JPH1025192A - 結晶成長方法 - Google Patents

結晶成長方法

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JPH1025192A
JPH1025192A JP17688096A JP17688096A JPH1025192A JP H1025192 A JPH1025192 A JP H1025192A JP 17688096 A JP17688096 A JP 17688096A JP 17688096 A JP17688096 A JP 17688096A JP H1025192 A JPH1025192 A JP H1025192A
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JP
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nitrogen
crystal
crucible
boron
crystal growth
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JP17688096A
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Hiroshi Okada
広 岡田
Takeo Kawanaka
岳穂 川中
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1300℃以上の高融点を有する結晶成長用材料
においても、成長結晶中へのほう素の混入を抑制しつ
つ、ルツボの劣化を抑制し得る。 【解決手段】 窒化ほう素ルツボに液体封止材と共に収
容された成長用原料を加熱溶融して結晶を成長させる結
晶成長方法において、液体封止材として予め窒素を含有
させた窒素含有酸化ほう素ガラスを用い、かつ、窒素を
含む雰囲気ガス下で成長させる。このとき、前記窒素含
有酸化ほう素ガラス中の窒素含有量は 0.1〜1.8 wt%
に、雰囲気ガスの窒素分圧は1気圧以上に設定してお
く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体単結
晶や光学用酸化物単結晶などの結晶成長方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に、青色半導体レーザーは、現有の
赤色半導体レーザーの約 1/2の波長であるため、コンパ
クトディスクなどに代表される光磁気媒体の記録密度を
4倍にできると言われている。また、他の光源に比較し
て、コンパクト,低消費電力などの利点がある。さら
に、青色発光ダイオードが実現すれば、現有の赤色や緑
色の発光ダイオードとあわせて光の3原色が得られ、大
型の高輝度フルカラーディスプレイなどへの応用が考え
られるため、その開発が切望されている。
【0003】このような青色の発光素子の製造には、青
色光のエネルギーに対応したバンドギャップエネルギー
を持つ半導体材料、いわゆるワイドギャップ半導体材料
が使用される。このワイドギャップ半導体材料の中で
は、ZnSe系II−VI族化合物半導体が最も有望視されてい
る。また、赤色から緑色までの波長域の発光ダイオード
としては、III−V族化合物半導体のGaP単結晶が現在
使用されている。このGaP単結晶は、デバイス性能の向
上のために基板結晶のさらなる低転位密度化,高純度化
が必要とされており、現状の液体封止チョクラルスキー
法(LEC法)に替わる低欠陥密度の結晶成長方法の確
立が望まれている。これに適用可能な高品質結晶の成長
方法として、垂直ブリッジマン法など容器成長法の開発
が重要と考えられている。
【0004】これらZnSeおよびGaPに代表されるII−VI
族およびIII−V族化合物半導体の結晶成長では、不純
物混入を避けるために高価で高純度な熱分解性窒化ほう
素ルツボ(以下、P-BNルツボという)が一般に使用され
ている。一方、GaAs単結晶は、化合物半導体の中でも高
速電子デバイスや半導体レーザーなどの発光素子に使用
されている重要性から、最も研究が進んでおり、結晶成
長においても種々の知見が蓄積されている。
【0005】GaAs単結晶をLEC法で成長させる場合、
酸化ほう素ガラスが液体封止材として使用され、また、
雰囲気ガスとしてArが通常使用されている。これに対
し、窒素を雰囲気ガスとして使った成長実験が行われ
( H.Emori et.al. Semi-insulating III−V Material
s,Shiba Publishing Ltd., P.111(1984))、この実験
結果では、GaAs結晶中へのほう素の混入量が、Ar雰囲気
の場合には5×1016atoms/cm3 であるのに対し、窒素雰
囲気ガス使用では2×1015atoms/cm3 以下と高純度にな
っている。この原因として、窒素ガスが酸化ほう素の還
元を抑制し、酸化ほう素からGaAs結晶中へのほう素の混
入が抑制されることが推定されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したL
EC法,或いは水平ブリッジマン法(HB法)や垂直ブ
リッジマン法(VB法)など、ルツボに収容した単結晶
成長用原料を加熱溶融して原料融液から単結晶を成長さ
せる融液成長方法、あるいは、例えばフラックス法など
溶液系から単結晶を成長させる方法も含め、高温下にお
ける液体封止材の酸化ほう素とP-BNルツボとの溶解反応
によって、ルツボが次第に劣化する。このため、成長時
間により異なるものの、通常5〜10回程度の使用でルツ
ボが破損に至る。
【0007】特に、例えばZnSe,GaPの融点はそれぞれ
1520℃,1467℃と高温であるため、結晶成長時のP-BNル
ツボと酸化ほう素液体封止材との反応が著しく、P-BNル
ツボは通常1〜2回で寿命に至る。なお、前述の窒素雰
囲気とした成長実験では、結晶中へのほう素混入抑制効
果については述べられているものの、ルツボ寿命への効
果については報告がない。本発明者らによるP-BNルツボ
を使用したGaAs単結晶の垂直ブリッジマン法での成長実
験においては、ひ素雰囲気中でP-BNルツボの寿命は、成
長回数で5〜8回であった。さらに、ZnSeやGaPのよう
に1300℃以上の高温下での結晶成長では、窒素ガス雰囲
気のみでは、酸化ほう素ガラスとの反応によるP-BNルツ
ボの劣化を避けることはできず、ルツボは1〜2回で寿
命に至る。
【0008】本発明は、上記のような問題点に鑑みなさ
れたもので、窒化ほう素ルツボの劣化を抑制し得る結晶
成長方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明の結晶成長方法は、窒化ほう素ルツボに液体封止
材と共に収容された成長用原料を加熱溶融して結晶を成
長させる結晶成長方法において、液体封止材として予め
窒素を含有させた窒素含有酸化ほう素ガラスを用い、か
つ、窒素を含む雰囲気ガス下で成長させることを特徴と
している。
【0010】このように、予め窒素を含有させた酸化ほ
う素ガラス(窒素含有酸化ほう素ガラス)を液体封止材
として用い、さらに窒素を含む雰囲気ガス圧を印加して
結晶を成長させると、窒化ほう素ルツボ(以下、BNルツ
ボという)の液体封止材への溶解反応が抑制され、窒化
ほう素ルツボの寿命を延ばすことが可能となる。さら
に、液体封止材としての酸化ほう素の還元が抑制され、
成長結晶へのほう素の混入も抑制される。この場合、窒
素含有酸化ほう素ガラス中の窒素含有量を 0.1〜1.8 wt
%、窒素分圧を1気圧以上とした雰囲気ガス下で結晶を
成長させると良い。
【0011】また、結晶成長方法としては、垂直ブリッ
ジマン法,水平ブリッジマン法,液体封止チョクラルス
キー法などの融液成長法が使用可能である。そして、こ
のような方法を利用して、GaP,GaAs,InPなどのIII
−V族化合物単結晶や、ZnSe,ZnS,ZnTe,CdSe,CdTe
などのII−VI族化合物単結晶を得ることが可能である。
上記窒化ほう素ルツボとしては、熱分解性窒化ほう素ル
ツボが好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】以上のような本発明の結晶成長方
法について詳しく説明する。初めに、例えばほう素メト
キシドを加水分解して得られるゲルをアンモニアガス中
で処理する等によって、予め窒素を含有させた酸化ほう
素ガラスを作製する。このときの窒素含有量は 0.1〜1.
8 wt%が好適である。
【0013】上記酸化ほう素ガラス中への窒素含有量
は、ガラス作製法によっても異なり、正確には把握し難
いものの、約 1.8wt%を越えるまでは溶解し得る。しか
し、窒素が 1.8wt%を越えて含有されると、ガラス中へ
のBN粒子の析出が起こり、ガラスの粘度が増加して流動
性が悪くなる。また、析出したBN粒子が異物として成長
結晶中に混入する恐れもある。さらに、窒素含有量の増
加に伴い、ガラスの軟化点が上昇し、低温での原料封止
効果が失われ、昇温中の原料の分解を抑制することがで
きなくなるため実質的に使用できない。一方、窒素含有
量が 0.1wt%未満では、BNルツボ材の溶解を抑制する効
果が小さくなる。
【0014】このようなガラスを液体封止材として結晶
成長用原料と共にBNルツボ内に配し、BNルツボ内の原料
と液体封止材とを加熱溶融する。そして、Arなどの不活
性ガスに窒素ガスを含有させ,窒素分圧を1気圧以上に
した雰囲気ガス下で例えば垂直ブリッジマン法により原
料融液から結晶を成長させる。上記雰囲気ガス中の窒素
分圧は、ZnSe,ZnSなど高融点結晶成長時において、1
気圧未満であると、窒素含有酸化ほう素ガラスからの窒
素の脱離が生じる。成長温度がより低い場合は、必要な
窒素分圧は1気圧より多少低くても良いが、1300℃以上
の成長温度では、おおむね1気圧程度が下限値である。
また、上限値に関しては特に制限はなく、 100%窒素ガ
スを用い 100気圧で成長を行った場合でも問題はない。
【0015】このように窒素含有酸化ほう素を液体封止
材として用い、さらに窒素雰囲気ガス圧を印加して結晶
成長を行うと、高温域でのBNルツボの液体封止材への溶
解反応が抑制され、BNルツボの変質や損傷が抑制され、
BNルツボの寿命を延ばすことができる。次に、以上の方
法でルツボの溶解反応が抑制される理由について説明す
る。
【0016】まず、BNルツボは、液体封止材としての酸
化ほう素ガラスに,BN→B+Nの反応にしたがって分
解し、溶解するものと考えられる。この反応の平衡定数
kは、次のように液体封止材側のほう素と窒素との濃度
で表せる。 k=[B][N]/[BN]=a[B][N] (但し、aは定数,[]は濃度を表す。) この関係式より、液体封止材の窒素濃度が高い([N]
が大きい)ほど、ほう素濃度が低い状態で反応が平衡す
る。したがって、液体封止材中に充分な量の窒素を存在
させることにより、BNの分解が抑制される。
【0017】このように、BNの溶解反応を抑えるために
は、酸化ほう素ガラス中の窒素濃度は高い方が好まし
い。酸化ほう素ガラス中の最大窒素濃度は、原理的には
酸化ほう素への窒素の溶解度によって決定され、雰囲気
ガス中に窒素が含有されていれば、この窒素が上記溶解
度に達するまで、酸化ほう素中に溶解していく。しか
し、実際は、結晶成長中に雰囲気ガスが徐々に酸化ほう
素中へ溶解する過程が必要であり、雰囲気ガスからの窒
素の溶解速度やガラス中での対流なども最終的な窒素含
有量に影響を及ぼすことになる。
【0018】例えば、従来のLEC法では、液体封止層
が結晶およびルツボ回転により常に攪拌されているもの
の、垂直ブリッジマン法では、静止状態で,かつルツボ
上部へ向かって温度が高くなる温度勾配下で成長が行わ
れる。このため、液体封止材の対流が起き難く、ガラス
融液の攪拌効果が期待できず、雰囲気ガスからの窒素の
実質的な溶解速度は遅く、また、液体封止ガラス中の窒
素濃度は不均一になり易い。特に、垂直ブリッジマン法
は、低転位結晶の製造法として近年注目されているもの
の、上記溶解反応に加え雰囲気ガスからの窒素の溶解速
度が遅いためにP-BNルツボの寿命が極めて短く、これに
起因する結晶製造コスト高が実用化の障害となってい
る。よって、雰囲気ガス中に窒素を含有させるだけで
は、BNルツボの反応抑制効果は不十分となる。
【0019】そこで、本発明では、予め窒素を含有させ
た液体封止材を使用する。これにより、液体封止材に対
流による攪拌作用がなくても、液体封止材中には、成長
開始当初より均一かつ充分な濃度の窒素が含有されてい
る。しかも、雰囲気ガス中に1気圧以上の分圧で窒素を
含有させていることによって、液体封止材中の窒素の脱
離が抑制され、上記溶解度がほぼ維持されることにな
る。
【0020】この結果、水平ブリッジマン法、LEC法
などの融液成長法はもちろん、雰囲気ガスからの窒素の
溶解速度が遅い垂直ブリッジマン法でも、BNルツボの溶
解反応に対する大きな抑制効果が得られる。一方、BNル
ツボの液体封止材への溶解反応で、窒素と同時にほう素
も液体封止材中に溶解し、このほう素が結晶中へ取り込
まれることになる。したがって、この溶解反応が抑制さ
れることにより、液体封止材中へほう素が溶け出さず、
成長結晶中へのほう素の混入がさらに防止される効果も
ある。この結果、本発明では成長結晶中のほう素混入量
が1016atoms/cm3 台に抑えられ、酸化ほう素単体を液体
封止材とした従来法より2〜3桁も低減できるため、品
質に優れた基板結晶が得られる。
【0021】なお、本発明の結晶成長方法は、高蒸気圧
成分を含む融液あるいは溶液成長法における成分の蒸発
を抑制することを目的とする液体封止や、単結晶成長以
外の高蒸気圧成分を原料とする多結晶状の化合物合成時
における成分の蒸発防止方法としても利用可能であり、
いずれもBNルツボの寿命延長効果が期待できる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 〔実施例1〕初めに、GaPの単結晶成長を行った実施例
について説明する。予め、ほう素メトキシドを加水分解
して得られたゲルを 430℃のアンモニアガス中で2時間
処理し、窒素含有酸化ほう素ガラスを得た。このときの
含有窒素濃度は、 1.8wt%であった。そして、直径50m
m,直胴部長さ 250mmのP-BNルツボ中に、GaP多結晶原
料塊800gを充填し、このGaP原料上に前記窒素含有酸化
ほう素ガラス300gを配し、高圧ブリッジマン炉中で単結
晶成長を行った。雰囲気ガスとして10%窒素含有Arガス
を用い、全圧を90気圧とした。この場合の窒素分圧は9
気圧である。
【0023】手順としては、まず室温で50気圧の10%窒
素含有Arガスを炉内に充填し、 300℃/hで昇温を開始
し、ルツボ下部に配した種結晶上端部がGaPの融点1467
℃になるまで昇温した。このとき、ルツボ上部での最高
温度は1550℃であった。炉内のガス圧は、温度上昇とと
もに増加し、90気圧を越えた時点で自動圧力制御装置に
より炉外に排出され、成長終了まで一定に保持された。
結晶成長は、ルツボを5mm/hで下降することにより行っ
た。ルツボ中の原料がすべて結晶化した後、 500℃/hで
炉内温度を下降させ、室温になった時点で圧力を常圧ま
で下げ、試料を取り出した。結晶は、ルツボ内の固化し
た液体封止ガラスをメタノール中で煮沸して溶解し、ル
ツボ内から回収した。結晶成長後のP-BNルツボは、変色
などが認められず、健全な状態であった。
【0024】以上の方法で、同一ルツボにてGaP結晶成
長を繰り返して実施した。P-BNルツボは、その都度、内
面から極薄い剥離を生じたものの、ルツボ本体の劣化は
起こらず、通常の寿命をはるかに越える合計23回の繰り
返しに耐えた。最終的にP-BNルツボの組織観察を行った
結果、新品のP-BNルツボに見られる典型的な層状の微細
な組織が観察され、新品のP-BNルツボと比較して大きな
差異は認められず、ルツボの最終的な破損が正常な層状
組織の剥離の累積の結果であることが判明した。このと
きの結晶中のほう素濃度は、 1.2×1016atoms/cm3 であ
った。 〔比較例1〕液体封止材として酸化ほう素ガラスを使う
ほかは、実施例1と同様にGaPの単結晶成長を行った。
結晶成長後、P-BNルツボは白色化し,弾力性が失われて
脆くなっており、ガラスをメタノール溶解した後にクラ
ックが入り破損した。破損部のP-BNルツボの組織を観察
したところ、BNの粒子が著しく成長しており、粒界に隙
間を持つ多孔質状態になっていることが判明した。
【0025】ルツボの劣化の原因として、P-BNルツボが
酸化ほう素中に溶解し,そこから再び析出する,いわゆ
る溶解析出機構により粒成長が進み、ルツボの劣化,破
損に至ったものと推定される。このときの結晶中のほう
素濃度は、 3.1×1018atoms/cm3 であった。 〔実施例2〕予め、酸化ほう素中にBN粉末を2wt%添加
し、P-BN製のルツボ中で 100気圧の窒素圧下で10時間保
持し、窒素含有酸化ほう素ガラスを得た。このガラス中
には、0.15wt%のBNが未溶解で残存していたが、これを
差し引いたガラス中の窒素含有量は、0.18wt%であっ
た。このガラスを液体封止材として使用することと、結
晶成長での窒素分圧を1気圧とする他は、実施例1と同
様にGaPの結晶成長を実施した。
【0026】このようにして得られた結晶成長後のP-BN
ルツボに変色などは認められず、健全な状態であった。
ルツボ内面の組織にも大きな変化はなく、ルツボ劣化は
認められなかった。このときの結晶中のほう素濃度は、
4.5×1016atoms/cm3 であった。 〔実施例3〕実施例1と同様のガラス製造法で得られた
窒素含有酸化ほう素ガラスに、さらに酸化ほう素単体を
加えることにより、窒素含有量を 0.1wt%まで希釈した
ものを作製した。このガラスを液体封止材として使用す
ることと、結晶成長での窒素分圧を1気圧とする他は、
実施例1と同様にGaPの結晶成長を実施した。
【0027】このようにして得られた結晶成長後のP-BN
ルツボに変色などは認められず、健全な状態であった。
ルツボ内面の組織にも大きな変化はなく、ルツボ劣化は
認められなかった。このときの結晶中のほう素濃度は、
3.8×1016atoms/cm3 であった。 〔実施例4〕次に、ZnSeの単結晶成長を行った実施例に
ついて説明する。
【0028】予め、ほう素メトキシドを加水分解して得
られたゲルを 430℃のアンモニアガス中で2時間処理
し、窒素含有酸化ほう素ガラスを得た。このガラスの含
有窒素濃度は、 1.8wt%であった。そして、直径50mm、
直胴部長さ 250mmのP-BNルツボ中にZnSe多結晶原料塊20
0gを充填し、前記窒素含有酸化ほう素ガラス100gをZnSe
原料上に配し、高圧ブリッジマン炉中で単結晶成長を行
った。このときの雰囲気ガスとして10%窒素含有Arガス
を用い、全圧を10気圧とした。この場合の窒素分圧は1
気圧である。
【0029】手順としては、まず室温で4気圧の10%窒
素含有Arガスを炉内に充填し、 300℃/hで昇温を開始
し、ルツボ下部に配した種結晶の上端部がZnSeの融点15
20℃になるまで昇温した。このときのルツボ上部での最
高温度は1650℃であった。炉内のガス圧は、温度上昇と
ともに増加し、10気圧を越えた時点で自動圧力制御装置
により炉外に排出され、成長終了まで一定に保持され
た。結晶成長は、ルツボを3mm/hで下降することにより
行った。ルツボ中の原料がすべて結晶化した後、 200℃
/hで炉内温度を下降させ、室温になった時点で圧力を常
圧まで下げ、試料を取り出した。結晶は、ルツボ内の固
化した液体封止ガラスをメタノール中で煮沸して溶解
し、ルツボ内から回収した。結晶成長後のP-BNルツボに
変色などは認められず、健全な状態であった。このとき
の結晶中のほう素濃度は、 1.2×1016atoms/cm3 であっ
た。 〔比較例2〕液体封止材として酸化ほう素ガラスを使う
他は、実施例4と同様にZnSe単結晶の成長を行った。結
晶成長後、炉内から取り出したルツボは、結晶上部の酸
化ほう素ガラスがP-BNルツボと接している部分で外側に
膨らむ変形を起こしており、P-BNルツボは変質のため極
めて脆くなっており、変形部より破損した。また、結晶
中のほう素濃度は、3×1019atoms/cm3 であった。 〔実施例5〕次に、液体封止材中の窒素含有量および雰
囲気ガス中の窒素分圧がルツボへ及ぼす影響を直接的に
調べた実験結果を実施例5として述べる。
【0030】まず、φ30mm×高さ50mmのP-BNルツボ中
へ、窒素含有酸化ほう素ガラスと共に、5mm×20mm×0.
8mm の短冊状のP-BN片を入れ、ルツボ全体を単結晶成長
炉中で、種々の温度,雰囲気ガス,時間のもとで保持し
た後、P-BN試料を回収し、組織の変質状況を調べた。こ
れらの実験結果は、表1に示す通りである。
【0031】
【表1】
【0032】表1に示すように、窒素含有酸化ほう素ガ
ラス中の窒素量が、0.10〜1.50wt%の範囲では、P-BN試
料の組織は変質しなくなり、材質の劣化が抑制されてい
ることが判る。ただし、雰囲気ガス中の窒素分圧が1気
圧未満であると、窒素含有酸化ほう素ガラスの窒素量が
0.10〜1.50wt%であっても、P-BN試料の組織に変質が生
じている。 〔実施例6〕次に、結晶成長の原料を変えて行った実験
結果を実施例6として述べる。
【0033】下記表2に示す種々の結晶原料 10gを、直
径15mm,高さ50mmの筒状P-BNルツボ中に、0.10wt%およ
び0.05wt%窒素含有酸化ほう素ガラス3gとともにそれぞ
れ充填し、1500℃, 100気圧,窒素分圧1気圧の窒素含
有Arガス中で、20時間保持した後のP-BNルツボの組織状
態を調べた。この結果は表2に示す通りである。
【0034】
【表2】
【0035】表2より、0.05wt%窒素含有酸化ほう素ガ
ラスでは、ZnTeで変質が生じ,CdSeやGaAsで若干粒成長
が見られるものの、窒素を0.10wt%を含有する液体封止
材では、全ての結晶材料で変質が生じていない。よっ
て、単結晶の原料によらず、ルツボの劣化を抑制し、ル
ツボ寿命の延長効果を期待できることが判る。
【0036】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の結晶成長方
法は、液体封止材として予め窒素を含有させた窒素含有
酸化ほう素ガラスを採用し、かつ、窒素を含む雰囲気ガ
ス下で窒化ほう素ルツボ内の成長用原料を成長させるの
で、結晶中へ混入するほう素量を低減して高純度な成長
結晶が得られると共に、窒化ほう素ルツボの変質や損傷
を抑制し、ルツボの寿命を著しく延長し得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C30B 29/40 501 C30B 29/40 501C 29/48 29/48 H01L 21/208 H01L 21/208 P T

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ほう素ルツボに液体封止材と共に収
    容された成長用原料を加熱溶融して結晶を成長させる結
    晶成長方法において、 上記液体封止材として予め窒素を含有させた窒素含有酸
    化ほう素ガラスを用い、かつ、窒素を含む雰囲気ガス下
    で成長させることを特徴とする結晶成長方法。
  2. 【請求項2】 上記窒素含有酸化ほう素ガラス中の窒素
    含有量が 0.1〜1.8wt%であり、窒素分圧が1気圧以上
    の雰囲気ガス下で成長させることを特徴とする請求項1
    に記載の結晶成長方法。
  3. 【請求項3】 垂直あるいは水平ブリッジマン法,もし
    くは液体封止チョクラルスキー法により成長させること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の結晶成長方法。
  4. 【請求項4】 成長結晶が、GaP,GaAs,InPなどのII
    I−V族化合物単結晶、又は、ZnSe,ZnS,ZnTe,CdS
    e,CdTeなどのII−VI族化合物単結晶であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の結晶成長方法。
  5. 【請求項5】 上記窒化ほう素ルツボが、熱分解性窒化
    ほう素ルツボであることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載の結晶成長方法。
JP17688096A 1996-07-05 1996-07-05 結晶成長方法 Pending JPH1025192A (ja)

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JP17688096A JPH1025192A (ja) 1996-07-05 1996-07-05 結晶成長方法

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CN115491747A (zh) * 2022-09-29 2022-12-20 天津理工大学 一种六方氮化硼单晶的方法

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