JPH1129505A - シクロヘキセンの製造方法 - Google Patents

シクロヘキセンの製造方法

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JPH1129505A
JPH1129505A JP18366897A JP18366897A JPH1129505A JP H1129505 A JPH1129505 A JP H1129505A JP 18366897 A JP18366897 A JP 18366897A JP 18366897 A JP18366897 A JP 18366897A JP H1129505 A JPH1129505 A JP H1129505A
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benzene
oil phase
cyclohexene
oil
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Toshiyuki Suzuki
敏之 鈴木
Masahiro Kujime
正博 久次米
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベンゼンを部分水素添加した反応液から、抽
出蒸留により、高純度のシクロヘキセン、シクロヘキサ
ンを効率的、経済的に分離回収する工業的製法を提供す
る。 【解決手段】 a)ベンゼンを水および触媒の存在下、
水素で部分水素化する工程、 b)a工程で得られた反応液を、触媒を含有する水相
と、主として、未反応ベンゼン及び部分水素化生成物か
らなる油相に分離する工程 c)b工程で得られた水相をa工程にリサイクルする工
程 d)b工程で得られた油相を、抽剤の存在下で蒸留し、
水素化生成物を分離、回収する工程 e)水素化生成物分離後の主としてベンゼン及び抽剤か
らなる混合液を蒸留、分離して、ベンゼンをa工程にリ
サイクルし、抽剤をd工程にリサイクルする工程、を連
続的に行うシクロヘキセンの製造方法において、d工程
で蒸留に付される油相中の水分量を1重量%以下にする
ことを特徴とするシクロヘキセンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベンゼンの水素化
により主生成物であるシクロヘキセン及び副生物である
シクロヘキサンを製造する方法に関する。更に詳しくは
反応生成物からシクロヘキセン及びシクロヘキサンを高
品質で効率よく分離、回収する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シクロヘキセンはラクタム類、ジカルボ
ン酸等のポリアミドの原料や各種有機化学製品、医薬、
農薬等の合成中間体として有用な化合物である。シクロ
ヘキセンの製造方法に関しては、種々の方法が知られて
いるが、その一つとしてベンゼンの部分水素化による製
法が知られている。ベンゼンの部分水素化は、通常、ル
テニウム触媒の存在下、水とベンゼンの懸濁液に水素を
通入して行われ、反応の結果、主として、水、シクロヘ
キセン、未反応ベンゼン、副生シクロヘキサン等を含有
する混合物が得られる。高純度のシクロヘキセンを得る
ためには、反応混合物からシクロヘキセンを分離する手
段が問題となるが、シクロヘキサン、シクロヘキセン、
ベンゼンは沸点が近接しているため、通常の蒸留方法で
は高純度のシクロヘキセン、シクロヘキサンを得ること
は困難である。このため、これら混合物の分離方法とし
て、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトア
ミド、アジポニトリル、スルホラン、マロン酸ジメチ
ル、コハク酸ジメチル等の溶剤を使用する抽出蒸留法が
提案されている。(特開昭52−5733、特開昭58
−1645724、特開昭58−1545725、特開
昭58−17232、特開昭62−295311、特開
平4−41441等)。また、特開平8−208532
には、ベンゼンの部分水素化反応液から分離した油相を
蒸留する際、油相を水洗して、触媒に由来する油相中の
金属塩濃度を低減することにより、蒸留装置の腐食を回
避し得ることが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】抽出蒸留によりシクロ
ヘキセン等を分離回収するには、反応混合物から、先
ず、触媒を含有した水相を分離し、未反応ベンゼン、目
的物のシクロヘキセン、副生物のシクロヘキサンなどを
主成分とする油相を得る。油相中には、通常、少なくと
も溶解度相当量の水が混入しているが、かかる混入水の
抽出蒸留系での挙動、分離性能、生成物の純度に与える
影響に関してはよく知られていなかった。而して、工業
的規模でシクロヘキセンを製造する場合は、油相中の混
入水の影響は無視し得ない。本発明はかかる事情に鑑み
成されたものであって、混入水の影響を明らかにするこ
とによって、ベンゼンの水素化によりシクロヘキセンを
製造する工業的有利な方法を提供することを目的とする
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は検討を重
ね、かかる混入水の制御によって、蒸留に使用されるエ
ネルギーを大幅に低下させ、また高品質のシクロヘキサ
ンを得ることが出来ることを見出した。本発明はかかる
知見に基ずき達成されたもので、その要旨は、 a)ベンゼンを水および触媒の存在下、水素で部分水素
化する工程、 b)a工程で得られた反応液を、触媒を含有する水相
と、主として、未反応ベンゼン及び部分水素化生成物か
らなる油相に分離する工程 c)b工程で得られた水相をa工程にリサイクルする工
程 d)b工程で得られた油相を、抽剤の存在下で蒸留し、
水素化生成物を分離、回収する工程 e)水素化生成物分離後の主としてベンゼン及び抽剤か
らなる混合液を蒸留、分離して、ベンゼンをa工程にリ
サイクルし、抽剤をd工程にリサイクルする工程、を連
続的に行うシクロヘキセンの製造方法であって、d工程
の蒸留系に供給される油相中の水分量を1重量%以下に
制御することを特徴とするシクロヘキセンの製造方法に
存する。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。ベンゼン
の部分水素化反応は、触媒及び水の存在下、主に液相中
で懸濁状態で実施される。連続法の場合は、触媒、水を
含むスラリーにベンゼンと水素を導入することにより実
施される。水の量は反応形式により異なるが、少なくと
も反応系が原料及び生成物を主成分とする有機相(油
相)と水を含む水相の2相を形成するに足る量が必要で
あり、一般に、ベンゼンの0.01〜10重量倍、好ま
しくは、0.1〜5重量倍である。2相の形成が困難な
場合、分液が困難となり、また、水の量が多すぎても、
少なすぎても、水の存在効果が減少し、特に水が多すぎ
る場合は、反応槽を大きくする必要があり好ましくな
い。
【0006】本発明方法においては、必要に応じて水中
に金属塩を存在させてもよい。金属塩としては、周期律
表1族金属、2族金属、或いは亜鉛、マンガン、コバル
ト等の硫酸塩、ハロゲン化物、リン酸塩等の無機酸塩、
或いはこれら金属の酢酸塩等の有機酸塩が例示される。
特に、硫酸亜鉛、硫酸コバルトが好ましい。金属塩の使
用量は、通常、反応系の水の量に対して、1×10-5
量倍〜1重量倍、好ましくは1×10-4重量倍〜0.1
重量倍である。
【0007】触媒としては、通常、ルテニウム系触媒が
使用され、具体的には種々のルテニウム化合物を還元し
て得られる金属ルテニウムが用いられる。ルテニウム化
合物としては、ハロゲン化物、硝酸塩等の無機酸塩、水
酸化物、ルテニウムカルボニル、ルテニウムアンミン錯
体等の錯化合物、アルコキシド等が挙げられ、特に塩化
ルテニウムが好適に使用される。還元法としては、水素
ガスによる接触還元法、或いはホルマリン、ヒドラジン
等による化学的還元法が採用され、特に水素による接触
還元が好ましい。触媒の活性成分はルテニウム単独でも
よいし、助触媒として他の金属成分を併用してもよい。
助触媒成分としては、亜鉛、鉄、コバルト、マンガン、
金、ランタン、銅等が挙げられ、これら金属のハロゲン
化物、硝酸塩、硫酸塩等の無機酸塩、酢酸塩等の有機酸
塩、錯体化合物等が使用され、特に亜鉛の化合物が好ま
しい。助触媒の使用量は、ルテニウム原子に対する助触
媒金属の原子比として、通常、0.01〜20、好まし
くは0.1〜10である。
【0008】触媒は、非担持型でも担持型でもよい。非
担持型触媒前駆体の調製法としては、ルテニウム及び所
望の助触媒金属成分の化合物の混合液を用いて、アルカ
リ沈澱法等により固体として得てもよいし、或いは均一
溶液の状態で蒸発乾固してもよい。通常は、シリカ、ア
ルミナ、シリカ−アルミナ、ジルコニウム或いはその他
の金属酸化物、複合酸化物、水酸化物、活性炭等の担体
に担持させて使用される。担持方法としては、公知の方
法、例えばイオン交換法、スプレー法、含浸法、蒸発乾
固法等があるが、イオン交換法が好適に使用される。ル
テニウムの担持量は、通常、0.001〜10重量%、
好ましくは0.1〜5重量%である。助触媒成分はルテ
ニウムと同時に担持させてもよいし、順次担持させても
よい。また、触媒を水処理することによりシクロオレフ
ィンの選択性等を更に改良することが出来る。
【0009】部分水素化反応の反応温度は、通常、50
〜250℃、好ましくは100〜220℃である。温度
が高すぎるとシクロオレフィンの選択率が低下し、低す
ぎると反応速度が著しく低下するので好ましくない。反
応は、水素圧で0.1〜20MPa、好ましくは0.5
〜10MPaの圧力下で行われる。20MPaを越える
高圧は、工業的に不利であり、一方、0.1MPa未満
では反応速度が著しく低下し好ましくない。反応形式と
しては一槽又は二槽以上の反応槽を用いて連続式で行わ
れる。
【0010】部分水素化反応後の反応液は、ルテニウム
触媒が分散した水相と主としてベンゼン、シクロヘキセ
ン等からなる有機物相(油相)の混合物である。かかる
反応液は、油水分離器、例えば静置槽へ導入され、油水
分離される。油水分離器は反応器内或いは反応器外の何
れに設置してもよい。分離された水相の少くとも1部は
反応系に循環再使用される。一方、油相は主として原料
ベンゼン、生成物であるシクロヘキセン、シクロヘキサ
ン等の副生物の他、種々の不純物を含有しているので、
蒸留系に導入され、本発明方法に従って抽出蒸留され
る。本発明方法の重要な特徴は、蒸留工程に導入される
油相中の水分量を1重量%以下に制御することである。
【0011】油相中の水分量は、更に好ましくは0.7
5重量%以下である。油相中の水分量の下限は、特に規
定されるものではないが、50ppm以下まで低減する
ことはあまり実用的ではない。本発明においては、油相
中の水分をかかる範囲に制御することにより抽出蒸留に
おける分離効率が向上し、更に、分離に必要な熱量が低
減される。
【0012】油相中の水分量を上記範囲に制御する方法
としては、反応温度より20℃以上低温、好ましくは4
0℃以上低温で油水分離する方法が好ましい。この際、
一旦、粗油水分離を行った後、反応温度より20℃以上
低温で、再度油水分離してもよく、或いは、粗分離後の
油相に、洗浄のための水を添加した後、上記温度条件
で、油水分離してもよい。洗浄水を添加することにより
触媒や添加物等を低減することができる。何れの場合
も、最終的に油相中の水分量を1重量%以下にすること
が必要である。油水分離の温度はあまり低温でも実用的
ではないので、通常、反応温度より150℃以内の低温
とする。更に本発明方法の効果を、より効果的に実施す
るためには、蒸留系内の水分を未反応ベンゼン蒸留時に
随伴させて、ベンゼンと共に反応系にリサイクルするこ
とが好ましい。かかる方法を用いることにより、目的と
するシクロヘキセンの純度を向上させることができるだ
けでなく、副生するシクロヘキサンの純度を上げること
もでき、その結果、シクロヘキサンの有効利用が図れ
る。
【0013】本発明において、油相を抽出蒸留する際用
いる溶剤(抽剤)としては、N,N−ジメチルアセトア
ミド、アジポニトリル、スルホラン、マロン酸ジメチ
ル、コハク酸ジメチル、γ−ブチロラクトン、N−メチ
ルピロリドン等の公知の抽剤や、1,3−ジメチルイミ
ダゾリジノン、極性を有する有機化合物等が挙げられ
る。抽出蒸留方式は特に限定されるものではない。以下
にその一例を図面を用いて具体的に説明するが、本発明
はかかる方法に限定されるものではない。図1は、本発
明方法に従ってルテニウム触媒及び水の存在下、ベンゼ
ンを部分水素化した反応液から分離された、主として、
シクロヘキセン、シクロヘキサン及びベンゼンを含む油
相を3塔式で蒸留分離する工程の1例を示す。
【0014】部分水素化反応液から分離された油相は、
ライン1を通じて蒸留塔D1下部に導入され、一方ライ
ン2を通じてD1上部に抽剤を導入し抽出蒸留が行われ
る。D1塔頂より副生するシクロヘキサン等のシクロヘ
キセンより低沸点物を主成分とする留分が抜き出され、
コンデンサーで凝縮された後、その一部が所定の還流比
でD1に戻されると共に残りはライン3から抜き出され
る。D1塔底からベンゼン、シクロヘキセン、抽剤を主
成分とする留分が抜き出され、ライン4を通じて蒸留塔
D2へ導入される。必要に応じライン5から抽剤を導入
し、蒸留塔D2においても抽出蒸留が行われ、塔頂から
シクロヘキセンを主成分とする留分が抜き出され、その
一部が所定の還流比でD2に戻されると共に残りはライ
ン6から抜き出される。D2塔底から、ベンゼンと抽剤
を主成分とする留分が抜き出され、ライン7を通じて蒸
留塔D3へ導入される。D3においてベンゼンと抽剤が
蒸留分離され、塔頂からベンゼンを留出させ、水素化反
応工程に循環させる。塔底からは抽剤が抜き出され、蒸
留塔D2,D3へ循環し、抽出溶剤として再利用する。
【0015】油相の抽出蒸留方法としては、図1に示す
方式以外に、例えば第1の蒸留塔で抽出蒸留により、シ
クロヘキセン、シクロヘキサン等の混合物とベンゼンを
分離し、次いで第2の蒸留塔で、ベンゼンを抽剤(溶
剤)と分離し、一方、シクロヘキセン、シクロヘキサン
等の混合物は別の蒸留塔に導入し、順次抽出蒸留して、
シクロヘキサン、シクロヘキセンを分離回収する4塔方
式であってもよい。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例により、更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例に制約されるものではない。なお、以下の例中、転
換率及び選択率は下式に従って計算した。
【0017】
【数1】転換率(%)=(反応に消費されたベンゼンの
モル数)/(反応に供したベンゼンのモル数)×100
【0018】
【数2】選択率(%)=(反応で生成したシクロヘキセ
ンのモル数)/(反応に消費されたベンゼンのモル数)
×100
【0019】実施例1 [触媒の調製]オキシ硝酸ジルコニウム2水和物0.8
7gを20mlの純水に溶解させた液に、シリカ(富士
シリシア化学製、商品名;CARIACT50)8.0
gを室温にて浸漬した後、水を留去し乾燥させた。次い
で、空気流通下、1000℃にて4時間焼成し、シリカ
に対し5重量%のジルコニアで修飾したシリカ担体を調
製した。この担体を、塩化ルテニウムと塩化亜鉛を含有
した水溶液に、60℃で1時間浸漬後、水を留去し乾燥
させて、ルテニウムと亜鉛を担体に対し各々0.5重量
%担持させた触媒前駆体を得た。この前駆体を、水素気
流中にて200℃、3時間焼成、還元してルテニウム触
媒を得た。
【0020】上記触媒10gと、硫酸亜鉛6重量%の水
溶液200mlを、内容積500mlのチタン製オート
クレーブに仕込み、200℃、圧力5.0MPa、60
0rpmで、5時間攪拌した。触媒を取り出し、30倍
量の純水を加えて十分に攪拌し、実質的に、平衡状態と
なった水中の亜鉛濃度が0.1ppm以下となるまで洗
浄した。次いで乾燥し、水素気流中で200℃、3時間
保持した。得られた触媒は、X線回折法によりルテニウ
ム金属結晶の結晶子径を測定したところ、ルテニウムの
明確な回折線は得られず、非常に高分散状態であること
が分かった。
【0021】[ベンゼン部分水素化連続反応]内部に静
置槽を有する、内容積1000mlのチタン製オートク
レーブに、硫酸亜鉛6重量%水溶液250ml、上記触
媒12.4gを仕込んだ。反応温度150℃、圧力5.
0MPaで水素ガスを110Nl/hrの流量で供給
し、ベンゼンを83ml/hrで供給し、600rpm
で攪拌を行い、ベンゼンを部分水素化した。反応器内に
設置した静置槽より油相を連続的に抜き出し、カールフ
ィシャー法で水分を定量分析した。また、ガスクロマト
グラフで反応成績を分析した。得られた油相の水分濃度
は1.2重量%であった。また、反応成績は、ベンゼン
転換率73%、シクロヘキセン選択率59%であった。
更に、ベンゼン供給量を283ml/hrとしたとこ
ろ、ベンゼン転換率34%、シクロヘキセン選択率84
%となった。
【0022】[ベンゼン部分水素化バッチ反応]内容積
500mlのチタン製オートクレーブに、硫酸亜鉛6重
量%水溶液150ml、上記触媒3.75g、ベンゼン
100mlを仕込んだ。反応温度150℃、圧力5.0
MPaで水素ガスを57Nl/hrの流量で供給し、1
000rpmの攪拌を行った。反応器内に設置したノズ
ルより、反応液を適宜抜き出し、ガスクロマトグラフで
分析した。ベンゼンの転換率が28.9%の時、シクロ
ヘキセンの選択率は82.3%、ベンゼン転換率67.
4%の時、シクロヘキセン選択率77.4%であった。
【0023】[反応成績の整理]以上の実験結果を、
M.M.Johnsonが報告している併発・逐次反応
ルート(J.Cat.38.p518〜521(197
5))に従って反応成績を解析した。バッチ反応データ
はこの論文の反応速度式で整理可能であり、得られた速
度式から、5段の攪拌槽を用いた連続反応の結果を計算
したところ、ベンゼンの転換率60%の時のシクロヘキ
センの選択率は80%となった。
【0024】[蒸留試験]それぞれ内部セパレータを有
する5段の攪拌槽を用い、上記条件でベンゼンの連続水
素化反応を行ない、ベンゼンの転換率60%、シクロヘ
キセンの選択率80%の反応液を得る。この反応液を、
引き続き図1に示す3塔方式によって連続的に蒸留分離
する。反応液を内部セパレータ内で150℃で粗油水分
離した後、反応槽外に抜き出し120℃で再度油水分離
する。油水分離後の油相中の水濃度は0.58重量%で
ある。この油相を1モル/hrで理論段数58段の蒸留
塔D1の上から34段目(コンデンサーも1段とする。
以下同じ)に供給する。抽剤としてN−メチルピロリド
ンを4.86モル/hrで上から4段目に供給し、還流
比15で蒸留を行ない、塔頂より純度99.9重量%の
シクロヘキサンを分離する。塔底液を、理論段数58段
の蒸留塔D2の上から34段目に供給し、一方、N−メ
チルピロリドンを1.78モル/hrで上から4段目に
供給し、還流比2で蒸留し、塔頂より純度99.9重量
%のシクロヘキセンを分離する。塔底液を、理論段数1
8段の蒸留塔D3の上から9段目に供給し、還流比1.
3で蒸留を行ない、D3塔頂より水分濃度1.6重量%
のベンゼンを流出させ、反応系にリサイクルし、塔底か
ら水分濃度0.17重量%のN−メチルピロリドンを流
出させ、D2にリサイクルする。D3での必要な熱量
は、16500カロリー/hrとなる。なお、油相1モ
ルとは、油相中のベンゼン、シクロヘキセン、シクロヘ
キサンのモル数の和が1モルという意味である。
【0025】比較例1 実施例1と同様にして反応槽外に取り出された油相(水
分濃度1.17重量%)を実施例1と同様に3塔方式で
蒸留を行い、実施例1と同等の純度のシクロヘキサン、
シクロヘキセンを得るためには、抽剤を蒸留塔D1に
5.62モル/hrで供給し、また蒸留塔D2に1.8
9モル/hrで供給する必要がある。蒸留塔D3の塔底
から得られる抽剤中の水濃度は0.17重量%で、塔頂
から得られるベンゼン中の水分濃度は3.23重量%で
ある。また、D3で必要な熱量は18200カロリー/
hrである。
【0026】実施例2 実施例1と同様にして反応槽外に取り出された油相を8
0℃で油水分離し、水分濃度0.21重量%の油相を
得、実施例1と同様に蒸留分離する。実施例1と同等の
純度のシクロヘキサン、シクロヘキセンを得るために必
要な抽剤は、蒸留塔D1に4.19モル/hr、また蒸
留塔D2に1.72モル/hrの供給で十分である。D
3の塔底で得られた抽剤中の水分濃度は0.17重量
%、塔頂から得られたベンゼン中の水濃度は0.57重
量%である。またD3で必要な熱量は15200カロリ
ー/hrである。
【0027】
【発明の効果】本発明方法により、蒸留に付される油相
の水分濃度を1重量%以下に低減することにより、高純
度のシクロヘキセン、シクロヘキサンを分離、回収する
ための抽剤、熱量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸留系の1例を示す工程図である。
【符号の説明】
D1 第1蒸留塔 D2 第2蒸留塔 D3 第3蒸留塔

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)ベンゼンを水および触媒の存在下、
    水素で部分水素化する工程、 b)a工程で得られた反応液を、触媒を含有する水相
    と、主として、未反応ベンゼン及び部分水素化生成物か
    らなる油相に分離する工程 c)b工程で得られた水相をa工程にリサイクルする工
    程 d)b工程で得られた油相を、抽剤の存在下で蒸留し、
    水素化生成物を分離、回収する工程 e)水素化生成物分離後の主としてベンゼン及び抽剤か
    らなる混合液を蒸留、分離して、ベンゼンをa工程にリ
    サイクルし、抽剤をd工程にリサイクルする工程、を連
    続的に行うシクロヘキセンの製造方法であって、d工程
    の蒸留系に供給される油相中の水分量を1重量%以下に
    制御することを特徴とするシクロヘキセンの製造方法。
  2. 【請求項2】 a工程で得られた反応液を、水素化反応
    温度より20℃以上低温で油水分離することにより、油
    相中の水分量を1重量%以下に低減することを特徴とす
    る請求項1のシクロヘキセンの製造方法。
  3. 【請求項3】 b工程で油水分離した後の油相を、水素
    化反応温度より20℃以上低温で、再度油水分離して油
    相中の水分量を1重量%以下に低減することを特徴とす
    る請求項1のシクロヘキセンの製造方法。
  4. 【請求項4】 b工程で油水分離した後の油相を水と接
    触させ、これを水素化反応温度より20℃以上低温にて
    油水分離して、油相中の水分量を1重量%以下に低減す
    ることを特徴とする請求項3に記載のシクロヘキセンの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 油水分離の温度が、水素化反応温度より
    40℃以上低温であることを特徴とする請求項2乃至4
    の何れかに記載のシクロヘキセンの製造方法。
  6. 【請求項6】 e工程において、蒸留系内の水分を、ベ
    ンゼンと共に留出させ、a工程にリサイクルすることを
    特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のシクロヘキ
    センの製造方法。
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US9642411B2 (en) 2004-11-22 2017-05-09 Frampton E. Ellis Surgically implantable device enclosed in two bladders configured to slide relative to each other and including a faraday cage

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