JPH05222688A - 紙の製造方法 - Google Patents

紙の製造方法

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JPH05222688A
JPH05222688A JP5601592A JP5601592A JPH05222688A JP H05222688 A JPH05222688 A JP H05222688A JP 5601592 A JP5601592 A JP 5601592A JP 5601592 A JP5601592 A JP 5601592A JP H05222688 A JPH05222688 A JP H05222688A
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pulp
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dryer
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JP5601592A
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Junichiro Kido
順一郎 城戸
Tadaharu Nishikawa
忠春 西川
Ryuji Ouchi
龍二 大内
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 パルプを抄紙して得られた湿紙を鏡面ドライ
ヤーで乾燥して原紙を製造する方法において、寸法安定
性、光沢度及びカールに優れた原紙を提供する。 【構成】 アルカリ蒸解法又は修正アルカリ蒸解法によ
り製造された未晒パルプを漂白し、次いで酵素処理し、
酵素処理したパルプを抄紙し鏡面ドライヤーで乾燥する
原紙の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はパルプを抄紙して得られ
た湿紙を鏡面ドライヤーで乾燥して製造する紙の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】抄紙された紙の片面のみを鏡面ドライヤ
ーで乾燥する装置はヤンキードライヤーとして知られ、
抄紙された紙の片面のみを鏡面ドライヤーで乾燥して製
造した紙は種々の加工用原紙としての用途を有する。
【0003】このような加工用原紙はビールビンのラベ
ル紙のようにアルミニウムを真空蒸着させた加工紙及び
パラフィンシートを熱圧着して封筒に使用する加工紙等
用途に応じたシート材を付加して製品に供する。この加
工用原紙は、その寸法安定性が欠けるとシート材との収
縮率差に応じてシート面と紙表面がはがれ加工後の製品
にふくれ、しわ、そりが発生し著しく製品価値がそこな
われる。又印刷用原紙、製袋用原紙としての用途におい
ては、印刷機及び製袋機の走行性を確保するためにカー
ルができる限り小さいことが要求される。更に情報記録
紙の支持体としての加工用原紙は、湿度に対する安定
性、すなわち寸法安定性及びカールが少ないことが要求
される。一方、包装用紙として用いる場合、光沢度は見
た目の感覚から、高ければ高い程製品価値が上がるので
加工用原紙の品質上重要な要因である。
【0004】したがって、紙、特に加工用原紙の性質を
満たすようにその製造方法について配慮がなされている
が、その基本的な製造方法はアルカリ蒸解法により製造
された未晒パルプを漂白し、次いで抄紙して得られた湿
紙を鏡面ドライヤーで乾燥する方法で、従来紙、特に加
工用原紙の性質はその乾燥の工程で左右された。
【0005】一般にヤンキードライヤーを備えた抄紙機
(以下ヤンキードライヤー抄紙機という。)で製造した
紙の特徴は(1)カールが発生しやすい、(2)寸法安
定性が高い、ことが知られており、これ等の特性につい
ては従来より広く研究が行われている。カールが発生し
やすい原因について以下に述べると、紙(湿紙)がヤン
キードライヤーを通過する場合、ドライヤーに張り付い
た側の紙面は乾燥するに従って収縮しようとするが、紙
の流れ方向の張力及びドライヤーに張り付いて発生する
張力によって拘束される。水分が高い時点では紙の繊維
は相互にスリップしやすいがある一定の水分になると繊
維は結合し歪が形成される。紙の片面(ドライヤー面の
反対側)が未変化の中に、他の面(ドライヤー面)が先
にこのような臨界点に達すると湿潤状態にある面(ドラ
イヤー面の反対側)の繊維はまだスリップを起こし得る
のであるが、これに対しドライヤー面は全張力を吸収せ
ざるを得ない状態になる。水分の多い面も最終的にはこ
の臨界水分に達するのであるが、紙の両面で臨界水分に
達するタイミングがずれるために、両面に含まれる歪が
異なり、そのためにカールが発生する。
【0006】次いで、紙の寸法安定性について述べる
と、抄紙時の乾燥収縮は紙の寸法安定性に極めて大きい
影響を与え、乾燥時の収縮率と寸法安定性はほぼ一直線
の関係を示すことが知られている。従って乾燥時の収縮
を抑制すると寸法安定性が向上する。一般的にヤンキー
ドライヤー抄紙機で製造された紙は多筒ドライヤーを備
えた抄紙機(以下多筒ドライヤー抄紙機という。)に比
べ寸法安定性が良好であるが、これはヤンキードライヤ
ー表面に湿紙シートが張り付いた状態で乾燥が完了する
ため収縮がある程度制限されることによる。(平成元年
6月12日中外産業調査会発行“新・紙の科学”、昭和
58年4月30日中外産業調査会発行“紙およびパル
プ、製紙の化学と技術3巻”参照)
【0007】このようにヤンキードライヤー抄紙機で製
造された紙のカールを少なくすることと寸法安定性を高
めることは相反する関係にあるため、製品としての価値
が低下しない程度にカール及び寸法安定性を互いに犠牲
にしてヤンキードライヤー抄紙機で加工用原紙としての
紙が製造されているのが現状である。
【0008】ヤンキードライヤー抄紙機で製造される紙
の特徴である光沢度に関しドライヤー表面に湿紙を充分
にはり付け乾燥時の紙表面の収縮を拘束することによっ
て、表面の収縮しわを少なくすると光沢度は高くなる
が、先に、述べたようにドライヤー表面に湿紙を充分に
はり付けるとカールトラブルが発生しやすくなる。した
がって寸法安定性とともに光沢度を高めることとカール
を少なくすることは相反する関係にある。
【0009】従来、寸法安定性、カール、光沢度のすべ
てを改善するために(1)紙用薬品の添加、(2)一般
に細胞膜が薄くて扁平になりやすい、すなわち光沢の出
やすい針葉樹パルプの添加割合を上げる。(3)ヤンキ
ードライヤー抄紙機のドライヤー温度、抄速等操業上で
の対応等が行われて来たがいづれの方法も満足するに到
っていないのが実状である。
【0010】近年、酵素をリグノセルロース材料及びリ
グノセルロース材料を加工して得られる繊維に作用させ
てそれ等を改質する技術が提案されている。例えばヘミ
セルロース及び/又はセルロースに酵素を作用させる
等、紙料製造過程のレファイナー電力消費量の削減を図
る方法(特開昭60−126395号公報)、(特開平
3−174079号公報)、(米国特許第3,021,
253号明細書及び同第3,041,246号明細
書)、(カナダ特許第758,488号明細書)、木材
丸太、木材チップを磨砕又は解繊してペクチン質分解活
性を有する酵素を作用させ、より高い白色度のパルプ及
び紙を製造する方法(特開平2−118191号公
報)、南方広葉樹パルプにろ紙分解活性を有する酵素を
作用させ、紙のベッセルビックトラブルを防止し、併せ
て平滑度、引張り強さの向上を図る方法(特開昭63−
135597号公報)、多糖加水分解酵素を古紙再処理
工程に加え脱インキやろ水性の向上を図る方法(特開昭
59−9299号、同63−59494号、同63−1
45495号公報、Tappi 、72巻、(6)、187
(1989))、リグノセルロース材料を原料とする紙
パルプ製造工程等に用いられる古紙の解繊に用いる方法
(特開平3−228685号公報)等が研究されている
が、紙の品質改善に応用した提案はほとんどなく、ヤン
キードライヤー抄紙機で製造されるパルプに酵素処理し
て寸法安定性、カール、光沢度の改善を図る技術は提案
されていない。
【0011】ところで修正アルカリ蒸解法(以下MCC
法という)はアルカリ蒸解法、一般にはクラフト法蒸解
に適用され、蒸解液の分割添加と、ダイジェスター内部
での並流蒸解と交流蒸解の組合せからなる蒸解法として
定義される。そして修正アルカリ蒸解法の特徴は同一カ
ッパー価で測定すると、従来の蒸解と比較して粘度約1
00dm3 /kgより高いものが得られること、換言す
ればパルプの強度、粘度の損失なしに蒸解後のカッパー
価でN材(針葉樹)で5〜7ポイント、またL材(広葉
樹)では3〜4ポイント低く蒸解することが可能であ
り、このMCC法のメリットはその後に続く漂白工程に
おいても維持されることが知られている。(紙パルプ技
術タイムス 1990年8月号 第55〜59頁参
照)。しかしながら、漂白工程に続く抄紙以降の工程に
おける紙の特性への影響については格別紹介されていな
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記現状に鑑
みてなされたもので、ヤンキードライヤー抄紙機に伴う
紙の性質に関する諸問題を解決することを目的とし、更
に詳細には通常のアルカリ蒸解法又は修正アルカリ蒸解
法により得られるパルプを使用して寸法安定性、カール
性、光沢度について改善された性質を有する紙の製造方
法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明について概説すると、次のとおりである。請求項1の
発明はアルカリ蒸解法により製造された未晒パルプを漂
白し、次いで酵素処理し、酵素処理したパルプを抄紙
し、得られた湿紙を鏡面ドライヤーで乾燥することを特
徴とする紙の製造方法に関する。請求項2の発明は修正
アルカリ蒸解法により製造された未晒パルプを漂白し、
次いで酵素処理し、酵素処理したパルプを抄紙し、得ら
れた湿紙を鏡面ドライヤーで乾燥することを特徴とする
紙の製造方法に関する。
【0014】本発明で使用される未晒パルプはリグノセ
ルロース材料を通常のアルカリ性蒸解液を用いるアルカ
リ蒸解法により製造される。アルカリ蒸解法としては特
に硫化ナトリウム含有蒸解液を用いるクラフト法(硫酸
塩法)がパルプ強度及びパルプ収率の向上並びに薬液回
収の容易さ等から本発明に適用される。
【0015】又、本発明で使用される未晒パルプは通常
のアルカリ蒸解法を改良した前記の修正アルカリ蒸解法
により製造されることにより更に改善された紙、特に加
工用原紙が得られる。すなわち本発明で使用される漂白
後のパルプは、繊維の弾性率が高く、伸縮率が小さいこ
とが必須であるが、このような晒パルプを得る方法につ
いて研究した結果、このような所望の特性を有する原料
パルプは、蒸解液の分割添加と、ダイジェスター内部で
の並流蒸解と向流蒸解から構成されている修正アルカリ
蒸解法によって得られることが判明した。修正クラフト
蒸解法からの広葉樹及び針葉樹未晒パルプに公知の通常
の多段漂白液を適用して得られた晒パルプと、通常のク
ラフト蒸解法からの未晒パルプに、同じく多段漂白法を
適用して得られた晒パルプを同一のパルプ粘度水準にお
いてシート密度0.68g/m2 の手抄シートを作成
し、その弾性率と伸縮率を測定して比較してみると、修
正クラフトパルプのほうが弾性率が高く、伸縮率が小さ
い。本発明の目的を達成するために好適なパルプを得る
ための修正アルカリ蒸解法は、次のような手法で行なわ
れる。
【0016】修正アルカリ蒸解法を実施するダイジェス
ターにおいては、ダイジェスターの前に浸透ベッセルが
設置されており、かつダイジェスターの内部が頂部から
底部にかけて上部蒸解トリムゾーン、上部蒸解ゾーン、
下部蒸解ゾーン及び必要に応じて洗浄ゾーンが設けら
れ、上部蒸解トリムゾーン及び上部蒸解ゾーンにおいて
は並流蒸解が、下部蒸解ゾーンでは向流蒸解が行なわ
れ、洗浄ゾーンでは向流洗浄が行なわれる。2ベッセル
型連続ダイジェスターを用いる蒸解法では、蒸解系に導
入されるアルカリ蒸解液の50〜90%が浸透ベッセル
に、0〜45%が上部蒸解トリムゾーンに、5〜45%
が下部蒸解ゾーンに夫々供給される。即ち、木材チップ
は、蒸解液と一緒に浸透ベッセルの頂部から導入され、
底部から排出される間に蒸解液のチップ内部への浸透が
十分に行なわれ、該底部において蒸解液の一部が新たに
添加され、ダイジェスターの頂部へ送られる。チップ
は、ダイジェスターを下降する間に前記した如く上部蒸
解トリムゾーン及び上部蒸解ゾーンにおいてチップと一
緒に下降する蒸解液により蒸解が行なわれ(並流蒸
解)、木材中のリグニンのかなりの部分が液中に溶出さ
れ、さらに引続いて下部蒸解ゾーンにおいて新たに添加
された上昇する蒸解液と向流的に接触して蒸解され(向
流蒸解)、残りのリグニンが所望の程度液中に溶出除去
される。このようにリグニンの除去が終了したチップ
は、最終的にダイジェスターの底部から導入された上昇
する洗浄液と向流的に接触し、洗浄された後、系外に排
出される。
【0017】修正アルカリ蒸解法のためのアルカリ性蒸
解液としては、苛性ソーダ(ソーダ蒸解)、苛性ソーダ
と硫化ソーダ(クラフト蒸解)、多硫化ソーダ(ポリサ
ルファイド蒸解)及び亜硫酸塩(アルカリ性亜硫酸塩蒸
解)等が挙げられるが、2ベッセル型連続ダイジェスタ
ーが適用できるクラフト及びポリサルファイド蒸解液が
好ましく、硫化度は5〜75%、好ましくは5〜50
%、有効アルカリの添加率は、絶乾木材当たり5〜30
重量%、好ましくは10〜20重量%である。使用する
蒸解液に蒸解助剤として公知の環状ケト化合物を絶乾木
材チップ当たり0.001〜1.0重量%添加すると、
本発明の効果が助長されるので好ましい。本発明におい
て使用される環状ケト化合物としては、ベンゾキノン、
ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナン
トロンキノン、及び前記キノン系化合物のアルキル、ア
ミノ等の核置換体或は前記キノン系化合物還元型である
アントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物、
さらにはディールスアルダー法によるアントラキノン合
成法の中間体として得られる安定な化合物、例えば9、
10ジケトヒドロアントラセン系化合物等からなる群か
ら選ばれた1種或は2種以上の混合物等が挙げられる。
【0018】通常のアルカリ蒸解法又は修正アルカリ法
で製造された未晒パルプはいずれも同様に洗浄及び精選
工程を経た後、場合によっては酸素漂白工程を経て、公
知の多段漂白工程に導入されて漂白される。この多段漂
白としては、塩素処理工程(C)、苛性ソーダ抽出工程
(E)、次亜塩素酸塩処理工程(H)、二酸化塩素処理
工程(D)、過酸化水素処理工程(P)を適宜組合せ
て、C−E−H−D−E−D、C−E−H−D、C−E
−D−E−D、C−E−H−P−D等のシーケンスとし
たものを挙げることができ、さらにEに酸素(O)或は
過酸化水素を併用した(EO)或は(EP)をシーケン
スの中に組入れたシーケンス又は塩素フリー漂白例えば
キレート処理−P−E/O−P及びオゾンを漂白剤とし
たシーケンスであっても、本発明の効果は何等悪い影響
はみられない。多段漂白設備には、C段を3〜5%パル
プ濃度で処理し、その他の漂白工程は、10%のパルプ
濃度で処理する漂白塔とドラム型フィルターを組合せた
設備及びその他のものがあり、何れも本発明のために好
適に用いられる。
【0019】本発明に用いられる通常の原料パルプは、
アルカリ蒸解法又は修正アルカリ蒸解法で得られたパル
プを多段漂白した広葉樹晒パルプと針葉樹晒パルプであ
るが、その使用比率は、0:100〜100:0の範囲
の中から適宜選択して用いられる。しかしながら、所望
に応じて、高収率パルプや脱墨古紙再生パルプを混合し
て用いることもできる。
【0020】晒パルプを抄紙する前に、本発明において
は晒パルプに酵素処理を施してパルプを改質する。使用
する酵素は、ろ紙分解活性、CMC分解活性、β−グル
コシダーゼ、ペクチナーゼ活性、その他のセルラーゼ活
性を有する酵素が使用され、具体的にはそれらの中か
ら、ヤンキードライヤー抄紙機で製造した紙のドライヤ
ー面側の光沢度と高い相関が見い出され、しかも活性の
評価に最適なろ紙分解活性を有する酵素を選択した。酵
素のうちろ紙分解活性が3FPU/酵素g未満のものは
全く本発明の効果が認められなかった。さらに酵素とし
てはセルロース系分解酵素例えばセルラーゼ、ヘミセル
ラーゼ、セロビアーゼの他にペクチノール、リパーゼ、
ペクチナーゼ、リゾチーム、アミラーゼ、ペクターゼ及
びリグニン分解酵素等を単独または相互に組合わせてろ
紙分解活性が3FPU/酵素g以上のものであれば良
い。
【0021】前記のろ紙分解活性は Biotechnol. Bioen
g. Symp.6、21〜33(1976)に記載の方法に基
づき測定した。すなわちφ18×L180mmの試験管
に1ml 50mMクエン酸液(pH4.8)及び0.
5ml酵素液中へろ紙片50mg( whatman No 1 1
×6cm)をコイル状にして入れ、50℃、1時間反応
後反応を停止させるため、3,5−ジニトロサリチル酸
試薬3ml加え沸騰浴中で5分間加熱後、冷却(水冷)
する。これに16mlの蒸留水を加え550nmの吸光
量を測定する。またあらかじめ吸光量とグルコース量の
検量線を作成しておき、この検量線より吸光量をグルコ
ース量へ変換する。ろ紙分解活性の定義は1分間に1μ
molのグルコースに相当する還元糖を生成する酵素量
を1単位として表示するものであり次式より求めた。 FPU/酵素g=mg生成グルコース×1/0.18×
1/60×2×希釈倍 FPU/酵素g:ろ紙分解活性 ( Filter Paper Unit/酵素g)
【0022】酵素処理条件について酵素添加率(以下、
パルプ絶乾重量当り)は0.001〜5.0%、好まし
くは0.005〜2.00%であり0.001%以下で
は所望の改質効果が得られず、5.0%以上ではパルプ
の収率が大巾に低下する。また処理時間は0.3〜96
時間、好ましくは1〜72時間であり0.3時間以下で
は所望の改質効果が得られず、96時間以上では、酵素
の活性はほとんどなくなる。パルプ濃度は1〜20%、
好ましくは2〜15%であり1%以下ではパルプ中に水
が多いため、水の中に酵素が稀釈されて所望の効果が得
られず、20%以上では酵素とパルプを均一に混合する
ことが難かしい。処理pHは3.0〜8.0、好ましく
は、3.5〜7.0であり3.0〜8.0の範囲を外れ
ると酵素の活性が充分に得られない。処理温度は10〜
80℃好ましくは、15〜70℃で、10℃以下では所
望の効果を得るまで長時間を要するため現実的ではな
く、80℃以上では酵素の活性が低下し所望の効果が得
られない。
【0023】酵素処理において重要なことはパルプと酵
素を充分混合する点である。ポンプでパルプを流送する
場合はポンプのサクションへ添加する方法及び酵素反応
槽の前にスタティックミキサーを設け混合する方法、レ
ファイナーの前で添加する方法など充分な混合を期さな
ければ所望の効果が得られないことは言うまでもない。
また酵素反応槽はチェスト、タンク等であれば良く、
極端な反応条件を伴わなければ塔槽類の種類はとわな
い。
【0024】抄紙及び鏡面ドライヤーで乾燥する方法は
通常の方法が適用される。抄紙原料に添加する薬品は主
にロジン、ロジンエマルジョン、合成サイズ剤、カチオ
ン化デンプン、アニオン変性ポリアクリルアマイド、カ
チオン変性ポリアクリルアマイドの他、紙力増強剤も紙
の用途に応じて添加薬品、添加率が決められ添加され
る。抄紙機は鏡面ドライヤーで乾燥して紙を製造する装
置であり、通常はヤンキードライヤー抄紙機及び、ヤン
キードライヤーと多筒ドライヤーを組合わせた抄紙機で
あって、ワイヤーパート等の型式はとわない。さらに、
品質上重要な光沢度を上げるため従来、ヤンキードライ
ヤー抄紙機の抄速を下げて操業せざるを得なかったが、
本発明によって、抄速を下げる必要がなくなり増産が可
能になるという副次効果を有する。
【0025】本発明方法を実施するには種々のリグノセ
ルロース材料を用いることができ、例えばパルプ製造用
リグノセルロース材料としては、針葉樹チップ、広葉樹
チップ、ソーダスト、並びに非木材セルロース材料、例
えばバガス、ケフナ、ワラ、アシ及び他の一年生植物を
挙げることができる。
【0026】
【作用】請求項1の発明はアルカリ蒸解法により製造さ
れたパルプを漂白した後に酵素を作用させると、パルプ
繊維表面がなめらかになると共に、パルプ繊維が柔軟化
して繊維がつぶれ易くなり、ドライヤーとの密着がよく
なる為寸法安定性及び光沢度が上がるという作用を奏す
るものである。請求項2の発明はアルカリ蒸解法により
製造されたパルプの代りに修正アルカリ蒸解法により得
られたパルプを使用すると、漂白後もパルプの弾性が高
く、収縮率が小さいという性質が保持され、ヤンキード
ライヤーでの乾燥時に導入される紙内の残留歪が少なく
でき、カールが小さくなるという作用を更に奏する。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが本発明はもちろんこれ等に限定されるもので
はない。
【0028】蒸解工程について。 国内広葉樹チップを原料としてシングルベッセル液相型
連続ダイジェスター(生産能力 LUKP 700T/
日)で通常のクラフト法蒸解を行なって未晒パルプを製
造し、同じチップを原料として下記の表1に示される蒸
解液の分割比率で2ベッセル型連続ダイジェスター(生
産能力 LUKP 1200T/日)で修正クラフト法
蒸解を行なって未晒パルプを製造した。その他の夫々の
蒸解条件及び得られたパルプのカッパー価は表1に示さ
れる通りである。また針葉樹チップ(ダグラスファー1
5%、国内松85%)を原料としてシングルベッセル液
相型連続ダイジェスター(生産能力 NUKP 600
T/日)で通常のクラフト法蒸解を行なって未晒パルプ
を製造し、同じチップを原料として下記の表1に示され
る蒸解液の分割比率で2ベッセル型連続ダイジェスター
(生産能力 NUKP 800T/日)で修正クラフト
法蒸解を行なって未晒パルプを製造した。その他の夫々
の蒸解条件及び得られたパルプのカッパー価は表1に示
される通りである。
【0029】
【表1】 * 修正クラフト法におけるダイジェスター温度は、蒸
解トリムと下部蒸解の温度の平均値とした。
【0030】漂白工程について。 前記広葉樹未晒パルプ及び針葉樹未晒パルプを下記の表
2の条件で多段漂白しハンター白色度85%のパルプを
製造した。
【0031】
【表2】
【0032】酵素処理工程について。 実施例1 広葉樹チップについて通常のクラフト法蒸解(表1参
照)を行い多段漂白(表2参照)後、完成塔へ入れる前
のドラムタイプ洗浄フィルターで洗浄後のトランスポー
トスクリューへ稀釈水とともにろ紙分解活性106FP
U/酵素gの酵素を0.06%(対絶乾パルプ重量当
り、以下同じ)添加し、中濃度パルプ移送ポンプ(MC
ミキサー、ガデリウス/カミヤ社製)で混合しながら完
成塔へ送り込み完成塔内で酵素処理した。酵素処理条件
はpH5.1、温度45℃、パルプ濃度9%、処理時間
4時間であった。
【0033】実施例2 広葉樹チップについて実施例1と同様の条件でろ紙分解
活性8.4FPU/酵素gの酵素を1.0%添加した。
【0034】実施例3 針葉樹チップについて通常のクラフト法蒸解(表1参
照)、多段漂白(表2参照)後、ろ紙分解活性106F
PU/酵素gの酵素を0.06%添加した。その他の処
理条件は実施例1と同一である。
【0035】実施例4 針葉樹チップについて実施例3と同様の工程、条件の下
にろ紙分解活性8.4FPU/酵素gの酵素を1.0%
添加した。
【0036】実施例5 広葉樹チップについて、修正クラフト法蒸解(表1参
照)を行い、多段漂白(表2参照)後、実施例1と同様
に、ろ紙分解活性106FPU/酵素gの酵素を添加し
た。その他の処理条件は実施例1と同一である。
【0037】実施例6 広葉樹チップについて実施例5と同様の工程、条件の下
にろ紙分解活性8.4FPU/酵素gの酵素を1.0%
添加した。
【0038】実施例7 針葉樹チップについて、修正クラフト法蒸解(表1参
照)を行い、多段漂白(表2参照)後、実施例1と同様
に、ろ紙分解活性106FPU/酵素gの酵素を添加し
た。その他の処理条件は実施例1と同一である。
【0039】実施例8 針葉樹チップについて、実施例7と同様の工程、条件の
下ろ紙分解活性8.4FPU/酵素gの酵素を1.0%
添加した。
【0040】比較例1 実施例1の通常のクラフト法蒸解による広葉樹漂白パル
プを酵素処理しなかった。
【0041】比較例2 実施例3の通常のクラフト法蒸解による針葉樹漂白パル
プを酵素処理しなかった。
【0042】比較例3 実施例5の修正クラフト法蒸解による広葉樹漂白パルプ
を酵素処理しなかった。
【0043】比較例4 実施例7の修正クラフト法蒸解による針葉樹漂白パルプ
を酵素処理しなかった。
【0044】抄紙について。 実施例1〜8、比較例1〜4の方法により得られた晒パ
ルプを用いてヤンキードライヤー抄紙機で紙を製造し
た。ヤンキードライヤー抄紙機で抄紙する紙料の調成条
件を以下に示した。
【0045】広葉樹晒パルプ530mlC.S.F.(カ
ナダ標準フリーネス、以下同じ)針葉樹晒パルプ580
mlC.S.F.まで別々に叩解し、夫々50%配合し次
の抄紙薬品を絶乾パルプ当りで添加して紙料とし、公知
のヤンキードライヤー抄紙機で抄造し坪量100g/m
2 及び水分5%の紙を製造した。 ロジンエマルジョン 1.1重量%(対
絶乾パルプ重量当り) 荒川化学社製:SPN カチオン化澱粉 0.8重量% 王子ナショナル社製:ケートF アニオン変性ポリアクリルアマイド 0.10重量% カチオン変性ポリアクリルアマイド 0.07重量% 荒川化学社製:ポリストロン
【0046】実施例9 実施例1及び実施例3の酵素処理パルプ(通常クラフト
法による)を用いて紙を製造した。
【0047】実施例10 実施例2及び実施例4の酵素処理パルプ(通常クラフト
法による)を用いて紙を製造した。
【0048】実施例11 実施例5及び実施例7の酵素処理パルプ(修正クラフト
法による)を用いて紙を製造した。
【0049】実施例12 実施例6及び実施例8の酵素処理パルプ(修正クラフト
法による)を用いて紙を製造した。
【0050】比較例5 比較例1及び比較例3のパルプ(通常クラフト法によ
る)を用いて紙を製造した。
【0051】比較例6 比較例2及び比較例4のパルプ(修正クラフト法によ
る)を用いて紙を製造した。
【0052】実施例1〜8、比較例1〜4のパルプにつ
いて未叩解手抄紙の弾性率及び伸縮率を測定し、その結
果を下記表3に示した。又、実施例9〜12、比較例
5,6のヤンキードライヤー抄紙機で製造された紙の寸
法安定性、光沢度、カールの測定結果を下記表4に示し
た。表中「通常」又は「通」は通常のアルカリ蒸解に由
来するパルプ又は紙を示し、「修正」又は「修」は修正
アルカリ蒸解に由来するパルプ又は紙を示し、実施例は
酵素処理を施した実験例、比較例は酵素処理を施さない
実験例を示す。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】なお、前記未叩解手抄紙の弾性率、伸縮率
及び寸法安定性、光沢度、カールの測定方法は以下の通
りである。
【0056】弾性率:JIS P8209にしたがって
未叩解パルプの手抄紙を作成する。この紙の超音波伝播
速度(S)を市販の超音波伝播速度測定器( Sonic She
et Tester SST-220 型:野村商事株式会社製)によって
測定し、紙の密度(σ)をJIS P8118に従って
測定する。弾性率(E)を次式によって求める。 E=σ×S2
【0057】伸縮率:JIS P8209に従ってパル
プの未叩解手抄き紙を作成する。この紙から幅15m
m、長さ150mmの短冊状の紙片を切りだし、相対湿
度65%、温度20℃の恒温恒湿室内で6時間調湿す
る。調湿後の紙片の長さ(L65)を測定する。次に、
紙片を相対湿度80%、温度20℃の環境下で1時間調
湿した後、相対湿度20%、温度20℃の環境下で1時
間調湿する。この処理を3回繰返して3回目の相対湿度
80%、温度20℃の環境下で調湿した後の紙片の長さ
(L80)と紙の水分(M80)及び相対湿度20%、
温度20℃の環境下で調湿した後の紙片の長さ(L2
0)と紙の水分(M20)を測定して、各湿度での寸法
変化率(△L80、△L20)を次式で求める。 △L80=(L80−L65)/L65 △L20=(L20−L65)/L65 次いで、伸縮率(B)を次式で求める。 B=(△L80−△L20)/(M80−M20)
【0058】寸法安定性 紙及び板紙の浸水伸度試験法J.TAPPI No.2
7−78記載のA法に従い測定する。(浸水伸度 %)
【0059】カール カールしている紙の一辺を手でつかんで吊り下げ該辺と
平行な下辺の円弧の高さ(L)を読取り、紙の10枚の
読取り値の平均値で示される。円弧の高さが大きいほど
カールが大きいことを示す。
【0060】光沢度 紙及び板紙の75度鏡面光沢度 試験方法 JIS P 8142 65 記載の方法に
従い測定する。
【0061】
【発明の効果】表3及び表4から本発明に基づいて、晒
パルプに酵素処理を施したパルプを原料として抄紙した
紙は酵素処理を施さないパルプを原料とした紙に比較し
て寸法安定性、光沢度に優れ、かつ修正アルカリ蒸解法
によって製造された未晒パルプを原料とする本発明に基
づく紙は寸法安定性、光沢度及び特にカールに優れてい
る点で顕著な効果を奏する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ蒸解法により製造された未晒パ
    ルプを漂白し、次いで酵素処理し、酵素処理したパルプ
    を抄紙し、得られた湿紙を鏡面ドライヤーで乾燥するこ
    とを特徴とする原紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 修正アルカリ蒸解法により製造された未
    晒パルプを漂白し、次いで酵素処理し、酵素処理したパ
    ルプを抄紙し、得られた湿紙を鏡面ドライヤーで乾燥す
    ることを特徴とする紙の製造方法。
JP5601592A 1992-02-07 1992-02-07 紙の製造方法 Pending JPH05222688A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010089510A (ja) * 1998-06-17 2010-04-22 Nile Fiber Pulp & Paper Inc アルンド・ドナクスのパルプ、紙製品、及びパーティクルボード
US7922705B2 (en) 2005-10-03 2011-04-12 The Procter & Gamble Company Densified fibrous structures and methods for making same

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JP2010089510A (ja) * 1998-06-17 2010-04-22 Nile Fiber Pulp & Paper Inc アルンド・ドナクスのパルプ、紙製品、及びパーティクルボード
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