JPH10262547A - 青果物用鮮度保持剤及び青果物の鮮度保持方法 - Google Patents

青果物用鮮度保持剤及び青果物の鮮度保持方法

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JPH10262547A
JPH10262547A JP9281197A JP9281197A JPH10262547A JP H10262547 A JPH10262547 A JP H10262547A JP 9281197 A JP9281197 A JP 9281197A JP 9281197 A JP9281197 A JP 9281197A JP H10262547 A JPH10262547 A JP H10262547A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鮮度劣化の原因となるエチレンガスの発生を
持続的に抑制し、不快臭がなく、印刷インキや樹脂等に
添加して加工する際にも安定であり、安全性の高い鮮度
保持剤を提供すること。 【解決手段】 ケイヒ酸及びケイヒ酸誘導体とシクロデ
キストリンを含有することを特徴とする青果物用鮮度保
持剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、輸送又は貯蔵中に起こ
る青果物の変色や柔軟化などの自動劣化を持続的に遅ら
せて保存性を高め、加えて汚染菌による品質の低下の予
防にも有効な、安全性の高い青果物用鮮度保持剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から市販されている青果物の鮮度保
持剤の多くは、鮮度劣化の原因となるエチレンなどの有
害なガスを多孔質物質に吸着させ、当該青果物周辺の有
害ガス濃度を低減させて鮮度保持を達成しようとするも
のである。しかしながら、この吸着タイプの鮮度保持剤
は、吸着のキャパシティーが限られており、吸着量が飽
和状態に達するとその後の効力は喪失してしまい、持続
的な効果は望めず、より長期間、持続的に効果を発揮す
る鮮度保持剤が待望されている。
【0003】ところで、従来の鮮度保持剤は、青果物が
排出した有害ガスを排除することに主眼がおかれている
が、従来の鮮度保持剤よりも確実で、顕著な効果を得る
には発想を転換し、有害ガスの生成そのものを抑制する
方策を開発することが必要である。本発明者は上記の観
点で鋭意検討した結果、ケイヒ酸が鮮度劣化の原因とな
るエチレンガスの発生を抑制する作用を持つことを見出
し、ケイヒ酸を鮮度保持剤に利用することを提案した
(特開平8−259408号公報、特願平8−2999
00号及び299901号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ケイヒ
酸の持つ鮮度保持作用の利点を十分に活かすには、その
特有臭(芳香)の問題や、ケイヒ酸を印刷インキや樹脂
等に添加し、加工する際の安定性の問題を解決する必要
がある。従って、本発明の目的は、鮮度劣化の原因とな
るエチレンガスの発生を持続的に抑制し、不快臭がな
く、印刷インキや樹脂等に添加して加工する際にも安定
であり、安全性の高い鮮度保持剤を提供することであ
る。
【0005】上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた
結果、ケイヒ酸をシクロデキストリンに包接させること
によって、ケイヒ酸の青果物存在雰囲気への放出量を調
節し、効果の持続化と特有臭の軽減を両立させることが
でき、さらにはケイヒ酸の印刷インキや樹脂への加工時
の安定性を向上させることができることを見出し、本発
明を完成するに至った。尚、上記目的を達成するうえ
で、青果物の鮮度保持剤に関して以下のことを考慮し
た。
【0006】(エチレンガスの抑制)エチレンは青果物
の鮮度劣化の主原因と考えられる。このエチレンは青果
物自らが発生するガスで、自分自身とさらには同じ雰囲
気に存在する別の青果物の鮮度劣化を促進することが知
られている。鮮度保持を達成するには、このエチレンの
作用を抑制する方策を講じなければならない。
【0007】(緑色の保持)緑色野菜の鮮度を考えるに
あたって、緑色の保持は重要な課題である。なぜなら、
消費者にとって視覚的に認識し易い緑色の度合いは、野
菜の売り上げを左右する重要な鮮度判定の指標になって
いるからである。
【0008】(効果の持続性)エチレンの作用を持続的
に抑える方法としては、キャパシティーが限られている
吸着剤によってエチレンを吸着する方法より、エチレン
の発生自体を抑制する方法の方が効果的である。従っ
て、ケイヒ酸のエチレン生成に関わる酵素の活性阻害作
用を用いる方法が考えられるが、該分解生成物を用いる
場合よりもさらに長期間の安定した効果を期待するに
は、この酵素活性阻害作用を調節し、その適量を適時エ
チレン生合成関連酵素に作用させる工夫が必要である。
【0009】(特有臭)青果物からのエチレンの発生を
抑制するために、エチレン生合成関連酵素の阻害剤とし
て、ケイヒ酸を用いる方法が検討されるが、これらの物
質はすべて芳香族化合物であり、物質によってはその特
有な臭いが使用環境に適しない場合も考えられるので、
特有臭を低減する措置が望まれる。
【0010】(加工時の安定性)ケイヒ酸の鮮度保持作
用を有効に活かす手段として、ケイヒ酸の樹脂への混練
やコーティング剤への添加が考えられ、ケイヒ酸を含有
する青果物梱包用樹脂成形容器や印刷インキによる青果
物用包装紙への印刷など幅広い用途が期待できる。しか
しながら、このような製品を実用化するには、ケイヒ酸
を加工する際に安定であることが必要である。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
により達成される。すなわち、本発明はケイヒ酸及び/
又はケイヒ酸誘導体とシクロデキストリンを含有するこ
とを特徴とする青果物用鮮度保持剤及びそれを用いた青
果物の鮮度保持方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】次に発明の実施形態を挙げて本発
明を更に詳細に説明する。尚、以下ではケイヒ酸及びケ
イヒ酸誘導体をケイヒ酸で代表させて説明するが、本発
明はケイヒ酸に限定されるものではない。
【0013】本発明ではケイヒ酸及びケイヒ酸誘導体を
使用するが、ケイヒ酸誘導体は、例えば、p−クマル
酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸、コニフェリ
ールアルコール、シナピルアルコール、p−クマリルア
ルコール、フェニルアラニン等のケイヒ酸から誘導可能
な化学構造がケイヒ酸に類似の物質を指す。ケイヒ酸及
びケイヒ酸誘導体として好ましいのは、ケイヒ酸、p−
クマル酸、コーヒー酸、フェルラ酸等である。これらは
単独で、あるいは2種以上の混合物として使用すること
ができる。これらの物質は、リグニンの分解生成物や天
然精油等の天然物から分離したもの、あるいは合成反応
生成物として入手可能である。
【0014】本発明に用いられるシクロデキストリン
(以下ではCDと称する)は特に制限されないが、製造
コストの点や製造効率を考えれば、微生物が生産するC
D生成酵素を使用した製造法により得られるα、β及び
γ−CD、並びにこれらをマルトシル化したα、β及び
γ−マルトシルCD等が好ましい。また、ケイヒ酸を高
濃度において使用する場合には、水溶性の大きいヒドロ
キシプロピルCDが適している。
【0015】本発明の青果物用鮮度保持剤は、ケイヒ酸
とCDとを有効成分として含むものであり、両物質を混
合して使用することもできるが、ケイヒ酸の特有臭を低
減させ、鮮度保持効果を持続させるうえからは、ケイヒ
酸がCDで包接された化合物(以下では、ケイヒ酸−C
D包接化合物と称する)として使用することが好まし
い。
【0016】次にケイヒ酸のCDによる包接化について
説明する。CDはグルコースが環状にα−1,4−グル
コシド結合した構造を持ち、グルコース残基が垂直に立
っていることから、その1分子は筒状になっている。水
溶液中でCDのキャビティ(内腔)は疎水性環境になっ
ており、エネルギー的には不安定な状態にあるが、ケイ
ヒ酸が接近すると疎水的な性質を有するケイヒ酸の芳香
核部分がこのキャビティ部分に取り込まれ、エネルギー
的に安定なケイヒ酸がCDに包接された化合物になると
考えられる。このCDの包接作用により、ケイヒ酸の臭
気低減効果、安定化効果、溶解性向上効果等が発現され
る。また、CD−ケイヒ酸包接化合物が青果物存在雰囲
気に存在すると、青果物から発散される水分が該包接化
合物が部分的に溶解し、ケイヒ酸が少しずつ解離される
ため、ケイヒ酸の徐放効果が発揮される。
【0017】CD−ケイヒ酸包接化合物の製造方法は特
に制限されず、従来公知の包接方法に準じて調製され
る。例えば、飽和水溶液法では、CDの飽和水溶液にケ
イヒ酸の水溶液、あるいは予めケイヒ酸を少量のエタノ
ール等の溶媒に溶かした溶液を添加、混合し、30分乃
至3〜4時間撹拌することにより、ケイヒ酸のCD包接
化合物が懸濁し、沈殿として得られる。また、混練法で
は、CDに0.5〜5倍量の水を加え、必要量のケイヒ
酸を入れ、混練機で充分混合撹拌することによってケイ
ヒ酸−CD包接化合物が得られる。
【0018】いずれの方法を用いる場合にも、ケイヒ酸
とCDの使用割合は任意であるが、好ましい使用割合
は、ケイヒ酸1モルに対してCDを1〜10モル、更に
好ましくは1〜5モルの割合で使用する。上記の割合で
両物質を用いることによりケイヒ酸の含有量が1〜15
重量%の包接化合物が生成する。このようにして得られ
たケイヒ酸−CD包接化合物は、その水懸濁液、ペース
ト、湿潤粉末等を噴霧乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、通風
乾燥等によって乾燥することによって粉末状で得られ
る。
【0019】本発明の青果物鮮度保持剤は、上記のケイ
ヒ酸−CD包接化合物を有効量含有するものであり、含
有量は特に制限されない。該鮮度保持剤の使用方法は特
に制限されないが、該鮮度保持剤を青果物が存在する雰
囲気、例えば、シート等の包装材、包装容器、梱包用
箱、コンテナー等の内部に共存させることにより鮮度保
持効果が発揮される。
【0020】該鮮度保持剤は、該包接化合物を乾燥粉末
状態のままで、あるいは顆粒として使用することもでき
る。又、該包接化合物を、例えば、コーティング液とし
て、あるいは印刷インキに添加して、青果物包装紙や包
装容器、梱包用の箱等の内面に塗布あるいは印刷するこ
とで付着させることもできる。粉末状あるいは顆粒とし
て使用する場合には、例えば、多孔性のフィルムや穴を
開けた紙等で該鮮度保持剤を必要量包み、これを包装容
器、梱包用箱、コンテナー等の内部に入れて使用する。
場合によっては、青果物に直接該鮮度保持剤の粉末を散
布することもできる。
【0021】該鮮度保持剤をコーティング液として使用
する場合には、例えば、該包接化合物の乾燥粉末を水、
溶媒、バインダー、その他の公知の添加剤を適宜含有す
るコーティング組成物に添加し、溶解ないし微分散させ
てコーティング液として使用する。また、該包接化合物
を単離する前の該包接化合物の懸濁液を使用してコーテ
ィング液を調製することもできる。この場合には、先
ず、CD飽和水溶液とケイヒ酸溶液を準備する。このケ
イヒ酸溶液は水溶液でも良いが、溶解度が限られている
( 常温で0.03重量%程度)ため、エチルアルコール
などのアルコールを加えるとケイヒ酸は10%程度まで
溶解するので、より包接効率高める場合には水−アルコ
ールの混合溶媒を使用する。CD飽和溶液にケイヒ酸溶
液を添加し、しばらく撹拌の後、水溶性セルロース、キ
トサン等のバインダーを添加(溶液中に1〜3重量%程
度)し、再び撹拌する。
【0022】これらのコーティング液は十分撹拌の後、
この溶液又は分散液をそのまま又は適宜希釈して、青果
物の包装容器、梱包容器内面や包装紙等に塗布し、又は
含浸させて使用する。コーティング液や印刷インキ中の
該鮮度保持剤の濃度は、特に制限されず、包装される青
果物量に見合った有効量を含有させる。有効量は、予め
実験により確認しておくことが必要である。
【0023】ケイヒ酸をCDで包接することにより、前
記のケイヒ酸の徐放効果とともに、ケイヒ酸は単品時よ
り安定性が向上するという効果も発現する。この効果に
より、該包接化合物の熱可塑性樹脂への添加、混練作業
が可能になり、ケイヒ酸の持つ、鮮度保持効果をプラス
チック成形品、フィルム、ポリ袋等の幅広い用途に利用
することができる。
【0024】具体的には、該包接化合物のマスターバッ
チを調製し、これをポリエチレン、EVA、ポリプロピ
レン、軟質塩ビ等のプラスチックペレットに配合し、イ
ンフレーション、異型押出、ブロー、射出成形などの成
形加工法で形成することによって、ケイヒ酸を徐々に放
出するプラスチック製品を製造することができる。この
場合のメカニズムは、プラスチック成形加工時の熱によ
ってマスターバッチ中の包接がはずれ、この結果プラス
チックの分子中に分散したケイヒ酸がプラスチックのガ
ス透過性に基づいて徐放されるため、ケイヒ酸を徐々に
放出するプラスチックが得られると考えられる。
【0025】このようにして、ケイヒ酸がCDで包接さ
れた化合物を青果物に作用させることにより、ケイヒ酸
が徐々に少量づつ青果物存在雰囲気に放出され、ケイヒ
酸の有するエチレン生合成抑制効果が持続的に発揮され
る。この効果により、青果物の存在雰囲気のエチレン濃
度の増加が継続的に抑えられ、鮮度劣化の遅延が実現さ
れると共に、クロロフィルの劣化も抑制され、瑞々しい
緑色が長期間保持される。また、ケイヒ酸は少量づつ徐
々に放出されることから、ケイヒ酸の芳香は気にならな
いレベルに抑えられる。さらに、ケイヒ酸の持つ抗菌、
防黴性も有効に作用すると同時に、CDの持つ消臭効果
により悪臭物質の濃度も低減される。
【0026】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。尚、文中部又は%とあるのは特に断りのない限
り重量基準である。
【0027】製造例 β−CDの純分約15%の水懸濁液100部を約70℃
に加温して溶解させ、これにケイヒ酸の10%エタノー
ル溶液19.5部を徐々に添加し撹拌した。次いで加熱
を止め、撹拌を続けながら放冷して室温にまで冷やし
た。生じた沈殿を濾別し、60℃以下の温度で減圧乾燥
した。得られた粉末は熱分析及びX線回折でケイヒ酸、
β−CD及びこれらの混合物と異なる回折結果を示し、
包接化合物を形成したことが示された。包接化合物中の
ケイヒ酸の含有量は11.3%であった。
【0028】実施例1 150ml容量の紙コップ(口径7cm 、長さ8c
m)の内側を、バインダーを混入させたケイヒ酸溶液
(ケイヒ酸1.5%、水溶性セルロース2.0%、エタ
ノール50.0%、水46.5%)及びケイヒ酸−CD
包接化合物液(β−CD1.5%、ケイヒ酸1.5%、
水溶性セルロース2.0%、エタノール20.0%、水
75.0%)にて塗布し、自然乾燥させ、2種類のケイ
ヒ酸塗布紙コップを得た。このケイヒ酸塗布紙コップ及
びコーティング液無塗布紙コップのそれぞれにリンゴ片
65gを入れ、これらの紙コップをそれぞれ300ml
容量のビーカー(口径9.5cm、長さ11.2cm)
に入れ、ビーカーの口をパラフィルムで密閉し、23℃
で4日間及び10日間放置した後、ビーカー中のエチレ
ン濃度をガス検知管(ガステック社製)にて測定した。
測定結果を表1に示す。
【0029】
【表1】表1.ケイヒ酸液塗布処理のエチレン発生抑制効果
【0030】表1の結果から明らかな様に、ケイヒ酸−
CD包接化合物液を塗布した紙コップにリンゴ片を入れ
ると、エチレンの発生が長期間(10日間)抑制される。
【0031】実施例2 150ml容量の紙コップの内側をバインダーを混入さ
せたケイヒ酸溶液(ケイヒ酸2.0%、水溶性セルロー
ス2.0%、エタノール50.0%、水46.0%)及
び、ケイヒ酸−CD包接化合物液(β−CD1.5%、
ケイヒ酸2.0%、水溶性セルロース2.0%、エタノ
ール20.0%、水74.5%)にて塗布し、自然乾燥
させ、ケイヒ酸塗布紙コップ及びCD−ケイヒ酸液塗布
紙コップを得た。これらの紙コップ及びコーティング液
無塗布の紙コップのそれぞれにブロッコリー(20g)
を入れ、各紙コップの口を食品包装用フィルム(旭化成
工業株式会社製サランラップ)にて覆い、輪ゴムで固定
した。これらの紙コップを暗黒下25℃にて放置し、経
時的にブロッコリー中のクロロフィルをアルコールで抽
出して含量を測定した。測定結果を表2に示す。
【0032】
【表2】表2.ケイヒ酸−CD包接化合物液塗布紙コップの緑色
保持効果 (注)(1) アルコール抽出されたクロロフィル量/新鮮
材料 (2) 「−」は測定しなかったことを示す
【0033】表2の結果から明らかな様に、ケイヒ酸−
CD包接化合物液塗布紙コップ中にブロッコリーを保存
すると、クロロフィルの劣化を持続的に抑制でき、緑色
を保持できる。
【0034】実施例3 300ml容量の三角フラスコに試料溶液10mlを入
れ、口をパラフィルムで密封後、冷暗所(4℃)で保存
した。1時間後これらの試料を官能試験に供した。試料
は以下に示す溶液を用いた。
【0035】 コントロール :蒸留水(pH5.4) CD液 :1.6%β−CD水溶液(p
H5.4) ケイヒ酸液 :0.03%ケイヒ酸水溶液 ケイヒ酸−CD包接化合物液:1.6%β−CD水溶液
(pH5.4)に0.03%量のケイヒ酸を加え、加熱
しつつ1時間撹拌し、冷却した懸濁液
【0036】官能試験は女性1名を含む10名で行い、
次の6段階評価により臭気を評価した。官能試験の結果
を表3に示す。 0点:無臭 1点:かすかに感ずる臭
い 2点:楽に感ずる臭い 3点:明らかに感ずる臭
い 4点:強い臭い 5点:耐えられない程強
く感ずる臭い
【0037】
【表3】表3.ケイヒ酸臭官能試験結果
【0038】表3の結果から明らかな様に、ケイヒ酸を
β−CDで包接するとケイヒ酸臭を低減することができ
る。
【0039】実施例4 バインダーを混入させたケイヒ酸−CD包接化合物液
(β−CD1.5%、ケイヒ酸2.0%、エタノール2
0.0%、水溶性セルロース2.0%、水74.5%)
及びケイヒ酸溶液(ケイヒ酸2.0%、水溶性セルロー
ス2.0%、エタノール50.0%、水46.0%)を
厚紙の片側に塗布し、乾燥させた。この厚紙を用いて、
塗布面が内側になるように、一辺が8cmの箱を作成し
た。この箱の中にブロッコリー(20g)を入れ、暗黒
下25℃にて2日間放置後、ブロッコリーのクロロフィ
ルをアルコールで抽出して含量を測定した。比較のた
め、内側に塗布処理をしていない箱の中に入れたブロッ
コリーのクロロフィル含量を測定し、コントロールとし
た。この結果を表4に示す。
【0040】
【表4】表4.ケイヒ酸−CD包接化合物液塗布箱の緑色保持効
(注)(1) アルコール抽出されたクロロフィル量/新鮮
材料
【0041】表4の結果から明らかな様に、ケイヒ酸−
CD包接化合物液を内側に塗布した箱の中にブロッコリ
ーを入れると、クロロフィルの劣化を抑制でき、緑色を
保持できる。
【0042】実施例5 上質紙(A4)にバインダーを混入させたケイヒ酸−C
D包接化合物液(β−CD1.5%、ケイヒ酸2.0
%、エタノール20.0%、水溶性セルロース2.0
%、水74.5%)及びケイヒ酸溶液(ケイヒ酸2.0
%、水溶性セルロース2.0%、エタノール50.0
%、水46.0%)を塗布し、自然乾燥させ、ケイヒ酸
−CD包接化合物液塗布紙及びケイヒ酸塗布紙を得た。
これらの紙を用いて、塗布面を内側にしてブロッコリー
1/3株(60g)を包み込み、これを、さらに食品包
装用フィルム(旭化成工業株式会社製サランラップ)に
て包装した。これを暗黒下25℃にて放置し、2日後、
ブロッコリー中のクロロフィルをアルコールで抽出し含
量を測定し、塗布処理をしない上質紙に包んだブロッコ
リー中のクロロフィル含量(コントロール)と比較し
た。この結果を表5に示す。
【0043】
【表5】表5.ケイヒ酸−CD包接化合物液塗布紙の緑色保持効
(注)(1) アルコール抽出されたクロロフィル量/新鮮
材料
【0044】表5の結果から明らかな様に、ケイヒ酸−
CD包接化合物液塗布紙でブロッコリーを包むとクロロ
フィルの劣化を抑制でき、緑色を保持できる。
【0045】
【発明の効果】以上の本発明によれば、徐々にに放出さ
れることで青果物の鮮度及び緑色が長期にわたって保持
され、不快な臭気もなく、樹脂に配合して成形体を製造
しても安定な青果物鮮度保持剤が提供される。又、本発
明の鮮度保持剤は、原料がいずれも天然物であるから衛
生的にも安全である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイヒ酸及び/又はケイヒ酸誘導体とシ
    クロデキストリンを含有することを特徴とする青果物用
    鮮度保持剤。
  2. 【請求項2】 ケイヒ酸及び/又はケイヒ酸誘導体とシ
    クロデキストリンが包接化合物を形成している請求項1
    に記載の青果物用鮮度保持剤。
  3. 【請求項3】 ケイヒ酸誘導体がp−クマル酸、コーヒ
    ー酸及びフェルラ酸から選ばれる少なくとも1種である
    請求項1又は2に記載の青果物用鮮度保持剤。
  4. 【請求項4】 被鮮度保持物と請求項1又は2に記載の
    鮮度保持剤とを同一雰囲気中に共存させることを特徴と
    する青果物の鮮度保持方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載の鮮度保持剤を付
    着させた媒体で、青果物を包装、または被覆することを
    特徴とする青果物の鮮度保持方法。
  6. 【請求項6】 青果物を梱包した容器の内面に請求項1
    又は2に記載の鮮度保持剤を付着させることを特徴とす
    る鮮度保持方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003059076A3 (en) * 2002-01-04 2003-09-18 Univ Guelph Compositions for the preservation of fruits and vegetables
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