JPH11139905A - 抗生物剤組成物およびその組成物を用いる物品処理方法 - Google Patents

抗生物剤組成物およびその組成物を用いる物品処理方法

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JPH11139905A
JPH11139905A JP30846297A JP30846297A JPH11139905A JP H11139905 A JPH11139905 A JP H11139905A JP 30846297 A JP30846297 A JP 30846297A JP 30846297 A JP30846297 A JP 30846297A JP H11139905 A JPH11139905 A JP H11139905A
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article
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acid
antibiotic
metal
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JP30846297A
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Yasushi Aoki
裕史 青木
Kazumi Tanaka
計実 田中
Takashi Echigo
貴 愛知後
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属化合物および/または金属イオンの抗生
物作用を利用した物品処理において、処理効果を長期に
わたり持続させる抗生物剤組成物および処理法の提供。 【解決手段】 (1)金属化合物、アルカノールアミン
類、およびフェノール性化合物および/または芳香族ア
ミン化合物、さらにはポリフェノール酸化触媒を含有す
る抗生物剤組成物、(2)その組成物を多孔質物品などの
物品に対して塗布および/または含浸した後、フェノー
ル性化合物および/または芳香族アミン化合物の酸化反
応および/または高分子量化反応を行なうことにより、
金属化合物および/または金属イオンを物品を固定する
物品処理方法、および(3)その処理方法で抗生物性の付
与された物品およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属化合物および
アルカノールアミン類等の抗生物作用を利用した抗生物
剤組成物およびその組成物を用いる物品処理法に関す
る。より詳細に述べれば、(1)金属化合物およびアルカ
ノールアミン類、並びにフェノール性化合物および/ま
たは芳香族アミン化合物を含有する抗生物剤組成物、
(2)前記の抗生物剤組成物を多孔質物品などの物品に対
して塗布および/または含浸して使用し、前記フェノー
ル性化合物および/または芳香族アミン化合物の酸化反
応および/または高分子量化反応を行なうことによる物
品処理方法、および、(3)当該処理により抗生物性が付
与された物品に関する。
【0002】
【従来の技術】金属化合物は、抗菌性、殺菌性、防腐
性、防虫性、抗ウィルス性、生物忌避性などを有するこ
とから抗生物剤の有効成分として有用である。金属化合
物系の抗生物剤は、有機系抗生物剤に比較して作用の持
続性が高いが、金属塩の種類によっては溶解性が悪く、
また保存中に沈殿を生じる等の問題がある。そこで、水
に易溶であり、錯体形成能により金属化合物の溶解性お
よび金属化合物溶液の安定性を高める効果を有し、さら
にそれ自体腐食抑制効果を有するアルカノールアミン類
と組み合わせた金属化合物−アルカノールアミン系の抗
生物剤が、防腐剤、防虫剤等の分野で用いられてきた。
【0003】金属化合物とアルカノールアミン類を含む
抗生物剤において、処理された物品の抗生物性を改善す
るために、種々の改良処方が提案されている。例えば、
オーストラリア特許第519146号には、アンミン錯体を形
成する金属イオンとヒドロキシアルキルアミンを含有す
る抗生物剤に炭素数6〜12の脂肪族モノカルボン酸を
添加したセルロース系材料の保存性改良剤が記載されて
いる。これは、アミンとカルボン酸によりセッケンを形
成し、セルロース材料への浸透性を高めるものである。
また、米国特許第5426121号には、銅カチオンとアルコ
キシル化ジアミンとの反応生成物を含有させることによ
り抗生物作用を改善させた木材保存剤が記載されてい
る。さらに、特開平8-12504号には防腐性重金属化合物
とトリアゾール化合物を含む抗生物剤組成物に硼酸化合
物を添加して木材への浸透性を高めた保存剤が記載され
ている。これらは、抗生物性成分として金属化合物と共
に有機系抗菌成分などの抗生物性を改善する補助的成分
を使用することにより、抗生物性を向上するものであ
る。
【0004】しかしながら、金属化合物とアルカノール
アミン類を含有する薬剤により物品の処理を行なった場
合、金属イオンとアルカノールアミン類の複合体が水に
易溶であることから、処理物品が水分に接触する環境下
では金属イオンがアルカノールアミン類と共に容易に溶
出し、処理物品表面および内部の金属化合物量が低下
し、その結果、物品に付与されていた抗生物性が低下す
るという問題があった。溶出した金属化合物あるいは金
属イオンが処理物品の周辺の環境を汚染するという重大
な問題もある。上に掲げた各種の改良処方では、セルロ
ース材料や木材中への浸透性を高める試みはなされてい
るが、溶出を抑える方法は検討されていない。また、こ
れらの方法において抗生物性を強化するために添加され
る有機系抗生物剤の多くは、金属化合物および金属イオ
ンに比べ長期安定性が劣る。したがって、有機系の抗生
物成分を添加するだけでは、長期間に亘って優れた抗生
物作用を維持するのは困難である。さらに、有機系薬剤
を相当量添加するため、製品コストの増大を招くという
問題もある。
【0005】したがって、少量の抗生物性補助成分の使
用により、金属化合物および金属イオンの固着性を改善
して金属化合物および金属イオンの溶出による環境汚染
を低減し、より経済的に抗生物性を改善する方法の開発
が求められている。また、これにより長期に亘り高水準
の抗生物効力を付与することができる抗生物剤の開発が
求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術にお
ける上記の問題点の解決を目的とするものであり、具体
的には、処理対象物への金属化合物および/または金属
イオンの固着性が高い金属化合物−アルカノールアミン
類系抗生物剤、処理対象物に金属化合物および/および
こうした方法で製造される抗生物性が付与された物品、
特に多孔質物品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、金属化合
物とアルカノールアミン類を含有する抗生物剤におい
て、アルカノールアミン類の金属化合物の溶解効果およ
び金属イオン溶液安定化効果を損なわず、処理対象物品
への良好な浸透性を維持する一方で、処理された物品に
おいては金属化合物および/または金属イオンの固着性
を高めてその溶出を最少限に抑える、という相反する課
題を解決するため、鋭意研究を行なった。その結果、金
属化合物とアルカノールアミン類とともに、フェノール
性化合物および/または芳香族アミン化合物を使用し、
さらに必要に応じてポリフェノール酸化触媒を用いて、
フェノール性化合物および/または芳香族アミン化合物
酸化反応および/または高分子量化反応を行なうことに
より、酸化あるいは高分子量化生成物を介して金属イオ
ンもしくは金属化合物または金属イオン−アルカノール
アミン複合体が処理物品に強固に固定され、本発明の目
的が達成されることを見出し、本発明を完成させるに至
った。
【0008】すなわち、本発明は、以下の抗生物剤、物
品処理方法および処理物品を提供する。 [1] 金属化合物およびアルカノールアミン類、並び
にフェノール性化合物および/または芳香族アミン化合
物を含有することを特徴とする抗生物剤組成物。 [2] フェノール性化合物および/または芳香族アミ
ン化合物が、酸素および/または触媒の存在下に酸化お
よび/または高分子量化する化合物である前記[1]に
記載の抗生物剤組成物。 [3] 金属化合物がジルコニウム、チタニウム、バナ
ジウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバル
ト、ニッケル、パラジウム、銅、銀、亜鉛、カドミウ
ム、アルミニウム、錫、鉛、アンチモン、カルシウム、
マグネシウム、ストロンチウムおよびバリウムから選ば
れる少なくとも1種の金属元素を含有する化合物である
前記[1]または[2]に記載の抗生物剤組成物。 [4] アルカノールアミン類が、モノエタノールアミ
ン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンか
ら選ばれる少なくとも1種の化合物である前記[1]乃
至[3]のいずれかに記載の抗生物剤組成物。 [5] フェノール性化合物が、ピロカテコール、ハイ
ドロキノン、ピロガロール、没食子酸、タンニン酸、リ
グニンおよびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1
種の化合物である前記[1]乃至[4]のいずれかに記
載の抗生物剤組成物。 [6] リグニン誘導体がリグニンスルホン酸またはリ
グニンスルホン酸塩である前記[5]に記載の抗生物剤
組成物。 [7] さらにポリフェノール酸化触媒を含有する前記
[1]乃至[6]のいずれかに記載の抗生物剤組成物。 [8] ポリフェノール酸化触媒がカテコールオキシダ
ーゼ、ラッカーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、アス
コルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼおよ
びペルオキシダーゼから選ばれる少なくとも1種の酵素
である前記[7]に記載の抗生物剤組成物。 [9] 芳香剤、消臭剤、防錆剤、難燃化剤、抗菌剤、
防腐剤、殺菌剤、防虫剤、抗ウィルス剤および生物忌避
剤から選ばれる少なくとも1種の薬剤をさらに含有する
前記[1]乃至[8]のいずれかに記載の抗生物剤組成
物。 [10] 組成物が、使用時に溶解して使用される固形
剤または希釈して使用される高濃度溶液である前記
[1]乃至[9]のいずれかに記載の抗生物剤組成物。
【0009】[11] 前記[1]乃至[10]のいず
れかに記載の抗生物剤組成物を物品に塗布および/また
は含浸することを特徴とする物品処理方法。 [12] 抗生物剤組成物を物品に塗布および/または
含浸した後、抗生物剤組成物中のフェノール性化合物お
よび/または芳香族アミン化合物を酸化および/または
高分子量化する前記[11]に記載の物品処理方法。 [13] 抗生物剤組成物を物品に塗布および/または
含浸した後、加熱処理を行なって抗生物剤組成物中のフ
ェノール性化合物および/または芳香族アミン化合物を
酸化および/または高分子量化する前記[12]に記載
の物品処理方法。 [14] 20℃〜300℃の範囲の温度に加熱処理す
る前記[13]に記載の物品処理方法。 [15] 40℃〜150℃の範囲の温度に加熱処理す
る前記[14]に記載の物品処理方法。 [16] 物品が多孔質物品である前記[11]乃至
[15]のいずれかに記載の物品処理方法。 [17] 多孔質物品が金属焼結体、鋳造品、合金、ダ
イカスト品、セラミックス、レンガ、コンクリート、木
材、木片、木粉、木質加工品、モミ、藺草、藁、竹材、
炭、繊維、繊維加工品、または合成樹脂の発泡体である
前記[16]に記載の物品処理方法。 [18] 物品への含浸を加圧および/または減圧によ
り行なう前記[11]乃至[17]のいずれかに記載の
物品処理方法。 [19] 加圧を1〜20気圧で実施することを特徴と
する前記[18]に記載の物品処理方法。 [20] 前記[11]乃至[19]のいずれかに記載
の方法により処理を行なう工程を含むことを特徴とする
抗生物性の付与された物品の製造方法。 [21] 前記[20]記載の製造方法で得られる抗生
物性の付与された物品。
【0010】本発明では、金属化合物とアルカノールア
ミン類と共に、フェノール性化合物および/または芳香
族アミン化合物を含有させた抗生物剤組成物を物品に塗
布または含浸した後、フェノール性化合物および/また
は芳香族アミン化合物を酸化反応および/または高分子
量化反応により物品中に固定し、この酸化反応および/
または高分子量化反応による生成物と金属イオン等との
複合体を生成させ、これによって物品内部および/また
は表面に金属化合物および/または金属イオンを強固に
固定する。この結果、抗生物剤を物品に塗布または含浸
する際には従来の金属化合物−アルカノールアミン類含
有薬剤と同様の浸透性を示すが、物品の処理後において
は、金属化合物および/または金属イオンの固着性が著
しく改善される。以下、本発明について詳細に説明す
る。
【0011】[金属化合物]本発明の抗生物剤組成物に
おいて用いる金属化合物は、抗菌性、殺菌性、防腐性、
防虫性、抗ウィルス性、生物忌避性など、調製しようと
する抗生物剤の目的に応じて任意に選ばれたものでよ
い。このような金属化合物の具体的な例は、金属元素が
ジルコニウム、チタニウム、バナジウム、クロム、モリ
ブデン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウ
ム、銅、銀、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、錫、
鉛、アンチモン、カルシウム、マグネシウム、ストロン
チウム、あるいはバリウムから選ばれる少なくとも1種
の元素である化合物であり、ジルコニウム、チタニウ
ム、バナジウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、
コバルト、ニッケル、パラジウム、銅、銀、亜鉛、アル
ミニウム、あるいは錫を含むものが特に好適に利用可能
である。具体的にはこれらの金属元素がカチオン化した
ものと、F-、CI-、Br-、I-、NO3 -、BO3 3-
PO4 3-、P27 4-、SO4 2-、S23 2-、SO3 2-、S
CN-、CO3 2-、O2-、OH-、B47 2-、B(OH)4
-、BF4 -、あるいはナフテン酸、オレイン酸、ステア
リン酸、オクタン酸、酢酸、ぎ酸、安息香酸、クエン
酸、乳酸、酒石酸などの有機酸として例示されるアニオ
ンとの化合物、あるいはこれらの複合体、さらには水和
物が挙げられる。
【0012】また、前記の金属元素がカチオン化したも
のと有機化合物あるいはイオン団との錯体もまた本発明
において使用可能である。金属と錯体を形成するために
添加される有機化合物として、従来知られている多くの
化合物が使用可能である。例えば、ピロカテコール、没
食子酸、ヒノキチオール、カテキン、ピロガロール、o
−フェニレンジアミン、2−アミノフェノールなどのフ
ェノール性化合物もしくは芳香族アミン化合物、エタン
−1,1−ジホスホン酸およびその誘導体、エタンヒド
ロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2
−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロ
キシホスホン酸などのホスホン酸、2−ホスホノブタン
−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,
3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸
などのホスホノカルボン酸、アスパラギン酸、グルタミ
ン酸、グリシン、2−アミノイソ酪酸、β−アラニンな
どのアミノ酸あるいはアミノ酸類似体、イミノジ酢酸、
ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレン
トリアミン五酢酸などのアミノポリ酢酸、ポリアクリル
酸、ポリイタコン酸、ポリマレイン酸、無水マレイン酸
共重合体、カルボキシメチルセルロースなどの高分子電
解質、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリビニルアルコールなどの非解離高分子、ベンゼ
ンポリカルボン酸、シュウ酸、リンゴ酸、ジグリコール
酸、コハク酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオ
キシコハク酸、グルコン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸な
どの有機酸、ショ糖、ラクトース、ペンタエリスリトー
ルなどのカルボキシメチル化物、エチレンジアミン、ト
リエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポ
リエチレンイミン、ポリアリルアミン、トリアザシクロ
ノナン、トリアザシクロドデカンなどの有機アルカリ
剤、デンプン、尿素、キトサン、ポリリジンなどの有機
化合物が挙げられる。
【0013】前記の金属化合物または金属錯体の他に、
金属の微粉体、または金属化合物もしくは金属錯体の微
粉体もまた本発明において使用可能である。こうした微
粉体は、目的によって様々な大きさの微粒子からなる粉
末が使用可能であるが、例えば、木材に対して含浸処理
を行なう場合は、5μm以下、望ましくは0.5μm以
下、より望ましくは0.1μm以下の直径を有する微粒子
からなる粉末が好適に使用可能である。さらに、前記の
金属化合物あるいは金属錯体から酸化還元反応により生
成する金属もまた本発明の物品処理方法により効果的に
物品内部に固着することが可能である。本発明において
使用されるこれらの金属化合物、金属錯体、あるいは金
属微粉体の物品処理時の溶液中の濃度は、溶解度、使用
する金属の有する抗生物性の強度、処理の目的等に応じ
て調整することが望ましいが、例えば、ジルコニウム、
銅、亜鉛、もしくはアルミニウムの場合は、通常0.01〜
500mM、好ましくは0.1〜100mMである。
【0014】[アルカノールアミン類]本発明において
用いられるアルカノールアミン類は、分子中にアミノ基
と水酸基を有する脂肪族化合物である。例えば、下記の
一般式(1)で示されるアルカノールアミン類が用いら
れる。
【0015】
【0016】(式中、R1、R2およびR3は少なくとも
1つは−OH基を有する脂肪族炭化水素基である。) 上記一般式(1)で示される化合物の例としては、エタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールア
ミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチル
エタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,
N−ジエチルエタノールアミン、N−ブチルエタノール
アミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、2−(エ
チルアミノ)−エタノール、2−(2−アミノエトキ
シ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタ
ノール、トリエタノールアミンエトキシレート、プロパ
ノールアミン(すなわち、3−アミノ−1−プロパノー
ル)、2−アミノ−1−プロパノール、イソプロパノー
ルアミン(すなわち、1−アミノ−2−プロパノー
ル)、2−アミノ−2−プロパノール、ジイソプロパノ
ールアミン、トリイソプロパノールアミン、3−アミノ
−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プ
ロパンジオール等が挙げられる。
【0017】さらに、同様の目的で、2,3−ジアミノ
−1−プロパノール、1,3−ジアミノ−2−プロパノ
ール等の分子中に2以上のアミノ基を有するアルカノー
ルアミン類も用いることができる。また、上記一般式
(1)の分子内においてR1、R2あるいはR3で示され
るアルカノール基の−OH基同士が、分子内脱水・縮合
することにより誘導されるモルホリンをはじめとする環
状アルカノールアミン誘導体も使用可能である。なお、
上記の化合物は単独で用いてもよいし、複数の化合物を
混合して用いてもよい。
【0018】このように、本発明においては従来知られ
ている多くのアルカノールアミン類が特別な制約を受け
ることなく使用可能である。特に、金属溶解性を有し、
さらには調製された金属溶液が良好な溶液安定性を有す
るようなアルカノールアミン類であれば、これを組成物
の構成成分として用いて、本発明の手法によりアルカノ
ールアミン類本来の優れた特性を保ちつつ、金属化合物
および/または金属イオンの固着性に優れた抗生物剤組
成物の調製が可能となる。実用上、薬剤の保存安定性、
木材等多孔質物品への含浸などにおける薬剤の良好な浸
透性が求められる場合には、アルカノールアミン類その
もの、あるいはその金属イオン複合体が、後述のフェノ
ール性化合物および/または芳香族アミン化合物との共
存によって水不溶性の成分を生ずるなど溶液の不安定化
をもたらさないような組み合わせであることが望まし
い。このような観点から、本発明において特に好適に利
用されるアルカノールアミン類として、エタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが挙げ
られる。
【0019】本発明抗生物剤組成物において使用され
る、これらのアルカノールアミン類の物品処理時の溶液
中の濃度は、使用する金属化合物の溶解性、求められる
金属化合物および/または金属イオンの固着性の程度、
抗生物性の強度、含浸性や着色などの特性などに応じて
任意に決定することができるが、通常0.001〜99重量
%、好ましくは0.01〜90重量%の範囲である。
【0020】[フェノール性化合物および芳香族アミン
化合物]本発明の抗生物剤組成物および処理方法におい
て金属化合物等の固定を行なうために用いられるフェノ
ール性化合物および/または芳香族アミン化合物は、酸
素および/または触媒の存在下において、酸化および/
または高分子量化が進行する化合物であれば特に限定さ
れない。ここで、酸化および/または高分子量化とは、
空気、酸素、過酸化水素などの酸化剤による、酸化また
は酸化重合、2量化以上の多量化、あるいは酸化生成物
との反応等により分子量が増す反応を含む。
【0021】本発明の抗生物剤による金属化合物等の固
定化の作用機構の詳細は必ずしも明確ではないが、例え
ば、上記の酸化反応等により、または、かかる反応の過
程で、フェノール性化合物および/または芳香族アミン
化合物が処理対象物上に固定され、さらに、これらの反
応生成物に、金属化合物もしくは金属イオンまたはこれ
らとアルカノールアミン類との複合体が強く結合し、金
属化合物または金属イオンが処理対象物に強固に固着さ
れるものと思われる。あるいは、フェノール性化合物お
よび/または芳香族アミンの酸化および/または高分子
量化生成物と金属イオン等との複合体が全体として処理
対象物上に強く固着するものと考えられる。
【0022】このようなフェノール性化合物および/ま
たは芳香族アミン化合物には、低分子量の化合物が含ま
れる。なお、本明細書において、「低分子量のフェノー
ル性化合物および/または芳香族アミン化合物」とは、
分子中にベンゼン核を好ましくは1〜5個、より好まし
くは1〜3個含む化合物である。このような低分子量の
フェノール性化合物および/または芳香族アミン化合物
は、後述の酵素を用いない条件でも酸化および/または
重合が可能である。特に、芳香環上のオルト位あるいは
パラ位の配置で複数の水酸基および/またはアミノ基を
有する化合物は、本発明の目的のために好適に使用でき
る。一方が水酸基で他方がアミノ基でもよい。また、芳
香環上のオルト位あるいはパラ位の配置で、水酸基ある
いはアミノ基の他にアリル構造を有する置換基を有する
化合物も、本発明において好適に使用できる。
【0023】フェノール性化合物および/または芳香族
アミン化合物の具体的な例としては、ニトロフミン酸、
タンニン、カテキン、没食子酸、ウルシオール、4−ヒ
ドロキシシンナミルアルコール、o−クマリン酸、p−
クマリン酸、コニフェリルアルコール、コニフェリルア
ルデヒド、フェルラ酸、エチル−3,4−ジヒドロキシ
ケイ皮酸、3−ヒドロキシ−4−メトキシケイ皮酸、
3,4−ジヒドロキシケイ皮酸、3−ヒドロキシ−4−
メトキシシンナムアルデヒド、バニリン、o−バニリ
ン、バニラ酸、バニリルアルコール、o−バニリルアル
コール、イソバニリルアルコール、バニリルアミン、バ
ニリンアジン、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンゾニ
トリル、シリンギン酸、シナピルアルコール、シナピン
酸、シナピンアルデヒド、ホモバニラ酸、ホモバニリル
アルコール、ホモバニロニトリル、ヘスペリジン、クロ
ロゲン酸、ヒノキチオール、ピロカテコール、ハイドロ
キノン、tert−ブチルハイドロキノン、フェニルハイド
ロキノン、トリメチルハイドロキノン、ピロガロール、
ラウリルガレート、オクチルガレート、3,4−ジヒド
ロキシ安息香酸、1,2−ジヒドロキシナフタレン、
2,3−ジヒドロキシナフタレン、6,7−ジヒドロキ
シ−2−ナフタレンスルホン酸、アンスラロビン、アリ
ザリン、キニザリン、o−フェニレンジアミン、p−フ
ェニレンジアミン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、
o−アニシジン、p−アニシジン、o−アミノフェノー
ル、p−アミノフェノール、1,2−ジアミノアンスラ
キノン、1,4−ジアミノアンスラキノンなどの化合物
およびこれらを誘導体化した化合物などが挙げられる。
【0024】フェノール性化合物および/または芳香族
アミン化合物は、通常は、これを含む薬剤の保存安定性
および処理対象物品への浸透性が良好であることが望ま
しい。したがって、そのような特性が求められる場合に
は、アルカノールアミン類あるいはアルカノールアミン
−金属複合体との共存下において、水不溶性の成分を生
ずるなど溶液の不安定化をもたらさないようなフェノー
ル性化合物および/または芳香族アミン化合物が好まし
い。
【0025】本発明において特に好適に利用されるフェ
ノール性化合物および/または芳香族アミン化合物とし
ては、ピロカテコール、ハイドロキノン、ピロガロー
ル、没食子酸、タンニン酸、リグニンまたはこれらの誘
導体が挙げられる。
【0026】リグニン誘導体としては、パルプ工業から
得られるリグニンスルホン酸またはリグニンスルホン酸
塩が特に好適に利用可能である。パルプ工業での廃液と
して得られるリグニン、あるいはリグニンスルホン酸、
リグニンスルホン酸塩を本発明のフェノール性化合物と
して使用する場合、必要に応じて水不溶性の固形成分の
除去を行なうことが望ましい。特に、木材に対して加圧
および/もしくは減圧による含浸を行なう場合、木材中
への処理液の含浸量を増大させるためには、水不溶性の
固形成分の除去処理を、遠心分離、ろ過、もしくは静置
により実施することが望ましい。例えば、防腐木材の製
造を目的として加圧注入処理を行なう場合は、パルプ廃
液中の直径あるいは長径1μm以上、望ましくは0.5μ
m以上、より望ましくは0.1μm以上の大きさの水不溶
性の固形成分の除去を、ろ過によって行なうことが望ま
しい。また、限外ろ過により脱塩・脱糖したものや、あ
るいは、さらに含浸性を高めるために、分子量0.5万〜
10万以下などのより低分子の画分を用いることも可能
である。
【0027】本発明において使用するリグニン誘導体
は、リグニンスルホン酸の他に、リグニンもしくはリグ
ニンスルホン酸を、酢酸エステル化、プロピオン酸エス
テル化、カルボキシメチルエーテル化、2−ヒドロキシ
エチルエーテル化、2−アセトキシエチルエーテル化、
2−ヒドロキシプロピルエーテル化、あるいはハロゲン
化アルキルなどを用いてアルキル化したもの、ホルマリ
ンによりヒドロキシメチル化したもの、ホルマリン、エ
ポキシ化合物、イソシアナート化合物、アリル化合物、
アセトンなどにより架橋したものや、架橋反応を他のフ
ェノール性化合物、ポリフェノール化合物、芳香族アミ
ン化合物などと共に行なったもの、中性サルファイト液
などでさらにスルホン化したもの、加熱などの処理で脱
スルホン化したもの、さらにこれらのリグニンもしくは
リグニン誘導体を加水分解したものが使用可能であり、
また、これらの混合物も使用可能である。
【0028】また、OH基の他に炭素数が1から22の
飽和あるいは不飽和のアルキル側鎖を置換基として有す
るカテコール誘導体、例えば、ウルシオールを、ポリフ
ェノール酸化触媒によって酸化および重合される主成分
として使用するか、あるいは他のフェノール性化合物お
よび/または芳香族アミン化合物に添加して使用するこ
とも可能である。本発明の目的で使用するフェノール性
化合物および/または芳香族アミン化合物の物品処理時
の溶液中の濃度は、0.0001重量%〜99重量%、好まし
くは0.001〜20重量%である。
【0029】後述のポリフェノール酸化触媒を用いる場
合には、上記の化合物の他に、本発明で使用するポリフ
ェノール酸化触媒により酸化される物質を、酸化反応お
よび/または高分子量化反応の原料として、あるいは重
合開始剤として使用することができる。このような化合
物の例は、ABTS(2,2′−アゾビス(3−エチル
ベンゾチアゾリン−6−スルホン酸))、ビリルビン、
アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、ケルセチン、ル
チン、グアイアコール、o−ヒドロキシ安息香酸、p−
ヒドロキシ安息香酸、4−メトキシフェノール、ビフェ
ノール、4,4′−エチレンジアニリン、メチルハイド
ロキノン、エチルハイドロキノン、1−ヒドロキシベン
ゾトリアゾール、6−ヒドロキシ−2,4,5−トリア
ミノピリミジン、4,5,6−トリアミノピリミジン、
2,3−ジヒドロキシピリダジン、3,6−ジヒドロキ
シピリダジン、2,3−ジヒドロキシピリジン、メチル
−4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、4,5−ジ
アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、
2,3−ジアミノピリジン、2,5−ジヒドロキシ−
1,4−ベンゾキノン、2,5−ジヒドロキシ安息香
酸、3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2
−ジオン、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L
−アラニン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、3
−アミノ−2−メトキシジベンゾフラン、2,4−ジメ
トキシアニリン、2,5−ジメトキシアニリン、3,4
−ジメトキシアニリン、2′,5′−ジメトキシアセト
フェノン、3′,4′−ジメトキシアセトフェノン、
1,4−ジメトキシベンゼン、ベラトロール、2,3−
ジメトキシ安息香酸、2,5−ジメトキシ安息香酸、ベ
ラトル酸、ベラトルアルデヒド、ベラトリルアミン、ホ
モベラトル酸、ホモベラトリルアミン、ホモベラトロニ
トリル、3,4−ジメトキシケイ皮酸、3,4−ジメト
キシシンナモニトリル、2,3−ジメトキシフェノー
ル、3,4−ジメトキシフェノール、3,4−ジメトキ
シベンジルアルコール、3,4−ジメトキシフェネチル
アミン、3,4−ジメトキシスチレン、(3,4−ジメ
トキシフェニル)酢酸、(3,4−ジメトキシフェニ
ル)アセトニトリル、(3,4−ジメトキシフェニル)
アセトン、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピ
オン酸、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロパノ
ール、4−(3,4−ジメトキシフェニル)酪酸、3−
(3,4−ジメトキシフェニル)プロパノール、2−メ
トキシ−4−メチルフェノール、2−メトキシ−5−メ
チルアニリン、2−メトキシ−5−ニトロアニリン、4
−メトキシ−2−ニトロアニリン、3−メトキシサリチ
ル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、サリチ
ル酸エチル、3−メチルカテコール、4−メチルカテコ
ール、メチルガレート、プロピルガレート、3,4,5
−トリメトキシアニリン、3,4,5−トリメトキシフ
ェノール、トロポロン、プルプロガリン、サリチルアル
ドキシム、3−アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロ
−2−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、
3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−ヒドロキ
シ−1−ナフタレンスルホン酸、プルプリン、2,3−
ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−1,4−アントラセ
ンジオン、各種のアゾ系染料、およびこれらの化合物の
誘導体である。本発明において使用されるこれらの化合
物の物品処理時の溶液中の濃度は、0.0001〜80重量
%、好ましくは0.001〜20重量%である。
【0030】また、本発明によってフェノール性化合物
および/または芳香族アミン化合物を酸化処理および/
または高分子量化処理する際に、同様の反応経路によっ
て酸化および/または重合されるキノン化合物を共存さ
せることもできる。このようなキノン化合物の例は、ア
ンスラキノン−2−スルホン酸、アンスラキノン−1,
5−ジスルホン酸、アンスラキノン−2,6−ジスルホ
ン酸、アンスラキノン−2−カルボン酸、1−アミノア
ンスラキノン、2−アミノアンスラキノン、アンスラル
フィン、アミノナフトキノン、1,8−ジヒドロキシア
ンスラキノン、カムフォキノン、デヒドロアスコルビン
酸、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、イサチ
ン、5−ニトロイサチン、各種のアンスラキノン系染料
である。また、オレイン酸、リノール酸などの不飽和脂
肪酸、オレイルアルコールなどの不飽和アルコール、ス
クアレンなどの不飽和アルキル、または桐油、あまに
油、ひまし油などの乾性油といった自動酸化される物質
を共存させ、フェノール性化合物および/または芳香族
アミン化合物と共に酸化および/または重合を行なうこ
とも可能である。本発明において使用されるこれらの化
合物の物品処理時の溶液中の濃度は、0.0001〜80重量
%、好ましくは0.001〜20重量%である。また、酸化
反応産物および/または重合反応産物の物性、色調、金
属固着性などを調節する目的で、以上詳細に記載した化
合物を複数組み合わせて用いることも可能である。
【0031】なお、木材などの多孔質物品への加圧およ
び/もしくは減圧による抗生物剤の含浸を行なう場合に
は、処理剤中に水不溶性成分の生成が最低限になるよう
な金属化合物とアルカノールアミン類、フェノール性化
合物および/または芳香族アミン化合物との組み合わせ
が望ましい。こうした組み合わせの具体的な例として、
フェノール性化合物および/または芳香族アミン化合物
としてピロガロールを、アルカノールアミン類としてモ
ノエタノールアミンを、金属化合物として酢酸ジルコニ
ウム、炭酸ジルコニム、アンモニウムジルコニウムカー
ボネート、塩化モリブデン、硫酸マンガン、塩化鉄、硫
酸鉄、塩化ニッケル、塩化銅、硫酸銅、炭酸銅、水酸化
銅、ナフテン酸銅、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化アルミニ
ウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムナトリウム
を用いる組み合わせなどが挙げられる。
【0032】[ポリフェノール酸化触媒]本発明の抗生
物剤組成物は、それ自体、空気中の酸素の作用により、
また、加熱処理により酸化および/または高分子量化反
応が進行するが、成分によってはフェノール化合物等の
酸化および/または高分子化反応を触媒する物質をさら
に含むことが望ましい。本発明において金属/アルカノ
ールアミン類抗生物剤と共に用いられ、フェノール性化
合物および/または芳香族アミン化合物の酸化および/
または高分子量化を加速する触媒としては、金属イオ
ン、金属錯体などが挙げられる。金属錯体の内、酸化還
元酵素を模倣した人工酵素は、より低濃度の金属イオン
によって効果的な触媒効果が得られるため有用である。
このような人工酵素の具体的な例は、トリアザシクロノ
ナン、トリアザシクロドデカンなどの環状含窒素化合物
やそのN−メチル化誘導体、フタロシアニンまたはポル
フィリンやその親水性置換基を有する誘導体である。ま
た、ポリフェノール酸化酵素は、ポリフェノール酸化作
用を有するものであれば広く利用可能であり、これらは
天然物の触媒として高い安全性を有するため、本発明に
おいて好適に利用可能である。このような酵素の例とし
て、微生物、例えば真菌または細菌によって産生される
か、もしくは植物によって産生されるカテコールオキシ
ダーゼ、ラッカーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、ア
スコルビン酸オキシダーゼ、またはビリルビンオキシダ
ーゼ等のポリフェノール酸化酵素が挙げられる。特に、
酸化反応、酸化重合反応を高速に実施したい場合には、
アルカリpH域においてポリフェノール酸化作用を有す
るものがより望ましい。
【0033】酵素的な酸化による酸化および/または重
合反応は、微生物あるいは植物由来のペルオキシダー
ゼ、リグニンペルオキシダーゼ、マンガンペルオキシダ
ーゼ等のペルオキシダーゼ作用を有する酵素と過酸化水
素を用いることによっても実施可能である。過酸化水素
の添加、供給は、直接過酸化水素溶液を添加する方法、
過酸化水素の替わりにパーボレート、パーカーボネート
等の過酸化水素前駆体を用いる方法、あるいは過酸化水
素を生成できるオキシダーゼとその基質を用いる方法が
あり、処理目的と処理方法に応じて様々に実施可能であ
る。なお、このような過酸化水素を生成できるオキシダ
ーゼの例は、グルコースオキシダーゼ、アルコールオキ
シダーゼ、グリセロールオキシダーゼ、アミンオキシダ
ーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、D−アミノ酸オキシダー
ゼ、アリルアルコールオキシダーゼ、アルデヒドオキシ
ダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、ソルボースオキシ
ダーゼ、ウレートオキシダーゼ、キサンチンオキシダー
ゼ、コレステロールオキシダーゼなどがあり、特に好ま
しくはグルコースオキシダーゼ、アルコールオキシダー
ゼである。
【0034】本発明において使用されるポリフェノール
酸化酵素を産生する微生物の例としては以下のものが挙
げられる。真菌としては、不完全菌亜門(Deuteromycot
ina)に属する、アスペルギルス(Aspergillus)、ボト
リティス(Botrytis)、ミロセシウム(Myrotheciu
m)、エムベリシア(Embellisia)、ドレシュレラ(Dre
schlera)、ペニシリウム(Pe nicillium)、ペスタロチ
ア(Pestalotia)、リゾクトニア(Rhizoctonia)、ト
リコデルマ(Tricoderma)、アースロマイセス(Arthro
myces)、ヒュミコーラ(Humicola)、ヴェルティシル
ム(Verticillum)、ウロクラジウム(Ulocladiu m)、
カルダリオミセス(Caldariomyces)、スティルベラ(S
tilbella)、サゲノメラ(Sagenomella)、スタキリジ
ウム(Stachylidium)、好ましくはアスペルギルス・ニ
ドゥランス(Aspergillus nidulans)、ボトリティス・
シネレア(Botrytis cinerea)、ミロセシウム・ロリダ
ム(Myrothecium roridum)、ミロセシウム・ヴェルカ
リア(Myrothecium verrucaria)、ミロセシウム・プレ
ストニ(Myrothecium prestonii)、ミロセシウム・ロ
イコトリカム(Myrothecium l eucotrichum)、エムベリ
シア・アリ(Embellisia alli)、ドレシュレラ・ハロ
デス(Dreschlera halodes)、ペニシリウム・スクレロ
ティオラム(Penicilliu m sclerotiorum)、ペニシリウ
ム・ヤンチネルム(Penicillium janthinellum)、ペス
タロチア・パルマラム(Pestalotia palmarum)、リゾ
クトニア・プラティコラ(Rhizoctonia praticola)、
リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solan i)、トリコ
デルマ・レシィ(Tricoderma resii)、トリコデルマ・
ビリデ(Tri coderma viride)、アースロマイセス・ラ
モサス(Arthromyces ramosus)、ヒュミコーラ・イン
ソレンス(Humicola insolens)、ヴェルティシルム・
ダリー(Verticillum dahlie)、ヴェルティシルム・ア
ロボアトラム(Verticillum al boatrum)、ウロクラジ
ウム・カルタルム(Ulocladium chartarum)、カルダリ
オミセス・フマゴ(Caldariomyces fumago)、スティル
ベラ・アニュラタ(Stil bella annulata)、スティルベ
ラ・ブルビコーラ(Stilbella bulbicola)、スティル
ベラ・エリスロセファラ(Stilbella erythrocephal
a)、スティルベラ・ファラベセンス(Stilbella flave
scens)、スティルベラ・フラビペス(Stilbe lla flavi
pes)、スティルベラ・サーモフィラ(Stilbella therm
ophila)、スティルベラ・sp.(Stilbella sp.)、
サゲノメラ・ビリデ(Sagenomella vir ide)、サゲノメ
ラ・sp.(Sagenomella sp.)、スタキリジウム・ビ
カラ(St achylidium bicolor)、スタキリジウム・セオ
ブロメ(Stachylidium theobroma e)、スタキリジウム
・sp.(Stachylidium sp.)に属する菌株を含む。こ
れらの中で特に好ましいのはミロセシウム・ヴェルカリ
ア SD3001(Myroth ecium verrucaria SD3001 )
(工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-14955と
して寄託され、国際寄託に移管されて受託番号FERM BP-
5520が付与されている)またはミロセシウム・ロリダム
SD3002(Myrothecium roridum SD3002)(工業
技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-15255として寄
託され、国際寄託に移管されて受託番号FERM BP-5523が
付与されている)である。
【0035】他の好ましい真菌としては、担子菌亜門
Basidiomycotina)に属する、プロイロータス(Pleur
otus)、レンティナス(Lentinus)、シゾフィラム(Sc
hizop hyllum)、アルミラリエラ(Armillariella)、フ
ラムリナ(Flammulina)、アガリカス(Agaricus)、コ
プリナス(Coprinus)、ファネロカエテ(Phanerocha et
e)、フレビア(Phlebia)、ハイグロフォロプシス(Hy
grophoropsis)、レンチテス(Lenzites)、メラノロイ
カ(Melanoleuca)、フォリオタ(Pholiota)、ステレ
ウム(Stereumu)、ポリポラス(Polyporus)、ポリポ
レルス(Polypor ellus)、クルシブルム(Crucibulu
m)、ミクロポラス(Microporus)、フォミトプシス(F
omitopsis)、ピクノポラス(Pycnoporus)、コリビア
Collybia)、トラメテス(Trametes)、コリオラス
Coriolus)、デダレオプシス(Daedal eopsis)、リジ
ドポラス(Rigidoporus)、フォメス(Fomes)、ガノデ
ルマ(Ga noderma)、トラキデルマ(Trachyderma)、ヒ
メノカエテ(Hymenochaete)、イノノタス(Inonotu
s)、プサチレラ(Psathyrella)が挙げられ、これらの
中では好ましくはプロイロータス・コルヌコピエ(Pleu
rotus cornucopiae)、プロイロータス・オストレアタ
ス(Pleurotus osteratus)、レンティナス・エドデス
Lentinus edodes)、シゾフィラム・コミューン(Sch
izophyllum commune)、アルミラリエラ・メレア(Armi
llariella mellea)、フラムリナ・ベルティペス(Flam
mulina velutipes)、アガリカス・ビスポラス(Agaric
us bisporus)、コプリナス・コマタス(Coprinus coma
tus)、コプリナス・シネレウス(Copr inus cinereu
s)、コプリナス・コングレガタス(Coprinus congrega
tus)、コプリナス・プリカティリス(Coprinus plicat
ilis)、コプリナス・マクロリズス(Coprinus macrorh
izus)、ファネロカエテ・クリソスポリウム(Phaneroc
ha ete chrysosporium)、フレビア・ラジアータ(Phleb
ia radiata)、ハイグロフォロプシス・オウランティア
カ(Hygrophoropsis aurantiaca)、レンチテス・ベツ
リナ(Lenzites betulina)、メラノロイカ・ベルルシ
ペス(Melanoleuca v errucipes)、フォリオタ・ナメコ
Pholiota nameko)、ステレウム・ヒルスタム(Stere
umu hirsutum)、ポリポラス・スクアモサス(Polyporu
s squamosus)、ポリポラス・ピンシタス(Polyporus p
insitus)、ポリポレルス・バディウス(Polyporellus
badius)、クルシブルム・ラエベ(Crucibulum laev
e)、ミクロポラス・フラベリフォルミス(Microporus
flabelliformis)、フォミトプシス・ピニコラ(Fomito
psis pinicola)、ピクノポラス・コシネウス(Pycnopo
ru s coccineus)、コリビア・アセルバタ(Collybia ac
ervata)、コリビア・マキュラタ(Collybia maculat
a)、トラメテス・オリエンタリス (Trametes orie nt
alis)、トラメテス・ヴィローサ(Trametes villos
a)、コリオラス・ヴェルシコラー(Coriolus versicol
or)、コリオラス・ヒルスタス(Coriolus hirsut u
s)、デダレオプシス・トリコラー(Daedaleopsis tric
olor)、リジドポラス・ゾナリス(Rigidoporus zonali
s)、フォメス・フォメンタリウス(Fomes fom entariu
s)、ガノデルマ・ルシダム(Ganoderma lucidum )、
トラキデルマ・ツノダエ(Trachyderma tsunodae)、ヒ
メノカエテ・ルビギノーサ(Hymenochaeterubiginos
a)、イノノタス・ミカドイ(Inonotus mikadoi)、プ
サチレラ・ムルティシマ(Psathyrella multissima)、
プサチレラ・ピルリフォルミス(Psat hyrella pilulifo
rmis)に属する菌株である。
【0036】不完全菌亜門、担子菌亜門以外の他の好ま
しい真菌としては、子嚢菌亜門(As comycotina)に属す
るポドスポラ(Podospora)、ノイロスポラ(Neurospor
a)、モノシリウム(Monocillium)、フザリウム(Fusa
rium)、接合菌亜門(Zygom ycotina)に属するムコール
Mucor)、リゾプス(Rhizopus)、好ましくは、ポド
スポラ・アンセリナ(Podospora anserina)、ノイロス
ポラ・クラッサ(Neur ospora crassa)、モノシリウム
・インディカム(Monocillium indicum)、フザリウム
・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、ムコール・
ヒエマリス(Muco r hiemalis)、リゾプス・ニグリカン
ス(Rhizopus nigricans)、に属する菌株である。
【0037】いくつかの好ましい細菌には、アゾスピリ
ウム(Azospirillum)、好ましくはアゾスピリウム・リ
ポフェラム(Azospirillum lipoferum)、または、アク
チノミセタレス目(Actinomycetales)、例えばストレ
プトミセス(Streptomyces)、好ましくはストレプトミ
セス・アンチビオティカス(Streptomyces antibioti cu
s)、ストレプトミセス・スフェロイデス(Streptomyce
s spheroides)、ストレプトミセス・サーモヴィオラセ
ウス(Streptomyces thermoviolaceus)、または、アエ
ロバクタ(Aerobacter)、好ましくはアエロバクタ・ア
エロゲネス(Ae robacter aerogenes)に属する菌株が含
まれる。
【0038】他の好ましい細菌は、バチルス・アルカロ
フィラス(Bacillus alcalophilus)、バチルス・アミ
ロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefacien
s)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチル
ス・ファーマス(Bacillus firm us)、バチルス・リケ
ニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・ズ
ブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・ナットー
Bacillus natto)、バチルス・プミルス(Bacillus p
umilus)、バチルス・スファエリカス(Bacillus s phae
ricus)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillu
s stearothermophil us)、好ましくはバチルス・リケニ
ホルミス(Bacillus licheniformis)である。
【0039】本発明で使用する酵素を含有するいくつか
の好ましい植物には、カケノキ(Ac erpseudoplatanu
m)、ヤムノキ(Dioscorea)、オクラ(Abelmoschu
s)、グアバ(Psidium)、ヒマワリ(Helianthus)、ジ
ャガイモ、リンゴ、カボチャ、キュウリ、小麦、大豆、
アルファルファ、西洋ワサビなどを含む。
【0040】本発明で使用するポリフェノール酸化酵素
は、前記の微生物、例えば真菌または細菌に属する菌株
およびその変異株を培養して得られるほか、遺伝子操作
菌を利用して調製することも可能である。すなわち、前
記酵素蛋白質をコードするDNA配列と宿主生物での酵
素発現機能を有する適当なプロモーター、およびオペレ
ーター、ターミネーターDNA配列と共に、宿主生物中
でベクターを複製するための複製開始点を有するDNA
ベクターに挿入された発現ベクターを用いて形質転換さ
れた宿主細胞、もしくは前記酵素蛋白質をコードするD
NA配列と宿主生物での酵素発現機能を有する適当なプ
ロモーター、およびオペレーター、ターミネーターDN
A配列と共に、宿主細胞DNAに組み込むことにより形
質転換された宿主細胞を、酵素蛋白質の発現できる条件
のもとに培養し、さらに酵素蛋白質を培地から回収する
方法によっても生産される。
【0041】本発明で使用する酵素蛋白質をコードする
DNA断片の取得のためには、前記の微生物、例えば真
菌または細菌に属する菌株からのcDNAまたはゲノム
ライブラリィを分離源とし、本発明に係る酵素蛋白質の
アミノ酸配列に基づいて合成されたオリゴヌクレオチド
をプローブとして目的のDNA断片を特定するか、また
は酸化酵素としての活性を発現するクローンを選択する
か、または前記酵素蛋白質に対する抗体と反応する蛋白
質を生産するクローンを選択するといった常法によって
行なうことができる。本発明で使用する酵素蛋白質は、
前記の植物由来の種子、または果実、葉などからの抽出
で調製することも可能である。
【0042】また、本発明で使用する酵素蛋白質を得る
ための真菌または細菌に属する菌株およびその変異株の
培養は、通常用いられる合成培地や有機炭素源および有
機窒素源を含む栄養培地が使用可能である。また培養の
際、目的とする酵素が活性中心に有する金属イオンを金
属塩として0.001mMから10mM、好ましくは0.01m
Mから1mMの濃度で培地中に添加することが望まし
い。本発明に係るポリフェノール酸化酵素が真菌または
細菌の菌体外に分泌される場合は、培地中から周知の方
法でこれを回収することができる。この回収手順には、
遠心分離もしくはろ過、膜分離により培地から細胞を分
離し、例えばイオン交換クロマトグラフィー等によるク
ロマトグラフィーを行なうという一連の手順を含む。ま
た、限外ろ過膜を用いる膜濃縮も有効である。酵素蛋白
質が真菌または細菌の菌体内に蓄積される場合や植物組
織内に存在する場合は、菌体組織や植物組織から、周知
の方法でこれを回収することができる。この回収手順に
は、ホモジナイズによる組織の機械的破壊と、遠心分離
もしくはろ過、膜分離により酵素蛋白質溶液を分離抽出
し、例えばイオン交換クロマトグラフィー等によるクロ
マトグラフィーを行なうという一連の手順を含む。ま
た、限外ろ過膜を用いる膜濃縮も有効である。
【0043】ポリフェノール酸化触媒の活性量に関し
て、1分間に1μmolのフェノール性化合物および/
または芳香族アミン化合物を酸化する活性量を1ユニッ
ト(以下、Uと略す。)と定義した場合、本発明の抗生
物剤組成物を物品処理に使用する際の処理溶液中のポリ
フェノール酸化触媒の酸化活性濃度は、1〜100,000U
/l、好ましくは10〜5,000U/lである。
【0044】[その他の薬剤]本発明の抗生物剤組成物
の作用をより強化する目的で、あるいは同時に様々な物
品処理効果を付与する目的で、芳香剤、消臭剤、防錆
剤、抗菌剤、防腐剤、殺菌剤、防虫剤、抗ウィルス剤、
あるいは生物忌避剤から選ばれる薬剤をさらに含有させ
ることができる。このような薬剤の例は、植物由来の抽
出物、抽出成分、あるいは植物抽出成分と同等の構造を
有する合成物である。具体的には、ヒノキ、青森ヒバな
どの樹木、香草、カラシ、ワサビ、竹、イリオモテアザ
ミ根茎、あるいはヤエヤマヤシ根などの植物体を、粉
砕、圧搾、煮沸、あるいは水蒸気蒸留などにより処理し
て得られる植物抽出物や抽出成分が挙げられる。
【0045】植物由来の抽出成分、あるいは植物抽出成
分と同等の構造を有する合成物の具体的な例は、ヒノキ
チオール、β−ドラブリンなどのトロポロン類、α−ピ
ネン、β−ピネン、カンファ、メントール、リモネン、
ボルネオール、α−テルピネン、γ−テルピネン、α−
テルピネオール、テルピネン−4−オール、シネオール
などのモノテルペン類、α−カジノール、t−ムロール
などのセスキテルペン類、カテキン,タンニンなどのポ
リフェノール類、2,3,5−トリメチルナフタレンな
どのナフタレン誘導体、シトロネロールなどの長鎖脂肪
族アルコール、シンナムアルデヒド、シトラール、ペリ
ラアルデヒドなどのアルデヒド類が挙げられる。また、
樹木を蒸し焼きすることで得られる木酢液も使用可能で
ある。これらの天然化合物を薬剤として添加し、さらに
リグニンあるいはリグニン誘導体などの植物由来化合物
を酸化反応および/または重合反応の原料として使用す
ることで、環境や人体に対する高い安全性を有する処理
物品が製造可能である。本発明において使用されるこの
ような植物由来の抽出物、抽出成分、あるいは植物抽出
成分と同等の構造を有する合成物の物品処理時の溶液中
の濃度は、0.001〜80重量%、好ましくは0.01〜20
重量%である。
【0046】本発明において使用可能な他の薬剤は、O
H基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、メチル基、メト
キシ基などを置換基として有する芳香族化合物あるいは
環状化合物である。このような化合物の具体的な例とし
て、o−フェニルフェノール、1−ナフトール、2−ナ
フトール−o−クロロフェノール、2,4−ジニトロフ
ェノール、4,6−ジニトロ−o−クレゾール、ペンタ
クロロフェノール、2,3,5−トリクロロフェノー
ル、2,4,6−トリクロロフェノール、モノクロロナ
フタレン、トリクロロナフタレン、テトラクロロナフタ
レン、2,4,5−トリクロロフェニルラウレートモノ
クロロナフタレン、クロロニトロフェノール、クロロニ
トロトルエン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−ト
リクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、
2,4,6−トリブロモフェノール、4−ブロモ−2,
5−ジクロロフェノール、ブロモ−o−フェニルフェネ
ート、4−クロロフェニル−3−ヨードプロパギルホル
マール、クレオソート油、塩素化テルペン、p−ヒドロ
キシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸のメチル、エチ
ル、プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒ
ドロキシトルエンブチル、イソブチル、イソプロピルな
どのエステルなどが挙げられる。本発明において使用さ
れるこのような化合物の物品処理時の溶液中の濃度は、
0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜10重量%であ
る。
【0047】本発明において使用可能な他の薬剤は、オ
レイン酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸、オレイルア
ルコールなどの不飽和アルコール、スクアレンなどの不
飽和アルキル、または桐油、あまに油、ひまし油などの
乾性油、ウルシオールなどの不飽和側鎖を有するカテコ
ール誘導体といった自動酸化される化合物である。これ
らの化合物を本発明の抗生物剤と共に使用することによ
り、処理液あるいは処理物品の水溶性、撥水性などの物
性を調整することが可能である。本発明において使用さ
れるこのような化合物の物品処理時の溶液中の濃度は、
0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜50重量%であ
る。
【0048】本発明の物品処理剤には、従来知られてい
る多くの難燃剤が添加して使用可能である。例えば、N
a、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Cu、Mn、
Ni、Si、Sn、Pbなどの元素をカチオン部分に有
する、リン酸塩、リン酸水素塩、硫酸塩、硫酸水素塩、
炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、硝酸塩、フッ化物、塩素
化物、臭化物、水酸化物などが挙げられ、具体例とし
て、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化
ジルコニウム、三酸化アンチモン、メタホウ酸バリウ
ム、酸化錫、赤リン、リン酸アンモニウムが挙げられ
る。特に、本発明においてフェノール性化合物または芳
香族アミン化合物として、リグニンスルホン酸を利用す
る場合、パルプ工場における蒸解プロセスが主に亜硫酸
カルシウムあるいは亜硫酸マグネシウムにより行なわれ
るため、蒸解液に炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、水酸化
ナトリウムなどのアルカリを添加することにより、リグ
ニンスルホン酸と共に炭酸カルシウム、水酸化カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、あるいは水酸化マグネシウムな
どの微粉末を得ることができる。本発明の物品処理によ
り、これらの微粉末を難燃化剤として有効に利用するこ
とが可能である。本発明において使用されるこれらの難
燃剤の物品処理時の溶液中の濃度は、0.01〜90重量
%、好ましくは1〜50重量%である。
【0049】また、これらの薬剤以外にも通常使用され
る様々な殺菌剤、殺虫剤、あるいは防虫剤が本発明の物
品処理剤に添加して使用可能である。殺菌剤あるいは殺
菌成分の具体的な例として、アザコナゾール、エタコナ
ゾール、プロピコナゾール、ブロモコナゾール、ジフェ
ノコナゾール、イトラコナゾール、フルトリアホール、
ミクロブタニル、フェネタミル、ペンコナゾール、テト
ラコナゾール、ヘキサコナゾール、テブコナゾール、イ
ミベンコナゾール、フルシラゾール、リバビリン、トリ
アミホス、イサゾホス、トリアゾホス、イジンホス、フ
ルオトリマゾール、トリアジメホン、トリアジメノー
ル、ジクロブトラゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾ
ールM、ビテルタノール、エポキシコナゾール、トリチ
コナゾール、メトコナゾール、イプコナゾール、フルコ
ナゾール、フルコナゾール・シス、シプロコナゾールな
どのトリアゾール誘導体、ジクロロフルアニド(エウパ
レン)、トリフルアニド(メチルレウパレン)、シクロ
フルアニド、フォルペット、フルオロフォルペットなど
のスルフォンアミド類、カルベンダジム、ベノミル、フ
ベリタゾール、チアベンダゾール、またはこれらの塩類
などのベンズイミダゾール類、チオシアネートメチルチ
オベンゾチアゾール、メチレンビスチオシアネートなど
のチオシアネート類、C11〜C14−4−アルキル−
2,6−ジメチルモルホリン同族体(トリデモルフ)、
(±)−シス−4−[3−(t−ブチルフェニル)−2
−メチルプロピル]−2,6−ジメチルモルホリン(フ
ェンプロピモルフ、ファリモルフ)などのモルホリン誘
導体、3−ヨード−2−プロピル−n−ブチルカルバメ
ート、3−ヨード−2−プロピル−n−ヘキシルカルバ
メート、3−ヨード−2−プロピルシクロヘキシルカル
バメート、3−ヨード−2−プロピルフェニルカルバメ
ート、p−クロロフェニル−3−ヨードプロパギルホル
マール、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニ
ルエチルカルボナート(サンプラス)、1−[(ジヨー
ドメチル)スルホニル]−4−メチルベンゼン(アミカ
ル)などの有機ヨード化合物、ブロノポルなどの有機ブ
ロモ誘導体、N−メチルイソチアゾリン−3−オン、5
−クロロ−N−メチルイソチアゾリン−3−オン、4,
5−ジクロロ−N−オクチルイソチアゾリン−3−オ
ン、N−オクチルイソチアゾリン−3−オン(オクチリ
ノン)などのイソチアゾリン類、シクロペンタイソチア
ゾリンなどのベンズイソチアゾリン類、1−ヒドロキシ
−2−ピリジンチオン(またはそのナトリウム塩、鉄
塩、マンガン塩、亜鉛塩など)、テトラクロロ−4−メ
チルスルフォニルピリジンなどのピリジン類、ジアルキ
ルジチオカルバメートのナトリウム塩または亜鉛塩、テ
トラメチルジウラムジサルファイド(TMTD)などの
ジアルキルジチオカルバメート類、2,4,5,6−テ
トラクロロイソフタロニトリル(クロロタロニル)など
のニトリル類、テクタマー、ブロノポル、ブルミドック
スなどの活性ハロゲン原子を有する微生物剤、2−メル
カプトベンゾチアゾール類、ダゾメットなどのベンズチ
アゾール類、クロルデン、ディルドリン、アルドリン、
ヘプタクロルなどのシクロジエン類、N−ニトロソ−N
−シクロヘキシルヒドロキシルアミンなどのニトロソ
類、8−ヒドロキシキノリンなどのキノリン類、ベンジ
ルアルコールモノ(ポリ)ヘミフォルマール、オキサゾ
リジン、ヘキサヒドロ−s−トリアジン、N−メチロー
ルクロロアセトアミドなどのホルムアルデヒド生成物
質、トリス−N−(シクロヘキシルジアゼニウムジオキ
シン)−トリブチル錫またはカリウム塩、ビス−(N−
シクロヘキシル)ジアジニウム−ジオキシン銅またはア
ルミニウムなどが挙げられる。
【0050】また、本発明において使用可能な殺虫剤、
殺虫成分、防虫剤、あるいは防虫成分の具体的な例とし
て、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、ケイフッ化ナ
トリウム、ケイフッ化マグネシウム等のフッ素系物質、
チオファメートメチル、ダスバン、ダイアジノン等の有
機リン系化合物、アジノフォス−エチル、アジノフォス
−メチル、1−(4−クロロフェニル)−4−(O−エ
チル、S−プロピル)ホスホリルオキシピラゾル(TI
A−230)、クロロピリフォス、テトラクロロビンホ
ス、クマフォス、デトメン−S−メチル、ジアジノン、
ジクロルボス、ジメトエート、エトプロフォス、エトリ
ムフォス、フェニトロチオン、ピリダフェンチオン、ヘ
プテノフォス、パラチオン、パラチオン−メチル、プロ
ペタンホス、フォサロン、フォキシム、ピリムフォス−
エチル、ピリミフォス−メチル、プロフェノフォス、プ
ロチオフォース、スルプロフォス、トリアゾフォス、ト
ルクロルフォンなどのリン酸エステル類、アルジカー
ブ、ベニオカーブ、2−(1−メチルプロピル)フェニ
ルメチルカルバメート、ブトカルボキシム、ブトキシカ
ルボキシム、カルバリル、カルボフラン、カルボスルフ
ァン、クロエトカルブ、イソプロカルブ、メトミル、オ
キサミル、ピリミカルブ、プロメカルブ、プロポクス
ル、チジカルブ、バイゴン、ジメチラン、セビンなどの
カルバメート類、アレトリン、アルファメトリン、ビオ
レスメトリン、シクロプロトリン、シフルトリン、デカ
メトリン、シハロトリン、シペルメトリン、デルタメト
リン、α−シアノ−3−フェニル−2−メチルベンジル
−2,2−ジメチル−2−(2−クロロ−2−トリフル
オロメチルビニル)シクロプロパン−1−プロパンカル
ボキシレート、フェンプロパトリン、フェンフルトリ
ン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルムトリ
ン、フルバリネート、ペルメトリン、エトフェンプロッ
クス、レスメトリンなどのピレスロイド類、1−(6−
クロロ−3−ピリジニル−メチル)−4,5−ジヒドロ
−N−ニトロ−1H−イミダゾール−2−アミン(イミ
ダクロプリド)などのニトロイミノおよびニトロメチレ
ン類などが挙げられる。
【0051】また、昆虫ホルモンまたはIGR(昆虫成
長制御物質)およびその誘導体も使用可能である。これ
らの殺菌剤、殺虫剤、あるいは防虫剤は単独でも組み合
わせても使用可能である。本発明において使用されるこ
のような殺菌剤、殺虫剤、あるいは防虫剤の物品処理時
の溶液中の濃度は、これら薬剤の有する生理活性の強
度、溶解度などに応じて調整することが望ましいが、0.
0001〜20重量%、好ましくは0.001〜5重量%であ
る。また、本発明において、薬剤固定性・徐放性の調
整、および抗生物性の向上を目的として、4級アンモニ
ウム化合物を処理剤に添加して使用可能であり、具体的
には、Cn2n+1(n=1〜22)またはCn2n-1(n
=2〜22)、Cn2 n-3(n=4〜22)、Cn2n-5
(n=6〜22)で表わされる炭化水素を置換基に有す
る4級アンモニウム、芳香族化合物を置換基に含む4級
アンモニウム、親水性高分子を置換基に含む4級アンモ
ニウムなどの、塩酸塩あるいは硫酸塩が挙げられ、従来
用いられているDDAC(ジデシルジメチルアンモニウ
ムクロリド)も利用可能だが、特に不飽和構造部分を置
換基に有するものがより望ましい。本発明において使用
されるこのような4級アンモニウム化合物の、物品処理
時の溶液中の濃度は、0.001〜50重量%、好ましくは
0.01〜20重量%である。
【0052】また、強力な抗生物性を有する無機系の化
合物もまた、本発明の処理剤に添加して使用可能であ
り、こうした化合物の例として、ホウ素、砒素、アンチ
モン、セレン、臭素、ヨウ素、フッ素、イオウイオン、
硝酸イオンを含有する化合物、さらに具体的には、ホウ
酸、ホウ砂、フッ化ホウ素酸塩、フッ化ケイ素酸塩、亜
砒酸、塩化アンチモン、三酸化アンチモン、セレン酸カ
リウム、臭化カルシウム、臭化ナトリウム、臭化マグネ
シウム、臭化カリウム、臭化亜鉛、ヨウ化ナトリウム、
ヨウ化亜鉛、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ
化アンチモン、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硝酸ジ
ルコニウムなどが挙げられる。本発明において使用され
るこのような化合物の物品処理時の溶液中の濃度は、0.
01〜200mM、好ましくは0.1〜100mMである。
【0053】さらに、本発明の抗生物剤あるいはここに
添加して使用される化合物が、低い水溶性を有する場合
には、分散剤あるいは界面活性剤の添加により、O/W
型あるいはW/O型のエマルジョンを形成させる方法が
有用である。こうした目的で使用される界面活性剤とし
ては、例えば直鎖または分岐鎖のアルキルまたはアルケ
ニル硫酸塩、アミド硫酸塩、直鎖または分岐鎖のアルキ
ル基またはアルケニル基を有し、エチレンオキサイド、
プロピレンオキサイドおよびブチレンオキサイドのうち
の単独あるいは複数成分が付加したアルキルまたはアル
ケニルエーテル硫酸塩のような脂肪族硫酸化物、アルキ
ルスルホン酸塩、アミドスルホン酸塩、ジアルキルスル
ホコハク酸塩、α−オレフィン、ビニリデン型オレフィ
ンおよび内部オレフィンの各スルホン酸塩のような脂肪
族スルホン酸塩、直鎖または分岐鎖のアルキルベンゼン
スルホン酸塩のような芳香族スルホン酸塩、直鎖または
分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を有し、エチレ
ンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびブチレンオ
キサイドのうちの単独あるいは複数成分が付加したアル
キルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩またはアミ
ド、α−スルホ脂肪酸塩またはエステル、アミノ酸型界
面活性剤、アルキルまたはアルケニル酸性リン酸エステ
ル、アルキルまたはアルケニルリン酸塩のごときリン酸
エステル系界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、
ベタイン型両性界面活性剤、直鎖または分岐鎖のアルキ
ル基またはアルケニル基を有し、エチレンオキサイド、
プロピレンオキサイドおよびブチレンオキサイドのうち
の単独あるいは複数成分が付加したアルキルまたはアル
ケニルエーテルあるいはアルコール、直鎖または分岐鎖
のアルキル基またはアルケニル基を有し、エチレンオキ
サイド、プロピレンオキサイドおよびブチレンオキサイ
ドのうちの単独あるいは複数成分が付加したポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカ
ノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、
ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリンモノエステ
ル、アルキルまたはアルケニルアミンオキサイド、テト
ラアルキルアンモニウム塩型カチオン界面活性剤などが
挙げられる。
【0054】分散剤は従来知られている多くのものが使
用可能であり、特に、リグニン、リグニンスルホン酸、
あるいはリグニンスルホン酸塩は、酸化反応、重合反応
の原料であるばかりでなく、これらの物質自体に薬剤分
散作用があるため極めて有用である。また薬剤が微粉体
である場合は、目的によって様々な大きさからなる粉末
が使用可能であるが、木材への加圧注入を行なう場合に
は5μm以下、望ましくは0.5μm以下、より望ましく
は0.1μm以下の直径を有する微粉末の使用が望まし
い。また、必要に応じてさらに有機酸などのpH調整
剤、天然物あるいは合成物の色素、顔料、増粘剤、高分
子化合物、固形物などを本発明の抗生物剤組成物に添加
して使用可能である。
【0055】[処理対象]本発明の抗生物剤組成物は、
様々な物品の表面処理および/または内部処理のための
処理剤として利用可能であるが、特に、多孔質性を有す
る物品に対して使用することにより、塗布処理において
は形成される塗膜の物理的な強度が増大し、また、含浸
処理においては物品内部に固定される処理剤量が増大す
るという好ましい効果を得ることができ極めて有用であ
る。このような多孔質物品の例として、金属焼結体、鋳
造品、合金、ダイカスト品、セラミックス、レンガ、コ
ンクリート、木材、木片、木粉、木質加工品、モミ、藺
草、藁、竹材、炭、繊維、繊維加工品、合成樹脂の発泡
体がある。また、特に、多孔質物品が植物由来の多孔質
物品、例えば、木材、木片、木粉、木質加工品、モミ、
藺草、藁、竹材、植物繊維、植物繊維加工品などである
場合、これらの多孔質物品中には、リグニン系化合物、
フラボノイド系化合物などの天然ポリフェノール化合物
が既に含まれているため、本発明の処理方法を用いるこ
とで、これらの化合物を酸化反応および/または重合反
応の原料として有効に利用することができる。
【0056】[処理方法]本発明の抗生物剤組成物を用
いて物品処理を行なう際には、刷毛やローラーなどによ
る塗布、スプレー、エアゾールなどによる吹き付け操
作、あるいは含浸操作が実施される。特に含浸操作は、
処理物品が金属焼結体、鋳造品、合金、ダイカスト品、
セラミックス、レンガ、コンクリート、木材、木片、木
粉、木質加工品、モミ、藺草、藁、竹材、炭、植物繊
維、繊維、植物繊維加工品、繊維加工品、合成樹脂の発
泡体などの多孔質物品である場合、十分量の金属含有抗
生物剤を物品に固定することができ極めて有用である。
含浸操作は、処理剤溶液へ物品を浸漬する簡単な方法で
実施可能であるが、含浸の困難な様々な種類の多孔質物
品に十分な量の処理液を注入するためには、加圧および
/もしくは減圧操作が極めて有用である。
【0057】加圧操作は、大気圧(1気圧)から20気
圧、より望ましくは3〜15気圧の範囲で実施される
が、ポリフェノール酸化触媒、特にポリフェノール酸化
酵素の活性が失われないならば、より大きな圧力を加え
ることも可能である。また、減圧操作は、真空圧までの
範囲でいかなる圧力でも実施可能であるが、含浸の困難
な多孔質物品の有効な処理のためには、100〜760
mmHgの範囲での減圧が望ましい。また減圧操作は、
多孔質物品に処理液を加える前に減圧を実施する前排気
の方式がより望ましい。また、多孔質物品中により多量
に処理液を含浸させるために、これらの加圧操作および
減圧操作を組み合わせて実施することも有効である。ま
た、処理液を多孔質物品に含浸させた後、減圧処理を行
ない、処理液の一部を多孔質物品外に回収する方法や、
処理された多孔質物品内部での高分子量化反応が充分に
進行する前に、多孔質物品の洗浄を水等を用いて行な
い、未重合物を除去することで、多孔質性の保持される
程度を容易に調整することが可能である。
【0058】このような多孔質性が保持または調整され
た処理物は、湿度調整能力、保水力、吸着能力、イオン
交換能を保持しており、こうした能力を利用する様々な
用途への利用が可能である。また、多孔質性の保持され
た処理物に対して、さらに、薬剤、ポリマー、プレポリ
マーを含浸させ、様々な複合された性質を有する多孔質
物品が製造可能である。
【0059】多孔質物品が木材の場合、通常用いられる
様々な加圧および/もしくは減圧処理方法が使用可能で
あり、具体的には、充細胞法(ベセル法)、半空細胞法
(ローリー法)、空細胞法(リューピング法)、複式真
空法(ダブルバキューム法)、加圧・減圧交替法(Osci
llating Pressure Method)、脈動加圧法(PulsationPr
essure Method)、定常加圧法(Constant Pressure Met
hod)、低速変動加圧法(Slow Pressure Change Metho
d)、およびこれらの操作を組み合わせた方法が適用可
能である。また、インサイジング加工法もまた、含浸量
を増大させるために適用可能である。また、含浸の困難
な多孔質物品の前処理として、ローラー等を用いる圧縮
処理、マイクロ波加熱、凍結処理、蒸煮処理、水蒸気処
理、あるいは熱処理を行なうことも有効である。
【0060】本発明の抗生物剤を用いる塗布および/ま
たは含浸処理は、0〜150℃、好ましくは10〜10
0℃で実施される。また、こうした処理の後、さらに、
空気中あるいは酸素ガス中に処理物を放置し、徐々に乾
燥させながら養生操作を行なうことにより抗生物剤中の
フェノール性化合物および/または芳香族アミン化合物
の酸化反応および/または高分子量化反応を進行させ、
これにより金属化合物および/または金属イオンを物品
の表面および内部に強固に固定することが可能である。
養生操作は、加熱により促進され、より効率よく金属化
合物および/または金属イオンを固定することが可能と
なる。養生時の加熱は20〜300℃、好ましくは40
〜150℃の温度条件で実施される。また、ポリフェノ
ール酸化触媒を含有する抗生物剤により物品処理を行な
った場合は、ポリフェノール酸化触媒の触媒能が有効に
発現する温度になるように加熱を行なうことが望まし
い。
【0061】このような加熱処理により、より短時間で
効率よく金属化合物および/または金属イオンを固着化
することが可能なる。また、養生の際に処理物に圧力を
加え、多孔質物品の組織を密着させて強度と金属化合物
および/または金属イオン保持性を向上させる方法も有
用である。また、これらの処理を終えた物品に対してさ
らに表面を塗装し、金属イオンなどの処理剤組成物やそ
の構成成分を封止する方法も有効である。特に、酸化処
理および/または重合処理を処理後の物品表面に対して
行なうことによりさらに強固に処理剤成分を固定するこ
とができる
【0062】本発明の抗生物剤組成物のpHは、目的と
する酸化反応および/または重合反応が進行する、いか
なるpH域でも実施可能である。ポリフェノール酸化触
媒を使用しない場合、あるいは金属錯体や人工酵素を使
用する場合は、一般的にアルカリ側のpH域においてよ
り急速に酸化反応が進行する。しかしながら、ポリフェ
ノール酸化酵素を触媒として使用する場合は、アルカリ
pHでの自動酸化速度の増大と、pHに依存する酵素反
応速度の変化とを総合的に判断して、より効率よく酸化
反応および/または重合反応が進行するpH域に処理剤
のpHを調整することが望ましい。
【0063】[剤型]本発明の抗生物剤組成物は、使用
時に水、ジクロロメタンなどの溶剤で希釈を行なうこと
を前提とした高濃度溶液、あるいは希釈なしで使用でき
る濃度の溶液の何れの方法でも調製可能である。この場
合、処理剤組成物が使用前に酸化されることを防ぐた
め、処理剤保存時には処理剤を含む容器を密栓し、外気
との接触を避けることが望ましい。また、処理剤の製造
時に、窒素ガス、不活性ガスの使用、あるいは脱気など
により酸化を抑制することがより望ましい。また、本発
明の抗生物剤を調製する場合、フェノール性化合物およ
び/または芳香族アミン化合物、さらにはポリフェノー
ル酸化触媒を他の処理剤成分とは別に調製し、使用の直
前に混合して使用することも可能である。
【0064】また、本発明の抗生物剤組成物は、前記の
組成物成分を混合し、粉末もしくは造粒された粉末とし
て賦形することで一剤として調製することができる。造
粒は、発塵性を抑えるための、あるいは処理剤の保存性
や使用目的によっては使用上の利便性などの目的で行な
われる賦形であり、具体的には、マルメ造粒、押し出し
造粒、流動造粒、遠心流動造粒等目的に応じて任意の造
粒操作によって達成することができる。この場合、処理
剤中のポリフェノール酸化触媒の保存安定性を向上させ
るため、触媒を他の処理剤成分とは別に安定剤と共に造
粒することも有効である。この様な粉末あるいは粒剤は
使用時に水、ジクロロメタンなどの溶剤に所望濃度に溶
解して使用することが出来る。
【0065】[その他]フェノール性化合物および/ま
たは芳香族アミン化合物を含有する本発明の抗生物剤を
住建材分野に使用する場合、その処理物中には抗酸化性
を有するフェノール性化合物および/または芳香族アミ
ン化合物が存在するため、鉄釘などの腐食しやすい部品
が接触しても、本処理物はその腐食を抑制する効果を有
するため、構築物の強度の維持のためにも有用である。
【0066】また、多孔質物品中での重合反応の効果を
より増大させる目的で、ポリフェノール酸化触媒とフェ
ノール性化合物および/または芳香族アミン化合物を加
圧および/もしくは減圧により多孔質物品中に含浸し、
多孔質物品中で重合反応を行なうことで、ポリフェノー
ル酸化触媒が作用できる物質を含有しないか、もしくは
含有量の少ない多孔質物品の有効な処理が可能となる。
しかも、処理前の抗生物剤における酸化反応および/ま
たは重合反応を抑制しておくことによって、重合反応を
主に多孔質物品内部で進行させることが可能となる。す
なわち、反応液組成物構成物質の分子量が比較的低い状
態、すなわち比較的粘度の低い状態の処理剤を用いて、
多量の処理液を容易に多孔質物品内部に含浸可能であ
り、しかも含浸後の酸化反応および/または重合反応に
よって処理剤成分の有効な固定が可能となる。特に、多
孔質物品中に、ポリフェノール酸化作用を有する触媒が
作用できるリグニン、フラボノイドなどの物質が既に存
在、固定化されている場合は、これが多孔質物品中での
触媒作用によって、フェノール性化合物および/もしく
は芳香族アミン化合物と重合する結果、フェノール性化
合物および/もしくは芳香族アミン化合物はより強固に
多孔質物品中に固定化されるため極めて有用である。
【0067】なお、処理物品の表面や内部で、適当な酸
化および/または重合が進行した時点での反応の停止
は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、炭酸、有機酸
などの酸の含浸、あるいは、多孔質物品表面への塗装や
フィルムによる包装などによる酸素供給の遮断によって
実施できる。また、ポリフェノール酸化触媒が、ポリフ
ェノール酸化作用を有する酵素である場合には、NaO
H、NH3、Na2CO3、CaCO3などのアルカリやア
ルカリ性塩の含浸、既知の酵素阻害剤の含浸、100
℃、15分間程度の加熱処理によっても効果的な反応の
停止が実施可能である。また、従来より行なわれ、しか
も処理剤成分の溶脱が問題となっている多くの処理方法
の後処理、前処理、あるいは同時処理として本発明の抗
生物剤を使用する処理を行なうことにより、従来の処理
剤中に含まれる溶脱し易い成分の固着性を高めることが
可能である。
【0068】
【実施例】以下に本発明について代表的な例を示し、さ
らに具体的に説明する。ただし、これらは単なる例示で
あり、本発明はこれらのみに限られるものではない。ま
た、以下の実施例において%とは特に記載しない限り重
量%を表わす。なお、本発明においては、ポリフェノー
ル酸化作用を有する酵素蛋白質のポリフェノール酸化活
性の測定は、25℃において、20ppmのシリンガル
ダジン(syringaldazine)、および100mMのTri
s−HClバッファーもしくはリン酸カリウムバッファ
ーを含む水溶液中で、至適反応pHでの反応を行ない、
525nmの吸光度を測定することで行なった。そし
て、1分間に1μmolのシリンガルダジンを酸化する
活性量を1ユニット(以下、Uと略す。)と定義した。
【0069】実施例1:ポリフェノール酸化酵素の取得 本発明でポリフェノール酸化触媒として使用する酵素を
取得するため、0.5%グルコースおよび0.1%NaN
3、1.34%Na2HPO4・12H2O、0.3%KH2PO
4、0.1%NaCl、0.2%ペプトン、20ppm酵母エ
キス、0.01%MgSO4・7H2O、0.1mMCuSO4
らなる3リットルの培地に10%NaOHを加えてpH
を8としたものを含む培養槽に、ミロセシウム・ヴェル
カリア(Myro thecium verrucaria)SD3001(受託
番号FERM BP-5520)を接種し、28℃、3日間の振とう
培養を行なった。培養後、4℃での遠心分離により除菌
された培養ブロス2.5リットルを得た。次に、この培養
ブロスの一部を、ミニタン・フィルターパケット(CAT.
NO.:PTGC0MP04,ミリポア社製)を用いるミニタン限外
ろ過システム(ミリポア社製)によって、分子量10,000
以上の画分として濃縮した。これをさらに、200pp
mNH4HCO3に対して透析後、凍結乾燥に供し、目的
の酵素を粗精製物として得た。本酵素標品のポリフェノ
ールオキシダーゼ活性は10U/mgであった。
【0070】実施例2:抗生物剤の調製 エタノールアミン1.2g、ピロガロール0.25g、硫酸銅
(II)・5水和物2.5g、実施例1記載のポリフェノール
酸化触媒4mgを下記の8種類の様々な組み合わせで水
に溶解し200mlとした。pHはホウ酸により8.2に
調整し、ポリフェノール酸化触媒の添加は調製の最後の
段階で行なった。調製された抗生物剤(試料1〜試料8
の組成、およびこれらの剤の安定性を以下の基準により
評価した。結果を表1に示す。
【0071】[抗生物剤の安定性評価]調製された組成
物試料を、1.25倍容のガラス容器に入れて密栓し、40
℃、3週間静置後、剤の状態を観察し、以下の基準によ
り4段階で評価した。以後の実施例においても同様の方
法により、評価を行なった。
【0072】◎…沈殿なし ○…微量の沈殿が生成 △…少量の沈殿が生成 ×…多量の沈殿が生成
【0073】
【表1】
【0074】実施例3:抗生物剤の調製 実施例2と同様に、エタノールアミン1.2g、ピロガロ
ール0.25g、実施例1記載のポリフェノール酸化触媒4
mgを下記の10種類の様々な組み合わせで水200m
l中に含有し、ホウ酸によりpH8.2に調整された水溶
液中に、さらに各種金属塩を40mMの濃度で添加し、
抗生物剤水溶液を調製した。ここで調製された抗生物剤
水溶液(試料9〜18)の組成、およびこれら溶液の安
定性の評価結果を表2にまとめた。
【0075】
【表2】
【0076】実施例4:抗生物剤の調製 実施例2と同様に、エタノールアミン1.2g、硫酸銅(I
I)・5水和物2.5gを水200ml中に含有する水溶液
中に、様々なフェノール性化合物および/または芳香族
アミン化合物を添加し、さらにホウ酸でpH8.2に調整
し、実施例1記載のポリフェノール酸化触媒4mgを加
え、抗生物剤水溶液を調製した(試料19〜21)。こ
こで調製された抗生物剤試料水溶液、およびこれら溶液
の安定性の評価結果を表3にまとめた。
【0077】
【表3】
【0078】実施例5:抗生物剤の調製 実施例2と同様に、エタノールアミン1.2g、ピロガロ
ール1.5g、硫酸銅(II)・5水和物2.5gを水200ml
中に含有する水溶液中に、さらに様々な薬剤を添加し、
ホウ酸によりpH8.2に調整し、実施例1記載のポリフ
ェノール酸化触媒4mgを加えて、抗生物剤水溶液を調
製した(試料22〜25)。ここで調製された抗生物剤
試料水溶液、およびこれら溶液の安定性の評価結果を表
4に示す。
【0079】
【表4】
【0080】実施例6:抗生物剤の調製 リグニンスルホン酸2g、硫酸銅(II)・5水和物2.5g
に、下記表5に示すアルカノールアミン類およびその誘
導体を水に溶解し200mlとし、さらにホウ酸でpH
8.2に調整し、最後に実施例1のポリフェノール酸化触
媒4mgを加えて、抗生物剤溶液を調製した(試料26
〜29)。調製した抗生物剤試料溶液、およびこれら溶
液の安定性の評価結果を表5に示す。
【0081】
【表5】
【0082】実施例7:抗生物剤による物品処理と防腐
性試験 実施例2〜6において調製された各抗生物剤試料を用い
て、スギ木片(2cm×2cm×1cm、木口が2cm
×2cm、辺材)に対する含浸処理を行なった。なお、
含浸操作は、処理液中にスギ木片を浸漬した後に650
〜700mmHgでの減圧を30分間実施し、さらに浸
漬したまま常圧に30分間置くことで行なった。この含
浸操作により、充分量の処理液(3.0から3.4g量)が注
入されていることを、含浸操作の前後の木片重量の測定
により確認した。さらに、含浸処理を終えた木片を28
℃の恒温室に5日間置き、乾燥と反応を行なった後に、
それぞれの木片に水40mlを加え、水面下に木片を沈
めた状態で、マグネチックスターラーを用いて回転子を
回転させ、25±3℃で8時間の撹拌を行なうことで、
溶脱操作を行なった。そして、溶脱操作後の水(溶脱
液)について、日本ジャーレル・アッシュ社、ICAP
−575IIを用いた、元素の高周波プラズマ発光分光分
析法(ICP法)による溶出金属量の分析を行ない、含
浸された金属量を100%として金属の残存量を算出し
た。この結果を表6にまとめた。
【0083】上記の溶脱操作後の木片の一部について、
さらに60℃の乾燥器中での16時間の乾燥と、上記と
同様の溶脱操作を繰り返し実施し、計5回の溶脱操作後
に、60℃の乾燥器中に48時間置き、さらに30分間
デシケータ中に置くことで十分に乾燥させ乾燥重量を測
定した。次に、これらの木片の抗菌試験を、JIS A 9201
(木材防腐剤の性能基準および試験方法 1991)に従っ
て、オオウズラタケ(T yromyces palustris)FFPRI 050
7(農林水産省森林総合研究所より入手)を用いて実施
した。抗菌操作後に木片培養瓶から取り出し、木片表面
の菌糸を十分に取り除き、約24時間風乾した後、前記
と同様に、乾燥器とデシケータを用いて十分に乾燥させ
てから重量を測定し、木片重量の減少率を算出した。そ
の結果、本発明の処理方法により、効果的な抗菌性の付
与が可能であることが示された。詳細な結果を表7に示
した。
【0084】
【表6】
【0085】
【表7】
【0086】実施例8:抗生物剤による物品処理 ポリフェノール酸化触媒を添加しない以外は実施例2〜
5と同様の組成で調製された種々の抗生物剤試料を用い
て、実施例7と同様の木材への含浸処理を行なった。含
浸後、実施例7における28℃5日間の乾燥・反応に代
えて、150℃で24時間保持する加熱加速処理を行な
った。実施例7と同様の方法で溶脱操作を行ない、溶出
金属量の分析により、金属の残存率を算出した。結果を
表8にまとめた。この結果、特に低分子量フェノール性
化合物を用いた剤では、ポリフェノール酸化触媒を使用
しない上記の加速条件下でも金属の残存率を十分な水準
に維持できることが示された。
【0087】
【表8】
【0088】実施例9:抗生物剤による物品処理 実施例4および6に表記の、酸化還元触媒を含む種々の
抗生物剤試料を用いて、実施例7と同様の木材への含浸
処理を行なった。含浸後、実施例7における28℃、5
日間の乾燥・反応に代えて、50℃で48時間保持する
加熱加速処理を行なった。実施例7と同様の方法で溶脱
操作を行ない、溶出金属量の分析により、金属の残存率
を算出した。結果を表9にまとめた。この結果、特にリ
グニンスルホン酸を用いた剤では、触媒が活性を保てる
範囲内において反応温度を上げることにより、反応時間
を短縮しても十分な金属の残存率を得られることが示さ
れた。
【0089】
【表9】
【0090】実施例10:濃縮抗生物剤の調製 エタノールアミン36g、下記の各組み合わせにより金
属塩1M相当分およびリグニンスルホン酸60gを含む
水溶液200mlを調製し、ホウ酸により30倍希釈時
のpHが8.2となるように調整し、さらに実施例1記載
のポリフェノール酸化触媒を120mg添加することに
より抗生物剤の濃縮剤(試料30〜37)を調製した。
これら濃縮剤の安定性評価結果を表10に示した。ま
た、安定性評価後、剤を水により30倍に希釈して作業
液を調製し、実施例7の要領で木片に含浸・溶脱処理を
行ない、含浸された金属量を100%として溶出量から
金属の残存量を算出した。結果を同じく表10に示し
た。
【0091】
【表10】
【0092】実施例11:抗生物剤による物品処理 市販有孔レンガの破砕片(約9cm×約5cm×約3c
m)を用いて、実施例2記載の抗生物剤5、7、または
8を10ml量用いて、レンガ片の面のひとつ(約9c
m×約5cm)に塗布した。次に、レンガ片を28℃の
恒温室に5日間置き、乾燥と反応を行なった。各々の処
理レンガに水500mlを加えて静水中に5時間浸漬す
ることで溶脱操作を行なった。そして、溶脱操作後の水
(溶脱液)について、実施例7と同様にしてICP法に
より分析を行ない、金属の残存率を算出した。結果を表
11に示した。
【0093】
【表11】
【0094】実施例12:抗生物剤による物品処理と防
蟻性試験 実施例2、4において調製された抗生物剤5、7、8、
または19を用い、(社)日本木材保存協会規格第12
号(1992)に規定する防蟻効力試験(総合試験)を実施し
た。その結果を無処理試験体の結果と共に表12に示
す。本発明の処理方法により、効果的な防蟻性の付与が
可能であることが示された。なお、耐候操作は、上記規
格に準拠し、薬剤処理木片を静水中に30秒浸漬した
後、底部に水をはった26℃のデシケーター中に4時間
放置し、さらに40℃の循環式恒温器中で20時間乾燥
する一連の操作を、10回繰り返すことにより行なっ
た。
【0095】
【表12】
【0096】
【発明の効果】本発明の抗生物剤組成物を用いる物品処
理により、有効成分としての金属化合物および/または
金属イオンの溶脱性が改善され、長期間有効な抗生物
性、非環境汚染性などの有用な効果を有する物品が得ら
れる。また、本発明の処理方法は、木材などの多孔質物
品に防腐性、防虫性などの有用な効果を付与する際に特
に有効である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A01N 59:16 59:20 59:06 31:08 33:06)

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属化合物およびアルカノールアミン
    類、並びにフェノール性化合物および/または芳香族ア
    ミン化合物を含有することを特徴とする抗生物剤組成
    物。
  2. 【請求項2】 フェノール性化合物および/または芳香
    族アミン化合物が、酸素および/または触媒の存在下に
    酸化および/または高分子量化する化合物である請求項
    1に記載の抗生物剤組成物。
  3. 【請求項3】 金属化合物がジルコニウム、チタニウ
    ム、バナジウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、
    コバルト、ニッケル、パラジウム、銅、銀、亜鉛、カド
    ミウム、アルミニウム、錫、鉛、アンチモン、カルシウ
    ム、マグネシウム、ストロンチウムおよびバリウムから
    選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する化合物で
    ある請求項1または2に記載の抗生物剤組成物。
  4. 【請求項4】 アルカノールアミン類が、モノエタノー
    ルアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールア
    ミンから選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項
    1乃至3のいずれかに記載の抗生物剤組成物。
  5. 【請求項5】 フェノール性化合物が、ピロカテコー
    ル、ハイドロキノン、ピロガロール、没食子酸、タンニ
    ン酸、リグニンおよびこれらの誘導体から選ばれる少な
    くとも1種の化合物である請求項1乃至4のいずれかに
    記載の抗生物剤組成物。
  6. 【請求項6】 リグニン誘導体がリグニンスルホン酸ま
    たはリグニンスルホン酸塩である請求項5に記載の抗生
    物剤組成物。
  7. 【請求項7】 さらにポリフェノール酸化触媒を含有す
    る請求項1乃至6のいずれかに記載の抗生物剤組成物。
  8. 【請求項8】 ポリフェノール酸化触媒がカテコールオ
    キシダーゼ、ラッカーゼ、ポリフェノールオキシダー
    ゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンオキシダ
    ーゼおよびペルオキシダーゼから選ばれる少なくとも1
    種の酵素である請求項7に記載の抗生物剤組成物。
  9. 【請求項9】 芳香剤、消臭剤、防錆剤、難燃化剤、抗
    菌剤、防腐剤、殺菌剤、防虫剤、抗ウィルス剤および生
    物忌避剤から選ばれる少なくとも1種の薬剤をさらに含
    有する請求項1乃至8のいずれかに記載の抗生物剤組成
    物。
  10. 【請求項10】 組成物が、使用時に溶解して使用され
    る固形剤または希釈して使用される高濃度溶液である請
    求項1乃至9のいずれかに記載の抗生物剤組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
    抗生物剤組成物を物品に塗布および/または含浸するこ
    とを特徴とする物品処理方法。
  12. 【請求項12】 抗生物剤組成物を物品に塗布および/
    または含浸した後、抗生物剤組成物中のフェノール性化
    合物および/または芳香族アミン化合物を酸化および/
    または高分子量化する請求項11に記載の物品処理方
    法。
  13. 【請求項13】 抗生物剤組成物を物品に塗布および/
    または含浸した後、加熱処理を行なって抗生物剤組成物
    中のフェノール性化合物および/または芳香族アミン化
    合物を酸化および/または高分子量化する請求項12に
    記載の物品処理方法。
  14. 【請求項14】 20℃〜300℃の範囲の温度に加熱
    処理する請求項13に記載の物品処理方法。
  15. 【請求項15】 40℃〜150℃の範囲の温度に加熱
    処理する請求項14に記載の物品処理方法。
  16. 【請求項16】 物品が多孔質物品である請求項11乃
    至15のいずれかに記載の物品処理方法。
  17. 【請求項17】 多孔質物品が金属焼結体、鋳造品、合
    金、ダイカスト品、セラミックス、レンガ、コンクリー
    ト、木材、木片、木粉、木質加工品、モミ、藺草、藁、
    竹材、炭、繊維、繊維加工品、または合成樹脂の発泡体
    である請求項16に記載の物品処理方法。
  18. 【請求項18】 物品への含浸を加圧および/または減
    圧により行なう請求項11乃至17のいずれかに記載の
    物品処理方法。
  19. 【請求項19】 加圧を1〜20気圧で実施することを
    特徴とする請求項18に記載の物品処理方法。
  20. 【請求項20】 請求項11乃至19のいずれかに記載
    の方法により処理を行なう工程を含むことを特徴とする
    抗生物性の付与された物品の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項20記載の製造方法で得られる
    抗生物性の付与された物品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6045865A (en) * 1996-10-11 2000-04-04 Novo Nordisk A/S Process for impregnating solid wood and product obtainable by the process
JP2006111599A (ja) * 2004-10-18 2006-04-27 Kansai Paint Co Ltd 防腐剤
JP2006123447A (ja) * 2004-11-01 2006-05-18 Sds Biotech Corp 木材の処理溶液および処理方法

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