JPH1025491A - 油脂組成物の製造方法 - Google Patents

油脂組成物の製造方法

Info

Publication number
JPH1025491A
JPH1025491A JP19979396A JP19979396A JPH1025491A JP H1025491 A JPH1025491 A JP H1025491A JP 19979396 A JP19979396 A JP 19979396A JP 19979396 A JP19979396 A JP 19979396A JP H1025491 A JPH1025491 A JP H1025491A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
fatty acid
melting point
fat
triglyceride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP19979396A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3785467B2 (ja
Inventor
Kazuaki Suzuki
一昭 鈴木
Satoru Kobori
悟 小堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Adeka Corp
Original Assignee
Asahi Denka Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Denka Kogyo KK filed Critical Asahi Denka Kogyo KK
Priority to JP19979396A priority Critical patent/JP3785467B2/ja
Publication of JPH1025491A publication Critical patent/JPH1025491A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3785467B2 publication Critical patent/JP3785467B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Storage Of Fruits Or Vegetables (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライド
(SSU)を高濃度で含む油脂組成物を効率よく製造で
きる方法を提供する。 【解決手段】 (1)(a)主な構成脂肪酸がC16−
24脂肪酸である油脂から得た極度硬化油と、(b)C
16−24不飽和脂肪酸、及び/又はC16−24不飽
和脂肪酸部分とC1−4直鎖アルキル部分とからなる不
飽和脂肪酸アルキルエステルとを混合し、1,3位置特
異性リパーゼを用いてエステル交換反応させ、(2)工
程(1)の生成物からトリグリセライド混合物を分離
し、(3)トリグリセライド混合物から分別により高融
点油と低融点油とを除去し、SSUを含む油脂組成物を
分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油脂組成物の製造
方法に関する。更に詳しくは、1,2−飽和−3−不飽
和トリグリセライドを高濃度で含有する油脂組成物の製
造方法に関する。本明細書において、「1,2−飽和−
3−不飽和トリグリセライド」とは、グリセリンの1,
2位に飽和脂肪酸基がエステル結合し、3位に不飽和脂
肪酸基がエステル結合しているトリグリセライドであ
り、1位と2位の飽和脂肪酸基は同じでも異なってもよ
い。また、本明細書においては、トリグリセライドの1
位と3位の脂肪酸を区別しない。すなわち、1,2−飽
和−3−不飽和トリグリセライドは、1−不飽和−2,
3−飽和トリグリセライドを包含する。こうした「トリ
グリセライド」を、以下、トリグリセライドの1位、2
位及び3位に結合している飽和脂肪酸基(S)及び不飽
和脂肪酸基(U)によって順に標記して表し、例えば、
前記の「1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライド」
を、「SSU」と略称する。
【0002】
【従来の技術】SSUは、天然油脂中に含まれているト
リグリセライドの一種である。SSUを比較的高濃度で
含む油脂としては、例えば、豚脂が挙げられ、その含有
率はおよそ25重量%である。そこで、SSUを高含量
で含む油脂組成物を調製するためには、豚脂中のSSU
を分別法により、濃縮することが考えられる。しかし、
その際、SSU以外のトリグリセライドが大量に副生す
る。副生したトリグリセライドはそのままではSSUの
製造原料として用いることができない上、同程度のヨウ
素価を有する植物油と比較すると、著しく酸化安定性に
劣ることから商品価値が低く、結果としてSSUが高価
になっていた。従って、分別の際に副生するトリグリセ
ライドを効率良く利用する技術の開発が待たれていた。
【0003】同様に、SSUを比較的高濃度で含む油脂
である牛脂(SSU含有率=19重量%)、パーム油
(SSU含有率=6重量%)中のSSUを分別法により
濃縮する場合は、更に大量のSSU以外のトリグリセラ
イドが副生する。また、牛脂やパーム油は、同時に1,
3−飽和−2−不飽和対称型トリグリセライド、すなわ
ち「SUS」(1位と3位の飽和脂肪酸は同じでも異な
ってもよい)を含む。そのSUSの含有率は、牛脂で2
0重量%、パーム油で41重量%であり、SSUとSU
Sは、その結晶化温度が近いため、一般の分別では分離
は困難かつ低収率であり、SUSをほとんど含まずにS
SUの濃度を高めることは困難である。従って、SSU
を高濃度で含み、かつ、SUSの含有率が低い油脂を、
SSU以外の油脂の副生を抑えつつ、安価に製造する方
法の開発が待望されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、SSUを高濃度で含み、かつ、SUSをほとんど含
まない油脂を、SSU以外の油脂の副生を抑えつつ、効
率よく製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的は、本発明に
よる、 (1)(a)主な構成脂肪酸が炭素数16〜24の脂肪
酸である油脂から得た極度硬化油と、(b)炭素数16
〜24の不飽和脂肪酸、及び/又は炭素数16〜24の
不飽和脂肪酸部分と炭素数1〜4の直鎖アルキル部分と
からなる不飽和脂肪酸アルキルエステルとを混合し、
1,3位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交
換反応させる工程、 (2)工程(1)の反応生成物からトリグリセライド混
合物を分離する工程、及び (3)工程(2)で分離されたトリグリセライド混合物
から、分別により、高融点油と低融点油とを除去し、中
融点油として1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライ
ドを含む油脂組成物を分離する工程を含むことを特徴と
する、1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライドを含
有する油脂組成物の製造方法によって達成することがで
きる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の油脂組成物の製造
方法について詳述する。本発明で用いられる「主な構成
脂肪酸が炭素数16〜24の脂肪酸である油脂から得た
極度硬化油」は、前記の油脂を水素添加して得た生成物
である。水素添加される油脂(原料油脂)は、主な構成
脂肪酸が炭素数16〜24の脂肪酸である油脂であれば
特に限定されない。ここで「主な構成脂肪酸」とは、原
料油脂中のトリグリセライドに含まれる脂肪酸の内、8
0モル%以上を占める脂肪酸であり、飽和脂肪酸又は不
飽和脂肪酸のいずれであることもできる。このような原
料油脂としては、例えば、大豆油、ナタネ油、ひまわり
油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ピーナッツ油、
パーム油、カカオ脂、又はシア脂等の植物油、牛脂、又
は豚脂等の動物油脂等、及び、これらの分別油、あるい
はエステル交換油等を挙げることができる。一般にラウ
リン油脂と呼ばれる油脂、例えばヤシ油、パーム核油、
又はババス油等や短鎖脂肪酸を多く含む油脂、例えば乳
脂は、前記の原料油脂に含まれず、本発明方法では使用
することができない。
【0007】前記の原料油脂を水素添加して極度硬化油
とする方法は特に限定されず、原料油脂内のトリグリセ
ライドに含まれる不飽和脂肪酸基のほぼ全てを飽和脂肪
酸基に変えることのできる公知の任意の方法を用いるこ
とができる。例えば、オートクレーブに原料油脂とニッ
ケル触媒を加え、系内に水素を送り込みながら180〜
220℃として、原料油脂内のトリグリセライドに含ま
れる不飽和脂肪酸基のほぼ全てを飽和脂肪酸基に変える
方法を挙げることができる。
【0008】「炭素数16〜24の不飽和脂肪酸」(以
下、単に不飽和高級脂肪酸と称することがある)は、炭
素数が16〜24で、不飽和結合1個以上を含めば、不
飽和結合の数、不飽和結合の位置、又は油糧原料等につ
いては、特に限定されない。具体的には、パルミトオレ
イン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ
−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、
又はドコサヘキサエン酸等を挙げることができる。油脂
からこれら不飽和高級脂肪酸を得る場合、その方法は特
に限定されず、公知の方法、例えば酵素法、又は化学法
による加水分解等を用いることができる。なお、これら
不飽和高級脂肪酸を、単独で、又は同時に2種以上の混
合物として用いることができる。また、不飽和高級脂肪
酸を含んでいる限り、飽和脂肪酸との混合物を用いるこ
とができるが、飽和脂肪酸の含有率は可能な限り低いこ
とが望ましい。
【0009】「炭素数16〜24の不飽和脂肪酸部分と
炭素数1〜4の直鎖アルキル部分とからなる不飽和脂肪
酸アルキルエステル」(以下、単に不飽和高級脂肪酸エ
ステルと称することがある)は、特に限定されず、上記
不飽和高級脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、
プロピルエステル、又はブチルエステル等を挙げること
ができる。これら不飽和高級脂肪酸エステルを得る方法
も特に限定されない。本発明方法では、前記の「炭素数
16〜24の不飽和脂肪酸」(不飽和高級脂肪酸)1種
又はそれ以上と「炭素数16〜24の不飽和脂肪酸部分
と炭素数1〜4の直鎖アルキル部分とからなる不飽和脂
肪酸アルキルエステル」(不飽和高級脂肪酸エステル)
1種又はそれ以上との混合物も使用することができる。
【0010】本発明方法の一態様では、極度硬化油と不
飽和高級脂肪酸及び/又は不飽和高級脂肪酸エステルと
を混合して、エステル交換を実施する。本発明方法の別
の態様では、後述の分別により除去された高融点油及び
低融点油を混合して、エステル交換を実施する。本発明
方法の更に別の態様では、後述の分別により除去された
高融点油及び/又は低融点油と、極度硬化油及び/又は
不飽和高級脂肪酸及び/又は不飽和高級脂肪酸エステル
とを混合して、エステル交換を実施する。混合の方法は
いずれの態様でも任意の公知の方法で行うことができ
る。極度硬化油、不飽和高級脂肪酸、又は不飽和高級脂
肪酸エステルが固化している場合は、任意の方法で融解
して(例えば、加温して)用いることができる。
【0011】混合の比率は、特に限定されないが、前記
の極度硬化油1モルに対し、不飽和高級脂肪酸又は不飽
和高級脂肪酸エステルが、好ましくは1〜4モルであ
る。これより不飽和高級脂肪酸又は不飽和高級脂肪酸エ
ステルの比が大きいと、エステル交換後に得られる生成
物中のSSUの割合が減少し、1,3−不飽和−2−飽
和トリグリセライド、すなわちUSU(1位と3位の不
飽和脂肪酸基は同じであっても異なっていてもよい)の
割合が増加する。その比が小さいとSSUの割合が減少
し1,2,3−飽和トリグリセライド、すなわちSSS
(1位、2位、及び3位の飽和脂肪酸基はそれぞれ同じ
であっても異なっていてもよい)の割合が増加する。
【0012】極度硬化油と、不飽和高級脂肪酸及び/又
は不飽和高級脂肪酸エステルとのエステル交換反応は、
リパーゼを用いて実施する。このエステル交換方法とし
ては、例えば、反応槽に極度硬化油と、不飽和高級脂肪
酸及び/又は不飽和高級脂肪酸エステルと、リパーゼと
を加えて攪拌することによりエステル交換を行う回分法
と、担体に固定化したリパーゼをあらかじめカラムに充
填し、そこに極度硬化油と不飽和高級脂肪酸及び/又は
不飽和高級脂肪酸エステルとの混合物を流すことにより
エステル交換を行う連続法を挙げることができる。本発
明ではどちらの方法を用いてもよいが、リパーゼの有効
利用の面から連続法がより好ましい。
【0013】本発明方法で用いるリパーゼは、1,3位
置特異性を有するリパーゼであれば特に限定されない。
ここで「1,3位置特異性」とは、トリグリセライドの
1位及び/又は3位に結合している脂肪酸基に対して選
択的にエステル交換を行う性質を意味する。このような
1,3位置特異性を有するリパーゼとしては、例えば、
リゾプス属(Rhizopus)に属するリゾプス・デ
レマール(Rhizopus delemar)由来の
リパーゼ、又はムコール属(Mucor)に属するムコ
ール・ミエヘイ(Mucor miehei)由来のリ
パーゼ、ムコール・ジャブニクス(Mucor jav
anics)由来のリパーゼ等を挙げることができる。
これらの酵素は、修飾されていてもよく、また、粉末状
でも担体に固定化されていてもよい。なお、連続法では
担体に固定化されているものが好ましい。この際の担体
は、材質又は形状等について特に限定されず、例えば、
ケイ藻土を用いることができる。
【0014】エステル交換反応の温度や時間等の条件
は、反応方法、反応に用いる油脂(すなわち、極度硬化
油、不飽和高級脂肪酸又は不飽和高級脂肪酸エステル)
の融点、又は酵素活性等を考慮し、適宜設定することが
できる。なお、上記エステル交換反応を実施する際に、
有機溶媒を加えて反応温度を下げることができる。用い
ることのできる有機溶媒は、リパーゼのエステル交換活
性を極端に低下させなければ特に限定されず、例えばノ
ルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、シクロヘキサン、
イソオクタン、又はジイソプロピルエーテル等を挙げる
ことができる。用いる有機溶媒の量は、リパーゼのエス
テル交換活性を極端に低下させなければ特に限定されな
い。得られた反応物から、必要に応じて有機溶媒を除去
する。溶媒の除去方法は、用いた溶媒に対応した公知の
任意の方法(例えば、減圧留去)によって行うことがで
きる。
【0015】場合により溶媒を除去した後、エステル交
換に不飽和高級脂肪酸及び/又は不飽和高級脂肪酸エス
テルを使用した場合は、エステル交換反応生成物から、
トリグリセライド混合物以外の不飽和高級脂肪酸又は不
飽和高級脂肪酸エステルを分離する。分離の方法として
は、例えば、水蒸気蒸留法などの方法を用いることがで
きるが、流下薄膜式分子蒸留装置がこれらの分離効率に
優れているので好ましい。
【0016】エステル交換反応生成物から不飽和高級脂
肪酸及び/又は不飽和高級脂肪酸エステルを分離し、こ
うして回収されたトリグリセライド混合物は、そのほと
んどが目的とするSSUと、それ以外のSSS及びUS
Uとからなるので、トリグリセライド混合物からSSS
及びUSUを分別により除く。
【0017】分別の方法としては、例えば、溶媒を加え
ずにトリグリセライド混合物を冷却して、分離する自然
分別法と、有機溶媒とトリグリセライド混合物とを混合
してから冷却して、分離する溶剤分別法とを挙げること
ができる。目的画分中のSSUの濃度を高める点で、溶
剤分別法がより好ましい。この溶剤分別法で用いる有機
溶剤は、特に限定されず、例えば、アセトン、又はノル
マルヘキサン等を挙げることができる。温度等の分別条
件は、目的とするSSUの脂肪酸組成、又は分別の方法
等により異なり、適宜設定する必要がある。上記手順に
より、トリグリセライド混合物を温度により高融点油、
中融点油及び低融点油の3つの画分に分画する。この中
融点油が、本発明方法による目的の油脂組成物である。
各分画の温度は、エステル交換した油脂、不飽和高級脂
肪酸及び不飽和高級脂肪酸エステルの脂肪酸組成により
適宜設定することができる。
【0018】分別により除かれた高融点油及び低融点油
は、それぞれSSS及びUSUを高率で含有する。これ
らの各画分は、本発明の別の態様において、エステル交
換反応の原料として使用することができる。この場合、
エステル交換反応の原料としては、高融点油及び/又は
低融点油のみとしてもよいし、高融点油及び/又は低融
点油の他に、前記の極度硬化油、前記の不飽和高級脂肪
酸又は前記の不飽和高級脂肪酸エステルの1種又は2種
以上を混合して用いてもよい。いずれの場合も、高融点
油及び/又は低融点油を更に水素添加する必要はない。
エステル交換反応を実施した後は、前記と同様の操作に
よって以下の工程を実施することにより、目的とするS
SUを高含有量で含む油脂組成物を得ることができる。
【0019】本発明方法により製造される油脂組成物
は、SSUを一般に70重量%以上の高含有量で含み、
しかもSUSの含有率は一般に5重量%未満である。ま
た、本発明方法では、用いる極度硬化油の脂肪酸組成、
あるいは不飽和高級脂肪酸及び/又は不飽和高級脂肪酸
エステルの脂肪酸の種類を適宜変更することにより、所
望の脂肪酸組成をもつ油脂組成物を得ることができる。
また、本発明方法では、前記の一連の工程を繰り返すこ
とにより、最初に原料として用いた極度硬化油とほぼ同
量の、SSUを高濃度で含む油脂組成物を得ることがで
き、SSUを安価に製造することができる。
【0020】本発明の油脂組成物は、例えば、ショート
ニング、マーガリン、ファットスプレッド、フライ油、
ハードバター等の全量若しくは一部に配合して使用する
ことができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1 (1)大豆油1.5kgを水素添加し、極度硬化大豆油
を得た。すなわち、大豆油(ヨウ素価=128.3)
1.5kgとニッケル触媒〔SO−110;堺化学
(株)製)〕7.5gをオートクレーブに入れ、水素添
加(反応温度=200℃;攪拌速度=600rpm;水
素圧=4kg/cm2;硬化時間=1時間)を行った。
触媒をろ過した後、ヨウ素価を測定したところ、0.2
であった。これを常法により、脱色・脱臭して精製極度
硬化大豆油を得た。
【0022】(2)この精製極度硬化大豆油1kgと、
オレイン酸(炭素数18で二重結合1つを含む不飽和脂
肪酸)メチルエステル0.9kg(すなわち、精製極度
硬化大豆油1モルに対し、オレイン酸メチルエステル
2.7モル)と、ノルマルヘキサン3.8kgとを55
℃に保った反応槽に仕込み、撹拌羽根によって撹拌しな
がら1,3特異性粉末リパーゼ(リゾプス属起源;担体
はケイ藻土)100gを加え、24時間エステル交換反
応を行った。濾過によりリパーゼを除き、ノルマルヘキ
サンをエバポレータによって除いた後、流下薄膜式分子
蒸留装置(蒸留温度=200℃;真空度=0.008T
orr)により油脂と脂肪酸メチルエステルとを分離
し、油脂1kgを得た。次に、上記で得られた油脂のア
セトンによる溶剤分別を行った。油脂(1kg)と油脂
の3倍量のアセトン(3kg)とをガラス製フラスコに
入れ、分別温度を25℃として高融点油の分別を行い、
高融点油(205g)を除いた。アセトンを追加し、残
った油脂に対して4倍量(重量比)とし、分別温度を5
℃として低融点油の分別を行い、低融点油(385g)
を除いた。このようにして中融点油、すなわち本発明に
よる油脂組成物(S−1)を410g得た。
【0023】(3)得られた油脂組成物(S−1)は、
高速液体クロマトグラフィーでトリグリセライド組成を
調べたところ、SSU又はSUS(以下S2Uと表わ
す)を78%含んでいた。更に、S2Uの2位置の脂肪
酸組成を調べたところ、ほぼすべてが飽和脂肪酸であっ
た。従って、本発明による油脂組成物(S−1)に占め
るSSUの割合は78%という高率で、かつ、SUSを
ほとんど含んでいなかった。
【0024】実施例2 (1)実施例1(1)と同様の工程を行い、精製極度硬
化大豆油を得た。 (2)この精製極度硬化大豆油1kgとオレイン酸(炭
素数18で二重結合1つを含む不飽和脂肪酸)メチルエ
ステル0.9kg(すなわち、精製極度硬化大豆油1モ
ルに対し、オレイン酸メチルエステル2.7モル)とノ
ルマルヘキサン1.9kgを加温下で混合し、1,3特
異性固定化リパーゼ(リゾプス属起源;担体はケイ藻
土)100gを充填して55℃に保ったカラムに通して
エステル交換反応を行った。ノルマルヘキサンをエバポ
レータによって除いた後、流下薄膜式分子蒸留装置(蒸
留温度=200℃;真空度=0.008Torr)によ
り油脂と脂肪酸メチルエステルを分離し、油脂1kgを
得た。次に上記油脂のアセトンによる溶剤分別を行っ
た。油脂(1kg)と油脂の3倍量のアセトン(3k
g)をガラス製フラスコに入れ、分別温度を25℃とし
て高融点油の分別を行い、高融点油(205g)を除い
た。アセトンを追加し、残った油脂に対して4倍量(重
量比)とし、分別温度を5℃として低融点油の分別を行
い、低融点油(385g)を除いた。このようにして中
融点油、すなわち本発明による油脂組成物(S−2A)
420gを得た。実施例1(3)と同様の方法でトリグ
リセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したとこ
ろ、得られた本発明による油脂組成物(S−2A)は、
高速液体クロマトグラフィーでトリグリセライド組成を
調べたところ、S2Uを76%含んでいた。また、S2
Uの2位置の脂肪酸組成を調べたところ、ほぼすべてが
飽和脂肪酸であった。従って、本発明による油脂組成物
(S−2A)に占めるSSUの割合は76%という高率
で、かつ、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0025】(3)次に、実施例2(2)の分別により
除いた高融点油と低融点油を混合し(混合比は1:1.
9)、ノルマルヘキサンを等量(重量比)加え、1,3
特異性固定化リパーゼ(リゾプス属起源;担体はケイ藻
土)100gを充填して55℃に保った実施例2(1)
で用いたカラムに通してエステル交換反応を行った。ノ
ルマルヘキサンをエバポレータにより除いた後、実施例
2(2)のアセトンによる溶剤分別と同様の操作で、こ
の油脂のアセトンによる溶剤分別を行い、高融点油及び
低融点油を除去した。このようにして中融点油、すなわ
ち本発明による油脂組成物(S−2B)250gを得
た。
【0026】(4)得られた本発明による油脂組成物
(S−2B)は、高速液体クロマトグラフィーでトリグ
リセライド組成を調べたところ、S2Uを81%含んで
いた。また、S2Uの2位置の脂肪酸組成を調べたとこ
ろ、ほぼすべてが飽和脂肪酸であった。従って、本発明
による油脂組成物(S−2B)に占めるSSUの割合は
81%という高率で、かつ、SUSをほとんど含んでい
なかった。
【0027】(5)このとき溶剤分別により除去された
高融点油及び低融点油は再度SSUの製造に使用が可能
であり、前記実施例2(3)と同様の操作を繰り返すこ
とで、原料とした極度硬化油とほぼ同量の,SSUを高
濃度で含む油脂を得ることができた。
【0028】実施例3 (1)大豆油をハイエルシン菜種油(ヨウ素価=11
3.1)に変更すること以外は、実施例1(1)と同様
の操作によって水素添加、触媒ろ過及び脱色・脱臭を行
い、精製極度硬化ハイエルシン菜種油(ヨウ素価=1.
0)を得た。
【0029】(2)この精製極度硬化ハイエルシン菜種
油1kgとオレイン酸メチルエステル0.8kg(すな
わち、精製極度硬化ハイエルシン菜種油1モルに対し、
オレイン酸メチルエステル2.6モル)とノルマルヘキ
サン1.8kgを加温下で混合し、1,3特異性固定化
リパーゼ(リゾプス起源;担体はケイ藻土)100gを
充填して55℃に保ったカラムに通してエステル交換反
応を行った。ノルマルヘキサンをエバポレータにより除
去し、油脂と脂肪酸メチルエステルを流下薄膜式分子蒸
留装置(蒸留温度=200℃;真空度=0.008To
rr)により分離し、油脂1kgを得た。次にアセトン
による溶剤分別を行った。油脂(1kg)と油脂の3倍
量のアセトン(3kg)をガラス製フラスコに入れ、分
別温度を27℃として高融点油の分別を行い、高融点油
(215g)を除いた。アセトンを追加し、残った油脂
に対して4倍量(重量比)とし、分別温度を6℃として
低融点油の分別を行い、低融点油(370g)を除い
た。このようにして中融点油、すなわち本発明による油
脂組成物(S−3A)415gを得た。
【0030】(3)実施例1(3)と同様の操作でトリ
グリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したとこ
ろ、この油脂組成物はSSUを72%含み、SUSをほ
とんど含んでいなかった。
【0031】(4)更に、実施例3(2)の分別により
除いた高融点油と低融点油を混合(混合比は1:1.
9)し、ノルマルヘキサンを等量(重量比)加え、55
℃に保った実施例3(2)のカラムに通してエステル交
換反応を行った。エステル交換反応後、ノルマルヘキサ
ンをエバポレータによって除いた。次いで、実施例3
(2)のアセトンによる溶剤分別と同様の操作でアセト
ンによる溶剤分別を行い、高融点油及び低融点油を除
き、中融点油すなわち本発明による油脂組成物(S−3
B)245gを得た。
【0032】(5)実施例1(3)と同様の操作でトリ
グリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したとこ
ろ、この油脂組成物はSSUを73%含み、SUSをほ
とんど含んでいなかった。
【0033】(6)このとき溶剤分別により除去された
高融点油及び低融点油は再度SSUの製造に使用が可能
であり、前記操作を繰り返すことで、原料とした極度硬
化油とほぼ同量の、SSUを高濃度で含む油脂を得るこ
とができた。
【0034】実施例4 (1)実施例1(1)と同様の操作により得た精製極度
硬化大豆油1kgとドコサヘキサエン酸1kg(すなわ
ち、精製極度硬化大豆油1モルに対し、ドコサヘキサエ
ン酸2.7モル)とノルマルヘキサン2kgとを加温下
で混合し、1,3特異性固定化リパーゼ(リゾプス属起
源;担体はケイ藻土)100gを充填して55℃に保っ
たカラムに通してエステル交換反応を行った。ノルマル
ヘキサンをエバポレータにより除去し、流下薄膜式分子
蒸留装置(蒸留温度=210℃;真空度=0.007T
orr)により油脂と脂肪酸の分離を行い、油脂1kg
を得た。次に上記油脂のアセトンによる溶剤分別を行っ
た。油脂(1kg)と油脂の3倍量のアセトン(3k
g)をガラス製フラスコに入れ、分別温度を24℃とし
て高融点油の分別を行い、高融点油(190g)を除い
た。アセトンを追加し、残った油脂に対して4倍量(重
量比)とし、分別温度を−19℃として低融点油の分別
を行い、低融点油(375g)を除いた。このようにし
て本発明による油脂組成物(S−4A)435gを得
た。
【0035】(2)実施例1(3)と同様の操作でトリ
グリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したとこ
ろ、この油脂組成物はSSUを73%含み、SUSをほ
とんど含んでいなかった。
【0036】(3)更に、本実施例4(1)の分別によ
り除いた高融点油と低融点油を混合(混合比は1:2.
0)し、ノルマルヘキサンを等量(重量比)加え、1,
3特異性固定化リパーゼ(リゾプス起源;担体はケイ藻
土)100gを充填して55℃に保ったカラムに通して
エステル交換反応を行った。エステル交換反応後、ノル
マルヘキサンをエバポレータによって除いた。次いで、
実施例4(1)のアセトンによる溶剤分別と同様の操作
によってアセトンによる溶剤分別を行い、高融点油及び
低融点油を除き、中融点油すなわち本発明による油脂組
成物(S−4B)255gを得た。
【0037】(4)実施例1(3)と同様の操作でトリ
グリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したとこ
ろ、この油脂組成物はSSUを73%含み、SUSをほ
とんど含んでいなかった。
【0038】(5)このとき溶剤分別により除去された
高融点油及び低融点油は再度SSUの製造に使用が可能
な組成であり、前記操作を繰り返すことで、原料とした
極度硬化油とほぼ同量の、SSUを高濃度で含む油脂を
得ることができた。
【0039】比較例1 1,3特異性のない固定化リパーゼ(カンディダ属起
源;担体はケイ藻土)を用いたこと以外は実施例2
(1),(2)と同様の工程を行い、中融点油である油
脂組成物(C−1)320gを得た。
【0040】得られた油脂組成物(C−1)は、そのト
リグリセライド組成を実施例1(3)と同様に調べたと
ころ、S2Uを76%含んでいた。しかし、S2Uの2
位置の脂肪酸組成を調べたところ、不飽和脂肪酸(オレ
イン酸)を33%含んでいた。従って油脂組成物(C−
1)に占めるSSUの割合は51%であった。また、分
別温度を変化させても、SSUの割合は51%以上とは
ならなかった。これに対し、本発明方法(実施例1)に
よって得られる油脂組成物(S−2A)のSSUの割合
は76%であり、著しく高く、優れていた。
【0041】更に、このとき溶剤分別により除去された
高融点油及び低融点油に対して、1,3特異性のない固
定化リパーゼ(カンディダ属起源;担体はケイ藻土)を
用いたこと以外は実施例2(3)と同様の工程を行った
が、SSUを高濃度で含む油脂を得ることはできなかっ
た。
【0042】比較例2 精製極度硬化大豆油1kgに対して、オレイン酸メチル
エステルを0.2kg〔精製極度硬化大豆油:オレイン
酸メチルエステル=1:0.6(モル比)〕とし、n−
ヘキサンを1.2kgとしたこと以外は実施例2(2)
と同様の工程を行い、中融点油である油脂組成物(C−
2A)360gを得た。
【0043】得られた油脂組成物(C−2A)のトリグ
リセライド組成を調べたところ、S2Uが52%しか含
まれていなかった。これに対して、本発明方法(実施例
2)によって得られる油脂組成物(S−2A)のSSU
の割合は76%であり、著しく高く、優れていた。ま
た、アセトンを油脂に対して8倍量(重量比)とし、分
別温度を25℃として高融点油の分別を行ったこと以外
は実施例2(2)と同様の操作を行い、中融点油である
油脂組成物(C−2B)を得た。この油脂組成物(C−
2B)はS2Uを71%含んでいたが、230gしか得
られなかった。これに対して、実施例2に記載の本発明
方法によれば、油脂組成物(S−2A)のSSUの割合
は76%、生成量は420gと、効率が著しく高く、優
れていた。
【0044】比較例3 実施例1(1)と同様の操作を行って得られた精製極度
硬化大豆油1kgとオレイン酸メチルエステル2kg
〔精製極度硬化大豆油:オレイン酸メチルエステル=
1:6(モル比)〕、n−ヘキサン3kgを加温下で混
合し、実施例2(2)と同様の条件でエステル交換反応
及び脱溶剤、分子蒸留を行い、油脂1kgを得た。更に
実施例2(2)の溶剤分別と同様の操作で溶剤分別を行
い、中融点油である油脂組成物(C−3)を得た。油脂
組成物(C−3)はS2Uを77%含んでいたが、23
5gしか得られなかった。これに対し、本発明の実施例
1によれば油脂組成物(S−1)の生成量は410gで
あり、明らかに効率が高く、優れていた。なお、溶剤分
別の条件を変えても、S2Uの割合を下げずに中融点油
を増やすことはできなかった。
【0045】実施例5 (1)パーム油(ヨウ素価=49.2)を実施例1
(1)と同様の方法で水素添加してから、精製を行い、
精製極度硬化パーム油とした。ヨウ素価は0.5であっ
た。
【0046】(2)この精製極度硬化パーム油1kgと
リノール酸0.5kg〔精製極度硬化パーム油:リノー
ル酸=1:1.5(モル比)〕、イソオクタン1.5k
gとを加温下で混合して油脂溶媒混合物とし、1,3特
異性固定化リパーゼ(ムコール属起源;担体はケイ藻
土)100gを充填して55℃に保ったカラムに通して
エステル交換反応を行った。エバポレータによりイソオ
クタンを除去し、流下薄膜式分子蒸留装置(蒸留温度=
210℃;真空度=0.009Torr)により油脂と
脂肪酸の分離を行い、油脂1kgを得た。次に上記油脂
のアセトンによる溶剤分別を行った。油脂(1kg)と
5倍量のアセトン(5kg)をガラス製フラスコに入
れ、分別温度を23℃として高融点油の分別を行い、高
融点油(390g)を除いた。アセトンを油脂に対して
3倍量(重量比)とし、分別温度を−2℃として低融点
油の分別を行い、低融点油(210g)を除き、中融点
油、すなわち本発明による油脂組成物(S−5A)40
0gを得た。
【0047】(3)実施例1(3)と同様の操作でトリ
グリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したとこ
ろ、この油脂組成物(S−5A)はSSUを75%含
み、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0048】(4)次に上記(2)の分別により除いた
高融点油390g、低融点油210g、精製極度硬化パ
ーム油400g、リノール酸240g、及びイソオクタ
ン1.2kgを加温下で混合して油脂溶媒混合物とし、
1,3特異性固定化リパーゼ(ムコール属起源;担体は
ケイ藻土)100gを充填して55℃に保ったカラムに
通してエステル交換反応を行った。イソオクタンをエバ
ポレータによって除いた後、流下薄膜式分子蒸留装置
(蒸留温度=210℃;真空度=0.009Torr)
により油脂と脂肪酸の分離を行い、油脂を得た。次に、
実施例5(2)のアセトンによる溶剤分別と同様の操作
でアセトンによる溶剤分別を行い、高融点油及び低融点
油を除き、中融点油、すなわち本発明による油脂組成物
(S−5B)400gを得た。
【0049】(5)実施例1(3)と同様の操作でトリ
グリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したとこ
ろ、この油脂組成物(S−5B)はSSUを75%含
み、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0050】(6)上記の分別により再度除いた高融点
油及び低融点油と、精製極度硬化パーム油及びリノール
酸を混合し、エステル交換以下の工程を繰り返すことに
より、ほぼ同一組成かつ同量の油脂組成物を繰り返し製
造することが可能であった。
【0051】実施例6 (1)実施例5(1)と同様にして得た精製極度硬化パ
ーム油1kgとα−リノレン酸0.5kg〔精製極度硬
化パーム油:α−リノレン酸=1:1.5(モル
比)〕、イソオクタン1.5kgとを加温下で混合して
油脂溶媒混合物とし、1,3特異性固定化リパーゼ(ム
コール属起源;担体はケイ藻土)100gを充填した4
5℃に保ったカラムに通してエステル交換反応を行っ
た。イソオクタンをエバポレータにより除いた後、流下
薄膜式分子蒸留装置(蒸留温度=200℃;真空度=
0.008Torr)により油脂と脂肪酸を分離し、油
脂1kgを得た。次に上記油脂のアセトンによる溶剤分
別を行った。油脂(1kg)と3倍量のアセトン(3k
g)をガラス製フラスコに入れ、分別温度を23℃とし
て高融点油の分別を行い、高融点油(365g)を除い
た。アセトンを追加して油脂に対して4倍量(重量比)
とし、分別温度を−7℃として低融点油の分別を行い、
低融点油(215g)を除き、中融点油、すなわち本発
明による油脂組成物(S−6A)を420g得た。
【0052】(2)実施例1(3)と同様の操作でトリ
グリセライド組成及び2位置脂肪酸組成を分析したとこ
ろ、この油脂組成物(S−6A)はSSUを75%含
み、SUSをほとんど含んでいなかった。
【0053】(3)次に上記の操作を別に更に2組行
い、3組の合計で、中融点油、すなわち本発明による油
脂組成物(S−6A)を1255g、高融点油を110
0g、低融点油を645g得た。
【0054】(4)この高融点油、低融点油及びイソオ
クタン1.8kgを加温下で混合して油脂溶媒混合物と
し、1,3特異性固定化リパーゼ(ムコール属起源;担
体はケイ藻土)100gを充填して45℃に保ったカラ
ムに通してエステル交換反応を行った。イソオクタンを
エバポレータによって除いた後、実施例6(1)のアセ
トンによる溶剤分別と同様の操作でアセトンによる溶剤
分別を行い、高融点油及び低融点油を除き、中融点油、
すなわち本発明による油脂組成物(S−6B)715g
を得た。
【0055】(5)実施例1(3)と同様の操作でトリ
グリセライド組成及び2位置脂肪酸組成分析したとこ
ろ、この油脂組成物はSSUを77%含み、SUSをほ
とんど含んでいなかった。
【0056】(6)上記の分別により再度除いた高融点
油と低融点油を混合し、エステル交換以下の工程を繰り
返し、SSUに富む油脂組成物を得ることが可能であっ
た。
【0057】実施例7 (1)豚脂(ヨウ素価=62.6)を実施例1(1)と
同様の方法で水素添加してから、精製を行い、精製極度
硬化豚脂とした。ヨウ素価は0.2であった。ナタネ
(カノーラ)油2kg、水2kg及び1,3特異性のな
い粉末リパーゼ(キャンディダ属起源)40gを、30
℃に保った反応槽に仕込み、攪拌しながら24時間反応
させた。ろ過によりリパーゼを除き、グリセリン水を分
離した後、流下薄膜式分子蒸留装置(蒸留温度=190
℃;真空度=0.010Torr)により脂肪酸を得
た。この脂肪酸の組成を表3に示す。
【0058】(2)次に精製極度硬化豚脂1kgと前述
のナタネ脂肪酸1.2kg〔精製極度硬化豚脂:ナタネ
脂肪酸=1:3.6(モル比)〕を加温下で混合し、
1,3特異性耐熱固定化リパーゼ(アルカリゲネス属起
源;担体はケイ藻土)100gを充填して75℃に保っ
たカラムに通してエステル交換反応を行った。これを流
下薄膜式分子蒸留装置(蒸留温度=200℃;真空度=
0.008Torr)により油脂と脂肪酸に分離し、油
脂1kgを得た。次に上記油脂をアセトンにより溶剤分
別した。油脂(1kg)と3倍量のアセトン(3kg)
をガラス製フラスコに入れ、分別温度を25℃として高
融点油の分別を行い、高融点油を除いた。アセトンを追
加し、油脂に対して4倍量(重量比)とし、分別温度を
−6℃として低融点油の分別を行い、低融点油を除き、
中融点油、すなわち本発明による油脂組成物(S−7
A)390gを得た。
【0059】(3)得られた油脂組成物を液体クロマト
グラフィーにかけてトリグリセライド組成を調べたとこ
ろ、S2Uを76%含んでいた。この画分を分取して更
に詳しく調べたところ、SSL(S:ステアリン酸、
L:リノール酸)とOSO(O:オレイン酸)が分離で
きていなかったため、USUを4%含んでいた。更に、
この油脂の2位置の脂肪酸組成を調べたところ、不飽和
脂肪酸を1.1%含んでいた。よって、この油脂はSU
Sを1%、SSUを71%含んでいた。
【0060】(4)次に、実施例7(2)の分別によっ
て除いた高融点油(185kg)と低融点油(425k
g)を混合し、75℃に保った前述のカラムに通してエ
ステル交換反応を行った。次いで、実施例7(2)のア
セトンによる溶剤分別と同様の操作でアセトンによる溶
剤分別を行い、高融点油及び低融点油を除き、中融点
油、すなわち本発明による油脂組成物(S−7B)を2
40g得た。
【0061】(5)得られた油脂組成物を液体クロマト
グラフィーにかけ、トリグリセライド組成を調べたとこ
ろ、S2Uと思われる画分を78%含んでいた。この画
分を分取して更に詳しく調べたところ、USUを4%含
んでいた。更に、この油脂の2位置脂肪酸組成を調べた
ところ、不飽和脂肪酸を1.3%含んでいた。よって、
この油脂はSUSを1%、SSUを73%含んでいた。
【0062】(6)なお、上記の分別により再度除いた
高融点油と低融点油を混合し、エステル交換反応以下の
工程を繰り返すことで、原料とした極度硬化油とほぼ同
量の、SSUを高濃度で含む油脂を得ることができた。
【0063】比較例4 豚脂1kgを実施例5(2)と同様の条件で溶剤分別し
た。中融点油(C−4A)は230gしか得られなかっ
た。実施例5では(S−5A)が400g得られてお
り、本発明は従来の溶剤分別法に比して、著しく優れて
いた。また中融点油(C−4A)はS2Uを78%含ん
でいたが、S2U画分を分取して2位置脂肪酸組成を調
べたところ、不飽和脂肪酸を12%含んでいた。つま
り、この中融点油(C−4A)はSSUを69%しか含
まない一方、SUSを9%も含んでいた。このように、
本発明の油脂組成物は従来の溶剤分別法に比して、SS
Uの含有率は高い一方、SUSの含有率は低く、優れて
いた。次に前述の分別によって除いた高融点油(80k
g)と低融点油(690kg)を混合し、実施例5
(4)と同様にしてエステル交換反応を行った。次い
で、実施例5(4)と同様の条件で溶剤分別した。中融
点油(C−4B)は185g得られ、S2Uを78%含
んでいた。この油脂の2位置脂肪酸組成を調べたとこ
ろ、26%が不飽和脂肪酸だった。また、分別条件を変
えてもSSUの割合が増加することはなかった。このよ
うに、豚脂を分別した高融点油と低融点油を用いてSS
Uを製造してもその効率は低く、本発明は高い効率でS
SUを製造することができ、はるかに優れている。
【0064】前記の実施例1〜7及び比較例1〜4で調
製した各油脂組成物のトリグリセライドの組成(重量
%)を表1に示し、それらの各油脂組成物の2位置脂肪
酸組成(重量%)及び全脂肪酸組成(重量%)を表2に
示す。更に、前記実施例7で調製したナタネ脂肪酸の脂
肪酸組成(重量%)を表3に示す。表2及び表3におい
て、脂肪酸の種類を炭素数(C)と二重結合の数(U)
により、「C:U」の形式で示す。例えば、オレイン酸
は、炭素数が18個で、二重結合数は1個であるので、
「18:1」と示し、リノール酸は、炭素数が18個
で、二重結合数は2個であるので、「18:2」と示
す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【発明の効果】本発明方法では、構成脂肪酸基が実質的
に全て飽和脂肪酸基からなるトリグリセライドに対し
て、1,3位置特異性を有するリパーゼを用いて、1,
3位置のみに選択的に不飽和脂肪酸基をエステル交換反
応によって導入してトリグリセライド混合物を生成し、
このトリグリセライド混合物から目的とするSSUを分
離する。従って、前記のトリグリセライド混合物には、
目的とするSSUと近い結晶化温度を有するSUSが実
質的に含まれていない。従って、SSUを高濃度で含
み、かつSUSをほとんど含まない油脂組成物を、SS
U以外の油脂の副生を抑えつつ、効率よく製造すること
ができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)(a)主な構成脂肪酸が炭素数1
    6〜24の脂肪酸である油脂から得た極度硬化油と、
    (b)炭素数16〜24の不飽和脂肪酸、及び/又は炭
    素数16〜24の不飽和脂肪酸部分と炭素数1〜4の直
    鎖アルキル部分とからなる不飽和脂肪酸アルキルエステ
    ルとを混合し、1,3位置特異性を有するリパーゼを用
    いてエステル交換反応させる工程、 (2)工程(1)の反応生成物からトリグリセライド混
    合物を分離する工程、及び (3)工程(2)で分離されたトリグリセライド混合物
    から、分別により、高融点油と低融点油とを除去し、中
    融点油として1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライ
    ドを含む油脂組成物を分離する工程を含むことを特徴と
    する、1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライドを含
    有する油脂組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 工程(1)において、工程(3)で得ら
    れた高融点油及び/又は低融点油を更に混合する、請求
    項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 (1)(a)請求項1又は2に記載の方
    法の工程(3)で得られた低融点油と、(b)請求項1
    又は2に記載の方法の工程(3)で得られた高融点油、
    及び/又は主な構成脂肪酸が炭素数16〜24の脂肪酸
    である油脂から得た極度硬化油とを混合し、1,3位置
    特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させ
    る工程、 (2)工程(1)で得られたトリグリセライド混合物か
    ら、分別により、高融点油と低融点油とを除去し、中融
    点油として1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライド
    を含む油脂組成物を分離する工程を含むことを特徴とす
    る、1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライドを含有
    する油脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 工程(1)において、工程(2)で得ら
    れた高融点油及び/又は低融点油を更に混合する、請求
    項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 (1)(a)請求項1又は2に記載の方
    法の工程(3)で得られた高融点油と、(b)請求項1
    又は2に記載の方法の工程(3)で得られた低融点油、
    及び/又は炭素数16〜24の不飽和脂肪酸、及び/又
    は炭素数1〜4の直鎖アルキル部分とからなる不飽和脂
    肪酸アルキルエステルとを混合し、1,3位置特異性を
    有するリパーゼを用いてエステル交換反応させる工程、 (2)工程(1)の反応生成物からトリグリセライド混
    合物を分離する工程、及び (3)工程(2)で分離されたトリグリセライド混合物
    から、分別により、高融点油と低融点油とを除去し、中
    融点油として1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライ
    ドを含む油脂組成物を分離する工程を含むことを特徴と
    する、1,2−飽和−3−不飽和トリグリセライドを含
    有する油脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 工程(1)において、工程(3)で得ら
    れた高融点油及び/又は低融点油を更に混合する、請求
    項5に記載の方法。
JP19979396A 1996-07-10 1996-07-10 油脂組成物の製造方法 Expired - Fee Related JP3785467B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19979396A JP3785467B2 (ja) 1996-07-10 1996-07-10 油脂組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19979396A JP3785467B2 (ja) 1996-07-10 1996-07-10 油脂組成物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1025491A true JPH1025491A (ja) 1998-01-27
JP3785467B2 JP3785467B2 (ja) 2006-06-14

Family

ID=16413719

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19979396A Expired - Fee Related JP3785467B2 (ja) 1996-07-10 1996-07-10 油脂組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3785467B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002171993A (ja) * 2000-09-27 2002-06-18 Ikeda Shokken Kk 食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法
JP2006506483A (ja) * 2002-11-14 2006-02-23 プロノヴァ・バイオケア・アーエス リパーゼ触媒した海産油のエステル化
JP2008516018A (ja) * 2004-10-08 2008-05-15 アールフスカールスハムン デンマーク アクティーゼルスカブ 脂肪組成物
JP2008161176A (ja) * 2006-03-16 2008-07-17 Kaneka Corp 油脂組成物の製造方法
WO2012032945A1 (ja) 2010-09-10 2012-03-15 株式会社カネカ トリ飽和脂肪酸グリセリド含有油脂組成物の製造方法
US8968815B2 (en) 2009-03-06 2015-03-03 The Nisshin Oillio Group, Ltd. Method for producing fats and oils
JPWO2017179455A1 (ja) * 2016-04-13 2018-04-19 不二製油株式会社 ラウリン酸型チョコレート用油脂組成物及びこれを含有するチョコレート

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002171993A (ja) * 2000-09-27 2002-06-18 Ikeda Shokken Kk 食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法
JP2006506483A (ja) * 2002-11-14 2006-02-23 プロノヴァ・バイオケア・アーエス リパーゼ触媒した海産油のエステル化
JP2008516018A (ja) * 2004-10-08 2008-05-15 アールフスカールスハムン デンマーク アクティーゼルスカブ 脂肪組成物
JP2013018984A (ja) * 2004-10-08 2013-01-31 Aarhuskarlshamn Denmark As 脂肪組成物
JP2016020501A (ja) * 2004-10-08 2016-02-04 エーエーケー デンマーク エー/エス 脂肪組成物
JP2008161176A (ja) * 2006-03-16 2008-07-17 Kaneka Corp 油脂組成物の製造方法
US8968815B2 (en) 2009-03-06 2015-03-03 The Nisshin Oillio Group, Ltd. Method for producing fats and oils
WO2012032945A1 (ja) 2010-09-10 2012-03-15 株式会社カネカ トリ飽和脂肪酸グリセリド含有油脂組成物の製造方法
CN102523744A (zh) * 2010-09-10 2012-06-27 株式会社钟化 含有三饱和脂肪酸甘油酯的油脂组合物的制备方法
JPWO2017179455A1 (ja) * 2016-04-13 2018-04-19 不二製油株式会社 ラウリン酸型チョコレート用油脂組成物及びこれを含有するチョコレート

Also Published As

Publication number Publication date
JP3785467B2 (ja) 2006-06-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1928990B1 (en) Process for producing dioleyl palmitoyl glyceride
EP0069599B1 (en) Edible fat process
JP5557457B2 (ja) 油脂の製造方法
JP2761293B2 (ja) ヒト乳脂の代替物の製造方法
JP4530311B2 (ja) リパーゼを用いたグリセライドの製造方法
JP4290162B2 (ja) 対称型トリグリセリドの製造方法
US20130045321A1 (en) Liquid oil and fat, and production method therefor
Chong et al. Fractionation procedures for obtaining cocoa butter‐like fat from enzymatically interesterified palm olein
EP1928988B1 (en) Triglyceride process
JPH0789944B2 (ja) 製菓用油脂組成物の製法
JP6557798B1 (ja) 油脂の製造方法
JP3785467B2 (ja) 油脂組成物の製造方法
RU2005141141A (ru) Способ получения жирных кислот, имеющих низкое содержание транс-жирных кислот
AU628644B2 (en) Enzymatic transesterification of tryglycerides
JPH0730352B2 (ja) 酵素による油脂の精製法
KR102520377B1 (ko) 단경로 증류 또는 습식 분별을 이용하여 고순도의 트리글리세리드를 제조하는 방법
KR20210047991A (ko) 용매 혼합물을 사용한 습식 분별을 통하여 트리글리세리드를 고수율로 제조하는 방법
JP7528407B2 (ja) β位パルミチン酸含有油脂の製造方法
JPH0412113B2 (ja)
JP5816075B2 (ja) 油脂組成物の製造方法
JP2004043685A (ja) ステロール脂肪酸エステル精製物の製造方法、ステロール脂肪酸エステル精製物、及びその利用
JP2002194386A (ja) エステル組成物及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050510

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050711

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051018

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051219

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060118

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060224

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100331

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100331

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110331

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120331

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130331

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees