JPH08177530A - ガスタービンの異常検知装置 - Google Patents

ガスタービンの異常検知装置

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JPH08177530A
JPH08177530A JP32539094A JP32539094A JPH08177530A JP H08177530 A JPH08177530 A JP H08177530A JP 32539094 A JP32539094 A JP 32539094A JP 32539094 A JP32539094 A JP 32539094A JP H08177530 A JPH08177530 A JP H08177530A
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acoustic
gas turbine
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frequency
wavelet
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JP32539094A
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Shigeru Matsumoto
本 茂 松
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガスタービンの異常時における音響信号の過
度変化成分がガスタービンプラントの構成機器群の運転
により生起される変動成分に埋もれることを防止し、こ
れにより、比較的小さな異常音に対しても高い感度を発
揮できるガスタービンの異常検知装置を提供することに
ある。 【構成】 異常検知装置の音響処理装置は、音響センサ
により検知された音響信号を受け、この音響信号を一定
時間長の時系列データとしてディジタル化して所定個数
をサンプリングするサンプリング部と、ディジタル化し
てサンプリングされた音響データを、時間領域と周波数
領域との双方を有する音響データにウェーブレット変換
するウェーブレット変換部と、ウェーブレット変換され
た音響データのレベルをしきい値と比較して、前記機器
設備の異常の有無を判定する判定部と、この判定結果を
異常検知装置の通報装置に出力する出力部と、を備えて
いることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスタービンプラント
及びコンバインド火力発電プラントにおけるガスタービ
ンの機器設備に発生する異常を音響信号の時系列変化に
基づいて検知できるガスタービンの異常検知装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、発電プラント等において、高効率
を目指した高温ガスタービンの開発が本格化している。
これに伴って、過酷な条件で使用されるガスタービンプ
ラントの健全性を確保するための異常検知技術が重要に
なってきている。
【0003】従来、発電プラントの蒸気タービンにあっ
ては、蒸気タービンの回転体等の異常を検知する最も一
般的な方式として、ロータ、又は軸受等に取り付けられ
た振動センサから振動信号を検知し、この振動信号の振
幅及び位相に基づいて異常を監視していた。
【0004】しかしながら、ガスタービンにあっては、
近年、ガスタービンの設備は、蒸気タービン等に比べる
と、冷却効果向上及び熱応力への配慮等により、構造が
全般に軽量薄肉となっている。そのため、燃焼器、ロー
タ、軸受等の各主要機器が異常になった場合、軸受等限
定的な部位に設置される振動センサから振動信号が伝達
されず、異常を検知できない可能性があった。
【0005】そこで、このような点から、音響信号に基
づいて異常有無を判断する方式が開発されつつある。即
ち、この方式にあっては、主要機器の近傍に、空中伝搬
音を捕らえるマイクロホン、及び固体伝搬する超音波信
号を捕らえるAEセンサが取付けられ、これらの音響信
号に基づいて異常有無が判断されている。その内の1つ
の方式を、図5に示す燃焼器の燃焼状態の異常を検知処
理する場合を例として説明する。
【0006】図5に示すように、燃焼器12から異常音
が発生した場合、この燃焼器12の近傍に設置された音
響センサ1により捕らえられた音響信号は、音響処理措
置14によって捕捉され、異常の有無が判断される。よ
り具体的には、図6は、音響センサ1により検知された
音響信号におけるスペクトルレベルの周波数特性を示し
ている。異常音が発生すると、正常時のスペクトルCに
対し、一定範囲の周波数帯域においてスペクトルレベル
の上昇が生じて異常時のスペクトルレベルDが観測され
る。従って、このスペクトルレベルの変化分が音響処理
装置14により解析されて、ガスタービンの異常が検知
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、コンバ
インドサイクル発電プラントを初めとする大規模なガス
タービンプラントにあっては、燃焼器のみならずこれの
周囲に点在する圧縮器及び各種制御弁等の膨大な数の機
器が有機的に影響しあいながら運転されている。そのた
め、多数の機器群から発生する音響信号のスペクトルレ
ベルは、経時的に常時変動されている。そのため、監視
対象の機器が正常であっても、図7に示すように、計測
時刻によって相違したスペクトルEが得られることにな
る。従って、図8に示すように、音響センサの入力信号
には、正常時であろうともガスタービンの運用に伴うス
ペクトルレベルの変動幅Fが存在することになる。
【0008】また、異常音が断続的に放射されるような
異常現象の場合、スペクトルレベルを得るための従来の
方法(FFT処理)では、サンプリングした時間領域で
スペクトルレベルが平均化されている。そのため、異常
音が発生した瞬間の実際のレベル変化に比べて、FFT
処理後のスペクトルレベルの変化は、見かけ上僅かなも
のになってしまうという問題がある。
【0009】従って、図8に示すように、異常音による
スペクトルの増分がプラント運転に伴う変動幅F内にう
ずもれてしまい、その結果、検知精度が低下する虞れが
ある。
【0010】本発明の目的は、上述したような事情に鑑
みてなされたものであって、ガスタービンの異常時にお
ける音響信号の過度変化成分がガスタービンプラントの
構成機器群の運転により生起される変動成分に埋もれる
ことを防止し、これにより、比較的小さな異常音に対し
ても高い感度を発揮できるガスタービンの異常検知装置
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明に係るガスタービンの異常検知装置は、ガス
タービンの機器設備から発した音響信号を検知して音響
処理し前記機器設備の異常の有無を判定する音響処理装
置により、ガスタービンの異常を検知するためのガスタ
ービンの異常検知装置であって、前記音響処理装置は、
音響センサにより検知された音響信号を受け、この音響
信号を一定時間長の時系列データとしてディジタル化し
て所定個数をサンプリングするサンプリング手段と、デ
ィジタル化してサンプリングされた音響データを、時間
領域と周波数領域との双方を有する音響データにウェー
ブレット変換するウェーブレット変換手段と、ウェーブ
レット変換された音響データのレベルをしきい値と比較
して、前記機器設備の異常の有無を判定する判定手段
と、この判定結果を異常検知装置の通報装置に出力する
出力手段と、を備えていることを特徴としている。
【0012】
【作用】このように、本発明では、音響センサにより検
知された音響信号が一定時間長の時系列データとしてデ
ィジタル化して所定個数サンプリングされる。このディ
ジタル化してサンプリングされた音響データが時間領域
と周波数領域との双方を有する音響データにウェーブレ
ット変換される。このウェーブレット変換された音響デ
ータのレベルがしきい値と比較されて、前記機器設備の
異常の有無が判定され、この判定結果が異常検知装置の
通報装置に出力されている。
【0013】ガスタービンの異常検知の場合、高周波数
においては、異常音の発生時刻又は異常音の波形の立ち
上がり特性等の時間分解能が重要である一方、低周波数
においては、回転機械異常音の回転数との同期性の判別
等の周波数分解能が重要である。上記ウェーブレット変
換の特徴として、高周波数域のデータになるに従って、
周波数分解能が低下し、反対に時間領域の分解能が向上
する一方、低周波数域のデータになるに従って、周波数
分解能が向上し、反対に時間領域の分解能が低下する。
そのため、このウェーブレット変換がガスタービンの異
常検知に適用された場合、高周波数域のデータでは、重
要な時間分解能が感度良く得られる一方、低周波数域の
データでは、重要な周波数分解能が感度良く得られる。
従って、ウェーブレット変換における周波数分解能及び
時間分解能のバランスが適正に選択されれば、このウェ
ーブレット変換はガスタービンの機器設備機器の異常検
知に非常に有効に活用される。
【0014】従って、このように、ガスタービンで重点
的に監視すべき異常音の周波数領域及び時間領域でウェ
ーブレット変換処理することにより、高感度の異常検知
が可能になる。そのため、異常時の音響信号の過度変化
成分が、ガスタービンの構成機器群の運転に伴って生じ
る変動成分に埋もれることがなく、比較的小さな異常音
に対しても高い感度で異常が検知される。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例に係るガスタービンの
異常検知装置を図面を参照しつつ説明する。
【0016】図1は、本発明の第1実施例に係るガスタ
ービンの異常検知装置の機器構成を示す斜視図である。
この異常検査装置は、音響センサ1と、収納用筐体2に
格納された音響処理装置3と、通報装置4とから構成さ
れている。音響処理装置3は、音響センサにより検知さ
れた音響信号を受け、この音響信号を一定時間長の時系
列データとしてディジタル化して所定個数をサンプリン
グするサンプリング部5と、ディジタル化してサンプリ
ングされた音響データを、時間領域と周波数領域との双
方を有する音響データにウェーブレット変換するウェー
ブレット変換部6と、ウェーブレット変換された音響デ
ータのレベルをしきい値と比較して、前記機器設備の異
常の有無を判定する判定部7と、この判定結果を異常検
知装置の通報装置に出力する出力部8とを具備してい
る。
【0017】図2は、音響処理装置のフローチャートで
ある。以下、このフローチャートに則して音響処置装置
を説明する。
【0018】図2のステップ101において、音響セン
サ1により検出された音響信号が音響処置装置3のサン
プリング部5に入力され、音響信号は、一定時間長の時
系列データとしてディジタル化してサンプリングされ
る。本実施例では、下記の周波数区間を対象としてい
る。
【0019】最低周波数 7[Hz] 〜 最高周波数
7500[Hz] 前記最低周波数は、ガスタービン回転数のおよそ40%
以上の周波数で発生する圧縮器ストールによる異常音響
を検知できることを目的として選定されている。尚、本
実施例においては、回転上昇時の検知を可能とするた
め、前記最低周波数は、ガスタービン回転数1000
[rpm ]以上にて検知できるように下式により算出し
た。
【0020】
【数1】 また、前記最高周波数は、燃焼器内部の気柱振動に起因
する異常音を捕らえることを目的としており、燃焼器燃
料ノズル先端からトランジションピース下流端までの長
さの波長の1/5の分数調波以上を監視対象とできるよ
うに下式により選定した。尚、本実施例においては、燃
焼器燃料ノズル先端からトランジションピース下流端ま
での長さを2[m]とし、また音速は1300[℃]、
15[kg/cm2 ]において3000[m /sec ]として
下式より算出した。
【0021】
【数2】 ここで、サンプリング周期は、最高周波数の2倍の15
K[Hz]とし、エリアジング防止のためにそれ以上の
周波数をカットするものとする。また、サンプリングデ
ータ数は、前記最低周波数7[Hz]を捕らえるために
1/7[sec ]以上継続して音響信号を入力する必要が
あるが、本実施例においては、1/5[sec ]分のデー
タをサンプリングすることとすると、下式より3000
[point]が必要になる。
【0022】1/5[sec ]*15000[Hz/sec
]=3000[point ] 但し、本実施例では、後述するように、ウェーブレット
変換部6において、1オクターブ間隔の周波数分解能を
もつ直交ウェーブレットを用いることから、サンプリン
グ点数を2の倍数とする必要があり、4096点を選択
した。以上の条件の下でディジタル化してサンプリング
された音響データ4096点を、以下の説明において、
配列D[i](i=1,2・・4096)の形式で表記
する。
【0023】次に、図2のステップ102において、デ
ィジタル化された音響データがウェーブレット変換部6
によって時間領域と周波数領域の双方を有するデータに
ウェーブレット変換される。本実施例では、巡視員の聴
覚に近づける目的で周波数領域の分解能を1オクターブ
間隔とし、また、異常判定のしきい値としてスペクトル
レベルを用いることとする。このような条件を満たすウ
ェーブレット処理の1方式として直行ウェーブレットが
存在する。また、直行ウェーブレットは他の方式に比べ
て高速処理が可能であり、異常を迅速に検知する場合に
は効果的である。以上の観点から、本実施例において直
行ウェーブレットを採用することとする。
【0024】以下に、直行ウェーブレットによる計算手
段を示す。 (1) ウェーブレット変換後の時間・周波数領域デー
タ格納用配列A[i,j]及びB[i,j]を次のよう
に確保する。
【0025】A[i,j] B[i,j] i;周波数領域のデータNo(i=1,2,・・・,1
1) j;時間領域のデータNo (j=1,2,・・・,20
48) 本実施例の周波数領域のデータは、1オクターブ間隔で
上記iに示す全11オクターブの範囲で異常検知するこ
ととする。また、時間領域のデータ数は、サンプリング
点数の1/2に相当する2048である。 (2) ウェーブット関数を設定する。
【0026】本実施例では、ウェーブレット関数として
タップ数8の「ドビュシー」を採用する。本関数は、配
列h[k](k=0,1,・・・,7)及びp[l]
(l=0,1,・・・,7)に以下の数値で設定する。
【0027】 h[0]= 0.230377813309 ; h[1]= 0.714846570553 ; h[2]= 0.630880767930 ; h[3]=−0.027983769417 ; h[4]=−0.187034811719 ; h[5]= 0.030841381836 ; h[6]= 0.032883011667 ; h[7]=−0.010597401785 ; p[7]=−0.230377813309 ; p[6]= 0.714846570553 ; p[5]=−0.630880767930 ; p[4]=−0.027983769417 ; p[3]= 0.187034811719 ; p[2]= 0.030841381836 ; p[1]= 0.032883011667 ; p[0]=−0.010597401785 ; (3) 音響信号とウェーブレット関数を用いて以下の
ように計算する。
【0028】(a)下式を計算する。
【0029】 A[1, 1]=D[ 1] *p[0]+D[ 0]*p[1]+ ・・・+D[ -6]*p[7] A[1, 2]=D[ 3] *p[0]+D[ 2]*p[1]+ ・・・+D[ -4]*p[7] A[1, 3]=D[ 5] *p[0]+D[ 4]*p[1]+ ・・・+D[ -2]*p[7] ・ ・ A[1,2048]=D[4095] *p[0]+D[4094]*p[1]+ ・・・+D[4088]*p[7] すなわち、 A[1, i]=D[2i-1] *p[0]+D[2i-2]*p[1]+ ・・・+D[2i-8]*p[7] ;i=1...2048 但し、上記計算式中で、i<1またはi>2048のと
き、D[1,i]=0 ここで計算されたA[1,i]は、周波数領域7.5k
[Hz]帯域のデータであり、時間領域の分解能は0.
13[msec](1/7500[msec])となる。全20
48点のデータで張られる時間領域のスパンは、273
[msec]である。
【0030】(b)同様に、下式を計算する。
【0031】 B[1, 1]=D[2i-1] *p[0]+D[2i-2]*p[1]+ ・・・+D[2i-8]*p[7] (c)B[1, i] 〜B[1,1024] をD[1]〜D[1024] に置き
換えたうえで、D[1]〜D[1024] を用いて再度上記(a)
(b)の計算を実施し、結果をA[2,1]〜A[2,512]、B[2,
1]〜B[2,512]とする。
【0032】ここで計算されたA[2,1]は、周波数領域に
おいて3.75k[Hz]帯域のデータで、時間領域の
分解能は0.27[msec]となる。
【0033】(d) 前記(c)と同様に下記を計算す
る。
【0034】 A[ 3,1] 〜A[ 3,256] 、 B[ 3,1] 〜B[ 3,256] (1.9kHz帯域) A[ 4,1] 〜A[ 4,128] 、 B[ 4,1] 〜B[ 4,128] (940kHz帯域) A[ 5,1] 〜A[ 5, 64] 、 B[ 5,1] 〜B[ 5, 64] (470kHz帯域) A[ 6,1] 〜A[ 6, 32] 、 B[ 6,1] 〜B[ 6, 32] (230kHz帯域) A[ 7,1] 〜A[ 7, 16] 、 B[ 7,1] 〜B[ 7, 16] (110kHz帯域) A[ 8,1] 〜A[ 8, 8] 、 B[ 8,1] 〜B[ 8, 8] ( 59kHz帯域) A[ 9,1] 〜A[ 9, 4] 、 B[ 9,1] 〜B[ 9, 4] ( 29kHz帯域) A[10,1] 〜A[10, 2] 、 B[10,1] 〜B[10, 2] ( 15kHz帯域) A[10,1] 〜A[10, 2] 、 B[10,1] 〜B[10, 2] ( 7kHz帯域)
【0035】
【数3】 上記の計算の結果、次表に示すように、オクターブ区間
毎に時間領域に展開された音響データが得られる。
【0036】
【表1】 ガスタービンの異常検知の場合、高周波数においては、
異常音の発生時刻又は異常音の波形の立ち上がり特性等
の時間分解能が重要である一方、低周波数においては、
回転機械異常音の回転数との同期性の判別等の周波数分
解能が重要である。上記ウェーブレット変換の特徴とし
て、高周波数域のデータになるに従って、周波数分解能
が低下し、反対に時間領域の分解能が向上する一方、低
周波数域のデータになるに従って、Hz単位の周波数分
解能が向上し、反対に時間領域の分解能が低下する。そ
のため、このウェーブレット変換がガスタービンの異常
検知に適用された場合、高周波数域のデータでは、重要
な時間分解能が感度良く得られる一方、低周波数域のデ
ータでは、重要な周波数分解能が感度良く得られる。従
って、ウェーブレット変換における周波数分解能及び時
間分解能のバランスが適正に選択されれば、このウェー
ブレット変換はガスタービンの機器設備機器の異常検知
に非常に有効に活用される。
【0037】次に、図2のステップ103において、判
定部7では、ウェーブレット変換後の音響データを自乗
してパワースペクトルレベルに相当する値に変換した
後、そのスペクトルレベルデータをしきい値と比較して
異常の有無が判断される。本実施例においては、表2に
示すように、スペクトルレベルデータに対してオクター
ブ別に最大値を算出して、各帯域についてそれぞれの時
間領域で最大値を求め、これらを予め保持して所定のし
きい値と比較する方式を採用している。
【0038】
【表2】 次に、図2のステップ104において、出力部8では、
図3に示すように、異常の有無とウェーブレット変換後
の時間領域及び周波数領域に展開された音響データAを
3次元座標を有するグラフとして画面に表示する。図3
中の画面上には、しきい値を超過したデータの周波数及
び時間を示している。
【0039】上述した本発明の実施例においては、ガス
タービンプラントで重点的に監視すべき異常音の周波数
領域および時間領域でウェーブレット信号処理すること
により、高感度の異常検知が可能になる。また、1オク
ターブ区間の周波数分解能を有する直行ウェーブレット
関数を採用することにより巡視員の聴覚に近い異常検知
が高速で処理可能になる。さらに、音響信号から各周波
数領域別に時間領域上の最大値を選別して周波数領域毎
にしきい値と比較して異常有無を判断することにより、
過度的変動に対し本来的に高感度を有するウェーブレッ
ト変換の特徴を活かした異常検知が可能になる。
【0040】次に、図4を参照しつつ、本発明の第2実
施例に係るガスタービンの異常検知装置を説明する。
【0041】本実施例は、異常音に対して周期性の有無
を判別することを目的として、ウェーブレット変換後の
音響信号から各周波数領域別に時間領域上で自己相関係
数を算出する周期性判定部を具備することを特徴として
いる。
【0042】本実施例においては、ウェーブレット変換
された周波数領域および時間領域の双方のデータを有す
る音響データに基づいて、周期性判定部において各周波
数帯域毎に自己相関係数が下式により算出される。
【0043】 R[L] :第L周波数帯域における自己相関係数 A[L,i] :第L周波数帯域、第i時間領域における音響
信号 M[L] :第L周波数帯域における全時間領域音響信号
の平均 N :第L周波数帯域の時間領域データ数 各周波数領域のデータに対して上式の計算を実施すれ
ば、各周波数領域毎に時間領域に展開された自己相関係
数が得られる。
【0044】周期性判定部では、続いて自己相関係数を
しきい値と比較して異常の有無が判断される。本実施例
においては、図4に示すように、周波数領域別に自己相
関係数の絶対値を算出して、これらを予め保持してある
しきい値と比較する方式を採用している。図5では、単
一の周波数帯域を例にとって示しているが、各周波数帯
域において別個にしきい値と比較される。本実施例によ
れば、周期性を伴って発生する異常音に対して高感度で
発見が可能である。
【0045】
【発明の効果】以上述べたように、本発明では、ガスタ
ービンの異常検知の場合、高周波数においては、異常音
の発生時刻又は異常音の波形の立ち上がり特性等の時間
分解能が重要である一方、低周波数においては、回転機
械異常音の回転数との同期性の判別等の周波数分解能が
重要である。上記ウェーブレット変換の特徴として、高
周波数域のデータになるに従って、周波数分解能が低下
し、反対に時間領域の分解能が向上する一方、低周波数
域のデータになるに従って、周波数分解能が向上し、反
対に時間領域の分解能が低下する。そのため、このウェ
ーブレット変換がガスタービンの異常検知に適用された
場合、高周波数域のデータでは、重要な時間分解能が感
度良く得られる一方、低周波数域のデータでは、重要な
周波数分解能が感度良く得られる。従って、ウェーブレ
ット変換における周波数分解能及び時間分解能のバラン
スが適正に選択されれば、このウェーブレット変換はガ
スタービンの機器設備機器の異常検知に非常に有効に活
用される。
【0046】従って、このように、ガスタービンで重点
的に監視すべき異常音の周波数領域及び時間領域でウェ
ーブレット変換処理することにより、高感度の異常検知
が可能になる。そのため、異常時の音響信号の過度変化
成分が、ガスタービンの構成機器群の運転に伴って生じ
る変動成分に埋もれることがなく、比較的小さな異常音
に対しても高い感度で異常が検知される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るガスタービンの異常
検知装置の機器構成を示す斜視図。
【図2】図1に示す音響処理装置のフローチャート。
【図3】第1実施例の異常の有無の判定結果表示方式の
3次元グラフ。
【図4】第2実施例に係り、自己相関係数による異常判
定方式のグラフ。
【図5】従来方式によるガスタービン異常音検知方式の
説明図。
【図6】異常時の音響スペクトルレベル上昇のグラフ。
【図7】音響スペクトルレベルの時間変動のグラフ。
【図8】異常時音響スペトクル上昇と正常時変動との類
似性のグラフ。
【符号の説明】
1 音響センサ 2 収納用筐体 3 音響処理装置 4 通報装置 5 サンプリング部(サンプリング手段) 6 ウェーブレット変換部(ウェーブレット変換手段) 7 判定部(判定手段) 8 出力部(出力手段)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガスタービンの機器設備から発した音響信
    号を検知して音響処理し前記機器設備の異常の有無を判
    定する音響処理装置により、ガスタービンの異常を検知
    するためのガスタービンの異常検知装置であって、 前記音響処理装置は、 音響センサにより検知された音響信号を受け、この音響
    信号を一定時間長の時系列データとしてディジタル化し
    て所定個数をサンプリングするサンプリング手段と、 ディジタル化してサンプリングされた音響データを、時
    間領域と周波数領域との双方を有する音響データにウェ
    ーブレット変換するウェーブレット変換手段と、 ウェーブレット変換された音響データのレベルをしきい
    値と比較して、前記機器設備の異常の有無を判定する判
    定手段と、 この判定結果を異常検知装置の通報装置に出力する出力
    手段と、を備えていることを特徴とするガスタービンの
    異常検知装置。
  2. 【請求項2】前記ウェーブレット変換手段は、1オクタ
    ーブ間隔の周波数分解能を有していることを特徴とする
    請求項1に記載のガスタービンの異常検知装置。
  3. 【請求項3】前記サンプリングの周波数区間の最低周波
    数として、ガスタービン回転数の40%が選定されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンの異
    常検知装置。
  4. 【請求項4】前記サンプリングの周波数区間の最高周波
    数として、燃焼器燃料ノズル先端からトランジションピ
    ース下流端までの長さの1/5の波長に相当する振動数
    が選定されていることを特徴とする請求項1に記載のガ
    スタービンの異常検知装置。
  5. 【請求項5】前記判定手段は、ウェーブレット変換され
    た音響データから各周波数領域別に時間領域上における
    最大値を選別し、各周波数領域毎にしきい値と比較し、
    何れかの周波数領域において前記最大値がしきい値を超
    えている場合に、前記機器設備に異常があると判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービンの異常
    検知装置。
  6. 【請求項6】前記判定手段は、ウェーブレット変換され
    た音響データを用いて各周波数領域別に時間領域上の自
    己相関係数を算出する周期性判定機能を有することを特
    徴とする請求項1に記載のガスタービンの異常検知装
    置。
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