JPH1026151A - 負荷軸の調速制御装置 - Google Patents

負荷軸の調速制御装置

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JPH1026151A
JPH1026151A JP8177979A JP17797996A JPH1026151A JP H1026151 A JPH1026151 A JP H1026151A JP 8177979 A JP8177979 A JP 8177979A JP 17797996 A JP17797996 A JP 17797996A JP H1026151 A JPH1026151 A JP H1026151A
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JP
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spool
governor
pressure
valve
oil pressure
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JP8177979A
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Inventor
Hiroyuki Hashimoto
洋之 橋本
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Kanzaki Kokyukoki Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Kanzaki Kokyukoki Manufacturing Co Ltd
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 遠心力の作用によるスプールの移動が高い応
答性にて生じるガバナ弁の採用により、負荷軸の回転速
度を高精度に一定速度に保ち得る調速制御装置を提供す
る 【解決手段】 舶用機関Eに前,後進用クラッチC1
2 を介して連動連結されたスクリュー軸15を一定速度
にて回転させるべく、該スクリュー軸15軸の回転に伴う
遠心力の作用により移動するスプール40を有するガバナ
弁4を備え、該ガバナ弁4がスプール40の移動に応じて
発生するガバナ油圧を調圧弁2に送給し、この送給油圧
の作用に応じた調圧弁2の動作により前,後進用クラッ
チC1 ,C2 のクラッチ油圧を調圧する構成において、
ガバナ弁4は、遠心力の作用方向と逆向きにスプール40
を付勢するコイルばね45を備え、このコイルばね45のば
ね力とガバナ油圧の受圧による作用力とに抗して、スプ
ール40に遠心力を作用させる構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、舶用機関
により駆動され水の抵抗に抗して回転する船舶推進用の
スクリュー軸等、変動負荷の作用下にて機関の出力によ
り駆動される負荷軸を一定速度にて回転させるべく、負
荷軸と機関との間に介装された油圧クラッチのクラッチ
油圧を調圧する負荷軸の調速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】漁船においては、海面上の適宜位置に船
体を止めて漁を行うために、潮の流れに抗し得る推進力
を得るべく、推進用のスクリューを低速度に保ったトロ
ーリング運転が行われる。このようなトローリング運転
においてスクリュー軸に必要とされる回転速度は、舶用
機関の出力調整により対応し難い低速度であることが多
く、従来から、舶用機関とスクリュー軸との間に介装さ
れた動力係断用の油圧クラッチを半係合状態に保ち、係
合強さを調節することにより所望の回転速度を得るよう
にしている。
【0003】油圧クラッチの係合強さは、該油圧クラッ
チに送給されるクラッチ油圧を加減して調節されるか
ら、前記トローリング運転は、クラッチ油圧の調圧のた
めの調圧弁を、より具体的には、該調圧弁のスプールを
外部からの手動操作可能に構成し、この操作端を人手に
よって操作することにより実現される。
【0004】ところが、トローリング運転中にスクリュ
ーを介してスクリュー軸に加わる負荷は、潮の流れの強
弱、風の強弱等、周辺の自然条件に応じて変動する水の
攪拌抵抗であり、この変動に応じて調圧弁を操作して前
記油圧クラッチの係合強さを調節する作業は、高度の熟
練と多大の手間とを要することから、特に、専任の操作
員の確保が難しい小型の漁船においては、人手によるト
ローリング運転の実施が難しいという問題があった。
【0005】このような事情により従来から、スクリュ
ー軸を一定速度に保っての自動運転を可能とした調速制
御装置が用いられている。この装置を備えることによ
り、乗員は、一定に保つべき目標速度の設定操作のみを
行えばよく、頻繁な操作を必要とせずにトローリング運
転が可能となる。
【0006】この調速制御は、制御対象となるスクリュ
ー軸の回転速度を検出し、この検出速度を所定の目標速
度に保つべく、両者の速度偏差に基づいて油圧クラッチ
のクラッチ油圧を加減する電気的な制御により実現し得
るが、このような制御の実施には、スクリュー軸の回転
速度を検出する回転速度センサ、及び前記速度偏差を解
消するために必要な調圧弁のスプール変位量を演算する
演算装置を必要とし、これらを小型の漁船に装備した場
合、製品コストの増加を招くという不都合があるため、
従来から、特開平4-316719号公報、特公平7-67919号公
報等に開示されている如く、機械的な動作により前述し
た調速を可能とした調速制御装置が用いられている。
【0007】図5は、この種の調速制御装置の全体構成
を、舶用機関EからスクリューSへの伝動系の構成と共
に示す模式図である。舶用機関Eの出力側には、前進用
クラッチC1 と後進用クラッチC2 とを介してスクリュ
ー軸15が連結されている。前進用クラッチC1 及び後進
用クラッチC2 は、夫々の作動シリンダ12,12へのクラ
ッチ油圧の送給に応じて係合するクラッチ軸10とハウジ
ング11とを備える油圧多板クラッチであり、舶用機関E
の出力は、まず、前進用クラッチC1 のハウジング11に
伝達され、伝動歯車14,14を介して回転方向を変えて、
後進用クラッチC2 のハウジング11に伝達されるように
なしてある。
【0008】スクリューSを先端に取り付けたスクリュ
ー軸15の基端には歯車16が取り付けられ、該歯車16は、
前進用クラッチC1 及び後進用クラッチC2 のクラッチ
軸10,10の一端に取り付けた出力用の歯車17,17に夫々
噛合させてあり、スクリュー軸15及びスクリューSは、
前進用クラッチC1 の係合時には、舶用機関Eからの伝
動により正転し、後進用クラッチC2 の係合時には、同
じく逆転するようになしてある。
【0009】前進用クラッチC1 及び後進用クラッチC
2 の係合のためのクラッチ油圧は、油圧ポンプPが発生
する元圧P0 を、主リリーフ弁1と調圧弁2とにより調
圧して得られる。調圧弁2は、そのハウジング内でのス
プール20の移動により、油圧ポンプPに連なるポンプポ
ート21と油タンクTに連なるタンクポート22とを開閉
し、この開閉程度により調圧されたクラッチ油圧を両ポ
ート21,22間の送出ポート23を経て送り出す。このクラ
ッチ油圧は、調圧弁2の下流側に配した手動式の切換弁
Vの切り換え操作により、前進用クラッチC1 又は後進
用クラッチC2 に選択的に送給され、いずれかが係合さ
れる。
【0010】調圧弁2のスプール20は、大径ランドと小
径ランドとを有し、これらの面積差分に加わるクラッチ
油圧と、小径ランドの端面に加わるガバナ油圧PG との
作用により、大径ランドの端面に弾接するコイルばね24
のばね力に抗して移動し、前記クラッチ油圧は、この移
動に応じて低下する。コイルばね24のばね力は、一側の
調速レバー25の操作により強弱に調節できる。スクリュ
ー軸15の回転速度を低速下にて一定に維持する場合、コ
イルばね24のばね力を弱めに設定し、クラッチ油圧を低
く保ち、該クラッチ油圧の送給により前記クラッチ
1 ,C2 が半係合状態にて係合されるようになし、係
合程度の強弱、即ち、クラッチ油圧の高低の調節により
スクリュー軸15の回転速度が増減されるようにする。
【0011】調圧弁2に送給されるガバナ油圧PG は、
油圧ポンプPが発生する元圧P0 をガバナ弁3により減
圧して得られる。ガバナ弁3は、調圧弁2と同様、その
ハウジング内でのスプール30の移動によりポンプポート
31とタンクポート32とを開閉し、この開閉程度により減
圧されたガバナ油圧PG を両ポート31,32間の送出ポー
ト33を経て送り出す構成となっている。
【0012】ガバナ弁3のスプール30は、ポンプポート
31を開閉する小径ランドと、タンクポート32を開閉する
大径ランドとを有し、大径ランドの端面には、ガバナウ
ェイト34,34の一端が当接し、また付勢手段としてのコ
イルばね35が弾接して、前者による押圧力と後者のばね
力とが、両ランド間にてこれらの面積差分に加わるガバ
ナ油圧PG と逆向き(図の右向き)に作用させてあり、
これらの作用力の方向にスプール30が移動するとき、ポ
ンプポート31の開口面積が、閉から開へ大となり、タン
クポート32の開口面積が、開から閉へ小となって、前記
ガバナ油圧PGが上昇する構成となっている。
【0013】ガバナウェイト34,34は、スプール30の大
径ランド側に該スプール30と同軸上での回転自在に配さ
れた支持板36に、これらと直交する軸回りに揺動自在に
枢支され、夫々の枢軸の外側に大重量を偏在させてなる
重錘であり、内側の端部をスプール30の大径端に当接さ
せてある。前記支持板36は、歯車18及び歯車37を介して
伝達されるスクリュー軸15の回転に伴って回転するよう
になしてあり、該支持板36に枢支されたガバナウェイト
34,34は、この回転に伴う遠心力の作用により、図中に
矢符により示す如く、夫々の枢軸回りに大重量の偏在側
を外側に拡げる態様に揺動して、このとき他端に当接す
るスプール30を前記遠心力に対応する力により押圧する
作用をなす。また前記コイルばね35は、前記スプール30
に前記遠心力と同向きのばね力を加えるべく、該スプー
ル30の端面と支持板36との間に介装されている。
【0014】以上の構成により、送出ポート33から送り
だされるガバナ油圧PG は、前記スクリュー軸15の回転
速度の増大に伴って上昇し、このガバナ油圧PG が前記
調圧弁2に送給される。調圧弁2に送給されたガバナ油
圧PG は、該調圧弁2のスプール20の小径端に前述の如
く作用し、該スプール20は、調速レバー25の操作により
設定された初期位置を基準として、ガバナ油圧PG の上
昇に伴って右向きに、ガバナ油圧PG の低下に伴って左
向きに夫々移動する結果、前進用クラッチC1又は後進
用クラッチC2 に送給されるクラッチ油圧が、前者の場
合に低下し、後者の場合に上昇して、これらの係合強さ
が変わり、スクリュー軸15の回転速度が増減される。
【0015】而して、スクリュー軸15の回転速度が上昇
した場合、ガバナ弁3から送出されるガバナ油圧PG
上昇し、この上昇に応じて調圧弁2から送出されるクラ
ッチ油圧が低下して、前進用クラッチC1 又は後進用ク
ラッチC2 の係合強さの減少によりスクリュー軸15の回
転速度が低下する一方、スクリュー軸15の回転速度が低
下した場合、ガバナ油圧PG の低下、クラッチ油圧の上
昇によってスクリュー軸15の回転速度が増大することと
なる。
【0016】従って、このような調速制御装置を備えた
船舶においては、ガバナ弁3から送給されるガバナ油圧
G の作用に応じた調圧弁2の動作により、スクリュー
軸15の回転速度が、前記調速レバー25により設定された
調圧弁2のスプール20の初期位置に対応する速度を基準
速度として、スクリューSに加わる負荷の変動に拘わら
ず一定に保たれることとなり、前記基準速度を設定変更
するための調速レバー25の操作のみにより、即ち、頻繁
な操作を必要とせずに、トローリング運転を容易に行わ
せることができる。
【0017】なお、この種の調速制御装置の他の構成と
して、前記特公平7-67919号公報には、スクリュー軸15
の回転に伴う遠心力の作用方向を移動の方向とするスプ
ール30を備えるガバナ弁3を用い、前記スプール30を、
一端側に連設された重錘に加わる前記遠心力の作用によ
り移動させて、スクリュー軸15の回転速度の高低に応じ
て高低となるガバナ油圧PG を生ぜしめ、前述した調速
動作を行わせるようにしたものがある。この調速制御装
置においては、前述した枢支構造を有するガバナウェイ
ト34,34が不要となり、ガバナ弁3の構成の簡素化が図
れるという利点がある。
【0018】この構成においても、図5におけると同
様、ガバナ弁3のスプール30は、前記遠心力の作用方向
と同向きのばね力を発生するコイルばねにより支えら
れ、大径ランドと小径ランドとの間の面積差分に加わる
ガバナ油圧PG による作用力と、前記遠心力及びばね力
との力バランスにより移動してガバナ油圧PG が増減さ
れるようになしてある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところが、以上の如き
従来の調速制御装置においては、スクリュー軸15の実際
の回転速度が基準速度の前後において大きく変動し、更
に、この変動の減衰に多大の時間を要して、応答性が悪
いという問題があった。
【0020】同種の調速制御装置は、船舶推進用のスク
リューSの駆動のためのスクリュー軸15に限らず、変動
負荷が作用する負荷軸の回転速度を略一定に保つ必要が
ある用途に広く採用されており、特に、負荷の変動が頻
繁である用途において、前記応答性の改善が重要な課題
となっている。
【0021】従来の調速制御装置における応答性の悪化
要因として、以下のことが考えられる。ガバナ弁3のス
プール30は、前記遠心力の作用により移動するとき、一
側に弾接するコイルばね35により支えられた振動系とし
ての挙動をなすが、前記コイルばね35のばね定数を小さ
く設定する必要があり、更には、スプール30の軽量化に
も限界があることから、前記振動系の固有振動数が小さ
くならざるを得ない。
【0022】従って、遠心力の変化に応じて移動するス
プール30が移動後の位置に整定するまでの間の所要時間
が長く、この間のガバナ油圧PG 及びクラッチ油圧が変
動成分を含み、前進用クラッチC1 又は後進用クラッチ
2 の係合強さが変動して、負荷軸としてのスクリュー
軸15の回転速度が変動することとなる。
【0023】前記特開平4-316719号公報においては、ス
プール30の一側端面に臨ませて緩衝室を設けたガバナ弁
3を採用し、遠心力の作用によるスプール30の移動を、
前記緩衝室内の封入油が絞りを通過する際の抵抗を利用
して緩衝し、スプール30の減衰特性を改善して移動後の
整定時間の短縮を図るようにしている。ところが、前述
の如く、スプール30及びコイルばね35からなる振動系の
固有振動数が小さいことから、満足すべき減衰特性を得
るには、前記絞りの絞り面積を可及的に小さくして緩衝
作用を高める必要がある一方、緩衝作用を過度に高めた
場合、スプール30の移動自体が阻害されて、所望の移動
位置に達するまでの時間が長くなり、最適化が難しく、
満足すべき改善効果が得られない。
【0024】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、遠心力の作用によるスプールの移動が高い応答
性にて生じるガバナ弁の採用により、負荷軸の回転速度
を高精度に一定速度に保ち得る調速制御装置を提供する
ことを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明に係る負荷軸の調
速制御装置は、機関の出力軸に油圧クラッチを介して連
動連結された負荷軸を一定速度にて回転させるべく、該
負荷軸の回転に伴う遠心力の作用により移動するスプー
ルを有するガバナ弁を備え、該ガバナ弁が前記スプール
の移動に応じて発生するガバナ油圧を調圧弁に送給し、
この送給油圧の作用に応じた前記調圧弁の動作により前
記油圧クラッチのクラッチ油圧を調圧する構成とした負
荷軸の調速制御装置において、前記ガバナ弁は、前記遠
心力の作用方向と逆向きに前記スプールを付勢する付勢
ばねを備え、該付勢ばねの付勢力と前記ガバナ油圧の受
圧による作用力とに抗して、前記スプールに前記遠心力
を作用させる構成としてあることを特徴とする。
【0026】更に加えて、前記ガバナ弁から前記調圧弁
に至る送給油路の中途に、絞りを介して低圧部に連通す
る分岐油路を備えること、また直列に並ぶ2個の絞りを
介して前記ガバナ油圧を低圧部に解放する油路と、前記
ガバナ弁のスプールの一側に形成され、該スプールの端
面に前記2個の絞り間の油圧を作用させて、前記遠心力
の作用方向に生じる前記スプールの移動を緩衝する緩衝
室とを備える前記ガバナ油圧を直列に並ぶ2個の絞りを
介して低圧部に解放する油路と、前記ガバナ弁のスプー
ルの一側に形成され、該スプールの端面に前記2個の絞
り間の油圧を作用させ、前記遠心力の作用方向に生じる
前記スプールの移動を緩衝する緩衝室とを備えることを
夫々特徴とする。
【0027】本発明においては、ガバナ弁のスプール
に、遠心力の作用方向と逆向きであって、ガバナ油圧の
受圧による作用力と同向きに付勢力を加える付勢ばねを
備え、該付勢ばねのばね力及び前記ガバナ油圧による作
用力の合力と、負荷軸の回転に伴う遠心力との力バラン
スにより前記スプールを移動せしめる構成とする。これ
により、前記付勢ばねとして大なるばね定数を有する剛
性の高いばねの使用が可能となり、該付勢ばねにより前
記スプールを支えてなる振動系の固有振動数を大とし
て、遠心力の作用によるスプールの移動が高応答にて生
じるようにする。
【0028】また、以上の如きガバナ弁の動作により得
られるガバナ油圧を調圧弁に送る送給油路の中途に、絞
りを介して低圧部に連通する分岐油路を設け、スプール
位置の変動に伴うガバナ油圧の変化率が定数となるよう
(圧力勾配一定)、ガバナ油圧の変動に伴うクラッチ油
圧の変動を線形比例化する。これにより、ガバナ弁のス
プールの移動に対するクラッチ油圧の変化が、前記スプ
ールの位置変化に一義的に影響されることになり、制御
系の定量化が容易となる。
【0029】更に、遠心力の作用によるスプールの前述
した移動を、該スプールの一側に設けられた緩衝室の内
部の封入油が絞りを経て低圧部に押し出される際の抵抗
により緩衝し、スプールの移動後の振動の減衰性を高め
て、応答性の更なる改善を図る。この際、スプールを含
む振動系の固有振動数が高いことから、絞り面積を過度
に小さくすることなく高い減衰性が得られ、応答性の改
善効果が高くなる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下本発明をその実施の形態を示
す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る負荷
軸の調速制御装置(以下本発明装置という)の舶用機関
EからスクリューSへの伝動系への適用例を示す模式図
である。
【0031】舶用機関Eの出力側には、前進用クラッチ
1 と後進用クラッチC2 とが配してある。これらのク
ラッチC1 ,C2 は、ハウジング10の内周と、これに支
承された中空のクラッチ軸11の外周とに、夫々に回転を
拘束して各複数枚のクラッチ板を取り付け、これらを夫
々が対向するように交互に配し、これらの配設域の一側
に面して作動シリンダ12を構成して、該作動シリンダ12
に送給されるクラッチ油圧の作用により前記クラッチ板
の夫々を潤滑油の介在下において相互に押し付け、ハウ
ジング10とクラッチ軸11との間に係合状態を得るように
なした油圧多板クラッチである。
【0032】前進用クラッチC1 は、そのクラッチ軸10
の中空部に挿通された駆動軸13を備えており、該駆動軸
13は、その一側において舶用機関Eの出力端に、また他
側においてハウジング11に夫々同軸的に連結されてい
る。前進用クラッチC1 及び後進用クラッチC2 のハウ
ジング11,11は、夫々の外側に周設された伝動歯車14,
14を噛合させ、互いに逆方向に回転するように連動連結
されている。スクリューSを先端に備えるスクリュー軸
15は、その基端に動力伝達用の歯車16を備えており、該
歯車16を前進用クラッチC1 及び後進用クラッチC2
クラッチ軸10,10の一端の歯車17,17に夫々噛合させ
て、前記クラッチ軸10,10のいずれかと共に回転するよ
うになしてある。
【0033】而して、舶用機関Eの出力は、駆動軸13を
介して前進用クラッチC1 のハウジング11に伝達され、
更に、伝動歯車14,14を介して回転方向を変えて後進用
クラッチC2 のハウジング11に伝達されて、前進用クラ
ッチC1 が係合下にある場合、該クラッチC1 のハウジ
ング11の回転がクラッチ軸10に伝わり、更に、歯車17及
び歯車16を経てスクリュー軸15に伝達される結果、該ス
クリュー軸15の先端に固設されたスクリューSは正転駆
動される一方、後進用クラッチC2 が係合下にある場
合、該クラッチC2 のハウジング11の回転がクラッチ軸
10に伝わり、更に、歯車17及び歯車16を経てスクリュー
軸15に伝達される結果、該スクリュー軸15の先端に固設
されたスクリューSは逆転駆動される。
【0034】前進用クラッチC1 及び後進用クラッチC
2 は、夫々の作動シリンダ12,12に送給されるクラッチ
油圧の作用により各別に係合される。このクラッチ油圧
を発生する油圧回路は、作動油収納用の油タンクT、元
圧発生用の油圧ポンプP、及び前後進切り換えのための
手動切換弁Vを備えると共に、クラッチ油圧を調圧する
調圧弁2と、調速制御のためのガバナ油圧PG を発生す
るガバナ弁4とを備えてなる。
【0035】油圧ポンプPは、駆動源からの伝動により
回転し、油タンクT内の作動油を吸い込み、昇圧して吐
出する動作をなすものであり、該油圧ポンプPの吐出側
に主リリーフ弁1により上限を定められて発生する元圧
0 は、調圧弁2と手動切換弁Vとをこの順に通過し、
手動切換弁Vの切り換え位置に応じて前進用クラッチC
1 又は後進用クラッチC2 の作動シリンダ12,12に選択
的に送給されるようになしてある。
【0036】手動切換弁Vは、これに付設された切換レ
バーLにより切り換え操作される3位置切換式の弁であ
り、図示の如く中央の切換位置にある場合、調圧弁2に
より後述の如く調圧されるクラッチ油圧は、前進用クラ
ッチC1 及び後進用クラッチC2 のいずれにも送給され
ることなく油タンクTに戻る。これに対し、図の右側
(又は左側)の切換位置にある場合、前進用クラッチC
1 (又は後進用クラッチC2 )にクラッチ油圧が送給さ
れて、スクリュー軸15及びスクリューSは正転又は逆転
駆動される。
【0037】調圧弁2は、小径ランドと大径ランドとを
有するスプール20をハウジングの内部に摺動自在に備
え、小径ランドにより油圧ポンプPの吐出側に連なるポ
ンプポート21を、大径ランドにより油タンクTに連なる
タンクポート22を夫々開閉し、これらの開閉程度に応じ
て油圧ポートPの吐出圧を減圧して得られるクラッチ油
圧を、ポンプポート21とタンクポート22との間に位置す
る送出ポート23を経て送出する構成となっている。
【0038】調圧弁2のスプール20は、大径ランドと小
径ランドとの間に発生し、両ランドの面積差分に作用す
る前記クラッチ油圧により、大径ランドの側に向けて
(図の右向きに)押圧されている。また前記スプール20
の小径ランド側の端面は、後述するガバナ弁4から送給
油路6を経て送り込まれるガバナ油圧PG の作用によ
り、前記クラッチ油圧による押圧の向きと同向きに押圧
され、また大径ランド側の端面は、これに弾接するコイ
ルばね24のばね力により、前記クラッチ油圧の作用方向
と逆向きに押圧されている。
【0039】而して、前記スプール20の移動位置は、右
向きに加わるクラッチ油圧及びガバナ油圧PG による押
圧力と、左向きに加わるコイルばね24のばね力との力バ
ランスにより定まり、この移動位置に応じて前記元圧P
0 を減圧して得られたクラッチ油圧が送出ポート23を経
て送り出され、前記手動切換弁Vの切り換え位置に応じ
て前進用クラッチC1 又は後進用クラッチC2 に送給さ
れる。
【0040】前記コイルばね24のばね力は、調圧弁2の
外側に付設された調速レバー25の操作により強弱に調節
し得るようになしてある。調速レバー25の操作がばね力
を強める側(高速側)になされた場合、スプール20の初
期位置が図の左寄りとなり、ポンプポート21の開口面積
が大、タンクポート22の開口面積が小となって、前進用
クラッチC1 又は後進用クラッチC2 は、送出ポート23
を経て送給される高いクラッチ油圧の作用により完全係
合する。また、コイルばね24のばね力が大きいために、
ガバナ油圧PG (及びクラッチ油圧)の作用によるスプ
ール20の移動が生じ難くなり、前進用クラッチC1 又は
後進用クラッチC2 は、ガバナ油圧PGの如何に拘わら
ず完全係合状態を保ち、スクリュー軸15及びスクリュー
Sは、舶用機関Eの回転速度に対応する速度にて正転又
は逆転駆動される。船舶の通常運航は、この状態で機関
Eの出力調整により速度を調節しつつ行われる。
【0041】一方、調速レバー25の操作が低速側になさ
れた場合、スプール20の初期位置が図の右寄りとなり、
ポンプポート21の開口面積が小、タンクポート22の開口
面積が大となって、前進用クラッチC1 又は後進用クラ
ッチC2 は、送出ポート23を経て送給される低いクラッ
チ油圧の作用により半係合状態を保つ。また、コイルば
ね24のばね力が小さいために、ガバナ油圧PG (及びク
ラッチ油圧)の作用によるスプール20の移動が生じ易く
なり、この移動に応じたポンプポート21の開口面積が増
減によりクラッチ油圧が高低に変化する。従って、前進
用クラッチC1又は後進用クラッチC2 の係合強さは、
ガバナ油圧PG が高くなるに従って減じられ、これらを
介して駆動されるスクリュー軸15及びスクリューSの回
転速度は、ガバナ油圧PG の高低に応じて遅速に変化
し、舶用機関Eの出力調整によることなく増減すること
ができる。
【0042】調圧弁2に送給されるガバナ油圧PG は、
負荷軸としてのスクリュー軸15の回転速度に対応する油
圧であり、油圧ポンプPが発生する元圧P0 をガバナ弁
4により減圧して得られる。本発明の特徴は、このガバ
ナ弁4の構成にある。
【0043】図2は、ガバナ弁4の構成を模式的に示す
断面図であり、本図に示す如くガバナ弁4は、図5に示
す従来のガバナ弁3と同様、ハウジングの内部において
軸長方向に摺動するスプール40を備え、該スプール40の
摺動によりポンプポート41とタンクポート42とを開閉
し、この開閉程度により前記元圧P0 を減圧して得られ
たガバナ油圧PG を、ポンプポート41とタンクポート42
との間の送出ポート43を経て送り出す構成となってい
る。
【0044】ガバナ弁4のスプール40は、ポンプポート
41を開閉する小径ランド 40aと、タンクポート42を開閉
する大径ランド 40bとを備えている。油圧ポンプPから
送給される圧油は、ポンプポート41を経てガバナ弁4に
導入され、タンクポート42を経て油タンクTに排出され
る循環経路を辿り、このとき両ポート41,42の開口程度
に応じて減圧されたガバナ油圧PG が、小径ランド 40a
と大径ランド 40bとの間に発生する。このガバナ油圧P
G は、スプール40の摺動が図の右向きに生じ、ポンプポ
ート41の開口面積が大となり、タンクポート42の開口面
積が小となるに従って高くなり、逆にスプール40の摺動
が図の左向きに生じ、ポンプポート41の開口面積が小と
なり、タンクポート42の開口面積が大となるに従って低
くなる。
【0045】以上の如く発生するガバナ油圧PG は、送
出ポート43に接続された送給油路6を経て調圧弁2に送
給されると共に、ガバナ弁4のハウジング内において、
小径ランド 40aと大径ランド 40bとに互いに逆向きに作
用しており、スプール40は、両ランド 40a,40bの面積差
分に加わるガバナ油圧PG により、大径ランド 40bの
側、即ち、図の左向きに押圧される。
【0046】大径ランド 40bの小径ランド 40aとの対向
面には、付勢ばねとしてのコイルばね45の一端が弾接さ
せてある。該コイルばね45の他端は、ハウジングの内面
に両ランド 40a,40bの嵌合部間に形成された段部に弾接
しており、スプール40には、前記コイルばね45のばね力
が、前記ガバナ油圧PG と同向き、即ち、図の左向きに
加えられている。
【0047】また大径ランド 40bの端面には、ガバナウ
ェイト44,44の一部が当接させてある。これらのガバナ
ウェイト44,44は、スプール40と同軸上での回転自在に
配された支持板46に、これらと直交する軸回りに揺動自
在に枢支され、夫々の枢軸の外側の大径ランド 40bに寄
った側に大重量を偏在させ、図中に●を付して示す位置
に重心Gを有する重錘であり、大径ランド 40bの端面に
は、内側端部が当接させてある。前記支持板46は、ガバ
ナウェイト44,44の支持側と逆側に同軸的に連設された
伝動用の歯車47を備えており、該歯車47をスクリュー軸
15の中途に取り付けた回転取り出し用の歯車18に噛合さ
せ、スクリュー軸15の回転に伴って回転するようになし
てある。
【0048】支持板46が回転した場合、該支持板46に前
述の如く枢支されたガバナウェイト44,44に遠心力が作
用し、これらは図中に矢符により示す如く、夫々の重心
G,Gの偏在側を外側に拡げる態様に夫々の枢軸回りに
揺動し、ガバナウェイト44,44の他端に当接するスプー
ル40の大径ランド 40bは、前記遠心力に対応する力によ
り、図中に白抜矢符にて示す如く、右向き、即ち、前記
コイルばね45のばね力及び前記ガバナ油圧PG による押
圧の向きと逆向きに押圧される。
【0049】このように本発明に係る調速制御装置のガ
バナ弁4においては、スクリュー軸15の回転に応じて増
減する遠心力と、コイルばね45のばね力及びガバナ油圧
Gによる作用力との力バランスによりスプール40が摺
動する。スプール40の摺動は、遠心力の増大に伴って右
向きに生じ、この摺動により、前述の如くガバナ油圧P
G が高くなり、またコイルばね45のばね力が大となる一
方、遠心力が減少した場合、ガバナ油圧PG 及びコイル
ばね45のばね力の作用により左向きに摺動し、この摺動
により、ガバナ油圧PG が低く、またコイルばね45のば
ね力が小となり、これらのいずれにおいてもスプール40
は、両方向の作用力が平衡する位置に整定する。
【0050】従って、ガバナ弁4から送出されるガバナ
油圧PG は、スクリュー軸15の回転に伴って生じる前記
遠心力の増減に応じて高低に変化する一方、このガバナ
油圧PG の送給に伴う調圧弁2の前述した動作により、
スクリュー軸15の回転速度が遅速に変化して、該スクリ
ュー軸15の回転速度がスクリューSに加わる負荷の変動
の如何に拘わらず一定に保たれる。この回転速度は、調
圧弁2に付設された前記調速レバー25の操作により設定
される。
【0051】ガバナ弁4のハウジング内には、スプール
40の小径ランド 40aの端面に臨ませて緩衝室5が形成さ
れている。この緩衝室5には、ガバナ油圧PG を油タン
クTに解放する油路の中途から、直列配置された2個の
ダンピングオリフィス50,51間の油圧が導入されてお
り、スプール40の両向きの摺動がダンピングオリフィス
50,51における油の通流抵抗により緩衝されるようにな
してある。
【0052】また、ガバナ弁4の送出ポート43から調圧
弁2に至るガバナ油圧PG の送給油路6は、その中途に
コントロールオリフィス70を備える分岐油路7を介して
油タンクTに連通されており、送給油路6を経て調圧弁
2へ送給される圧油は、その一部が分岐油路7を介して
低圧に維持された油タンクTに還流せしめられ、該分岐
油路7の中途のコントロールオリフィス70の通流抵抗に
より送給油路6の内圧の変動成分が吸収され、前述の如
く生じるスプール40の摺動に際し、該スプール40の振動
に伴ってガバナ油圧PG に含まれる圧力変動が緩和され
る。
【0053】以上の如くガバナ弁4においては、前述の
如く摺動するスプール40に、コイルばね45のばね力が、
ガバナウェイト44,44を介して作用する前記遠心力と逆
向きに加えられており、遠心力の作用方向と同向きのば
ね力を加えるコイルばね35を備える従来のガバナ弁3と
比較した場合、コイルばね45のばね定数の設定の自由度
が高くなる。従って、大なるばね定数を有するコイルば
ね45を使用することにより、該コイルばね45により前記
スプール40を支えてなる振動系の固有振動数を大とする
ことができ、遠心力の作用によるスプール40の摺動が高
応答にて生じるようになる。
【0054】また、遠心力の作用によるスプール40の移
動が、該スプール40の一側に設けられた緩衝室5の作用
により緩衝されるから、目的位置への移動後に生じるス
プール40の振動の減衰性が高められ、応答性の更なる改
善を図ることができる。この際、スプール40及びコイル
ばね45からなる振動系の固有振動数が高いことから、前
記ダンピングオリフィス50,51の絞り面積を過度に小さ
くすることなく良好なダンピング特性が得られる。
【0055】更に、送給油路6の中途に分岐油路7が設
けてあり、スプール40の位置変化に伴うガバナ油圧PG
の変化が一義的に線形変化するようになり、このガバナ
油圧PG の送給に応じた調圧弁2の動作が、スプール40
の変位に応じて安定して生じるようになり、制御系の定
量化が容易となる。
【0056】図3は、ガバナ弁4の他の構成を模式的に
示す断面図である。本図に示すガバナ弁4は、前記特公
平7-67919号公報に開示されているガバナ弁と同様、遠
心力の直接的な作用により摺動するスプール40を備えて
なる。ガバナ弁4は、一側の歯車47を介して伝達される
図示しないスクリュー軸15の回転により軸心回りに回転
する支持筒48の一部に、これと軸心を直交させて取り付
けられた円筒状のハウジングHを備えており、該ハウジ
ングHにスプール40が内挿され、前記回転に伴う遠心力
の直接的な作用により摺動するようになしてある。
【0057】スプール40は、図1及び図2に示すガバナ
弁4と同様、ポンプポート41を開閉する小径ランド 40a
と、タンクポート42を開閉する大径ランド 40bとを有し
ており、両ポート41,42の開閉程度に応じて得られるガ
バナ油圧PG を送出ポート43を経て送り出す構成となっ
ている。このガバナ油圧PG は、ガバナ弁4のハウジン
グ内において、小径ランド 40aと大径ランド 40bとに互
いに逆向きに作用しており、前記スプール40は、両ラン
ド 40a,40bの面積差分に加わるガバナ油圧PGにより、
大径ランド 40bの側、即ち、図の下向きに押圧されてい
る。また、スプール40の小径ランド 40aとの端面には、
ハウジングHの端部との間に介装されたコイルばね45が
弾接し、該コイルばね45のばね力が、前記ガバナ油圧P
G と同向きに加えられている。
【0058】図示の如く小径ランド 40aは、大径ランド
40bよりも幅広とし、スプール40の重心は、支持筒48の
回転中心よりも小径ランド 40a側に偏倚させてある。こ
れにより、前記遠心力の作用によるスプール40の摺動
は、小径ランド 40aの側、即ち、前記ガバナ油圧PG
よる作用力、及びコイルばね45のばね力と逆向きに作用
することとなり、図2に示すガバナ弁4と同様の動作が
行われる。
【0059】この構成においても、コイルばね45とし
て、大なるばね定数を有するばねを用いることができ、
該コイルばね45によりスプール40を支えてなる振動系の
固有振動数が大となる結果、遠心力の作用によるスプー
ル40の摺動が高応答にて生じるようになる。更に、前述
した如く、小径ランド 40aを大径ランド 40bよりも幅広
とする程度のわずかな重心の偏倚により所望の摺動を行
わせることができ、遠心力を増すために従来必要とされ
た重錘が不要となり、構造の簡素化が図れる。
【0060】コイルばね45が配された小径ランド 40aの
端面側には、直列に並ぶダンピングオリフィス50,51間
の油圧が導入された緩衝室5が設けてあり、遠心力の作
用によるスプール40の移動を、ダンピングオリフィス5
0,51の通流抵抗により緩衝する構成となしてある。こ
の構成においても、スプール40の移動が緩衝室5の作用
により緩衝されるから、目的位置への移動後に生じるス
プール40の振動の減衰性が高められ、スプール40及びコ
イルばね45からなる振動系の固有振動数が高いことか
ら、前記ダンピングオリフィス50,51の絞り面積を過度
に小さくすることなく良好なダンピング特性が得られ
る。
【0061】更には、以上の如きガバナ弁4は、調速制
御装置への適用に際し、図1に示す如く、ガバナ油圧P
G の送給油路6の中途にコントロールオリフィス70を介
して油タンクTに連通する分岐油路7を設けることがで
き、ガバナ油圧PG の変化に一義的に対応して調圧弁2
の動作を安定して行わせることができるようになり、制
御系の定量化が容易となる。
【0062】図4は、スプール40の移動に応じたガバナ
油圧PG の変化の様子を示すグラフである。図の横軸
は、スプール40の変位Dを、図の縦軸は、ガバナ油圧P
G を夫々示しており、本発明に係るガバナ弁4から送出
されるガバナ油圧PG は、スプール40の移動開始と共に
略一定の変化率にて上昇し、移動後のスプール40の位置
に相当する所定圧に達する。
【0063】上昇域の変化率αは、分岐油路7に設けた
コントロールオリフィス70の絞り面積により定まり、こ
の絞り面積が大になるに従って小となる。このようなコ
ントロールオリフィス70を備えていない従来の調速制御
装置においては、スプール40の移動開始後にガバナ油圧
G の変化が急であり、調圧弁2の安定した動作は行え
ない。
【0064】更に、前述した如きコイルばね45の配置に
よりスプール40を含む振動系の固有振動数が大となって
おり、また、スプール40の一側に緩衝室5が設けてある
ことにより、前記所定圧に到達後のガバナ油圧PG の変
動は、わずかな減衰時間にて速やかに減衰する。従っ
て、スプール40の移動開始後、ガバナ油圧PG が前記所
定圧に整定するまでの総時間が短くなり、応答性の改善
が図れる。
【0065】なお、以上の実施の形態においては、船舶
推進用のスクリューSを駆動するためのスクリュー軸15
への伝動系における本発明装置の適用例について述べた
が、本発明装置は、変動負荷が作用する負荷軸を一定速
度にて回転駆動する用途において広く使用し得ることは
言うまでもない。
【0066】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明装置において
は、ガバナ弁のスプールに、遠心力の作用方向と逆向き
に付勢力を加える付勢ばねを備え、該付勢ばねのばね力
及び内部に発生するガバナ油圧による作用力の合力と、
負荷軸の回転に伴う遠心力との力バランスによりスプー
ルを移動せしめる構成としたから、前記付勢ばねとして
大なるばね定数を有する高剛性のばねの使用が可能とな
り、該付勢ばねにより前記スプールを支えてなる振動系
の固有振動数を大となり、遠心力の作用によるスプール
の移動が高応答にて生じるようになる。
【0067】また、ガバナ油圧を調圧弁に送る送給油路
の中途に、絞りを介して低圧部に連通する分岐油路を設
けたから、ガバナ油圧の変動とクラッチ油圧の変動とが
一義的な線形関係となり、ガバナ弁のスプールの移動に
対するクラッチ油圧の変化が安定し、制御系の定量化が
容易となる。
【0068】更に、ガバナ弁のスプールの一側に緩衝室
を設けたから、スプールを含む振動系の固有振動数が高
いことと併せて、スプールの移動後の振動の減衰性を高
め、応答性の更なる改善を図ることができ、負荷軸の回
転速度を高精度に一定速度に維持し得るようになる等、
本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】ガバナ弁の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】ガバナ弁の他の実施の形態を示す模式的に示す
断面図である。
【図4】ガバナ弁のスプールの移動に応じたガバナ油圧
の変化の様子を示すグラフである。
【図5】従来の負荷軸の調速制御装置の全体構成を示す
模式図である。
【符号の説明】
1 主リリーフ弁 2 調圧弁 4 ガバナ弁 5 緩衝室 6 送給油路 7 分岐油路 15 スクリュー軸 40 スプール 41 ポンプポート 42 タンクポート 43 送出ポート 44 ガバナウェイト 45 コイルばね 50 ダンピングオリフィス 51 ダンピングオリフィス 70 コントロールオリフィス E 舶用機関 S スクリュー

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機関の出力軸に油圧クラッチを介して連
    動連結された負荷軸を一定速度にて回転させるべく、該
    負荷軸の回転に伴う遠心力の作用により移動するスプー
    ルを有するガバナ弁を備え、該ガバナ弁が前記スプール
    の移動に応じて発生するガバナ油圧を調圧弁に送給し、
    この送給油圧の作用に応じた前記調圧弁の動作により前
    記油圧クラッチのクラッチ油圧を調圧する構成とした負
    荷軸の調速制御装置において、前記ガバナ弁は、前記遠
    心力の作用方向と逆向きに前記スプールを付勢する付勢
    ばねを備え、該付勢ばねの付勢力と前記ガバナ油圧の受
    圧による作用力とに抗して、前記スプールに前記遠心力
    を作用させる構成としてあることを特徴とする負荷軸の
    調速制御装置。
  2. 【請求項2】 前記ガバナ弁から前記調圧弁に至る送給
    油路の中途に、絞りを介して低圧部に連通する分岐油路
    を備える請求項1記載の負荷軸の調速制御装置。
  3. 【請求項3】 直列に並ぶ2個の絞りを介して前記ガバ
    ナ油圧を低圧部に解放する油路と、前記ガバナ弁のスプ
    ールの一側に形成され、該スプールの端面に前記2個の
    絞り間の油圧を作用させて、前記遠心力の作用方向に生
    じる前記スプールの移動を緩衝する緩衝室とを備える請
    求項1又は請求項2記載の負荷軸の調速制御装置。
JP8177979A 1996-07-08 1996-07-08 負荷軸の調速制御装置 Pending JPH1026151A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7343874B2 (en) 2002-08-07 2008-03-18 The Clorox Company Silica gel based animal litter
KR100932713B1 (ko) * 2002-04-24 2009-12-21 트윈 디스크, 인코포레이티드 조절 가능한 파워 트랜스미션 클러치 및 선박용 트랜스미션
CN101943227A (zh) * 2010-08-18 2011-01-12 北京航空航天大学 一种双离合器操纵系统及其分离接合控制方法

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