JPH10261797A - 薄膜トランジスタの製造方法及び液晶パネルの製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタの製造方法及び液晶パネルの製造方法

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JPH10261797A
JPH10261797A JP6365497A JP6365497A JPH10261797A JP H10261797 A JPH10261797 A JP H10261797A JP 6365497 A JP6365497 A JP 6365497A JP 6365497 A JP6365497 A JP 6365497A JP H10261797 A JPH10261797 A JP H10261797A
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gate electrode
gate
film
anodic oxidation
tft
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JP6365497A
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Tomoyuki Ito
友幸 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オフリーク電流のばらつきなどを低減するこ
とのでき、しかも、オフセット長が長いTFTおよび液
晶表示パネル用のアクティブマトリクス基板を製造する
方法を提供すること。 【解決手段】 オフセットゲート構造のTFT10を形
成するために、高温、高圧下での陽極酸化、または光エ
ネルギーを照射しながらの陽極酸化によってゲート電極
14の側面部にオフセット長に相当する膜厚の陽極酸化
皮膜50を形成する。次に、この陽極酸化皮膜50を形
成したゲート電極14をマスクとして半導体膜12に不
純物を導入してゲート電極14の端部からオフセット長
分だけ隔てた領域にソース・ドレイン領域15を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセットゲート
構造の薄膜トランジスタ(以下、TFTと称す。)の製
造方法、およびそれを利用した液晶表示パネルの製造方
法に関するものである。さらに詳しくは、オフセットゲ
ート構造のTFTにおけるオフセット長の安定化技術に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示パネルの駆動回路内蔵型のアク
ティブマトリクス基板において、駆動回路あるいは画素
スイッチング素子に用いられているTFTをセルフアラ
イン構造で構成すると、図13に示すように、その伝達
特性はオフリーク電流が大きいという問題点がある。図
13において、実線L21はソース・ドレイン電圧が4
Vの場合であり、点線L22はソース・ドレイン電圧が
8Vの場合である。このようにオフリーク電流の大きな
TFTを画素用TFTとして用いると、コントラスト低
下、フリッカ、表示むらなどの原因となりやすい。ま
た、駆動回路用TFTでもオフリーク電流が大きいと、
無駄な電力消費、誤動作、経時劣化などの原因となりや
すい。
【0003】そこで、各TFTをオフセットゲート構造
にしてドレイン端における電界強度を緩和し、図14に
示すレベルまでオフリーク電流を低減する対策を講じる
ことが多い。図14は、オフセットゲート構造のTFT
についてオフリーク電流を計測した結果であり、実線L
23および点線L24はそれぞれ、ソース・ドレイン電
圧が4V、8Vのときの計測結果である。また、大型の
基板に多数のオフセットゲート構造のTFTを作り込ん
だときに、そのオフセット長と、セルフアライン構造の
TFTにおけるオフリーク電流に対するオフセットゲー
ト構造のTFTにおけるオフリーク電流の比およびその
ばらつきとの関係は、図15に示す関係にあり、オフセ
ット長が長いほど、オフリーク電流を低減する効果が大
きい。
【0004】このようなオフセットゲート構造のTFT
は、従来、以下の方法で製造される。
【0005】まず、図16(A)示す基板11上に、図
16(B)に示すようにシリコン膜12(半導体膜)を
形成した後、図16(C)に示すように、シリコン膜1
2をパターニングし、島状のシリコン膜12とする。次
に、図16(D)に示すように、シリコン膜12の表面
にゲート絶縁膜13を形成する。次に、その表面に導電
膜を形成した後、それをパターニングし、ゲート電極1
4を形成する。
【0006】次に、図16(E)に示すように、ゲート
電極14をやや広めに覆うレジストマスク71を形成し
た後、図16(F)に示すように、リンイオンなどの高
濃度N型(高濃度第1導電型)の不純物をたとえば約3
×1015cm-2のドーズ量で打ち込む。その結果、ゲー
ト電極14の端部から所定の寸法だけ隔てた領域に不純
物濃度が約3×1020cm-3のソース・ドレイン領域1
5が形成される。
【0007】次に、図16(G)に示すように、ゲート
電極14の表面側に層間絶縁膜18を形成した後に、層
間絶縁膜18にコンタクトホールを形成し、しかる後
に、層間絶縁膜18のコンタクトホールを介してソース
・ドレイン領域15に電気的接続するソース電極51お
よびドレイン電極52を形成する。
【0008】P型(第1導電型)のLDD構造のTFT
を製造する場合には、図16(F)に示した工程におい
て、高濃度N型(低濃度第1導電型)の不純物に代えて
ボロンイオンなどの高濃度P型(高濃度第2導電型)の
不純物をたとえば約2×1015cm-2のドーズ量で打ち
込む。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図16
を参照して説明した従来の製造方法では、図16(E)
に示す工程でレジストマスク71を形成する際に、レジ
ストマスク71とゲート電極14との間に位置合わせ誤
差が生じやすいため、オフセット長がばらつき、その結
果、オン電流やオフリーク電流もばらつくという問題点
がある。特に、液晶表示パネルのアクティブマトリクス
基板のように、大型の基板11に多数のTFTを作り込
む場合には、基板11が大きい分、レジストマスク71
とゲート電極14との間の位置関係がばらつきやすい。
たとえば、大型の基板に多数のオフセットゲート構造の
TFTを作り込んだときに、そのオフセット長と、セル
フアライン構造のTFTにおけるオン電流に対するオフ
セットゲート構造のTFTにおけるオン電流の比および
そのばらつきとの関係は、図17に点線L31で示す関
係にあり、オフセットゲート構造のTFTではオン電流
が大きくばらつく傾向にある。
【0010】このような問題点を解消する方法として、
特開平5−166837号公報には、ゲート電極に陽極
酸化を施してその表面部および側面部に陽極酸化皮膜を
形成し、この陽極酸化皮膜を形成したゲート電極をマス
クとして不純物を導入して、レジストマスクを用いずに
オフセットゲート構造のTFTを製造する発明が開示さ
れている。この発明によれば、陽極酸化時の通電量が一
定であれば、所定の膜厚の陽極酸化膜を形成できるの
で、それをマスクとして利用すれば、オフセット長がば
らつかず、TFTのオン電流およびオフリーク電流がば
らつかない。しかし、図15に示すように、オフセット
長が長いほど、オフリーク電流を低減する効果が大き
く、とりわけオフセット長が0.5μm以上あれば、か
なりの効果があるものの、特開平5−166837号公
報に開示されている方法では、陽極酸化皮膜を0.5μ
m以上にまで形成するは困難であるため、オフリーク電
流を十分に低減しきれない。
【0011】以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、
オフセットゲート構造のTFTを製造した場合にオフリ
ーク電流のばらつきなどを低減することのでき、しか
も、オフセット長の長いTFTをも形成できるTFTの
製造方法、および液晶表示パネル用のアクティブマトリ
クス基板の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、基板に、ゲート電極に対してゲート絶
縁膜を介して対峙するチャネル領域、および該チャネル
領域に接続するソース・ドレイン領域を備える薄膜トラ
ンジスタの製造方法において、前記ソース・ドレイン領
域を形成するための半導体膜、前記ゲート絶縁膜、およ
び前記ゲート電極を順次形成した以降、高温、高圧下で
の陽極酸化、または光エネルギーを照射しながらの陽極
酸化によって、前記ゲート電極の表面部および側面部に
陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化工程と、前記陽極酸化
皮膜を形成したゲート電極をマスクとして前記半導体膜
に不純物を導入する不純物導入工程とを行うことによっ
て、オフセットゲート構造の薄膜トランジスタを形成す
ることを特徴とする。
【0013】本願明細書において第1導電型および第2
導電型とは互いに逆導電型であることを意味し、第1導
電型をN型とすれば、第2導電型はP型である。それと
逆に、第1導電型をP型とすれば、第2導電型はN型で
ある。
【0014】本発明において、ソース・ドレイン領域と
なるべき半導体膜に対して、ゲート電極の端部から所定
の寸法を隔てた領域に不純物を選択的に導入する際に
は、陽極酸化によってゲート電極に対して陽極酸化皮膜
を予め形成しておく。従って、この陽極酸化皮膜を形成
した後のゲート電極をマスクとして半導体膜に不純物を
導入すると、レジストマスクを用いなくても、半導体膜
のうち、ゲート電極に遮られている部分と、ゲート電極
の側面部に形成された陽極酸化皮膜に遮られている部分
には不純物が導入されない。それ故、ゲート電極の側面
部に形成された陽極酸化皮膜の厚さに相当するオフセッ
ト長をもつオフセットゲート構造のTFTを製造でき
る。ここで、陽極酸化皮膜はあくまで陽極酸化によりゲ
ート電極の表面部および側面部に堆積させたものである
ため、その膜厚は陽極酸化時の通電量(電気量)で制御
できる。すなわち、前記の陽極酸化を行う際の通電量さ
え一定であれば、一定の厚さの陽極酸化皮膜を形成で
き、同一基板上に多数のTFTを製造する場合でも、各
ゲート電極に対して堆積させた陽極酸化皮膜の膜厚はば
らつかない。よって、レジストマスクを利用した場合と
違って、レジストマスクとゲート電極との間に位置合わ
せ誤差に起因するオフセット長のばらつきがないので、
オフセットゲート構造のTFTを製造した場合でもその
オン電流やオフリーク電流のばらつきを著しく低減する
ことができる。しかも、本発明で行う陽極酸化工程は、
一般的な陽極酸化方法ではなく、高温、高圧下での陽極
酸化、または光エネルギーを照射しながらの陽極酸化を
行うため、厚い陽極酸化皮膜を形成できる。それ故、オ
フリーク電流を所定のレベルまで低減するのに十分なオ
フセット長をもつTFTを形成することができる。
【0015】本発明では、前記の陽極酸化工程と不純物
導入工程の順を入れ換えてもよい。すなわち、前記ソー
ス・ドレイン領域を形成するための半導体膜、前記ゲー
ト絶縁膜、および前記ゲート電極を順次形成した以降、
前記ゲート電極をマスクとして前記半導体膜に不純物を
導入する不純物導入工程と、該不純物導入工程の後に前
記ゲート電極の表面部および側面部に高温、高圧下での
陽極酸化、またはまたは光エネルギーを照射しながらの
陽極酸化により陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化工程と
を行う。
【0016】この発明では、不純物を導入した後にゲー
ト電極を陽極酸化するため、ゲート電極は陽極酸化皮膜
となった分だけ、小さくなる。この結果、ゲート電極の
端部から所定の寸法を隔てた領域にソース・ドレイン領
域が形成された構造になるので、ゲート電極を広めに覆
うレジストマスクを用いなくても、オフセットゲート構
造のTFTを製造できる。
【0017】本発明において、前記基板上には前記半導
体膜、前記ゲート絶縁膜、および前記ゲート電極をそれ
ぞれ複数形成した以降、前記の複数のゲート電極のう
ち、一部のゲート電極のみに前記陽極酸化工程で陽極酸
化を行い、その他のゲート電極には前記陽極酸化工程で
陽極酸化を行わないことにより、前記のオフセットゲー
ト構造の薄膜トランジスタと、セルフアライン構造の薄
膜トランジスタとを同一基板上に形成してもよい。この
ように構成すると、ゲート電極への通電の有無だけでオ
フセットゲート構造の薄膜トランジスタと、セルフアラ
イン構造の薄膜トランジスタとを同一基板上に形成する
ことができる。ここで、上記2つの薄膜トランジスタ
は、導電型が同一あるいは逆のいずれであってもよい。
【0018】このような発明を利用してオフセット長の
異なるTFTを同一基板上に形成するには、ゲート電極
への通電量を変えてもよいが、基板に対する光エネルギ
ーの照射パターンを変えてもよい。すなわち、本発明に
おいて、前記基板上には前記半導体膜、前記ゲート絶縁
膜、および前記ゲート電極をそれぞれ複数形成した以
降、前記の複数のゲート電極のうち、一部のゲート電極
に前記陽極酸化工程で強い光エネルギーを照射しながら
の陽極酸化を行い、その他のゲート電極には前記陽極酸
化工程で光エネルギーを照射せずに、または弱い光エネ
ルギーを照射しながらの陽極酸化を行うことにより、オ
フセット長の異なる薄膜トランジスタを同一基板上に形
成してもよい。このように構成すると、ゲート電極への
光エネルギーの照射状態を制御するだけで、オフセット
長の異なる薄膜トランジスタを同一基板上に形成するこ
とできる。ここでも、上記2つの薄膜トランジスタは、
導電型が同一あるいは逆のいずれであってもよい。
【0019】このような構成のTFTの製造方法は、液
晶表示パネルのように、大型の基板上に多数のTFTを
製造するのに適している。
【0020】
【発明の実施の形態】図面を参照して、本発明の実施の
形態を説明する。なお、以下の説明において、本発明を
適用したTFTの製造方法は、図16を参照して説明し
た従来のTFTの製造方法と基本的な構成が共通である
ので、対応する部分に同一の符合を付してある。
【0021】[実施の形態1] (TFTの構造)図1は、本形態に係るTFTの構造を
示す縦断面図である。
【0022】図1において、本形態のTFT10は、基
板11の表面側に、タンタル、チタン、ニオブ、アルミ
ニウムなどのゲート電極14に対してゲート絶縁膜13
を介して対峙するチャネル領域17、および該チャネル
領域17に接続するソース・ドレイン領域15を備えて
いる。ここで、ゲート電極14の上面部および側面部に
は膜厚が約0.1μm〜約1.3μmの陽極酸化皮膜5
0が形成され、この陽極酸化皮膜50は、ゲート電極1
4自身を陽極酸化したものである。このため、ゲート電
極14がタンタルであれば、陽極酸化膜50は勿論、タ
ンタル酸化物である。このTFT10において、製造方
法は後述するが、ソース・ドレイン領域15を形成する
ための不純物を導入する際には、レジストマスクを用い
ずに、ゲート電極14に陽極酸化皮膜50を形成したも
のをマスクとして用いるため、ソース・ドレイン領域1
5は、陽極酸化皮膜50の両側端部に対してセルフアラ
イン的に形成され、ゲート電極14の両側端部からみれ
ば、長さLosのオフセット長をもっている。しかも、こ
のオフセット長Losは陽極酸化皮膜50の膜厚に相当す
るため、本形態のTFT10では、オフセット長を約
1.3μmまでの範囲で任意に設定できる。よって、オ
フリーク電流をかなり小さな値にまで低減することがで
きる。
【0023】(TFTの製造方法の概略)図2は、本形
態に係るTFTの製造方法を示す工程断面図である。
【0024】まず図2(A)に示すように、ガラスなど
の透明な絶縁性の基板11に、必要に応じてTEOS
(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料ガスと
してプラズマCVD法などにより厚さがたとえば約20
00オングストロームのシリコン酸化膜からなる下地保
護膜(図示せず。)を形成する。
【0025】次に、図2(B)に示すように、基板11
の温度をたとえば350℃に設定して、下地保護膜の表
面にプラズマCVD法などにより厚さがたとえば約60
0オングストロームのアモルファスのシリコン膜などの
半導体膜12を形成する(半導体膜形成工程)。半導体
膜12としてアモルファスのシリコン膜を形成した場合
には、アモルファスのシリコン膜に対してレーザアニー
ルまたは急速熱処理などの方法で結晶化を行い、半導体
膜12をポリシリコン膜としておく。レーザアニール法
では、たとえば、エキシマレーザのビーム長が400m
mのラインビームを用い、その出力強度はたとえば20
0mJ/cm2 である。ラインビームについてはその幅
方向におけるレーザ強度のピーク値の90%に相当する
部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査して
いく。
【0026】次に、図2(C)に示すように、ポリシリ
コン膜となった半導体膜12をフォトリソグラフィ技術
を用いてパターニングし、島状の半導体膜12とする。
これまでの工程を行う間に、TFTのしきい値を調整す
ることを目的に低濃度の不純物を導入しておくことがあ
る。
【0027】次に、図2(D)に示すように、半導体膜
12の表面に対して、TEOS(テトラエトキシシラ
ン)や酸素ガスなどを原料ガスとしてプラズマCVD法
などにより厚さがたとえば約1000オングストローム
のシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜13を形成する
(ゲート絶縁膜形成工程)。
【0028】次に、ゲート絶縁膜13の表面にタンタル
などの導電膜をスパッタ法などにより形成した後、それ
をパターニングし、ゲート電極14を形成する(ゲート
電極形成工程)。
【0029】次に、詳しくは後述するが、基板11ごと
電解液に浸漬するとともに、この基板11に対して対極
を配置し、この対極とゲート電極14との間に通電する
ことによって陽極酸化を行う。その結果、図2(E)に
示すように、ゲート電極14の上面部および側面部に膜
厚が約0.1μm〜約1.3μmの陽極酸化皮膜50
(タンタル酸化物)が形成される(陽極酸化工程)。
【0030】次に、オフセットゲート構造のN型(第1
導電型)のTFTを製造する場合には、図2(F)に示
すように、上面部および側面部に陽極酸化皮膜50を形
成したゲート電極14をマスクとして、リンイオンなど
の高濃度N型(高濃度第1導電型)の不純物をたとえば
約3×1015cm-2のドーズ量で打ち込む(高濃度第1
導電型不純物導入工程)。その結果、シリコン膜12に
はゲート電極14の端部から所定の距離(0.1μm〜
約1.3μm)を隔てた領域に不純物濃度が約3×10
20cm-3のソース・ドレイン領域15が形成される。
【0031】次に、必要に応じてフォーミングガス中な
どで熱処理を行い、半導体膜12に導入した不純物を活
性化した後、図1に示すように、ゲート電極14の表面
側(陽極酸化皮膜50の表面側)に、TEOS(テトラ
エトキシシラン)や酸素ガスなどを原料ガスとしてプラ
ズマCVD法などにより厚さがたとえば約5000オン
グストロームのシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜18
を形成する。次に、層間絶縁膜18にコンタクトホール
を形成し、しかる後に、層間絶縁膜18のコンタクトホ
ールを介して、ソース・ドレイン領域15に電気的接続
するソース電極51およびドレイン電極52をそれぞれ
形成する。
【0032】なお、液晶表示パネル用のアクティブマト
リクス基板上において、TFT10を画素スイッチング
用として製造する場合には、ソース電極51はアルミニ
ウムまたはその合金などからなるデータ線の一部であ
り、ゲート電極14はタンタルなどからなる走査線の一
部である。また、ドレイン電極52はITO膜などの透
明電極からなる画素電極である。
【0033】不純物の導入方法としては、たとえば、ド
ーパントガスから発生した全てのイオンを質量分離せず
に打ち込む方法、いわゆるイオンドーピング法を用いる
ことができる。この方法で、たとえば、N型の不純物を
高濃度に打ち込む場合には、PH3 を約5%含み、残部
が水素ガスからなる混合ガスを用い、この混合ガスから
発生する全てのイオンを質量分離せずに打ち込む。これ
に対して、N型の不純物を低濃度に打ち込む場合には、
PH3 を約5%含み、残部が水素ガスからなる混合ガス
から発生する全てのイオンを質量分離せずに打ち込んだ
後、純水素ガスから発生するイオンを質量分離せずに打
ち込んで、シリコン膜中の不整結合を終端化することが
好ましい。さらに、不純物の導入方法については、イオ
ン注入法やイオンドーピング法の他にも、プラズマドー
ピング法、レーザドーピング法などを用いてもよい。
【0034】また、P型(第2導電型)のオフセットゲ
ート構造のTFTを製造する場合には、図2(F)に示
した工程で高濃度N型(低濃度第1導電型)の不純物に
代えてボロンイオンなどの高濃度P型(高濃度第2導電
型)の不純物をたとえば約2×1015cm-2のドーズ量
で打ち込む。
【0035】(陽極酸化工程の一例)図2(E)を参照
して説明した陽極酸化工程において、通常の陽極酸化で
はゲート電極14上に薄い陽極酸化皮膜しか形成できな
いことから、本形態に係るTFTの製造方法では、図3
に示す装置で陽極酸化を行う。図3に示す装置では、電
解槽101には、タンタルの陽極酸化を行うための0.
01wt%のクエン酸水溶液などの電解液102を入れ
てあり、基板11を白金などの対向電極103と対向す
るように配置する。電解槽101は蓋104で完全に密
閉可能である。電解槽101内には、温度コントローラ
105で電解液102を所定の温度に加熱、制御するた
めの温度センサ106およびヒータ107が配置されて
いる。従って、密閉された電解槽101内でヒータ10
7によって電解液102を加熱すると、その内圧が上昇
する。このときの圧力は圧力ゲージ108で監視する。
それ故、この装置において、直流電源109によって基
板11側のゲート電極14と対向電極103との間に直
流電流を流せば、〜約200℃の高温、かつ、その飽和
水蒸気圧に相当する〜約20kgf/cm2 の高圧下で
陽極酸化を行うことができる。
【0036】その結果、ゲート電極14表面には、図4
および図5を参照して以下に説明するように、通常の陽
極酸化では得られない位、高い成膜速度で、かつ、厚い
陽極酸化皮膜50を得ることができる。なお、このよう
に高い成膜速度で、かつ、厚い陽極酸化皮膜50を得る
ことができる理由については、現在、ゲート電極14表
面では、陽極酸化反応に水熱反応が寄与しているものと
考えられる。
【0037】図4および図5はそれぞれ、ゲート電極1
4として用いたタンタルに対する陽極酸化において、そ
の電解時間と成膜速度との関係を示すグラフ、および印
加電圧と最終膜厚との関係を示すグラフである。
【0038】まず、図4には、図3を参照して説明した
高温(150℃)、高圧(15kgf/cm2 )下で陽
極酸化したときの電解時間と成膜速度との関係を実線L
41で示し、従来の条件(R.T、大気圧下)下で陽極
酸化したときの電解時間と成膜速度との関係を実線L4
2で示してある。この図からわかるように、本形態の陽
極酸化方法によれば、成膜速度が約2倍である。
【0039】また、図5には、図3を参照して説明した
高温(150℃)、高圧(15kgf/cm2 )下で陽
極酸化したときの印加電圧と成膜速度との関係を実線L
43で示し、従来の条件(R.T、大気圧下)下で陽極
酸化したときの印加電圧と成膜速度との関係を実線L4
4で示してある。この図からわかるように、従来の陽極
酸化方法では200vの印加で約0.4μmの陽極酸化
皮膜しか得られないのに対して、本形態の陽極酸化方法
によれば、同じ200vの印加で約0.7μmの陽極酸
化皮膜50を得ることができる。しかも、本形態の陽極
酸化方法によれば、前記したように、印加電圧を上げる
ことによって約1.3μm程度の陽極酸化皮膜50を得
ることもできる。
【0040】(陽極酸化工程の別の例)図2(E)を参
照して説明した陽極酸化工程において、通常の陽極酸化
では得られないような厚い陽極酸化皮膜を得るという観
点からは、図6に示す装置で陽極酸化を行ってもよい。
図6に示す装置では、電解槽201には、タンタルの陽
極酸化を行うための0.01wt%のクエン酸水溶液な
どの電解液202を入れてあり、基板11を上向きに配
置する。基板11の側方位置には対極203が配置さ
れ、直流電源209によって、基板11側のゲート電極
14と対極203との間に直流電流を流せば陽極酸化を
行うことができる。ここで、基板11に向けては、光源
204から反射ミラー205を介して光エネルギーLB
を照射するようになっている。従って、ゲート電極14
は光エネルギーを受けながら陽極酸化されることにな
る。その結果、ゲート電極14表面には、図7を参照し
て説明するように、通常の陽極酸化では得られない位、
厚い陽極酸化皮膜50を得ることができ、しかも、その
時の成膜速度は高い。このように高い成膜速度で、か
つ、厚い陽極酸化皮膜50を得ることができる理由につ
いては、現在、ゲート電極14の表面が光エネルギーで
活性化された状態で陽極酸化されるからと考えられる。
【0041】図7は、ゲート電極14として用いたタン
タルに対する陽極酸化において、印加電圧と最終膜厚と
の関係を示すグラフである。
【0042】図7には、図6を参照して説明したように
光エネルギーを照射しながら陽極酸化したときの印加電
圧と成膜速度との関係を実線L53で示し、従来の条件
(光照射なし)で陽極酸化したときの印加電圧と成膜速
度との関係を実線L54で示してある。この図からわか
るように、従来の陽極酸化方法では200vの印加で約
0.3μmの陽極酸化皮膜しか得られないのに対して、
本形態の陽極酸化方法によれば、同じ200vの印加で
約0.8μmの陽極酸化皮膜を得ることができる。しか
も、本形態の陽極酸化方法によれば、前記したように、
印加電圧を上げることによって約1.5μm程度の陽極
酸化皮膜を得ることもできる。
【0043】(本形態の効果)このように、本形態に係
るTFT10の製造方法では、ゲート電極14の端部か
ら所定の寸法を隔てた領域に不純物を選択的に導入して
ソース・ドレイン領域15を形成する際には、予め、前
記の陽極酸化工程でゲート電極14に対して陽極酸化皮
膜50を形成しておく。従って、陽極酸化皮膜50を形
成した後のゲート電極14をマスクとして半導体膜12
に不純物を導入すると、レジストマスクを用いなくて
も、半導体膜12のうち、ゲート電極14に遮られてい
る部分と、ゲート電極14の側面部に形成された陽極酸
化皮膜50に遮られている部分には不純物が導入されな
い。それ故、ゲート電極14の側面部に形成された陽極
酸化皮膜50の厚さに相当するオフセット長をもつオフ
セットゲート構造のTFT10を製造できる。ここで、
陽極酸化皮膜50はあくまで陽極酸化によりゲート電極
14の上面部および側面部に堆積させたものであるた
め、その膜厚は陽極酸化時の通電量(電気量)で制御で
きる。すなわち、前記の陽極酸化を行う際の通電量さえ
一定であれば、一定の厚さの陽極酸化皮膜50を形成で
きるので、同一の基板11上に多数のTFT10を製造
する場合でも、各ゲート電極14に対して堆積させた陽
極酸化皮膜50の膜厚はばらつかない。よって、レジス
トマスクを利用した場合と違って、レジストマスクとゲ
ート電極14との間に位置合わせ誤差に起因するオフセ
ット長のばらつきがないので、オフセットゲート構造の
TFT10を製造した場合でもそのオン電流やオフリー
ク電流のばらつきを著しく低減することができる。たと
えば、オフセットゲート構造のTFT10を作り込んだ
ときに、そのオフセット長と、セルフアライン構造のT
FTにおけるオン電流に対するオフセットゲート構造の
TFTにおけるオン電流の比およびそのばらつきとの関
係は、図17に実線L32で示す関係となり、ばらつき
を著しく抑えることができる。
【0044】また、本形態で行う陽極酸化工程は一般的
な陽極酸化方法ではなく、図3ないし図7を参照して説
明したように、高温、高圧下での陽極酸化、または光エ
ネルギーを照射しながらの陽極酸化である。これらいず
れの方法でも、高い成膜速度で厚い陽極酸化皮膜50を
形成できるので、オフリーク電流を所定のレベルまで低
減するのに十分なオフセット長をもつTFT10を形成
することができる。
【0045】さらに、本形態ではゲート電極14の表面
および側面部に形成した陽極酸化皮膜50はあくまで酸
化物であり、絶縁性や耐熱性の面からみてそのまま残し
てもTFT10の特性や信頼性を低下させることはな
い。
【0046】[実施の形態2]図8は、本形態に係るT
FTの製造方法の基本的な構成を示す工程断面図であ
る。なお、図8(A)に示す基板11、図8(B)に示
す半導体膜形成工程、図8(C)に示すパターニング工
程、図8(D)に示すゲート電極形成工程は、実施の形
態1として図2(A)、(B)、(C)、(D)を参照
して説明した各工程と共通するので、ここでは図8
(D)に示す工程以降について説明する。
【0047】本形態では、前記の陽極酸化工程と不純物
導入工程の順を入れ換えた構成になっており、図8
(D)に示すように、ゲート電極14を形成した後、そ
のまま、ゲート電極14をマスクとして、リンイオンな
どの高濃度N型(高濃度第1導電型)の不純物をたとえ
ば約3×1015cm-2のドーズ量で打ち込んで、この段
階ではゲート電極14にセルフアライン的にソース・ド
レイン領域15を形成しておく。
【0048】次に、図8(E)に示すように陽極酸化工
程を行い、ゲート電極14の上面部および側面部に陽極
酸化皮膜50を形成する。この陽極酸化工程としては、
実施の形態1と同様、図3ないし図7を参照して説明し
たように、高温、高圧下での陽極酸化、または光エネル
ギーを照射しながらの陽極酸化を行う。このため、高い
成膜速度で、〜1.3μmといった厚い陽極酸化皮膜5
0を形成できる。
【0049】その結果、図9に示すように、ゲート電極
14の上面部および側面部は、陽極酸化膜50となった
分だけ、小さくなるので、陽極酸化工程を行う前まで
は、ゲート電極14に対してセルフアラインで形成され
ていたソース・ドレイン領域15は、陽極酸化工程後に
はゲート電極14の端部からオフセット長Los分だけず
れた領域に位置することになる。
【0050】このように構成した場合には、陽極酸化膜
50の膜厚がそのままオフセット長Losとならないもの
の、図3ないし図7を参照して説明したように、陽極酸
化工程では、高温、高圧下での陽極酸化、または光エネ
ルギーを照射しながらの陽極酸化を行うため、高い成膜
速度で、〜1.3μmといった厚い陽極酸化皮膜50を
形成できる。それ故、オフリーク電流を低減するのに十
分なオフセット長をもつTFT10を製造できる。ま
た、本形態でも、陽極酸化皮膜50はあくまで電解反応
によりゲート電極14の上面部および側面部に堆積させ
たものであるため、その膜厚は電解反応時の通電量(電
気量)で制御できる。すなわち、前記の電解反応を行う
際の通電量さえ一定であれば、一定の厚さの陽極酸化皮
膜50を形成でき、同一基板上に多数のTFTを製造す
る場合でも、各ゲート電極14に対して堆積させた陽極
酸化皮膜50の膜厚はばらつかない。よって、レジスト
マスクとゲート電極14との間に位置合わせ誤差に起因
するオフセット長のばらつきがないので、オフセットゲ
ート構造のTFT10を製造した場合でもそのオン電流
やオフリーク電流のばらつきを著しく低減することがで
きる。
【0051】[実施の形態3]実施の形態1、2に係る
TFTの製造方法を利用して、液晶表示パネル用のアク
ティブマトリクス基板を製造する方法を説明する。
【0052】(アクティブマトリクス基板の構成)図1
0(A)は、液晶表示パネルに用いられる駆動回路内蔵
型のアクティブマトリクス基板の構成を模式的に示すブ
ロック図、図10(B)はその駆動回路を構成するCM
OS回路の回路図である。
【0053】図10(A)に示すように、液晶表示パネ
ルのアクティブマトリクス用の基板11上には、データ
線90および走査線91で区画形成された画素領域を有
し、そこには、画素用TFT10を介して画像信号が入
力される液晶セルの液晶容量94が存在する。データ線
90に対しては、シフトレジスタ84、レベルシフタ8
5、ビデオライン87、アナログスイッチ86を備える
データドライバ部82がアクティブマトリクス基板上に
形成されている。走査線91に対しては、シフトレジス
タ88およびレベルシフタ89を備える走査ドライバ部
83がアクティブマトリクス基板上に形成されている。
画素領域には、前段の走査線91との間に保持容量93
が形成されることがあり、この保持容量93は、液晶セ
ル(液晶容量94)での電荷の保持特性を高める機能を
有している。
【0054】データドライバ部82や走査ドライバ部8
3では、図10(B)に示すように、N型の駆動回路用
TFT20とP型の駆動回路用TFT30とによってC
MOS回路が構成されている。従って、駆動回路内蔵型
のアクティブマトリクス基板では、導電型および用途か
らみて3種類のTFT10、20、30が用いられてい
るといえる。
【0055】(アクティブマトリクス基板の製造方法
1)そこで、本形態では、実施の形態1、2を参照して
説明したTFTの製造方法を利用して、アクティブマト
リクス基板を製造する方法を説明する。この場合には、
アクティブマトリクス基板の各TFT10、20、30
のゲート電極のうち、任意のゲート電極に所定の条件で
陽極酸化を行えるよう、図10(A)に示すように、全
ての画素用TFT10の各ゲート電極に電気的接続する
給電パターン101および端子102、全てのN型の駆
動回路用TFT20の各ゲート電極に電気的接続する給
電パターン201および端子202、および全てのP型
の駆動回路用TFT30の各ゲート電極に電気的接続す
る給電パターン301および端子302のうち、必要な
ものを他の配線層の形成工程を適宜援用しながら形成し
ておく。ここで、給電パターン101、201、301
は、互いに電気的に独立しているものとして形成すれ
ば、陽極酸化工程において、各ゲート電極に対する給電
条件を変えることができる。
【0056】たとえば、図10(A)、図11におい
て、給電パターン101および端子102を用いて全て
の画素用TFT10の各ゲート電極14に給電し、全て
の画素用TFT10のゲート電極14の表面に対して、
実施の形態1と同様、高温、高圧下での陽極酸化、また
は光エネルギーを照射しながらの陽極酸化を行い、陽極
酸化膜50を形成する。これに対して、N型の駆動回路
用TFT20とP型の駆動回路用TFT30のゲート電
極24、34については陽極酸化しない。しかる後に、
それぞれ逆導電型の不純物が導入されないようにレジス
トマスクを形成した状態で、N型およびP型の不純物を
半導体膜12、22、32にそれぞれ導入し、ソース・
ドレイン領域15、25、35を形成する。その結果、
図11に示すように、同一の基板11上で、画素用TF
T10は全てオフセットゲート構造となり、N型の駆動
回路用TFT20とP型の駆動回路用TFT30は全て
セルフアライン構造となる。
【0057】なお、本例および以下に説明するいずれの
形態でも、陽極酸化工程が終了した後には、これらの給
電パターン101、201、301、および端子10
2、202、302は、各ゲート電極から電気的に切り
離すので、液晶表示パネルの動作に支障がない。また、
実施の形態2のように不純物を導入してから陽極酸化工
程を行ってもよいことは勿論である。
【0058】(アクティブマトリクス基板の製造方法
2)また、図10(A)、図12において、実施の形態
1と同様、高温、高圧下での陽極酸化、または光エネル
ギーを照射しながらの陽極酸化を行う際に、給電パター
ン101および端子102を用いて全ての画素用TFT
10の各ゲート電極14に高い印加電圧(大きな通電
量)を給電して、画素用TFT10のゲート電極14の
全てに厚い陽極酸化膜50を形成する一方、給電パター
ン201、301および端子202、302を用いて全
てのN型の駆動回路用TFT20とP型の駆動回路用T
FT30の各ゲート電極24、34に低い印加電圧(小
さな通電量)を給電して、N型の駆動回路用TFT20
とP型の駆動回路用TFT30の各ゲート電極24、2
5全てに薄い陽極酸化膜50を形成してもよい。この場
合にも、それぞれ逆導電型の不純物が導入されないよう
にレジストマスクを形成した状態で、N型およびP型の
不純物を半導体膜12、22、32にそれぞれ導入し、
ソース・ドレイン領域15、25、35を形成する。そ
の結果、図12に示すように、同一の基板11上で、画
素用TFT10の全てがオフセット長の長いTFTとな
り、N型の駆動回路用TFT20とP型の駆動回路用T
FT30の全てがオフセット長の短いTFTとなる。
【0059】(アクティブマトリクス基板の製造方法
3)また、図10(A)において、給電パターン10
1、給電パターン201および給電パターン301が電
気的に接続している場合でも、光エネルギーを照射しな
がらの陽極酸化を利用した場合には、図12に示すよう
に、オフセット長の長い画素用TFT10と、オフセッ
ト長の短いN型の駆動回路用TFT20、およびオフセ
ット長の短いP型の駆動回路用TFT30を同一の基板
11上に形成することができる。すなわち、陽極酸化工
程において、全てのTFT10、20、30のゲート電
極14、24、34に同じ電圧を印加しながらも、画素
領域(全ての画素用TFT10の各ゲート電極14)に
強い光エネルギーを照射して、画素用TFT10のゲー
ト電極14の全てに厚い陽極酸化膜50を形成する一
方、駆動回路部(N型の駆動回路用TFT20とP型の
駆動回路用TFT30の各ゲート電極24、34)には
光エネルギーを照射しないか、あるいは照射しても弱い
光エネルギーしか照射せず、N型の駆動回路用TFT2
0とP型の駆動回路用TFT30の各ゲート電極24、
34の全てに薄い陽極酸化皮膜50しか形成しない。こ
の場合にも、それぞれ逆導電型の不純物が導入されない
ようにレジストマスクを形成した状態で、N型およびP
型の不純物を半導体膜12、22、32にそれぞれ導入
し、ソース・ドレイン領域15、25、35を形成す
る。その結果、図12に示すように、光照射パターンを
変えるだけで、同一の基板11上で、画素用TFT10
の全てがオフセット長の長いTFTとなり、N型の駆動
回路用TFT20とP型の駆動回路用TFT30の全て
がオフセット長の短いTFTとなる。
【0060】なお、本願明細書では、第1導電型をN型
とし、第2導電型をP型としたが、逆にしてもよい。す
なわち、実施の形態3において画素用TFTをP型で構
成してもよい。さらに、実施の形態3にそれぞれ示した
3つのタイプのTFTについては、その組み合わせを適
宜、変えた形態で同一基板上に形成してもよい。
【0061】上記の実施例で形成されたアクティブマト
リクス基板を用いて、図示しないが、対向電極を有する
対向基板とが適当な間隔をおいて配置されるとともに、
アクティブマトリクス基板と対向基板との間隔内に液晶
を封入して、液晶表示パネルを製造することができる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るTF
Tの製造方法では、ゲート電極の端部から所定の寸法を
隔てた領域にソース・ドレイン領域を形成するのに、高
温、高圧下での陽極酸化、または光エネルギーを照射し
ながらの陽極酸化によってゲート電極の側面部に形成し
た陽極酸化皮膜を利用する。たとえば、不純物導入の前
に陽極酸化皮膜を形成した場合には、陽極酸化皮膜の厚
さに相当するオフセット長をもつオフセットゲート構造
のTFTを製造できる。ここで、陽極酸化皮膜はあくま
で陽極酸化によりゲート電極の側面部に堆積させたもの
であるため、その膜厚は陽極酸化時の通電量(電気量)
で制御できる。すなわち、前記の陽極酸化を行う際の通
電量さえ一定であれば、一定の厚さの陽極酸化皮膜を形
成でき、同一基板上に多数のTFTを製造する場合で
も、各ゲート電極に対して堆積させた陽極酸化皮膜の膜
厚はばらつかない。よって、レジストマスクを利用した
場合と違って、レジストマスクとゲート電極との間に位
置合わせ誤差に起因するオフセット長のばらつきがない
ので、オフセットゲート構造のTFTを製造した場合で
もそのオン電流やオフリーク電流のばらつきを著しく低
減することができる。しかも、陽極酸化工程では、高
温、高圧下での陽極酸化、または光エネルギーを照射し
ながらの陽極酸化を行うため、厚い陽極酸化皮膜でも形
成可能である。それ故、オフリーク電流を所定のレベル
まで低減するのに十分なオフセット長をもつTFTを形
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るTFTの構造を示
す縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るTFTの製造方法
を示す工程断面図である。
【図3】本発明を適用したTFTの製造方法で行う陽極
酸化方法を模式的に示す説明図である。
【図4】図3に示す陽極酸化方法において、ゲート電極
として用いたタンタルに陽極酸化を行ったときの電解時
間と成膜速度との関係を示すグラフである。
【図5】図3に示す陽極酸化方法において、ゲート電極
として用いたタンタルに陽極酸化を行ったときの印加電
圧と最終膜厚との関係を示すグラフである。
【図6】本発明を適用したTFTの製造方法で行う別の
陽極酸化方法を模式的に示す説明図である。
【図7】図6に示す陽極酸化方法において、ゲート電極
として用いたタンタルに陽極酸化を行ったときの印加電
圧と最終膜厚との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態2に係るTFTの製造方法
を示す工程断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係るTFTの構造を示
す縦断面図である。
【図10】(A)は、液晶表示装置のアクティブマトリ
クス基板の説明図、(B)は、そのCMOS回路を示す
説明図である。
【図11】本発明に実施の形態3に係る液晶表示パネル
用のアクティブマトリクス基板の製造方法を説明するた
めの断面図である。
【図12】本発明に実施の形態3に係る液晶表示パネル
用のアクティブマトリクス基板の別の製造方法を説明す
るための断面図である。
【図13】セルフアライン構造のTFTの伝達特性を示
すグラフである。
【図14】オフセットゲート構造のTFTの伝達特性を
示すグラフである。
【図15】TFTのオフセット長と、セルフアライン構
造のTFTにおけるオフリーク電流に対するオフセット
ゲート構造のTFTにおけるオフリーク電流の比および
そのばらつきとの関係を示すグラフである。
【図16】従来のLDD構造またはオフセットゲート構
造のTFTの製造方法を示す工程断面図である。
【図17】TFTのオフセット長と、セルフアライン構
造のTFTにおけるオン電流に対するオフセットゲート
構造のTFTにおけるオン電流の比、およびそのばらつ
きとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10、20 N型のTFT 11 基板 12、22、32 半導体膜 13 ゲート絶縁膜 14、24、34 ゲート電極 15、25、35 ソース・ドレイン領域 30 P型のTFT 50 陽極酸化皮膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に、ゲート電極に対してゲート絶縁
    膜を介して対峙するチャネル領域、および該チャネル領
    域に接続するソース・ドレイン領域を備える薄膜トラン
    ジスタの製造方法において、 前記ソース・ドレイン領域を形成するための半導体膜、
    前記ゲート絶縁膜、および前記ゲート電極を順次形成し
    た以降、前記ゲート電極の表面部および側面部に高温、
    高圧下での陽極酸化により陽極酸化皮膜を形成する陽極
    酸化工程と、前記陽極酸化皮膜を形成したゲート電極を
    マスクとして前記半導体膜に不純物を導入する不純物導
    入工程とを有することを特徴とする薄膜トランジスタの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 基板に、ゲート電極に対してゲート絶縁
    膜を介して対峙するチャネル領域、および該チャネル領
    域に接続するソース・ドレイン領域を備える薄膜トラン
    ジスタの製造方法において、 前記ソース・ドレイン領域を形成するための半導体膜、
    前記ゲート絶縁膜、および前記ゲート電極を順次形成し
    た以降、前記ゲート電極をマスクとして前記半導体膜に
    不純物を導入する不純物導入工程と、該不純物導入工程
    の後に前記ゲート電極の表面部および側面部に高温、高
    圧下での陽極酸化により陽極酸化皮膜を形成する陽極酸
    化工程とを有することを特徴とする薄膜トランジスタの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 基板に、ゲート電極に対してゲート絶縁
    膜を介して対峙するチャネル領域、および該チャネル領
    域に接続するソース・ドレイン領域を備える薄膜トラン
    ジスタの製造方法において、 前記ソース・ドレイン領域を形成するための半導体膜、
    前記ゲート絶縁膜、および前記ゲート電極を順次形成し
    た以降、前記ゲート電極に光エネルギーを照射しながら
    の陽極酸化により前記ゲート電極の表面部および側面部
    に陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化工程と、前記陽極酸
    化皮膜を形成したゲート電極をマスクとして前記半導体
    膜に不純物を導入する不純物導入工程とを有することを
    特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
  4. 【請求項4】 基板に、ゲート電極に対してゲート絶縁
    膜を介して対峙するチャネル領域、および該チャネル領
    域に接続するソース・ドレイン領域を備える薄膜トラン
    ジスタの製造方法において、 前記ソース・ドレイン領域を形成するための半導体膜、
    前記ゲート絶縁膜、および前記ゲート電極を順次形成し
    た以降、前記ゲート電極をマスクとして前記半導体膜に
    不純物を導入する不純物導入工程と、該不純物導入工程
    の後に前記ゲート電極に光エネルギーを照射しながらの
    陽極酸化により前記ゲート電極の表面部および側面部に
    陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化工程とを有することを
    特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    前記基板上には前記半導体膜、前記ゲート絶縁膜、およ
    び前記ゲート電極をそれぞれ複数形成した以降、前記の
    複数のゲート電極のうち、一部のゲート電極のみに前記
    陽極酸化工程で陽極酸化を行い、その他のゲート電極に
    は前記陽極酸化工程で陽極酸化を行わないことにより、
    前記のオフセットゲート構造の薄膜トランジスタと、セ
    ルフアライン構造の薄膜トランジスタとを同一基板上に
    形成することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項3または4において、前記基板上
    には前記半導体膜、前記ゲート絶縁膜、および前記ゲー
    ト電極をそれぞれ複数形成した以降、前記の複数のゲー
    ト電極のうち、一部のゲート電極に前記陽極酸化工程で
    強い光エネルギーを照射しながらの陽極酸化を行い、そ
    の他のゲート電極には前記陽極酸化工程で光エネルギー
    を照射せずにまたは弱い光エネルギーを照射しながら陽
    極酸化を行うことにより、オフセット長の異なる薄膜ト
    ランジスタを同一基板上に形成することを特徴とする薄
    膜トランジスタの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに規定する
    薄膜トランジスタの製造方法を利用して形成されたアク
    ティブマトリクス基板と、対向電極を有する対向基板と
    が適当な間隔をおいて配置されるとともに、該アクチィ
    ブマトリクス基板と該対向基板との間隔内に液晶が封入
    されていることを特徴とする液晶パネルの製造方法。
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