JPH1026613A - 配管等の疲労劣化監視方法及び監視装置 - Google Patents

配管等の疲労劣化監視方法及び監視装置

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JPH1026613A
JPH1026613A JP8201102A JP20110296A JPH1026613A JP H1026613 A JPH1026613 A JP H1026613A JP 8201102 A JP8201102 A JP 8201102A JP 20110296 A JP20110296 A JP 20110296A JP H1026613 A JPH1026613 A JP H1026613A
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frequency spectrum
signal
pipe
deterioration
fatigue
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JP8201102A
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English (en)
Inventor
Takuichi Imanaka
拓一 今中
Jun Suetsugu
純 末次
Susumu Riyuuou
晋 龍王
Masashi Mori
雅司 森
Tatsuyuki Nagai
辰之 永井
Keisuke Shito
圭介 紫藤
Kozo Hoshikawa
浩三 星川
Masaya Matsumoto
賢哉 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HIHAKAI KENSA KK
Shikoku Electric Power Co Inc
Original Assignee
HIHAKAI KENSA KK
Shikoku Electric Power Co Inc
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  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Testing Of Devices, Machine Parts, Or Other Structures Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発電プラントや化学プラントにおける配管等
の疲労による劣化度を、疲労劣化部から得られる疲労に
関する情報に基づいて直接的且つ非破壊的に監視し、評
価することにより、配管等の疲労破壊をより確実に未然
防止する方法及びその監視装置を提供すること。 【解決手段】 配管等の監視対象系から発生するAE信
号を捉えると共にその周波数スペクトルを求め、当該周
波数スペクトルから最も高強度の周波数を基調波W1と
して検出する。そして、周波数スペクトルにおける基調
波のn次高調波W2,W3の強度A2,A3をもって配
管等の疲労による劣化度を監視する。また、基調波W1
を基準にAE信号をアベレージングすることで、不規則
な環境ノイズを低減させることができる。さらに、監視
対象部の近傍に二つの音響センサを隔てて設け、これら
二つの音響センサによる二つのAE信号の差分を求める
ことで、規則的な環境ノイズをも低減させることが可能
となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、発電プラ
ントや化学プラントにおける配管等の疲労による劣化度
を監視する方法及びその監視装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知の如く、種々のプラントの配管等に
は、ポンプ、コンプレッサー又はタービンの回転、水蒸
気の発生や燃焼に伴う轟音、サージング等の種々の要因
によって共振が発生する。かかる共振現象は配管等に繰
り返し疲労を与え、やがては配管等の破損に至るため、
プラントの設計者は配管のスパンを短くしたり適宜ダン
パーを挿入することにより、配管等の共振を防ぐように
苦慮している。また、変位計や動歪計等を用いて配管系
の応力や変位を測定することで応力解析を行い、S−N
曲線を参照することにより、疲労劣化の評価を行ってい
る。しかるに、かかる評価方法における応力解析はあく
までも推定に留まり、実際の疲労劣化の程度と推定によ
るものとの相違が問題となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来の問題に鑑
みて、本発明は、発電プラントや化学プラントにおける
配管等の疲労による劣化度を、疲労劣化部から得られる
疲労に関する情報に基づいて直接的且つ非破壊的に監視
し、評価することにより、配管等の疲労破壊を未然防止
する方法及びその監視装置を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の特徴は、配管等の監視対象系から発生する
AE信号を捉えると共にその周波数スペクトルを求め、
当該周波数スペクトルから最も高強度の周波数を基調波
として検出し、前記周波数スペクトルにおける前記基調
波のn次高調波の強度をもって配管等の疲労による劣化
度を監視することにある。
【0005】ここに、本発明の原理を明らかにするた
め、超音波疲労試験機を用いた加速試験におけるn次高
調波発生の現象について、図7を参照しつつ言及する。
図7(a)は単純な系である管状の金属試験片に強制振
動として加える超音波振動の正弦波波形を示し、図7
(b)は同強制振動に起因する試験片の振動を音響セン
サにより受信した波形を示している。さらに、図7
(c)は、図7(b)の受信波形をFFT装置により周
波数スペクトル解析をした結果を示している。
【0006】図7(c)によれば、周波数f=20KH
zである基調波W1が最も高強度で観察され、続けて、
周波数f=60KHzである三次高調波W3及び周波数
f=40KHzである二次高調波W2が順次観察され
る。一般的に、転移を内在する材料に振動を与えて転移
を運動させると高次の調和振動を生じることが知られて
いる。そして、振動時におけるバイアス応力が零の場合
は転移が対称的な運動を行うため奇数次のn次高調波を
生じ、残留応力等のバイアス応力が存在する場合には転
移運動にずれを生じ、二次の高調波を生じる。
【0007】一方、発明者らの実験及び考察によれば、
上記n次高調波は材料の内部摩擦が振幅に依存する程度
にまで基調波の振幅が達した場合において発生すること
が確認されている。かかる状況では材料が塑性変形を生
じる領域で振動し、材料の疲労が進行すると考えられる
ため、n次高調波を観察することは試験片の寿命推定に
とって有益である。
【0008】従来における上記現象の認識は、正弦波を
強制振動として単純な系である単一の試験片に与える状
況下で強制振動のn次高調波が観察されているに過ぎな
いものであった。ゆえに、配管等の複雑でそのAE信号
の周波数成分も複雑な系を監視する際には用いられるこ
とはなかった。
【0009】しかし、本願発明者らは、疲労破壊を起こ
す主原因となるのは、種々の振動の内そのレベルが高強
度な周波数での振動であることに初めて着目した。すな
わち、上記特徴に記載の如く、「周波数スペクトルから
最も高強度の周波数を基調波として検出」することによ
って、かかる高強度な周波数の振動が塑性変形を生じる
領域での材料の振動につながり、疲労破壊の原因となり
うる場合が多いことを前提としている。したがって、複
雑な系の複雑なAE信号であっても、高強度の周波数を
基調波として検出することは信号処理上でかなり確実に
達成可能であり、そのn次高調波も観察が容易である。
このような信号検出上の容易さは従来では推察できなか
ったことであり、この点において、上記本発明の特徴
は、従来技術を複雑な系に漫然と用るだけでは決してな
しえない高度な技術思想と言い得る。
【0010】また、本発明の他の特徴は、上記特徴に加
えて、前記監視対象系における重点監視対象部の近傍に
少なくとも一対の音響センサを互いに隔てて取り付ける
と共に一方の音響センサを前記重点監視対象部により近
接させ、これら両センサにより受信されたAE信号の周
波数スペクトルにおける差分の前記n次高調波の強度を
もって前記重点監視対象部の劣化度を監視することにあ
る。
【0011】劣化部から発生するn次高調波は、一様に
伝達する他の環境ノイズに比較して伝達し難い場合が多
い。したがって、隔てて取り付けられた二つのセンサに
より検出される一対のAE信号のうち、重点監視対象部
により近接させた一方にのみn次高調波が多く含まれて
いる場合が多なる。そして、これら一対のAE信号の周
波数スペクトルにおける差分を求めることで一様に伝達
する環境ノイズを除去し、n次高調波のモニターが容易
となる。なお、両AE信号の差分は、周波数スペクトル
解析や次に述べるアベレージングの前後いずれの状況に
おいて求めるようにしても構わない。
【0012】一方、本発明の他の特徴は、上記特徴に加
えて、前記監視対象系に少なくとも一対の音響センサを
互いに隔てて取り付け、これら両センサにより受信され
た両AE信号の位相を調整すると共に両AE信号の加算
又は差分の信号の周波数スペクトルを求め、これら加算
信号又は差分信号の周波数スペクトルにおける前記基調
波の強度が減少するように前記両AE信号の位相調整を
行うことでこの周波数スペクトルをノイズスペクトルと
して求め、前記AE信号の周波数スペクトルからこのノ
イズスペクトルを減じた状態において前記n次高調波の
強度をもって前記監視対象系の劣化度を監視することに
ある。
【0013】さらに、本発明の他の特徴は、上記両特徴
に加えて、前記基調波を基準に前記AE信号をアベレー
ジングし、当該アベレージングされたAE信号の周波数
スペクトルにおける前記n次高調波の強度をもって配管
等の劣化度を監視することにある。
【0014】配管等の複雑な系においては多様な環境ノ
イズが受信AE波に含まれて、単に周波数スペクトル解
析を行っただけでは、環境ノイズにn次高調波が埋没す
るおそれもある。しかるに、n次高調波は基調波に同調
しているため、基調波を基準にAE信号をアベレージン
グすることで、不規則な環境ノイズを低減させることが
可能となる。ここに「前記基調波を基準に前記AE信号
をアベレージング」する場合には、基調波の一周期を基
準にアベレージングを行う場合と、基調波の整数倍周期
を基準にアベレージングを行う場合とが含まれる。
【0015】なお、上記各特徴方法に使用する配管等の
疲労劣化監視装置を構成するに当たっては、前記監視対
象系から発生する前記AE信号を捉える音響センサと、
当該音響センサにより検出されたAE信号の周波数スペ
クトルを求めるスペクトル解析手段と、前記周波数スペ
クトルの表示装置とを備えるとよい。例えば、「スペク
トル解析手段」にはパーソナルコンピュータ内のFFT
部が該当し、「周波数スペクトルの表示装置」にはCR
Tモニターや同じくパーソナルコンピュータ内の処理手
段が該当する。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、図1〜図5を参照しなが
ら、本発明の第一の実施形態について説明する。図1に
示す火力発電プラント1は、符号2〜7の機材間を各種
配管Pにより接続することで構成されている。この火力
発電プラント1において、給水ポンプ2から供給される
水は、ボイラ3により過熱器4内において加熱されて水
蒸気となり、タービン5を回転させる。タービン5から
出た蒸気は、ボイラ3により再び加熱されてタービン5
を回転させ、復水器7を通過して再び給水ポンプ2に戻
る。タービン5の回転により発電機5aを駆動し、発電
が行われる。配管Pの随所には音響センサSが複数設け
られており、給水ポンプ2のモーターやタービン5の回
転振動、配管内の水の流動に伴うサージング等による配
管Pの共振による種々のAE信号(アコースティックエ
ミッション信号)を各音響センサSにより受信する。
【0017】図2に示すように、本発明にかかる監視装
置10は、大略、監視対象系である配管Pに設けられた
複数の音響センサSとソフトウェアの組み込みにより各
種信号処理を実現するパーソナルコンピュータ20と、
パーソナルコンピュータ20による処理結果を表示する
表示装置たるCRTモニター30とよりなる。本実施形
態では、配管Pのうち、本管Pとして枝管P1との接合
部における疲労劣化を主として監視しようとするもので
ある。図3はこの接合部の拡大切断端面図であり、枝管
P1が本管P2に対し接合部材Jを介して接合されてい
る。本管P2及び接合部材Jの間は完全溶込の溶接部M
2により接合されている。これに対し、枝管P1は接合
部材Jに対し嵌合されると共に、ソケット溶接部M1に
より接合されている。ソケット溶接部M1は前者の溶接
部M2に比較して符号Dに示すような亀裂が生じ易い傾
向にある。本実施形態では、このような管の接合部等の
重点監視対象部MPにおける亀裂Dの発生を未然防止す
ることが目的である。
【0018】本実施形態では、図2に示すように、複数
の音響センサSの一部に該当する第一、第二音響センサ
S1,S2を接合部材Jの近傍に隔てて取り付ける。そ
して、第一音響センサS1を重点監視対象部MPである
ソケット溶接部M1に特に近接させ、両センサS1、S
2によるAE信号の周波数スペクトルの差分を求めるこ
とで、ソケット溶接部M1等から生じるであろう高調波
を観測する。両音響センサS1,S2より別々に受信さ
れたAE波形は入力アンプ14,16により増幅され、
入力A/Dコンバータ15,17によりデジタル信号に
変換された後、パーソナルコンピュータ20におけるハ
ードディスク等のメモリ21に蓄積される。入力アンプ
14,16にはノイズ等を除去するための図示省略する
ハイパスフィルターやローパスフィルターが内蔵されて
いる。なお、これら両音響センサS1,S2からメモリ
21に至るまでのAE信号は、各音響センサS1,S2
に対応して複数チャンネル設けられているが、その状況
は図示省略する。以下に示す各種信号の処理も、各音響
センサS1,S2に対応する複数のチャンネル毎に行わ
れる。
【0019】メモリ21に蓄積されたAE信号は処理手
段22により処理され、図4(a)に示すように、時間
と強度との関係を表すグラフとしてCRTモニター30
に表示される。また、操作部23の操作により、メモリ
21に蓄積されたAE信号は、適宜時間サンプリングを
行ってFET部25による周波数スペクトル解析の後、
処理手段22を介して信号処理がなされ、CRTモニタ
ーに図4(b)の如く周波数スペクトルのグラフが表示
される。さらに、この操作部23を操作し、メモリ21
のAE信号をアベレージング手段24により適宜アベレ
ージングした後に同じく周波数スペクトル解析を行い、
その結果を処理手段22を介してCRTモニター30に
表示する。
【0020】枝管P1に設けた第一音響センサS1によ
り受信されたAE波形は、図4(a)の如きものであ
る。この波形をそのまま先のFFT部25により周波数
スペクトル解析をすると、図4(b)の如くタービンの
回転数近傍である2kHz付近における基調波W1のピ
ークが検出される。なお、本実施形態においては、基調
波W1の周波数が2kHzとなっているが、この基調波
の周波数は環境によって2kHzとは異なる様々な値を
とる。但し、二次高調波及び三次高調波に相当する4k
Hz及び6kHz付近におけるピークの有無は、環境ノ
イズに埋没して不明瞭となっている。
【0021】そこで、基調波W1の観測により、この基
調波W1の周波数f=2kHzに相当する一周期分のゲ
ート基準時間Gを基準にFFT部でアベレージングを行
う。このアベレージングは、ゲート基準時間Gの整数倍
を基準とすれば足りる。第一音響センサS1による受信
AE信号にアベレージングを行った後の周波数スペクト
ルを図5(a)のグラフに示す。また、本管P2に設け
た第二音響センサS2の受信AE信号をアベレージング
した後の周波数スペクトルのグラフを図5(b)に示
す。突発的な環境ノイズはアベレージングにより低減さ
れてはいるが、周波数f=4kHz及び6kHzの位置
における二次高調波W2及び三次高調波W3は他の定常
的なノイズに未だ埋没しており、これらは観測し難い。
そこで、第一、第二音響センサS1,S2のアベレージ
ング後のAE信号の周波数スペクトルにおける差分を処
理手段22で求めたものが図5(c)である。n次高調
波は劣化部の近傍で発生し、他の定常的環境ノイズのご
とく一様には伝達し難い。よって、n次高調波は第一音
響センサS1側で主として受信され、図5(a)と
(b)との差分のAE信号として図5(c)のごとくn
次高調波を顕著に観測することが可能となる。この結
果、例えば、図5(a)又は(b)のグラフにおける基
調波W1の基調波強度A1と図5(c)のグラフにおけ
る三次高調波W3の三次高調波強度A3とを比較するこ
とにより先の配管Pの劣化度を監視し及び評価すること
が可能となる。もちろん、二次高調波W2の強度A2を
併用して参照してもよい。
【0022】次に、図6を参照しながら、本発明の第二
の実施形態について説明する。上記第一実施形態では、
第一、第二音響センサS1,S2のAE信号のうちの一
方に高調波成分が多く、高調波成分を強調すべくこれら
両AE信号の周波数スペクトルの差分を求めた。本実施
形態では、第一実施形態同様の装置を用い、第一、第二
音響センサS1,S2による受信AE信号の位相を調整
し、これら両AE信号の差分の信号を求めた後に、それ
らの周波数スペクトルを求めることで、ノイズをキャン
セルするためのノイズスペクトルを検出している。位相
調整及び信号の加算は先の操作部23及び処理手段22
により行われる。
【0023】第一、第二音響センサS1,S2による受
信AE信号の時間と強度の関係を示すグラフは、それぞ
れ図6(a),(b)に該当する。各信号には上述の基
調波・高調波の他にノイズが含まれている。本例では、
2つの信号間の基調波のピークの位相差d1だけ第一音
響センサS1のAE信号を遅延させ、第二音響センサS
1のAE信号との差分を求めるように、前記位相差d1
を調整する。この位相差d1の調整は、これら両AE信
号の差分の周波数スペクトルにおける基調波の値が結果
として減少し、最低の値をとるように行う。両AE信号
の差分の周波数スペクトルのうち、基調波の値が十分に
減少し又は最低の値となるものをノイズスペクトルとす
る。ノイズスペクトルを生成する基となるAE信号は、
基調波の値が最低の値をとるように前記位相差d1の調
整が行われて両AE信号の差分を求められた図6(c)
の如き信号である。
【0024】前記処理手段22は、第一、第二音響セン
サS1、S2による受信AE信号の周波数スペクトルか
らこのノイズスペクトルを減じる。そして、ノイズスペ
クトルの減じられた状態において前記n次高調波W2,
W3の強度をもって、監視対象系の劣化度を監視する。
【0025】次に、本発明のさらに他の実施の形態の可
能性について説明する。上記実施形態においては、二次
高調波W2及び三次高調波W3のみを観察したが四次以
降の高調波をモニターすることも可能である。また、本
発明の監視対象は、火力発電プラントに限らず原子力発
電プラント、水力発電プラント、化学プラント等のあら
ゆる配管系や配管以外の複雑な系に対しても適用の余地
がある。
【0026】上記実施形態では、基調波を最も高強度の
周波数のものとしたが、それは監視対象となる配管等に
おける機械的共振による波形の内、最も高強度となるも
のを選択することを意味し、機械的共振に基づくAE信
号以外の周期的な電気的ノイズ等は、請求範囲にいう
「最も高強度の周波数」には該当しないものとする。
【0027】上記実施形態では、一方の音響センサS1
を重点監視対象部MPに距離的により近接させたが、
「一方の音響センサを重点監視対象部に近接させる」と
は、「劣化部から生じるであろう高調波を音響的に拾い
易い部分に近接させる」ことを意味する。よって、かか
る条件を充足するには、距離的に両センサが重点監視対
象部と当距離となる場合も存在しうるし、一方のセンサ
S1を接合部材J上に設けたり、両センサS1、S2を
双方とも枝管側S1、S2に設ける場合もあり得る。も
ちろん、本発明では、配管の接合部以外の部分をも監視
対象部とすることが可能であるし、重点監視対象部を特
に設定しない場合には、一対のセンサを互いに対に用い
なくても構わない。
【0028】上記第一実施形態では、2つの音響センサ
S1、S2により受信されたAE信号の周波数スペクト
ルの差分を求めることでノイズをキャンセルし、n次高
調波の評価を行ったが、当該差分の信号が未だ多くのノ
イズを含む場合には、この差分の信号分をさらに相殺
し、n次高調波の増大のみを重点的に観測できるように
しても構わない。
【0029】上記第二の実施形態では、図6(a),
(b)に示すように、第一、第二音響センサS1、S2
による受信AE信号の位相調整を、両AE信号の基調波
ピークどうしの位相差d1だけ行うと共に、両AE信号
の差分を求めた。しかし、両受信AE信号の位相調整
を、両AE信号の基調波ピークと谷底の位相差d2だけ
行うと共に、両AE信号を加算して、ノイズスペクトル
を求めても構わない。
【0030】
【発明の効果】このように、上記本発明の特徴方法及び
特徴構成によれば、最も強度の高い周波数の基調波を基
準に疲労劣化部から発生するであろうn次高調波を監視
することで、プラント配管等の複雑な系であっても、そ
の疲労による劣化度を非破壊的に監視してより直接的に
評価できるようになり、配管等の疲労破壊をより確実に
未然防止することが可能となった。
【0031】また、二つのセンサによるAE信号の差分
を求めたり、ノイズスペクトル分を減じたり、AE信号
のアベレージングを行うことで、環境ノイズに埋没しや
すい小さなn次高調波をより的確に検出し、劣化度の評
価精度を向上させ得るに至った。
【0032】なお、特許請求の範囲の項に記入した符号
は、あくまでも図面との対照を便利にするためのものに
すぎず、該記入により本発明は添付図面の構成に限定さ
れるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の監視対象となる火力発電プラントの概
略図である。
【図2】本発明にかかる監視装置の論理ブロック図であ
る。
【図3】枝管接合部における縦断面の拡大端面図であ
る。
【図4】発電プラントから発生するAE波形の受信結果
を示し、(a)はAE波形、(b)は(a)の波形の周
波数スペクトルを示すグラフである。
【図5】(a),(b)はそれぞれ第一、第二音響セン
サにより検出されたAE信号のうちアベレージングされ
たAE信号の周波数スペクトルを示すグラフであり、
(c)は(a),(b)のグラフの差分を示すグラフで
ある。
【図6】(a),(b)はそれぞれ第一、第二音響セン
サにより検出されたAE信号の時間と強度の関係を示す
グラフであり、(c)は、上記(a)の信号を位相差d
1だけ遅延させて(b)の信号との差分を求めたグラフ
である。
【図7】試験片による超音波加速試験の測定結果を示
し、(a)は試験片に与える共振周波数の波形を示し、
(b)は音響センサにより試験片から受信されたAE波
形を示し、(c)は(b)のAE波形の周波数スペクト
ルを示すグラフである。
【符号の説明】
1 火力発電プラント 2 給水ポンプ 3 ボイラ 4 過熱器 5 タービン 5a 発電機 6 再熱器 7 復水器 10 監視装置 14 入力アンプ 15 入力A/Dコンバータ 16 入力アンプ 17 入力A/Dコンバーター 20 パーソナルコンピュータ 21 メモリ 22 処理手段 23 操作部 24 アベレージング手段 25 FFT部 30 CRTモニター G ゲート基準時間 S 音響センサ S1 第一音響センサ S2 第二音響センサ P 配管 P1 枝管 P2 本管 D 亀裂 W1 基調波 W2 二次高調波 W3 三次高調波 A1 基調波強度 A2,A3 二次・三次高調波強度 M1 ソケット溶接部 M2 溶接部 J 接合部材 MP 監視対象部 d1,d2 位相差。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 龍王 晋 大阪市西区北堀江1丁目18番14号 非破壊 検査株式会社内 (72)発明者 森 雅司 大阪市西区北堀江1丁目18番14号 非破壊 検査株式会社内 (72)発明者 永井 辰之 大阪市西区北堀江1丁目18番14号 非破壊 検査株式会社内 (72)発明者 紫藤 圭介 大阪市西区北堀江1丁目18番14号 非破壊 検査株式会社内 (72)発明者 星川 浩三 愛媛県松山市湊町6丁目1−2 四国電力 株式会社原子力保安研修所内 (72)発明者 松本 賢哉 愛媛県松山市湊町6丁目1−2 四国電力 株式会社原子力保安研修所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配管(P)等の監視対象系から発生する
    AE信号を捉えると共にその周波数スペクトルを求め、
    当該周波数スペクトルから最も高強度の周波数を基調波
    (W1)として検出し、前記周波数スペクトルにおける
    前記基調波のn次高調波(W2,W3)の強度をもって
    配管(P)等の疲労による劣化度を監視することを特徴
    とする配管等の疲労劣化監視方法。
  2. 【請求項2】 前記監視対象系における重点監視対象部
    (MP)の近傍に少なくとも一対の音響センサ(S1,
    S2)を互いに隔てて取り付けると共に一方の音響セン
    サ(S1)を前記重点監視対象部(MP)により近接さ
    せ、これら両センサ(S1,S2)により受信されたA
    E信号の周波数スペクトルにおける差分の前記n次高調
    波(W2,W3)の強度をもって前記重点監視対象部
    (MP)の劣化度を監視する請求項1に記載の配管等の
    疲労劣化監視方法。
  3. 【請求項3】 前記監視対象系に少なくとも一対の音響
    センサ(S1,S2)を互いに隔てて取り付け、これら
    両センサ(S1,S2)により受信された両AE信号の
    位相を調整すると共に両AE信号の加算又は差分の信号
    の周波数スペクトルを求め、これら加算信号又は差分信
    号の周波数スペクトルにおける前記基調波の強度が減少
    するように前記両AE信号の位相調整を行うことでこの
    周波数スペクトルをノイズスペクトルとして求め、前記
    AE信号の周波数スペクトルからこのノイズスペクトル
    を減じた状態において前記n次高調波(W2,W3)の
    強度をもって前記監視対象系の劣化度を監視する請求項
    1に記載の配管等の疲労劣化監視方法。
  4. 【請求項4】 前記基調波(W1)を基準に前記AE信
    号をアベレージングし、当該アベレージングされたAE
    信号の周波数スペクトルにおける前記n次高調波(W
    2,W3)の強度をもって前記監視対象系の劣化度を監
    視する請求項1〜3のいずれかに記載の配管等の疲労劣
    化監視方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の配管等
    の疲労劣化監視方法に用いる配管等の疲労劣化監視装置
    であって、前記監視対象系から発生する前記AE信号を
    捉える音響センサ(S1)と、当該音響センサ(S1)
    により検出されたAE信号の周波数スペクトルを求める
    スペクトル解析手段(24)と、前記周波数スペクトル
    の表示装置(22,30)とを備えた配管等の疲労劣化
    監視装置。
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