JPH10265356A - 紫外線吸収性皮膜剤及びこれを含有する化粧料 - Google Patents

紫外線吸収性皮膜剤及びこれを含有する化粧料

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JPH10265356A
JPH10265356A JP8765997A JP8765997A JPH10265356A JP H10265356 A JPH10265356 A JP H10265356A JP 8765997 A JP8765997 A JP 8765997A JP 8765997 A JP8765997 A JP 8765997A JP H10265356 A JPH10265356 A JP H10265356A
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JP
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carbon atoms
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sio
ultraviolet
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JP8765997A
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Kenichi Umishio
健一 海塩
Kazuhisa Ono
和久 大野
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Shiseido Co Ltd
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Shiseido Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた紫外線吸収性を有する上に、皮膜形成
性に優れ、化粧料等に配合した場合、皮膚への密着性・
化粧持ちに優れ、良好な使用感を与えるケイ皮酸骨格又
はジベンゾイルメタン骨格を有する紫外線吸収性皮膜
剤、及びこれを配合した化粧料を提供すること。 【構成】 R1 3SiO1/2 単位及びSiO2 単位を少な
くとも1個もつシロキサン類であって、R2 SiO3/2
単位及びR3 2SiO単位の存在量が各々全体の0〜20モ
ル%であり、有機基R1 ,2 及びR3 全量の1〜50モ
ル%が特定の置換基から選択され、残部が炭素数1〜18
の1価の飽和もしくは不飽和有機基であることを特徴と
するケイ皮酸骨格又はジベンゾイルメタン骨格を有する
紫外線吸収性皮膜剤及びこれを含有する化粧料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線吸収性皮膜
剤及びこれを含有する化粧料に関する。さらに、詳しく
は、優れた紫外線吸収性を有する上に、皮膜形成性に優
れ、化粧料等に配合した場合、良好な使用感を与え、又
良好な皮膚への密着性・化粧持ちを与えるケイ皮酸骨格
又はジベンゾイルメタン骨格を有する紫外線吸収性皮膜
剤及びこの皮膜剤を含有する化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、化粧品の分野では、ジベンゾ
イルメタン骨格を有する紫外線吸収剤が実用化されてい
る。しかし、これらの紫外線吸収剤は、処方によっては
化粧品用原料に対する溶解性が必ずしも十分でない場合
があり、効果を十分に発揮できる量の紫外線吸収剤を配
合することが困難となる場合があった。また、同じく実
用化されているケイ皮酸骨格を有する紫外線吸収剤も、
特に近年汎用されているシリコーン油に対する溶解性の
点が必ずしも十分でない場合があり、溶解性を改善する
ために様々な検討がなされており、例えば、当出願人に
おいても、特開平2-167291号公報等で示すように、ケイ
皮酸骨格にシリコーンを結合させた化合物を開発してい
る。
【0003】一方、近年、紫外線吸収剤の効果を高める
ために、紫外線吸収剤を配合した化粧品に皮膜剤として
シリコーン樹脂を配合して、皮膚上に皮膜を形成し、紫
外線吸収効果の持続性を高めている。
【0004】また、プラスチック添加剤の分野では、ベ
ンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格を有する紫
外線吸収剤に関して、例えば、特公昭52-50074号、特開
昭57-21391号、同61-111360 号、特開平1-64485 号等で
基質への分散性、溶解性を改良する検討または安定した
皮膜形成性を実現するための検討がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、化粧品
の分野においては、紫外線吸収効果に優れ化粧品原料と
して汎用されているケイ皮酸骨格又はジベンゾイルメタ
ン骨格を有し、それ自身が皮膜形成性を有するために紫
外線吸収効果の持続性及び皮膚に対する密着性・化粧持
ちに優れるという観点からの紫外線吸収性皮膜剤の検討
はなされていない。
【0006】そのため、皮膚上に皮膜を形成することで
長時間紫外線吸収効果を持続でき、皮膚に対する密着性
が良く化粧持ちに優れ、使用感が良好で、製品に十分量
配合できる溶解性の優れた紫外線吸収性皮膜剤の開発が
望まれていた。
【0007】本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意研究し
た結果、特定構造をもつケイ皮酸骨格又はジベンゾイル
メタン骨格を有する紫外線吸収性皮膜剤が、優れた紫外
線吸収性及び皮膜形成性を有すると共に、シリコーン油
などの化粧品基剤に対する溶解性が高く、紫外線吸収効
果の持続性に優れ、化粧料等に配合した場合良好な使用
感を与え、皮膚に対する密着性が良く化粧持ちに優れる
ことを発見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、R
1 3SiO1/2 単位及びSiO2 単位を少なくとも1個も
つシロキサン類であって、R2 SiO3/2 単位及びR3 2
SiO単位の存在量が各々全体の0〜20モル%であり、
有機基R1、R2 及びR3 全量の1〜70モル%が下記一
般式(1)〜(3) で示される基から選択され、残部が炭素
数1〜18の1価の飽和もしくは不飽和有機基であること
を特徴とするケイ皮酸骨格又はジベンゾイルメタン骨格
を有する紫外線吸収性皮膜剤を提供するものである。
【化2】 [但し、Xはアルコキシ基、R4 は少なくとも2個の炭
素原子を有する2価の炭化水素基(酸素原子を有するも
のを含む)、R5 は水素原子又は炭素数1〜5の1価の
飽和炭化水素基、R6 は炭素数1〜18の1価の飽和又は
不飽和有機基、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボキ
シル基、ヒドロキシ基又はアミノ基、R7は水素原子又
は炭素数1〜10の1価の飽和又は不飽和炭化水素基であ
り、aは0〜3の整数、bは0〜4の整数、cは0〜3
の整数である。また、一般式(3)において、CR5 2−C
HR5 −CR5 2− と、OR7 は、ベンゼン環に関し互
にオルトの位置関係にある。]
【0009】また、本発明は、上記の紫外線吸収性皮膜
剤を含有することを特徴とする化粧料を提供するもので
ある。
【0010】以下、本発明につき更に詳述する。本発明
の紫外線吸収性皮膜剤は、R1 3SiO1/2 単位及びSi
2 単位を必須構成単位とし、更に必要によりR2 Si
3/2 単位及びR3 2SiO単位を各々全体の0〜20モル
%まで含むものである。
【0011】上記のシロキサン単位のうち、R2 SiO
3/2 単位及びR3 2SiO単位は各々全体の0〜20モル
%、好ましくは0〜10モル%含有し、20モル%より多い
と化粧品油分または有機溶媒への溶解性が乏しくなり、
製品への配合が困難になったり、べたつきが大きくなる
場合がある。
【0012】また、上記シロキサン単位は、そのモル比
が、好ましくは、 (R1 3SiO1/2 +R2 SiO3/2 +R3 2SiO)/S
iO2 = 0.5〜1.5 (モル比)、さらに好ましくは 、0.6〜1.3 の割合で存
在することが必要である。 このモル比率が 0.5より小
さいと皮膜が硬くなりすぎてヒビ割れが起こり、均一な
皮膜が得られず皮膚への密着性の点で問題を生じ、1.5
より大きいとべたつきが大きくなる場合がある。
【0013】さらに、上記のシロキサン単位R1 3SiO
1/2 、R2 SiO3/2 、R3 2SiOにおいて、全有機基
1 、R2 、R3 中、1〜70モル%、好ましくは1〜40
モル%が前記一般式(1)〜(3)で示される少なくとも1つ
の基を含有するもので、これが1モル%未満であると有
効な紫外線吸収効果が得られず、70モル%を越えると化
粧品油分または有機溶媒への十分な溶解性、分散性、ま
たは皮膚への密着性が乏しくなる場合がある。
【0014】一般式(1)〜(3)において、Xはアルコキシ
基、R4 は少なくとも2個の炭素原子を有する2価の炭
化水素基(酸素原子を有するものを含む)、R5 は水素
原子又は炭素数1〜5の1価の飽和炭化水素基、R6
炭素数1〜18の1価の飽和又は不飽和有機基、ハロゲン
原子、アルコキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基又
はアミノ基、R7 は水素原子又は炭素数1〜10の1価の
飽和又は不飽和炭化水素基であり、aは0〜3の整数、
bは0〜4の整数、cは0〜3の整数である。また、一
般式(3)において、CR5 2−CHR5 −CR5 2− と、
OR7 は、ベンゼン環に関し互にオルトの位置関係にな
ければならない。
【0015】Xの具体例としては、メトキシ、エトキ
シ、イソプロポキシ基等が挙げられるが、特にメトキシ
基が好ましく、R4の具体例としては、−CH2CH
2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3CH2
−、−C(C26)CH2CH2−、−CH2CH2CH
(CH3)−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH
2 CH(CH3)CH2−、−CH2CH2OCH2CH
2−、ヘキシレン、シクロヘキシレン、デシレン基等が
挙げられるが、炭素数2〜5のアルキレン基が好まし
い。R5 の具体例としては、互いに同一又は異種の水素
原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル、t−ブチル基等が挙げられ、R6 の具
体例としては、後述するR1 〜R3 と同一の基のほか、
例えば、互いに同一又は異種の塩素原子、臭素原子、フ
ッ素原子、メトキシ、エトキシ、カルボキシ、ヒドロキ
シ、アミノ基等が挙げられ、R7 の具体例としては、水
素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブ
チル、イソブチル、t−ブチルペンチル、ヘキシル、ヘ
プチル、オクチル、ノニル、デシル基等の脂肪族炭化水
素基、シクロペンチル、シクロヘキシル基等の飽和脂環
式炭化水素基、フェニル、トリル基等の芳香族炭化水素
基などが挙げられるが、好ましくは水素原子又は炭素数
1〜4の基が好ましい。aは0〜3の整数であるが、1
〜3が好ましく、さらに好ましくは2、3である。
【0016】また、R1 、R2 及びR3 で示される有機
基の残部は、互いに同一又は異種の炭素数1〜18の1価
の飽和又は不飽和有機基であり、例えばメチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t
−ブチルペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノ
ニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシ
ル、オクタデシル基等の脂肪族炭化水素基、シクロペン
チル、シクロヘキシル基等の飽和脂環式炭化水素基、フ
ェニル、トリル基等の芳香族炭化水素基などが挙げられ
るが、特にR1 、R2 及びR3 で示される有機基の残部
全体の50モル%以上がメチル基であることが好ましく、
さらに好ましくは有機基の残部全てがメチル基である。
【0017】本発明の上記ケイ皮酸骨格又はジベンゾイ
ルメタン骨格を有する紫外線吸収性被膜剤は、下記一般
式(4)で示される紫外線吸収性を有するケイ皮酸骨格を
持つ化合物、又は、下記一般式(5) 及び(6)で示される
化合物から誘導されるジベンゾイルメタン骨格を持つ化
合物を使用し、これらの化合物を加水分解性のハロゲン
原子又はアルコキシ基を有するヒドロシラン化合物と付
加反応させた後、更に加水分解性のクロロシラン類、ク
ロロポリシロキサン類、アルコキシシラン類、アルコキ
シポリシロキサン類、アルコキシポリシリケート類又は
非加水分解性のオルガノポリシロキサン類と加水分解反
応又は重縮合させることにより得ることが出来る。
【化3】 [但し、Xはアルコキシ基、R6は炭素数1〜18の1
価の飽和又は不飽和有機基、ハロゲン原子、アルコキシ
基、カルボキシル基、ヒドロキシ基又はアミノ基であ
り、aは0〜3の整数、bは0〜4の整数、cは0〜3
の整数である。]
【0018】すなわち、出発原料として上記一般式
(4)、又は、(5)及び(6)で示される化合物を使用し、下
記のように合成できる。まず、 出発原料を(4)とした場
合では、カルボキシル基を常法に従い不飽和アルコール
と反応させてケイ皮酸エステル誘導体とする。また、出
発原料を(5)及び(6)とした場合は、(5) のフェノール部
分をアリルエーテル誘導体にするか又はこのアリルエー
テル誘導体を熱転位反応によりアリル誘導体とし、これ
を(6) と反応させてジベンゾイルメタン誘導体とする。
続いて、このケイ皮酸エステル誘導体又はジベンゾイル
メタン誘導体のいずれかを加水分解性のハロゲン原子又
はアルコキシ基を有するヒドロシラン化合物と付加反応
させた後、更に加水分解性のクロロシラン類、クロロポ
リシロキサン類、アルコキシシラン類、アルコキシポリ
シロキサン類、アルコキシポリシリケート類又は非加水
分解性のオルガノポリシロキサン類と加水分解反応又は
重縮合反応させることにより、本発明の紫外線吸収性皮
膜剤を得ることができる。
【0019】出発原料として使用する一般式 (4)の具体
的化合物としては、例えば、2-メトキシケイ皮酸、3-メ
トキシケイ皮酸、4-メトキシケイ皮酸、3,4-ジメトキシ
ケイ皮酸、3,4,5-トリメトキシケイ皮酸、2,3-ジメトキ
シケイ皮酸、2,4-ジメトキシケイ皮酸、2,4,5-トリメト
キシケイ皮酸、2,5-ジメトキシケイ皮酸などが使用出来
る。
【0020】また、一般式(4)との反応に使用する不飽
和アルコール具体的化合物としては、アリルアルコー
ル、3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、3-オキ
サ-5-ヘキサン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オー
ル、3-ブテン-2-オール、1-ペンテン-3-オール、3-メチ
ル-1-ペンテン-3-オール、4-ペンテン-2-オール、2-メ
チル-3-ブテン-1-オール、2-メチル-2-プロペン-1-オー
ル、3-メチル-3-ブテン-1-オールなどが使用出来る。
【0021】一般式(5)具体的化合物としては、オルト
ヒドロキシアセトフェノン、メタヒドロキシアセトフェ
ノン、パラヒドロキシアセトフェノン、2'-ヒドロキシ-
4'-メトキシアセトフェノン、2'-ヒドロキシ-5'-メトキ
シアセトフェノン、2'-ヒドロキシ-6'-メトキシアセト
フェノン、4'-ヒドロキシ-3'-メトキシアセトフェノ
ン、4'-ヒドロキシ-3',5'-ジメトキシアセトフェノン、
2'-ヒドロキシ-5'-メチルアセトフェノン、4'-ヒドロキ
シ-2'-メチルアセトフェノン、4'-ヒドロキシ-3'-メチ
ルアセトフェノン、2'-ヒドロキシ-4',5'-ジメチルアセ
トフェノンなどが使用出来る。
【0022】一般式(6)の具体的化合物としては、4-ブ
チルベンゾイルクロリド、4-tert-ブチルベンゾイルク
ロリド、4-メトキシベンゾイルクロリド、4-エチルベン
ゾイルクロリド、4-プロピルベンゾイルクロリド、4-ペ
ンチルベンゾイルクロリドなどが使用出来る。
【0023】上記一般式 (4)の化合物の場合は、例えば
酸触媒存在下、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族系有機溶媒中で先に例示したオレフィン性不飽和アル
コールと直接反応させるか、あるいは、(4)を常法によ
り酸クロリドとした後、塩基存在下、例えばベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒中で先に例示
したオレフィン性不飽和アルコールと反応させることに
より、下記一般式(7)で示されるケイ皮酸エステル誘導
体とすることができる。
【化4】 [但し、Xはアルコキシ基、R8 は少なくとも2個の炭
素原子を有し、かつオレフィン性不飽和結合を有する1
価の炭化水素基(酸素原子を有するものを含む)、aは
0〜3の整数である。]
【0024】なお、この場合、 一般式(4)の化合物又は
その酸クロリドとオレフィン性不飽和アルコールとはモ
ル比で1:1〜1:3、特に1:1〜1:2の割合で混
合し、50〜100 ℃、一般式(4) の化合物を直接反応させ
る前者の場合には特に還流温度で、1〜5時間反応させ
ることが好ましい。
【0025】上記一般式(5)の化合物の場合は以下の様
に反応させる。まず、例えば一般式CR5 2=C(R5
−CR5 2−Y(Yは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子
を示す。)で示されるハロゲン化アリル化合物と塩基性
条件下で反応させることにより、そのフェノール部分を
下記一般式(8) で示されるアリルエーテル誘導体とする
ことができる。
【化5】 [但し、R5は水素原子又は炭素数1〜5の1価の飽和
炭化水素基、R6は炭素数1〜18の1価の飽和又は不
飽和有機基、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボキシ
ル基、ヒドロキシ基又はアミノ基であり、cは0〜3の
整数である。]
【0026】なお、この場合 一般式(5)の化合物とハロ
ゲン化アリル化合物とはモル比で1:1〜1:5、特に
1:1〜1:2の割合で混合し、50〜100 ℃で1〜20時
間反応させることが好ましい。
【0027】また、一般式(8)のアリルエーテル誘導体
は、熱による転位反応を行い、あるいは更にフェノール
性水酸基を常法に従いエーテル化を行うことにより、下
記一般式(9)で示されるアリル化誘導体とすることがで
きる。
【化6】 [但し、R5 は水素原子又は炭素数1〜5の1価の飽和
炭化水素基、R6 は炭素数1〜18の1価の飽和又は不
飽和有機基、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボキシ
ル基、ヒドロキシ基又はアミノ基、R7 は水素原子又は
炭素数1〜10の1価の飽和又は不飽和炭化水素基であ
る。また、CR5 2−CR5 =CR5 2と、OR7 は、ベン
ゼン環に関し互にオルトの位置関係にある。]
【0028】ここで、転位反応条件は特に限定されない
が、 150〜300 ℃で1〜5時間行うことが望ましい。
【0029】続いて、一般式(8)又は(9)で示される誘導
体と一般式(6)で示される安息香酸誘導体の酸クロリド
を塩基性条件下で反応させることにより、以下の一般式
(10)又は(11)で示されるジベンゾイルメタンのアリルエ
ーテル誘導体又はアリル化誘導体とする。
【化7】 [但し、R5 は水素原子又は炭素数1〜5の1価の飽和
炭化水素基、R6 は炭素数1〜18の1価の飽和又は不
飽和有機基、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボキシ
ル基、ヒドロキシ基又はアミノ基、R7 は水素原子又は
炭素数1〜10の1価の飽和又は不飽和炭化水素基であ
り、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数である。ま
た、一般式(11)において、CR5 2−CR5 =CR5 2
と、OR7は、ベンゼン環に関し互にオルトの位置関係
にある。]
【0030】次に、上記ケイ皮酸エステル誘導体(一般
式(7))、ジベンゾイルメタンのアリルエーテル誘導体
又はアリル化誘導体(一般式(8) 又は(9))は、加水分
解性のハロゲン原子又はアルコキシ基を有するヒドロシ
ラン化合物とモル比で好ましくは1:1〜1:2の割合
で混合して付加反応させる。この場合、ヒドロシラン化
合物としては下記一般式: HSiR1 n ( OR13-n (但し、R1は前記と同じ
であり、nは0、1又は2である。) で示されるもの、具体的にはトリメトキシシラン、トリ
エトキシシラン、トリプロポキシシラン、メチルジメト
キシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジプロポ
キシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエトキ
シシラン、エチルジプロポキシシラン、ジメチルメトキ
シシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルプロポキ
シシラン、ジエチルメトキシシラン、ジエチルエトキシ
シラン、ジエチルプロポキシシラン、フェニルジメトキ
シシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルジプロ
ポキシシラン、ジフェルメトキシシラン、ジフェニルエ
トキシシラン、ジフェニルプロポキシシラン等のアルコ
キシシラン類、及び下記一般式: HSiR1 n3-n (但し、R1及びXは前記と同じで
あり、nは0、1又は2である。) で示されるもの、具体的にはトリクロロシラン、メチル
ジクロロシラン、エチルジクロロシラン、ジメチルクロ
ロシラン、ジエチルクロロシラン、フェニルジクロロシ
ラン、ジフェニルクロロシラン等のクロロシラン類など
が使用される。
【0031】又、上記反応では付加反応触媒として白金
化合物又はパラジウム化合物を触媒量添加することが好
ましく、触媒としては具体的には、塩化白金酸、ロジウ
ム錯体、パラジウム錯体等が例示される。
【0032】なお、上記ヒドロシラン化合物との付加反
応を行う前にアリルエーテル誘導体及びアリル誘導体の
分子中に存在するフェノール部分を通常のシリル化剤、
例えばヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメ
チルシリル)アセトアミド等と反応させて有機ケイ素基
で保護しておいてもよい。
【0033】このようにして得られた付加反応生成物
と、加水分解性のクロロシラン類、クロロポリシラン
類、アルコキシシラン類、アルコキシポリシロキサン
類、アルコキシポリシリケート類や非加水分解性のオル
ガノポリシロキサン類等とを、公知の方法により、例え
ば、先の付加反応生成物と加水分解性のクロロシラン
類、クロロポリシラン類、アルコキシシラン類、アルコ
キシポリシロキサン類、アルコキシポリシリケート類や
非加水分解性のオルガノポリシロキサン類等と有機溶
剤、酸等を仕込み、これに水を添加して室温又は加熱条
件下で加水分解反応又は重縮合反応させるか、水及び有
機溶剤、酸を仕込み、これに先の付加反応生成物と加水
分解性のクロロシラン類、クロロポリシラン類、アルコ
キシシラン類、アルコキシポリシロキサン類、アルコキ
シポリシリケート類や非加水分解性のオルガノポリシロ
キサン類等の混合溶液を添加して、又は重縮合させるこ
とにより、本発明の紫外線吸収性皮膜剤を得ることがで
きる。また、本発明の紫外線吸収性皮膜剤は、上記方法
以外に、先に述べたケイ皮酸エステル誘導体、ジベンゾ
イルメタンアリルエーテル誘導体又はアリル化誘導体と
Si−H結合を有するレジン状化合物とをヒドロシリル
化することによっても得ることができる。
【0034】本発明の紫外線吸収性皮膜剤は、化粧品原
料として、通常化粧料に用いられる他の成分、例えば、
粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級
脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン、ア
ニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性
剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子化合
物、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖
剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、アミノ酸
類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、pH調製剤、
皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、
香料、水等と配合し、常法により、紫外線吸収効果を有
する皮膚化粧料、毛髪化粧料、メークアップ化粧料など
の化粧料を製造することが可能である。
【0035】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明について具体的
に説明する。なお、本発明は、これに限定されるもので
はない。
【0036】「実施例1:紫外線吸収性皮膜剤」3,
4,5−トリメトキシケイ皮酸47.6gを常法に従いトル
エン溶媒中で塩化チオニルにより塩素化して得られた酸
クロリドをトルエンに溶解し、3−メチル−3−ブテン
−1−オール17.2g、ピリジン及びトルエンの混合液を
徐々に滴下した後、50〜60℃で1時間撹拌した。沈殿物
をろ過し、トルエン層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで
一晩脱水した。溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマ
トグラフィーで精製して3,4,5−トリメトキシケイ
皮酸エステルを得た。このケイ皮酸エステル誘導体24.5
gのトルエン溶液を80℃に加温した後、塩化白金酸を触
媒として加え、トリメトキシシラン12gを徐々に添加し
た後4時間還流し、溶媒を除去した後、蒸留してシリコ
ーン誘導体を得た。このシリコーン誘導体12.0g、メト
キシシランオリゴマー28.8g、ヘキサメチルジシロキサ
ン16.3g及びメタンスルホン酸 0.8gを仕込み、これに
水を徐々に添加した。添加終了後64〜68℃に温度を維持
して5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、トルエ
ンを加え、水洗し、溶媒を除去して紫外線吸収性皮膜剤
を得た。
【0037】得られた紫外線吸収性皮膜剤は、10ppm ク
ロロホルム溶液の紫外部吸収スペクトルで 306nmに極大
吸収を示した。また、この化合物はオクタメチルシクロ
テトラシロキサンに可溶であり、この溶液からオクタメ
チルシクロテトラシロキサンを除去すると、べたつき、
ヒビ割れのない均一な皮膜が得られた。
【0038】「実施例2:紫外線吸収性皮膜剤」パラヒ
ドロキシアセトフェノン27.3gに、ジメチルホルムアミ
ド溶媒中炭酸カリウム存在下、60〜70℃に加熱して臭化
アリル30.0gを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に
添加し、4時間還流することにより生成した塩をろ過
し、水洗した。溶媒を除去し、蒸留してアリル化誘導体
を得た。このアリル化誘導体26.4gに、アセトン溶媒中
炭酸カリウム存在下、ヨウ化メチル17.1gを添加して6
時間還流した。生成した塩をろ過し、溶媒を除去し、残
留物を蒸留してメチル化したアリル化誘導体を得た。上
記アリル化誘導体19.1gのトルエン溶液にナトリウムメ
トキシドの28%重量メタノール溶液19.3gを徐々に滴下
し、続いて4−tert−ブチルベンゾイルクロリド19.7g
を含むトルエン溶液を添加した。添加終了後60〜70℃に
3時間加熱し、水洗後溶媒を除去した。再結晶により精
製し、得られたジベンゾイルメタン誘導体のうち20.0g
とトルエンを仕込み、内温を80℃とした後、塩化白金酸
を触媒として加え、トリメトキシシラン 9gを徐々に添
加した。添加終了後、4時間還流し、溶媒を除去し、シ
リコーン誘導体を得た。更に、このシリコーン誘導体2
3.6g、メトキシシランオリゴマー52.9g、ヘキサメチ
ルジシロキサン30.0g及びメタンスルホン酸 1.6gを仕
込み、水を徐々に添加し後、内温を64〜68℃に維持して
更に5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、トルエ
ンを加え、水洗し、溶媒を除去し、紫外線吸収性皮膜剤
を得た。
【0039】得られた紫外線吸収性皮膜剤の10ppm クロ
ロホルム溶液の紫外部吸収スペクトルでは 356nmに極大
吸収を示した。この化合物はオクタメチルシクロテトラ
シロキサンに可溶であり、この溶液からオクタメチルシ
クロテトラシロキサンを除去すると、べたつき、ヒビ割
れのない均一な皮膜が得られた。
【0040】次に、上記実施例で得られた紫外線吸収性
皮膜剤を配合した本発明の化粧料の処方例を以下に具体
的に示す。なお、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0041】 「実施例3:油性ファンデーション」 成分(A): 重量% カオリン 20.0 酸化チタン 12.0 セリサイト 8.0 着色顔料 適 量 成分(B): カルナウバワックス 4.0 ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度:50cs) 5.0 実施例1で得られた紫外線吸収性皮膜剤の46%オクタメチル シクロテトラシロキサン溶液 8.0 オクタメチルシクロテトラシロキサン 42.0 ソルビタンセスキオレート 1.0 成分(C): 香料 適 量
【0042】上記成分(B)を70℃で撹拌し、溶解して
均一化した後、成分(A)を加えて撹拌分散し、冷却し
た。得られた混合物を三本ロールミルで三回混練し、更
に成分(C)を加えて油性ファンデーションを得た。得
られた油性ファンデーションは、紫外線吸収性に優れる
とともに、伸展性に富み、皮膚への密着性が良く、さっ
ぱりとした使用感を持つものであった。
【0043】 「実施例4:固形ファンデーション」 成分(A): 重量% 酸化チタン 20.0 マイカ 36.0 セリサイト 10.0 タルク 10.0 着色顔料 適 量 成分(B): ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度:50cs) 12.5 実施例2で得られた紫外線吸収性皮膜剤の42%オクタメチル シクロテトラシロキサン溶液 10.0 親油性モノオレイン酸グリセリル 1.5 パラオキシ安息香酸メチル 適 量 香料 適 量
【0044】上記成分(A)を二本ロールミルで粉砕し
た後、更に均一溶解した成分(B)を添加して撹拌混合
した。得られた混合物を三本ロールミルを用いて三回混
練し、固形ファンデーションを得た。得られた固形ファ
ンデーションは、紫外線吸収性に優れるとともに、皮膚
に対する密着性が良く化粧持ちに優れ、さっぱりとした
使用感を持つものであった。
【0045】 「実施例5:日焼け止めクリーム」 成分(A): 重量% オクタメチルシクロテトラシロキサン 40.0 実施例1で得られた紫外線吸収性皮膜剤の46%オクタメチル シクロテトラシロキサン溶液 20.0 トリメチルシロキシポリシリケート 25.0 流動パラフィン 10.0 カルナウバワックス 5.0 成分(B): 香料 適 量
【0046】上記成分(A)を80℃にて撹拌し、均一溶
解させて放冷した後、成分(B)を添加して日焼け止め
クリームを得た。得られた日焼け止めクリームは、紫外
線吸収性に優れる上、皮膚に対する密着性に優れ化粧持
ちが良く、良好な使用感を持つものであった。
【0047】 「実施例6:日焼け止めクリーム」 成分(A): 重量% オクタメチルシクロテトラシロキサン 40.0 実施例2で得られた紫外線吸収性皮膜剤の42%オクタメチル シクロテトラシロキサン溶液 20.0 トリメチルシロキシポリシリケート 25.0 流動パラフィン 10.0 カルナウバワックス 5.0 成分(B): 香料 適 量
【0048】上記成分(A)を80℃にて撹拌し、均一溶
解させて放冷した後、成分(B)を添加して日焼け止め
クリームを得た。得られた日焼け止めクリームは、紫外
線吸収性に優れる上、皮膚への密着性に優れ化粧持ちが
良く、良好な使用感を持つものであった。
【0049】 「実施例7:日焼け止め乳液」 成分(A): 重量% デカメチルシクロペンタシロキサン 7.0 実施例2で得られた紫外線吸収性皮膜剤の42%オクタメチル シクロテトラシロキサン溶液 3.0 ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度:350cs ) 2.0 ステアリン酸 2.0 自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 1.0 セタノール 1.0 成分(B): 精製水 72.5 トリエタノールアミン 1.0 プロピレングリコール 3.0 酸化チタン 5.0 ベントナイト 0.5 パラオキシ安息香酸メチル 適 量 成分(C): 香料 適 量
【0050】上記成分(A)を80℃にて撹拌溶解した
後、更に、成分(B)を80℃にて撹拌して得た均一分散
液を撹拌しながら徐々に投入し、放冷した後、成分
(C)を添加混合して日焼け止め乳液を得た。得られた
日焼け止め乳液はさっぱりとした使用感を持つものであ
った。
【0051】 「実施例8:ヘアクリーム」 成分(A): 重量% メチルフェニルポリシロキサン(25℃における粘度:20cs) 17.0 実施例1で得られた紫外線吸収性皮膜剤の46%オクタメチル シクロテトラシロキサン溶液 3.0 椿油 10.0 サラシミツロウ 5.0 自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 3.0 モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 3.0 還元ラノリン 1.5 マイクロクリスタリンワックス 2.0 パラオキシ安息香酸メチル 適 量 成分(B): 精製水 51.0 ホウ砂 0.5 グリセリン 3.0 カルボキシビニルポリマー 0.2 成分(C): 香料 0.8
【0052】上記成分(A)を80℃にて撹拌溶解した
後、更に撹拌しながら、80℃で加熱溶解した成分(B)
を添加混合して60℃に冷却した。得られた溶液に更に成
分(C)を添加混合した後、30℃に冷却してヘアクリー
ムを得た。得られたヘアクリームは、紫外線吸収性に優
れるとともに、さっぱりとした使用感を持つものであっ
た。
【0053】 「実施例9:スティック型口紅」 成分(A): 重量% メチルフェニルポリシロキサン(25℃における粘度:20cs) 46.5 実施例2で得られた紫外線吸収性皮膜剤の42%オクタメチル シクロテトラシロキサン溶液 10.0 還元ラノリン 20.0 カルナウバワックス 4.5 キャンデリラワックス 9.0 セレシンワックス 2.5 サラシミツロウ 1.5 カカオ脂 4.0 ショ糖脂肪酸エステル 2.0 酸化防止剤 適 量 成分(B): アラントイン 適 量 赤色3号アルミニウムレーキ 適 量 成分(C): 香料 0.8
【0054】上記成分(A)を85℃にて撹拌混合した
後、一部を採取し、成分(B)を添加混合して三本ロー
ルミルにて三回混練を行いカラーペーストを得た。成分
(A)の残部に上記カラーペーストを添加混合した後、
ディスパーミキサーにより均一分散し、次いで、成分
(C)を添加した後、型入れを行い、急冷してスティッ
ク型口紅を得た。得られたスティック型口紅は、紫外線
吸収性に優れる上、艶があり、密着性が良く、さっぱり
とした使用感を持つものであった。
【0055】 「実施例10:アイシャドー」 成分(A): 重量% パール剤 10.0 青年群青 5.0 成分(B): ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度:20cs) 28.0 オクタメチルシクロテトラシロキサン 42.0 実施例1で得られた紫外線吸収性皮膜剤の46%オクタメチル シクロテトラシロキサン溶液 5.0 還元ラノリン 5.0 マイクロクリスタリンワックス 5.0 成分(C): 香料 0.8
【0056】上記成分(B)を80℃にて撹拌溶解した
後、撹拌しながら成分(A)を添加分散させた。放冷し
た後、成分(C)を加えて得られた混合物を三本ロール
ミルにて三回混練を行い、クリーム状のアイシャドーを
得た。得られたアイシャドーは、紫外線吸収性に優れる
上、さっぱりとした使用感を持つものであった。
【0057】 「実施例11:マスカラ」 成分(A): 重量% イソパラフィン 20.0 オクタメチルシクロテトラシロキサン 20.0 実施例2で得られた紫外線吸収性皮膜剤の42%オクタメチル シクロテトラシロキサン溶液 7.0 ステアリン酸アルミニウム 1.0 成分(B): ベントナイト 15.0 メチルフェニルポリシロキサン(25℃における粘度:20cs) 7.0 キャンデリラワックス 10.0 水素添加ボリブテン 5.0 パラオキ安息香酸メチル 適 量 成分(C): カオリン 5.0 黒酸化鉄 5.0
【0058】上記成分(A)を80℃で撹拌してゲル状溶
液とした後、更に80℃で撹拌均一分散した成分(B)を
添加して均一分散させ、冷却した後、成分(C)を添加
混合した。更に、三本ロールミルにて三回混練を行い、
マスカラを得た。得られたマスカラは、紫外線吸収性に
優れる上、さっぱりとした使用感を持つものであった。
【0059】 「実施例12:日焼け止め化粧料(油状タイプ)」 重量% オクタメチルシクロテトラシロキサン 30.0 デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0 実施例1で得られた紫外線吸収性皮膜剤 50.0
【0060】上記成分を混合し、十分に溶解した後、濾
過し、日焼け止め化粧料を得た。得られた日焼け止め化
粧料は、紫外線吸収性に優れる上、皮膚に対する密着性
に優れ化粧持ちが良く、のびが軽く良好な使用感を持つ
ものであった。
【0061】「比較例1:日焼け止めクリーム」実施例
5の成分(A)中の「実施例1で得られた紫外線吸収性
皮膜剤の46%オクタメチルシクロテトラシロキサン溶
液」の20.0重量%部分を、オクチルメトキシシンナメー
ト1.97重量%及びオクタメチルシクロテトラシロキサン
18.03 重量%に置換した他は同一の処方及び製法で日焼
け止めクリームを得た。
【0062】「比較例2:日焼け止めクリーム」実施例
6の成分(A)中の「実施例2で得られた紫外線吸収性
皮膜剤の42%オクタメチルシクロテトラシロキサン溶
液」の20.0重量%部分を、4−tert−ブチル−4’
−メトキシジベンゾイルメタン1.74重量%及びオクタメ
チルシクロテトラシロキサン18.26 重量%に置換した他
は同一の処方及び製法で日焼け止めクリームを得た。
【0063】「比較例3:日焼け止めクリーム」実施例
5の成分(A)中の「実施例1で得られた紫外線吸収性
皮膜剤の46%オクタメチルシクロテトラシロキサン溶
液」の20.0重量%部分を、オクタメチルシクロテトラシ
ロキサン1.6 重量%及びトリメチルシロキシケイ酸−オ
クタメチルシクロテトラシロキサン溶液(50%)18.4重
量%に置換した他は同一の処方及び製法で日焼け止めク
リームを得た。
【0064】「比較例4:日焼け止めクリーム」実施例
5の成分(A)中の「オクタメチルシクロテトラシロキ
サン」の40.0重量%と「実施例1で得られた紫外線吸収
性皮膜剤の46%オクタメチルシクロテトラシロキサン溶
液」の20.0重量%の合計60.0%重量部分を、オクタメチ
ルシクロテトラシロキサン39.63 重量%、オクチルメト
キシシンナメート1.97重量%及びトリメチルシロキシケ
イ酸−オクタメチルシクロテトラシロキサン溶液(50
%)18.4重量%に置換した他は同一の処方及び製法で日
焼け止めクリームを得た。
【0065】「比較例5:日焼け止めクリーム」実施例
6の成分(A)中の「実施例2で得られた紫外線吸収性
皮膜剤の42%オクタメチルシクロテトラシロキサン溶
液」の20.0重量%部分を、オクタメチルシクロテトラシ
ロキサン1.46重量%、4−tert−ブチル−4’−メ
トキシジベンゾイルメタン1.74重量%及びトリメチルシ
ロキシケイ酸−オクタメチルシクロテトラシロキサン溶
液(50%)16.8重量%に置換した他は同一の処方及び製
法で日焼け止めクリームを得た。
【0066】「被膜耐久テスト及び官能評価」以上のよ
うにして得た実施例5、6及び比較例1〜5の日焼け止
めクリームについて、以下の被膜耐久テスト及び官能評
価を行った。
【0067】耐久テストは、ナイロンの樹脂板上に薄膜
を作製し、乾燥後試験に供した。水及び人工皮脂に浸す
ことで、耐水性及び耐油性を評価した。擦過強度は薄膜
を指でこすって評価した。結果は、比較例1をコントロ
ールとして、コントロールより良好を◎、同等を○、悪
いを×として表記した。
【0068】官能評価は、パネル20名を用い、「表1」
に記載した評価項目につき、比較例1をコントロールと
して、コントロールより良好を◎、同等を○、悪いを×
として表記した。
【0069】「紫外線吸収効果の持続性」更に、同じ実
施例5、6及び比較例1〜5の日焼け止めクリームにつ
いて紫外線吸収効果の持続性について試験を実施した。
パネル20名を用い、前腕内側部に上記クリームを一定量
塗布し、洗濯機で 5分間水洗した後、クリーム塗布部に
日光をあて、一定時間の後の皮膚の状態を観察した。皮
膚がほとんど赤くならずその後ほとんど黒化しない場
合、もしくは、皮膚が赤くならないがその後やや黒化し
た場合又は皮膚がやや赤くなるがその後黒化しない場合
を3点、皮膚が赤くなりその後やや黒くなった場合又は
皮膚がやや赤くなりその後黒くなった場合を2点、皮膚
が明確に赤くなりその後黒くなった場合を1点として評
価し、表1に平均点が 2.5点以上を◎、1.5 〜2.5 点を
○、 1.5点未満を×として表記した。
【表1】
【0070】「表1」から明らかなように、本発明の紫
外線吸収性被膜剤を用いた化粧料は皮膜に耐水性及び耐
油性があり、擦過強度があり、皮膚に対する密着性に優
れるため化粧くずれしにくく化粧持ちに優れ、紫外線吸
収効果が持続し、更に良好な使用感触を有することが確
認された。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、皮膜形成性に優れ、化
粧品基剤に対する溶解性が高く、化粧品の配合原料とし
て極めて優れた紫外線吸収性被膜剤を提供出来る。
【0072】さらに、本発明の紫外線吸収性被膜剤を化
粧料に配合することにより、優れた紫外線吸収性を有す
る上に、皮膚に対する密着性に優れ、効果が持続し、良
好な使用感を有するという非常に優れた性質を有する化
粧料が提供出来る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R1 3SiO1/2 単位及びSiO2 単位を
    少なくとも1個もつシロキサン類であって、R2 SiO
    3/2 単位及びR3 2SiO単位の存在量が各々全体の0〜
    20モル%であり、有機基R1、R2 及びR3 全量の1〜7
    0モル%が下記一般式(1)〜(3) で示される基から選択さ
    れ、残部が炭素数1〜18の1価の飽和もしくは不飽和有
    機基であることを特徴とするケイ皮酸骨格又はジベンゾ
    イルメタン骨格を有する紫外線吸収性皮膜剤。 【化1】 [但し、Xはアルコキシ基、R4 は少なくとも2個の炭
    素原子を有する2価の炭化水素基(酸素原子を有するも
    のを含む)、R5 は水素原子又は炭素数1〜5の1価の
    飽和炭化水素基、R6 は炭素数1〜18の1価の飽和又は
    不飽和有機基、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボキ
    シル基、ヒドロキシ基又はアミノ基、R7は水素原子又
    は炭素数1〜10の1価の飽和又は不飽和炭化水素基であ
    り、aは0〜3の整数、bは0〜4の整数、cは0〜3
    の整数である。また、一般式(3)において、CR5 2−C
    HR5 −CR5 2− と、OR7 は、ベンゼン環に関し互
    にオルトの位置関係にある。]
  2. 【請求項2】 請求項1記載の紫外線吸収性皮膜剤を含
    有することを特徴とする化粧料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012008803A2 (ko) * 2010-07-15 2012-01-19 주식회사 엔엔엠테크놀러지 개선된 자외선 안정성을 가지는 자외선 흡수 폴리유기산화실리콘 입자 및 그의 제조방법

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