JPH1025467A - ポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組成物およびその製造方法並びにそれを用いたポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組成物およびその製造方法並びにそれを用いたポリオレフィン樹脂組成物

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JPH1025467A
JPH1025467A JP18255496A JP18255496A JPH1025467A JP H1025467 A JPH1025467 A JP H1025467A JP 18255496 A JP18255496 A JP 18255496A JP 18255496 A JP18255496 A JP 18255496A JP H1025467 A JPH1025467 A JP H1025467A
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polyolefin resin
fatty acid
granular composite
antistatic
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JP18255496A
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Koichi Tatsumi
幸市 辰巳
Kazuhisa Yoshida
和久 吉田
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Lion Corp
Original Assignee
Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温低湿度条件であっても短時間で帯電防止
効果が発現し、高温条件での保管でもブロッキングが発
生しないポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組成物を提供
する。 【解決手段】 下記の(A)成分および(B)成分から
形成された第1の粒状複合物と、下記の(C)成分およ
び(D)成分から形成された第2の粒状複合物とを、粒
状の状態で混合し、ポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組
成物とする。 (A)脂肪酸の炭素数が16〜22の脂肪酸モノグリセ
ライド。 (B)脂肪酸。 (C)下記の式(化1)で表されるアルキルアミン誘導
体。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン樹
脂用帯電防止剤組成物およびその製造方法並びにそれを
用いたポリオレフィン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン樹脂は、電気絶縁性が高
く強い静電気が発生する。このため、ポリオレフィン樹
脂製品は強く帯電し、その結果、塵埃を吸着し、さらに
加工工程においても印刷不良、不揃い、放電、塵埃付着
等による作業性の低下などの支障が生じていた。そこ
で、この問題を解消するために、従来から帯電防止剤が
使用されている。
【0003】帯電防止剤の使用方法としては、塗布法お
よび練り込み法とがあるが、塗布法では、帯電防止効果
が短時間で失われ、また塗布むらが生じ、さらに塗布さ
れた帯電防止剤によりブロッキングが起こる等の問題が
ある。このため、帯電防止剤をポリオレフィン樹脂に直
接混練する練り込み法が、一般に採用されている。
【0004】この練り込み法としては、例えば、オレフ
ィン系重合体に、アルキルアミンおよびアルキルアミド
の少なくとも一方と、グリセリンモノエステルとを含む
組成物を練り込む方法(特開昭60−58444号公
報)、ポリプロピレンと無機充填剤との樹脂組成物に、
特定の高級アミンとグリセリンモノエステルとを練り込
む方法(特開昭61−40099号公報)、特定の高級
アミンと脂肪酸モノグリセライドからなる組成物をポリ
オレフィン樹脂に混練する方法(特開昭48−5415
5号公報、特開平2−302453号公報)等があげら
れる。
【0005】しかし、これらの帯電防止剤をポリオレフ
ィン樹脂に混練する方法では、例えば冬場のような低
温、低湿度の条件下では帯電防止効果が充分でなく、ま
たその発現も、練り込みから1日後のような短時間で発
現するものはなかった。このため、冬場のような低温、
低湿度条件では、ポリオレフィン樹脂の加工に支障を生
じる場合があった。
【0006】一方、ハンドリングを容易にするために、
帯電防止剤をペレットに成形したものが提案されている
(特開平5−239445号公報)。また、長期保存後
の性能の安定性を向上させたペレット状の帯電防止剤と
して、脂肪酸モノグリセライドを主成分として含有する
造粒物AとN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アル
キルアミンおよびN,N−ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)脂肪酸アミドの少なくとも一方を主成分として含有
する造粒物Bとからなる帯電防止剤造粒混合物が提案さ
れている(特開平8−20766号公報)。
【0007】しかしながら、これら帯電防止剤は、成形
してから1日後の短時間にその効果を発現することを目
的として開発されたものではない。また、従来の帯電防
止剤において解決が要望される問題として、保管時、特
に夏期のような高温保管時(約40℃)でのブロッキン
グ発生の防止があるが、前記帯電防止剤は、このような
ブロッキングを防止することを目的として開発されたも
のでもない。すなわち、従来の帯電防止剤において、高
温(約40℃)に保存しても、ブロッキングすることな
くペレット状の形状を保持できるものはなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
問題を解決し、低温および低湿度条件であっても、優れ
た帯電防止効果が短時間で発現し、かつ高温条件での保
存でもブロッキングが発生しないポリオレフィン樹脂用
帯電防止剤組成物およびその製造方法並びにそれを用い
たポリオレフィン樹脂組成物の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組成物
は、下記の(A)成分および(B)成分から形成された
第1の粒状複合物と、下記の(C)成分および(D)成
分から形成された第2の粒状複合物とを、粒状の状態で
含有するという構成をとる。 (A)脂肪酸の炭素数が16〜22の脂肪酸モノグリセ
ライド。 (B)脂肪酸。 (C)前記の式(化1)で表されるアルキルアミン誘導
体。 (D)融点45℃以上の脂肪酸。
【0010】本発明者らは、まず、低温低湿度条件であ
っても優れた帯電防止効果を短時間で発現させることを
中心課題として一連の研究を重ねた。その結果、前記特
定の脂肪酸モノグリセライド(A成分)、脂肪酸(B成
分)、前記特定のアルキルアミン誘導体(C成分)およ
び前記特定の脂肪酸(D成分)の4種類の成分を用いれ
ば、前記目的を達成できることを突き止めた。しかし、
これだけでは、高温保存時のブロック発生を防止できな
いため、本発明者らは、これを解決するためにさらに一
連の研究を重ねた。その結果、前記A成分に前記B成分
を配合し、前記C成分に前記D成分を配合し、それぞれ
に別個に第1の粒状複合物および第2の粒状複合物を形
成し、これらを粒状の状態で含有すると、前記B成分お
よび前記D成分の作用により、約40℃の高温条件であ
ってもブロッキングが防止されることを見出し本発明に
到達した。
【0011】本発明により、高温条件の保存でもブロッ
キングが発生せず、低温低湿度条件であっても帯電防止
効果が短時間で発現し、しかもこの効果を長期間維持す
るポリオレフィン樹脂用帯電防止剤の提供が可能とな
る。
【0012】なお、前記B成分およびD成分によるブロ
ッキング防止効果の発現のメカニズムについて、本発明
者は、つぎのように推察している。すなわち、前記A成
分および前記C成分に、それぞれに別個に前記B成分お
よびD成分を配合し、第1の粒状複合物および第2の粒
状複合物を形成すると、これらの粒状複合物の表面の全
部若しくは一部にそれぞれB成分およびD成分が位置
し、これにより、前記粒状複合物相互のブロッキングが
防止されると考えられる。したがって、これらの粒状複
合物は、その表面の広い範囲に前記B成分およびD成分
が位置するように形成することが好ましい。
【0013】このことから、本発明のポリオレフィン樹
脂用帯電防止剤組成物において、第1の粒状複合物の表
面が(B)成分で被覆されており、第2の粒状複合物が
(D)成分で被覆されていることが好ましい。
【0014】本発明のポリオレフィン樹脂用帯電防止剤
組成物において、第1の粒状複合物と第2の粒状複合物
との重量配合比は、通常、第1の粒状複合物/第2の粒
状複合物=10/1〜1/3の範囲である。
【0015】本発明のポリオレフィン樹脂用帯電防止剤
組成物において、(B)成分および(D)成分は、ステ
アリン酸およびパルミチン酸の少なくとも一方の脂肪酸
であることが好ましい。
【0016】本発明のポリオレフィン樹脂用帯電防止剤
組成物において、第1の粒状複合物および第2の粒状複
合物の少なくとも一方の粒状複合物の表面に、粒径10
μm以下の無機粉末が付着していることが好ましい。こ
れにより、ブロッキングがさらに効果的に防止されるよ
うになる。
【0017】本発明のポリオレフィン樹脂用帯電防止剤
組成物は、例えば、前記の(A)成分および(B)成分
から第1の粒状複合物を形成し、前記の(C)成分およ
び(D)成分から第2の粒状複合物を形成し、前記第1
の粒状複合物と第2の粒状複合物とを、粒状を維持した
状態で混合することにより製造することができる。
【0018】また、本発明のポリオレフィン樹脂組成物
は、前記本発明のポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組成
物を含有する。このため、このポリオレフィン樹脂組成
物は、低温低湿度条件であっても成形から短時間で帯電
が効果的に防止される。
【0019】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明を詳しく説明す
る。本発明のポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組成物に
かかる脂肪酸モノグリセライド(A成分)は、脂肪酸の
炭素数が16〜22のものであり、好ましくは、脂肪酸
の炭素数が16〜18のものである。この脂肪酸モノグ
リセライドは、例えば、前記炭素数が16〜22の脂肪
酸とグリセリンとをエステル化反応させることにより得
ることができる。具体例としては、ステアリン酸モノグ
リセライドは、グリセリンとステアリン酸とのエステル
化反応によって得ることができ、また、前記所定の脂肪
酸の混合物とグリセリンとのエステル化反応によっても
得ることができる。したがって、このA成分は、2種類
以上の脂肪酸モノグリセライドが含まれていてもよい。
【0020】前記特定の脂肪酸モノグリセライド(A成
分)の中には、副生成物である脂肪酸ジグリセライドお
よび脂肪酸トリグリセライドが含まれていてもよいが、
これら不純物の含有量は15重量%以下であることが望
ましい。前記脂肪酸モノグリセライド(A成分)のグリ
セライドを構成する脂肪酸は、炭素数が18以下の脂肪
酸を80%以上含有する脂肪酸モノグリセライドを使用
することが好ましい。その理由は、当該範囲を満足しな
い脂肪酸モノグリセライドの混合物を使用すると、低温
条件下では、十分に帯電防止効果が発揮されないおそれ
があるからである。このなかでも、ステアリン酸モノグ
リセライド(イ)とパルミチン酸モノグリセライド
(ロ)との混合物(重量比:イ/ロ=1/99〜99/
1)が好ましい。
【0021】前記脂肪酸モノグリセライド(A成分)
は、モノグリセライドの重量比が70%以上であること
が好ましく、特に好ましくは80%以上である。これ
は、70%未満であると、十分な帯電防止効果が得られ
ないおそれがあるからである。
【0022】つぎに、本発明にかかる前記脂肪酸(B成
分)は、直鎖飽和脂肪酸、分岐飽和脂肪酸、不飽和脂肪
酸、樹脂酸等があげられる。この脂肪酸の好ましい例と
して、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、リノ
ール酸、リノレン酸、ステアリン酸、イソステアリン
酸、アラキン酸、ベヘン酸、12−ヒドロキシステアリ
ン酸、アビエチン酸等であって、特に、パルミチン酸、
ステアリン酸が好ましい。これらの脂肪酸は、単独で用
いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。
【0023】つぎに、本発明にかかるアルキルアミン誘
導体(C成分)は、前記の式(化1)で表されるもので
ある。このアルキルアミン誘導体(C成分)の好ましい
例をあげると、オクチルジエタノールアミン、デシルエ
タノールアミン、ドデシルジエタノールアミン、ヒドロ
キシドデシルジエタノールアミン等があげられ、特に、
ドデシルジエタノールアミンが好ましい。これらのアル
キルジエタノールアミン誘導体は単独で用いてもよい
し、2種類以上組み合わせて使用することもできる。
【0024】つぎに、本発明にかかる融点45℃以上の
脂肪酸(D成分)としては、例えば、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、1
2−ヒドロキシステアリン酸、アビエチン酸等があげら
れ、特に、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましい。こ
れらの脂肪酸は、単独で用いてもよいし、2種類以上混
合して使用することもできる。
【0025】なお、本発明において、前記B成分および
D成分は、同一であってもよいし、異なっていてもよ
い。つぎに、前記脂肪酸モノグリセライド(A成分)と
脂肪酸(B成分)の配合比は、重量比で、通常、A/B
=10/1〜1/1の範囲である。これは、前記重量比
が10/1を超えると、前記脂肪酸モノグリセライド
(A成分)の分解により、本発明の帯電防止剤組成物の
性能が保存中に低下するおそれがあり、また、1/1未
満では所期の性能が発現しないおそれがあるからであ
る。なお、前記重量比の好ましい範囲は、8/1〜3/
1である。
【0026】また、前記アルキルアミン誘導体(C成
分)と融点45℃以上の脂肪酸(D成分)の配合比は、
重量比で、通常、C/D=10/1〜1/10である。
これは、前記重量比が10/1を超えると、アルキルア
ミン誘導体の分解が起りやすくなり、また1/10未満
であると、帯電防止性能が低下するおそれがあるからで
ある。なお、前記重量比の好ましい範囲は、8/1〜1
/3である。
【0027】つぎに、本発明のポリオレフィン樹脂用帯
電防止剤組成物は、例えば、前記A成分およびB成分か
ら第1の粒状複合物を形成し、前記C成分およびD成分
から第2の粒状複合物を形成し、これらを粒状を保持し
た状態で混合することにより製造できる。
【0028】前記第1の粒状複合物(AB)および第2
の粒状複合物(CD)は、例えば、つぎのようにして形
成できる。すなわち、まず、前記A成分およびB成分を
加熱して溶融した後、ミキサーで混合し、この混合物を
冷却した金属板に滴下して固化することにより粒状化し
て形成できる。この他、粉末状の前記脂肪酸(B成分)
に加熱溶解した前記A成分を吸着させ、さらに粉末状の
前記脂肪酸(B成分)を付着させた後、これを押出成形
して粒状化することによっても形成できる。また、第2
の粒状複合体も、前記A成分に代えて前記C成分を、前
記B成分に代えてD成分を用いることにより、同様の方
法により形成できる。なお、前記粒状化の形状として
は、例えば、ペレット状があげられる。
【0029】つぎに、それぞれ別個に形成した第1の粒
状複合物(AB)と第2の粒状複合物(CD)を、粒状
を維持するために、A成分、B成分,C成分およびD成
分の融点未満の温度条件で、例えば、V型ブレンダーや
スーパーミキサー等を用いて混合し、目的とするポリオ
レフィン樹脂用帯電防止剤組成物とする。この混合は、
一般に、ドライブレンド若しくはコールドブレンドと呼
ばれる方法である。
【0030】つぎに、本発明のポリオレフィン樹脂用帯
電防止剤組成物において、前記第1の粒状複合物(A
B)および第2の粒状複合物(CD)の少なくとも一方
の表面に、粒径10μm以下の無機粉末が付着している
ことが好ましいことは、先に述べたとおりである。無機
粉末の付着の態様としては、粒状複合物の表面全体を覆
う被覆でもよいし、一部に付着した状態であってもよ
く、好ましくは被覆である。この無機粉末の粒径を10
μm以下とするのは、樹脂に添加した際に透明性を損な
わないようにするためである。前記無機粉末の好ましい
粒径は、1μm以下である。無機粉末としては、例え
ば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム等があげられる。
この無機粉末の使用量は、通常、本発明の帯電防止剤組
成物全体に対し5重量%以下である。また、無機粉末の
付着の方法は、例えば、無機粉末と前記第1の粒状複合
物および第2の粒状複合物の少なくとも一方を、非加熱
で、V型ブレンダーやスーパーミキサー等で混合するこ
とにより実施できる。
【0031】本発明のポリオレフィン樹脂用帯電防止剤
組成物は、前記第1の粒状複合物および第2の粒状複合
物に加え、前記無機粉末の他に、他の成分を含有しても
よい。他の成分としては、例えば、粉末状パラフィン、
粉末状エステル化合物等があげられる。また、本発明の
ポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組成物において、前記
第1の粒状複合物および第2の粒状複合物の合計含有割
合は、帯電防止剤組成物全体に対し、通常、80〜10
0重量%、好ましくは95〜99.5重量%である。
【0032】つぎに、本発明のポリオレフィン樹脂組成
物で用いるポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プ
ロピレン、ブチレン、ペンテン等のホモポリマー、ある
いは、エチレンとプロピレンとのコポリマー、エチレン
と酢酸ビニルとのコポリマー、エチレンとアクリル酸エ
ステルのコポリマー、またはこれらの2種以上の混合物
があげられる。
【0033】また、本発明のポリオレフィン樹脂用帯電
防止剤組成物は、前記ポリオレフィン樹脂100重量部
に対して、通常、0.05〜3.0重量部、好ましくは
0.1〜2.0重量部、特に好ましくは0.2〜1.5
重量部の範囲で添加する。これは、添加量が0.05重
量部未満であると、帯電防止性能、特に低温条件下での
帯電防止性能が不十分となるおそれがあり、一方、3.
0重量部を超えて添加してもこれに見合う帯電防止効果
の向上がなく、逆に成形品表面にベタツキが生じたり、
機械的特性の低下を生じる等の支障を生じるおそれがあ
るからである。
【0034】本発明のポリオレフィン樹脂用帯電防止剤
組成物の添加の際には、必要に応じて、高級アルコー
ル、アマイド等の油脂成分、脂肪酸金属石鹸等の滑剤、
公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、シリコン誘導体、ブ
ロッキング防止剤、着色剤、充填剤、その他の添加剤を
併用することができる。
【0035】また、本発明のポリオレフィン樹脂用帯電
防止剤組成物は、これを予めポリオレフィン樹脂に高濃
度で練込んでマスターバッチに加工し、これを希釈して
使用することも可能である。このようにすれば、成型工
程の効率化を図ることができる。
【0036】そして、本発明のポリオレフィン樹脂組成
物は、一般のポリオレフィン樹脂組成物と同様に、プレ
ス成形、射出成形、押出成形、ブロー成形、カレンダー
成形などを行い、シート、フィルムをはじめ種々の形状
の成形品にすることができる。先に述べたように、本発
明のポリオレフィン樹脂組成物は、低温低湿度条件であ
っても、短時間で帯電防止効果が発現するため、季節を
問わずその加工が容易である。
【0037】
【実施例】つぎに、実施例について比較例と併せて説明
する。なお、下記の表1〜表4中の略語等は、下記の表
5に示すとおりである。また、下記の表1〜表4におい
て、表中の添加量(wt%)の数字が、粒状複合物中の
各成分の割合を表す他、2つの粒状複合物相互の混合比
率および樹脂への添加量をも示す。例えば、実施例1で
は、粒状複合物(AB)と粒状複合物(CD)との混合
比率は、AB/CD=3/2であり、樹脂への添加量は
0.5重量%である。
【0038】(実施例1)まず、第1の粒状複合物(A
B)および第2の粒状複合物(CD)を作製した。すな
わち、まず、パルミチン酸モノグリセライドおよびミリ
スチン酸を下記の表1に示す割合で配合し、これを用い
て二軸押出機によりストランド状のペレットを作製した
(AB)。他方、ドデシルジエタノールアミンとパルミ
チン酸を下記の表1に示す割合で配合し、これを用いて
二軸押出機によりストランド状のペレットを作製した
(CD)。
【0039】そして、これら第1の粒状複合物(AB)
と第2の粒状複合物(CD)を下記の表1に示す比率で
計量し、V型ブレンダーで混合して目的の帯電防止剤組
成物を調製した。
【0040】この帯電防止剤組成物を、メルトフローレ
ート9のエチレン10%とプロピレン90%を含有する
エチレン−プロピレンブロックコポリマーに、下記の表
1に示す割合で添加し、これを射出成型機(日精樹脂工
業社製、TS−150型)を用いてシリンダー温度23
0℃の条件で、76mm×76mm×1.6mmの板状
試料に成形した。そして、この板状試料を金型から取り
外した後、温度5℃、湿度50%の恒温室に10日保存
した後と、温度5℃、湿度50%の恒温室に1か月保存
した後の前記板状試料の表面抵抗を測定した。また、帯
電防止剤組成物を温度40℃、湿度60%の恒温室に1
か月保存した後、上記と同じ条件で板状試料を成形した
後、温度5℃、湿度50%の恒温室に1日間保存した
後、この板状試料の表面抵抗も測定した。なお、前記表
面抵抗は、抵抗測定装置(三菱油化社製、ハイレスター
H−210型)を用いて印可電圧500Vで測定した。
この測定において、表面抵抗1×1013Ω未満の場合、
帯電防止効果は良好であると判断される。
【0041】また、前記帯電防止剤組成物を30cmの
高さになるように容器に充填し、これを温度40℃、湿
度50%の恒温室に1か月保存した後、ブロッキング性
を下記に示す基準により評価した。これら表面抵抗およ
びブロッキングの測定結果を下記の表1に示す。
【0042】(ブロッキング性の評価基準) ブロッキングしない ◎ ほとんどブロッキングしない(容易にほぐせる) ○ ややブロッキングする △ ブロッキングする × (実施例2〜14、18〜20)下記の表1〜表3に示
す材料を同表に示す割合で用いた他は、実施例1と同様
にして帯電防止剤組成物を調製し、これについて実施例
1と同様にして前記評価を行った。その結果も同表に示
す。
【0043】(実施例15、16、17)これらの実施
例は、シリカ粉末により粒状複合物を被覆した例であ
る。まず、実施例15の場合、パルミチン酸モノグリセ
ライド、ステアリン酸モノグリセライドおよびミリスチ
ン酸を、下記の表3に示す割合で配合し、二軸押出機を
用いてストランド状のペレットを作成した。そのペレッ
トに下記の表3に示す比率でシリカを添加し、V型ブレ
ンダーで混合し、第1の粒状複合物(AB)を作製し
た。他方、ドデシルジエタノールアミンとステアリン酸
を下記の表3に示す比率で配合し、二軸押出機を用いて
ストランド状のペレットを作成し、これを第2の粒状複
合物(CD)とした。そして、前記第1の粒状複合物
(AB)と第2の粒状複合物(CD)を、下記の表3に
示す比率で計量し、V型ブレンダーで混合して、目的と
する帯電防止剤組成物を得た。
【0044】そして、この帯電防止剤組成物を、メルト
フローレート9のエチレン10%とプロピレン90%を
含有するエチレン−プロピレンブロックコポリマーに、
下記の表3に示す割合で添加し、これを射出成型機(日
精樹脂工業社製、TS−150型)を用いてシリンダー
温度230℃の条件で、76mm×76mm×1.6m
mの板状試料に成形した。そして、この板状試料を金型
から取り外した後、温度5℃、湿度50%の恒温室に1
0日保存した後と、温度5℃、湿度50%の恒温室に1
か月保存した後の前記板状試料の表面抵抗を測定した。
また、ブロッキングについても実施例1と同様にして評
価した。
【0045】なお、実施例17についは、実施例15と
同様にして帯電防止剤組成物を作製し、また実施例16
については第2の粒状複合物を無機粉末で被覆した他は
実施例15と同様にして帯電防止剤組成物を作製し、こ
れらについて実施例15と同様の評価を行った。
【0046】(比較例1〜7)下記の表4に示す材料を
同表に示す割合で用いた他は、実施例1と同様にして帯
電防止剤組成物を調製し、これについて実施例1と同様
にして前記評価を行った。その結果も同表に示す。な
お、比較例3、4は、粒状複合物を一つだけ調製した例
である。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】上記表1〜表3から、本発明の帯電防止剤
組成物を用いた実施例では、低温低湿度条件であっても
帯電防止効果が短時間で発現し、しかもその効果が長期
間持続した。また、本発明の実施例の帯電防止剤組成物
は、高温条件で保管しても、ブロッキングが発生せず、
また帯電防止効果も良好に発現した。
【0053】これに対し、上記表4から、比較例では、
低温低湿度条件での帯電防止効果が不充分であり、また
その発現も遅く、高温条件で保管するとブロッキングが
発生した。
【0054】
【発明の効果】以上のように、本発明のポリオレフィン
樹脂用帯電防止剤組成物は、低温低湿度条件であって
も、優れた帯電防止効果が短時間で発現し、しかもこれ
を長期間保持する。このため、本発明のポリオレフィン
樹脂用帯電防止剤組成物を用いれば、冬季のような低温
低湿度条件であっても、ポリオレフィン樹脂に練り込ん
でから短時間に帯電が防止されるため、静電気に起因す
る問題が解消され、成型加工の効率が向上するようにな
る。また、本発明のポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組
成物は、約40℃の高温条件で保存してもブロッキング
が発生せず、帯電防止性能が消失しない。したがって、
本発明のポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組成物は、夏
期のような高温条件であっても低温倉庫等で保管する必
要がないため、保管に要するコストの低減が期待でき
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(A)成分および(B)成分から
    形成された第1の粒状複合物と、下記の(C)成分およ
    び(D)成分から形成された第2の粒状複合物とを、粒
    状の状態で含有するポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組
    成物。 (A)脂肪酸の炭素数が16〜22の脂肪酸モノグリセ
    ライド。 (B)脂肪酸。 (C)下記の式(化1)で表されるアルキルアミン誘導
    体。 【化1】 (D)融点45℃以上の脂肪酸。
  2. 【請求項2】 第1の粒状複合物の表面が(B)成分で
    被覆されており、第2の粒状複合物が(D)成分で被覆
    されている請求項1記載のポリオレフィン樹脂用帯電防
    止剤組成物。
  3. 【請求項3】 第1の粒状複合物と第2の粒状複合物と
    の重量配合比が、第1の粒状複合物/第2の粒状複合物
    =10/1〜1/3の範囲である請求項1または2記載
    のポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組成物。
  4. 【請求項4】 (B)成分および(D)成分が、ステア
    リン酸およびパルミチン酸の少なくとも一方の脂肪酸で
    ある請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリオレフィ
    ン樹脂用帯電防止剤組成物。
  5. 【請求項5】 第1の粒状複合物および第2の粒状複合
    物の少なくとも一方の粒状複合物の表面に、粒径10μ
    m以下の無機粉末が付着している請求項1〜4のいずれ
    か一項に記載のポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組成
    物。
  6. 【請求項6】 下記の(A)成分および(B)成分から
    第1の粒状複合物を形成し、下記の(C)成分および
    (D)成分から第2の粒状複合物を形成し、前記第1の
    粒状複合物と第2の粒状複合物とを、粒状を維持した状
    態で混合するポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組成物の
    製造方法。 (A)脂肪酸の炭素数が16〜22の脂肪酸モノグリセ
    ライド。 (B)脂肪酸。 (C)下記の式(化2)で表されるアルキルアミン誘導
    体。 【化2】 (C)融点45℃以上の脂肪酸。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポ
    リオレフィン樹脂用帯電防止剤組成物を含有するポリオ
    レフィン樹脂組成物。
JP18255496A 1996-07-11 1996-07-11 ポリオレフィン樹脂用帯電防止剤組成物およびその製造方法並びにそれを用いたポリオレフィン樹脂組成物 Pending JPH1025467A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011162595A (ja) * 2010-02-05 2011-08-25 Tosoh Corp エチレン系重合体ペレット混合物

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