JPH1025505A - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents

溶銑の脱硫方法

Info

Publication number
JPH1025505A
JPH1025505A JP18340796A JP18340796A JPH1025505A JP H1025505 A JPH1025505 A JP H1025505A JP 18340796 A JP18340796 A JP 18340796A JP 18340796 A JP18340796 A JP 18340796A JP H1025505 A JPH1025505 A JP H1025505A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot metal
desulfurizing agent
mgo
molten iron
desulfurization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18340796A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroaki Nishio
浩明 西尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP18340796A priority Critical patent/JPH1025505A/ja
Publication of JPH1025505A publication Critical patent/JPH1025505A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】Mg脱硫を前提とし、安価で、従来のCaO−
CaF2 系脱硫剤に比べて脱硫剤原単位を低減すること
ができ、かつスラグ発生量を低減することができる脱硫
方法を提供すること。 【解決手段】容器2の底部にAlとMgOとを含む脱硫
剤3を配し、さらにその上に溶銑6を配し、AlとMg
Oとの反応により下部の脱硫剤3からMgを生成させ、
このMgと溶銑中のSとの反応によりMgSを生成さ
せ、これを浮上させて分離し、溶銑を脱硫する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶銑の脱硫方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】現在、溶銑の炉外脱硫には安価なCaO
を主成分とする脱硫剤が広く使用されており、このよう
な脱硫剤として、例えば、95wt%CaO−5wt%
CaF2 がある。
【0003】一方、溶銑の脱硫剤として金属Mgも知ら
れている。金属Mgは、溶銑中のSと容易に反応してM
gSを生成するが、沸点が1107℃と低いので、12
50〜1500℃の溶銑中では激しく気化する。したが
って、Mgを単独で用いると溶銑を飛散させるととも
に、Mg蒸気が十分脱硫に寄与せずに大気中に放散され
ることになる。このため、特開平7−179919号公
報に開示されているように、金属MgをCaOで希釈し
て10〜30wt%のMg濃度に調製した混合粉末を搬
送ガスとともに溶銑中に吹き込む方法が一般的である。
この場合、次に示す(1)式のMgによる脱硫反応およ
び(2)式のCaOによる脱硫反応が並行して進む。
【0004】 〔Mg〕+〔S〕→(MgS) (1) (CaO)+〔S〕→(CaS)+〔O〕 (2) すなわち、Mg蒸気は溶銑に溶解してマグネシウム〔M
g〕となり、溶銑に溶解した硫黄〔S〕と反応して(M
gS)を生成し、溶銑中に懸濁あるいは溶銑浴面に浮上
する。一方、脱硫剤の(CaO)は溶銑に溶解した硫黄
〔S〕と反応して(CaS)を生成し、溶銑中に懸濁あ
るいは溶銑浴面に浮上する。ここで、副生する酸素は溶
銑に溶解して〔O〕となるが、溶銑中のCと反応してC
Oガスとなって散逸する。
【0005】上記(1)式のMg脱硫は(2)式のCa
O脱硫に比べて脱硫速度が大きくMg−CaO全体の脱
硫速度はCaO単独の場合に比べて著しく大きくなる。
すなわち、Mg−CaO吹き込みによる脱硫法を適用す
ると、少ない脱硫剤原単位で短時間に所望の到達〔S〕
が得られる。その結果、スラグ発生量が減る利点があ
り、また、スラグに混入する地金も減少するので、鉄歩
留まりの向上が期待できる。また、処理時間が短いので
処理時の溶銑温度の低下が小さい利点もある。
【0006】しかし、このように数多くの利点があるに
もかかわらず、Mg脱硫は主流とはなっていない。これ
は原料の金属Mgが高価なために安価なCaOを主成分
とする脱硫剤を上回るメリットが見い出せないからであ
る。
【0007】これに対して、特開昭52−50917号
公報には、MgOとAlの反応によってMg蒸気Mg
(g)を発生させる脱硫方法に関し、反応を促進するに
足る熱量を発生する発熱剤をMgOとAlに加えて溶銑
に供給する方法を開示している。ちなみに、この従来技
術では、次の反応を利用している。
【0008】 3MgO+2Al→3Mg(g)+Al23 (3) この方法によれば、金属Mgに比べて極めて安価なMg
Oと比較的安価なAlを主原料とするので、前記のMg
脱硫の採算性の不利を軽減できる可能性がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した特開昭52−
50917号公報の実施態様では、導気管から1〜5L
/minのN2 を流して溶銑鍋内の溶銑に緩やかなバブ
リング状態を生起させながら、投入管よりAlとMgO
と発火剤とからなる脱硫剤を少量ずつ添加し、導気管と
投入管が合流する合流管内の空間部で発火させ、そこで
発生するMg蒸気を溶銑中へ導いて脱硫に供するという
ものである。
【0010】この方法は、(1)AlがN2 と反応して
AlNとなる反応が680℃から先行して生じるので、
AlとMgOとの反応が著しく阻害されること、(2)
Mg蒸気はたとえ発生したとしても合流管の外面に沿っ
て上昇し、溶銑とは接触が不十分となることが問題とな
る。すなわち、Mgの発生がほとんどなく、なおかつ、
発生したMgは溶銑の脱硫に十分利用されていないこと
が問題となる。以上のようなことから、この脱硫方法は
いまだ実用化に至っていない。
【0011】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、Mg脱硫を前提とし、安価で、従来のCaO
−CaF2 系脱硫剤に比べて脱硫剤原単位を低減するこ
とができ、かつスラグ発生量を低減することができる脱
硫方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、次の知見
を得た。 1.Mg蒸気は上記(3)式に従って1500℃以上で
発生するという特開昭52−50917号公報の主張と
は異なり、MgOとAlからMg蒸気を生成する反応は
原料を適正に調製すれば、以下に示す(5)式に従って
900℃から生じさせることができる。すなわち、Mg
OとAlとが反応してMg蒸気が発生し、マグネシア・
アルミナ・スピネル(MgO・Al23 )が残留す
る。
【0013】 4MgO+2Al→3Mg(g)+MgO・Al23 (5) したがって、発熱剤の添加は必要としない。 2.過剰のAlの添加により大気から侵入してくる酸素
をAl23 の形で吸収し、(MgS)の酸化による溶
銑への復硫を防止することができる。過剰のAlは脱硫
剤中に仕込んでも脱硫剤とは別に溶銑へ供給してもよ
い。
【0014】3.溶銑を収容する容器の底部に予め前記
脱硫剤を敷きつめておき、その上部に溶銑を配すること
により、脱硫剤から発生するMgと溶銑の接触が均一と
なり、Mgが脱硫に利用される割合、すなわちMgの利
用率が高くなる。
【0015】本発明は、上述した知見に基づいてなされ
たものであり、第1に、容器の底部にAlとMgOとを
含む脱硫剤を配し、さらにその上に溶銑を配し、Alと
MgOとの反応により下部の脱硫剤からMgを生成さ
せ、このMgと溶銑中のSとの反応によりMgSを生成
させ、これを浮上させて分離することを特徴とする溶銑
の脱硫方法を提供するものである。
【0016】第2に、上記方法において、脱硫剤がMg
O1kgに対してAlが0.340〜1.335kgの
量比を満足し、MgOとAlの合計が70wt%以上で
あることを特徴とする溶銑の脱硫方法を提供するもので
ある。
【0017】第3に、上記いずれかの方法において、脱
硫剤の上に固体鉄源を配し、その上に溶銑を配すること
を特徴とする溶銑の脱硫方法を提供するものである。第
4に、容器の底部にAlとMgOとを含む脱硫剤を配
し、さらにその上に溶銑を配し、AlとMgOとの反応
により下部の脱硫剤からMgを生成させ、このMgと溶
銑中のSとの反応によりMgSを生成させ、これを浮上
させて分離する工程と、容器内の溶銑浴をインペラーを
用いて回転撹拌する工程とを有することを特徴とする溶
銑の脱硫方法を提供するものである。
【0018】以下、本発明について具体的に説明する。
この発明で対象とする溶銑は、高炉、溶融還元炉等で製
造されるものであって、通常、4.2〜4.5wt%
C、0.2〜0.8wt%Si、0.15〜0.8wt
%Mn、0.10〜0.15wt%P、0.02〜0.
06wt%Sの諸成分を含有する。この溶銑に直接脱硫
処理を施すこと、脱珪処理、脱燐処理あるいは脱炭処理
を施してから脱硫処理を施すこと、または、脱燐処理と
脱硫処理を同時に実施することが知られているが、本発
明ではいずれにも適用することができる。
【0019】Al源粉末とMgO源粉末の粒径は両者の
反応性を支配する重要な因子である。粉砕粉は一般的に
粉砕が進むほど粒子形状が単純になり球に近づく傾向が
あることが知られている。一方、Al源粉末内部のAl
は溶融と昇温により膨張する。膨張により表面のアルミ
ナ皮膜には引張応力が働くが、粒子形状が球に近いほど
アルミナ皮膜は変形が困難であり応力を緩和できない。
このため破裂し易くなる。すなわち、Al源粉末は細か
いほどアルミナ皮膜が壊れやすく、Al融液が外部に漏
れて外部のMgOと反応しやすくなる。したがって、A
l源粉末は細かい方が好ましい。具体的には32メッシ
ュの篩通過粉、すなわち、粒径0.5mm以下の粉末を
適用することすることによってAlの反応率を上げるこ
とができる。
【0020】MgO源粉末も細かいほどAl融液との接
触面積が増加するので反応が進みやすくなる。したがっ
て、MgO源粉末は細かい方が好ましくい。具体的には
100メッシュの篩通過粉、すなわち、粒径0.15m
m以下の粉末を適用することすることによってMgOの
反応率を上げることができる。さらに好ましいのは20
0メッシュの篩通過粉、すなわち、粒径0.074mm
以下の粉末を適用することである。
【0021】粒径0.5mm以下のAl源粉末と粒径
0.15mm以下のMgO源粉末の組み合わせが125
0〜1500℃の溶銑温度で(5)式の反応を進行させ
る条件のひとつである。
【0022】 4MgO+2Al→3Mg(g)+MgO・Al23 (5) 本発明に係る脱硫剤は発熱剤を加えることなく(5)式
の反応に従って溶銑温度領域でMg蒸気を発生させるこ
とに特徴がある。
【0023】反応性のよいAl源を選択して粒度を調整
する、細かいMgO粉末を選択する、両者を十分混合し
て良好な接触を確保する、溶銑と接触しても粉化するこ
とのない高強度の成形体に加工することによって、
(5)式の反応は、1250〜1500℃の溶銑温度で
も発熱剤を添加せずに生じさせることができる。
【0024】Al源粉末中のAl濃度は40wt%以上
とすることが望ましい。これは40wt%未満では脱硫
に寄与しない成分が過多となり脱硫剤消費量が増加する
からである。
【0025】Al源粉末としては、アルミニウム地金、
アルミニウムスクラップ、アルミニウム素形材等に切
断、切削、研削等を加える過程で発生する粉末、アトマ
イズAl粉末、アルミニウムドロス粉末等が挙げられ
る。
【0026】MgO源粉末としては、天然マグネシア、
海水マグネシアのいずれも適用することができるが、M
gO濃度88wt%以上とすることが好ましい。これは
88wt%未満ではMg蒸気発生に寄与しない成分が過
多となり好ましくないからである。また、MgO源粉末
として900℃までに熱分解してMgOになる各種のM
gO前駆体を適用してもよい。例えば、Mg(OH)
2 、MgCO3 が挙げられる。ドロマイト(MgCO3
・CaCO3 )を補助的に添加してもよい。
【0027】(5)式の反応に必要なAl量は化学量論
的にはMgO1kg当たり0.335kgであるが、M
gO1kg当たり0.005〜1.0kgの過剰のAl
を配合することが好ましい。過剰のAlは脱硫剤中に配
合してもよい。または脱硫剤とは別にAlを加えてもよ
い。このようにしてAlをMgO1kg当たり0.00
5〜1.0kg過剰に配合することにより、溶銑への復
硫を防止できる。すなわち、浴面に浮上した(MgS)
が、溶銑浴面で大気中の酸素と接触すると、次の(6)
式で示す反応を起こして復硫する。
【0028】 2(MgS)+O2 →2(MgO)+[S] (6) この反応は、浴面に浮遊する脱硫剤中の過剰Alにより
以下の(7)式の反応に従って酸素を捕捉することによ
り抑制することができる。
【0029】 4Al+3O2 (g)→2(Al23 ) (7) また、浴中に懸濁した(MgS)が、大気から溶銑中に
侵入した酸素[O]と反応すると次の(8)式に示す反
応を起こして復硫する。
【0030】 (MgS)+[O]→(MgO)+[S] (8) この反応は浴面に浮遊する脱硫剤中の過剰Alにより以
下の(9)式の反応に従って酸素を捕捉することにより
抑制することができる。
【0031】 2Al+3[O]→(Al23 ) (9) 前記過剰AlがMgO1kg当たり0.005kg未満
となると復硫を抑制する効果が不十分となり好ましくな
い。また、1.0kgを超えるとMgOの量が相対的に
過少となり脱硫剤原単位が上昇するので好ましくない。
このような配合条件は脱硫剤の配合で満足させてもよ
い。この場合、(5)式に従うAlとMgOの化学量論
重量比0.335に過剰Al分を加算してAlとMgO
の重量比が0.340〜1.335の範囲とする。
【0032】さらに、このような脱硫剤はAl源粉末と
MgO源粉末の合計が70wt%以上となるようにする
ことが好ましい。70wt%未満ではMg蒸気の発生が
過少となり好ましくない。残部は必要に応じて添加する
バインダー、他の脱硫性物質等で構成する。
【0033】これら粉末は混合した状態でもよいが、成
形することがより好ましい。これは粉末のままだと容器
に充填するときに発塵し、首尾よく底部に充填すること
が妨げられるからである。
【0034】成形用のバインダーは常温から溶銑温度に
至るまで強度を維持できるものでなければならない。こ
のようなバインダーとしては、フェノール樹脂、フラン
樹脂、コールタールピッチ、糖蜜等のカーボン系バイン
ダー、アルミナ、ジルコニア、マグネシア等の酸化物系
バインダーを適用することができる。エチルシリケー
ト、水ガラス等のシリケート系バインダーは生成するS
iO2 がAlと反応しAlが消費される欠点があるが、
5wt%以下であれば問題はない。
【0035】成形方法には特に制約はない。ペレタイザ
ー等の転動造粒、タブレットマシーン、ブリケッティン
グマシーン等の圧縮成形、押し出し成形、噴霧乾燥造粒
等公知の方法が適用でき、脱硫剤の使用方法に合わせて
選択される。例えばインジョクション用には気流輸送に
適した直径2mm以下の小粒を成形する噴霧乾燥造粒、
インペラー撹拌用には粒径5〜50mmの大粒を成形す
る圧縮成形が適している。
【0036】他の脱硫性物質と組み合わせる場合にはC
aO、Na2 CO3 、CaC2 等との組み合わせが考え
られる。従来技術の金属Mg脱硫ではMgが爆発的に蒸
発するのに対して、(5)式の反応によるMg蒸気の発
生は緩やかである。このため、脱硫剤から発生可能なM
g蒸気を脱硫に有効に利用するには、溶銑と脱硫剤の接
触時間を長くとることが好ましい。この観点から接触時
間の短いインジョクション法よりも脱硫剤を繰り返し溶
銑中に巻き込ませ接触時間を長く取れるインペラー撹拌
法の方がより適している。
【0037】しかし、本発明の方法は、このインペラー
撹拌よりもさらに優れている。すなわち、本発明では、
溶銑収容容器の底部に広くAlとMgOとを含む脱硫剤
を配し、その上に溶銑を配する。このようにすることに
より、溶銑が収容されている間は溶銑と脱硫剤との接触
が保証される。したがって、十分な接触時間を確保する
ことが可能である。また、底部全体からまんべんなくM
gが発生するので、上方にある溶銑と均一な接触が保証
される。したがって、Mgが脱硫に寄与せずに溶銑浴面
の一部から吹き抜けることに基づくMgの損失を抑制す
ることができる。
【0038】脱硫剤の上面に復硫防止剤のAl源を配し
てもよい。これは溶銑と接触し、溶銑中に溶解して溶銑
の一部となる。脱硫剤の層の上に溶銑を直接注ぐと層が
崩されて舞い上がるという好ましくない事態が生じる恐
れがある。そこで、脱硫剤の層の上に緩衝材として固体
鉄源を投入することが好ましい。固体鉄源としては、冷
銑、鉄スクラップ等を適用することができる。これらは
溶銑から熱を受けて溶融して溶銑の一部となる。
【0039】溶銑が供給されると固体鉄源の溶融ととも
に脱硫剤中のAlの溶融が生じる。Alが溶融すると脱
硫剤層は溶融Alにより結合されて一体化する。固体鉄
源の溶融が完了すると、溶銑の静圧が脱硫剤層にかか
り、溶銑と脱硫剤の接触面積が増加する。
【0040】脱硫剤と溶銑との接触界面においては、A
lが溶銑に溶解し、[Al]となり、これがMgOと反
応してMg蒸気が発生せずに直接溶銑に溶融して[M
g]となる以下の(10)式の反応も生じる。
【0041】 4MgO+2[Al]→3[Mg]+MgO・Al23 (10) 前述の(5)式とこの(10)式の反応が並行して生
じ、溶銑に[Mg]を供給する。[Mg]は上述の
(1)式に従って溶銑中に(MgS)を生成し、この
(MgS)は溶銑中を浮上する。一方、脱硫剤層で生成
したMgO・Al23も溶銑の進入によって浮上し、
溶銑浴面に堆積する。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明の実施の形態について説明する。図1〜図3は、本発
明の第1の実施形態の脱硫方法を説明するための図であ
る。図1に示すように、台車1に搭載された溶銑鍋2
に、例えば、Al/MgOの重量比0.40、AlとM
gOの合計が86.9wt%の脱硫剤ブリケット3を底
部全体に行き渡るように350kg投入し、次いで、そ
の上に400kgの市中発生鉄スクラップ4を全面を覆
うように投入する。次に、台車1を高炉の受銑位置に配
してから出銑し、傾注樋5を介して溶銑6を溶銑鍋2で
受け始める。溶銑6はスクラップ4に衝突して横に広が
る。
【0043】そして、図2に示すように、溶銑レベルの
上昇に伴って、スクラップ4の溶融が進行する。同時に
脱硫剤ブリケット3に含まれるAlの溶融も進行し、ブ
リケットの形状は崩れ、溶融Alにより脱硫剤層として
一体化が進行する。そして、図3に示すように、スクラ
ップ4は消失し、溶銑6が直接、脱硫剤層3と接触する
ようになる。脱硫剤層3からはMgが発生し、溶銑中の
Sと反応してMgSとなる。さらに、溶銑6の脱硫剤層
3への浸透により、スピネル(MgO・Al23 )が
溶銑6中を浮上する。MgSとスピネルが浮上すること
により、浴面に堆積層7が形成される。Mgの生成反応
に寄与しない過剰のAlは、溶銑中に溶解して堆積層7
からMgSが前述の(6)式および(8)式に従って復
硫することを防止する。
【0044】次に、インペラー撹拌による溶銑脱硫を付
加した第2の実施形態について説明する。前記図3に示
すように、台車1に搭載された溶銑鍋2に、脱硫の進行
に伴って減量した脱硫剤層3、溶銑6、堆積層7が収容
されている。収容された溶銑6の量は140tである。
この溶銑鍋2を、図4に示すインペラー撹拌式脱硫装置
8が所定の位置に来るように配設し、インペラー撹拌処
理を施す。インペラー撹拌式脱硫装置8は油圧モーター
9、油圧モーター9により回転可能な4枚羽根のインペ
ラー10、バグフィルターに接続される排気口11が脱
硫設備の主な構成要素である。
【0045】実際に溶銑の脱硫を行う際には、まずイン
ペラー10を下降させて溶銑に浸漬し、油圧モーター9
を駆動させてインペラー10を回転させる。並行してバ
グフィルター後の排風機(図示せず)を運転して発生ダ
ストを吸引する。回転数が上がり定常回転数の130r
pmに達したら回転数を一定に保持する。このようにし
て10分間経過した後、油圧モーターの回転数を減じ
る。図3において、炉底部にあった脱硫剤3が浮上して
堆積層7となって溶銑浴面を覆い、静止した時点で溶銑
の脱硫処理は終了となる。
【0046】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 (実施例1)ここでは、アルミニウムドロス粉末と天然
マグネシウム粉末を成形したブリケットを溶銑鍋の底部
に敷いて前述の図1〜図4に示す手順で溶銑の脱硫を実
施した例について示す。
【0047】まず、32メッシュの篩を通過したアルミ
ニウムドロス粉末(52.1wt%Al、4.3%S
i、2.5wt%NaCl)370kg、200メッシ
ュの篩を通過した天然マグネシア粉末(91.0wt%
MgO、3.2wt%CaO、1.0wt%SiO2
0.4wt%Fe23 、0.1wt%Al23 )5
93kg、アルミナ系バインダー50kg(乾量基準3
7kg)を成形し、概略寸法25mm×25mm×15
mmのブリケットを得た。ブリケットの組成は37.0
wt%アルミニウムドロス、59.3wt%天然マグネ
シア、3.7wt%アルミナ系バインダーであり、Al
/MgOの重量比は0.341である。
【0048】一方、復硫防止剤として前記のアルミニウ
ムドロスで概略寸法25mm×25mm×15mmのブ
リケットを200kg製造した。まず、溶銑鍋に脱硫剤
ブリケット350kgを装入して底部全体に広げた。そ
の上に復硫防止剤140kgを同様に装入して底部全体
に広げた。さらにその上に冷銑200kgを装入して底
部全体に広げた。
【0049】次に、この溶銑鍋に高炉の鋳床から溶銑1
40tを受けて、これをインペラー撹拌装置の設置位置
まで台車で輸送した。この間に進行した脱硫の条件およ
び脱硫結果は表1に示すとおりである。受銑開始時の初
期溶銑温度は1470℃溶銑中のSは0.028wt%
であった。40分後および50分後のSは0.004w
t%であり、86%の脱硫率が得られた。
【0050】脱硫剤と復硫防止剤の使用量は溶銑1tあ
たりそれぞれ、2.5kgと1.0kg、合計3.5k
gである。通常CaO系脱硫剤では7〜10kgを消費
するが、これと比べてMgO−Al系脱硫剤の使用量は
著しく少ないことがわかる。
【0051】(実施例2)実施例1の処理に引き続き、
上記溶銑にインペラー撹拌処理を施した。溶銑処理量は
140t、温度1350℃、処理前Sは0.004wt
%である。この溶銑を撹拌してインペラー回転数130
rpmに到達した時点で、10分間その回転数を維持し
た後原則した。この操作により溶銑中のSは0.001
wt%以下に低下し、96%以上の脱硫率が得られた。
【0052】(比較例1)比較例1は従来の95wt%
CaO−5wt%CaF2 脱硫剤によるインペラー式溶
銑脱硫装置での溶銑脱硫に関する。表3に示すように、
脱硫剤消費量が銑鉄1t当たり7.6kgで脱硫率94
%が得られた。この脱硫率は実施例1より高いが実施例
2より低い。すなわち、従来の脱硫剤では、インペラー
撹拌を用いてもSを0.001wt%以下とすることは
困難である。また、脱硫剤消費量は実施例の2倍以上と
多かった。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、AlとM
gOとを含む脱硫剤を溶銑収容容器の底部に敷き、その
上に溶銑を配するようにしたので、AlとMgOとの反
応により下部の脱硫剤から生成したMgと溶銑との均一
な接触が可能となり、少ない脱硫剤消費量で高い脱硫率
を得ることができる。さらにインペラー撹拌処理を追加
することにより、従来法では困難であった極低硫化を実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の脱硫方法を説明する
ための図。
【図2】本発明の第1の実施形態の脱硫方法を説明する
ための図。
【図3】本発明の第1の実施形態の脱硫方法を説明する
ための図。
【図4】本発明の第2の実施形態に用いられるインペラ
ー撹拌の状態を示す図。
【符号の説明】
1……台車 2……溶銑鍋 3……脱硫剤 4……スクラップ 6……溶銑 7……堆積層 8……インペラー撹拌式脱硫装置 10……インペラー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器の底部にAlとMgOとを含む脱硫
    剤を配し、さらにその上に溶銑を配し、AlとMgOと
    の反応により下部の脱硫剤からMgを生成させ、このM
    gと溶銑中のSとの反応によりMgSを生成させ、これ
    を浮上させて分離することを特徴とする溶銑の脱硫方
    法。
  2. 【請求項2】 前記脱硫剤は、MgO1kgに対してA
    lが0.340〜1.335kgの量比を満足し、Mg
    OとAlの合計が70wt%以上であることを特徴とす
    る請求項1に記載の溶銑の脱硫方法。
  3. 【請求項3】 前記脱硫剤の上に固体鉄源を配し、その
    上に溶銑を配することを特徴とする請求項1または請求
    項2に記載の溶銑の脱硫方法。
  4. 【請求項4】 容器の底部にAlとMgOとを含む脱硫
    剤を配し、さらにその上に溶銑を配し、AlとMgOと
    の反応により下部の脱硫剤からMgを生成させ、このM
    gと溶銑中のSとの反応によりMgSを生成させ、これ
    を浮上させて分離する工程と、容器内の溶銑浴をインペ
    ラーを用いて回転撹拌する工程とを有することを特徴と
    する溶銑の脱硫方法。
JP18340796A 1996-07-12 1996-07-12 溶銑の脱硫方法 Pending JPH1025505A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18340796A JPH1025505A (ja) 1996-07-12 1996-07-12 溶銑の脱硫方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18340796A JPH1025505A (ja) 1996-07-12 1996-07-12 溶銑の脱硫方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1025505A true JPH1025505A (ja) 1998-01-27

Family

ID=16135247

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18340796A Pending JPH1025505A (ja) 1996-07-12 1996-07-12 溶銑の脱硫方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1025505A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999016916A1 (fr) * 1997-09-29 1999-04-08 Nkk Corporation Procede de desulfuration de fer en fusion et agent de desulfuration
JP2015151568A (ja) * 2014-02-13 2015-08-24 株式会社神戸製鋼所 脱硫方法
CN115041012A (zh) * 2022-04-15 2022-09-13 吉林宏日新能源股份有限公司 一种生物质锅炉脱硫装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999016916A1 (fr) * 1997-09-29 1999-04-08 Nkk Corporation Procede de desulfuration de fer en fusion et agent de desulfuration
JP2015151568A (ja) * 2014-02-13 2015-08-24 株式会社神戸製鋼所 脱硫方法
CN115041012A (zh) * 2022-04-15 2022-09-13 吉林宏日新能源股份有限公司 一种生物质锅炉脱硫装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100695650B1 (ko) 정련제 및 정련 방법
AU579275B2 (en) Magnesium calcium oxide composite
JP4845078B2 (ja) 溶銑の脱硫方法
JP5045031B2 (ja) 溶銑の脱硫剤及び脱硫処理方法
JP3687433B2 (ja) 溶銑の脱りん方法
US4600434A (en) Process for desulfurization of ferrous metal melts
JP5130663B2 (ja) 溶融鉄の精錬方法
JP2010163697A (ja) 溶銑の脱硫方法
JPH1025505A (ja) 溶銑の脱硫方法
JP3978355B2 (ja) 溶銑の脱硫剤および脱硫方法
JP3588918B2 (ja) 溶銑の脱硫方法および脱硫剤
JP4998691B2 (ja) 金属帯被覆脱硫用ワイヤー及び溶鉄の脱硫処理方法
JP5061598B2 (ja) 溶銑の脱硫方法
JP4453532B2 (ja) 溶銑の脱硫方法
JP4178569B2 (ja) 溶銑の脱硫方法および溶銑の脱硫剤
JPH1088215A (ja) 溶銑の脱硫方法
US3666445A (en) Auxiliary composition for steel-making furnaces
JPH11193416A (ja) 溶鋼の脱硫方法
JP3769875B2 (ja) 鉄系溶融合金の脱硫方法および脱硫剤
JP3733819B2 (ja) 溶銑の脱りん方法
JP3947288B2 (ja) 溶鉄の脱硫方法
RU2087544C1 (ru) Способ десульфурации чугуна и шихта для получения шлакового десульфуратора
RU2729692C1 (ru) Способ выплавки стали в конвертере с комбинированной продувкой
JPH07188728A (ja) 溶鋼の脱硫剤
JPH01270542A (ja) 製鋼還元スラグの崩壊風化防止用改質剤及び製鋼還元スラグの崩壊風化防止方法