JPH10265922A

JPH10265922A - 連続溶融金属めっき方法および連続溶融金属めっき装置

Info

Publication number: JPH10265922A
Application number: JP7193597A
Authority: JP
Inventors: Shuji Gomi; 修二五味; Chiaki Kato; 千昭加藤
Original assignee: Kawasaki Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 1997-03-25
Filing date: 1997-03-25
Publication date: 1998-10-06

Abstract

(57)【要約】【目的】スナウト内における大きな浮遊物の付着を効
果的に防止して、表面品質に優れ、耳伸びが少なく、し
かも作業性のよい、鋼板の連続溶融金属めっき方法およ
び連続溶融金属めっき装置を提供する。【構成】還元性雰囲気中で焼鈍した鋼板を、スナウト
を経て溶融金属めっき浴内に導き、シンクロールで垂直
上方向に方向転換し、浴外に引き出す機構を具える溶融
金属めっき装置において、前記シンクロールの上部に、
該シンクロールに平行な軸を有し、シンクロールに随伴
して回転可能な浴流変更ロールを、隣接して設けること
により、鋼板のめっき浴への導入部と引出し部の間のめ
っき浴の上部において、導入部から引出し部に向かう強
制流を生じさせながらめっきする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板の連続溶融金
属めっきに関し、とくにめっき後の外観性状に優れた連
続溶融金属めっき方法および連続溶融金属めっき装置に
ついて提案するものである。

【０００２】

【従来の技術】鋼板に連続的に溶融金属めっきを施す方
法として、種々のタイプのめっきラインが知られている
が、一般的には、図２に示す連続溶融Znめっきラインタ
イプのものが広く用いられている。このラインでは、冷
間圧延された鋼板１は、無酸化炉２で直接加熱され、更
にＨ₂ガスによる還元性雰囲気の焼鈍炉３で焼鈍、還元
され、続くスナウト４を経てZnポット５に導かれシンク
ロール６によって垂直上方向に立ちあがり、浴外に引き
出され、Znポット５上のガスワイパー７によって所定の
めっき付着量に調整された後、巻取りリール８でコイル
に巻かれて製品となる。

【０００３】このようなめっき方法により、鋼板に連続
的に溶融Znめっきを施す場合に、スナウト４内の浴面5a
及びスナウト４外の浴面5bには、Zn酸化物（アッシ
ュ）、Fe一Al系化合物、またZnポットの底部にはFe−Zn
系化合物（これらのFe一Al系化合物及びFe−Zn系化合物
を総称してドロスと称する）が多数浮遊あるいは堆積す
ることが不可避であった。そして、これらの酸化物及び
ドロスが、スナウト内に侵入し鋼板に巻き込まれて、鋼
板に付着した場合、めっき鋼板の表面凹凸や不めっきと
いった表面欠陥を招き、製品品質を著しく低下させるこ
とが知られている。

【０００４】ところで、このような、酸化物やドロスが
鋼板に付着し、巻き込まれることによる、製品品質の低
下を防止する方策として、従来から、スナウト４内の浴
面5aの浮遊物を除去するため、ラインを停止し、焼鈍炉
３内のＨ₂ガスをＮ₂ガスでパージし、スナウト４を開
放して浴面5aの浮遊物を除去したり、鋼板１が立ち上が
る浴面5bのドロスを定期的にかきとるなどの処理が行わ
れていた。しかし、これらの処理では、ラインの停止、
焼鈍炉内のＮ₂ガスパージ、浮遊物除去等に長時間を要
して作業性が著しく劣っていた。

【０００５】このため、従来から、酸化物及びドロスを
原因とするめっき鋼板の表面凹凸欠陥や不めっき等の製
品品質の劣化を防止するために、多くの研究が行われ、
浮遊物の発生防止や除去に関する種々の提案がなされて
いる。例えば、特開昭56−146869号公報ではスナウト浴
面を物理的に揺動させてドロス付着を防止する方法、特
開昭60−230969号公報では電磁ポンプで吸引したりする
方法、特開平3 −197657号公報では、浮遊ドロスを浴槽
の隅へ集めドロスに付随しているZnを攪拌して離脱させ
る方法、また特開平3 −277756号公報ではスナウト内壁
の温度をコントロールしてアッシュ等の付着を防止する
方法、特開平6−184715号公報ではシンクロール胴体部
上部に遮蔽板を設置し、かつこの遮蔽板とスナウト間に
その上端がスナウト先端よりも高いもう一つの遮蔽板を
設けてシンクロールの流れに沿ってスナウト方向へ移動
してきたドロスを遮る方法等が提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法によっても、浴面の浮遊物の生成がある程度は抑
制されたり除去されたりするものの、それぞれ次のよう
な問題を抱えていた。すなわち、前記特開昭56−146869
号公報、特開昭60−230969号公報および特開平3 −1976
57号公報の技術は、いづれも浴面に振動を与えることに
なるので、浴表面のドロスが浴中に浮遊し鋼板に付着し
やすいという欠点がある。また、特開平3 −277756号公
報の技術は、表面欠陥防止には効果があるものの、めっ
き密着性にばらつきが発生しやすいという欠点がある。
さらに、特開平6−184715号公報の技術では、遮蔽板に
よりシンクロールに沿ってスナウト内に侵入するドロス
を遮るので、遮蔽板をシンクロールに近づける程ドロス
付着防止効果が高いが、遮蔽板がシンクロールに接触す
るとシンクロールの回転を妨げて鋼板に擦り傷が発生す
ることがあるという欠点がある。

【０００７】このように、連続溶融ZnめっきラインのZn
浴面には、Znの蒸気圧が高いために発生するアッシュ、
雰囲気中のO₂によって酸化されたZn酸化物、鋼板からの
Fe溶出によるドロス等が多数浮遊している。特に、Znま
たはAl一Znインゴットの補給はスナウト後方から行う場
合が多いため、スナウト部近傍では局所的に浴温が低下
したり、Al濃度が増加するので、この領域でドロスの析
出が多くなると考えられる。なお、これらの浮遊物はス
ナウト内、立ち上がり部で鋼板に付着したり、巻き込ま
れるが、表面品質を損なうのは比較的大きな浮遊物が付
着した場合である。なお、従来の連続溶融Znめっき技術
では、長時間めっきを操業した場合に、めっき鋼板の幅
方向の両端部が鋼帯長さ方向に伸びる、いわゆる「耳伸
び」を生じるという問題もあった。この現象は、長時間
のめっき操業で、鋼板の板幅が狭幅から広幅になるとき
にみられ、狭幅のときに鋼板に接しないシンクロールの
エッジ付近にドロスが生成し、中央部よりもエッジ側の
ロール径が大きくなるために発生するものであるが、上
述した表面欠陥と同様に有効な解決方法がなかった。

【０００８】そこで、本発明の目的は、従来技術が抱え
ていた上記問題を解決し、表面品質に優れ、耳伸びが少
ない溶融金属めっき鋼板を得るための、作業性のよい、
連続溶融金属めっき方法および連続溶融金属めっき装置
を提供することにある。また、本発明の他の目的は、浮
遊物が多く、鋼板への付着ドロスが多いと推定されるス
ナウト内における大きな浮遊物の付着を効果的に防止し
て、表面品質に優れ、耳伸びが少なく、しかも作業性の
よい、鋼板の連続溶融金属めっき方法および連続溶融金
属めっき装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、還元性雰囲気
中で焼鈍した鋼板を、スナウトを経て溶融金属めっき浴
内に導入し、シンクロールで垂直上方向に方向転換し、
浴外に引き出すことにより溶融金属めっきするに当た
り、鋼板のめっき浴への導入部と引出し部の間のめっき
浴の上部において、前記導入部から引出し部に向かう強
制流を生じさせながらめっきすることを特徴とする鋼板
の連続溶融金属めっき方法であり、また本発明は、還元
性雰囲気中で焼鈍した鋼板を、スナウトを経て溶融金属
めっき浴内に導き、シンクロールで垂直上方向に方向転
換し、浴外に引き出す機構を具える溶融金属めっき装置
において、前記シンクロールの上部に、該シンクロール
に平行な軸を有し、シンクロールに随伴して回転可能な
浴流変更ロールを、隣接して設けたことを特徴とする鋼
板の連続溶融金属めっき装置であり、さらに、本発明
は、前記浴流変更ロールが、この周面に、シンクロール
表面の溝に交差する方向の溝を有することを特徴とする
連続溶融金属めっき装置である。

【００１０】

【発明の実施の形態】発明者らは、図２に示す連続溶融
金属めっきラインにおいて、Alを0.1 〜0.2mass％含有
する溶融亜鉛浴で鋼板にめっきを行い、めっき浴中の酸
化物及びドロスの鋼板への付着挙動について調査し、以
下の知見を得た。 (1)溶融亜鉛浴より比重の小さい酸化物系ドロスとFe−A
l系ドロスは浴上部に、溶融亜鉛浴より比重の大きいZn
−Fe系ドロスは浴下部に存在する。（2)スナウト内めっき浴上部には比較的大きな酸化物系
ドロスとFe一Al系ドロスが存在する。（3)めっき鋼板の表面欠陥の多くは、酸化物系ドロスと
Fe一Al系ドロスの付着によって起こる。この知見は、鋼
板に付着したドロスをＥＰＭＡ（Ｘ線マイクロアナライ
ザー）で分析したところ、Fe−Al系ドロスと酸化物系ド
ロス（ZnＯ）が検出され、またZn−Fe系ドロスが付着し
ている場合もその中心部にFe−Al系ドロスが検出された
ことによる。また、水モデル実験で浴の流動挙動、及び
ドロスの浮遊挙動を調査し、以下の知見を得た。（4)鋼板の動き及びシンクロールの回転に沿ってめっき
浴は流動する。（5)シンクロールの随伴流によりドロスはスナウト内に
侵入する。

【００１１】以上の知見から、発明者らは、シンクロー
ルの随伴流によりスナウト内に侵入する酸化物系ドロス
とFe−Al系ドロスを減少させることにより、表面欠陥を
減少させることができると考えた。具体的には、本発明
において、シンクロールと回転軸が平行なロール（以
下、「浴流変更ロール」と称す。）を設置してめっきす
ることにより、シンクロールに沿ってスナウト内に侵入
するドロスを遮ることが可能になり、スナウト内での鋼
板へのドロス付着を防止できる。この浴流変更ロール
は、シンクロールの回転とは逆の方向に回転するように
する。ここで、浴流変更ロールの回転には、直接駆動す
る方法、シンクロールに接して配置することにより間接
駆動する方法のいずれも適用できる。そしてこの、浴流
変更ロールは、シンクロールの随伴流により持ち来され
るドロスをこのロールにより直接的に遮る作用のほか、
シンクロールの随伴流とは反対方向に流れるこのロール
による随伴流、言い換えれば、めっき浴上部で鋼帯の導
入部から引出し部に向かう強制流（図１のｆ）を生じさ
せるという作用をもたらす。シンクロール上部に浴流変
更ロールを接触させてめっきすれば、上記の作用をとお
して、スナウトへのドロスの侵入を効果的に抑制でき
る。そして、シンクロールへのドロスの付着を防止し、
耳伸び、面荒れを防止する効果も期待できる。また、遮
蔽板をシンクロールに接触させたときに懸念された、シ
ンクロールの回転の妨げや鋼板の擦り傷を回避できるの
である。ここに、「面荒れ」は、シンクロール表面にド
ロスが付着することで生じた、シンクロール面の荒れ
（凸）が鋼板に転写された凹み疵であり、「耳伸び」
は、前述したように、シンクロールの両端付近が付着し
たドロスによりロール径が増し、鋼板幅端で多めに圧延
されるために生じた形状不良をいう。

【００１２】上述した浴流変更ロールの効果を得るため
には、このロールの軸がシンクロールの軸と平行で、シ
ンクロールの上部と接していることが好ましい。また、
浴流変更ロールの幅は、シンクロールの全幅に対応して
あることが好ましい。ここに上部とは、鋼板立ち上がり
側にもっとも近いスナウト延長線と、シンクロールの真
上までの範囲が望ましい。

【００１３】また、本発明では、この浴流変更ロールの
周面には、鋼板のスリップ防止のために、シンクロール
周面に設けてある溝に交差する（平行でない）方向に、
溝を具えることにより、一層効果的に目的が達成でき
る。浴流変更ロールの周面に溝を設けて、シンクロール
および浴流変更ロールの表面に生成するドロスの成長を
抑制したり、ドロスが成長する前に削り落とすようにす
れば、シンクロールにドロスが付着するために生じる鋼
板表面の面荒れや鋼板の板幅を広くする時に生じる耳伸
びをより効果的に抑制でき、さらにシンクロール表面に
付着したドロスを削り落とすための手入れの頻度を減じ
ることもできる。

【００１４】

【実施例】図２に示す連続溶融亜鉛めっきライン（シン
クロールの溝は円周方向）において、図１に示すよう
に、シンクロールの真上で接して、浴流変更ロールを具
えた本発明に従う場合と、浴流変更ロールを使用しない
場合とについて、Nb−Ti系極低炭素鋼板に付着量60 g/m
² の溶融亜鉛めっきを施した。このとき、めっき浴中の
Al濃度を0.16mass％、めっき浴温度を 470℃、ラインス
ピードを1.7 m/s とし、鋼板の板幅を1000mm〜1500mmの
範囲で変化させた。得られためっき鋼板表面のドロスに
よる表面欠陥の発生程度、めっきされた鋼板表面の面荒
れおよび鋼板の耳伸びの程度を調査した。ここで、表面
の面荒れおよび耳伸びは、いずれも ◎：20日間発生なし、 ○：10日間発生なし、 ×：５日間以内に発生で評価した。表１に、めっき条件とめっき鋼板表面欠陥
の発生状況を示す。

【００１５】

【表１】

【００１６】従来技術により製造した比較例の溶融亜鉛
めっき鋼板には、ドロスによる表面欠陥が多数みられ
た。また、従来技術により製造しためっき鋼板には、ラ
イン運転開始から５日間経過する前に、鋼板表面の面荒
れ、耳伸びが発生した。これに対し、本発明に従って、
浴流変更ロールを設置してめっきした溶融亜鉛めっき鋼
板では、酸化物、ドロス等による表面欠陥を抑制するこ
とができた。また、本発明によって、鋼板表面の面荒
れ、耳伸びを抑制することができた。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では、シン
クロールの上部にが平行でかつシンクロール上部に浴流
変更ロールを隣接して設けることにより、ドロスのスナ
ウトへの侵入を防止し、鋼板へのドロス付着を防止でき
るという著しい効果を得ることが可能となる。また、本
発明では、この浴流変更ロールの周面にシンクロールの
溝と交差する溝を設けることにより、シンクロールへの
ドロスの付着を抑制することができ、鋼板表面の面荒れ
や鋼板の板幅を広くする時に生じる耳伸びを防止でき、
さらにシンクロール表面に付着したドロスを削り落とす
ための手入れの頻度を減じることができる。したがっ
て、本発明によれば、製品品質、作業性の著しい向上が
可能となり、生産性の向にも大きく寄与する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の要部を示す断面図である。

【図２】従来の連続溶融金属めっきラインを示す断面図
である。

【符号の鋭明】

１鋼帯２無酸化炉３焼鈍炉４スナウト５ Znポット 5a スナウト内の浴面 5b 鋼板立ち上がり部の浴面６シンクロール７ガスワイパー８巻き取りリール９浴流変更ロールｆ浴上部における浴流

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】還元性雰囲気中で焼鈍した鋼板を、スナ
ウトを経て溶融金属めっき浴内に導入し、シンクロール
で垂直上方向に方向転換し、浴外に引き出すことにより
溶融金属めっきするに当たり、鋼板のめっき浴への導入
部と引出し部の間のめっき浴の上部において、前記導入
部から引出し部に向かう強制流を生じさせながらめっき
することを特徴とする鋼板の連続溶融金属めっき方法。
【請求項２】還元性雰囲気中で焼鈍した鋼板を、スナ
ウトを経て溶融金属めっき浴内に導き、シンクロールで
垂直上方向に方向転換し、浴外に引き出す機構を具える
溶融金属めっき装置において、前記シンクロールの上部
に、該シンクロールに平行な軸を有し、シンクロールに
随伴して回転可能な浴流変更ロールを、隣接して設けた
ことを特徴とする鋼板の連続溶融金属めっき装置。
【請求項３】前記浴流変更ロールは、この周面に、シ
ンクロール表面の溝に交差する方向の溝を有することを
特徴とする請求項２記載の鋼板の連続溶融金属めっき装
置。