JPH1025690A - 片艶紙の製造方法 - Google Patents

片艶紙の製造方法

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JPH1025690A
JPH1025690A JP18489396A JP18489396A JPH1025690A JP H1025690 A JPH1025690 A JP H1025690A JP 18489396 A JP18489396 A JP 18489396A JP 18489396 A JP18489396 A JP 18489396A JP H1025690 A JPH1025690 A JP H1025690A
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pulp
enzyme
pulp fibers
viscosity
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JP18489396A
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Yosuke Uchida
洋介 内田
Kouichi Misu
浩一 見須
Makoto Iwasaki
誠 岩崎
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紙の表面における微小な凹凸が顕著に減少し
た片艶紙の製造方法の提供。 【解決手段】 パルプ繊維を主原料として鏡面仕上げし
たヤンキードライヤーを備えた抄紙機において抄紙し、
プレスパートのプレス工程で湿紙をプレスした後、湿紙
をヤンキードライヤーに圧接して乾燥することからなる
片艶紙の製造方法であって、前記パルプ繊維が、セルロ
ース分解活性を含む酵素でパルプ繊維を処理することに
より、J.TAPPI 44―84に規定されたパルプ
粘度の値を酵素処理前のパルプ粘度を基準に5〜30%
の範囲減少させた、酵素処理されたパルプ繊維を全パル
プ繊維重量当り50〜100重量%含み、且つ該酵素処
理されたパルプを含む湿紙のプレス工程出口の湿紙水分
を53〜65重量%の範囲とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵素処理されたパ
ルプ繊維を含むパルプ原料を用いて抄紙して得られた湿
紙を鏡面仕上げしたヤンキードライヤーで乾燥する片艶
紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】製紙工業において抄紙機でパルプを原料
として抄紙された湿紙の片面のみを鏡面ドライヤーに圧
接して乾燥する装置は、ヤンキードライヤーとして知ら
れ、抄紙された湿紙の片面のみを前記の円筒状ドライヤ
ーの鏡面に圧接して乾燥し、製造された紙は片艶紙と呼
ばれ種々の加工用原紙としての用途を有する。このよう
な加工用原紙はビール瓶のラベル紙のようにアルミを真
空蒸着させた加工紙、パラフィンシートを熱圧着して封
筒として使用する加工紙等、用途に応じたシート材料を
張り付けて製品に供する。
【0003】従って、この加工用原紙には、まず加工紙
を製造する際に加工不良を起こさないこと、次いで加工
紙に必要とされる諸物性を妨げないことが要求される。
この加工紙原紙に要求される因子のうち、原紙の表面性
は特に重要な因子であり、原紙表面の凹凸が大きい場合
には加工紙を製造する際に加工不良を起こし、又、それ
程大きくない場合でも加工紙としての品質を低下させる
原因となることがある。更に、通常、紙の平滑度や光沢
度として機器で測定して表される値では検出できないよ
うな微少な凹凸さえも、原紙表面に存在することによ
り、加工紙の見栄えを損なうことがある。このように、
加工用原紙を製造する場合には、原紙表面の凹凸を可能
な限り小さくすることが要望されている。
【0004】従来から加工用原紙の表面の凹凸をできる
だけ小さくするために、(1)紙用薬品の添加、(2)
適したパルプ繊維の選択、(3)ヤンキードライヤーを
備えた抄紙機のウェットプレス圧、ドライヤー温度等の
抄紙条件の変更のような操業上の対応等が行われていた
が、いずれの方法でも満足する結果が得られず、それば
かりか大幅なコストアップにとなる場合や操業性の著し
い悪化を招く結果となる場合さえあった。
【0005】近年、リグノセルロース材料及びリグノセ
ルロースを加工して得られる繊維に酵素を作用させ、そ
れらを改質する技術が多数提案されてきている。例え
ば、特公平2−20756号公報、特開平1−9249
0号公報、特公平3−4672号公報、特開平6−16
6978号公報、特開平6−316899号公報、特開
平7−279078号公報、特開平7−331588号
公報等に開示されているように、パルプ繊維の叩解性の
改良やパルプ繊維の改質等を目的として、叩解前のパル
プ繊維にセルラーゼを添加する方法、特開平2−668
1号公報、特開平2−229291号公報、特開平3−
124891号公報等に開示されているように、抄紙機
のワイヤー上でのパルプ繊維の濾水性を改善するため、
叩解して抄紙薬品を添加後の紙料にセルラーゼ、ヘミセ
ルラーゼ等の酵素を添加する方法等がある。又、特開平
2−264087号公報、特開平2−293486号公
報、特開平6−101185号公報、特開平6−207
390号公報等に開示されているように、漂白時にパル
プ繊維をセルラーゼ、ヘミセルラーゼ等の酵素で処理す
る技術も知られている。
【0006】特開平5−222688号公報には、晒パ
ルプ繊維をろ紙分解活性が3FPU/酵素g以上の酵素
で処理することによって、ヤンキードライヤーを備えた
抄紙機で製造しても、得られた片艶紙の寸法安定性が高
く、耐カール性に優れ、更に光沢度に優れた片艶紙を製
造できることが開示されている。しかしながら、加工紙
原紙として重要な紙の表面の凹凸の改善方法までは言及
されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、パルプ
繊維をヤンキードライヤーを備えた抄紙機で抄紙する際
の片艶紙からなる加工用原紙の表面の凹凸の生成機構に
ついて種々検討を重ねた結果、パルプ繊維に柔軟性を付
与しておいて、ヤンキードライヤーの鏡面に湿紙が接触
する際のパルプ繊維の潰れ具合が重要な因子であり、こ
こでのパルプ繊維の潰れが大きいほど、原紙表面の凹凸
が小さくなることが判明した。そこでこの点に着眼し、
セルロース分解活性を含む酵素でパルプ繊維を処理し、
パルプ繊維の重合度を特定範囲減少させ、繊維に柔軟性
を付与しておき、更に抄紙機におけるプレスパートのプ
レス工程出口の湿紙の水分を、ドライヤーの乾燥負荷に
影響を与えない範囲内でできるだけ高い特定の範囲に維
持しながら、抄紙機のプレスパートにおけるプレスでの
パルプ繊維の潰れを抑制しておいて、それからヤンキー
ドライヤーに湿紙を圧接すると、湿紙が鏡面仕上げされ
たヤンキードライヤー表面に接触した際のパルプ繊維の
潰れが大きくなり、紙の表面の凹凸が極めて少なくなる
ことを見い出し、本発明を完成するに至った。本発明の
目的は、片艶紙の鏡面仕上げした紙表面の微小な凹凸が
顕著に減少した片艶紙の製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、パルプ繊維を
主原料として鏡面仕上げしたヤンキードライヤを備えた
抄紙機において抄紙し、プレスパートのプレス工程で湿
紙をプレスした後、湿紙をヤンキードライヤーに圧接し
て乾燥することからなる片艶紙の製造方法において、前
記パルプ繊維が、セルロース分解活性を含む酵素でパル
プ繊維を処理することにより、J.TAPPI 44−
84に規定されたパルプ粘度の値を酵素処理前のパルプ
粘度を基準に5〜30%の範囲減少させた、酵素処理さ
れたパルプ繊維を全パルプ繊維重量当り50〜100重
量%含み、且つ該酵素処理パルプを含む湿紙のプレス工
程出口の湿紙水分を53〜65重量%の範囲とすること
を特徴とする片艶紙の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるパルプ繊維と
しては、広葉樹木材、針葉樹木材等の木材、ケナフ、麻
等の非木材をクラフト蒸解、サルファイト蒸解、ポリサ
ルファイド蒸解、ソーダ蒸解等の蒸解法或いはそれらの
蒸解法と蒸解助剤の組み合わせでパルプ化し、その後酸
素漂白して、或いは酸素漂白せずに、塩素、二酸化塩
素、ハイポ、過酸化水素、有機過酸化物、オゾン、及び
任意に酸素或いは過酸化水素で補強されたアルカリ抽出
等を組み合わせた公知の単段漂白或いは多段漂白が施さ
れ、パルプシートのハンター白色度が80〜90%に漂
白された晒パルプが好適に用いられる。更に、コンピュ
ーター用紙、ファクシミリ用紙等のオフィスから回収さ
れる上質系古紙及び新聞、雑誌系の古紙を解繊、脱墨
し、必要なら更に漂白して得られる脱墨古紙パルプも本
発明のために用いられる。
【0010】本発明では、前記のパルプ繊維と、更にこ
のパルプ繊維をセルロース分解活性を有する酵素で処理
された酵素処理パルプ繊維とが混合して用いられる。酵
素処理パルプの製造のために使用される酵素には、少な
くともパルプ繊維中のセルロース鎖を分解する酵素が含
まれなければならない。このようなセルロースを分解す
る酵素としては、エンドーβー1,4ーグルカナーゼ、
βーDーグルコシダーゼ、エキソー1,4ーβーDグル
コシダーゼ、エキソセロビオハイドラーゼ等が挙げられ
るが、これらの中から適宜選択されていずれか一種又は
複数種混合して用いてもよい。前記以外の酵素でもパル
プ中のセルロース鎖を分解できる酵素であれば良いこと
は言うまでもない。又、ヘミセルラーゼ、ペクチナー
ゼ、リパーゼ、リグニン分解酵素等のセルロース以外の
パルプ繊維に含有される成分を分解させる酵素は、パル
プ粘度を上昇させる効果があるため適さないが、これら
の酵素を含んでいても、酵素処理後のパルプ粘度が減少
する場合には、全く問題はない。又、酵素の起源は、カ
ビ由来であっても、バクテリア由来であってもよく、そ
の起源は特に問わない。
【0011】本発明におけるパルプ繊維の酵素処理によ
る改質は、パルプ繊維のセルロースの重合度を減少させ
ることによって達成でき、その程度は、パルプ繊維中の
セルロースの重合度を反映するパルプ粘度の値で管理す
ることができる。即ち、本発明では、パルプ繊維の酵素
処理前に較べてパルプ粘度の減少度合いが5〜30%、
好ましくは10〜25%の範囲となるようにパルプ繊維
を酵素で処理することが行われる。酵素処理後のパルプ
粘度の減少度合いが酵素処理前のパルプ粘度の5%未満
の場合には、パルプ繊維に改質効果が発現しないので適
さない。酵素処理後のパルプ粘度の減少度合いが30%
を超えて大きい場合には、原紙の凹凸は小さくなるもの
の、原紙の強度が著しく低下するため適さない。本発明
では、前記のように酵素でパルプ粘度が減少させられた
パルプ繊維は、強度の損失を免れないので、強度の必要
な用途にはパルプ粘度の減少度合いを25%未満にした
り、酵素処理パルプの使用比率を配慮する必要がある。
本発明では前記の酵素で処理されたパルプ繊維は全パル
プ繊維重量当り50〜100重量%の範囲で混合して用
いられる。酵素処理したパルプ繊維の含有率が50重量
%未満では、酵素処理の改善効果が発現し難く、含有率
が100重量%では紙の強度の低下があるので、前記し
たようにパルプ粘度の減少度合いを調整するなどの配慮
をする必要がある。
【0012】パルプ繊維の酵素処理方法については、酵
素処理前に較べてパルプ粘度の減少度合いが5〜30%
になる条件であれば、如何なる方法であってもよい。セ
ルラーゼ分解活性の高い酵素を用いて短時間で処理して
も、セルラーゼ分解活性の低い酵素を用いて長時間処理
を行っても、酵素処理の最適条件下で短時間で処理して
も、最適でない条件下で長時間で処理しても、酵素処理
を複数回繰り返すことによっても、その他、如何なる方
法であってもパルプ粘度の減少度合いが5〜30%の範
囲内になるような方法であれば、その方法は問わない。
しかしながら、経済性を考慮した場合には、最適条件が
pH3〜11、10〜80℃の温度で作用する酵素を用
い、既存のチェスト、タンク、タワー等で処理できる酵
素量及びパルプ濃度(例えば2〜18重量%)の処理条
件に設定する方法が有利である。又、酵素処理時におけ
るパルプ繊維は、未叩解の状態であっても、叩解された
状態であってもよい。
【0013】パルプの調成、抄紙及びヤンキードライヤ
ーでの乾燥方法は、通常の方法が適用できる。パルプ繊
維は、未叩解の状態でも用いることができるが、紙に要
求される強度、光沢等の品質を考慮した場合には、シン
グルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナ
ー等の公知の叩解機を用いて必要に応じて叩解した状態
で使用される。紙の特性と抄紙時の操業性を考慮した場
合には、パルプをカナダ標準ろ水度で300〜600m
lの範囲で叩解して用いるのが好適である。抄紙の方法
は、中性抄紙法、酸性抄紙法或いはアルカリ性抄紙法の
どれであってもよい。抄紙原料に添加する薬品は、ロジ
ン、ロジンエマルジョン、合成サイズ剤、カチオン化澱
粉、アニオン変性ポリアクリルアマイド、カチオン変性
ポリアクリルアマイド等の抄紙薬品が目的に応じて適宜
選択されて用いられるが、その他の紙力増強剤も紙の用
途に応じて添加、使用できる。使用する抄紙機は、通
常、ヤンキードライヤーを備えた長網抄紙機、丸網抄紙
機等が用いられる。ワイヤーパート、プレスパート等の
型式も問わない。
【0014】本発明においては抄紙機のプレスパートの
プレス工程出口の湿紙水分は、53〜65重量%、好ま
しくは60から65重量%の範囲である。このようにプ
レス工程出口における湿紙の水分を前記の範囲に維持す
る理由は、本発明における酵素でパルプ粘度を減少させ
たパルプ繊維は、セルロースの重合度が減少し、柔軟化
しているため、機械的な圧力で極めて容易に圧縮されて
潰れるため、抄紙機のプレス工程において繊維が潰れな
いように湿紙の水分を厳密に管理する必要があるのであ
る。プレス工程出口の湿紙水分が53重量%未満のよう
な条件で湿紙をプレスした場合には、前記酵素処理によ
り柔軟化したパルプ繊維はプレス工程中で既に潰れてし
まい、ヤンキードライヤーでのパルプ繊維の潰れしろが
小さくなり、紙の表面の微小な凹凸が減少しないので適
さない。プレス工程出口の湿紙水分が65重量%を超え
て大きい場合には、乾燥工程で湿紙を乾燥するためのエ
ネルギーを多大に必要とし、ヤンキードライヤーの後に
更に多筒ドライヤーを設けたり、場合によっては抄速を
落とす必要も生じ、操業性が著しく悪化するので適さな
い。
【0015】以上に説明したように、本発明では抄紙の
前に、パルプ繊維をセルロース分解活性を含む酵素で処
理し、パルプ粘度を、酵素で処理する前のパルプ粘度の
5〜30%の範囲内で減少させ、このパルプ繊維を50
〜100重量%含む混合パルプ繊維を原料として用い
て、鏡面仕上げを有するヤンキードライヤーを備えた抄
紙機において抄紙して湿紙を得、次いで抄紙機のプレス
パートのプレス工程出口の湿紙の水分を53〜65重量
%の範囲としてプレスした後、湿紙をヤンキードライヤ
ーの表面に圧接させて紙の表面に鏡面仕上げを行いなが
ら乾燥するという構成としたために、紙の表面の微小な
窪みが顕著に減少した表面性の優れる片艶紙が得られる
のである。本発明によれば、酵素で改質されたパルプ繊
維をパルプ原料に含有させることで紙の表面の微小な凹
凸が減少した片艶紙の加工用原紙が得られることから、
抄紙工程での特別な抄紙薬品の添加が不要となり、更に
パルプの種類を特別に限定して選択することも不要とな
り、且つ抄紙ワイヤーや白水系統の汚れも発生せず、操
業上の支障もないので、片艶紙の低コスト化、ひいては
自然環境への負荷をも低減することができる。
【0016】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれらによって限定されるも
のではない。尚、実施例及び比較例において%とあるの
は特に断わらない限り重量%を示す。
【0017】実施例1 未叩解の広葉樹晒クラフトパルプ(以下、LBKPとい
う)(パルプ粘度;18.9mPa・s)に酵素(商品
名:パーガラーゼA40、チバガイギー社製)を絶乾パ
ルプ重量当り0.05%添加し、pH5.0、温度50
℃、パルプ濃度5%の条件下で2時間処理した。酵素処
理後のパルプ粘度は、14.1mPa・sで、パルプ粘
度の減少率は25.4%であった。この酵素処理したL
BKPをダブルディスクリファイナー(以下、DDRと
いう)を用いてカナダ標準ろ水度で500mlに叩解し
た。別に用意した針葉樹晒クラフトパルプ(以下、NB
KPという)を酵素処理を施さずに、同様にDDRを用
いてカナダ標準ろ水度で550mlに叩解し、前記のL
BKPとNBKPを8:2の割合で混合し、混合パルプ
を準備した。更に、この混合パルプに絶乾パルプ重量当
りカチオン化澱粉(王子ナショナル社製)0.50%、
アニオン性ポリアクリルアマイド(荒川化学工業社製)
0.13%、カチオン性ポリアクリルアマイド0.07
%、ロジンエマルジョン(荒川化学工業社製)0.30
%及び硫酸バンド1.5%を添加して、ヤンキードライ
ヤーを備えた公知の長網抄紙機を用いて抄紙し、プレス
工程出口の湿紙水分を58%に調整し、米坪量45g/
2及び水分含有率5%の片艶紙を抄速420m/分で
製造した。得られた片艶紙の紙の表面を評価した。
【0018】パルプ粘度の測定方法、パルプ粘度の減少
率の算出方法及び紙の表面の評価方法は以下に示すとお
りである。 (1)パルプ粘度の測定方法 J.TAPPI 44−84「製紙用さらしパルプの粘
度測定法」に準拠してパルプ粘度(mPa・s)を求め
た。 (2)パルプ粘度の減少率の算出方法 パルプ粘度の減少率は、式(1)に従って算出した。 パルプ粘度の減少率(%)={(A―B)/A}×100・・・(1) 但し、A:酵素処理前のパルプ繊維の粘度値 B:酵素処理後のパルプ繊維の粘度値 (3)紙の表面の評価方法 レーザー顕微鏡(型式:1LM11型、レーザーテック
社製)を用いて片艶紙の表面の画像を取り込み、画像解
析装置(型式:ルーゼックスIII、ニレコ社製)を用い
て紙の表面の窪み部分とそれ以外の部分とに二値化し、
原紙の一定面積当りの窪み部分の割合を測定、算出し、
紙の表面の窪み率とした。この数値の低いものほど紙の
表面に微小の凹凸が少ないことを意味する。
【0019】実施例2 実施例1と同じLBKPの酵素処理の際、酵素をパーガ
ラーゼA40からベッセレックス(合同酒精社製)に替
えて処理されたLBKPを使用したこと以外は、実施例
1と同様にして米坪量45g/m2の片艶紙を製造し、
紙の表面の評価を行った。酵素処理後のLBKPのパル
プ粘度は14.8mPa・sで、粘度の減少率は21.
7%であった。
【0020】実施例3 実施例1と同じLBKPの酵素処理の際に、酵素の添加
率を0.01%として処理されたLBKPを使用したこ
と以外は、実施例1と同様にして米坪量45g/m2
片艶紙を製造し、紙の表面の評価を行った。酵素処理後
のLBKPのパルプ粘度は、17.1mPa・sで、粘
度の減少率は9.5%であった。
【0021】実施例4 プレス工程出口の湿紙水分を55%に調整したこと以外
は、実施例1と同様にして米坪量45g/m2の片艶紙
を製造し、紙の表面の評価を行った。
【0022】実施例5 プレス工程出口の湿紙水分を61%に調整したこと以外
は、実施例1と同様にして米坪量45g/m2の片艶紙
を製造し、紙の表面の評価を行った。
【0023】実施例6 プレス工程出口の湿紙水分を64%に調整したこと以外
は、実施例1と同様にして米坪量45g/m2の片艶紙
を製造し、紙の表面の評価を行った。
【0024】実施例7 未叩解のLBKP(パルプ粘度:18.9mPa・s)
をカナダ標準ろ水度を500mlまでDDRを用いて叩
解した後、酵素(パーガラーゼA40、チバガイギー社
製)を絶乾パルプ当り0.10%添加し、pH5.0、
温度50℃、パルプ濃度5%の条件下で30分間処理し
た。酵素処理後のパルプ粘度は、15.5mPa・s
で、粘度の減少率は23.3%であった。次いで、別に
用意したNBKPを酵素処理を施さずにDDRを用いて
カナダ標準ろ水度で550mlに叩解し、前記の酵素処
理LBKPと酵素処理なしのNBKPを8:2の割合で
混合し、混合パルプを準備した。更に、この混合パルプ
に、実施例1と同様にして薬品を添加し、この紙料を用
いて実施例1と同様にして米坪量が45g/m2の片艶
紙を製造し、紙の表面を評価した。
【0025】実施例8 実施例1で得られた酵素処理したLBKP、酵素処理な
しのLBKP及び酵素処理なしNBKPをそれぞれ5.
5:2.5:2の割合で混合し、混合パルプを準備した
こと以外は、実施例1と同様にして米坪量45g/m2
の片艶紙を製造し、紙の表面の評価を行った。
【0026】比較例1 LBKPの酵素処理を行わなかったこと以外は、実施例
1と同様にして米坪量45g/m2の片艶紙を製造し、
紙の表面の評価を行った。
【0027】比較例2 実施例1と同じLBKPの酵素処理の際に、酵素の添加
率を0.01%とし、処理条件をpH4.2、温度20
℃、パルプ濃度5%として処理されたLBKPを使用し
たこと以外は、実施例1と同様にして米坪量45g/m
2の片艶紙を製造し、紙の表面を評価した。酵素処理後
のパルプ粘度は、18.2mPa・sで、粘度の減少率
は2.6%であった。
【0028】比較例3 実施例1と同じLBKPの酵素処理の際、酵素をパーガ
ラーゼA40からイルガサイム10A(チバガイギー社
製)に替えて処理されたLBKPを使用したこと以外
は、実施例1と同様にして米坪量45g/m2の片艶紙
を製造し、紙の表面の評価を行った。酵素処理後のLB
KPのパルプ粘度は19.3mPa・sで、粘度は酵素
処理前のものに対して2.1%増加した。
【0029】比較例4 抄紙機のプレスパートのプレス工程出口の湿紙の水分を
51%としたこと以外は、実施例1と同様にして米坪量
45g/m2の片艶紙を製造し、紙の表面の評価を行っ
た。
【0030】得られた結果を表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】表1から明らかなように、セルロース分解
活性を有する酵素で処理されたパルプを含有する混合パ
ルプからの片艶紙では、プレス工程出口での湿紙水分を
55〜65重量%の範囲内に調整してプレスを施し、次
いで湿紙をヤンキードライヤーに圧接して乾燥して得ら
れる本発明による片艶紙の紙の表面の窪み率は、従来の
片艶紙のもの(比較例1)に比べて5〜20%減少して
おり、紙の表面の微小な凹凸が顕著に改善できる(実施
例1〜8)。これに対し、パルプ粘度の減少率を低くし
たもの(比較例2)及び逆にパルプ粘度が増加するもの
(比較例3)は、紙の窪み率が減少せず、表面性は全く
改善できない。酵素処理時のパルプ粘度の減少率が大き
いパルプ繊維を多く使用しても、抄紙機のプレスパート
のプレス工程出口の湿紙水分を低くした場合(比較例
4)は、紙の表面の窪み率が殆ど改善されない。
【0033】
【発明の効果】本発明は、紙の表面における微小な凹凸
が顕著に減少した片艶紙の製造方法を提供するという効
果を奏する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプ繊維を主原料として鏡面仕上げし
    たヤンキードライヤを備えた抄紙機において抄紙し、プ
    レスパートのプレス工程で湿紙をプレスした後、湿紙を
    ヤンキードライヤーに圧接して乾燥することからなる片
    艶紙の製造方法において、前記パルプ繊維が、セルロー
    ス分解活性を含む酵素でパルプ繊維を処理することによ
    り、J.TAPPI 44−84に規定されたパルプ粘
    度の値を酵素処理前のパルプ粘度を基準に5〜30%の
    範囲減少させた、酵素処理されたパルプ繊維を全パルプ
    繊維重量当り50〜100重量%含み、且つ該酵素処理
    パルプを含む湿紙のプレス工程出口の湿紙水分を53〜
    65重量%の範囲とすることを特徴とする片艶紙の製造
    方法。
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JP (1) JPH1025690A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003515002A (ja) * 1999-11-19 2003-04-22 バックマン・ラボラトリーズ・インターナショナル・インコーポレーテッド 酵素とポリマーを組み合わせて使用する製紙プロセス
JP2009299208A (ja) * 2008-06-11 2009-12-24 Daio Paper Corp 片艶クラフト紙及び片艶クラフト紙の製造方法
JP2012097370A (ja) * 2010-11-01 2012-05-24 Daio Paper Corp 封筒用紙及び封筒用紙の製造方法

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