JP2009226629A - 高分子タンニンの架橋反応を利用した天然素材からなる成形品の製造方法 - Google Patents

高分子タンニンの架橋反応を利用した天然素材からなる成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒトや環境に優しい方法を用いて、植物繊維材料、特に植物性残渣から天然素材からなる成形品を提供する。
【解決手段】植物繊維材料及び高分子タンニンを混合し、(i)過酸化水素及びペルオキシダーゼ、又は(ii)過酸化水素及び金属ポルフィリン錯体で処理した後、加熱及び加圧して成形することを特徴とする天然素材からなる成形品の製造方法;並びにこの方法によって得られる成形品。
【選択図】なし

Description

本発明は、植物繊維材料、特に植物性残渣から高分子タンニンの架橋反応を利用して天然素材からなる成形品を製造する方法に関する。
木粉、竹粉、茶がら、コーヒー滓、大豆の搾り滓、果汁搾り滓などの植物性残渣は、従来、単に廃棄されたり、燃やしたり、飼料として利用されるだけで、ほとんど利用価値はなかった。
特許文献1には、植物繊維材料と柿渋等の天然素材からなるバインダーとを混合し、成形させた生分解性プラスチックが記載されている。
しかしながら、特許文献1の生分解性プラスチックは、低い撥水性や高い吸水性による強度低下が起こり、生活化成品としての製品化が限定されていた。
非特許文献1には、ホルムアルデヒドを架橋剤として用いた高分子タンニンによる木粉のボード化方法が記載されている。
この方法で作成されたボードは高い耐久性を持ち、72時間の煮沸処理も耐えうるが、ホルムアルデヒドは有毒であるため、使用は極力避ける必要がある。
特開2005−23262号公報 H. Yano, P.J. Collins and Y. Yazaki, Jour. Materials Sci., 36, 1932-1942 (2001)
本発明の課題は、植物繊維材料、特に植物性残渣を用いて、ヒトや環境に優しい天然素材からなる成形品を提供することである。
前記課題に鑑み研究を重ねた結果、本発明者らは、酸化酵素反応又は酵素類似反応を利用することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)植物繊維材料及び高分子タンニンを混合し、(i)過酸化水素及びペルオキシダーゼ、又は(ii)過酸化水素及び金属ポルフィリン錯体で処理した後、加熱及び加圧して成形することを特徴とする天然素材からなる成形品の製造方法。
(2)植物繊維材料が植物性残渣である前記(1)に記載の方法。
(3)高分子タンニンが縮合型タンニンである前記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)金属ポルフィリン錯体が鉄−プロトポルフィリン錯体である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法によって得られる成形品。
本発明によれば、ヒトや環境に優しい方法を用いて、植物繊維材料、特に植物性残渣から天然素材からなる成形品を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる植物繊維材料としては、植物に由来し、細胞壁又はセルロースを主成分とする材料であれば、特に制限はない。また、本発明に用いる植物繊維材料としては、解繊処理を行ってセルロース以外の成分を除去したものを用いることもできるが、植物系廃棄物の有効利用の点からは、解繊処理をせずに植物性残渣をそのまま用いることが好ましい。植物性残渣としては、植物に由来し、細胞壁を主成分とするものであれば、特に制限はなく、例えば木粉、竹粉、茶がら、コーヒー滓、大豆の搾り滓(例えば、豆腐粕(おから))、果汁搾り滓、野菜くず、野菜の調理のくずなどが挙げられる。
植物繊維材料は、通常、粉砕して、100メッシュ程度の乾燥粉末として用いる。
植物繊維材料として植物性残渣を用いる場合、乾燥粉末の細部にわたって、タンニン溶液が浸透する点から、予め、植物性残渣を高圧蒸気処理することにより脱気することが好ましく、また、架橋時に高い架橋度を確保する点から、ろ過により低分子化合物を除去することが好ましい。
前記高圧蒸気処理は、好ましくは、オートクレーブなどの装置を使い、100〜140℃程度、好ましくは115〜130℃程度の高温で15〜30分間処理する(同じ時間の煮沸処理でも似た効果は期待できる)ことにより行われる。油性分の多い植物性残渣(コーヒー滓や大豆の搾り滓など)は脱脂処理をすることが望ましい。ろ過は、好ましくは、No.2程度の濾紙で濾過する条件に匹敵する濾過装置で行われる。
タンニンは、植物の幹、皮、葉、実等から抽出される天然物であり、環境に優しい物質である。タンニンには、ピロガロール系の加水分解型タンニンとカテコール系の縮合型タンニンがある。
本発明に用いる高分子タンニンとは、植物の幹、皮、葉、実等から熱水やアルコール等で抽出されるポリフェノール重縮合体であり、渋みを呈し、多くのタンパク質と強く結合して沈殿を生じるものをいい、通常分子量は約2千〜約100万であり、好ましくは分子量1万以上のものを用いる。本発明においては、加水分解型及びカテコール系の縮合型のいずれの高分子タンニンを用いてもよいが、カテコール系の縮合型タンニンが好ましい。高分子タンニンとしては、例えばケブラチョタンニン、ミモザタンニン、ワットルタンニン等の心材や樹皮に含まれる高分子タンニン;バナナ、リンゴ、カキ等の未熟果実に含まれる高分子タンニン;キャロブ豆、ブドウ等の未熟なサヤや種子に含まれる高分子タンニンが挙げられる。
一般に「タンニン」と呼ばれる緑茶や紅茶に含まれるカテキン等のポリフェノールは低分子であるため、皮の鞣し作用はほとんどなく、タンパク質との結合も弱く、分子量もカテキンが290で、大きなものでも400から500であり、本発明に用いる高分子タンニンとは異なる。
前記高分子タンニンは、原料から抽出後、通常は乾燥して粉末として用いられるが、原料からの抽出液をそのまま用いてもよい。
高分子タンニンの原材料(例えば、カキタンニンでは柿渋)には、高分子タンニン以外に有機酸、アミノ酸等が含まれているため、必要に応じて精製して、これらの不純物を除去したものを用いてもよい。
本発明において、凍結乾燥や熱風乾燥した植物繊維材料と、高分子タンニンとの重量比(乾燥重量として)は、通常50:1〜1:1、好ましくは20:1〜5:1である。植物繊維材料及び高分子タンニンは、通常、水、緩衝液等の水性溶媒中で混合する。通常、乾燥した又は湿った植物繊維材料(植物性残渣)と高分子タンニン溶液を重量比1:2〜2:1、好ましくは1:1の割合で混練する。
植物繊維材料と高分子タンニン溶液との混合物は、植物性残渣が十分に高分子タンニンに覆われて、細胞壁同士が高分子タンニンで接着・結合するように、充分に撹拌することが好ましい。撹拌は、好ましくは混練機で1〜6時間十分撹拌して行われる。
本発明においては、前記の植物繊維材料と高分子タンニンとの混合物を酸化酵素反応又は酵素類似反応を利用して架橋させる。
本明細書において、「酸化酵素反応」とは過酸化水素及びペルオキシダーゼによる処理をいい、「酵素類似反応」とは過酸化水素及び金属ポルフィリン錯体による処理をいう。
乾燥の時間を短縮しながら、効果的に反応をすすめるために、酵素反応及び酵素類似反応は、ドロドロの状態で行うことが好ましい。したがって、植物繊維質(植物性残渣)の乾燥粉末に対して、等量(重量比)の水溶液とした高分子タンニン溶液を加え、よく混練することが好ましい。
酸化酵素反応を利用して架橋させる場合、反応溶液における高分子タンニン濃度は、通常1〜25重量%、好ましくは2.5〜15重量%、更に好ましくは5〜10重量%であり、pHは、通常4〜10、好ましくは5〜9、更に好ましくは5.5〜7である。必要に応じて、緩衝液や、薄い塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸等の酸、又は薄い水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の塩基によりpHを調整してもよい。
本発明に用いるペルオキシダーゼは、AH+H→2HO+A(AHは電子供与体)の反応を触媒する酸化還元酵素であり、動物や植物、微生物由来のもの、また遺伝子工学的手段により得られたものが利用できる。本発明においてペルオキシダーゼは、過酸化水素を酸化剤として、高分子タンニンのフェノール性水酸基を酸化する反応を触媒する。低分子ポリフェノールに関する一般的な反応においては、ペルオキシダーゼによりフェノール性水酸基が酸化されてキノンが形成され、この反応性の高いキノンが周辺のベンゼン環やフェノール性水酸基と反応するため架橋が起こると推察されており、高分子タンニンにおいては、主に同様の反応が起こっていると推測されるが、詳細は検討中である。ペルオキシダーゼの反応溶液中の濃度は、反応溶液(ドロドロの懸濁液)200ml当たり、通常0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mgである。
過酸化水素は、通常1〜20重量%水溶液として用いられる。過酸化水素の反応溶液中の濃度は、通常15〜120mM、好ましくは50〜80mMである。
処理温度は、通常0〜70℃、好ましくは5〜70℃、更に好ましくは10〜40℃であり、処理時間は、通常30秒〜48時間、好ましくは30分〜24時間である。
反応は、静置反応及び撹拌反応のいずれでもよいが、均質な製品を作成するためには、十分撹拌後、静置して長時間反応を続けることが望ましい。反応の停止は、活性なアミノ基やシステニル基を持つアミノ酸やタンパク質を添加して行う。
酵素類似反応を利用して架橋させる場合、反応溶液における高分子タンニン濃度は、通常1〜25重量%、好ましくは2.5〜15重量%、更に好ましくは5〜10重量%であり、pHは、通常中性付近である。必要に応じて、緩衝液や、薄い塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸等の酸、又は薄い水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の塩基によりpHを調整してもよい。
本発明に用いる金属ポルフィリン錯体としては、好ましくは、金属プロトポルフィリン錯体、金属デューテロポルフィリン錯体、金属ジアセチルデューテロポルフィリン錯体、金属メソポルフィリン錯体、金属ジホルミルポルフィリン錯体、金属テトラフェニルポルフィリン錯体、金属オクタエチルポルフィリンが挙げられる。また、中心金属は、鉄又はコバルト、特に鉄(III)が好ましい。
好ましい金属ポルフィリン錯体の具体例としては、
次式:
Figure 2009226629
で示されるヘミン及びヘマチンが挙げられる。金属ポルフィリン錯体の反応溶液中の濃度は、反応溶液(ドロドロの懸濁液)200ml当たり、通常0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mgである。
過酸化水素は、通常1〜20重量%水溶液として用いられる。過酸化水素の反応溶液中の濃度は、通常15〜120mM、好ましくは50〜80mMである。
処理温度は、通常10〜30℃、好ましくは20〜25℃であり、処理時間は、通常8〜48時間、好ましくは12〜24時間である。
反応は、静置反応及び撹拌反応のいずれでもよいが、均質な製品を作成するためには、十分撹拌後、静置して長時間反応を続けることが望ましい。反応の停止は、活性なアミノ基やシステニル基を持つアミノ酸やタンパク質を添加して行う。
前記の酸化酵素反応又は酵素類似反応を利用した架橋反応により、前記混合物中の高分子タンニン同士、高分子タンニンと細胞璧のリグニン又は構造タンパク質とが架橋され、補強される。
架橋反応終了後、反応溶液を、例えば凍結乾燥等により乾燥することにより架橋化物の粉末を得ることができる。
以上のようにして得られた架橋化物の粉末を鋳型に入れて、加熱及び加圧して成形することにより目的とする天然素材からなる成形品、例えば平板なボードや各種の容器などを作成することができる。加熱及び加圧は、同時に行ってもよいし、加圧後加熱又は加熱後加圧してもよい。加熱温度は、通常160〜220℃、好ましくは180〜200℃であり、圧力条件は、通常30〜130MPa、好ましくは60〜100MPaである。
本発明には、必要に応じ本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤を用いることができる。
本発明の天然素材からなる成形品は、ヒトや環境に優しい天然物100%の素材からできており、使用後、燃料として燃やすことも可能であり、また、環境に排出されても生分解性が高い。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、カキタンニンとしては丸善製薬株式会社(尾道、広島県)から入手した、精製したカキタンニン粉末を用いた。
(実施例1)金属ポルフィリン錯体を用いた架橋反応によるボードの形成
(1)高分子タンニンによる被覆・接着
100メッシュの市販のスギ木粉(未乾燥品(推定水分含量20〜30%))100g(容積約500ml)に蒸留水を加えて、1.5L容にし、オートクレーブ処理(121℃で20分間)した。室温でデカンテーション(3〜5回)後、ブフナーロートで減圧ろ過をした(湿重量203g)。
カキタンニン粉末(凍結乾燥品)10gに蒸留水を加え、200mlに定容して調製した5%タンニン水溶液110mlを、前記減圧ろ過後の湿ったスギ木粉203g(全量)に加えて、混練機で約1時間撹拌した。ボウルの底・側面にサンプルが残ったので、5分おきにヘラを用いてサンプルを混ぜた。
(2)架橋反応
乳鉢でよく粉砕したヘマチン粉末400mgを前記(1)の湿った木粉と混ぜて、撹拌機で十分に撹拌した。5%過酸化水素水溶液を15分おきに10mlずつ滴下しながら(12回、合計120ml添加)室温で3時間反応させた。応混合物(約400g)を大型シャーレに移して、一晩35℃のインキュベーターで保温して反応を促した。24時間後、二等分したものを1Lビーカー内で1つにまとめ、70mlの蒸留水を加えて、撹拌機で1時間撹拌させた。約24時間後に、取り出し、ミルクカゼインを5g加えて、十分に混練機で1時間撹拌した。試料は粘性が増加し、餅状に変化した。更に、35℃のインキュベーター内に一晩置いた。そして、−30℃の冷凍庫で一晩保存して、凍結した。その後、凍結乾燥を行い、乾燥粉末(108g)を作成した。
(3)加熱・圧縮
プレス機の温度を上下共に180℃に設定した。直径7cmの円筒状ダイに前記(2)の試料を15g入れた。このとき試料を少量ずつ取り、薄い層を重ねていくようにして詰めた。プレス機の温度が180℃に近づいたのを確認し、円筒状ダイをプレス板の中央に置き、プレスを開始した。圧力が30MPaに達するまで加圧し、30MPaに達してから10分間放置した。(この間、徐々に圧力が下がったので、30MPaに保つよう随時加圧した。)10分後、試料を取り出した。更に、圧力をあげて、85MPaとして、10分間維持した。
その後、試料を取り出すことにより、円盤状のボード(厚さ3mm,直径7cm)を作成した。
(実施例2)ペルオキシダーゼ酵素を用いた架橋反応によるボードの形成
(1)100メッシュの市販のスギ木粉(未乾燥品(推定水分含量20〜30%))100gを高温蒸気処理し、冷却後、デカンテーション(傾斜法)を3〜5回行い、水可溶性物質をできるだけ除去した。その後、No.2のろ紙をセットしたブフナーロートで減圧濾過により、余分な水分を除いた。(187g)
(2)重量比2対1の割合で、100mlの5%カキタンニン水溶液を加えて、室温で2時間十分に撹拌、混練した。
(3)市販の西洋わさびペルオキシダーゼ1mg/mlの水溶液を1mlずつ加えて、よく撹拌、混練しながら、5%過酸化水素水溶液を滴下しながら10mlずつ加えて、更に撹拌を続けた。
(4)これを、1時間の間に10分間間隔で6回行い、合計2時間続けた。
(5)添加後、全体のどろどろ状態の懸濁液を35℃で一晩インキュベーターで反応させた。
(6)反応後、ミルクカゼインを5g/50mlの溶液にしたものを、加えて、1時間十分に撹拌、混練した。
(7)タッパウエアーに入れて、一晩凍結した。
(8)凍結乾燥機で乾燥した。(乾燥粉末:106g)
(9)15gの乾燥粉末を直径7cmの円筒状ステンレス鋳型に入れて、熱プレス機で、180℃、90MPa、30分間の条件で圧縮して成形した。厚さ約3mmの円盤ボードができた。
(実施例3)作成したボードの評価
(1)外観と肌触り
成形物の色や肌触りから、元の木粉からどの程度変化したかを判断した。不十分な成形は、粉ぽい質感であった。完成品は陶器のような肌触りと質感があった。また、叩いた時の音も陶器に近かった。
(2)引っ張り試験による強度試験及び曲がり強度試験
小型卓上試験機を用いて、引っ張り試験を行った。多くの試料は熱プレス機用金型(JIS−K7171型)を用いて成形して、試験を行った。また、円盤型ボードをのこぎりで切断して長方形の切片を作成して、強度試験も行った。引っ張り試験による強度試験及び曲がり強度試験は素材の影響を明らかにするために、比較的弱い熱プレス条件(例えば、30MPa、10分、180又は170℃)を選択した。
(3)撥水試験
10g あるいは15gの凍結乾燥粉末から作成した円盤状の成形物(直径7cm)を20時間35℃のお湯に浸漬後、重量と厚さの変化を調べた。円盤状の成形物を作る際に比較的強い熱プレス条件(通常、180℃、60MPaで10分から30分)を選択した。
(4)結果
木粉に対してカキタンニン5%及び10%の添加にミルクカゼインを5%あるいは10%添加すると、それぞれの強度及び撥水効果が増加することが明らかとなった。この素材を使い、より強い条件で熱プレス(180℃、90MPa、30分間)を行うことで、木質の質感を失うことなく、35℃、24時間の浸漬処理でほとんど吸水が起こらないボードを作成できることが確認できた。
鍵型ボード成形品の引っ張り強度試験におけるカキタンニンとミルクカゼイン(MC)の割合が強度に与える影響を図2に示す(タンニン濃度:5%、ミルクカゼイン濃度:0〜20%、架橋反応:へミンと過酸化水素、熱プレス条件:180℃、30MPa10分〜60MPa10分、サンプル量:7g)。
鍵型ボード成形品の曲げ強度試験におけるカキタンニン(KT)とミルクカゼイン(MC)の割合が曲げ強度に与える影響を図3に示す(タンニン濃度:5%、ミルクカゼイン濃度:0〜20%、架橋反応:へミンと過酸化水素、熱プレス条件:180℃、30MPa10分〜60MPa10分、サンプル量:7g)。
図2及び3において、「STROKE」は強度試験の際の加圧時の試料の伸び(mm)を示す。図3において、「Wfonly」は木粉のみを用いた場合を示す。
円盤状ボード成形品の撥水試験におけるカキタンニン(KT)とミルクカゼイン(MC)の割合が撥水性に与える影響を図4に示す(タンニン濃度:5%、ミルクカゼイン濃度:0〜20%、架橋反応:へミンと過酸化水素、熱プレス条件:180℃、30MPa10分〜60MPa10分、サンプル量:10g)。図4において、「WFonly」は木粉のみを用いた場合を示す。
図5に示すお椀型の成形品は、この結果に基づいて作成した(タンニン濃度:5%、ミルクカゼイン濃度:5%、架橋反応:へミンと過酸化水素、熱プレス条件:180℃,60MPa,30分)。また、同様の条件では、木粉のみならず、竹粉、コーヒー残さ、茶殻、大豆の搾りかす、ミカンのジュース滓などから成形品を作成することもできた。
本発明の成形品は、例えば、使い捨ての飲料や食品用容器、食器、弁当箱などや、家電製品、車、携帯電話、パソコンのボードとして利用できる。
撥水試験用円盤状ボード成形品と引っ張り強度試験及び曲がり強度試験用鍵型ボード成形品の代表例を示す写真である。 鍵型ボード成形品の引っ張り強度試験におけるカキタンニンとミルクカゼイン(MC)の割合が強度に与える影響を示す図である。 鍵型ボード成形品の曲げ強度試験におけるカキタンニン(KT)とミルクカゼイン(MC)の割合が曲げ強度に与える影響を示す図である。 円盤状ボード成形品の撥水試験におけるカキタンニン(KT)とミルクカゼイン(MC)の割合が撥水性に与える影響を示す図である。 木粉をベースにした天然物100%のお椀型成形品を示す写真である。

Claims (5)

  1. 植物繊維材料及び高分子タンニンを混合し、(i)過酸化水素及びペルオキシダーゼ、又は(ii)過酸化水素及び金属ポルフィリン錯体で処理した後、加熱及び加圧して成形することを特徴とする天然素材からなる成形品の製造方法。
  2. 植物繊維材料が植物性残渣である請求項1記載の方法。
  3. 高分子タンニンが縮合型タンニンである請求項1又は2記載の方法。
  4. 金属ポルフィリン錯体が鉄−プロトポルフィリン錯体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法によって得られる成形品。
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