JPH1025429A - マイクロ波加硫用改質ファーネスブラックとその製造法及びゴムの加硫方法 - Google Patents

マイクロ波加硫用改質ファーネスブラックとその製造法及びゴムの加硫方法

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JPH1025429A
JPH1025429A JP18092496A JP18092496A JPH1025429A JP H1025429 A JPH1025429 A JP H1025429A JP 18092496 A JP18092496 A JP 18092496A JP 18092496 A JP18092496 A JP 18092496A JP H1025429 A JPH1025429 A JP H1025429A
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furnace black
rubber
vulcanization
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microwave
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JP18092496A
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Takaaki Kanai
孝陽 金井
Takashi Takusagawa
尚 田草川
Yasuhisa Sawa
泰久 澤
Toshiyuki Ino
俊行 井野
Taro Kono
太郎 河野
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴムのマイクロ波加硫時の発熱性を大幅に増
強可能なファーネスブラックとその製造方法及びゴムの
加硫方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 ファーネスブラック 100 重量部に対
し、ポリエチレングリコール (PEG) を 0.2〜4.5 重量
部の割合で一体化してなるマイクロ波加硫用改質ファー
ネスブラック、及び PEG をファーネスブラックに水溶
液の形で添加し造粒後に加熱する改質ファーネスブラッ
クの製造方法、並びに改質ファーネスブラックを配合す
るマイクロ波による非極性ゴム等の加硫方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴムのマイクロ波
加硫時の発熱性を大幅に増強するマイクロ波加硫用改質
ファーネスブラックとその製造方法及びゴムの加硫方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム工業における加工工程の自動化は、
工程の連続化がキーとなるが、一般にゴムは熱の不良導
体であり、スポンジゴムや複雑な中空構造のゴム製品に
至っては、熱の絶縁体と見なせるため断面形状の大きな
ものの加硫には、中心部までの熱伝達に時間がかかり、
加硫工程はシステムの連続化を阻む大きな障害であっ
た。また長時間の加熱は、エネルギー効率の低さ、環境
への悪影響につながり、近年クローズアップされてきた
化石燃料の枯渇等のエネルギー資源の問題、地球温暖
化、大気汚染等の環境問題とも関連し、その解決が望ま
れていた。
【0003】マイクロ波による加熱は従来の高温媒体等
との接触面からの熱伝達とは異なり、被加熱物によるマ
イクロ波の吸収であるため、熱伝達が極めて低いゴム製
品であっても、短時間でしかも均一な加熱が期待でき、
加工工程の簡便な連続化を可能とし、エネルギー効率の
向上、環境への悪影響の緩和といった点も評価され、広
く定着しつつある。マイクロ波とは、300〜3000 MHz(UH
F) から 3〜30 KMHz(SHF) までの周波数を言うが通常、
周波数 1000〜10000 MHz(波長で表すと 3〜30cm)のもの
を指している。現在工業用加熱として利用されるマイク
ロ波は、2450MHzと915 MHz の 2 バンドである。
【0004】通常、マイクロ波の吸収は、極性物質の双
極子の配向に起因するため、クロロプレンゴム(C
R)、ニトリルゴム(NBR)等の極性ゴムは高い吸収
性を示し、マイクロ波加熱に好適であるが、天然ゴム
(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPD
M)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等の非極性ゴ
ムは、ほとんどかかる吸収性を示さず、単体ではマイク
ロ波加熱は難しい。どのようなゴムを使用するかは、必
要とするゴム物性の方から決まってくるので、マイクロ
波加熱効率だけから決めるわけにはいかないが、例えば
EPDMは全く発熱しないため、部分塩素化や他の極性
ゴムをブレンドする方法等も検討はされている。しか
し、特に耐油性、耐溶剤性、耐薬品性といった化学的な
性質が大きく変化してしまうことは歪めない。
【0005】そこでEPDM等の非極性ゴムへマイクロ
波加熱を適用する手法として、ファーネスブラックの配
合が広く利用されている。またファーネスブラックを配
合できない色ゴム製品等へマイクロ波加熱を適用する場
合には、吸着水分の多いシリカ、ジエチレングリコール
(DEG)、トリエタノールアミン(TEA)等の極性
物質を配合し、水分あるいは極性物質の双極子の配向に
より発熱性を改良する手法が知られている。しかしこの
極性物質の配合はファーネスブラックの配合と比較する
と、その効果が極めて小さい事も良く知られている。と
ころでファーネスブラックの場合、高比表面積のファー
ネスブラックを多く配合するほど、マイクロ波による発
熱性が高くなることも良く知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、MAF
級よりも高比表面積のファーネスブラックを配合する
と、ゴム中での分散が悪化し、ゴム製品の表面肌が悪
化する。ファーネスブラックの表面吸着水分量が多
く、押出し成型時に巣が入りやすい。といった不具合の
生じることもまた良く知られている。ファーネスブラッ
クはまた、ゴム特性へ大きな影響を与えるため、いたず
らにその配合部数を増やすことも当然好ましいことでは
ない。例えば、ファーネスブラックの配合量が多い程、
ゴム硬度が高く(硬く)なる傾向にあるが、ゴムの硬
さ、柔らかさ或いは弾力性は、ゴム製品の使用される箇
所により当然のことながら要求値が異なってくるので、
ファーネスブラックの配合量は自ずと決まってしまう。
【0007】ファーネスブラックを改質し、ゴムに配合
したとき、マイクロ波吸収発熱材として加硫を効率的に
行う技術として、特開平5−182517 号が知られている。
これは Fe,Co,Ni 等の遷移金属酸化物を比較的多量に予
めCBに添加するものである。しかしながらこの方法で
は近年問題になっている環境汚染の面で、クロムやニッ
ケルを含むゴムは好ましいとはいえない。こうした技術
的な状況がある一方で、近年ファーネスブラックを配合
した非極性ゴムにおいても、より一層の生産性の向上及
びエネルギー効率の向上を要求されてきている。従って
かかる現状から本発明は、未加硫ゴムのマイクロ波加硫
時の発熱性を大幅に増強可能なマイクロ波加硫用ファー
ネスブラックとその製造方法及びゴムのマイクロ波加硫
方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ファーネ
スブラックを配合した非極性ゴムのマイクロ波吸収性が
向上する主な理由を、ゴム組成物の導電性向上に伴う通
過電流による損失の増大と考え、ファーネスブラックの
比表面積を変えることなしに、ゴム組成物の導電性を向
上させる方策を種々検討し、本発明を完成するに至っ
た。即ち本発明の第1は、ファーネスブラック 100 重
量部に対し、分子量 150 以上のポリエチレングリコー
ルが 0.2〜4.5 重量部の割合で一体化してなるマイクロ
波加硫用改質ファーネスブラックである。
【0009】上記本発明のファーネスブラックとして
は、N2SA(窒素吸着比表面積;m2/g)が30≦N2
A≦60で,かつ、DBP(ジブチルフタレート吸油
量;ml/100g)が100≦DBPを満足するものである
ことが好ましい。また本発明の第2は、分子量 150 以
上のポリエチレングリコールを、ファーネスブラック 1
00 重量部に対し0.2〜4.5重量部の割合にて水溶液の形
で添加し造粒後、加熱することを特徴とするマイクロ波
加硫用改質ファーネスブラックの製造法である。
【0010】更に本発明の第3は、上記改質ファーネス
ブラックを未加硫ゴム100重量部に対し40重量部以
上120重量部以下の割合で配合してマイクロ波による
加硫を行うことを特徴とするゴムの加硫方法である。
【0011】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明で使用するファーネスブラックは、通常ゴムの補強用
充填材として用いられるグレードのものであれば良く、
特に制限されるものではない。しかしながら、特に好ま
しいファーネスブラックとしては、N2SA(窒素吸着比表
面積)が 30以上 60 m2/g 以下で、かつ、DBP(ジブチ
ルフタレート給油量:ml/100 g)が 100( ml/100 g )
以上の特性であることが望ましい。N2SA が 30 m2/g よ
り小さいとマイクロ波吸収性の向上効果が小さく、60 m
2/g より大きいと吸着水分の増加、分散率の低下といっ
た問題が生じやすくなる。DBP が 100( ml/100 g )よ
り小さいと分散性に問題が生じやすくなり、180( ml/1
00 g )より大きいファーネスブラックはこの N2SA 領
域では、現在のところ製造が難しい。
【0012】ファーネスブラックに一体化させるポリエ
チレングリコールとしては、分子量が 150 以上のポリ
エチレングリコールがよい。更に言えば、分子量が 150
〜4000 のポリエチレングリコールがより好ましい。ポ
リエチレングリコールの末端にノニル基、フェニル基等
の嵩高い基が結合した、いわゆるノニオン系界面活性剤
等は、マイクロ波吸収性向上の効果が低く不適である。
ポリエチレングリコールであっても分子量が 150 より
も小さいもの及び、逆にあまり高分子量のものは、マイ
クロ波吸収性向上の効果が少ない傾向にあり好ましくな
い。
【0013】これらポリエチレングリコールをファーネ
スブラックに一体化させる配合量は、ファーネスブラッ
ク 100 重量部に対し、0.2〜4.5 重量部の割合が好まし
く、更に好ましくは 0.5〜3.8 重量部が良い。0.2 重量
部より少ない配合量では、マイクロ波吸収性向上の効果
が認められず、4.5 重量部より多い配合量では、マイク
ロ波吸収性向上の効果が少ない上に強度特性も低下する
傾向にある。本発明でポリエチレングリコールがファー
ネスブラックに一体化しているとは、後述する製造方法
等により、両者が容易に分離しない程度に付着し、又は
物理吸着もしくは化学吸着又は化学結合している状態を
意味する。
【0014】これらポリエチレングリコールが所定量一
体化したファーネスブラックの製造方法としては、特に
限定するものではないが、撹拌翼を回転させるタイプの
撹拌器等を使用し、ポリエチレングリコールを水溶液と
した後に、転動式造粒器等を使用するファーネスブラッ
クの造粒で、所定量添加・造粒後に加熱処理するのが効
率的な製造方法である。ここで、造粒後に熱処理する場
合の熱処理温度は、250〜350 ℃が好ましい。
【0015】熱処理温度が 250 ℃よりも低い温度では
乾燥状態になるまでに長い時間を要し、好ましくない。
また 350 ℃よりも高い温度ではファーネスブラック表
面の酸化及び化合物の分解が顕著となり、ゴムに対する
補強性の低下、マイクロ波吸収性の向上効果の低下が心
配され、好ましくない。熱処理の時間は、0.5〜4 時間
が好ましい。0.5 時間より短い時間では、乾燥状態とな
らずゴム製品に巣が残る等の悪影響を及ぼし好ましくな
い。また 4 時間より長い時間では、生産性の低下に加
え、やはりファーネスブラック表面の酸化及び化合物の
分解が顕著となり好ましくない。かかる造粒後の熱処理
によって、ポリエチレングリコールとファーネスブラッ
クが一体化した本発明のマイクロ波加硫用改質ファーネ
スブラックが得られる。
【0016】次に本発明のゴムのマイクロ波による加硫
方法では、上記した改質ファーネスブラックを未加硫ゴ
ム(通常は、NR、EPDM、SBR等の非極性ゴム)
100重量部に対し 40 重量部以上、好ましくは40 重量部
以上 120 重量部以下の割合で配合される。ここで配合
量が 40 重量部より少ないと、マイクロ波吸収性の向上
効果が低く、120 重量部より多くなると混練り、押し出
し等の成型加工性が悪化する。かかる未加硫ゴム 100
重量部への改質ファーネスブラック配合に際しては、通
常配合されている物質例えば、補強剤、増量剤、軟化
剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤を適宜配合させて
もよい。
【0017】マイクロ波による加硫方法としては、マイ
クロ波発生装置で発生した発振周波数 2450 MHzのマイ
クロ波を導波管を介して、マイクロ波加硫装置(アプリ
ケーター)内に照射している時に、上記した改質ファー
ネスブラックを配合した未加硫ゴム組成物を、押出機等
で連続供給し、アプリケーター内を連続移動させ、昇温
・加硫する。また昇温後加硫を完成するための保温に
は、熱風循環炉等の他の機器を用いた方が、温度コント
ロールの正確さ、設備投資の廉価さの面で有利である。
ここで加硫温度は、140〜240 ℃程度、加硫時間は、1
分〜30 分程度の範囲で、ゴム物性、経済性等から最適
な条件を設定する。
【0018】本発明の改質ファーネスブラックによる作
用は必ずしも明確でないが、ファーネスブラック表面に
付着し、又は物理吸着、化学吸着もしくは化学結合等に
より一体化しているポリエチレングリコールは、未加硫
ゴムと適度に相溶性が悪いために、ゴム粒塊間に偏在し
ようとする性質があり、一体化しているファーネスブラ
ックをごく僅かゴム中で偏在させるために、ゴム組成物
の導電性が向上し、その結果通過電流による損失が増大
し、マイクロ波吸収性が向上するためと推定している。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、実
施例に従って詳細に説明する。但し、本発明はこれら実
施例に限定されるものではない。なお実施例において用
いた試験方法は、以下による。 (1)N2SA ( m2/g );ASTM D 3037 に準拠して測定し
た。 (2)DBP ( ml/100g );JIS K 6221−1982 の吸油糧A
法に準拠して測定した。
【0020】(3)吸水率 (%);ファーネスブラックを
解放容器に入れ、室温で1ケ月間保存した後に、ファー
ネスブラック(試料)約 5 g をアルミ製シャーレに薄
く広げ、ザルトリウス社製の赤外線加熱型水分計 MA−3
0 により、130 ℃で 10 分間加熱し、加熱前後の試料重
量より、次式に従い算出した。 吸水率(%)={(加熱前試料重量)−(加熱後試料重量)}/
(加熱前試料重量)
【0021】(4)ムーニー粘度( ML 1+4 );JIS K 63
00−1974 のムーニー粘度試験に準拠し、125 ℃で測定
した。 (5)レオメーター t90 ( t90:分 );ASTM D 2084−88
に準拠し、160℃で測定した。
【0022】(6)分散率 (%) ゴム中におけるファーネスブラックの分散状態の尺度で
ある分散率は、次の手順により測定した。加硫ゴムを窒
素ガス雰囲気下、ガラス転移点以下の温度でミクロトー
ムを用いて切断し、新鮮な平滑面を得、この平滑面上の
ファーネスブラック凝集物と推定される異物が測定面積
に占める割合を加硫ゴム中のファーネスブラック含有率
で補正して分散率を測定した。なお加硫ゴムを特に冷却
することなしに、鋭利な刃物等で切断することにより、
新鮮な平滑面を得られる場合には、そのような方法によ
っても良い。ここで異物の面積は、光学顕微鏡と画像解
析装置を用いて、円相当径が 4 μm 以上のものについ
て、その円相当面積を合計することにより測定した。
【0023】分散率の算出式を以下に示す。この場合、
分散率が 100 % に近いほどゴム中におけるファーネス
ブラックの分散状態がよいことを示す。 分散率 (%)={1 −(A×D)/(B×C)}×100 A ; 4 μm 以上のファーネスブラック凝集物が占める面
積 B ; 測定面積 C ; 配合ファーネスブラックの体積 D ; ゴム組成物の体積
【0024】(7)引張強さ( TB:Kgf/cm2 )及び 300 %
モジュラス( M300 :Kgf/cm2 );JISK 6301の引張試験
に準拠して、ダンベル状 3 号型試験片を用いて測定し
た。 (8)ゴム硬度(HS);JIS K 6301のスプリング式硬さ試
験A型に準拠して測定した。
【0025】(9)マイクロ波吸収性(マイクロ波加熱
による発熱性、Δt ; ℃/s) 予め 40 ± 1 ℃に温度調節したガラス製の 100 ml ビ
ーカーを逆さにし、その底部中央に直径 17 mm 、厚さ
2 mm の未加硫ゴム試験片を載せ、一定時間電子レンジ
で加熱する。加熱終了後、ビーカーを電子レンジから素
早く取り出し、試験片の温度を表面温度計で測定する。
電子レンジの加熱時間s(横軸)と試験片表面温度℃
(縦軸)の関係をグラフ化して、直線関係を示す部分の
最小二乗法による回帰直線の勾配をゴム中のファーネス
ブラック体積分率で除した値を、発熱性 Δt (℃/
s)として、マイクロ波吸収性の指標とした。即ち、Δ
t が大きい程マイクロ波を印加した際に発熱しやす
く、より省電力・短時間のマイクロ波加硫が可能なこと
を示す。
【0026】電子レンジの加熱時間は、 30,60,90,120,
150 秒を基本とし、発熱性が著しく高い場合には更に短
い加熱時間も臨機応変に用いた。未加硫ゴム試験片は熱
伝導率が低く、蓄熱しやすいため、酸化反応(化学反
応)を開始する場合がある。加熱時間に対し、試験片表
面温度をプロットし、直線に乗らない測定点は、再測定
により再現性を確認し、直線に乗るデータを採用する。
【0027】ある時間以上加熱され、酸化反応(化学反
応)による発熱を生じたために、数回測定しても直線か
ら外れる測定点は、より加熱時間の長い測定点ととも
に、発熱性Δt の計算から除外する。試験片表面温度
が 140 ℃以上の場合、特に再現性に注意する。なお電
子レンジには、株式会社東芝製の家庭用電子レンジ ; E
W−100 (出力 500W 、発振周波数 2450 MHz) を、表面
温度計には、安立計器株式会社製の HFT−40 を使用し
た。 (10)体積固有抵抗 (Ω・cm) 2 mm 厚みに調整した未化硫ゴムシートを試験片とし、
三菱化学(株)製の抵抗測定装置「ハイレスタ」を用
い、四探針法により測定した。
【0028】
【実施例】下記実施例及び比較例に使用した粉末ファー
ネスブラック及び改質・未改質ファーネスブラックの調
整例をまず説明する。 (1)ファーネスブラックの製造例 粉末ファーネスブラックは、クレオソート油を原料油と
して、通常のファーネス炉を用い、目標とする N2SA (
m2/g )、DBP ( ml/100g )特性とするために、通常行わ
れているように空気率、原料油噴霧位置、原料油中のK
OH濃度、高温での滞留時間等を制御することによっ
て、HAF級CB、MAF級CB、FEF級CBの3種
類を製造した。
【0029】(2)改質・未改質ファーネスブラックの
製造例(整理区分:A〜Y) このようにして製造した3種類のファーネスブラック
(HAF級CB、MAF級CB、FEF級CB)100 重
量部に対して、表1に示した各種の化合物等を種々の配
合量( 0.6〜6.3 重量部)の割合にて、1Kgファーネスブ
ラック当たりの造粒水約 1.4リットルとともに水溶液と
して加え、転動式造粒機で造粒した後、300℃で 2 時間
熱処理し、改質ファーネスブラック(整理区分:A〜
R)を製造した。
【0030】但し表1中の化合物としては、 ・PEG#200, PEG#600, PEG#4000;分子量がそれぞれ 20
0,600,4000 のポリエチレングリコール、 ・DEG ;ジエチレングリコール、 ・TEA ;トリエタノールアミン、 ・グリセリン、 ・PVA#500;分子量が 500 のポリビニルアルコール 等
である。 また化合物が添加されていないファーネスブラック(整
理番号A,B)は、通常製品(新日鐵化学(株)製 HA
F級ニテロン #200、MAF 級ニテロン #10 )である。
【0031】
【表1】
【0032】表1より、高比表面積のHAF級ファーネ
スブラックの通常製品Aの吸水率は、MAF級ファーネ
スブラックの通常製品Bと比較し著しく高く、成型時に
外圧のかからない連続加硫方式には、巣が生じやすく不
向きであることが分かる。これに対して本発明の改質フ
ァーネスブラックC,D,Fの吸水率は、化合物の添加
量に応じて若干増加するものの、最も化合物の添加量の
多いFでも、MAF級ファーネスブラックの通常品Bと
大差なく、HAF級ファーネスブラックに対し、非常に
有利であることが分かる。
【0033】(3)未加硫ゴム組成物の製造例(No.1〜2
2) 上記の表1に記載の改質・未改質ファーネスブラック
(A〜R)を、未加硫ゴム(EPDM)に、オイル、加
硫剤としての硫黄、加硫促進剤としてのメルカプトベン
ゾチアゾール(M)、テトラメチルチウラムジスルフイ
ド(TT)、亜鉛華、ステアリン酸、増量剤としての重
炭酸カルシウム等とともに表2,表3の上段に示した割
合にて配合し、ASTMに準拠してバンバリーミキサー
及びロールを用いて混練し未加硫ゴム組成物 ( No.1〜2
2 )を調整した。これら未加硫ゴム組成物の特性値(ML
1+4 ,レオメーターt90 , Δt ,体積固有抵抗)の測定
結果を表2,表3の下段に示す。
【0034】但しゴム等の配合物には、次のものを使用
した。 ・EPDMは、市販品(住友化学工業製;エスプレンE
P−553)を使用。 ・オイルは、富士興産(株)製;フッコールプロセスP
−200、又は出光興産(株)製;ダイアナプロセスオ
イルNS−24を使用。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】(4)加硫ゴム特性値の測定結果 未加硫ゴム組成物 No.1〜22 について、加硫(ホットプ
レスにより、160℃×10分又は15分)を行い加硫
ゴムを製造した。加硫ゴムの特性は、加硫方式により大
きく影響されることはないので、ラボスケールにおいて
は簡便なホットプレス加硫により加硫ゴム特性値を評価
した試験片を作成した。尚、マイクロ波加硫に対する適
正は、前述した未加硫ゴム組成物の特性値 Δt で評価
した。得られた加硫ゴムについて前記した試験法に従っ
てゴム特性値(分散率、HS;ゴム硬度,M300; 300%モジュ
ラス,TB; 引張強さ)を測定した結果を表2及び表3の
ゴム特性値欄にまとめて示す。以下にこの結果を、本発
明に相当するものを実施,本発明に相当しないものを比
較として実施例/比較例の区分欄に記載して下記に説明
する。
【0038】MAF級の改質・未改質CB配合 EPDM
ゴム組成物 No.4〜11の場合、ASTM D 3568−90 の EPDM
配合において、MAF級のファーネスブラック100重量
部に分子量 200 のポリエチレングリコール ( PEG#200
) を 0.6〜3.8 重量部添加し造粒後、熱処理した改質
ファーネスブラック(表1の C,D,E,F )を 40〜80 phr
配合した No.5,7,8,9,10 (実施例)は、化合物無添加
のMAF級のファーネスブラックの通常製品 B を同量
配合した No.4 及び No.6 (比較例)と比較し、マイク
ロ波加熱による発熱性(Δt)が著しく高く、特に No.
7 はHAF級ファーネスブラックの通常製品Aを同量配
合した No.1 に近い発熱性を示している。
【0039】MAF級のファーネスブラック100重量
部に PEG#200 を 6.3 重量部添加し造粒後、熱処理した
表1の G を 80 phr 配合した No.11(比較例)は、発
熱性の向上幅が小さく、引張強さ ( TB ) も低下してい
る。 MAF級のファーネスブラック 100 重量部に PEG#60
0 、 PEG#4000 を 1.3重量部添加し造粒後、熱処理した
表1の H と I を 80 phr 配合した No.12,13(実施
例)にも発熱性の改善が見られ、特に No.12 はHAF
級ファーネスブラックの通常製品Aを同量配合した No.
1 に匹敵する発熱性を示している。
【0040】ところがMAF級のファーネスブラック
100重量部に PEG と同じ極性物質であるジエチレングリ
コール(DEG)、トリエタノールアミン(TEA)、グリセリ
ン、ポリビニルアルコール(PVA#500)を 1.3 重量部添加
し造粒後、熱処理した表1の J,K,L,M を 80 phr 配合
した No.14,15,16,17(比較例) には、発熱性の改善が
見られていない。
【0041】MAF級のファーネスブラック100重量
部に PEG#200 を 1.3 重量部添加し造粒後、熱処理した
表1の D を 80 phr 配合することにより、著しく発熱
性が改善した No.8 と同量相当の PEG#200 を極性物質
として単にゴム組成物に含むように、ゴム配合時に 1
重量部(但しMAF級CBの通常製品 B は 10 phr と
僅かに配合)添加しただけの No.3 は、極性物質として
PEG#200 を添加していないNo.2 に対し、若干発熱性が
向上しているが、本発明による No.8 の No.6 に対する
向上幅と比較すると極めて小さい。
【0042】即ちこれが極性物質を単にゴム配合時に添
加しブレンド配合した場合の、極性物質自身の双極子の
配向による効果であり、極めて小さい。これに対して本
発明による配合によれば、特定のPEG化合物を予めファ
ーネスブラックに添加し造粒して加熱し一体化した改質
ファーネスブラックをゴム配合時に所定量配合すること
により、未加硫ゴム組成物の導電性を向上(即ち、通常
製品 B を 80 phr 配合した No.6 と比較し、 No.7 及
び No.12 の体積固有抵抗が低いことを参照)させると
ともに、通過電流による損失を増大させ、発熱性を改善
するものであって、単なる極性物質配合による効果とは
本質的に異なる。
【0043】高比表面積のHAF級ファーネスブラッ
クは、発熱性は高いが、表1の説明で述べたように吸水
率が著しく高く、連続加硫成形には向かない。更にMA
F級のファーネスブラックに比べ、分散率も低いため、
ゴム製品の表面肌に悪影響を与える可能性も高い。HA
F級ファーネスブラックの通常製品 A を 80 phr 配合
した No.1 の分散率は、MAF級のファーネスブラック
の通常製品 B を 80 phr 配合した No.6 と比較して
も、明らかに悪い。これに対して、化合物を添加し造粒
後、加熱した本発明の改質ファーネスブラックを 80 ph
r 配合した No.7〜10 及び No.12,13 はいずれも No.6
と遜色のない分散率を示している。
【0044】同様に、ASTM D 3568−90 の EPDM 配合
に重炭酸カルシウムを加えた系でも、FEF級のファー
ネスブラック100重量部に PEG#200 を 0.5 及び 1 重量
部添加し造粒後、熱処理した表1の改質ファーネスブラ
ックの Q,P を 100 phr 配合した No.21,20 (実施例)
は、化合物無添加のFEF級のファーネスブラックの通
常製品 N を 100 phr 配合した No.18 (比較例)に比
べ、発熱性、引張強さが著しく高い。 しかし、FEF級のファーネスブラック 100重量部に
PEG#200 を 0.1 及び5 重量部添加し造粒後、熱処理し
た表1の R,O を 100 phr 配合した No.22,19(比較
例)には、発熱性の改善効果が見られない。
【0045】
【発明の効果】以上説明した本発明の特定の改質ファー
ネスブラックを未加硫ゴムに配合することにより、マイ
クロ波加硫する際に、発熱性を大幅に増強可能である。
これによって非極性ゴム等の未加硫ゴム組成物に対する
マイクロ波の吸収による、熱伝達が極めて短時間でしか
も均一な加熱が期待でき、ゴム加工工程の簡便な連続化
を可能とし、エネルギー効率の向上と、環境への悪影響
の緩和等、産業上極めて有益な効果を発揮するものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 21/00 LAY C08L 21/00 LAY // B29K 21:00 105:24 (72)発明者 澤 泰久 福岡県北九州市小倉北区片野1丁目2−11 (72)発明者 井野 俊行 福岡県北九州市若松区高須西二丁目1−63 (72)発明者 河野 太郎 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新日 本製鐵株式会社技術開発本部内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ファーネスブラック 100 重量部に対
    し、分子量 150 以上のポリエチレングリコールを 0.2
    〜4.5 重量部の割合で一体化してなるマイクロ波加硫用
    改質ファーネスブラック。
  2. 【請求項2】 ファーネスブラックは、N2SA(窒素
    吸着比表面積;m2/g)とDBP(ジブチルフタレート吸
    油量;ml/100g)が下記条件を満足するものである請求
    項1記載のマイクロ波加硫用改質ファーネスブラック。 30≦N2SA≦60 100≦DBP
  3. 【請求項3】 分子量 150 以上のポリエチレングリコ
    ールを、ファーネスブラック 100 重量部に対し0.2〜4.
    5重量部の割合にて水溶液の形で添加し、造粒後に加熱
    することを特徴とするマイクロ波加硫用改質ファーネス
    ブラックの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は請求項2記載の改質ファー
    ネスブラックを未加硫ゴム100重量部に対し40重量
    部以上120重量部以下の割合で配合してマイクロ波に
    よる加硫を行うことを特徴とするゴムの加硫方法。
JP18092496A 1996-07-10 1996-07-10 マイクロ波加硫用改質ファーネスブラックとその製造法及びゴムの加硫方法 Withdrawn JPH1025429A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CZ297268B6 (cs) * 2004-08-04 2006-10-11 Dvorák@Zdenek Energeticky úsporný zpusob prípravy gumárenských smesí, polotovaru nebo výrobku a zarízení k provádení tohoto zpusobu

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CZ297268B6 (cs) * 2004-08-04 2006-10-11 Dvorák@Zdenek Energeticky úsporný zpusob prípravy gumárenských smesí, polotovaru nebo výrobku a zarízení k provádení tohoto zpusobu

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