JPH10259145A - シクロヘキセンの製造方法 - Google Patents

シクロヘキセンの製造方法

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JPH10259145A
JPH10259145A JP9062974A JP6297497A JPH10259145A JP H10259145 A JPH10259145 A JP H10259145A JP 9062974 A JP9062974 A JP 9062974A JP 6297497 A JP6297497 A JP 6297497A JP H10259145 A JPH10259145 A JP H10259145A
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JP
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cyclohexene
alcohol
distillation
benzene
solvent
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JP9062974A
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Toshiyuki Suzuki
敏之 鈴木
Masahiro Kujime
正博 久次米
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルコール系添加剤の存在下、ベンゼンを部
分水素化してシクロヘキセンを製造する際、生成物の蒸
留工程に混入するアルコールの蓄積を回避し、品質の優
れたシクロヘキセンを効率よく製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 ルテニウム系触媒、水及びアルコールの
存在下、ベンゼンを水素化して得られた反応液を、触媒
を含む水相とシクロヘキセンを含む油相に分離し、油相
に、該アルコールの沸点より10℃以上高い沸点を有す
る溶剤を加えて抽出蒸留することによりシクロヘキセン
を分離回収し、一方、蒸留系内の該アルコールの少なく
とも1部を未反応ベンゼンと共に留出させて反応系に循
環する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はベンゼンを部分水素
化してシクロヘキセンを製造する方法に関する。更に詳
しくは反応生成物からシクロヘキセンを高品質で効率よ
く回収する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シクロヘキセンはラクタム類、ジカルボ
ン酸等のポリアミドの原料や各種有機化学製品、医薬、
農薬等の合成中間体として有用な化合物である。シクロ
ヘキセンの製造方法に関しては、種々の方法が知られて
いるが、その一つとしてベンゼンの部分水素化による製
法が知られている。ベンゼンの部分水素化によるシクロ
ヘキセンの製造法に関しては既に多くの提案が成されて
おり、例えば、触媒としては主にルテニウム触媒を用
い、水の存在下、水素化反応を行い、反応液を油水分離
し、油相を蒸留してシクロヘキセンを分離するプロセス
が知られている。ルテニウム触媒としては、金属微粒子
のまま(特開昭62−45541号他)、或いはシリ
カ、アルミナ、硫酸バリウム、ケイ酸ジルコニウム等の
担体に担持させて(特開昭53−63350号他)使用
することが知られている。また、一般に上記反応では、
触媒の反応活性が高いほど得られるシクロヘキセンの選
択率が低下する傾向があるため、かかる反応系に硫酸亜
鉛等の金属塩を存在させて反応活性を抑制する一方でシ
クロヘキセンの選択率、収率を高めることが知られてお
り、更に、亜鉛化合物とアルコールを併用する方法(特
公平2−19097)等も提案されている。
【0003】また、反応生成物中には、目的とするシク
ロヘキセンの他、未反応ベンゼン、副生シクロヘキサン
等が共存し、これらは沸点が近接するため、抽出蒸留や
共沸蒸留による分離法が提案されている。而して、これ
らの方法は何れも何らかの問題点を抱えており、工業的
に有利な方法は必ずしも確立しているとは言えない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等の検討によ
れば、上記のアルコール系添加物を使用する方法を工業
的に実施する場合、シクロヘキセンの選択率等の反応成
績は向上するものの、反応液を油水分離する際、油相中
にもアルコールが混入し、油相を蒸留してシクロヘキセ
ンを分離精製する蒸留系に蓄積し、分離性能を悪化させ
たり製品中に混入して品質劣化を招く等の問題を惹起す
ることが判明した。
【0005】本発明は、かかる状況を回避し、工業的有
利にシクロヘキセンを製造する方法を提供することを目
的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するためベンゼンの部分水素化反応をアルコール
の存在下で行い、得られた反応液油相の蒸留分離につい
て詳細に検討した結果、特定の溶剤を用いて抽出蒸留を
行い、且つ、アルコールをベンゼンと共に留出させるこ
とにより上記問題を解決し得ることを見出し本発明を達
成した。即ち本発明の要旨は、ルテニウム系触媒、水及
びアルコールの存在下、ベンゼンを水素化して得られた
反応液を触媒を含む水相とシクロヘキセンを含む油相に
分離し、油相に、該アルコールの沸点より10℃以上高
い沸点を有する溶剤を加えて抽出蒸留することによりシ
クロヘキセンを分離回収し、一方、蒸留系内の該アルコ
ールの少なくとも一部を未反応ベンゼンと共に留出させ
て反応系に循環することを特徴とするシクロヘキセンの
製造方法に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
ベンゼンの部分水素化反応は、触媒、アルコール及び水
の存在下、主に液相中で懸濁状態で実施される。連続法
の場合は、触媒、アルコール、水を含むスラリーにベン
ゼンと水素を供給することにより実施される。
【0008】水の量としては反応形式により異なるが、
少なくとも反応系が原料及び生成物を主成分とする有機
相(油相)と水を含む水相の2相を形成するに足る量が
必要であり、一般に、ベンゼンの0.01〜10重量
倍、好ましくは、0.1〜5重量倍である。2相の形成
が困難な場合、分液が困難となり、また、水の量が多す
ぎても、少なすぎても、水の存在効果が減少し、特に水
が多すぎる場合は、反応槽を大きくする必要があり好ま
しくない。
【0009】本発明方法においては、必要に応じて水中
に金属塩を存在させてもよい。金属塩としては、周期律
表1族金属、2族金属、或いは亜鉛、マンガン、コバル
ト等の硫酸塩、ハロゲン化物、リン酸塩等の無機酸塩、
又はこれら金属の酢酸塩等の有機酸塩が例示される。特
に、硫酸亜鉛、硫酸コバルトが好ましい。金属塩の使用
量は、通常、反応系の水の量に対して、1×10-5重量
倍〜1重量倍、好ましくは1×10-4重量倍〜0.1重
量倍である。触媒としては、ルテニウム系触媒が使用さ
れ、具体的には種々のルテニウム化合物を還元して得ら
れる金属ルテニウムが用いられる。ルテニウム化合物と
しては、ハロゲン化物、硝酸塩等の無機酸塩、水酸化
物、ルテニウムカルボニル、ルテニウムアンミン錯体等
の錯化合物、アルコキシド等が挙げられ、特に塩化ルテ
ニウムが好適に使用される。還元法としては、水素ガス
による接触還元法、或いはホルマリン、ヒドラジン等に
よる化学的還元法が採用され、特に水素による、接触還
元が好ましい。触媒の活性成分はルテニウム単独でもよ
いし、助触媒として他の金属成分を併用してもよい。助
触媒成分としては、亜鉛、鉄、コバルト、マンガン、
金、ランタン、銅等が挙げられ、これら金属のハロゲン
化物、硝酸塩、硫酸塩等の無機酸塩、酢酸塩等の有機酸
塩、錯体化合物等が使用され、特に亜鉛の化合物が好ま
しい。助触媒の使用量は、ルテニウム原子に対する助触
媒金属の原子比として、通常、0.01〜20、好まし
くは0.1〜10である。
【0010】触媒は、非担持型でも担持型でよい。非担
持型触媒前駆体の調製法としては、ルテニウム及び所望
の助触媒金属成分の化合物の混合液を用いて、アルカリ
沈澱法等により固体として得てもよいし、或いは均一溶
液の状態で蒸発乾固してもよい。通常は、シリカ、アル
ミナ、シリカ−アルミナ、ジルコニア或いはその他の金
属酸化物、複合酸化物、水酸化物、活性炭等の担体に担
持させて使用される。担持方法としては、公知の方法、
例えばイオン交換法、スプレー法、含浸法、蒸発乾固法
等があるが、イオン交換法が好適に使用される。ルテニ
ウムの担持量は、通常、0.001〜10重量%、好ま
しくは0.1〜5重量%である。助触媒成分はルテニウ
ムと同時に担持させてもよいし、順次担持させてもよ
い。また、触媒を水処理することによりシクロヘキセン
の選択性等を更に改良することが出来る。
【0011】反応系に存在させるアルコールとしては、
具体的には、エタノール、メタノール等のアルキルアル
コール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコー
ル、グリセリン等の多価アルコール、ベンジルアルコー
ル、アリルアルコール、アミノアルコール等が挙げら
れ、特に水中への溶解度が高い、多価アルコールが効果
が大きく好適である。アルコール類の量は、反応系が一
相とならない量である。使用する原料、アルコールの種
類等により異なるが、通常、水の重量に対し0.01〜
20重量%程度使用される。
【0012】部分水素化反応の反応温度は、通常、50
〜250℃、好ましくは100〜220℃である。温度
が高すぎるとシクロヘキセンの選択率が低下し、低すぎ
ると反応速度が著しく低下するので好ましくない。反応
は、水素圧で0.1〜20MPa、好ましくは0.5〜
10MPaの圧力下で行われる。20MPaを越える高
圧は、工業的に不利であり、一方、0.1MPa未満で
は反応速度が著しく低下し好ましくない。反応形式とし
ては一槽又は二槽以上の反応槽を用いて回分式で行うこ
とも、或いは連続式で行うことも出来るが、工業的に
は、連続式が好ましい。
【0013】部分水素化反応後の反応液は、ルテニウム
触媒が分散した水相と主としてベンゼン、シクロヘキセ
ン等からなる有機物相(油相)の混合物である。かかる
反応液は、油水分離器、例えば静置槽へ導入され、油水
分離される。分離された水相は、好ましくは反応系に循
環再使用される。一方、油相は主として未反応ベンゼ
ン、生成物であるシクロヘキセン、シクロヘキサン等の
副生物、反応に使用されたアルコール等の種々の不純物
を含有しているので、蒸留系に導入され、本発明方法に
従って、抽出蒸留される。
【0014】本発明方法において、油相を抽出蒸留する
際用いる溶剤(抽剤)としては、N,N−ジメチルアセ
トアミド、アジポニトリル、スルホラン、マロン酸ジメ
チル、コハク酸ジメチル、γ−ブチロラクトン、N−メ
チルピロリドン等の公知の抽剤や、1,3−ジメチルイ
ミダソリジノン、極性を有する有機化合物等の中から、
反応系に添加するアルコールの沸点より10℃以上高い
沸点の抽剤を選ぶことが必要である。抽剤の沸点がアル
コールの沸点より10℃以上高くない場合、ベンゼンと
抽剤の分離の際にアルコールをベンゼンと共に留出させ
ることが困難となる。
【0015】抽出蒸留方式は特に限定されるものではな
い。以下にその一例を図面を用いて具体的に説明する
が、本発明はかかる方法に限定されるものではない。図
1は、本発明方法に従ってルテニウム触媒、アルコール
及び水の存在下、ベンゼンを部分水素化した反応液から
分離された、主として、シクロヘキセン、シクロヘキサ
ン及びベンゼンを含む油相を3塔式で蒸留分離する工程
の1例を示す。
【0016】部分水素化反応液から分離された油相は、
ライン1を通じて蒸留塔D1下部に導入され、一方ライ
ン2を通じてD1上部に抽剤を導入し抽出蒸留が行われ
る。D1塔頂より副生するシクロヘキサン等のシクロヘ
キセンより低沸点物を主成分とする留分が抜き出され、
コンデンサーで凝縮された後、その一部が所定の還流比
でD1に戻されると共に残りはライン3から抜き出され
る。D1塔底からベンゼン、シクロヘキセン、抽剤を主
成分とする留分が抜き出され、ライン4を通じて蒸留塔
D2へ導入される。必要に応じライン5から抽剤を導入
し、蒸留塔D2においても抽出蒸留が行われ、塔頂から
シクロヘキセンを主成分とする留分が抜き出され、その
一部が所定の還流比でD2に戻されると共に残りはライ
ン6から抜き出される。D2塔底から、ベンゼンと抽剤
を主成分とする留分が抜き出され、ライン7を通じて蒸
留塔D3へ導入される。D3においてベンゼンと抽剤が
蒸留分離され、塔頂からベンゼンが留出され、塔底から
は抽剤が抜き出される。
【0017】油相の抽出蒸留方法としては、図1に示す
方式以外に、例えば第1の蒸留塔で抽出蒸留により、シ
クロヘキセン、シクロヘキサン等の混合物とベンゼンを
分離し、次いで第2の蒸留塔で、ベンゼンを抽剤(溶
剤)と分離し、一方、シクロヘキセン、シクロヘキサン
等の混合物は別の蒸留塔に導入し、抽出蒸留して、シク
ロヘキサン、シクロヘキセンを分離回収する4塔方式で
あってもよい。
【0018】何れの方式を採用する場合も、本発明方法
においては、アルコールの沸点より10℃以上高沸点の
抽剤を使用することによりベンゼンを蒸留して抽剤と分
離する際、混入しているアルコールの少なくとも1部
を、ベンゼンと共に塔頂から留出させる様に蒸留条件を
設定することが必要である。蒸留条件は、アルコール及
び抽剤の種類により適宜決定される。アルコールと共に
留出させたベンゼンは、好ましくは水素化反応工程に循
環させる。一方塔底から抜き出された抽剤も、蒸留塔D
2、D3へ循環し、抽出溶剤として再利用する。
【0019】以上詳述した本発明方法によれば、抽出蒸
留の溶剤として、反応系に添加されたアルコールの沸点
より10℃以上高沸点の溶剤を使用することにより、ベ
ンゼンを抽剤から分離する際、反応系で使用したアルコ
ールをベンゼン中に留出回収することが可能となり、蒸
留系内におけるアルコールの蓄積を防止し、抽出蒸留の
際の分離性能を向上させ、また、品質の良いシクロヘキ
センを得ることが出来る。
【0020】
【実施例】以下、実施例により、更に具体的に説明する
が、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に制
約されるものではない。なお、以下の例中、転換率及び
選択率は下式に従って計算した。
【0021】
【数1】転換率(%)={(反応に消費されたベンゼン
のモル数)/(反応に供したベンゼンのモル数)}×1
00
【0022】
【数2】選択率(%)={(反応で生成したシクロヘキ
センのモル数)/(反応に消費されたベンゼンのモル
数)}×100
【0023】実施例1 〔触媒の調製〕オキシ硝酸ジルコニウム2水和物0.8
7gを20mlの純水に溶解させた液に、シリカ(富士
シリシア化学製、商品名;CARIACT50)8.0
gを室温にて浸漬した後、水を留去し乾燥させた。次い
で、空気流通下、1000℃にて4時間焼成し、シリカ
に対し5重量%のジルコニアで修飾したシリカ担体を調
製した。
【0024】この担体を、塩化ルテニウムと塩化亜鉛を
含有した水溶液に、60℃で1時間浸漬後、水を留去し
乾燥させて、ルテニウムと亜鉛を担体に対し各々0.5
重量%担持させた触媒前駆体を得た。この前駆体を、水
素気流中にて200℃、3時間焼成、還元してルテニウ
ム触媒を得た。
【0025】上記触媒10gと、硫酸亜鉛6重量%の水
溶液200mlを、内容積500mlのチタン製オート
クレーブに仕込み、200℃、圧力5.0MPa、60
0rpmで、5時間攪拌した。触媒を取り出し、30倍
量の純水を加えて十分に攪拌し、実質的に、平衡状態と
なった水中の亜鉛濃度が0.1ppm以下となるまで洗
浄した。次いで乾燥し、水素気流中で200℃、3時間
保持した。得られた触媒は、X線回折法によりルテニウ
ム金属結晶の結晶子径を測定したところ、ルテニウムの
明確な回折線が得られないことから、非常に高分散状態
であることが分かった。
【0026】〔ベンゼン部分水素化連続反応〕内部に静
置槽を有する、内容積1000mlのチタン製オートク
レーブに、硫酸コバルト0.1%水溶液250ml、エ
チレングリコール(沸点197.2℃)2.5g、触媒
7.5gを仕込んだ。反応温度150℃、圧力5.0M
Paで水素ガスを110Nl/hrの流量で供給し、ベ
ンゼンを110ml/hrで供給し、600rpmで攪
拌を行い、ベンゼンを部分水素化した。反応器内に設置
した、静置槽より油相を連続的に抜き出し、水を添加
し、油相中に含まれるエチレングリコール(EG)を抽
出した。ガスクロマトグラフでEGが検出されなくなる
まで水抽出を繰り返した結果、油相中のEGの混入量
は、250重量ppmであった。
【0027】〔ベンゼン部分水素化バッチ反応〕内容積
500mlのチタン製オートクレーブに硫酸コバルト
0.1重量%水溶液150ml、EG1.5g、触媒
1.0g、ベンゼン100mlを仕込んだ。反応温度1
50℃、圧力5.0MPaで水素ガスを57Nl/hr
の流量で供給し、1000rpmの攪拌を行った。反応
器内に設置したノズルより、反応液を経時的に抜き出
し、油相を分離してガスクロマトグラフで分析した。ベ
ンゼンの転換率が20.5%の時、シクロヘキセンの選
択率は87.1%、転換率39.0%の時、選択率8
1.8%であった。
【0028】〔反応成績の整理〕以上の実験結果を基
に、M.M.Johnsonが報告している併発・逐次
反応ルート(J.Cat.38.p518〜521(1
975))に従って反応成績を解析した。バッチ反応デ
ータはこの論文の反応速度式で表現可能であり、得られ
た速度式から、5段の攪拌槽を用いた連続反応の結果を
計算したところ、ベンゼンの転換率60%の時シクロヘ
キセンの選択率は74%となった。
【0029】〔蒸留試験〕図1に示す3塔を使用する方
式による蒸留分離につき試算した。第1蒸留塔D1は理
論段数58段、還流比6、第2蒸留塔は理論段数58
段、還流比3、第3蒸留塔D3は理論段数13段、還流
比1で運転する。ベンゼンの転換率60%、シクロヘキ
セン選択率74%に相当する150℃の反応液油相(ベ
ンゼン40モル%、シクロヘキセン44.4モル%、シ
クロヘキサン15.6モル%、及びエチレングリコール
250ppm含有)を、第1蒸留塔D1の塔頂から37
段目に180g/hrで供給し、抽剤としてN,N−ジ
メチルイミダゾリジノン(沸点225.5℃)を塔頂か
ら7段目に750g/hrで供給し、抽出蒸留を行い、
塔頂より、シクロヘキサンを分離した。塔底液を第2蒸
留塔D2の35段目に供給し、N,N−ジメチルイミダ
ゾリジノンを4段目に420g/hrで供給し、蒸留を
行い、塔頂よりシクロヘキセンを分離した。D2の塔底
液を第3蒸留塔D3の6段目に供給して蒸留を行い、塔
底のエチレングリコール濃度が170ppmとなるよう
に、塔頂から、ベンゼンと共にエチレングリコールを留
出させた。塔頂から留出させたエチレングリコールを含
有するベンゼンは、ベンゼンの水素添加反応工程へ循環
し、塔底から抜き出した抽出溶剤は、D1及び又はD2
へ循環し再使用した。かくして得られたシクロヘキサン
は純度98.8%、シクロヘキセンは純度99.1%で
あった。
【0030】比較例1 実施例1と同じ液組成の油相をD1に供給し、抽出蒸留
を行った。但し、D3塔頂からはベンゼンのみを留出さ
せ、蒸留系の抽剤量及び抽剤中のエチレングリコール濃
度を実施例1と同じに保つため、D3の塔底から得られ
る抽剤を1部系外にパージし、新たな抽剤を加えた。実
施例1と同等の純度のシクロヘキセン及びシクロヘキサ
ンを得るためには、単位時間当たり、得られるシクロヘ
キセンの0.06モル当量もの大量の抽剤パージが必要
となった。
【0031】比較例2 実施例1と同じ液組成の油相をD1に供給し、抽出蒸留
抽剤としてN−メチルピロリドン(沸点204℃)を使
用して蒸留を行った。D3ではエチレングリコールは抽
剤との分離が出来ず、ベンゼンと共にエチレングリコー
ルを留出させることは出来なかった。
【0032】比較例3 実施例1と同じ液組成の油相をD1に供給し、抽出蒸留
抽剤としてジメチルアセトアミド(沸点165.5℃)
を使用して蒸留を行った。エチレングリコールの沸点が
D3蒸留温度より高いため、比較例2と同様ベンゼンと
共にアルコールを留出させることは出来なかった。
【0033】
【発明の効果】本発明は、アルコールの存在下、ベンゼ
ンの部分水素化により得られた反応液からシクロヘキセ
ンを蒸留により分離回収する際、特定の溶剤を選んで抽
出蒸留を行い、蒸留系に混入するアルコールの少なくと
も1部を、未反応ベンゼンと共に、蒸留分離することに
より、蒸留系内のアルコールの蓄積を防止し、蒸留性能
を改善し、シクロヘキセン等の製品の品質を向上させる
ことが出来る。本発明方法は、原料、抽出溶剤等を繰り
返し循環使用する工業的実施方法において極めて有利な
方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸留系の1例を示す工程図。
【符号の説明】
D1 第1蒸留塔 D2 第2蒸留塔 D3 第3蒸留塔

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ルテニウム系触媒、水及びアルコールの
    存在下、ベンゼンを水素と反応させて得られた反応液
    を、触媒を含む水相とシクロヘキセンを含む油相に分離
    し、油相に、該アルコールの沸点より10℃以上高い沸
    点を有する溶剤を加えて抽出蒸留することによりシクロ
    ヘキセンを分離回収し、一方、抽出溶剤中の該アルコー
    ルの少なくとも1部を未反応ベンゼンと共に留出させて
    反応系に循環することを特徴とするシクロヘキセンの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 水素化反応系に、金属塩を添加すること
    を特徴とする請求項1記載のシクロヘキセンの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 アルコールが多価アルコールであること
    を特徴とする請求項1又は2記載のシクロヘキセンの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 アルコールがエチレングリコールである
    ことを特徴とする請求項3記載のシクロヘキセンの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 蒸留系から分離回収された抽出溶剤を循
    環使用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか
    に記載のシクロヘキセンの製造方法。
  6. 【請求項6】 a.ルテニウム系触媒、水及びアルコー
    ルの存在下ベンゼンを水素と反応させる工程、 b.得られた反応液を油水分離する工程、 c.油水分離工程で得られた水相をa工程に循環する工
    程、 d.油水分離工程で得られた油相に、該アルコールの沸
    点より10℃以上高い沸点を有する溶剤を加えて抽出蒸
    留し、シクロヘキセンを分離回収する工程、 e.シクロヘキセン分離後の油相を蒸留して蒸留系内の
    該アルコールの少なくとも1部を未反応ベンゼンと共に
    抽出蒸留溶剤から分離してa工程に循環し、溶剤をd工
    程に循環する工程 を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに
    記載のシクロヘキセンの製造方法。
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JP9062974A Pending JPH10259145A (ja) 1997-03-17 1997-03-17 シクロヘキセンの製造方法

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