JPH10261932A - 弾性表面波フィルタ及び弾性表面波フィルタの構成方法 - Google Patents

弾性表面波フィルタ及び弾性表面波フィルタの構成方法

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JPH10261932A
JPH10261932A JP32836197A JP32836197A JPH10261932A JP H10261932 A JPH10261932 A JP H10261932A JP 32836197 A JP32836197 A JP 32836197A JP 32836197 A JP32836197 A JP 32836197A JP H10261932 A JPH10261932 A JP H10261932A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 弾性表面波フィルタの特性を制御する際のイ
ンピーダンス変化を最小限に押さえつつ、所望の周波数
特性が得られる弾性表面波フィルタ及びその構成方法を
提供する。 【解決手段】 圧電性基板上に、第1の極性を有するよ
うに接続された第1の電極指と第2の極性を有するよう
に接続された第2の電極指とが交互に配設された第1の
領域101aと、少なくとも1本の第1の電極指と3本
の第2の電極指とからなる偶数本の電極指を単位として
周期的に配設された第2の領域101b、または、少な
くとも1本の第1の電極指と2本の第2の電極指とから
なる奇数本の電極指を単位として周期的に配設された第
2の領域101cとを有するインターディジタル変換器
を配設する。第2の領域101bは第1の領域101で
励振される弾性表面波に対して反射器としてのみ動作す
るとともに容量成分を付加することになり、IDT10
0、200を構成する電極指の対数や開口長を変えるこ
となくインピーダンスを低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば携帯電話の
ような移動通信機器等に用いられる弾性表面波フィルタ
及びその構成方法に関する。また本発明は例えば弾性表
面波フィルタなどの弾性表面波装置に関し、特にインタ
ーディジタル変換器と反射器とを備えた共振子型弾性表
面波フィルタに関する。また本発明はインターディジタ
ル変換器と反射器により構成される共振子型フィルタの
インターディジタル変換器の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、移動通信分野の発展はめざまし
く、様々なシステムが開発されている。これらのシステ
ムで用いられている通信機器の小型化に伴い、使用され
る電子部品も小型化が求められている。
【0003】弾性表面波フィルタは小型、軽量、高信頼
性、優れた帯域外減衰特性等の特徴を有しているため、
近年移動通信分野で盛んに使われている。また、フィル
タ特性が通信機器の性能を決定するため、優れた周波数
特性を有する弾性表面波フィルタは今や移動通信機器の
キーデバイスとなっている。
【0004】しかしながら、弾性表面波フィルタは電気
信号を弾性表面波という機械的なエネルギーに一度変換
した後に再び電気信号に変換するといった動作原理によ
り、挿入損失が大きいという問題があり、低損失化が求
められている移動体通信機器用フィルタに使えるような
低損失化を実現するためには様々な方式が検討されてい
る。例えば一方向性のフィルタや、複数のインターディ
ジタル変換器(ΙnterDigital Trans
ducer:IDT)を組み合わせたIIDT方式、共
振特性を利用した共振子型フィルタや1ポート型共振子
を梯子状に組み合わせたラダー型弾性表面波フィルタ等
がある。
【0005】これら方式の中でも、共振特性を利用した
共振子型弾性表面波フィルタは、低損失で小型化に優
れ、移動体通信用弾性表面波フィルタの主流となってい
る。
【0006】このような弾性表面波フィルタは、用いら
れる通信システム、放送システムなどに応じて周波数特
性を制御する必要がある。近年では、例えば送信帯域と
受信帯域が近接するなど、システムの高度化に伴って複
雑な周波数特性の制御を行うことが要求されている。
【0007】従来、共振子型弾性表面波フィルタはイン
ターディジタル変換器による弾性表面波の反射も積極的
に利用するため、IDT(Inter Digital
Transducer:インターディジタル変換器)
は2本で極性が単位周期をなすソリッド電極(シングル
電極)で構成されており、周波数特性等の特性制御はイ
ンターディジタル変換器やグレーティング状の反射器
(Gr)を構成する電極指の本数や配設ピッチ及び電極
指を構成する導体薄膜の膜厚によって制御されていた。
【0008】しかしながら、例えば共振子型弾性表面波
フィルタの基本特性は、このフィルタを構成するインタ
ーディジタル変換器の周波数特性と反射器の反射特性に
支配されることになるため、従来の構造では複雑な特性
制御を行うことができないという問題がある。
【0009】特に小型化、軽量化が求められている移動
体通信用途の弾性表面波フィルタでは、インターディジ
タル変換器や反射器の本数には自ずと制限があり、従来
構造では特性制御できる範囲も限られてしまうという問
題がある。
【0010】また、弾性表面波フィルタは受動部品であ
るため、外部回路のインピーダンスの制限を受けるた
め、従来のようにインターディジタル変換器の電極指の
対数や反射器の反射特性を制御する方法では弾性表面波
フィルタ自体のインピーダンスが変化してしまうため特
性制御には限界があった。
【0011】また、フィルタ特性を変えずに弾性表面波
フィルタのインピーダンスを制御するために、従来はイ
ンターディジタル変換器の開口長を変えて制御してい
た。しかしながら、従来のようにインターディジタル変
換器の開口長を変化させることにより、外部回路との整
合をとる方法は小型化が求められる移動体通信用弾性表
面波フィルタでは、弾性表面波装置の素子サイズの制限
を受けたり、開口長の増減に伴う電極指の抵抗分の変化
に伴う挿入損失の劣化や、横モード等の不必要なモード
によるスプリアスが発生して弾性表面波装置の特性に悪
影響を及ぼすことがあり、システム要求に対して十分に
対応することができる手法ではなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題点を解決するためになされたものであり、弾性表面波
フィルタの特性を制御する際のインピーダンス変化を最
小限に押さえつつ、所望の周波数特性が得られる弾性表
面波フィルタ及びその構成方法を提供することを目的と
している。また本発明の弾性表面波フィルタは、低損失
で良好な帯域外減衰特性を有するとともに、複雑なシス
テム要求に柔軟に対応することができる弾性表面波フィ
ルタを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため、本発明の弾性表面波フィルタ及び弾性表面波フ
ィルタの構成方法は以下のような構成を採用したもので
ある。
【0014】請求項1に係る本願発明の弾性表面波フィ
ルタは、圧電性基板と、前記圧電性基板上に形成され、
ソリッド電極からなる第1の領域とスプリット電極から
なる第2の領域とを有するインターディジタル変換器と
を具備する。
【0015】請求項2では、インターディジタル変換器
を有する共振子型フィルタを複数接続してなる弾性表面
波フィルタであって、前記共振子型フィルタのうち少な
くとも1つの共振子型フィルタが、ソリッド電極からな
る第1の領域とスプリット電極からなる第2の領域とを
有するインターディジタル変換器を有することを特徴と
する、弾性表面波フィルタが提供される。
【0016】請求項3では、ソリッド電極からなる第1
の領域とスプリット電極からなる第2の領域とを有する
インターディジタル変換器における、ソリッド電極の中
心周波数をfo1、スプリット電極の中心周波数をfo
2としたとき、 2×(fo2×0.95)≦fo1≦2×(fo2×
1.01) の関係になるように、スプリット電極を形成したことを
特徴とする、請求項1乃至請求項2に記載の弾性表面波
フィルタが提供される。
【0017】請求項4では、ソリッド電極からなる第1
の領域とスプリット電極からなる第2の領域とを有する
インターディジタル変換器における、スプリット電極を
構成する電極指の本数の総和がソリッド電極を構成する
電極指の本数の総和以下であることを特徴とする、請求
項1乃至請求項2に記載の弾性表面波フィルタが提供さ
れる。
【0018】請求項5では、圧電性基板上にソリッド電
極からなる第1の領域とスプリット電極からなる第2の
領域とを有するインターディジタル変換器を形成してな
る弾性表面波フィルタにおいて、要求特性に応じて前記
第1の領域と前記第2の領域との割合を変えたことを特
徴とする、弾性表面波フィルタの構成方法が提供され
る。
【0019】請求項6では、請求項5の方法により製造
されたことを特徴とする、弾性表面波フィルタが提供さ
れる。
【0020】ここで、インターディジタル変換器(ID
T)とは、例えば金属製薄膜の櫛歯状電極を互いに対向
噛み合わせ配置したものである。通常、金属製薄膜のグ
レーティング状の反射器(Gr)がインターディジタル
変換器より励振される弾性表面波の伝搬方向に沿ってΙ
DTを挟むように2ヶ配置される。また、ソリッド電極
とは、インターディジタル変換器を構成している電極指
の極性が、交流電圧などの信号が印加されたときに互い
違いになるように配設されている電極をいう。また、ス
プリット電極とは、信号が印加されたときに、同極性の
電極指2本を1つのぺアーとして、このぺアーの極性が
互い違いになるように配設された電極をいう。この弾性
表面波フィルタでは、このようなインターディジタル変
換器と反射器との組を複数個圧電性基板上に配設するよ
うにしてもよい。また、このとき同一の圧電性基板上に
配設される複数の組のうち少なくとも1つの組のインタ
ーディジタル変換器をソリッド電極からなる第1の領域
とスプリット電極からなる第2の領域とを有するように
構成するようにしてもよい。第1の領域と第2の領域と
は、互いに隣接するように構成可能であり、また一方が
他方を挟むように構成することも可能である。
【0021】ソリッド電極は電極自体で弾性表面波を反
射するため、低損失化に不可欠な電極構造である。一方
スプリット電極は、電極内において反射波がキャンセル
される構造であるため弾性表面波フィルタの低損失化に
は寄与することはない。特に、設定された中心周波数よ
り若干外れた不必要な周波数に相当する波長の弾性表面
波に対しては、ソリッド電極では不必要にもかかわらず
低損失化に寄与してしまうことになるが、スプリット電
極では全く寄与しないため、本発明では、従来の構造に
比べて、通過帯域近傍での減衰特性は急峻なものとな
る。
【0022】また特に、スプリット電極の中心周波数を
ソリッド電極の中心周波数の1/2近傍に設定すること
により、スプリット電極を構成する電極指の幅及び電極
指の配設ピッチはスプリット電極を形成する電極指の幅
および電極指の配設ピッチと等しくなる。このことによ
り、ソリッド電極から励振された弾性表面波にとっては
反射器として作用し、弾性表面波フィルタの低損失化に
寄与するが、スプリット電極から励振される弾性表面波
は先に述べたようにスプリット電極内で打ち消されるた
めに、スプリット電極から励振された波長の弾性表面波
の反射波による悪影響を回避することができる。
【0023】また上記の説明のように、スプリット電極
はそれを構成する電極指の配設ピッチに応じた周波数の
弾性表面波に対しては反射器として作用する。通常の反
射器ではこの反射器を構成する電極はすべて同一極性と
なるのに対し、スプリット電極の場合には、同一極性の
電極指2本をぺアーとし、ぺアー間で極性が異なってい
る構造上、この極性の異なる電極指ぺアー間に、通常の
反射器では持ち得ない容量を有することとなる。すなわ
ち、ソリッド電極の一部をスプリット電極に置き換えた
場合には、弾性表面波フィルタの容量を変えることなく
励振源を変えることができるし、またソリッド電極で構
成されている弾性表面波フィルタにスプリット電極を付
加した場合には、励振源を変えることなく弾性表面波フ
ィルタの容量を変えることができる。このように本発明
の弾性表面波フィルタおよびその構成方法によれば、弾
性表面波フィルタの損失や、チップサイズを犠牲にする
ことなく、システムの要求する複雑な周波数特性に柔軟
に対応することができる。
【0024】また、本発明の弾性表面波フィルタは、圧
電性基板と、前記圧電性基板上に配設され、第1の弾性
表面波を励振する第1の領域と、前記第1の弾性表面波
を反射する第2の領域とを有するインターディジタル変
換器とを具備したことを特徴とする。すなわち本発明の
弾性表面波フィルタは、圧電性基板と、前記圧電性基板
上に配設され、信号が入力されたとき第1の弾性表面波
を励振する第1の領域と、前記信号が入力されたとき前
記第1の弾性表面波を反射する第2の領域とを有するイ
ンターディジタル変換器とを具備するものである。1個
のインターディジタル変換器内には、複数の第1の領域
または複数の第2の領域が存在していてもよい。
【0025】前記インターディジタル変換器の前記第2
の領域は、隣接配置される電極指間で容量が形成される
部分を有するようにしてもよい。
【0026】また、前記インターディジタル変換器の第
2の領域は、同一極性の電極指が3本以上並ぶように構
成するようにしてもよい。つまり、前記インターディジ
タル変換器の第2の領域は、前記電気信号が入力された
とき同一極性の電極指が3本以上並ぶような配置で構成
するようにしてもよい。例えば、前記インターディジタ
ル変換器の前記第1の領域は、第1の極性を有するよう
に接続された第1の電極指と、第2の極性を有するよう
に接続された第2の電極指とを交互に配設して構成し、
前記第2の領域を少なくとも1本の前記第1の電極指と
3本の前記第2の電極指とからなる偶数本を単位として
周期的に配設するようにしてもよい。つまり本発明の弾
性表面波フィルタは、圧電性基板と、前記圧電性基板上
に配設され、第1の極性を有するように接続された第1
の電極指と第2の極性を有するように接続された第2の
電極指とが交互に配設された第1の領域と、前記第1の
電極指と前記第2の電極指とが少なくとも1本の前記第
1の電極指と2本の前記第2の電極指とからなる奇数本
の電極指を単位として周期的に配設された第2の領域と
を有するインターディジタル変換器とを具備するように
してもよい。また、圧電牲基板上に形成した金属製薄膜
の櫛歯状電極を互いに交差させてなるインターディジタ
ル変換器を単数もしくは複数個有し、金属製薄膜のグレ
ーティング状の反射器(Gr)が前記インターディジタ
ル変換器により励振される弾性表面波の伝搬方向に沿っ
て前記インターディジタル変換器を挟むように配置して
なる共振子型の弾性表面波フィルタであって、前記イン
ターディジタル変換器を構成する電極指はすべて前記イ
ンターディジタル変換器により励振される弾性表面波の
1/4波長の幅とピッチで配置されている電極(以後ソ
リッド電極と呼ぶ)で構成されており、かつ、少なくと
も1ヶの前記インターディジタル変換器内で、このイン
ターディジタル変換器を構成している前記電極指の極性
が2本で単位周期をなす第1の領域と、4本以上で偶数
本の前記電極指で単位周期をなす第2の領域とを備える
ようにしてもよい。このとき、4本以上の偶数本の電極
指で単位周期をなす第2の領域が、同一極性の電極指2
本と、異なる極性の電極指2本の計4本の電極指で単位
周期を構成すると、設定した周波数の半分の周波数で励
振するスプリット電極となってしまい、励振源の数が減
ってしまう。このため、インターディジタル変換器の第
2の領域の構成は、例えば4本の電極指で1周期を構成
する場合には、一方のバスバーに接続された電極指1本
と他方のバスバーに接続された電極指3本とによりソリ
ッドに構成するようにすればよい。
【0027】また、前記インターディジタル変換器の第
2の領域は、前記電気信号が入力されたとき互いに打ち
消し合うような2つの弾性表面波を励振するように構成
するようにしてもよい。例えば、前記インターディジタ
ル変換器の前記第1の領域は、第1の極性を有するよう
に接続された第1の電極指と第2の極性を有するように
接続された第2の電極指とを交互に配設して構成し、前
記第2の領域は少なくとも1本の前記第1の電極指と2
本の前記第2の電極指とからなる奇数本を単位として周
期的に配設するようにしてもよい。つまり本発明の弾性
表面波フィルタは、圧電性基板と、前記圧電性基板上に
配設され、第1の極性を有するように接続された第1の
電極指と第2の極性を有するように接続された第2の電
極指とが交互に配設された第1の領域と、前記第1の電
極指と前記第2の電極指とが少なくとも1本の前記第1
の電極指と2本の前記第2の電極指とからなる奇数本の
電極指を単位として周期的に配設された第2の領域とを
有するインターディジタル変換器とを具備するようにし
てもよい。また、圧電牲基板上に形成した金属製薄膜の
櫛歯状電極を互いに交差させてなるインターディジタル
変換器を単数もしくは複数個有し、金属製薄膜のグレー
ティング状の反射器(Gr)が前記インターディジタル
変換器により励振される弾性表面波の伝搬方向に沿って
前記インターディジタル変換器を挟むように配置してな
る共振子型の弾性表面波フィルタであって、前記インタ
ーディジタル変換器を構成する電極指はすべて前記イン
ターディジタル変換器により励振される弾性表面波の1
/4波長の幅とピッチで配置されている電極(以後ソリ
ッド電極と呼ぶ)で構成されており、かつ、少なくとも
1ヶの前記インターディジタル変換器内で、このインタ
ーディジタル変換器を構成している前記電極指の極性が
2本で単位周期をなす第1の領域と、3本以上で奇数本
の前記電極指で単位周期をなす第2の領域とを有するよ
うにしてもよい。
【0028】また、前記インターディジタル変換器を構
成する電極指の幅は前記インターディジタル変換器が励
振する弾性表面波の波長の1/4であり、前記電極指の
配設ピッチは前記波長の1/4となるように構成するよ
うにしてもよい。
【0029】また、前記インターディジタル変換器は、
前記第1の領域で励振される弾性表面波の位相と、前記
第2の領域で励振される弾性表面波の位相とが同相にな
るように配設するようにしてもよい。
【0030】また、前記インターディジタル変換器は、
前記第1の領域で励振される弾性表面波の位相と、前記
第2の領域で励振される弾性表面波の位相とが逆相にな
るように配設するようにしてもよい。
【0031】また前記インターディジタル変換器を構成
する電極指は、前記第1の領域における配設ピッチをp
1 、前記第2の領域における配設ピッチをp2 としたと
き、 p1 ×0.90≦p2 ≦p1 ×1.1 の関係を満たすように構成するようにしてもよい。
【0032】また、前記圧電性基板上に、前記インター
ディジタル変換器の励振する弾性表面波の伝搬方向に沿
って前記インターディジタル変換器を挟むように配設さ
れた反射器をさらに具備するようにしてもよく、前記イ
ンターディジタル変換器は前記反射器の間に複数個配設
するようにしてもよい。
【0033】すなわち本発明の弾性表面波フィルタは、
弾性表面波フィルタを構成しているインターディジタル
変換器のうち少なくとも1個のインターディジタル変換
器を、その電極指の極性が2本で単位周期をなすソリッ
ド電極からなる第1の領域と、4本以上で偶数本の電極
指で極性が単位周期をなすソリッド電極からなる第2の
領域とにより構成することにより、弾性表面波フィルタ
の特性を制御する際のインピーダンス変化を最小限に抑
制しつつ、電極指の本数を変えることなく複雑な周波数
特性を実現することができるものである。
【0034】本発明によれば、少なくとも1個のインタ
ーディジタル変換器は、極性が2本で単位周期をなすソ
リッド電極からなる第1の領域と、4本以上の偶数本で
極性が単位周期をなすソリッド電極からなる第2の領域
とを有している。ソリッド電極は電極自体で弾性表面波
を反射するため、低損失化に不可欠な電極構造である。
本発明では、4本以上の偶数本で極性が単位周期となる
ように電極指が配設された第2の領域を有しているた
め、信号が印加されたときには、同一極性の電極指が並
んだ部分が生じることになる。この部分では弾性表面波
は励振されることはないから、異なる極性が並んだ第1
の領域で励振された弾性表面波(第1の弾性表面波)に
対して反射器としてのみ作用する。すなわち、上記の説
明のように、インターディジタル変換器の第2の領域
は、この領域を構成する電極指の配設ピッチに応じた周
波数の弾性表面波に対しては反射器として作用すること
になる。通常の反射器では、すべての電極指は同一極性
であるのに対し、本発明では反射器として機能するイン
ターディジタル変換器の第2の領域には、同一極性の電
極指以外にも、極性が異なっている電極指を有している
ため、この異なる極性の電極指間では通常の反射器では
持ち得ない容量と励振源を有することとなる。また、2
本のソリッド電極で単位周期をなす通常のインターディ
ジタル変換器の一部を4本以上の偶数本の電極指で単位
周期をなす第2の領域で置き換えることにより、圧電性
基板の厚み方向に容量を持つことになるため、弾性表面
波フィルタの励振源の個数を変えることなく弾性表面波
フィルタの容量を変えることができる。
【0035】なお、本発明の弾性表面波フィルタのイン
ターディジタル変換器の電極構造の類似例として、4本
の電極で単位周期をなす電極部を、同一極性の電極指を
2本ずつ交互に配設して構成した場合には、設定した周
波数の半分で励振するスプリット電極となってしまう。
このため、設定した周波数で2個の逆相の弾性表面波が
励振して互いにキャンセルし合い、2本のソリッド電極
で単位周期をなす通常のインターディジタル変換器の一
部をこの構造に置き換えた場合は励振源の個数が減って
しまうことになり、本発明のような効果を得ることがで
きない。
【0036】また本発明の弾性表面波フィルタは、弾性
表面波フィルタを構成しているインターディジタル変換
器のうち少なくとも1個のインターディジタル変換器
を、その電極指の極性が2本で単位周期をなすソリッド
電極からなる第1の領域と、3本以上で奇数本の電極指
で極性が単位周期をなすソリッド電極からなる第2の領
域とにより構成することにより、インターディジタル変
換器の第1の領域に容量を付加することができる。した
がって、開口長を変えることなく弾性表面波フィルタの
インピーダンス特性を制御することができる。また弾性
表面波フィルタの特性を制御する際のインピーダンス変
化を最小限に抑制しつつ、電極指の本数を変えることな
く複雑な周波数特性を実現することができる。
【0037】本発明の弾性表面波フィルタによれば、イ
ンターディジタル変換器は極性が2本で単位周期をなす
ソリッド電極と3本以上の奇数本で極性が単位周期をな
すソリッド電極からなる第2の領域を有している。前述
のようにソリッド電極は電極自体で弾性表面波を反射す
るため、低損失化に不可欠な電極構造である。このよう
な第2の領域では、互いに180゜位相が異なる2種の
弾性表面波が励振されるが、これらの弾性表面波は打ち
消し合い、結局この第2の領域では弾性表面波は励振さ
れることはない。したがってこの第2の領域は、2本の
電極指で極性の単位周期が構成される第1の領域で励振
された弾性表面波(第1の弾性表面波)に対して反射器
としてのみ作用することになる。さらに、この3本以上
奇数本の電極指で単位周期が構成される第2の領域内の
異なる極性を有する電極指間には、容量が形成されるこ
とになる。すなわち、この第2の領域の一部は従来の反
射器では成し得ない容量素子としての機能を兼ね備えて
いる。このような構成を有する本発明の弾性表面波フィ
ルタによれば、インターディジタル変換器内にこの3本
以上奇数本の電極指で単位周期をなす第2の領域を備え
ているため、この領域に付加される容量成分がインター
ディジタル変換器の第1の領域に並列に接続されること
になり、インターディジタル変換器を構成する電極指の
対数や開口長を変えることなくインピーダンスを低減す
ることができる。これは、同じインピーダンスを有する
弾性表面波装置においてはその開口長を小さくできるこ
とを意味し、弾性表面波装置をコンパクトにすることが
でき、移動体通信機、携帯用情報端末などの携帯用電子
機器に特に好適な弾性表面波装置を提供することができ
る。
【0038】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態について
図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】(実施形態1)図1は本発明の一実施形態
に係る弾性表面波フィルタの電極パターンを一部を省略
して示す図である。これらの電極は、圧電性基板、例え
ば45°XカットLBO基板に形成される。この弾性表
面波フィルタは、2種類の2IDTフィルタ1、2を接
続して構成される。すなわち、第1の2IDTフィルタ
1は、所定の間隔をもって配置された2つのIDT3、
4と、これらを挟むように配置された2つのGr5、6
とを有する。第2の2IDTフィルタ2も同様に、所定
の間隔をもって配置された2つのIDT7、8と、これ
らを挟むように配置された2つのGr9、10とを有す
る。第1の2IDTフィルタ1のIDT4と第2の2I
DTフィルタ2のIDT8とは、接続線11を介して接
続されている。
【0040】図2はIDT3の構造を示す図である。図
中の12はソリッド電極、13はスプリット電極であ
り、ソリッド電極12とスプリット電極13とが相互に
隣接して形成されている。ソリッド電極は電極自体で弾
性表面波を反射するため、低損失化に不可欠な電極構造
である。一方スプリット電極は、弾性表面波の進行波と
反射波の位相が180°異なっており、電極内において
反射波がキャンセルされる構造であるため弾性表面波フ
ィルタの低損失化には寄与することはない。
【0041】このような構造を有するIDT3を有する
弾性表面波フィルタでは、ソリッド電極12とスプリッ
ト電極13とを接続して形成することで、特性を制御す
る際のインピーダンス変化を最小限に押さえつつ、所望
の周波数特性が得られることになる。
【0042】このような効果を確認するため行ったシュ
ミレーション結果を図3に示す。図3は、45°Χカッ
トLBO基板に2ヶのIDTを有し、2ヶのIDTの内
1ヶのIDTに関して、ソリッド電極とスプリット電極
とを接続するように形成した、600Ω系の共振子フィ
ルタのSmithの等価回路に基づいて行ったシュミレ
ーション結果である。なお、本発明を実施したΙDTを
形成する電極指の本数と、本発明を実施していない従来
技術のIDTを形成する電極指の本数はそろえてある。
また、スプリット電極の中心周波数はソリッド電極の中
心周波数の1/2になるように設定し、ΙDT構成は図
2のようにし、ソリッド電極側に従来構造のΙDTを配
置した。
【0043】図3中、31は比較のため、ソリッド電極
を含まない従来構造のIDT、32はスプリット電極を
構成する電極指の数がソリッド電極を構成する電極の半
分に、33はスプリット電極を構成する電極指の数とソ
リッド電極を構成する電極指の数が等しいように設置し
た例である。ソリッド電極の比率が増えるにしたがっ
て、フィルタの急峻性は増すが、本実施例では特に低域
側での急峻性が増した。また、ソリッド電極の本数が増
加すると、設定したインピーダンスよりも弾性表面波フ
ィルタのインピーダンスはずれてしまい、本発明の効果
は半減してしまう。
【0044】図4は図3中の31と32の共振子フィル
タを接続した2段構成の弾性表面波フィルタのシュミレ
ーション結果を、図5はこの弾性表面波フィルタを実際
に作成して、コンデンサとコイルで600Ωになるよう
に調整した回路での評価結果をそれぞれ示す図である。
【0045】また、図6は図3中の32の共振子フィル
タを2ヶ縦続に接続したもののシュミレーション結果
を、図7は弾性表面波フィルタを実際に作成して、図5
の弾性表面波フィルタと同じ回路で評価したものであ
る。
【0046】いずれの場合も、シュミレーションと実物
はよく似ており、本発明の効果が分かる。
【0047】なお、本発明は上述した実施形態には限定
されない。例えば、上述した実施形態では、図2に示し
たようにソリッド電極12とスプリット電極13とを隣
接するように形成したが、図8に示すようにスプリット
電極13をソリッド電極12が挟むように形成してもよ
いし、図9に示すようにソリッド電極12をスプリット
電極13が挟むように形成してもよい。
【0048】以上説明したように、本発明によれば、特
性を制御する際のインピーダンス変化を最小限に押さえ
つつ、所望の周波数特性を得ることができ、設計の自由
度を大幅に向上することができる。
【0049】(実施形態2)図10、図11、図12は
本発明の弾性表面波フィルタが備えるIDT(インター
ディジタル変換器)の構造を概略的に示す図である。図
10に例示したIDT100は、信号が入力されたとき
に、極性が2本で単位周期をなすソリッドな電極指から
なる第1の領域101aと、4本以上偶数本の電極指で
極性が単位周期をなすソリッドな電極指からなる第2の
領域101bとを有している。また、例えば図11、図
12に例示するように2本の電極指で極性の単位周期を
構成する第1の領域101aと、4本以上の偶数本の電
極指で極性の単位周期を構成する第2の領域101bと
を1個のIDT100内に複数装備するようにしてもよ
い。
【0050】弾性表面波フィルタを構成するIDTが複
数ある場合には、少なくとも1個のIDTを第1の領域
101aと第2の領域101bとにより構成するように
すればよい。また、それぞれのIDT100に関し、例
えば図10、図11、図12に例示したような構成の何
れを用いるようにしてもよく、1個の弾性表面波フィル
タを構成するすべてのIDTを同じ構成にする必要はな
い。図13は本発明の弾性表面波フィルタの構成を概略
的に示す図であり、圧電性基板110上に、上述のよう
な第1の領域101aと第2の領域101bとからなる
IDT100a、100b、100dおよび従来と同様
のソリッドなIDT100cとを、反射器102間に配
設したものである。第1の領域101aと第2の領域1
01bとの位相関係は同相関係でも逆相関係のどちらで
もよく、この位相関係によっても弾性表面波フィルタの
特性を変えることができる。また、1個のIDT内に複
数の第2の領域101bがある場合にも、個々の第2の
領域101bの第1の領域101aに対する位相関係も
同相関係・逆相関係の何れでもよく、さらに同相関係・
逆相関係を組み合わせたものでもよい。
【0051】図14は本発明の弾性表面波フィルタのI
DTを構成する第2の領域101bの例を説明するため
の図である。このIDTの第2の領域101bは、信号
が印加されたときに、同一極性の電極指3本と異なる極
性の電極指1本の計4本で単位周期をなすように構成し
たものである。実際の弾性表面波フィルタの場合はこの
IDTの弾性表面波の励振方向の最外部に反射器102
を有している。またIDTは反射器間に複数備えるよう
にしてもよい。
【0052】(実施形態3)以下に45°XカットLB
O基板(LBO:四硼酸リチウム)上に、2個のIDT
と、これらのIDTを挟むように配設された反射器とを
配設した800Ω系の共振子型弾性表面波フィルタに本
発明を適用した例について説明する。
【0053】IDTは2本の電極指で単位周期を成すI
DT換算で44対、Grは電極指50本とし、開口長は
10λ(λ:この弾性表面波フィルタの中心周波数)と
した。また、IDT、反射器はAl−Cu−Si系の合
金からなる導体薄膜をスパッタ法などにより形成し、そ
の厚さは、励振する弾性表面波の波長の約1%程度に設
定している。IDTの構成は図10に例示した構成と同
様にし、第2の領域101bには、図14に例示したよ
うな同一極性の電極指3本と異なる極性の電極1本の計
4本で単位周期を成す構造とし、IDTの内2本で単位
周期を成すIDT換算で10対分に、本発明を適応し、
励振源の個数は変えぬよう、適応部分の電極指の数は倍
にした。
【0054】図15はこのように構成した本発明の弾性
表面波フィルタを50Ω系で見た時のシュミレーション
結果である。図15に示したプロファイルのうち106
aは比較例として本発明を適用しなかったもの、プロフ
ァイル106b、106cは本発明を適用した例であ
る。IDT100の第1の領域101aで励振する弾性
表面波と、第2の領域101bで励振する弾性表面波の
位相関係は、106bでは同相関係に、また106cは
逆相関係になるように配置した。
【0055】このシュミレーション結果からもわかるよ
うにより、本発明により通過域近傍の特性を変えること
なく帯域外減衰量を制御できることがわかる。さらに逆
相関係に本発明を適用することにより帯域近傍の減衰特
性の急峻性は増すが、帯域より周波数の低い部分での減
衰量は小さくなるというトレードオフの関係を有してい
ることも分かる。
【0056】図16は本発明の別の弾性表面波フィルタ
を50Ω系で見た時のシュミレーション結果である。こ
の弾性表面波フィルタは、図15に例示した構造のID
Tにおいて、プロファイル106bを得た構成と同様
に、第1の領域101aで励振する弾性表面波と、4本
の電極指で単位周期を構成する第2の領域101bで励
振する弾性表面波との位相関係が同相関係になるように
IDTを構成したものであり、第1の領域101aに対
して第2の領域101bの割合を増やしていった時の5
0Ωで見た時のシュミレーション結果である(全電極指
数は同じ)。
【0057】プロファイル107aは、比較例として本
発明を適用しなかった場合を、プロファイル107bは
IDΤの内の第1の領域をIDT換算で10対分にした
場合を、プロファイル107cはIDTの内の第1の領
域101aをIDT換算で20対分にした場合の周波数
特性である。
【0058】本発明を適用する電極指の数を増やすこと
により、帯域近傍での帯域外減衰量はより急峻なものと
なるが、帯域より周波数の低い部分での減衰量は劣化す
るトレードオフの関係を有していることがわかる。
【0059】(実施形態4)ところで、実際のデバイス
ではチップサイズが限定されるため、配設可能な電極指
の数には限界がある。すなわち、本発明を実際のデバイ
スに適用する場合には、要求される特性が得られるよう
に、第1の領域101a、第2の領域101bを構成す
る電極指の数や、相互の位相関係を選択することが必要
となる。
【0060】図17は本発明の別の弾性表面波フィルタ
の特性を示す図である。この例では、図15で説明した
ような、プロファイル106aに対応した構成の共振子
型弾性表面波フィルタと、プロファイル106bに対応
した構成の共振子型弾性表面波フィルタとを縦続に接続
した2段構成の弾性表面波フィルタを800Ω系でシュ
ミレーション結果を示す。図18はこの弾性表面波フィ
ルタを実際に作成し、コンデンサとコイルで800Ωに
なるように調整した回路での周波数特性を評価した結果
を示す図である。図17、図18から分かるようにシュ
ミレーションと実際の弾性表面波フィルタの周波数特性
は実物はよく似ている。このように本発明によれば、弾
性表面波フィルタの特性を柔軟に変化させることができ
る。また特性を制御する際のインピーダンス変化を最小
限に押さえつつ、共振子型弾性表面波フィルタより構成
されている弾性表面波フィルタの設計自由度を大幅に向
上することができる。
【0061】なお上述の例では圧電性基板として45°
XカットLBO基板を用いて、2個のIDTより成る、
800Ω系の共振子フィルタを例に説明したが、他の圧
電性基板やRFフィルタのように純50Ωで駆動するフ
ィルターに適用することができることは言うまでもな
い。
【0062】(実施形態5)図19は本発明の弾性表面
波フィルタが備えるIDTの構造の別の例を概略的に示
す図である。図19に例示したIDT200は、極性が
2本で単位周期をなすソリッドな電極指からなる第1の
領域101aと、3本以上奇数本の電極指で極性が単位
周期をなす第2の領域101cとにより構成されてい
る。また、図20、図21に例示するように、2本で単
位周期をなす第1の領域101aまたは3本以上奇数本
で単位周期をなす第2の領域101cを複数設けてるよ
うにしてもよい。
【0063】弾性表面波フィルタを構成するIDTが複
数ある場合には、少なくとも1個のIDTを第1の領域
101aと第2の領域101b、101cとにより構成
するようにすればよい。また、それぞれのIDT200
に関し、例えば図19、図20、図21に例示したよう
な構成の何れを用いるようにしてもよく、1個の弾性表
面波フィルタを構成するすべてのIDTを同じ構成にす
る必要はない。さらに例えば図10、図11、図12に
例示したような構成と組み合わせて用いるようにしても
よい。
【0064】図22は本発明の弾性表面波フィルタの構
成を概略的に示す図であり、圧電性基板110上に、上
述のような第1の領域101aと第2の領域101cと
からなるIDT200a、200b、200dおよび従
来と同様のソリッドなIDT200cとを、反射器10
2間に配設したものである。第1の領域101aと第2
の領域101cとの位相関係は同相関係でも逆相関係の
どちらでもよく、この位相関係によっても弾性表面波フ
ィルタの特性を変えることができる。また、1個のID
T内に複数の第2の領域101cがある場合にも、個々
の第2の領域101cの第1の領域101aに対する位
相関係も同相関係・逆相関係の何れでもよく、さらに同
相関係・逆相関係を組み合わせたものでもよい。
【0065】図23は上述のような本発明の弾性表面波
フィルタを構成するIDT200の、3本以上の奇数本
で極性が単位周期をなす第2の領域101cの構造とそ
の動作を説明するための図である。図23(a)のよう
に電極指を配設して第2の領域101cを構成すると、
図23(b)に示すように、IDTに信号が供給された
ときには電極指の極性の周期は3本の電極指により構成
されることになる。これは逆極性になったときでも同様
であり、隣接する電極指の極性が異なる部分では容量が
形成されることになる。また、この第2の領域では図2
3(c)のように、ある信号周期とその次の信号周期で
は互いに打ち消しあう2種の弾性表面波が励振されるの
で、結局弾性表面波は励振されず、第1の領域101a
で励振された弾性表面波に対して、第2の領域101c
は容量Cを有する反射器として振る舞うことになる。
【0066】図24は45゜XカットLBO基板での、
2個のIDTを有する71ΜΗzのGSΜ用IFフィル
タに本発明を適用し、Smithの等価回路に基づいて
行った50Ω系で見た時のシュミレーション結果を表
す。
【0067】IDTは2本で単位周期を成すIDT換算
で44対、Grは50本とし、開口長は10λとした。
また、電極は励振する弾性表面波の波長の約1%程度の
厚みとしている。
【0068】またこの例では、3本で単位周期をなす第
2の領域101cを20周期分にわたってIDTのGr
側に形成し、さらに励振源と反射源とをそろえるため、
本発明を適用して構成したIDTのうち第1の領域10
1aの電極指の本数と、本発明を適用しない従来技術の
IDTを形成する電極指の本数、及びIDTの開口長は
同じに設定し、本発明の構成の電極指を付加した分たけ
Grの電極指の本数を減らしている。
【0069】図24中、プロファイル206aは従来構
成によるシュミレーション結果を、プロファイル206
bは本発明を適用した構成の弾性表面波フィルタの周波
数特性のシュミレーション結果を示したものである。
【0070】この結果より、本発明の弾性表面波フィル
タが有するIDTに付加された容量の効果により、帯域
外領域でわずかな特性差は生じているものの、帯域特性
はほぼ同一にすることができることがわかる。
【0071】図25は図24でプロファイル206bが
得られた構成の弾性表面波フィルタを2段構成にし、イ
ンピーダンスのマッチングを取った時のシュミレーショ
ン結果を示す図である。ここではインピーダンスのマッ
チングは約690Ωで取っている。図26は図24のプ
ロファイル206aが得られた従来構成の弾性表面波フ
ィルタを2段構成にし、マッチングを取った時のシュミ
レーション結果を示したものであり、約870Ωでマッ
チングが取れている。
【0072】これらのシュミレーションにより、本発明
の弾性表面波フィルタによれば、IDTの開口長を変え
ることなく、弾性表面波フィルタのインピーダンスを制
御できることが確認された。このように本発明によれ
ば、IDTの開口長を変えることなくインピーダンス制
御することができる。
【0073】また、この例ではLBO基板を用いたチュ
ーニング回路の使用を前提としたIFフィルタについて
説明したが、他の圧電基板や、チューニング回路を使用
しないRFフィルタに適用できることは言うまでもな
い。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば特
性を制御する際のインピーダンス変化を最小限に抑制し
ながら、システムの要求に対応するための複雑な周波数
特性を実現することができ、設計の自由度を大幅に向上
することができる。
【0075】また、本発明によれば、IDTの開口長を
変えることなく弾性表面波フィルタのインピーダンスを
柔軟に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る弾性表面波フィルタ
の電極パターンを示す図。
【図2】図1に示したIDT3の構造を示す図。
【図3】本発明の効果を説明するシュミレーション結果
を表す図。
【図4】本発明を実施した弾性表面波フィルタのシュミ
レーション結果を表す図。
【図5】本発明を実施することによって得られた弾性表
面波フィルタの周波数特性を表す図。
【図6】本発明を実施した弾性表面波フィルタのシュミ
レーション結果を表す図。
【図7】本発明を実施する事によって得られた弾性表面
波フィルタの周波数特性を表す図。
【図8】本発明に係るIDTの他の構造を示す図。
【図9】本発明に係るIDTの他の構造を示す図。
【図10】本発明の弾性表面波フィルタが備えるIDT
の構造を概略的に示す図。
【図11】本発明の弾性表面波フィルタが備えるIDT
の構造を概略的に示す図。
【図12】本発明の弾性表面波フィルタが備えるIDT
の構造を概略的に示す図。
【図13】本発明の弾性表面波フィルタの構成を概略的
に示す図。
【図14】本発明の弾性表面波フィルタのIDTを構成
する第2の領域の構成の例を説明するための図。
【図15】本発明の弾性表面波フィルタののシュミレー
ション結果を示す図。
【図16】第1の領域と第2の領域の割合を変化させた
ときの弾性表面波フィルタの特性のシュミレーション結
果を示す図。
【図17】本発明の別の弾性表面波フィルタの特性を示
す図。
【図18】本発明を適用して作成した弾性表面波フィル
タの周波数特性を示す図。
【図19】本発明を説明するIDTの構造を示す図。
【図20】本発明を説明するIDTの構造の変形例を示
す図。
【図21】本発明を説明するIDTの構造の変形例を示
す図。
【図22】本発明を説明する弾性表面波フィルタの例を
示す図。
【図23】本発明の効果を説明するための3本の電極指
で単位周期をなす第2の領域の構成の例を示す図。
【図24】本発明の効果を表す弾性表面波フィルタのシ
ュミレーション結果を示す図。
【図25】本発明を実施した弾性表面波フィルタのシュ
ミレーション結果を示す図。
【図26】従来構造の弾性表面波フィルタのシュミレー
ション結果を示す図。
【符号の説明】
1、2…………………2IDTフィルタ 3、4、7、8………IDT(インターディジタル変換
器) 5、6、9、10……Gr(グレーティング状反射器) 11………………接続線 12………………ソリッド電極 13………………スプリット電極 100…………IDT 101a………第1の領域 101b………第2の領域 101c………第2の領域 102…………反射器 110…………圧電性基板 200…………IDT

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電性基板と、 前記圧電性基板上に形成され、ソリッド電極からなる第
    1の領域とスプリット電極からなる第2の領域とを有す
    るインターディジタル変換器とを具備することを特徴と
    する弾性表面波フィルタ。
  2. 【請求項2】 インターディジタル変換器を有する共振
    子型フィルタを複数接続してなる弾性表面波フィルタで
    あって、 前記共振子型フィルタのうち少なくとも1つの共振子型
    フィルタが、ソリッド電極からなる第1の領域とスプリ
    ット電極からなる第2の領域とを有するインターディジ
    タル変換器を有することを特徴とする弾性表面波フィル
    タ。
  3. 【請求項3】 ソリッド電極からなる第1の領域とスプ
    リット電極からなる第2の領域とを有するインターディ
    ジタル変換器における、ソリッド電極の中心周波数をf
    o1、スプリット電極の中心周波数をfo2としたとき、 2×(fo2×0.95)≦fo1≦2×(fo2×1.0
    1) の関係になるように、スプリット電極を形成したことを
    特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の弾性表面波フ
    ィルタ。
  4. 【請求項4】 ソリッド電極からなる第1の領域とスプ
    リット電極からなる第2の領域とを有するインターディ
    ジタル変換器における、スプリット電極を構成する電極
    指の本数の総和がソリッド電極を構成する電極指の本数
    の総和以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項
    2に記載の弾性表面波フィルタ。
  5. 【請求項5】 圧電性基板上にソリッド電極からなる第
    1の領域とスプリット電極からなる第2の領域とを有す
    るインターディジタル変換器を形成してなる弾性表面波
    フィルタにおいて、要求特性に応じて前記第1の領域と
    前記第2の領域との割合を変えたことを特徴とする弾性
    表面波フィルタの構成方法。
  6. 【請求項6】 請求項5の方法により製造されたことを
    特徴とする弾性表面波フィルタ。
  7. 【請求項7】 圧電性基板と、前記圧電性基板上に配設
    され、第1の弾性表面波を励振する第1の領域と、前記
    第1の弾性表面波を反射する第2の領域とを有するイン
    ターディジタル変換器とを具備したことを特徴とする弾
    性表面波フィルタ。
  8. 【請求項8】 前記インターディジタル変換器の前記第
    2の領域は、隣接配置される電極指間で容量が形成され
    る部分を有することを特徴とする請求項7に記載の弾性
    表面波フィルタ。
  9. 【請求項9】 前記インターディジタル変換器の第2の
    領域は、同一極性の電極指が3本以上並ぶことを特徴と
    する請求項7または請求項8のいずれかに記載の弾性表
    面波フィルタ。
  10. 【請求項10】 前記インターディジタル変換器の前記
    第1の領域は、第1の極性を有するように接続された第
    1の電極指と、第2の極性を有するように接続された第
    2の電極指とが交互に配設され、前記第2の領域は少な
    くとも1本の前記第1の電極指と3本の前記第2の電極
    指とからなる偶数本を単位として周期的に配設されたこ
    とを特徴とする請求項9に記載の弾性表面波フィルタ。
  11. 【請求項11】 前記インターディジタル変換器の第2
    の領域は、互いに打ち消し合うような2つの弾性表面波
    を励振することを特徴とする請求項7または請求項8の
    いずれかに記載の弾性表面波フィルタ。
  12. 【請求項12】 前記インターディジタル変換器の前記
    第1の領域は、第1の極性を有するように接続された第
    1の電極指と第2の極性を有するように接続された第2
    の電極指とが交互に配設され、前記第2の領域は少なく
    とも1本の前記第1の電極指と2本の前記第2の電極指
    とからなる奇数本を単位として周期的に配設されたこと
    を特徴とする請求項11に記載の弾性表面波フィルタ。
  13. 【請求項13】 前記インターディジタル変換器を構成
    する電極指の幅は前記インターディジタル変換器が励振
    する弾性表面波の波長の1/4であり、前記電極指の配
    設ピッチは前記波長の1/4であることを特徴とする請
    求項7乃至請求項12のいずれかに記載の弾性表面波フ
    ィルタ。
  14. 【請求項14】 前記インターディジタル変換器は、前
    記第1の領域で励振される弾性表面波の位相と、前記第
    2の領域で励振される弾性表面波の位相とが同相になる
    ように配設されたことを特徴とする請求項10乃至請求
    項13のいずれかに記載の弾性表面波フィルタ。
  15. 【請求項15】 前記インターディジタル変換器は、前
    記第1の領域で励振される弾性表面波の位相と、前記第
    2の領域で励振される弾性表面波の位相とが逆相になる
    ように配設されたことを特徴とする請求項10乃至請求
    項13のいずれかに記載の弾性表面波フィルタ。
  16. 【請求項16】 前記インターディジタル変換器を構成
    する電極指は、前記第1の領域における配設ピッチをp
    1 、前記第2の領域における配設ピッチをp2 としたと
    き、 p1 ×0.90≦p2 ≦p1 ×1.1 の関係を満たすことを特徴とする請求項7乃至請求項1
    5のいずれかに記載の弾性表面波フィルタ。
  17. 【請求項17】 前記圧電性基板上に、前記インターデ
    ィジタル変換器の励振する弾性表面波の伝搬方向に沿っ
    て前記インターディジタル変換器を挟むように配設され
    た反射器をさらに具備したことを特徴とする請求項7乃
    至16のいずれかに記載の弾性表面波フィルタ。
  18. 【請求項18】 前記インターディジタル変換器は前記
    反射器の間に複数個配設されたことを特徴とする請求項
    17に記載の弾性表面波フィルタ。
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