JPH10262690A - フェノール性化合物等の高分子化方法及びその用途 - Google Patents

フェノール性化合物等の高分子化方法及びその用途

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JPH10262690A
JPH10262690A JP10005865A JP586598A JPH10262690A JP H10262690 A JPH10262690 A JP H10262690A JP 10005865 A JP10005865 A JP 10005865A JP 586598 A JP586598 A JP 586598A JP H10262690 A JPH10262690 A JP H10262690A
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compound
molecular weight
acid
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polyphenol oxidase
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JP10005865A
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English (en)
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Takashi Echigo
貴 愛知後
Tadashi Yoneda
正 米田
Yasushi Aoki
裕史 青木
Ritsuko Ono
律子 大野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ側に至適反応pHを有する新規なポ
リフェノールオキシダーゼの用途の開発、提供。 【解決手段】 スティルベラ、サゲノメラ、スタキリジ
ウム属菌類が生産するポリフェノールオキシダーゼを用
いフェノール化合物等から高分子化物を製造する方法。
前記方法で得られる高分子化合物の、増粘剤、安定剤、
凝集剤、乳化剤、分散剤、保水剤、酸化防止剤、接着
剤、コンクリート混和剤、染色剤、塗料、石油回収剤、
土壌改質剤、種子吹付表土安定剤、目止め剤、脱臭剤、
消臭剤、農薬展着剤、殺菌剤、抗菌剤、ウィルス感染阻
止剤、生物付着防止剤、生物忌避剤、殺虫剤、パップ
剤、インキ基剤または木材処理剤への応用、さらには該
酵素を用いる木材処理、コンクリート処理、土壌処理等
の方法の提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ側に至適
反応pHを有する新規なポリフェノールオキシダーゼの
利用方法に関する。さらに詳しく言えば、本発明はpH
8近辺のアルカリ側に至適反応pHを有する新規なポリ
フェノールオキシダーゼをフェノール化合物、アルコキ
シル基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合
物、キノン化合物、または芳香族アミン化合物に作用さ
せることによるこれらの化合物の高分子化処理方法や、
フェノール化合物、アルコキシル基含有芳香族化合物、
ハロゲン化フェノール化合物、キノン化合物、または芳
香族アミン化合物の速やかな分子量の増大反応を利用し
て得られる、増粘剤、安定剤、凝集剤、乳化剤、分散
剤、保水剤、調湿剤、酸化防止剤、接着剤、染色剤、塗
料、防錆剤、難燃化剤、石油回収剤、土壌改質剤、種子
吹付表土安定剤、脱臭剤、消臭剤、農薬展着剤、脱酸素
剤、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、ウィルス感染阻止剤、生
物付着防止剤、生物忌避剤、殺虫剤、防虫剤、パップ
剤、インキ基剤、コンクリート混和剤または木材処理
剤、これら各種剤類の製造方法、土壌処理方法、さらに
は金属焼結体、鋳造品、合金、ダイカスト品、セラミッ
クス、レンガ、コンクリート、木材、木質加工材、モ
ミ、藺草、藁、竹材、もしくは合成樹脂の発泡体などの
多孔質物品の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、担子菌類、不完全菌類等の糸状菌
が生産するポリフェノールオキシダーゼやラッカーゼに
よるポリフェノール酸化作用が知られている。しかしな
がら、従来のポリフェノ−ル酸化酵素はアルカリ側で活
性が著しく低いため、実際の用途が限られていた。ポリ
フェノールを構造部分に有する天然物として、フラボノ
イド系、キサントン系、メラニン系などの植物色素やリ
グニンが知られており、ポリフェノールオキシダーゼは
これらの天然物に対する酸化作用を有する。また、毒性
が問題になっているジクロロフェノール、トリクロロフ
ェノールをもポリフェノールオキシダーゼは反応基質に
できる。それ故に、これらの天然物や非天然物を含有す
る廃水処理においてもポリフェノールオキシダーゼは有
用である。しかしながら従来の酵素では酸性pHから中
性pHに至適反応pHを有するためアルカリpHでの利
用は実質的に困難であり、このことがポリフェノールオ
キシダーゼの産業上の利用範囲を狭くする要因となって
いた。
【0003】また、従来、フェノール性化合物等が、酵
素、例えば担子菌類や不完全菌類の生産するラッカーゼ
やポリフェノールオキシダーゼを利用して高分子化でき
ることが知られている(Journal of Biotechnology,13,
229-241,1990など)。しかしながら、菌類の生産するラ
ッカーゼやポリフェノールオキシダーゼはその至適反応
pHが酸性領域にあるため、これらの酵素を用いて高分
子化反応を触媒・加速するためには、反応を酸性から中
性のpH域で実施する必要があり、しかもその高分子化
反応の速度は十分に高いものではなかった。また、これ
らの酵素が反応できる天然の有機化合物の多くはポリフ
ェノール化合物であり、これらポリフェノール化合物の
溶解度は酸性から中性のpH域において低下するにもか
かわらず、酵素の至適反応pHが酸性領域にあるため、
反応を酸性から中性のpH域で実施する必要があり、高
濃度のポリフェノール化合物を効率よく高分子化するこ
とができないという欠点があった。また、多くのポリフ
ェノール化合物はアルカリpH域でその自動酸化が加速
されるにもかかわらず、従来は、酸性から中性のpH域
において酵素的な酸化重合を行っていたため、自動酸化
を高分子化反応において有効に利用できないという欠点
があった。
【0004】また、従来、ポリフェノール酸化酵素を重
合触媒とする様々な酵素重合法が、WO87−2939
号、特開平5−117591号、特開平6−28751
6号、特開平7−126354号、特開平7−1263
77号等で実施されていた。しかしながら、これらの酵
素重合法は、溶液中あるいは固体表面での重合反応とそ
の利用に関するものである。また、ウルシオール等のポ
リフェノール物質を、ラッカーゼを重合触媒として重合
する反応を、塗装剤、接着剤に利用する方法は、古来よ
り漆として用いられている。また、ラッカーゼ等のポリ
フェノール酸化作用を有する酵素をその基質と共に段ボ
ールに塗布し、段ボールの耐水性を向上させる試みが行
われている。しかしながら、これらの漆利用方法やこれ
に類似する技術では、本質的に固体表面あるいは固体張
り合わせ面での重合反応であり、また、高分子化反応の
反応液に対する添加物も着色を目的とする顔料や、天然
漆を真似た水溶性多糖類などに留まっており、漆類似反
応の工業的な利用・応用は限られたものであった。
【0005】また、微生物による腐食を阻止するため
に、誘導体化したリグニンを木材に加える第1段階と、
リグニンを水不溶性にするために金属イオンを含有する
弱酸性水溶液を含浸する第2段階からなる木材含浸方法
が、特開昭61−268729号で試みられている。し
かしながらこの方法は、リグニン誘導体と金属イオンと
の複合物の水に対する溶解度は低下するが、リグニン誘
導体自体は水不溶性物質として固定されてはいない。ま
た、処理のためには2種類の処理剤を切り替えて用いな
ければならず、現在木材保存剤として主に用いられ、1
剤で処理が可能なCCA系水溶液(クロム・銅・砒素化
合物)を注入するための設備へ導入するのは困難であ
る。従って、木材への固着力の強いリグニン誘導体利用
方法、及び1剤で処理が可能な方法の開発が望まれてい
た。
【0006】また、従来、様々な薬剤を多孔質物品中に
含浸し、強度、耐磨耗性、耐候性、防錆性、難燃性、抗
菌性、防腐性、殺菌性、防虫性、殺虫性、抗ウィルス
性、生物忌避性、接着性、薬剤徐放性、着色、寸法安定
性、割れ防止性、調湿性、吸水性、撥水性、表面平滑
性、生物親和性、イオン交換性、ホルムアルデヒド吸収
性、薬剤溶脱防止性、あるいは無機化合物の多孔質物品
表面への移行防止性の付与や向上が図られていたが、注
入された薬剤が溶脱するため長期間有効な上記の性質を
多孔質物品に付与することが困難であったり、溶脱した
薬剤による環境や人体への影響が懸念されており、強い
溶脱抑止効果、添加した薬剤の長期間の効力が得られ且
つ処理操作が容易な、多孔質物品の処理方法が求められ
ていた。
【0007】また、従来より物性の改質、強度の付与、
集合材の製造、抗菌性や防虫性の付与等を目的として、
レンガ等の焼結体、木材、木片、木粉、繊維、紙、もし
くはパルプ等の多孔質物品に対して熱硬化性樹脂等を含
浸あるいは塗布するという処理方法が実施されている。
しかしながら、熱硬化性樹脂中には未反応のホルムアル
デヒドが含まれるため人体への影響が懸念されており、
ホルムアルデヒドを含有しない化合物の利用が求められ
ていた。また、熱硬化性樹脂の硬化のためには、80〜
200℃での加熱が必要であるため、特別の加熱施設と
加熱用のエネルギーを必要とする欠点があった。
【0008】一方、動植物由来のポリフェノールオキシ
ダーゼの中には、pH8以上の高pH域に至適pHを有
するものが知られている(Comp. Biochem. Physiol.,19
92,102B(4)891-896 : Zhongguo Nongye Huaxue Huizhi,
1991,29(2),177-185 : Agric. Biol. Chem.,1991,55
(1),13-17)。しかしながら、これらのポリフェノール
オキシダーゼを動植物の組織から安定かつ安価に生産す
ることは困難であり、産業上の利用に供するためには微
生物由来のポリフェノールオキシダーゼが望まれてい
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、フェノール化合物、アルコキシル基含有芳
香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キノン化合
物、または芳香族アミン化合物を高分子化する新規な酵
素触媒による方法を提供することにある。本発明が解決
しようとする別の課題は、アルカリ側に至適反応pHを
有するポリフェノールオキシダーゼを用いることによ
り、アルカリpH域での実用的な酵素的酸化を達成し
て、ポリフェノールオキシダーゼの利用分野の拡大に寄
与することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らはポリフェノ
−ル物質の酸化をアルカリpHにおいて触媒する菌体外
生産物を広範な微生物において鋭意探索を行い、不完全
菌類であるスティルベラ(Stilbella )属、サゲノメラ
Sagenomella )属、あるいはスタキリジウム(Stachy
lidium)属に属する菌株がpH8近辺のアルカリ側に至
適反応pHを有する目的の酵素を菌体外に生産すること
を見出し、本発明を完成させるに至った。また、本発明
者らはこれらの酵素をアルカリ域、特にpH8以上のア
ルカリpH域で用いることにより、フェノール化合物、
アルコキシル基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノー
ル化合物、キノン化合物、または芳香族アミン化合物の
高分子化を効率よく達成できることを見出し、本発明を
完成させるに至った。
【0011】さらに、本発明者らは、長期間有効な、強
度、耐磨耗性、耐候性、防錆性、難燃性、抗菌性、防腐
性、殺菌性、防虫性、殺虫性、抗ウィルス性、生物忌避
性、接着性、薬剤徐放性、着色、寸法安定性、割れ防止
性、消臭性、脱酸素性、調湿性、吸水性、撥水性、表面
平滑性、生物親和性、イオン交換性、ホルムアルデヒド
吸収性、薬剤溶脱防止性、あるいは無機化合物の多孔質
物品表面への移行防止性を、木材等の多孔質物品におい
て付与あるいは向上させるための方法を開発するため、
鋭意研究を行った。そして、本発明のポリフェノールオ
キシダーゼ、及び、フェノール化合物、アルコキシル基
含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キノ
ン化合物、または芳香族アミン化合物、さらには不飽和
化合物及び/または薬剤を多孔質物品に含浸あるいは加
圧及び/または減圧により含浸し、多孔質物品中で高分
子化反応を行うことにより本発明の目的が達成されるこ
とを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】すなわち本発明は、酸素(空気)を酸化剤
として利用するポリフェノールオキシダーゼを使用する
ものであり、こうした酵素あるいは酵素系が、多孔質物
品内部の酸素供給速度の低い環境において、酸化反応、
高分子化反応を触媒するということは驚くべきことであ
る。特に、減圧操作を処理工程の一部として含む含浸処
理は、含浸の困難な多孔質物品に対する処理液の注入量
を高めるための操作として極めて有効である。しかしな
がら、減圧操作を経た処理液及び処理物は、液中の溶存
酸素濃度が低下しており、酸素を酸化剤として利用する
触媒反応のためには不利な状態にある。しかるに、驚く
べきことに、減圧操作を経た多孔質物品の処理物におい
ても、その内部での触媒的な酸化反応、高分子化反応が
進行することを見出した。
【0013】また、含浸の困難な多孔質物品に対する処
理液の注入量を高めるための操作として、加圧注入法も
極めて有効であるが、加圧処理に対して多くの酵素は不
安定であることが知られている。しかしながら、驚くべ
きことに、本発明のポリフェノールオキシダーゼが、加
圧注入処理を経てもその触媒活性を維持し、さらに多孔
質物品内部の酸素供給速度の低い環境において、酸化反
応、高分子化反応を触媒するということを見出した。ま
た、多孔質物品の処理効果を増大する目的や、多孔質物
品内部で重合したフェノール化合物、アルコキシル基含
有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キノン
化合物、または芳香族アミン化合物による薬剤固定能や
薬剤徐放能を有効に活用する目的で、様々な芳香剤、消
臭剤、防錆剤、難燃化剤、抗菌剤、防腐剤、殺菌剤、防
虫剤、抗ウィルス剤、あるいは生物忌避剤を併用する処
理方法について、鋭意研究を行った。そして、本発明の
ポリフェノールオキシダーゼを用いる高分子化反応によ
り、一般に、酵素反応阻害あるいは酵素の失活をもたら
すと考えられている薬剤を含む多くの薬剤において、そ
の固定あるいは徐放が可能であることを見出し、本発明
を完成させるに至った。
【0014】すなわち本発明は以下のものを提供するも
のである。 [1]以下の特性: (1)作用:ポリフェノールを酸化する; (2)至適反応pH:pH8.2〜8.5付近に至適反
応pHを有する; (3)至適反応温度:50℃付近に至適反応温度を有す
る; (4)分子量:ゲルろ過クロマトグラフィー(GFC)
分析により測定した分子量が約33,000〜76,0
00の範囲内にある; (5)等電点:等電点電気泳動により測定した等電点が
約5.9〜7.0の範囲内にある;を有するポリフェノ
ールオキシダーゼを作用させることを特徴とする、フェ
ノール化合物、アルコキシル基含有芳香族化合物、ハロ
ゲン化フェノール化合物、キノン化合物、または芳香族
アミン化合物の高分子化方法。
【0015】[2]pH8以上のアルカリ域においてポ
リフェノールオキシダーゼを作用させることを特徴とす
る前記[1]に記載の高分子化方法。 [3]ペルオキシダーゼ作用を有する物質と共にポリフ
ェノールオキシダーゼを用いることを特徴とする前記
[1]または[2]に記載の高分子化方法。 [4]オキシダーゼ及びその基質と共にポリフェノール
オキシダーゼを用いることを特徴とする前記[1]〜
[3]のいずれかに記載の高分子化方法。 [5]酸化剤として空気、酸素、オゾン、過酸化水素、
過酸化水素前駆体、過酸前駆体または過酸を、単独で、
または複数組み合わせて用いることを特徴とする前記
[1]〜[4]のいずれかに記載の高分子化方法。
【0016】[6]以下の特性: (1)作用:ポリフェノールを酸化する; (2)至適反応pH:pH8.2〜8.5付近に至適反
応pHを有する; (3)至適反応温度:50℃付近に至適反応温度を有す
る; (4)分子量:GFC分析により測定した分子量が約3
3,000〜76,000の範囲内にある; (5)等電点:等電点電気泳動により測定した等電点が
約5.9〜7.0の範囲内にある;を有するポリフェノ
ールオキシダーゼを、フェノール化合物、アルコキシル
基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キ
ノン化合物、または芳香族アミン化合物に作用させ、高
分子化することを特徴とする分子量の増大した化合物の
製造方法。
【0017】[7]以下の特性: (1)作用:ポリフェノールを酸化する; (2)至適反応pH:pH8.2〜8.5付近に至適反
応pHを有する; (3)至適反応温度:50℃付近に至適反応温度を有す
る; (4)分子量:GFC分析により測定した分子量が約3
3,000〜76,000の範囲内にある; (5)等電点:等電点電気泳動により測定した等電点が
約5.9〜7.0の範囲内にある;を有するポリフェノ
ールオキシダーゼを、フェノール化合物、アルコキシル
基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キ
ノン化合物、または芳香族アミン化合物と、不飽和脂肪
酸、不飽和アルコール、不飽和アルキル化合物、もしく
は乾性油との混合物に作用させ、高分子化反応を行うこ
とを特徴とする分子量の増大した化合物の製造方法。
【0018】[8]以下の特性: (1)作用:ポリフェノールを酸化する; (2)至適反応pH:pH8.2〜8.5付近に至適反
応pHを有する; (3)至適反応温度:50℃付近に至適反応温度を有す
る; (4)分子量:GFC分析により測定した分子量が約3
3,000〜76,000の範囲内にある; (5)等電点:等電点電気泳動により測定した等電点が
約5.9〜7.0の範囲内にある;を有するポリフェノ
ールオキシダーゼを、フェノール化合物、アルコキシル
基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キ
ノン化合物、または芳香族アミン化合物と、芳香剤、消
臭剤、防錆剤、難燃化剤、抗菌剤、防腐剤、殺菌剤、防
虫剤、抗ウィルス剤、及び生物忌避剤から選ばれる少な
くとも1種の薬剤との混合物に作用させ、高分子化反応
を行うことを特徴とする分子量の増大した化合物の製造
方法。
【0019】[9]薬剤が、金属塩、金属化合物、ある
いは金属錯体の溶液もしくは微粉体である前記[8]記
載の分子量の増大した化合物の製造方法。 [10]金属が、銅、砒素、亜鉛、クロム、ニッケル、
アルミニウム、モリブデン、マグネシウムあるいは銀か
ら選ばれる少なくとも1種である前記[9]記載の分子
量の増大した化合物の製造方法。 [11]薬剤が、ホウ素塩、ホウ素系化合物、あるいは
ホウ素含有錯体の溶液もしくは微粉体である前記[8]
記載の分子量の増大した化合物の製造方法。 [12]薬剤が、植物由来の抽出物、抽出成分、あるい
は植物抽出成分と同等の構造を有する合成物である前記
[8]記載の分子量の増大した化合物の製造方法。 [13]薬剤が、水酸基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ
基から選ばれる置換基を1つあるいは複数有する芳香族
化合物あるいは環状化合物である前記[8]記載の分子
量の増大した化合物の製造方法。
【0020】[14]フェノール性化合物及び/または
芳香族アミン化合物が、リグニンもしくはリグニン誘導
体である前記[6]〜[13]のいずれかに記載の分子
量の増大した化合物の製造方法。 [15]リグニン誘導体がリグニンスルホン酸もしくは
リグニンスルホン酸塩である前記[14]記載の分子量
の増大した化合物の製造方法。 [16]pH8以上のアルカリ域においてポリフェノー
ルオキシダーゼを作用させることを特徴とする前記
[6]〜[15]のいずれかに記載の分子量の増大した
化合物の製造方法。 [17]ペルオキシダーゼ作用を有する物質と共にポリ
フェノールオキシダーゼを用いることを特徴とする前記
[6]〜[16]のいずれかに記載の分子量の増大した
化合物の製造方法。 [18]オキシダーゼ及びその基質と共にポリフェノー
ルオキシダーゼを用いることを特徴とする前記[6]〜
[17]のいずれかに記載の分子量の増大した化合物の
製造方法。 [19]酸化剤として空気、酸素、オゾン、過酸化水
素、過酸化水素前駆体、過酸前駆体または過酸を、単独
で、または複数組み合わせて用いることを特徴とする前
記[6]〜[18]のいずれかに記載の分子量の増大し
た化合物の製造方法。
【0021】[20]前記[6]〜[19]のいずれか
に記載の分子量の増大した化合物の製造方法を用いるこ
とを特徴とする、増粘剤、安定剤、凝集剤、乳化剤、分
散剤、保水剤、調湿剤、酸化防止剤、接着剤、染色剤、
塗料、防錆剤、難燃化剤、石油回収剤、土壌改質剤、種
子吹付表土安定剤、脱臭剤、消臭剤、農薬展着剤、脱酸
素剤、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、ウィルス感染阻止剤、
生物付着防止剤、生物忌避剤、殺虫剤、防虫剤、パップ
剤、インキ基剤、コンクリート混和剤または木材処理剤
の製造方法。 [21]前記[6]〜[19]のいずれかに記載の製造
方法を実施するための反応を、土壌中で行うことを特徴
とする土壌処理方法。
【0022】[22]前記[6]〜[19]のいずれか
に記載の製造方法を実施するための反応を、多孔質物品
中で行うことを特徴とする多孔質物品の処理方法。 [23]反応液を加圧及び/または減圧により多孔質物
品中に含浸して実施することを特徴とする前記[22]
記載の多孔質物品の処理方法。 [24]加圧を1〜20気圧で実施することを特徴とす
る前記[23]に記載の多孔質物品の処理方法。 [25]多孔質物品が金属焼結体、鋳造品、合金、ダイ
カスト品、セラミックス、レンガ、コンクリート、木
材、木質加工材、モミ、藺草、藁、竹材、もしくは合成
樹脂の発泡体である前記[22]〜[24]のいずれか
に記載の多孔質物品の処理方法。
【0023】[26]前記[22]〜[25]のいずれ
かに記載の処理方法を用いることを特徴とする、強度、
耐磨耗性、耐候性、防錆性、難燃性、抗菌性、防腐性、
殺菌性、防虫性、殺虫性、抗ウィルス性、生物忌避性、
接着性、薬剤徐放性、着色、寸法安定性、割れ防止性、
消臭性、脱酸素性、調湿性、吸水性、撥水性、表面平滑
性、生物親和性、イオン交換性、ホルムアルデヒド吸収
性、薬剤溶脱防止性、あるいは無機化合物の多孔質物品
表面への移行防止性が付与され、あるいは向上した多孔
質物品の製造方法。 [27]前記[6]〜[19]のいずれかに記載の方法
で製造した分子量の増大した化合物を含む増粘剤、安定
剤、凝集剤、乳化剤、分散剤、保水剤、調湿剤、酸化防
止剤、接着剤、染色剤、塗料、防錆剤、難燃化剤、石油
回収剤、土壌改質剤、種子吹付表土安定剤、脱臭剤、消
臭剤、農薬展着剤、脱酸素剤、防腐剤、殺菌剤、抗菌
剤、ウィルス感染阻止剤、生物付着防止剤、生物忌避
剤、殺虫剤、防虫剤、パップ剤、インキ基剤、コンクリ
ート混和剤または木材処理剤。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。 [生産菌]本発明に使用するポリフェノールオキシダー
ゼを得るために用いるスティルベラ(Stilbella )属に
属する菌株にはスティルベラ・アニュラタ(Stilbella
annulata)、スティルベラ・ブルビコーラ(Stilbella
bulbicola )、スティルベラ・エリスロセファラ(Stil
bella erythrocephala)、スティルベラ・フラベセンス
Stilbella flavescens)、スティルベラ・フラビペス
Stilbella flavipes)、スティルベラ・サーモフィラ
Stilbella thermophila )、スティルベラ・sp.
Stilbella sp. )が挙げられるが、好ましくはスティ
ルベラ・sp.SD3101(Stilbella sp. SD3101)
(工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-15963と
して寄託され、国際寄託に移管されてFERM BP-6219の受
託番号が付与されている)を用いる。
【0025】また、本発明に使用するポリフェノールオ
キシダーゼを得るために用いるサゲノメラ(Sagenomell
a )属に属する菌株にはサゲノメラ・ビリデ(Sagenome
llaviride)、サゲノメラ・sp.(Sagenomella sp.
)が挙げられるが、好ましくはサゲノメラ・sp.S
D3102(Sagenomella sp. SD3102)(工業技術院生
命工学工業技術研究所にFERM P-15964として寄託され、
国際寄託に移管されてFERM BP-6220の受託番号が付与さ
れている)を用いる。また、本発明に使用するポリフェ
ノールオキシダーゼを得るために用いるスタキリジウム
Stachylidium)属に属する菌株にはスタキリジウム・
ビカラ(Stachylidium bicolor)、スタキリジウム・セ
オブロメ(Stachylidium theobromae)、スタキリジウ
ム・sp.(Stachylidium sp.)が挙げられるが、好ま
しくはスタキリジウム・sp.SD3103(Stachyli
dium sp. SD3103 )(工業技術院生命工学工業技術研究
所にFERM P-15965として寄託され、国際寄託に移管され
てFERM BP-6221の受託番号が付与されている)を用い
る。
【0026】本発明に使用するポリフェノールオキシダ
ーゼを生産する代表的な菌株について、ポテトキャロッ
ト寒天培地及びマルトエキス寒天培地上で、25℃で14〜
60日間培養したときの集落の色調、形状及び分生子、分
生子形成構造等の形態観察を行った。その結果、アクレ
モニウム属(Acremonium)に類似した白色、粘質状の集
落を形成し、分生子柄束(シンネマ)を形成し、長径 3
〜 5μmの楕円形の小型分生子を形成する糸状菌をステ
ィルベラ・sp.SD3101(Stilbella sp. SD310
1)と命名し、また、同様に、アクレモニウム属(Acrem
onium)に類似した白色、粘質状の集落を形成し、分生
子柄束(シンネマ)を形成せず連鎖状の分生子を形成
し、長径 2〜 4μmの楕円形〜レモン形の小型分生子を
形成する糸状菌をサゲノメラ・sp.SD3102(Sa
genomella sp. SD3102)、さらには、暗褐色〜黒色の粘
質状集落を形成し、輪生した分性子柄とフィアロ型分性
子を有するが分性子座は形成しない糸状菌をスタキリジ
ウム・sp.SD3103(Stachylidium sp. SD3103
)と命名した。
【0027】[酵素の調製]本発明に使用するポリフェ
ノールオキシダーゼは、前記のスティルベラ属またはサ
ゲノメラ属、スタキリジウム属に属する菌株及びその変
異株を培養して得られる他、遺伝子操作菌を利用して調
製することも可能である。すなわち、該ポリフェノール
オキシダーゼをコードするDNAが宿主生物での酵素発
現機能を有する適当なプロモーター、及びオペレータ
ー、ターミネーターDNAと共に、宿主生物中でベクタ
ーを複製するための複製開始点を有するDNAベクター
に挿入された発現ベクターを用いて形質転換された宿主
細胞、または該ポリフェノールオキシダーゼをコードす
るDNAが宿主生物での酵素発現機能を有する適当なプ
ロモーター、及びオペレーター、ターミネーターDNA
と共に、宿主細胞DNAにインテグレーションせしめる
ことで形質転換された宿主細胞を、ポリフェノールオキ
シダーゼの発現できる条件のもとに培養し、さらにポリ
フェノールオキシダーゼを培地から回収する方法によっ
ても生産される。
【0028】また、本発明のポリフェノールオキシダー
ゼは、該ポリフェノールオキシダーゼをコードするDN
A配列等を基に得られる該ポリフェノールオキシダーゼ
のアミノ酸配列に関する知見を基に、従来の酸性側に至
適反応pHを有するポリフェノールオキシダーゼのDN
Aを改変するプロテイン・エンジニアリングの手法によ
って生産されるものであってもよい。本発明のポリフェ
ノールオキシダーゼをコードするDNA断片の取得のた
めには、例えば本発明の菌株からのcDNAまたはゲノ
ムライブラリィを分離源とし、本発明のポリフェノール
オキシダーゼのアミノ酸配列もしくは既知のポリフェノ
ールオキシダーゼのアミノ酸配列に基づいて合成された
オリゴヌクレオチドをプローブとして目的のDNA断片
を特定するか、または酵素活性を発現するクローンを選
択するか、または該ポリフェノールオキシダーゼに対す
る抗体と反応する蛋白質を生産するクローンを選択する
といった常法によって行うことができる。
【0029】本発明に使用するポリフェノールオキシダ
ーゼを得るための培養は、通常用いられる合成培地や有
機炭素源及び有機窒素源を含む栄養培地が使用可能であ
る。また、Cu2+イオンを金属塩として0.001mM
から10mM、好ましくは0.01mMから1mMの濃
度で添加することが望ましい。培養温度は10〜60
℃、好ましくは20〜40℃である。また、適当な培養
時間は20時間から250時間、好ましくは50時間か
ら150時間である。分泌されたポリフェノールオキシ
ダーゼは培地中から周知の方法で回収できる。この回収
手順には、遠心分離もしくはろ過、膜分離により培地か
ら細胞を分離し、例えばイオン交換クロマトグラフィー
等によるクロマトグラフィーを行うという一連の手順が
含まれる。また、限外ろ過膜を用いる膜濃縮も有効であ
る。
【0030】[酵素の性質]本発明に使用するポリフェ
ノールオキシダーゼは以下の特性を有する。 (1)作用:ポリフェノールを酸化する; (2)至適反応pH:pH8.2〜8.5付近に至適反
応pHを有する; (3)至適反応温度:50℃付近に至適反応温度を有す
る; (4)分子量:ゲルろ過クロマトグラフィー(GFC)
分析により測定した分子量が約33,000〜76,0
00の範囲内にある; (5)等電点:等電点電気泳動により測定した等電点が
約5.9〜7.0の範囲内にある。
【0031】本発明に使用する代表的なポリフェノール
オキシダーゼとしては以下のものが挙げられる。 スティルベラ・sp.(Stilbella sp. )SD3101
(受託番号FERM P-15963)由来のポリフェノールオキシ
ダーゼ: (1)作用:ポリフェノールを酸化する; (2)至適反応pH:pH8.2付近に至適反応pHを
有する; (3)至適反応温度:50℃付近に至適反応温度を有す
る; (4)分子量:GFC分析により測定した分子量が約7
6,000; (5)等電点:等電点電気泳動により測定した等電点が
約6.6。 サゲノメラ・sp.(Sagenomella sp. )SD3102(受
託番号FERM P-15964)由来のポリフェノールオキシダー
ゼ: (1)作用:ポリフェノールを酸化する; (2)至適反応pH:pH8.5付近に至適反応pHを
有する; (3)至適反応温度:50℃付近に至適反応温度を有す
る; (4)分子量:GFC分析により測定した分子量が約3
3,000; (5)等電点:等電点電気泳動により測定した等電点が
約5.9。 スタキリジウム・sp.(Stachylidium sp.)SD3103
(受託番号FERM P-15965)由来のポリフェノールオキシ
ダーゼ: (1)作用:ポリフェノールを酸化する; (2)至適反応pH:pH8.2付近に至適反応pHを
有する; (3)至適反応温度:50℃付近に至適反応温度を有す
る; (4)分子量:GFC分析により測定した分子量が約5
5,000; (5)等電点:等電点電気泳動により測定した等電点が
約7.0。
【0032】これら3種類のポリフェノールオキシダー
ゼは5〜11の広いpH範囲で酸化反応を行えるが、好
ましくはpH6〜10、より好ましくはpH7〜9であ
り、pH8近辺に至適pHがあり、中性からアルカリ性
での酸化反応を触媒するという特長を有する(図1〜図
3)。また、pH8で10分間の反応を行った場合の至
適温度は50℃付近にあり(図4〜図6)、さらには、
様々な温度で30分間の加熱処理を施した後の活性は、
50℃以下の範囲でほぼ100%の残存活性を示した
(図7〜図9)。さらには、様々なpHのバッファー中
で30℃、30分間の処理を施した後の残存活性は、広
範囲のpHにおける安定性を示した(図10)。これら
の結果は、中性からアルカリ性の広範囲のpH域で、中
低温の様々な溶液中での酸化反応を保証する。
【0033】また、本発明に係るポリフェノールオキシ
ダーゼを、従来の酸性側に至適反応pHを有する酵素と
共に組み合わせて用いることも可能である。つまり、従
来知られている酸性側に至適反応pHを有するポリフェ
ノールオキシダーゼと本発明に係るポリフェノールオキ
シダーゼを組み合わせて用いることで、酸性からアルカ
リ性の広範囲のpH域においてポリフェノールオキシダ
ーゼ反応を行うことが可能となる。このような目的で酵
素を混合して用いるとき、酸性側に至適反応pHを有す
るポリフェノールオキシダーゼの活性量と本発明に係る
ポリフェノールオキシダーゼの活性量の混合比率は、好
ましくは1:10〜10:1、より好ましくは1:3〜
3:1である。このようにして広範囲のpH域において
ポリフェノールオキシダーゼ反応を達成するためにも、
本発明に係るポリフェノールオキシダーゼは有用であ
る。
【0034】[活性測定法]本発明において、ポリフェ
ノール酸化活性の活性測定は25℃において20ppm
のシリンガルダジン(syringaldazine)と100mMの
リン酸カリウムバッファー溶液(pH8.2 )を含む水溶液
中で反応を行い、525nmの吸光度を測定することで
行った。そして、1分間に1μmolのシリンガルダジ
ンを酸化する活性量を1unit(以下Uと略す)と定
義した。
【0035】[フェノール化合物、アルコキシル基含有
芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キノン化
合物、または芳香族アミン化合物]本発明で高分子化す
る対象であるフェノール化合物、アルコキシル基含有芳
香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キノン化合
物、または芳香族アミン化合物は、本発明で使用する酵
素が酸化できる物質であればいかなる化合物も使用可能
である。このような化合物の具体的な例としては、リグ
ニン、リグニンスルホン酸、フミン酸、ニトロフミン
酸、タンニン、カテキン、没食子酸、ウルシオール、ヘ
スペリジン、クロロゲン酸、ヒノキチオール、ピロカテ
コール、ハイドロキノン、o−クマリン酸、p−クマリ
ン酸、コニフェリルアルコール、コニフェリルアルデヒ
ド、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、tert−ブチルハイドロ
キノン、フェニルハイドロキノン、トリメチルハイドロ
キノン、3,4-ジヒドロキシケイ皮酸、エチル−3,4−
ジヒドロキシケイ皮酸、ピロガロール、4−ヒドロキシ
シンナミルアルコール、ラウリルガレート、オクチルガ
レート、シリンギン酸、シナピルアルコール、シナピン
酸、シナピンアルデヒド、ホモバニラ酸、ホモバニリル
アルコール、ホモバニリロニトリル、フェルラ酸、バニ
リン、o−バニリン、バニラ酸、バニリルアルコール、
バニリルアミン、バニリルアジン、アスコルビン酸、
1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキ
シナフタレン、6,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレン
スルホン酸、アンスラロビン、アリザリン、キニザリ
ン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、o−アニシジ
ン、p−アニシジン、o−アミノフェノール、p−アミ
ノフェノール、1,2−ジアミノアンスラキノン、1,
4−ジアミノアンスラキノンなどの化合物とこれらを誘
導体化した化合物が挙げられる。
【0036】これらの化合物の他にも本発明で使用する
酵素が酸化できる物質であれば、高分子化物の原料とし
て、あるいは、高分子化反応の触媒として使用可能であ
る。このような化合物の例は、2,2’−アゾビス(3
−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABT
S)、ビリルビン、イソアスコルビン酸、ケルセチン、
ルチン、グアイアコール、4−メトキシフェノール、ビ
フェノール、4,4’−エチレンジアニリン、メチルハ
イドロキノン、エチルハイドロキノン、o−ヒドロキシ
安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシベ
ンゾトリアゾール、6−ヒドロキシ−2,4,5−トリ
アミノピリミジン、4,5,6−トリアミノピリミジ
ン、2,3−ジヒドロキシピリダジン、3,6−ジヒド
ロキシピリダジン、2,3−ジヒドロキシピリジン、4
−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、メチル4−ヒド
ロキシ−3−メトキシ安息香酸、4,5−ジアミノ−6
−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2,3−ジ
アミノピリジン、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベン
ゾキノン、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジ
ヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ−3−シク
ロブテン−1,2−ジオン、3−(3,4−ジヒドロキ
シフェニル)−L−アラニン、2−アミノ−3−ヒドロ
キシピリジン、3−アミノ−2−メトキシジベンゾフラ
ン、2,4−ジメトキシアニリン、2,5−ジメトキシ
アニリン、3,4−ジメトキシアニリン、2’,5’−
ジメトキシアセトフェノン、3’,4’−ジメトキシア
セトフェノン、1,4−ジメトキシベンゼン、ベラトロ
ール、2,3−ジメトキシ安息香酸、2,5−ジメトキ
シ安息香酸、ベラトル酸、ベラトルアルデヒド、ベラト
リルアミン、ホモベラトル酸、ホモベラトリルアミン、
ホモベラトロニトリル、3,4−ジメトキシベンジルア
ルコール、3,4−ジメトキシケイ皮酸、3,4−ジメ
トキシシンナモニトリル、2,3−ジメトキシフェノー
ル、3,4−ジメトキシフェノール、3,4−ジメトキ
シフェネチルアミン、(3,4−ジメトキシフェニル)
酢酸、3,4−ジメトキシスチレン、(3,4−ジメト
キシフェニル)アセトニトリル、4−アリール−2−メ
トキシフェノール、2−メトキシ−4−プロフェニルフ
ェノール、2−メトキシ−5−メチルアニリン、2−メ
トキシ−5−ニトロアニリン、4−メトキシ−2−ニト
ロアニリン、3−メトキシサリチル酸、3−メチルカテ
コール、4−メチルカテコール、メチルガレート、プロ
ピルガレート、3,4,5−トリメトキシアニリン、
3,4,5−トリメトキシフェノール、トロポロン、プ
ルプロガリン、サリチルアルドキシム、3−アミノ−
5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトール、1,
5−ジヒドロキシナフタレン、3,5−ジヒドロキシ−
2−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−1−ナフタレンスル
ホン酸、プルプリン、2,3−ジヒドロ−9,10−ジヒ
ドロキシ−1,4−アントラセンジオン、各種のアゾ系
染料、及びこれらの化合物の誘導体である。
【0037】また、高分子化物の物性を調節する目的
で、これらの化合物を複数組み合わせて用いることも可
能である。また、本発明によって高分子化合物を製造す
る際に、同様の反応経路によって高分子化されるキノン
化合物を共存させることもできる。このようなキノン化
合物の例は、アンスラキノン−2−スルホン酸、アンス
ラキノン−1,5−ジスルホン酸、アンスラキノン−
2,6−ジスルホン酸、アンスラキノン−2−カルボン
酸、1−アミノアンスラキノン、2−アミノアンスラキ
ノン、アンスラルフィン、アミノナフトキノン、1,8
−ジヒドロキシアンスラキノン、カムフォキノン、デヒ
ドロアスコルビン酸、2−ヒドロキシ−1,4−ナフト
キノン、イサチン、5−ニトロイサチン、各種のアンス
ラキノン系染料である。また、オレイン酸、リノール
酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸、または、オレイル
アルコールなどの不飽和アルコール、または、スクアレ
ンなどの不飽和アルキル、さらには桐油、あまに油、ヒ
マシ油などの乾性油といった自動酸化される物質を共存
させ、酵素反応と同時に酸化、重合を行うことも可能で
ある。
【0038】[高分子化反応方法及びその利用方法]ア
ルカリpH域に至適反応pHを有する新規なポリフェノ
ールオキシダーゼの用途としては、例えば、フェノール
化合物、アルコキシル基含有芳香族化合物、ハロゲン化
フェノール化合物、キノン化合物、または芳香族アミン
化合物の高分子化反応への適用がある。本発明方法によ
る分子量の増大したフェノール化合物、アルコキシル基
含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キノ
ン化合物、または芳香族アミン化合物の製造における、
これら化合物の濃度は0.01〜90重量%、好ましくは1
〜80重量%である。また、反応温度は0〜100℃、
好ましくは0〜70℃である。さらに、反応のpHは5
〜11、好ましくは6〜10、より好ましくは7〜9で
ある。
【0039】また、使用する酵素活性濃度は1〜10,000
U/リットル、好ましくは10〜2000U/リットルであ
る。酵素活性濃度は、目的によって調整することが望ま
しい。すなわち、速やかな高分子化およびゲル化または
固化を達成したい場合には高い活性濃度で反応を行えば
よい。一方、低い活性濃度で反応を行えば穏やかな高分
子化反応が進行し、液状物質としてより均一な高分子物
溶液を得ることができ、さらに反応を続行すると、穏や
かなゲル化反応が反応液全体にわたって進行する。適当
な重合度に至った時点での反応の停止は、NaOH、N
3 、Na2 CO3 、CaCO3 などのアルカリやアル
カリ塩の添加、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、ホウ
酸、有機酸などの酸の添加、既知の酵素阻害剤の添加、
100 ℃、15分間といった加熱処理、あるいは酸素供給の
遮断によって実施できる。また、ゲル化したフェノール
化合物、アルコキシル基含有芳香族化合物、ハロゲン化
フェノール化合物、キノン化合物、または芳香族アミン
化合物は、所望により50〜230℃で加熱することに
より、再び溶解させることが可能である。こうした熱溶
解性は、分散剤、接着剤、塗料などの用途に用いるとき
に有用な性質である。また熱溶解後に熱水などを添加
し、分散・溶解させることで、非常に分子量の高い化合
物を、溶液として得ることが可能である。
【0040】また、本発明方法による、金属焼結体、鋳
造品、合金、ダイカスト品、セラミックス、レンガ、コ
ンクリート、木材、木質加工材、モミ、藺草、藁、竹
材、合成樹脂の発泡体といった多孔質物品処理におい
て、ポリフェノールオキシダーゼとフェノール化合物、
アルコキシル基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノー
ル化合物、キノン化合物、または芳香族アミン化合物の
双方を含浸し、多孔質物品中で高分子化反応を行う場
合、含浸前の処理液の状態ではゲル化または固化せず、
含浸後の多孔質物品中で処理液が乾燥濃縮される際にゲ
ル化及び固化が進行することが望ましい。このためのフ
ェノール化合物、アルコキシル基含有芳香族化合物、ハ
ロゲン化フェノール化合物、キノン化合物、または芳香
族アミン化合物の処理液中の濃度は、0.01〜50重量
%、好ましくは 0.1〜30重量%である。また、反応温
度は0〜100℃、好ましくは10〜70℃である。さ
らに、反応のpHは5〜11、好ましくは6〜10、よ
り好ましくは7〜9である。また、使用する酵素活性濃
度は1〜10,000U/リットル、好ましくは10〜2000U
/リットルである。適当な重合度に至った時点での反応
の停止は、NaOH、NH3、Na2 CO3 、CaCO3
などのアルカリやアルカリ塩の含浸、塩酸、硫酸、硝
酸などの酸の含浸、既知の酵素阻害剤の含浸、100
℃、15分間といった加熱処理、あるいは、多孔質物品
表面への塗装やフィルムなどによる包装による酸素供給
の遮断によって実施できる。
【0041】また、酵素重合反応の効果をさらに増大さ
せる目的で、ポリフェノールオキシダーゼと、フェノー
ル化合物、アルコキシル基含有芳香族化合物、ハロゲン
化フェノール化合物、キノン化合物、または芳香族アミ
ン化合物、さらには不飽和脂肪酸、不飽和アルコール、
不飽和アルキル化合物、乾性油といった不飽和化合物を
共に、高分子化反応を行うことで、酵素あるいは自動酸
化によるフェノール化合物、アルコキシル基含有芳香族
化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キノン化合物、
または芳香族アミン化合物の重合反応と、不飽和化合物
の自動酸化に基づく重合反応を同時に行い、より強固な
複合物を得ることが可能となる。こうした目的で使用さ
れる不飽和化合物の処理液中の濃度は、0.001 〜60重
量%、好ましくは0.01〜40重量%である。
【0042】本発明によりポリフェノールオキシダーゼ
を多孔質物品に加圧及び/または減圧により含浸し、木
材中に既に含まれているリグニンなどのポリフェノール
化合物のように、多孔質物品中に既に含まれているポリ
フェノール化合物、芳香族アミン化合物などを多孔質物
品中で高分子化することにより、例えば多孔質物品が木
材の場合は、木材含浸処理後の乾燥工程での作業性の向
上、木材蒸煮処理あるいは高温蒸気注入処理によるリグ
ニン分解で低下した木材強度の向上、乾燥時あるいは凍
結時の木材割れを防止する作用の向上、木材中の嫌気性
環境の維持・向上による微生物の繁殖抑制が可能とな
る。
【0043】また、多孔質物品中での酵素重合反応の効
果をより増大させる目的で、ポリフェノールオキシダー
ゼと、フェノール化合物、アルコキシル基含有芳香族化
合物、ハロゲン化フェノール化合物、キノン化合物、ま
たは芳香族アミン化合物を共に、加圧及び/または減圧
により多孔質物品中に含浸し、多孔質物品中で高分子化
反応を行うことで、ポリフェノールオキシダーゼが作用
する物質を含有しないか、もしくは含有量の少ない多孔
質物品の有効な処理を可能とし、しかも、酵素的な高分
子化反応は、主に多孔質物品内部で進行するため、反応
液組成物の分子量が比較的低い状態、すなわち比較的粘
度の低い状態の処理液を用いて、多量の処理液を容易に
含浸させることができる。特に、多孔質物品中に、ポリ
フェノールオキシダーゼが作用できるリグニン等の物質
が既に存在、固定化されている場合は、これが多孔質物
品中での酵素作用によって、フェノール化合物、アルコ
キシル基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合
物、キノン化合物、または芳香族アミン化合物と反応、
重合する結果、フェノール化合物、アルコキシル基含有
芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キノン化
合物、または芳香族アミン化合物から生成する高分子物
はより強固に多孔質物品中に固定化される。
【0044】本発明の目的で実施される加圧または減圧
は、処理液の含浸の困難な様々な種類の多孔質物品に十
分な量の処理液を注入し、必要な処理効果を得るため
に、極めて重要である。加圧操作は、大気圧である1気
圧から20気圧、より望ましくは3から15気圧の範囲
で実施されるが、酵素の活性が失われないならば、より
大きな圧力を加えることも可能である。また、減圧操作
は、真空圧までの範囲でいかなる圧力でも実施可能であ
るが、含浸の困難な多孔質物品の有効な処理のために
は、100〜760mmHgの範囲での減圧が望まし
い。また減圧操作は、多孔質物品に処理液を加える前に
減圧を実施する前排気の方式がより望ましい。また、多
孔質物品中により多量に処理液を含浸させるために、こ
れらの加圧操作及び減圧操作を組み合わせて実施するこ
とも有効である。
【0045】多孔質物品が木材の場合、通常用いられる
様々な、加圧及び/または減圧処理方法が使用可能であ
り、具体的には、充細胞法(ベセル法)、半空細胞法
(ローリー法)、複式真空法(ダブルバキューム法)、
加減圧交替法(Oscillating Pressure Method )、及び
これらの操作を組み合わせた方法が適用可能である。ま
た、インサイジング加工法もまた、含浸量を増大させる
ために適用可能である。また、含浸の困難な多孔質物品
の前処理として、ローラー等を用いる圧縮処理、マイク
ロ波加熱、凍結処理、蒸煮処理、水蒸気処理、あるいは
熱処理を行うことも有効である。元来、リグニンは木材
の芯材中に多く含有され、これにより腐朽菌や白蟻に対
する抵抗性を増大させていることが知られている。従っ
て、本発明のフェノール化合物、アルコキシル基含有芳
香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キノン化合
物、または芳香族アミン化合物として、特にリグニンも
しくはリグニン誘導体を用い、これを木材保存剤として
利用する場合、本発明の処理方法は、本質的に自然の生
木の行っている腐朽菌や白蟻に対する防御方法を、あら
ゆる木材に対して工業的な処理方法として効率良く実施
することを可能とするものであり、本発明は極めて有用
である。
【0046】リグニン、あるいはリグニンスルホン酸も
しくはリグニンスルホン酸塩は、アルカリ蒸解パルプあ
るいは亜硫酸パルプの工程から生成した状態では、様々
な水不溶性の固形成分を含有している。そのため、多孔
質物品に対し、ポリフェノールオキシダーゼと、リグニ
ン、あるいはリグニンスルホン酸もしくはリグニンスル
ホン酸塩を含浸し、多孔質物品中で高分子化反応を行う
場合、本発明の目的で多孔質物品中への処理液の含浸量
を増大させるためには、これらのパルプ廃液中の水不溶
性の固形成分を除去することが望ましい。除去処理は、
含浸処理を行う多孔質物品の種類、含浸処理の目的、除
去に伴う経済性に応じて、遠心分離、ろ過、及び静置等
の方法により実施される。例えば、木材に対して加圧注
入処理を行う目的では、パルプ廃液中の直径あるいは長
径1μm以上、望ましくは0.5μm以上、より望まし
くは 0.1μm以上の大きさの水不溶性の固形成分の除去
を、ろ過によって行うことが望ましい。また、限外ろ過
により脱塩・脱糖したものや、あるいは、さらに含浸性
を高めるために、分子量0.5万〜10万以下などのよ
り低分子の画分を用いることも可能である。また、脱糖
は酵母などの微生物によっても実施可能である。また、
本発明の目的で使用するリグニン誘導体は、リグニンス
ルホン酸の他に、リグニンもしくはリグニンスルホン酸
を、酢酸エステル化、プロピオン酸エステル化、カルボ
キシメチルエーテル化、2−ヒドロキシエチルエーテル
化、2−アセトキシエチルエーテル化あるいは2−ヒド
ロキシプロピルエーテル化したものや、さらにこれらの
リグニンもしくはリグニン誘導体を加水分解したものが
使用可能であり、また、これらの混合物も使用可能であ
る。
【0047】本発明において使用されるフェノール化合
物、アルコキシル基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェ
ノール化合物、キノン化合物、または芳香族アミン化合
物の中で、特にリグニン、リグニンスルホン酸、フミン
酸、ニトロフミン酸、タンニン、カテキン、没食子酸、
ウルシオール、ヘスペリジン、ヒノキチオールなどの天
然物もしくは天然物誘導体は、環境や人体への安全性が
高いため有用性が高い。
【0048】また、多孔質物品中での高分子化反応処理
の前処理もしくは後処理として、薬剤を多孔質物品に塗
布あるいは含浸することも、有効である。特に、薬剤を
多孔質物品内部に封止する目的、特に、無機化合物の多
孔質物品表面への移行を防止する目的で、薬剤を多孔質
物品に塗布あるいは含浸する第1段階と、ポリフェノー
ルオキシダーゼと、フェノール化合物、アルコキシル基
含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キノ
ン化合物、または芳香族アミン化合物の双方を、加圧及
び/または減圧により多孔質物品中に含浸する第2段階
を経て実施する多孔質物品処理法は有用である。また、
逆に、ポリフェノールオキシダーゼと、フェノール化合
物、アルコキシル基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェ
ノール化合物、キノン化合物、または芳香族アミン化合
物の双方を、加圧及び/または減圧により多孔質物品中
に含浸する第1段階と、薬剤とフェノール化合物、アル
コキシル基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化
合物、キノン化合物、または芳香族アミン化合物との相
互作用を利用して、薬剤を多孔質物品内部に固定する目
的で、薬剤を多孔質物品に塗布あるいは含浸する第2段
階を経て実施する多孔質物品処理法も、有効な薬剤処理
のために有用である。単にフェノール化合物、アルコキ
シル基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合
物、キノン化合物、または芳香族アミン化合物を多孔質
物品に含浸させた場合に比べ、このような前処理もしく
は後処理と組合せた本発明の方法によれば、フェノール
化合物、アルコキシル基含有芳香族化合物、ハロゲン化
フェノール化合物、キノン化合物、または芳香族アミン
化合物が酵素触媒反応によって多孔質物品中に重合固定
されているため、薬剤をより強固に固定化することが可
能である。
【0049】また、処理液を多孔質物品に含浸させた
後、減圧処理を行い、処理液の一部を多孔質物品外に回
収する方法や、処理された多孔質物品内部での重合反応
が充分に進行する前に、多孔質物品の洗浄を水等を用い
て行い、未重合物を除去することで、多孔質性の保持さ
れる程度を容易に調整することが可能である。このよう
な多孔質性の保持、調整された処理物は、湿度調整能
力、保水力、吸着能力、イオン交換能を保持しており、
こうした能力を利用する様々な用途への利用が可能であ
る。また、多孔質性の保持された処理物に対して、さら
に、薬剤、ポリマー、プレポリマーを含浸させ、様々な
複合された性質を有する多孔質物品が製造可能である。
【0050】本発明の多孔質物品処理の効果を増大する
目的や、多孔質物品内部で重合したフェノール化合物、
アルコキシル基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノー
ル化合物、キノン化合物、または芳香族アミン化合物に
よる薬剤固定能や薬剤徐放能を有効に活用する目的で、
様々な芳香剤、消臭剤、防錆剤、難燃化剤、抗菌剤、防
腐剤、殺菌剤、防虫剤、抗ウィルス剤、生物忌避剤とい
った様々な薬剤による処理が、ポリフェノールオキシダ
ーゼによる多孔質物品処理の前処理、同時処理、あるい
は後処理として実施可能である。この目的で使用される
薬剤は、既存の多くの薬剤が使用可能である。使用可能
な薬剤は水溶性の薬剤のみならず、分散剤あるいは界面
活性剤の添加により、O/W型あるいはW/O型のエマ
ルジョンを形成するものや、微粉体として水溶液中に分
散するものも利用可能である。
【0051】こうした目的で使用される界面活性剤とし
ては、例えば直鎖または分岐アルキルあるいはアルケニ
ル硫酸塩、アミド硫酸塩、直鎖または分岐鎖のアルキル
基またはアルケニル基を有し、エチレンオキサイド、プ
ロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドのうちの単
独あるいは複数成分が付加したアルキルまたはアルケニ
ルエーテル硫酸塩のような脂肪族硫酸化物、アルキルス
ルホン酸塩、アミドスルホン酸塩、ジアルキルスルホコ
ハク酸塩、α−オレフィン、ビニリデン型オレフィン及
び内部オレフィンの各スルホン酸塩のような脂肪族スル
ホン酸塩、直鎖または分岐鎖のアルキルベンゼンスルホ
ン酸塩のような芳香族スルホン酸塩、直鎖または分岐鎖
のアルキル基またはアルケニル基を有し、エチレンオキ
サイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド
のうちの単独あるいは複数成分が付加したアルキルまた
はアルケニルエーテルカルボン酸塩またはアミド、α−
スルホ脂肪酸塩またはエステル、アミノ酸型界面活性
剤、アルキルまたはアルケニル酸性リン酸エステル、ア
ルキルまたはアルケニルリン酸塩のごときリン酸エステ
ル系界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、ベタイ
ン型両性界面活性剤、直鎖または分岐鎖のアルキル基ま
たはアルケニル基を有し、エチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイド及びブチレンオキサイドのうちの単独あ
るいは複数成分が付加したアルキルまたはアルケニルエ
ーテルあるいはアルコール、直鎖または分岐鎖のアルキ
ル基またはアルケニル基を有し、エチレンオキサイド、
プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドのうちの
単独あるいは複数成分が付加したポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミ
ドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪
酸エステル、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキル
またはアルケニルアミンオキサイド、テトラアルキルア
ンモニウム塩型カチオン界面活性剤などが挙げられる。
また、分散剤は従来知られている多くのものが使用可能
であり、特に、リグニン、リグニンスルホン酸、あるい
はリグニンスルホン酸塩は、ポリフェノールオキシダー
ゼによる高分子化反応の原料であるばかりでなく、これ
らの物質自体に薬剤分散作用があるため、本発明の目的
のために極めて有用である。
【0052】本発明の目的で使用する上記の薬剤の内、
抗菌剤、防腐剤、殺菌剤、防虫剤、抗ウィルス剤、ある
いは生物忌避剤として、銅、砒素、亜鉛、クロム、ニッ
ケル、アルミニウム、モリブデン、マグネシウム、ある
いは銀の金属塩、金属化合物、あるいは金属錯体の溶液
もしくは微粉体を用いることができる。具体的には、陰
イオン部分がF- 、CI- 、Br- 、NO3 -、BO
3 3- 、PO4 3- 、SO4 2-、CO3 2- 等から成る金属
塩、ナフテン酸、オレイン酸等のカルボン酸あるいはス
ルファミン酸と金属イオンとの化合物、金属酸化物、金
属酸化物イオン、あるいはこれらの複合体が挙げられ
る。また、他にも臭化カルシウム、臭化ナトリウム、臭
化マグネシウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、フ
ッ化ナトリウム、フッ化カリウム、ケイフッ化ナトリウ
ム、ケイフッ化マグネシウム、硫化ナトリウム、硫化カ
リウム、セレン酸カリウムなども使用可能である。
【0053】また金属と錯体を形成するために添加され
る化合物として、従来知られている多くの化合物が使用
可能であるが、例えば、ピロカテコール、没食子酸、ヒ
ノキチオール、カテキン、ピロガロール、o−フェニレ
ンジアミン、2−アミノフェノール等のフェノール性化
合物もしくは芳香族アミン化合物、エタン−1,1−ジ
ホスホン酸及びその誘導体、エタンヒドロキシ−1,
1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキ
シ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン
酸などのホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジ
カルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカ
ルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸などのホスホノ
カルボン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシ
ン、2−アミノイソ酪酸などのアミノ酸あるいはアミノ
酸類似体、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、
ジエチレントリアミン五酢酸などのアミノポリ酢酸、ポ
リアクリル酸、ポリイタコン酸、ポリマレイン酸、無水
マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロースなど
の高分子電解質、ポリエチレングリコール、ポリビニル
アルコールなどの非解離高分子、ジグリコール酸、オキ
シジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、グル
コン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、ショ糖、ラクトース
などのカルボキシメチル化物、ペンタエリスリトールの
カルボキシメチル化物、グルコン酸のカルボキシメチル
化物、ベンゼンポリカルボン酸、シュウ酸、リンゴ酸、
オキシジコハク酸、グルコン酸などの有機酸、エチレン
ジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエ
チレンイミン、トリイソプロパノールアミンなどの有機
アルカリ剤、デンプン、尿素、キトサン、ポリリシンな
どの有機物質が挙げられる。
【0054】上記のヒノキチオールは、各種金属錯体も
しくは塩として使用可能であり、具体的には、銅、砒
素、亜鉛、クロム、ニッケル、アルミニウム、モリブデ
ン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉄あるいは
銀との錯体、もしくはナトリウム塩が挙げられる。特
に、銅、砒素、亜鉛、クロム、ニッケルあるいは銀との
錯体は、ヒノキチオールの有する抗菌などの生理的作用
に金属の作用を加えることができるため、本発明の目的
のために有用である。また金属粉末については、目的に
よって様々な大きさの金属微粒子からなる粉末が使用可
能であるが、例えば、木材に対して含浸処理を行う場合
は、5μm以下、望ましくは 0.5μm以下、より望まし
くは 0.1μm以下の直径を有する微粒子からなる粉末が
使用可能である。
【0055】また、金属塩、金属化合物、あるいは金属
錯体による多孔質物品の処理は、ポリフェノールオキシ
ダーゼによる多孔質物品処理の前処理、後処理、同時処
理のいずれの処理方法も可能であり、ポリフェノールオ
キシダーゼによる重合反応を阻害する程度、酵素反応条
件での溶解度、処理剤に混和したときの凝集・沈降の有
無、処理の目的等に応じて、様々な方法であるいは様々
に組み合わせて実施することができる。金属塩、金属化
合物、もしくは金属錯体の処理液中の濃度は、使用する
金属の有する生理活性の強度と処理の目的に応じて調製
することが望ましいが、例えば、銅、ヒ酸、もしくは亜
鉛の場合は、通常0.01〜500 mM、好ましくは0.1 〜20
0 mMである。また、ホウ素塩、ホウ素系化合物、ある
いはホウ素含有錯体の溶液もしくは微粉体も、難燃化
剤、抗菌剤、防腐剤、殺菌剤、防虫剤、抗ウィルス剤、
あるいは生物忌避剤として使用可能であり、具体的に
は、ホウ酸、ホウ砂、ホウフッ化銅が挙げられる。ま
た、ピレスロイド系薬剤、コナゾール系薬剤、あるいは
昆虫ホルモン系の薬剤なども本発明の薬剤として利用可
能である。これらの揮発性薬剤が、本発明による多孔質
物品への薬剤徐放性の付与、向上により、より長期間、
効力を維持することが可能となる。
【0056】また、芳香剤、消臭剤、防錆剤、抗菌剤、
防腐剤、殺菌剤、防虫剤、抗ウィルス剤、あるいは生物
忌避剤として、植物由来の抽出物、抽出成分、あるいは
植物抽出成分と同等の構造を有する合成物を使用するこ
とができる。このような植物の具体例は、ヒノキ、青森
ヒバなどの樹木、香草、カラシ、ワサビ、竹、イリオモ
テアザミ根茎、あるいはヤエヤマヤシ根などであり、こ
れらの植物体を、粉砕、圧搾、煮沸、あるいは水蒸気蒸
留などにより処理することで、抽出物や抽出成分を得る
ことが出来る。植物由来の抽出成分、あるいは植物抽出
成分と同等の構造を有する合成物の具体的な例は、ヒノ
キチオールなどのトロポロン類、α−ピネン、β−ピネ
ン、カンファ、メントール、リモネン、ボルネオール、
α−テルピネン、γ−テルピネン、α−テルピネオー
ル、テルピネン−4−オール、シネオールなどのモノテ
ルペン類、α−カジノール、t−ムロールなどのセスキ
テルペン類、カテキン,タンニンなどのポリフェノール
類、2,3,5−トリメチルナフタレンなどのナフタレ
ン誘導体、シトロネロールなどの長鎖脂肪族アルコー
ル、シンナムアルデヒド、シトラール、ペリラアルデヒ
ドなどのアルデヒド類、アリルイソチオシアネートなど
のアリル化合物などが挙げられる。また、樹木を蒸し焼
きすることで得られる木酢液も使用可能である。
【0057】これらの抽出物、抽出成分、あるいは植物
抽出成分と同等の構造を有する合成物は、元来、植物体
内部に存在するものであるため、多孔質物品が木材、木
質加工材、木片、木粉、モミ、藺草、藁、竹材、繊維、
紙、あるいはパルプといった植物由来の物品である場
合、さらにはポリフェノールオキシダーゼが作用する高
分子化反応の原料がリグニンあるいはリグニン誘導体と
いった植物由来成分である場合、重合物による多孔質物
品中の空隙の封止作用に加えて、植物由来の抽出物、抽
出成分、あるいは同等の構造を有する合成物とこれらの
多孔質物品や反応原料との相互作用により、薬剤の溶脱
抵抗性や徐放性といった望ましい効果を得ることが可能
となる。また、特に、これらの天然物の組合せによって
製造される多孔質物品の処理物は、環境や人体に対する
高い安全性や、生物親和性を有するため、様々な分野で
多くの用途展開が可能である。
【0058】また、防錆剤、抗菌剤、防腐剤、殺菌剤、
防虫剤、抗ウィルス剤、あるいは生物忌避剤として、水
酸基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基から選ばれる置換
基を1つあるいは複数有する芳香族化合物あるいは環状
化合物を使用することができる。これらの芳香族化合物
においても、上記の植物由来の抽出物、抽出成分、ある
いは植物抽出成分と同等の構造を有する合成物の場合と
同様の原理で、薬剤の溶脱抵抗性や徐放性といった望ま
しい効果を得ることができる。
【0059】水酸基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基か
ら選ばれる置換基を1つあるいは複数有する芳香族化合
物あるいは環状化合物の具体的な例は、o−フェニルフ
ェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、o−クロ
ロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、4,6−
ジニトロ−o−クレゾール、ペンタクロロフェノール、
2,3,5−トリクロロフェノール、2,4,6−トリ
クロロフェノール、モノクロロナフタレン、トリクロロ
ナフタレン、テトラクロロナフタレン、2,4,5−ト
リクロロフェニルラウレートモノクロロナフタレン、ク
ロロニトロフェノール、クロロニトロトルエン、o−ジ
クロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、
1,2,4−トリクロロベンゼン、2,4,6−トリブ
ロモフェノール、4−ブロモ−2,5−ジクロロフェノ
ール、ブロモ−o−フェニルフェネート、4−クロロフ
ェニル−3−ヨードプロパギルホルマール、クレオソー
ト油、塩素化テルペン、ブチルヒドロキシアニソール、
ブチルヒドロキシトルエン、安息香酸、p−ヒドロキシ
安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸のメチル、エチル、
プロピル、ブチル、イソブチル、イソプロピルなどのエ
ステルなどである。また、チオファメートメチル、ダス
バン、ダイアジノン等の有機リン系化合物、クロルデ
ン、ディルドリン、アルドリン、ヘプタクロル等のシク
ロジエン系化合物、バイゴン、ジメチラン、セビン等の
カーバメイト系化合物、N−ニトロソ−N−シクロヘキ
シルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物、デヒドロ
酢酸、ソルビン酸も、抗菌剤、防腐剤、殺菌剤、防虫
剤、抗ウィルス剤、あるいは生物忌避剤として、本発明
の目的に使用可能である。
【0060】本発明の多孔質物品処理による寸法安定
性、割れ防止性、調湿性、吸水性、撥水性、表面平滑性
の付与あるいは向上は、多孔質物品中に生成する高分子
物の親水性あるいは疎水性を調整することで達成され
る。例えば、リグニンスルホン酸の高分子化物は多孔質
物品中で親水性の高分子ゲルへと重合されるが、他の処
理剤成分として、例えば不飽和脂肪酸、不飽和アルコー
ル、不飽和アルキル化合物、乾性油などの不飽和化合物
を併用することで疎水性を向上させることができる。ま
た、水酸基の他に炭素数が1から22の飽和あるいは不
飽和のアルキル側鎖を置換基として有する芳香族化合
物、具体的にはウルシオールを、ポリフェノールオキシ
ダーゼによって重合させる主成分として使用するか、あ
るいはリグニンやリグニン誘導体に添加して使用するこ
とでも疎水性を向上させることができる。また、水酸基
及び/またはアミノ基の他に、ポリオキシエチレンもし
くはポリエチレンイミンを構造部分とする置換基を有す
るフェノール化合物、アルコキシル基含有芳香族化合
物、ハロゲン化フェノール化合物、キノン化合物、また
は芳香族アミン化合物を、ポリフェノールオキシダーゼ
によって重合させる主成分として使用するか、あるいは
リグニンやリグニン誘導体に添加して使用することによ
り、処理後の多孔質物品の保水性を向上させることがで
き、特に木材処理においては、寸法安定性、及び割れ防
止性を付与あるいは向上させることが可能である。
【0061】特に、リグニンやリグニン誘導体などのフ
ェノール化合物、アルコキシル基含有芳香族化合物、ハ
ロゲン化フェノール化合物、キノン化合物、または芳香
族アミン化合物をポリフェノールオキシダーゼによって
重合される主成分として使用する場合は、ポリオキシエ
チレン、ポリエチレンイミン、もしくは炭素数が1から
22の飽和あるいは不飽和のアルキル鎖を構造部分とす
る置換基を有する芳香族化合物を、重合物の物性の改変
のための添加剤として使用可能である。なお、ポリオキ
シエチレンもしくはポリエチレンイミンを構造部分とす
る置換基を有する芳香族化合物は、水酸基、アミノ基、
カルボキシル基などを構造部分として有する芳香族化合
物にエチレンオキシドあるいはエチレンイミンを作用さ
せることで得られる。また、バニリン、o−バニリン、
3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、ベンズアルデ
ヒド、2−フェニルプロピオンアルデヒドなどのアルデ
ヒド基を芳香環上の置換基、あるいは芳香環上の置換基
の構造の一部として有する芳香族化合物にポリエチレン
イミンを作用させ、シッフ塩基を生成させることによっ
ても得られる。
【0062】本発明の多孔質物品処理によるイオン交換
性の付与あるいは向上は、多孔質物品中に生成する高分
子物のアニオン性あるいはカチオン性を調整することで
達成される。例えば、リグニンスルホン酸の高分子化物
はカチオン交換能を有するため、木材、木質加工材、木
片、木粉、モミ、藺草、藁、竹材、繊維、紙、パルプと
いった植物由来の多孔質物品のカチオン交換能を向上さ
せることが可能である。また、アニオン交換能の付与あ
るいは向上のためには、o−フェニレンジアミン、p−
フェニレンジアミン、3,4−ジアミノベンゾフェノ
ン、o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、
1,2−ジアミノアンスラキノン、1,4−ジアミノア
ンスラキノンなどのアミノ基を有する芳香族化合物、四
級アンモニウム塩、ポリアリルアミン、あるいはポリエ
チレンイミンを構造部分とする置換基を有する芳香族化
合物をリグニンあるいはリグニン誘導体に添加して使用
することや、芳香族アミン化合物をポリフェノールオキ
シダーゼによって重合することで達成できる。
【0063】本発明の多孔質物品処理によるホルムアル
デヒド吸収性の付与あるいは向上は、本発明の多孔質物
品処理による封止能によって実施可能である。また、ホ
ルムアルデヒド吸収性のさらなる向上のためには、上記
のアニオン交換能の付与あるいは向上のために用いる処
理を行い、ホルムアルデヒドを処理剤中のアミノ基と反
応させることによって達成可能である。また、カテキン
などのポリフェノール物質、あるいはポリフェノール物
質の酸化物は、メチルメルカプタン、トリメチルアミ
ン、アンモニア、さらにはタバコ臭などの悪臭物質との
反応などにより、これらを消臭することが知られてお
り、消臭を目的とした本発明の利用のために有用であ
る。こうしたガス状物質との反応は、反応場の表面積が
大きいほど効率よく進むため、本発明の多孔質物品処理
方法を用いることで、消臭効果の高い物品を製造可能で
ある。
【0064】本発明の多孔質物品処理による難燃性の付
与あるいは向上のための薬剤には、従来知られている多
くの難燃剤が使用可能であるが、例えば、Na、K、M
g、Ca、Ba、Al、Zn、Cu、Mn、Ni、S
i、Sn、Pbなどの元素をカチオン部分に有する、リ
ン酸塩、リン酸水素塩、硫酸塩、硫酸水素塩、炭酸塩、
ホウ酸塩、ケイ酸塩、硝酸塩、フッ化物、塩素化物、臭
化物、水酸化物などが挙げられ、具体的には、水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウ
ム、三酸化アンチモン、メタホウ酸バリウム、酸化錫、
赤リン、リン酸アンモニウムが挙げられる。特に、本発
明のフェノール化合物、アルコキシル基含有芳香族化合
物、ハロゲン化フェノール化合物、キノン化合物、また
は芳香族アミン化合物として、リグニンスルホン酸を利
用する場合、パルプ工場における蒸解プロセスが主に、
亜硫酸カルシウムあるいは亜硫酸マグネシウムにより行
われる結果、得られるリグニンスルホン酸中には炭酸カ
ルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、ある
いは水酸化マグネシウムなどの微粉末が存在している。
本発明の多孔質物品処理により、これらの微粉末を難燃
化剤として有効に利用することが可能である。
【0065】本発明の多孔質物品処理を利用して、例え
ば、木片、木粉、モミ、藺草、藁、竹材、繊維、紙、パ
ルプなどの生分解性を有する天然物由来の材料から容器
を製造することが可能である。これらの容器は目的に応
じて、調湿性、吸水性、撥水性、表面平滑性、生物親和
性、イオン交換性を調整することが望ましい。また、本
発明は酵素的な重合方法を利用するため、人体、環境に
対する安全性が高く、製造される容器は広範な分野での
使用が可能である。また、土壌中、コンポスト中などで
の生分解性が求められる分野において特に有用であり、
本発明の容器を、例えば園芸用ポットに用いれば、容器
内で育苗可能であると共に、容器と一緒にそのまま地面
に移植しても、容器は徐々に生分解するため、移植時の
労力を削減可能である。
【0066】本発明の多孔質物品処理による着色は、o
−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、カテ
コール、没食子酸、ケルセチンなどのポリフェノールオ
キシダーゼが作用できる染料あるいは染料前駆体とポリ
フェノールオキシダーゼを木材に作用させることによ
り、木材中で着色物質を生成すること、あるいは着色物
質と木材中に既に含まれているリグニンなどのポリフェ
ノール化合物を木材中で複合高分子化し、木材を強固に
染色・着色処理することにより達成される。なお、上記
の木材染色・着色処理において、多くのポリフェノール
オキシダーゼは木材中の着色物質であるリグニンを漂白
することが知られており、本発明の木材染色・着色処理
は、酵素的な漂白と染色・着色処理を同時に行うことが
できるため、工程の短縮、色調の向上が図られ極めて有
用である。また、ポリフェノールオキシダーゼと、リグ
ニン、もしくはリグニンスルホン酸、リグニンスルホン
酸塩などのリグニン誘導体を木材処理に用いることで、
木材の芯材部分と辺材部分の色調、色度の差を小さく
し、より均一で、自然な風合いの着色を有する木材を得
ることができる。
【0067】また、本発明のポリフェノールオキシダー
ゼを、フェノール化合物、アルコキシル基含有芳香族化
合物、ハロゲン化フェノール化合物、キノン化合物、ま
たは芳香族アミン化合物と共にコンクリートに添加し、
これらの化合物をコンクリート中で高分子化することに
より、スランプロスの改善、コンクリート強度の向上、
コンクリート中の酸素濃度の低下による鉄筋のサビ抑制
が可能である。
【0068】また、本発明のポリフェノールオキシダー
ゼを、フェノール化合物、アルコキシル基含有芳香族化
合物、ハロゲン化フェノール化合物、キノン化合物、ま
たは芳香族アミン化合物と共に土壌中に添加し、これら
の化合物を土壌中で高分子化することにより、土壌の有
する団粒構造の維持・向上、保水性向上、抗菌剤あるい
はウィルス感染阻止剤の徐放性の向上、種子吹付表土安
定性の向上、植物体の支持力の向上、発塵抑制性の向
上、畝・斜面などでの風雨による土壌・土砂・砂礫など
の崩壊を防止する作用の向上、アスファルト敷設前の土
砂・砂礫の固定性向上といった高分子化合物散布による
効果が得られる。しかも、本発明により、散布時には高
分子化反応が十分には進んでいない状態として、散布液
の粘性を抑えることができ、このことは実際に用いる場
合のハンドリングをより容易なものとするとともに、散
布液の地下への浸透性を向上させることができ、さらに
は、散布後の土壌表面での速い高分子化反応により、散
布表面の粘着性を抑制することができる。
【0069】本発明の多孔質物品の処理剤は、組成物と
して前述のごとく、ポリフェノールオキシダーゼ、フェ
ノール化合物、アルコキシル基含有芳香族化合物、ハロ
ゲン化フェノール化合物、キノン化合物、芳香族アミン
化合物、不飽和化合物、薬剤などを構成成分として含む
が、その必要に応じてさらにpH調整剤、色素、高分子
化合物、比重調整剤、固形物などを含ませることができ
る。本発明による高分子化反応は、ポリフェノール酸化
作用を有する酵素を酸化触媒とするものであり、空気中
の酸素を酸化剤として使用でき、このことは本発明の広
範な利用分野への適用を可能にする。また、高分子化物
を大量に生産する場合には、反応液の機械的な攪拌や、
空気あるいは酸素を反応系に加える操作が有効である。
また、反応液にペルオキシダーゼと過酸化水素、もしく
は過酸化水素の替わりに過酸化水素を生成できるオキシ
ダーゼとその基質を添加し、酸素を酸化剤とする本発明
の反応と、過酸化水素を酸化剤とする反応を同時に進行
させることも可能である。
【0070】本発明の多孔質物品の処理剤は、上記の組
成物を粉末もしくは造粒された粉末として混合すること
により一剤として調製することができる。造粒は、発塵
性を抑えるための、あるいは処理剤の保存性や使用目的
によっては使用上の利便性などの目的で行われる賦形で
あり、具体的には、マルメ造粒、押し出し造粒、流動造
粒、遠心流動造粒等の造粒操作によって行うことができ
る。この場合、処理剤中のポリフェノールオキシダーゼ
の保存安定性を向上させるため、酵素を他の処理剤成分
とは別に酵素安定剤と共に造粒することも有効である。
また、本発明の多孔質物品の処理剤は、使用時に希釈を
行うことを前提とした高濃度溶液、あるいは希釈なしで
使用できる濃度の溶液の何れの方法でも調製可能であ
る。この場合、処理剤組成物が使用前に酸化されること
を防ぐため、処理剤保存時には処理剤を含む容器を密栓
し、外気との接触を避けることが望ましい。また、処理
剤の製造時に、窒素ガス、不活性ガスの使用や、脱気な
どにより酸化を抑制することがより望ましい。また、本
発明の多孔質物品の処理剤を調製する場合、フェノール
化合物または芳香族アミン化合物、さらにはポリフェノ
ールオキシダーゼを他の処理剤成分とは別に調製し、使
用の直前に混合して使用することも可能である。
【0071】本発明において使用できる酸化剤として
は、空気、酸素、オゾン、過酸化水素、過酸化水素前駆
体、過酸前駆体、または過酸を、単独で、または複数組
み合わせて用いることができる。酸化剤の内、過酸化水
素前駆体は水に溶解してパーヒドロキシルイオンを生成
するものである。このような物質には、1水和物もしく
は4水和物のパーボレート、パーカルボネート、過ホウ
砂、過ピロリン酸ナトリウム、過安息香酸、尿素−過酸
化水素反応物、メラミン−過酸化水素反応物、クエン酸
過水和物などがあり、特に好ましくはパーボレート、パ
ーカルボネートである。またさらには、過酸化水素前駆
体としてオキシダーゼ及びその基質による過酸化水素発
生系を用いることもできる。このようなオキシダーゼの
例は、グルコースオキシダーゼ、アルコールオキシダー
ゼ、グリセロールオキシダーゼ、アミンオキシダーゼ、
アミノ酸オキシダーゼ、D−アミノ酸オキシダーゼ、ア
リールアルコールオキシダーゼ、アルデヒドオキシダー
ゼ、ガラクトースオキシダーゼ、ソルボースオキシダー
ゼ、ウレートオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、
コレステロールオキシダーゼなどがあり、特に好ましく
はグルコースオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼで
ある。
【0072】また過酸前駆体は、反応性アシル基を有す
る有機化合物もしくはカルボン酸エステル、カルボン酸
無水物、酢酸塩であり、このような物質にはテトラアセ
チルエチレンジアミン(tetraacetylethylenediamine;
TAED)、テトラアセチルメチレンジアミン(tetraa
cetylmethylenediamine ;TAMD)、テトラアセチル
グリコールウリル(tetraacetylglycoluril ;TAG
U)、ジアセチルジオキソヘキサヒドロトリアジン(di
acetyldioxohexahydrotriazine;DADHT)、ノナノ
イルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(sodium non
anoyloxybenzenesulfonate ;SNOBS)、イソノナ
イルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(sodium iso
nonanoyloxybenzene sulfonate;ISONOBS)、コ
ハク酸無水物、安息香酸無水物、フタル酸無水物、グル
コースペンタアセテート(glucosepentaacetate;PA
G)、キシローステトラアセテートがあり、特に好まし
くは、TAED、SNOBSである。さらに過酸は、例
えばジペルオキシドデカンジオン酸(diperoxydodecane
dioic acid;DPDDA)、ジペルオキシイソフタル酸
(diperoxyisophthalic acid)、モノペルオキシフタル
酸マグネシウム・6水和物(magnesium monoperoxyphth
alate hexahydrate )、ノニルアミドペルオキシアジピ
ン酸(nonylamidoperoxyadipic acid ;NAPAA)で
ある。
【0073】[その他の利用方法]ポリフェノールを構
造部分に有する天然物として、フラボノイド系、キサン
トン系、メラニン系などの植物色素やリグニンが知られ
ており、ポリフェノールオキシダーゼはこれらの天然物
に対する酸化作用を有する。また、毒性が問題になって
いるジクロロフェノール、トリクロロフェノール等のハ
ロゲン置換フェノール(AOX)をもポリフェノールオ
キシダーゼは反応基質にできる。それ故に、例えばこれ
らの天然物や非天然物を含有する廃水処理においても本
発明のポリフェノールオキシダーゼは有用である。
【0074】
【実施例】以下に本発明について代表的な例を示し、さ
らに具体的に説明する。ただし、これらは単なる例示で
あり、本発明はこれらのみに限られるものではない。ま
た、以下の実施例において%とは特に記載しない限り重
量%を表す。
【0075】実施例1:培養及び濃縮 2リットル容のフラスコ4器を培養装置に用い、1%グ
ルコース及び0.2%NH4 Cl、1.34%Na2
PO4 ・12H2 O、0.3%KH2 PO4 、0.1%
NaCl、0.2%ペプトン、0.05%MgSO4
7H2 O、0.02mMCuSO4 を含む500mlの
培地に2N−NaOHを加えてpHを7.5としたもの
を各々のフラスコに調製し、スティルベラ・sp.(St
ilbellasp. )SD3101(受託番号FERM P-15963)
を接種し、27℃、100時間の振とう培養を行った。
培養後、4℃での遠心分離により除菌された培養ブロス
を得た。次に、この除菌された培養ブロスを、ミニタン
・フィルターパケット(CAT.NO.: PTGC0MP04, ミリポア
社製)を用いるミニタン限外ろ過システム(ミリポア社
製)によって、分子量10,000以上の画分として濃縮し
た。
【0076】実施例2:粗精製 1.34%Na2 HPO4 ・12H2 O、0.3%KH
2 PO4 、0.1%NaClによって平衡化したDEA
E−Cellulofine A−800m(生化学工
業(株))カラム(φ60mm, 330cc )の上部に、実施例
1記載の濃縮された培養ブロスをカラム上部の空隙にア
プライし、さらに平衡化に使用したものと同組成の緩衝
液、400mlによるカラム洗浄を行った。次に、1.
34%Na2 HPO4 ・12H2 O、0.3%KH2
4 、0.3%NaClを1回に50mlずつ使用し
て、合計8回の溶出を行ったところ、ポリフェノールオ
キシダーゼ活性を2回目から5回目の画分に得た。これ
らの活性画分は、実施例1記載と同様の限外ろ過システ
ムによって濃縮し、さらに、200ppm NH4 HC
3 に対して透析後、凍結乾燥に供し、粗精製物を凍結
乾燥物として得た。凍結乾燥物のポリフェノールオキシ
ダーゼ活性は5U/mgであった。
【0077】実施例3:培養及び濃縮、粗精製 サゲノメラ・sp.(Sagenomella sp. )SD3102
(受託番号FERM P-15964)の培養及び濃縮を実施例1と
同様に行い、ポリフェノールオキシダーゼ活性を有する
水溶液を得た。さらに、実施例2と同様の粗精製を行
い、凍結乾燥物を得た。凍結乾燥物のポリフェノールオ
キシダーゼ活性は3.5U/mgであった。
【0078】実施例4:培養及び濃縮、粗精製 スタキリジウム・sp.(Stachylidium sp.)SD31
03(受託番号FERM P-15965)の培養及び濃縮を実施例
1と同様に行い、ポリフェノールオキシダーゼ活性を有
する水溶液を得た。さらに、実施例2と同様の粗精製を
行い、凍結乾燥物を得た。凍結乾燥物のポリフェノール
オキシダーゼ活性は2.5U/mgであった。
【0079】実施例5:等電点の測定 実施例2〜4で得たポリフェノールオキシダーゼ活性サ
ンプルを用い、ロトフォア・システム(BIO−RAD
社製)を用いる等電点電気泳動により、活性染色と等電
点を測定した。バッファーにはファルマライト(pH2.5〜
5)(Sigma社から入手)を使用した。また、活性染
色は、電気泳動終了後のゲル・プレートを、50ppm
のシリンガルダジン(syringaldazine)と100mMの
リン酸カリウムバッファー溶液(pH8.2 )を含む水溶液
に浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼによる反応の結
果生じる赤紫色のバンドを観察することで行った。その
結果、スティルベラ・sp.(Stilbella sp. )SD3101
(受託番号FERM P-15963)、サゲノメラ・sp.(Sage
nomella sp. )SD3102(受託番号FERM P-15964)、スタ
キリジウム・sp.(Stachylidium sp.)SD3103(受託
番号FERM P-15965)の等電点はそれぞれ、6.6 ±0.5 、
5.9 ±0.5 、7.0 ±0.5 であった。
【0080】実施例6:基質特異性 実施例2〜4記載の粗精製ポリフェノールオキシダーゼ
を用いて酸化反応の基質特異性を調べた。室温(25
℃)において、0.05mMの基質と0.1Mのリン酸
カリウムバッファー(pH8.0 )を含む溶液における酵素
添加、無添加での酸素消費速度の差を、マノメータ(YS
I Model 5300 Biological Oxygen Monitor、Yellow Spr
ings Instrument Co.,Inc.製)で測定することで行っ
た。この測定ではアスコルビン酸を基質に用いた場合の
酸素消費速度の差(Δ酸素消費速度)が最大であったた
め、この値を100として、相対値で結果を表1に示し
た。なお、対照として、市販アスコルビン酸オキシダー
ゼ(Cucumis sp. 由来、フナコシ( 株) から入手)を用
いて同様の測定を行った場合の結果も併せて示した。
【0081】
【表1】
【0082】実施例7:分子量 分子量測定は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GFC)
を用いて行った。1.34%Na2 HPO4 ・12H2
O、0.3%KH2 PO4 、1%NaClによって流速
1.0ml/minで平衡化したGFCカラム(Shodex
PROTEINKW-802.5, 2連)とUV検出器(280n
m)を用いるHPLCにより、実施例2〜4記載の粗精
製ポリフェノールオキシダーゼの分析及び分取と活性測
定を行ったところ、ポリフェノールオキシダーゼ活性ピ
ークはそれぞれ、分子量76,000±5000、33,000±5000、
55,000±5000の位置に溶出された。なお、分子量マーカ
ー蛋白質として、オリエンタル工業(株)のMW−Ma
rker(HPLC)を使用した。
【0083】実施例8:5リットル容フラスコでの培養
及び粗精製 1%グルコース及び0.2%NH4 Cl、1.34%N
2 HPO4 ・12H2 O、0.3%KH2 PO4
0.1%NaCl、0.2%ペプトン、0.05%Mg
SO4 ・7H2 O、0.02mMCuSO4 からなる1
リットルの培地に2N−NaOHを加えてpHを7.5
としたものを含む5リットル容のフラスコ,2器に、ス
ティルベラ・sp.(Stilbella sp. )SD3101
(受託番号FERM P-15963)を接種し、28℃、5日間の
振とう培養を行った。培養後、4℃での遠心分離により
除菌された培養ブロス1.8リットルを得た。次に、こ
の培養ブロスの一部を、ミニタン・フィルターパケット
(CAT.NO.: PTGC0MP04, ミリポア社製)を用いるミニタ
ン限外ろ過システム(ミリポア社製)によって、分子量
10,000以上の画分として濃縮した。これをさら
に、DEAE−Cellulofine A−800m
カラムクロマトグラフィーに供し、溶出した活性画分を
再び、上記のミニタン限外ろ過システムによって、分子
量10,000以上の画分として再濃縮した。さらにこ
の再濃縮液を200ppmNH4 HCO3 に対して透析
後、凍結乾燥に供し、粗精製物を凍結乾燥品として得
た。凍結乾燥品のポリフェノールオキシダーゼ活性は8
U/mgであった。
【0084】また、同様の培養および粗精製操作によ
り、サゲノメラ・sp.(Sagenomella sp. )SD31
02(受託番号FERM P-15964)およびスタキリジウム・
sp.(Stachylidium sp.)SD3103(受託番号FE
RM P-15965)の生産するポリフェノールオキシダーゼの
凍結乾燥品を得た。活性はそれぞれ5U/mg、4.5
U/mgであった。
【0085】実施例9:従来のポリフェノールオキシダ
ーゼとの混合 試薬として市販されているポリフェノールオキシダーゼ
Rigidoporus zonalis 由来、TaKaRa(株)から入手)
と、実施例8記載の3種の凍結乾燥品を混合したものを
用いて様々なpHで活性測定を行ったところ、図11に
示したようにpH4〜10の広範囲のpHにおいて酸化
反応が速やかに進行した。
【0086】実施例10:高分子化反応 リグニンスルホン酸ナトリウム塩(アルドリッチ・ケミ
カル・カンパニ(Aldrich Chemical Company,Inc. )か
ら入手)を30%(W/V)、ポリフェノールオキシダー
ゼとして、実施例8記載のスティルベラ・sp.(Stil
bella sp. )SD3101(受託番号FERM P-15963)から得た
凍結乾燥品を300 U/リットルの活性濃度で含有する反
応液1mlを調製し、ガラス試験管において、反応温度
30℃、100r.p.m. の振とうを行い反応を実施した。反応
液のpHは微量の硫酸により8.2に調整した。反応開
始後、直ちに反応液の色調は濃くなり、8時間後には顕
著な高分子化の進行が認められ、20時間後には反応液
の大部分が固化した。
【0087】また、ポリフェノールオキシダーゼをサゲ
ノメラ・sp.( Sagenomella sp.)SD3102(受託番号
FERM P-15964)またはスタキリジウム・sp.(Stachy
lidium sp.)SD3103(受託番号FERM P-15965)から得た
凍結乾燥品に変えて上記実施例と同様に反応を行った場
合も同様の速度で高分子化と固化が進行した。また、リ
グニンスルホン酸の替わりにリグニン(アルカリ)(na
calai tesqueから入手)を30%(W/V)の濃度で用
い、300 U/リットルのポリフェノールオキシダーゼの
活性濃度、pH8.5 で反応を実施したところ、高分子化
反応の進行の結果、反応開始の24時間後には反応液全体
が粘性の高い液状を呈した。
【0088】なお、分子量分析用サンプルは、反応液の
一部を抜き取り、水浴中で約100 ℃、15分間の加熱処理
を行い、反応を停止し、これをHPLCによって分析し
た。HPLCでの分析は、溶離液として50mMのリン
酸カリウムバッファー(pH7.0)もしくは0.1 mMの
硫酸ナトリウム水溶液、検出器としてShodex RI(昭
和電工(株)製示差屈折率検出器)を用い、さらにはカ
ラムとして、Shodex PROTEIN KW-802.5 (2連)、もし
くはShodex PROTEIN KW802.5(昭和電工(株)製)とSh
odex OHpak SB-804HQ (昭和電工(株)製)を連結した
ものを用いるGFCによって行った。
【0089】なお、リグニンスルホン酸ナトリウム塩を
30%(W/V)、ポリフェノール酸化酵素として市販の
ポリフェノールオキシダーゼ(Rigidoporus zonalis
来、TaKaRa(株)から入手)を300 U/リットルの活性
濃度で含有する反応液1mlを調製し、ガラス試験管に
おいて、反応温度30℃、100r.p.m. の振とうを行い反応
を実施した。ここで用いた市販のポリフェノールオキシ
ダーゼは、シリンガルダジンを用いる活性測定で、pH
6〜7に至適反応pHを有する酸性酵素であることが示
されたため、高分子化反応での反応液のpHは少量の硫
酸を用いて6.5に調整した。反応開始後、直ちに反応液
の色調は濃くなったが、反応液の大部分が固化するため
には、約80時間の反応時間を要した。また、この酵素を
反応液のpHが8.5 の状態で同様の高分子化反応に用い
た場合は、反応開始後80時間においても固化は認められ
なかった。
【0090】実施例11:土壌改質 リグニンスルホン酸ナトリウム塩を30%(W/V)、ポ
リフェノールオキシダーゼとして実施例8記載のスティ
ルベラ・sp.(Stilbella sp. )SD3101(受託番号FE
RM P-15963)から得た凍結乾燥物を100 U/リットルの
活性濃度で添加し、反応温度30℃、pH8.5 で高分子化
反応を行い、水溶性の高分子化リグニンスルホン酸を
得、これを水で2倍に希釈したものを調製した。希釈前
の溶液の粘度は、R型粘度計(VISCONIC EHD R(ROTER N
o.7)、東京計器Co.,LTD社製)による測定で、ずり
速度1のとき16Pa・s、ずり速度2のとき14.5Pa・s、ずり
速度20のとき11.25Pa・s であった。なお、熱などによ
る高分子化反応の停止操作は行わなかった。
【0091】この高分子化リグニンスルホン酸水溶液
3.0mlもしくは水 3.0mlを、40g重量の畑土壌を含
む50ml容のガラスビーカーにおいて、土壌表面に噴霧
し、28℃でインキュベートし、乾燥による重量の減少を
測定した。60時間後に、高分子化リグニンスルホン酸溶
液を噴霧したものは約8g、水を噴霧したものは約11
gの重量の減少を示し、高分子化リグニンスルホン酸に
よる保水性の向上が認められた。また、高分子化リグニ
ンスルホン酸溶液を噴霧したものでは土壌表面の硬度の
向上が認められ、団粒構造の保持、土壌改質、種子吹付
表土安定化などを目的とする用途に有用であることが示
された。また、ポリフェノールオキシダーゼをサゲノメ
ラ・sp.(Sagenomella sp.)SD3102(受託番号FERM
P-15964)またはスタキリジウム・sp.(Stachylidiu
m sp.)SD3103(受託番号FERM P-15965)から得た凍結
乾燥品に変えて上記実施例と同様に反応を行った場合
も、同等の保水性向上、土壌表面の硬度の向上を認め
た。
【0092】実施例12:木材処理 1%のp-フェニレンジアミン・二塩酸(関東化学(株)
から入手)水溶液を少量のNaOHを用いてpH8.5 に
調製したものに、ポリフェノールオキシダーゼとして実
施例8記載のスティルベラ・sp.(Stilbella sp.
SD3101(受託番号FERM P-15963)から得た凍結乾燥物を
20U/リットルの活性濃度で添加し、直ちに、この溶液
にスギ木片(3cm×3cm×1cm、木口面が3cm
×3cm)を沈めた状態で、650〜700mmHgで
の減圧を30分間実施し、さらに浸漬したまま常圧に1
5分間放置した。その後、木片を取り出して表面の溶液
を拭き取り、24℃で2日間放置して、乾燥と酵素反応
を進行させた。さらに、この木片に水200mlを加
え、水面下に木片を沈めた状態で、25℃、8時間、マ
グネチックスターラーを用いて回転子を回転させた後、
木片を取り出して表面の水を拭き取り、24℃で4日間
放置して乾燥させた。こうして得られた木片では、着色
反応が木片表面及び内部で速やかに進行し、黒褐色の着
色物が沈着した結果、木片内部においても強固に着色さ
れていた。
【0093】実施例13:木材処理 実施例8記載のポリフェノールオキシダーゼ(凍結乾燥
物)を300U/リットル、及びリグニンスルホン酸ナ
トリウム塩を5%(W/V)、0.04M硫酸銅、さらに0.
08Mエチレンジアミンを含む木材処理用の反応液を調製
し、スギ木片(3cm×3cm×2cm、木口面が3c
m×3cm)に対して減圧含浸処理を行った。なお、p
Hの調整には、水酸化ナトリウムもしくは硫酸を使用し
た。また、減圧含浸操作は、処理液中にスギ木片を浸漬
した後に650〜700mmHgでの減圧を1時間実施
し、さらに浸漬したまま常圧に30分間置くという簡便
法によって行った。この減圧含浸操作により、充分量の
処理液(10〜14g量)が注入されていることを、含
浸操作の前後の木片重量の測定により確認した。
【0094】さらに、含浸処理を終えた木片を28℃の
恒温室に5日間置き、乾燥と高分子化反応を行った後
に、それぞれの木片に水200mlを加え、水面下に木
片を沈めた状態で、マグネチックスターラーを用いて回
転子を回転させ、25±3℃で8時間の攪拌を行うこと
で、溶脱操作を行った。そして、溶脱操作後の水(溶脱
液)について、280nmでの吸光度を測定することで
リグニンスルホン酸の溶脱量を、また、1−(2−ピリ
ジルアゾ)−2−ナフトール(1-(2-Pyridylazo)-2-nap
hthol 、アルドリッチ・ケミカル・カンパニから入手、
PANと略記する)を用いる錯形成と吸光分析を行うこ
とで薬剤の溶脱量を算出した。その結果、ポリフェノー
ル酸化酵素とリグニンスルホン酸を用いる木材圧力処理
により、効果的な薬剤注入と固定が可能であること、p
H8以上のアルカリ側において特にその効果が大きいこ
とが示された。対照として、ポリフェノール酸化酵素が
存在しない場合などの結果も併せて、詳細な結果を表2
に示した。
【0095】
【表2】
【0096】実施例14:木材処理 実施例8記載のスティルベラ・sp.(Stilbella sp.
)SD3101(受託番号FERM P-15963)由来ポリフ
ェノールオキシダーゼ(凍結乾燥物)を300U/リッ
トル、及びリグニンスルホン酸ナトリウム塩を5%(W
/V)、さらに様々な薬剤を含む木材処理用の反応液を
調製し、実施例13と同様にスギ木片の減圧含浸処理と
乾燥・高分子化反応、溶脱処理を行った。なお、水溶性
の低い薬剤においては、リグニンスルホン酸水溶液を60
〜90℃に加温してから薬剤を添加し、さらにボルテック
ス・ミキサーにより薬剤を懸濁、分散あるいは溶解させ
た後、25℃に冷却し、ここにポリフェノールオキシダ
ーゼ凍結乾燥物を添加することで処理液を調製した。
【0097】そして、溶脱操作後の水(溶脱液)につい
て、280nmでの吸光度を測定することでリグニンス
ルホン酸の溶脱量を、また、PANもしくはキナリザリ
ン(和光純薬工業(株)から入手)を用いる錯形成と吸
光分析や、HPLCあるいはガスクロマトグラフィーを
用いる分離・同定・定量、もしくは原子吸光分析を行う
ことで薬剤の溶脱量を算出した。使用した薬剤が280
nmでの吸収を有する場合は、前記の方法で濃度を測定
した薬剤の280nmにおける吸光度を算出し、溶脱液
の280nmでの吸光度から薬剤による影響分を除算す
ることで、リグニンスルホン酸の濃度を算出した。そし
て、含浸処理時に注入されたリグニンスルホン酸及び薬
剤の量を100%として、溶脱量を比較した。その結
果、ポリフェノール酸化酵素とリグニンスルホン酸を用
いる木材圧力処理により、効果的な薬剤注入と固定が可
能であること、pH8以上のアルカリ側において特にそ
の効果が大きいことが示された。対照として、ポリフェ
ノール酸化酵素が存在しない場合の結果も併せて、詳細
な結果を表3に示した。なお、(+)−カテキン・H2
O、タンニン酸、アリルイソチオシアネートはアルドリ
ッチ・ケミカル・カンパニから、炭酸銅(炭酸銅(II)
一水和物)、硫酸銅、硫酸亜鉛、塩化ニッケル、ホウ
酸、硫酸銀は和光純薬工業(株)から、ヒノキチオー
ル、1,3,5−トリクリロロベンゼンは東京化成工業
(株)からそれぞれ入手した。
【0098】
【表3】
【0099】実施例15:木材処理 ポリフェノール酸化酵素系として、実施例8記載のサゲ
ノメラ・sp.(Sagenomella sp. )SD3102(受
託番号FERM P-15964)由来ポリフェノールオキシダーゼ
(凍結乾燥物)を300U/リットル、市販ペルオキシ
ダーゼを5000U/リットル、及びアルコールオキシ
ダーゼを5000U/リットル、さらにメタノールを1
%の濃度で使用し、実施例13と同様にスギ木片の減圧
含浸処理と乾燥・高分子化反応、溶脱処理を行い、含浸
処理時に注入されたリグニンスルホン酸及び薬剤の量を
100%として、溶脱量を比較した。その結果、同様に
効果的な薬剤注入と固定が可能であることが示された。
詳細な結果を表4に示した。なお、ペルオキシダーゼは
西洋ワサビ由来品(TypeII,Sigmaから入
手)、アルコールオキシダーゼはカンディダ・ボイディ
ニ(Candida boidini )由来品(Boehringer
Mannheim Biochemicaから入手)
を使用した。
【0100】
【表4】
【0101】実施例16:木材処理 実施例8記載のスティルベラ・sp.(Stilbella sp.
)SD3101(受託番号FERM P-15963)由来ポリフ
ェノールオキシダーゼ(凍結乾燥物)を300U/リッ
トル、リグニンスルホン酸ナトリウム塩を5%(W/
V)、さらに桐油を2000ppm含む木材処理用の反
応液を調製し、実施例13と同様にスギ木片の減圧含浸
処理と乾燥・高分子化反応、溶脱処理を行い、含浸処理
時に注入されたリグニンスルホン酸及び薬剤の量を10
0%として、溶脱量を比較した。その結果、薬剤固定性
のさらなる向上が認められた。詳細な結果を表5に示し
た。
【0102】
【表5】
【0103】実施例17:木材処理 ワサビの根茎部10gをミキサーにより破砕後、水を1
0ml加え、これを布巾でろ過することでワサビ抽出液
を得た。そして、実施例8記載のスティルベラ・sp.
Stilbella sp. )SD3101(受託番号FERM P-159
63)由来ポリフェノールオキシダーゼ(凍結乾燥物)を
300U/リットル、リグニンスルホン酸ナトリウム塩
を5%(W/V)、さらに前記のワサビ抽出液を5%含
む木材処理用の反応液を調製し、実施例13と同様にス
ギ木片の減圧含浸処理と乾燥・高分子化反応、溶脱処理
を行い、含浸処理時に注入されたリグニンスルホン酸の
量を100%として、溶脱量を算出したところ、木材内
部での重合反応の進行の結果、リグニンスルホン酸の溶
脱量は 5.8%に留まっており、ワサビ抽出物を含有する
木材処理物が得られることが示された。
【0104】実施例18:木材処理 実施例8記載のスティルベラ・sp.(Stilbella sp.
)SD3101(受託番号FERM P-15963)由来ポリフ
ェノールオキシダーゼ(凍結乾燥物)を300U/リッ
トル、リグニンスルホン酸ナトリウム塩を5%(W/
V)、さらに様々な薬剤を含む木材処理用の反応液を調
製し、実施例3及び4と同様にスギ木片(3cm×3c
m×2cm、木口面が3cm×3cm)に対する減圧
(前排気)及び加圧含浸処理を行った。減圧及び加圧
は、圧力反応器(3リットル容)内にスギ木片をセット
し、さらに木片の上に木片を沈めるための重りを載せた
後、まず、真空ポンプを用いて600〜720mmH
g、30分間の前排気を行い、次に反応器内部の陰圧を
利用して処理液を流入することで処理液中への木材の浸
漬を行い、さらにポンプ(T-50K TEST-PUMP,キョーワ(
株) 社製)を用いて処理液を流入させ、10気圧、1時
間の加圧を行った。含浸処理後の木片は、さらに実施例
13と同様に乾燥・高分子化反応と溶脱処理を行い、含
浸処理時に注入されたリグニンスルホン酸及び薬剤の量
を100%として、溶脱量を比較した。その結果、同様
に効果的な薬剤注入と固定が可能であることが示され
た。詳細な結果を表6に示した。
【0105】
【表6】
【0106】実施例19:木材処理 実施例8記載のスティルベラ・sp.(Stilbella sp.
)SD3101(受託番号FERM P-15963)由来ポリフ
ェノールオキシダーゼ(凍結乾燥物)を300U/リッ
トル、リグニンスルホン酸ナトリウム塩を2%(W/
V)含む木材処理用の反応液を調製し、実施例18と同
様にスギ木片の減圧及び加圧含浸処理と乾燥・高分子化
反応を行った。なお、反応液のpHは 8.5に調整した。
次に、0.4%(W/V)ポリエチレンイミン(アルド
リッチ・ケミカル・カンパニから入手,平均分子量70
0)と0.02M硫酸銅を含む水溶液を調製し、前記の木片
に対して実施例18と同様の減圧及び加圧含浸処理を行
うことで2段階目の含浸操作を行った。こうして得られ
た処理木材を6日間風乾した後、実施例13と同様の溶
脱処理を行い、含浸処理時に注入された銅イオンの量を
100%として、溶脱量を算出したところ、銅イオンの
溶脱量は 1.5%に留まっていた。木材内部でのリグニン
スルホン酸の重合・固定と、リグニンスルホン酸、銅イ
オン、及びポリエチレンイミンの複合物の形成により、
銅イオンが木材内に強固に固定されることが示された。
【0107】また、第1段階として、5%(W/V)ポ
リエチレンイミンと0.25M硫酸銅を含む水溶液を、実施
例13と同様にしてスギ木片に注入した後、6日間風乾
し、さらに、実施例8記載のスティルベラ・sp.(St
ilbella sp. )SD3101(受託番号FERM P-15963)
由来ポリフェノールオキシダーゼ(凍結乾燥物)を30
0U/リットル、リグニンスルホン酸ナトリウム塩を1
0%(W/V)含む反応液をこの木片に塗布し、28
℃、相対湿度80%の恒温恒湿インキュベーターに3日
間置き、酵素重合反応を進行させた。その結果得られた
木片は、銅錯体の木材表面への移行が防止されており、
しかも、より自然な褐色の表面色を付与されていた。
【0108】実施例20:木材処理 実施例8記載のスティルベラ・sp.(Stilbella sp.
)SD3101(受託番号FERM P-15963)由来ポリフ
ェノールオキシダーゼ(凍結乾燥物)を300U/リッ
トル、リグニンスルホン酸ナトリウム塩を5%(W/
V)、さらに0.5%のp−フェニレンジアミン・二塩
酸(関東化学(株)から入手)含む木材処理用の反応液
を調製し、一部に芯材を含むスギ木片(3cm×3cm
×10cm、木口面が3cm×3cm)に対して実施例
18と同様の減圧及び加圧含浸処理を行い、さらに、実
施例13と同様の乾燥・高分子化反応、溶脱処理を行っ
たところ、木材の辺材部分がより強く含浸、発色、固定
された結果、木材の芯材部分と辺材部分の色調、色度の
差は小さくなり、より均一な外観を有する、茶褐色の着
色を有する木材を得ることができた。
【0109】実施例21:木材処理物の抗菌性試験 500ml容のガラス・ビーカーを培養器に用い、4%
グルコース、1.5%麦芽抽出物、0.3%ペプトン、
2%寒天をむ100mlの寒天培地(pH6.5)に、
腐朽菌であるオオウズラタケ(Tyromyces palustris )
FEPRI 0507 もしくはカワラタケ(Coriolus versicolo
r ) FEPRI 1030 (共に、農林水産省森林総合研究所よ
り入手)を接種し、26℃、1週間の培養を行った。こ
のようにして得られた培養菌の上に、実施例18におい
て得られた溶脱処理後の木片を、カワラタケでは直接
に、オオウズラタケでは殺菌した約1mmの厚さの耐熱
性プラスチックの網を置きその上に、繊維方向を垂直に
して載せ、26℃で12週間置くことで抗菌操作を行っ
た。なお、抗菌操作の前に、実施例9において得られた
溶脱処理後の木片を60℃の乾燥器中に48時間置き、
さらに30分間デシケータ中に置くことで十分に乾燥さ
せた後、抗菌操作前の重量を測定した。抗菌操作終了
後、木片を培養器から取り出し、表面の菌糸を十分に取
り除き、約24時間風乾した後、前記と同様に、乾燥器
とデシケータを用いて十分に乾燥させてから重量を測定
し、抗菌操作前の重量と比較して、重量減少率を算出し
た。その結果、本発明の木材処理方法により、抗菌性の
付与が可能であることが示された。詳細な結果を表7に
示した。
【0110】
【表7】
【0111】実施例22:木材処理物の防蟻性試験 実施例18において得られた溶脱処理後の木片につい
て、実施例21と同様に乾燥重量を測定し、これらを、
イエシロアリの巣の周囲約40cmの土壌上に設置し、
2ヶ月間放置の後、防蟻効果を観察した。そしてさら
に、表面の土などを十分に取り除き、実施例21と同様
に乾燥重量を測定し、設置前の重量と比較して、重量減
少率を算出した。その結果、本発明の木材処理方法によ
り、防蟻性の付与が可能であることが示された。詳細な
結果を表8に示した。
【0112】
【表8】
【0113】実施例23:多孔質物品処理剤 実施例8記載のスティルベラ・sp.(Stilbella sp.
)SD3101(受託番号FERM P-15963)由来ポリフ
ェノールオキシダーゼ(凍結乾燥物)を12mg、及び
リグニンスルホン酸ナトリウム塩粉末10gに、さらに
様々な薬剤を加え、乳鉢を用いて十分に混合した。さら
に、この粉末を用いて5%水溶液を調製した場合に、p
Hが 8.0〜 9.0になるように少量の炭酸ナトリウム粉末
を必要に応じて添加し、十分に混和して、粉末状の多孔
質物品処理剤を得た。次に、この粉末状処理剤を2週
間、ガラス容器内に密栓した状態で室温に置いた後で、
粉末5gをイオン交換水100mlに溶解して多孔質物
品処理用の溶液を調製した。この溶液を用いて、実施例
13と同様にスギ木片の減圧及び加圧含浸処理と乾燥・
高分子化反応、溶脱処理を行い、含浸処理時に注入され
たリグニンスルホン酸及び薬剤の量を100%として、
溶脱量を比較した。その結果、粉末状処理剤により多孔
質物品の効果的な処理が可能であることが示された。詳
細な結果を表9に示した。
【0114】また、上記と同様にして得た粉末状処理剤
の6gをイオン交換水12mlに溶解して溶液状の多孔
質物品処理剤を得た。次に、この溶液状処理剤を20m
l容ネジキャップ・試験管に移し、密栓した状態で2週
間、室温に置いた後で、さらにイオン交換水により10
倍に希釈して多孔質物品処理用の溶液を調製した。この
溶液を用いて、実施例13と同様にスギ木片の減圧及び
加圧含浸処理と乾燥・高分子化反応、溶脱処理を行い、
含浸処理時に注入されたリグニンスルホン酸及び薬剤の
量を100%として、溶脱量を比較した。その結果、溶
液状処理剤によっても多孔質物品の効果的な処理が可能
であることが示された。詳細な結果を表10に示した。
【0115】
【表9】
【0116】
【表10】
【0117】
【発明の効果】以上詳細に説明した通り、本発明によ
り、フェノール化合物、アルコキシル基含有芳香族化合
物、ハロゲン化フェノール化合物、キノン化合物、また
は芳香族アミン化合物の効率のよい高分子化反応が達成
され、その高分子化合物を含む増粘剤、安定剤、凝集
剤、乳化剤、分散剤、保水剤、酸化防止剤、接着剤、コ
ンクリート混和剤、染色剤、塗料、石油回収剤、土壌改
質剤、種子吹付表土安定剤、目止め剤、脱臭剤、消臭
剤、農薬展着剤、殺菌剤、抗菌剤、ウィルス感染阻止
剤、生物付着防止剤、生物忌避剤、殺虫剤、パップ剤、
インキ基剤または木材処理剤が効率よく提供される。
【0118】また、本発明を利用することにより、フェ
ノール化合物、アルコキシル基含有芳香族化合物、ハロ
ゲン化フェノール化合物、キノン化合物、または芳香族
アミン化合物を高分子化する工程を含む、増粘剤、安定
剤、凝集剤、乳化剤、分散剤、保水剤、酸化防止剤、接
着剤、コンクリート混和剤、染色剤、塗料、石油回収
剤、土壌改質剤、種子吹付表土安定剤、目止め剤、脱臭
剤、消臭剤、農薬展着剤、殺菌剤、抗菌剤、ウィルス感
染阻止剤、生物付着防止剤、生物忌避剤、殺虫剤、パッ
プ剤、インキ基剤または木材処理剤の効率のよい製造方
法が提供される。また、本発明のポリフェノールオキシ
ダーゼを用いることにより、有効な木材処理、コンクリ
ート処理、土壌処理等の方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】SD3101の生産するポリフェノールオキシダーゼ
のpHプロファイル。
【図2】SD3102の生産するポリフェノールオキシダーゼ
のpHプロファイル。
【図3】SD3103の生産するポリフェノールオキシダーゼ
のpHプロファイル。
【図4】SD3101の生産するポリフェノールオキシダーゼ
の温度プロファイル。
【図5】SD3102の生産するポリフェノールオキシダーゼ
の温度プロファイル。
【図6】SD3103の生産するポリフェノールオキシダーゼ
の温度プロファイル。
【図7】SD3101の生産するポリフェノールオキシダーゼ
の温度安定性を示すグラフ。
【図8】SD3102の生産するポリフェノールオキシダーゼ
の温度安定性を示すグラフ。
【図9】SD3103の生産するポリフェノールオキシダーゼ
の温度安定性を示すグラフ。
【図10】ポリフェノールオキシダーゼのpH安定性を
示すグラフ。
【図11】ポリフェノールオキシダーゼ混合物のpHプ
ロファイル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08J 7/16 C08J 7/16 9/40 9/40 C12N 9/04 C12N 9/04 E C12P 1/00 C12P 1/00 Z 15/00 15/00 //(C12N 9/04 C12R 1:645) (72)発明者 大野 律子 東京都港区新橋4丁目31番7号 吉澤ビル 2階 昭光通商株式会社Shodexサー ビスセンター内

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の特性: (1)作用:ポリフェノールを酸化する; (2)至適反応pH:pH8.2〜8.5付近に至適反
    応pHを有する; (3)至適反応温度:50℃付近に至適反応温度を有す
    る; (4)分子量:ゲルろ過クロマトグラフィー(GFC)
    分析により測定した分子量が約33,000〜76,0
    00の範囲内にある; (5)等電点:等電点電気泳動により測定した等電点が
    約5.9〜7.0の範囲内にある;を有するポリフェノ
    ールオキシダーゼを作用させることを特徴とする、フェ
    ノール化合物、アルコキシル基含有芳香族化合物、ハロ
    ゲン化フェノール化合物、キノン化合物、または芳香族
    アミン化合物の高分子化方法。
  2. 【請求項2】 pH8以上のアルカリ域においてポリフ
    ェノールオキシダーゼを作用させることを特徴とする請
    求項1に記載の高分子化方法。
  3. 【請求項3】 ペルオキシダーゼ作用を有する物質と共
    にポリフェノールオキシダーゼを用いることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の高分子化方法。
  4. 【請求項4】 オキシダーゼ及びその基質と共にポリフ
    ェノールオキシダーゼを用いることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の高分子化方法。
  5. 【請求項5】 酸化剤として空気、酸素、オゾン、過酸
    化水素、過酸化水素前駆体、過酸前駆体または過酸を、
    単独で、または複数組み合わせて用いることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の高分子化方法。
  6. 【請求項6】 以下の特性: (1)作用:ポリフェノールを酸化する; (2)至適反応pH:pH8.2〜8.5付近に至適反
    応pHを有する; (3)至適反応温度:50℃付近に至適反応温度を有す
    る; (4)分子量:GFC分析により測定した分子量が約3
    3,000〜76,000の範囲内にある; (5)等電点:等電点電気泳動により測定した等電点が
    約5.9〜7.0の範囲内にある;を有するポリフェノ
    ールオキシダーゼを、フェノール化合物、アルコキシル
    基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キ
    ノン化合物、または芳香族アミン化合物に作用させ、高
    分子化することを特徴とする分子量の増大した化合物の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 以下の特性: (1)作用:ポリフェノールを酸化する; (2)至適反応pH:pH8.2〜8.5付近に至適反
    応pHを有する; (3)至適反応温度:50℃付近に至適反応温度を有す
    る; (4)分子量:GFC分析により測定した分子量が約3
    3,000〜76,000の範囲内にある; (5)等電点:等電点電気泳動により測定した等電点が
    約5.9〜7.0の範囲内にある;を有するポリフェノ
    ールオキシダーゼを、フェノール化合物、アルコキシル
    基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キ
    ノン化合物、または芳香族アミン化合物と、不飽和脂肪
    酸、不飽和アルコール、不飽和アルキル化合物、もしく
    は乾性油との混合物に作用させ、高分子化反応を行うこ
    とを特徴とする分子量の増大した化合物の製造方法。
  8. 【請求項8】 以下の特性: (1)作用:ポリフェノールを酸化する; (2)至適反応pH:pH8.2〜8.5付近に至適反
    応pHを有する; (3)至適反応温度:50℃付近に至適反応温度を有す
    る; (4)分子量:GFC分析により測定した分子量が約3
    3,000〜76,000の範囲内にある; (5)等電点:等電点電気泳動により測定した等電点が
    約5.9〜7.0の範囲内にある;を有するポリフェノ
    ールオキシダーゼを、フェノール化合物、アルコキシル
    基含有芳香族化合物、ハロゲン化フェノール化合物、キ
    ノン化合物、または芳香族アミン化合物と、芳香剤、消
    臭剤、防錆剤、難燃化剤、抗菌剤、防腐剤、殺菌剤、防
    虫剤、抗ウィルス剤、及び生物忌避剤から選ばれる少な
    くとも1種の薬剤との混合物に作用させ、高分子化反応
    を行うことを特徴とする分子量の増大した化合物の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 薬剤が、金属塩、金属化合物、あるいは
    金属錯体の溶液もしくは微粉体である請求項8記載の分
    子量の増大した化合物の製造方法。
  10. 【請求項10】 金属が、銅、砒素、亜鉛、クロム、ニ
    ッケル、アルミニウム、モリブデン、マグネシウムある
    いは銀から選ばれる少なくとも1種である請求項9記載
    の分子量の増大した化合物の製造方法。
  11. 【請求項11】 薬剤が、ホウ素塩、ホウ素系化合物、
    あるいはホウ素含有錯体の溶液もしくは微粉体である請
    求項8記載の分子量の増大した化合物の製造方法。
  12. 【請求項12】 薬剤が、植物由来の抽出物、抽出成
    分、あるいは植物抽出成分と同等の構造を有する合成物
    である請求項8記載の分子量の増大した化合物の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 薬剤が、水酸基、アミノ基、ハロゲ
    ン、ニトロ基から選ばれる置換基を1つあるいは複数有
    する芳香族化合物あるいは環状化合物である請求項8記
    載の分子量の増大した化合物の製造方法。
  14. 【請求項14】 フェノール性化合物及び/または芳香
    族アミン化合物が、リグニンもしくはリグニン誘導体で
    ある請求項6〜13のいずれかに記載の分子量の増大し
    た化合物の製造方法。
  15. 【請求項15】 リグニン誘導体がリグニンスルホン酸
    もしくはリグニンスルホン酸塩である請求項14記載の
    分子量の増大した化合物の製造方法。
  16. 【請求項16】 pH8以上のアルカリ域においてポリ
    フェノールオキシダーゼを作用させることを特徴とする
    請求項6〜15のいずれかに記載の分子量の増大した化
    合物の製造方法。
  17. 【請求項17】 ペルオキシダーゼ作用を有する物質と
    共にポリフェノールオキシダーゼを用いることを特徴と
    する請求項6〜16のいずれかに記載の分子量の増大し
    た化合物の製造方法。
  18. 【請求項18】 オキシダーゼ及びその基質と共にポリ
    フェノールオキシダーゼを用いることを特徴とする請求
    項6〜17のいずれかに記載の分子量の増大した化合物
    の製造方法。
  19. 【請求項19】 酸化剤として空気、酸素、オゾン、過
    酸化水素、過酸化水素前駆体、過酸前駆体または過酸
    を、単独で、または複数組み合わせて用いることを特徴
    とする請求項6〜18のいずれかに記載の分子量の増大
    した化合物の製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項6〜19のいずれかに記載の分
    子量の増大した化合物の製造方法を用いることを特徴と
    する、増粘剤、安定剤、凝集剤、乳化剤、分散剤、保水
    剤、調湿剤、酸化防止剤、接着剤、染色剤、塗料、防錆
    剤、難燃化剤、石油回収剤、土壌改質剤、種子吹付表土
    安定剤、脱臭剤、消臭剤、農薬展着剤、脱酸素剤、防腐
    剤、殺菌剤、抗菌剤、ウィルス感染阻止剤、生物付着防
    止剤、生物忌避剤、殺虫剤、防虫剤、パップ剤、インキ
    基剤、コンクリート混和剤または木材処理剤の製造方
    法。
  21. 【請求項21】 請求項6〜19のいずれかに記載の製
    造方法を実施するための反応を、土壌中で行うことを特
    徴とする土壌処理方法。
  22. 【請求項22】 請求項6〜19のいずれかに記載の製
    造方法を実施するための反応を、多孔質物品中で行うこ
    とを特徴とする多孔質物品の処理方法。
  23. 【請求項23】 反応液を加圧及び/または減圧により
    多孔質物品中に含浸して実施することを特徴とする請求
    項22記載の多孔質物品の処理方法。
  24. 【請求項24】 加圧を1〜20気圧で実施することを
    特徴とする請求項23に記載の多孔質物品の処理方法。
  25. 【請求項25】 多孔質物品が金属焼結体、鋳造品、合
    金、ダイカスト品、セラミックス、レンガ、コンクリー
    ト、木材、木質加工材、モミ、藺草、藁、竹材、もしく
    は合成樹脂の発泡体である請求項22〜24のいずれか
    に記載の多孔質物品の処理方法。
  26. 【請求項26】 請求項22〜25のいずれかに記載の
    処理方法を用いることを特徴とする、強度、耐磨耗性、
    耐候性、防錆性、難燃性、抗菌性、防腐性、殺菌性、防
    虫性、殺虫性、抗ウィルス性、生物忌避性、接着性、薬
    剤徐放性、着色、寸法安定性、割れ防止性、消臭性、脱
    酸素性、調湿性、吸水性、撥水性、表面平滑性、生物親
    和性、イオン交換性、ホルムアルデヒド吸収性、薬剤溶
    脱防止性、あるいは無機化合物の多孔質物品表面への移
    行防止性が付与され、あるいは向上した多孔質物品の製
    造方法。
  27. 【請求項27】 請求項6〜19のいずれかに記載の方
    法で製造した分子量の増大した化合物を含む増粘剤、安
    定剤、凝集剤、乳化剤、分散剤、保水剤、調湿剤、酸化
    防止剤、接着剤、染色剤、塗料、防錆剤、難燃化剤、石
    油回収剤、土壌改質剤、種子吹付表土安定剤、脱臭剤、
    消臭剤、農薬展着剤、脱酸素剤、防腐剤、殺菌剤、抗菌
    剤、ウィルス感染阻止剤、生物付着防止剤、生物忌避
    剤、殺虫剤、防虫剤、パップ剤、インキ基剤、コンクリ
    ート混和剤または木材処理剤。
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