこと以外は、第1実施形態のボールねじのシール装
置と同じ構成である。
【0040】シール装置の3つのシール片13、14、
15は、それぞれボールナット3のねじ穴18にねじ込
まれたボールプランジャ16によってねじ軸1の内径方
向に弾性的に押圧されている。そのため、図3bに拡大
して示すように、突条13aと螺旋溝2の嵌合隙間は、
ゼロ(全くない)かまたは僅かにマイナス(締代をもっ
た状態)になっている。なお、複数のシール片13、1
4、15は、互いにわずかな距離を開けてそれぞれ独立
して配置されている。
【0041】このように突条13a、14a、15a
が、螺旋溝2に密着して摺接するので、ボールナット3
内に万一潤滑剤が残っても外部に漏れ難く、また外部か
ら異物が侵入し難い。さらに、シール片13、14、1
5の各端面が螺旋溝2に付着した異物をかきとるので、
シール性は極めて高くなる。図3a、bに示すように補
助リング17は、かきとられた異物がシール片13、1
4、15の対向する端面の隙間19を通ってボールナッ
ト内に侵入するのを防止する。
【0042】なお、図示したシールは、ねじ軸の外周に
沿って間隔を開けて複数の弧状のシール片をリング状に
配置したものであるが、周方向に連続したリング状のシ
ールであってもよく、またリング状シールの一端縁を軸
方向に所定距離だけ切り欠いて他端縁は周方向に連続さ
せた一部連続のリング状シールであってもよい。
【0043】
【実施例】
〔実施例1〕下記の化3の式で示される繰り返し単位構
造のPI樹脂粉末(宇部興産社製:UIP−R、平均粒
径9μm)を成形圧力4000kgf/cm2 で成形
し、さらに窒素雰囲気下に400℃で2時間の焼結し、
得られた焼結体を切削加工して気孔率15%の連通気孔
を有する多孔質焼結体からなるボールねじのシール用多
孔質体を得た。
【0044】
【化3】
【0045】得られた多孔質焼結体を、シクロペンタン
系オイル(米国NYE LUBICANTS 社製:NYE SYNTHETIC
OIL 2001A )に浸漬し、1Torrまで減圧して前記潤
滑油を含浸した。含浸後はシール表面の余剰のオイルを
清浄な布で拭い取り、このシールをSUS440C製の
ボールねじに組み込んだ。
【0046】〔実施例2〕実施例1において化3に示し
たPI樹脂に代えて、下記の化4の繰り返し単位構造の
PI樹脂(東レ社製:TI−3000、フリーシンター
品、気孔率7%)を用いたこと以外は、全く同様にして
シクロペンタン系オイルを含浸したボールねじ用シール
を製造し、このシールをSUS440C製のボールねじ
に組み込んだ。
【0047】
【化4】
【0048】〔比較例1〕下記の化5の式で示される繰
り返し単位構造のPI樹脂粉末(LENZING社製:
P84−HT、平均粒径25μm)を成形圧力2000
kgf/cm2 で成形し、さらに窒素雰囲気下に350
℃で2時間の焼結し、得られた焼結体を切削加工して気
孔率25%の連通気孔を有するシール形状の多孔質焼結
体を得た。
【0049】
【化5】
【0050】得られた多孔質焼結体からなるシールに対
して、フッ素化油(アウジモント社製:フォンブリンZ
25)を1Torrまで減圧して含浸した。含浸後はシ
ール表面の余剰のオイルを清浄な布で拭い取った。
【0051】〔比較例2〕実施例1において化3に示し
たPI樹脂に代えて、下記の化6の繰り返し単位構造の
PI樹脂粉末(宇部興産社製:UIP−S、平均粒径8
μm)を成形圧力4000kgf/cm2 で成形し、さ
らに窒素雰囲気下に400℃で2時間の焼結し、得られ
た焼結体を切削加工して気孔率20%の連通気孔を有す
るシール形状の多孔質焼結体を得た。
【0052】
【化6】
【0053】得られた多孔質焼結体からなるシールに対
して、フッ素化油(アウジモント社製:フォンブリンZ
25)を1Torrまで減圧して含浸し、その後はシー
ル表面の余剰のオイルを清浄な布で拭い取り、ボールね
じ用シールとした。
【0054】以上のようにして得られたシールをSUS
440C製のボールねじに組み込み発塵量試験、トルク
変動試験、耐久試験を行なったが、フッ素化油を含浸し
た比較例1は、軽荷重の場合は発塵量は少なく耐久性も
あったが、重荷重の場合は発塵量が急増し、耐久時間も
短くなった。また、多孔質体にフッ素化油を含浸した比
較例2についても軽荷重の場合は発塵量が少なく耐久性
も優れていたが、重荷重の場合は発塵量が急増し耐久時
間も短くなった。
【0055】これに対して、アルキル化したシクロペン
タン系油をPI製の所定の連通気孔率の多孔質体からな
るシールに含浸した実施例1および実施例2は、発塵量
およびトルク変動が荷重の軽重に拘わらず比較例に比べ
て顕著に小さく、しかも優れた耐久時間であった。
【0056】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように、連通
気孔を有する多孔質体にアルキル化したシクロペンタン
系油を含浸したボールねじ用シールまたはこれを使用し
たボールねじ用シール装置としたので、低圧もしくは真
空または清浄雰囲気で使用されるボールねじの発塵量が
可及的に少量になり、特に潤滑油起源のガス発生がなく
長期間無給油で連続使用可能なボールねじ用シール、ま
たは同様の利点があるボールねじ用シール装置になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)第1実施形態の断面図 (b)第1実施形態の要部拡大断面図 (c)第1実施形態の要部拡大断面図
【図2】(a)第1実施形態のシールの正面図 (b)図2aのb−b線側面図
【図3】(a)第2実施形態の断面図 (b)第2実施形態の要部拡大断面図
【図4】(a)第2実施形態のシールの正面図 (b)第2実施形態のシールの側面図
【符号の説明】
1 ねじ軸 2、4 螺旋溝 3 ボールナット 5 ボール 6、7、8、9、13、14、15 シール片 6a、7a、8a、13a、14a、15a 突条 9a 円筒部 10 ガータスプリング 11 内径 12 外径 16 ボールプランジャ 17 補助リング 18 ねじ穴 19 端面の隙間 A、B シール装置 S 隙間

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボールねじのねじ軸とボールナットの間
    に介在し、ねじ軸に摺接するシールにおいて、このシー
    ルを連通気孔を有する多孔質体で形成し、これにアルキ
    ル化したシクロペンタン系油を含浸したことを特徴とす
    るボールねじ用シール。
  2. 【請求項2】 多孔質体が、体積比5〜25%の連通気
    孔を有する多孔質体である請求項1記載のボールねじ用
    シール。
  3. 【請求項3】 多孔質体が、ポリイミド樹脂からなる焼
    結体である請求項1または2に記載のボールねじ用シー
    ル。
  4. 【請求項4】 ボールねじのねじ軸とボールナットの間
    に介在し、ねじ軸の外周に沿って間隔を開けて複数の弧
    状のシール片をリング状に配置し、このシール片を連通
    気孔を有する多孔質体で形成し、これにアルキル化した
    シクロペンタン系油を含浸し、各シール片を弾性的にね
    じ軸外周に押圧する手段を設けたボールねじのシール装
    置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005114066A (ja) * 2003-10-08 2005-04-28 Koyo Seiko Co Ltd ボールネジ
JP2006316083A (ja) * 2005-05-10 2006-11-24 Ntn Corp 固形潤滑剤および固形潤滑剤封入転がり軸受
CN104791445A (zh) * 2014-01-17 2015-07-22 上银科技股份有限公司 具有刮刷器的滚珠螺杆

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