JPH10251863A - ラミネート用りん酸亜鉛処理鋼板及びその製造方法 - Google Patents

ラミネート用りん酸亜鉛処理鋼板及びその製造方法

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JPH10251863A
JPH10251863A JP243998A JP243998A JPH10251863A JP H10251863 A JPH10251863 A JP H10251863A JP 243998 A JP243998 A JP 243998A JP 243998 A JP243998 A JP 243998A JP H10251863 A JPH10251863 A JP H10251863A
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博之 加藤
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寿人 野呂
Kazumi Jiroumaru
和三 治郎丸
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の高分子フィルムラミネート用りん酸塩処
理鋼板の密着性及び耐食性を大幅に改善するラミネート
用りん酸亜鉛処理鋼板及びその製造方法を提供する。 【解決手段】溶融亜鉛めっき系鋼板に、0.2〜1.2
g/m2 のりん酸亜鉛皮膜、3〜50mg/m2 のクロ
メート皮膜を順に形成してなるりん酸亜鉛処理鋼板にお
いて、りん酸亜鉛皮膜は短径及び長径がいずれも30μ
m〜1mmの範囲の島状のりん酸亜鉛皮膜未形成部を有
し、且つ鋼板表面積に対しりん酸亜鉛皮膜未形成部の表
面積の合計が5〜70%であることを特徴とするフィル
ム密着性及びフィルムラミネート後の耐食性に優れたラ
ミネート用りん酸亜鉛処理鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子フィルムを
ラミネートした鋼板のフィルム密着性と耐食性を改善す
るラミネート用りん酸塩処理鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭56−119780号には冷延鋼
板や亜鉛めっき鋼板に塗装したり、有機フィルムを形成
させる際に、りん酸塩処理液を使用して鋼板を前処理
し、付着するりん酸塩処理液をロール絞りやエアーナイ
フ等の物理的方法で除去したのち、これを水洗せずに乾
燥し、りん酸塩処理液による表面処理を施すことにより
塗装性や有機フィルムなどの密着性を向上させる技術が
開示されている。また、特開昭59−133374号に
は亜鉛めっき鋼板の表面に、NiまたはCoを20〜3
00mg/m2 、りん酸亜鉛を0.5〜3.5g/m
2 、Crを20〜150mg/m2 形成させ端面腐食を
改善させる技術が開示され、特開平1−105727号
には亜鉛めっき鋼板の表面に、りん酸亜鉛皮膜を0.5
〜1.5g/m2 付着させ、さらにクロメート皮膜を全
クロム付着量で30〜150mg/m2付着させること
によりプラスチックシート密着性及び耐食性を向上させ
る技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭56−
119780号公報の技術では、従来のチタンコロイド
溶液処理後りん酸塩処理を施す方法に比較し密着性は向
上するものの、りん酸塩皮膜が緻密に形成されるため
に、大きな変形をともなう加工(例えば、0T密着曲げ
やエリクセン押出しなど)により密着性を評価すると十
分な性能が得られないという問題点がある。また、第1
段目のりん酸塩処理液を使用した前処理の後段に乾燥設
備を設置しなければならないこと、第2段目のりん酸塩
処理液による表面処理過程で第1段目に形成されたりん
酸塩皮膜や未反応乾燥皮膜の一部が溶解して処理液濃度
及び組成管理が煩雑になることなど処理コスト及び操業
上の問題がある。また、特開昭59−133374号公
報の技術は、NiまたはCo処理を行うということで製
造コストが高くなること、また、りん酸塩皮膜が緻密化
するために高度の密着性が得られないという問題があ
る。
【0004】さらに、前記の特開平1−105727号
公報の技術はカラー鋼板の製造における塗装前処理とし
て一般的に採用されており、表調(チタンコロイドによ
る表面調整)を施した後にりん酸亜鉛処理及びクロメー
ト処理を施す(実施例に記述有り)ことから、高度の密
着性と耐食性が要求される場合には性能的に不十分であ
る。
【0005】本発明の目的は、このような従来の高分子
フィルムラミネート用りん酸塩処理鋼板の密着性及び耐
食性を大幅に改善するラミネート用りん酸亜鉛処理鋼板
及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。 (1)本発明の鋼板は、溶融亜鉛めっき系鋼板に、0.
2〜1.2g/m2 のりん酸亜鉛皮膜、3〜50mg/
2 のクロメート皮膜を順に形成してなるりん酸亜鉛処
理鋼板において、りん酸亜鉛皮膜は短径及び長径がいず
れも30μm〜1mmの範囲の島状のりん酸亜鉛皮膜未
形成部を有し、且つ鋼板表面積に対しりん酸亜鉛皮膜未
形成部の表面積の合計が5〜70%であることを特徴と
するフィルム密着性及びフィルムラミネート後の耐食性
に優れたラミネート用りん酸亜鉛処理鋼板である。
【0007】(2)本発明の鋼板は、前記溶融亜鉛めっ
き系鋼板のめっき皮膜の化学成分として、重量%で、P
b、Cd、及びSbのうちの1種または2種以上を合計
0.03%以下と、Alを0.15〜1%含有し、残部
がZn及び不可避不純物である、上記(1)に記載のフ
ィルム密着性及びフィルムラミネート後の耐食性に優れ
たラミネート用りん酸亜鉛処理鋼板である。 (3)本発明の鋼板の製造方法は、上記(1)または
(2)に記載の鋼板を製造する方法において、溶融亜鉛
めっき系鋼板に、表面調整を施すことなく直接0.2〜
1.2g/m2 のりん酸亜鉛皮膜を形成した後、3〜5
0mg/m2 のクロメート処理を施すことを特徴とする
フィルム密着性及びフィルムラミネート後の耐食性に優
れたラミネート用りん酸亜鉛処理鋼板の製造方法であ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明者は、従来の高分子フィル
ムラミネート用りん酸塩処理鋼板の密着性及び耐食性を
大幅に改善するラミネート用りん酸亜鉛処理鋼板を得る
ために、鋭意高分子フィルムの密着性について調査し
た。
【0009】その結果、りん酸亜鉛皮膜が形成されてい
る部分ではりん酸亜鉛皮膜の凝集破壊によるフィルムの
剥離が生じることが判明した。一方、フィルムラミネー
ト後の耐食性を向上させるためにはりん酸亜鉛皮膜が必
須であることから、本発明者は密着性と耐食性を両者と
も向上させる方法としてりん酸亜鉛皮膜のミクロ的なス
ケ部(皮膜未形成部)を形成させる方法を見いだした。
すなわち、従来のコロイダルチタンによる表面調整(以
下、表調と称する)を省略して直接溶融亜鉛メッキ鋼板
上にりん酸亜鉛処理した後、クロムシーリングを施すこ
とで密着性を向上させ、その結果フィルムラミネート後
の耐食性をも向上させる方法である。
【0010】以上の知見に基づき、本発明者は、溶融亜
鉛めっき系鋼板に、表調を施さずに、付着量を特定した
りん酸亜鉛皮膜を直接形成した後、一定量のクロメート
処理を施すことにより、りん酸亜鉛皮膜中にミクロ的な
スケ部を一定の鋼板占有面積で形成するようにして、フ
ィルム密着性及びフィルムラミネート後の耐食性に優れ
た本発明のラミネート用りん酸亜鉛処理鋼板及びその製
造方法を見出し、本発明を完成させた。
【0011】すなわち、本発明は、溶融亜鉛めっき系鋼
板に施す皮膜及びその製造条件を下記範囲に限定するこ
とにより、従来の高分子フィルムラミネート用りん酸塩
処理鋼板の密着性及び耐食性を大幅に改善するラミネー
ト用りん酸亜鉛処理鋼板を得ることができる。以下に本
発明の溶融亜鉛めっき系鋼板の皮膜の限定理由、及び製
造条件の限定理由について説明する。 (1)溶融亜鉛めっき系鋼板の皮膜 まず本発明に使用する溶融亜鉛めっき系鋼板であるが、
亜鉛、亜鉛−5%アルミニウム、亜鉛−5%アルミニウ
ム−0.1〜1%マグネシウム等があげられる。 な
お、溶融亜鉛めっき系鋼板のミニマイズドスパングル材
を使用すると、平滑な表面を有するフィルムラミネート
鋼板を製造することができる。溶融亜鉛めっき皮膜のス
パングルをミニマイズド化するためには、皮膜中の化学
成分として、重量%で、Pb、Cd、及びSbのうちの
1種または2種以上の含有量を合計0.03%以下、か
つAlの含有量を0.15〜1%とし、残部をZn及び
不可避不純物とすればよい。この他、Pb、Cd、Sb
の1種または2種以上を合計0.03%以上含有するめ
っき浴でめっきした後、めっきが凝固する直前に水ミス
トスプレー、りん酸アンモニウムを0.5〜1%含有し
た薬液ミストスプレー若しくは亜鉛粉末噴霧等の処理を
行うことによってもスパングルをミニマイズド化するこ
とができるが、これらの方法によると、各スパングル表
面にPb、Cd、Sbが偏析するため、それがりん酸亜
鉛の結晶核となって、りん酸亜鉛皮膜のミクロ的スケ部
の形成が不十分になる。本発明の溶融亜鉛めっき系鋼板
の皮膜は、0.2〜1.2g/m2 の付着量のりん酸亜
鉛皮膜、3〜50mg/m2 の付着量のクロメート皮膜
が鋼板表面に順に形成され、りん酸亜鉛皮膜中に短径及
び長径がいずれも30μm〜1mmの範囲の島状のスケ
部(りん酸亜鉛皮膜未形成部)を有し、且つ鋼板表面積
に対しスケ部の表面積の合計が5〜70%であることを
特徴とする。
【0012】a.りん酸亜鉛皮膜 上記溶融亜鉛めっき系鋼板の表面に施されるりん酸亜鉛
皮膜の付着量は0.2〜1.2g/m2 である。
【0013】りん酸亜鉛皮膜付着量を0.2g/m2
満にすると、りん酸亜鉛皮膜による腐食因子(水分、塩
素イオン等)に対するバリアー性が低下し、耐食性が不
十分となる。一方、りん酸亜鉛皮膜付着量が1.2g/
2 を越えると、スケ部の大きさを30μm〜1mmに
し、さらにスケ部の面積比を5〜70%に制御すること
ができなくなる。その結果、特にフィルムラミネート後
の耐食性が不十分となる。従って、りん酸亜鉛皮膜付着
量は0.2〜1.2g/m2 である。
【0014】前記りん酸亜鉛皮膜は、図1(a−1)、
(a−2)、(a−3)に示すような島状のスケ部を有
し、その大きさは短径(a)及び長径(b)がいずれも
30μm〜1mmの範囲内であり、且つ鋼板表面積に対
しスケ部の表面積の合計が5〜70%である。
【0015】なお、ここでいう短径(a)及び長径
(b)とは、次のように定義したものである。すなわ
ち、図1(a−1)及び(a−2)に示すようにスケ部
の形状が全て凸部で形成されている場合においては、長
径(b)はスケ部の外周のうち、最長の2点間の長さで
あり、短径(a)は前記長径(b)に直交する直線を引
き、その直線とスケ部の外周が2点で交わる際の最長の
2点間の長さである。また、図1(a−3)に示すよう
にスケ部の形状が凸部と凹部で形成されている場合にお
いては、凹部がなくなるように凸部を直線で結び(すな
わち図(a−3)の点線部に相当)、それをスケ部の外
周と定義して、短径(a)及び長径(b)を前記と同様
に定義する。
【0016】りん酸亜鉛皮膜のスケ部が30μmより小
さいとフィルムに対する密着性が十分に得られなくな
り、その結果、耐食性が不十分となる。一方、りん酸亜
鉛皮膜のスケ部が1mmを越えると、フィルム密着性向
上効果が飽和するだけでなく、かえってフィルムラミネ
ート後の耐食性においてスケ部からの腐食が無視できな
くなり耐食性を劣化させる。
【0017】従って、りん酸亜鉛皮膜のスケ部を島状に
形成するにあたり、その大きさを短径(a)及び長径
(b)がいずれも30μm〜1mmの範囲内に限定し
た。次に、スケ部の面積比を5〜70%に限定した理由
について説明する。
【0018】スケ部の面積比を5%未満にするとフィル
ム密着性が十分に得られなくなり、70%を越えるとフ
ィルムラミネート後の耐食性が劣化する。より好ましい
スケ部の面積比は20〜70%である。
【0019】b.クロメート皮膜 りん酸亜鉛皮膜の表面に施されるクロメート皮膜は全ク
ロム付着換算で3〜50mg/m2 である。
【0020】りん酸亜鉛皮膜の表面にクロメート皮膜を
施す目的であるが、スケ部をクロメート皮膜で被覆する
ことにより、耐食性を向上させることにある。クロメー
ト皮膜が全クロム付着量換算で3mg/m2 未満では耐
食性が不十分である。一方、50mg/m2 を越えると
クロメート皮膜の凝集力が低下するばかりでなく、6価
クロムと下地亜鉛の反応が不十分となり、特に耐水密着
性のような湿潤環境でのフィルム密着性が劣る。従っ
て、クロメート皮膜は全クロム付着量換算で3〜50m
g/m2 である。上記の溶融亜鉛めっき系鋼板の皮膜に
調整することにより、従来の高分子フィルムラミネート
用りん酸塩処理鋼板の密着性及び耐食性を大幅に改善す
るラミネート用りん酸亜鉛処理鋼板を得ることが可能と
なる。
【0021】このような特性のラミネート用りん酸亜鉛
処理鋼板は、以下の製造方法により、製造することがで
きる。 (2)ラミネート用りん酸亜鉛処理鋼板の製造工程 上記の溶融亜鉛めっき系鋼板の表面に、表調を施さずに
付着量0.2〜1.2g/m2 のりん酸亜鉛皮膜を直接
形成した後、付着量3〜50mg/m2 のクロメート処
理を施す。
【0022】表調を省略して直接溶融亜鉛めっき鋼板上
にりん酸亜鉛処理を施す理由は、直接りん酸亜鉛処理を
施すと、亜鉛めっき表面のミクロ的な不均一さ(スパン
グルの結晶配向あるいはめっき後のスキンパスロール
目)の影響を受けて、りん酸亜鉛処理液中のNiの不均
一析出(多く析出する部分と少なく析出する部分)が生
じ、その結果、Niが多く析出した部分にはりん酸亜鉛
皮膜が緻密に形成され、Niが少なく析出した部分には
りん酸亜鉛皮膜がほとんど形成されず、上記のりん酸亜
鉛皮膜のミクロ的スケ部が発生するためである。一方、
表調を溶融亜鉛めっき鋼板に施すと、コロイダルチタン
が亜鉛めっき表面に均一に吸着され、続くりん酸亜鉛処
理により、りん酸亜鉛処理液中のNiイオンがコロイダ
ルチタンを核にして析出し、やや遅れてりん酸亜鉛皮膜
が析出する。その結果、りん酸亜鉛皮膜がめっき表面に
均一でかつ緻密に形成される。
【0023】従って、りん酸亜鉛処理前に表調を施すと
いう従来の方法では高度なフィルム密着性を得ることは
不可能という結論に達し、本発明者は上記の表調を省略
するプロセスを発明した。
【0024】りん酸亜鉛皮膜とクロメート皮膜の付着量
の限定理由は上記(1)のa.(りん酸亜鉛皮膜)、
b.(クロメート皮膜)に示したとおりである。りん酸
亜鉛処理後にクロムシーリング(クロメート処理)を施
すと、クロムシーリングにより、ミクロ的スケ部に微量
析出しているNiの影響を受け、クロムシーリング液中
の6価クロムが下地の金属亜鉛と反応してフィルム密着
性に有利な3価クロムに還元され、その結果、フィルム
ラミネート後の耐食性も向上する。 なお、上記のりん
酸亜鉛皮膜は、りん酸亜鉛処理液のスプレー処理または
浸漬処理後に水洗することにより形成され、クロメート
皮膜は、クロメート処理液のスプレー処理または浸漬処
理後にロール絞り、乾燥、またはロール塗布後に乾燥す
ることにより形成される。
【0025】このように、りん酸亜鉛皮膜中にミクロ的
スケ部を形成することでフィルム密着性を向上するばか
りでなくフィルムラミネート後の耐食性も向上すること
が可能となった。以下に本発明の実施例を挙げ、本発明
の効果を立証する。
【0026】
【実施例】表1及び表2に本発明例1〜20と比較例1
〜6のりん酸亜鉛処理及びクロメート処理結果を示す。
板厚0.5mm、めっき付着量が片面120g/m2
で、レギュラースパングルとミニマイズドスパングルの
2種類のスパングルサイズの溶融亜鉛めっき鋼板及び溶
融亜鉛−5%アルミニウムめっき鋼板を用い、りん酸亜
鉛処理液PB−R103(商品名,日本パーカライジン
グ(株)製)にてりん酸亜鉛処理を行った。りん酸亜鉛
皮膜付着量は処理時間を適宜変えて調整した。りん酸亜
鉛処理後に10秒間の水洗、絞りロールにて水切り、さ
らにクロメート処理液ZM−62(商品名,日本パーカ
ライジング(株)製)にてクロムシーリング処理を行っ
た。
【0027】比較例1〜6のうち一部(比較例1,6)
はりん酸亜鉛処理に先立ち、表面調整液PN−Z(商品
名,日本パーカライジング(株)製)にて表面調整処理
を行ったのち、前述のりん酸塩処理とクロムシーリング
処理を行った。表面調整を行うことでりん酸亜鉛皮膜は
表面調整なしの場合に比べて付着しやすくなるが、前述
のりん酸亜鉛処理と同様に適宜処理時間を変えてりん酸
亜鉛皮膜付着量を調整した。各処理の処理条件を以下に
示す。
【0028】a.表面調整 濃度;PN−Z:1g/l、温度;50℃、スプレー圧
力;1kg/cm2 、処理時間;3秒 b.りん酸亜鉛処理 濃度;PB−R103:64g/l、全酸度(TA);
25ポイント/10cc、遊離酸度(FA);1.5ポ
イント/10cc、温度;68℃、スプレー圧力;0.
25kg/cm2 、処理時間;皮膜付着量により適宜変
更 c.クロムシーリング 濃度;ZM−62;18g/l、温度;50℃、スプレ
ー圧力;0.5kg/cm2 、処理時間;3秒 図2(a)に本発明例で作成したりん酸亜鉛皮膜の電子
顕微鏡写真を、図2(b)に比較例で作成したりん酸亜
鉛皮膜の電子顕微鏡写真を示す。
【0029】写真で示す白い部分は皮膜形成部であり、
黒い部分がスケ部である。本発明例のりん酸亜鉛皮膜は
短径及び長径がいずれも本発明の範囲の30μm以上の
大きさのスケ部を有し、且つスケ部の占有表面積が従来
例に比べて、大きいことがわかる。一方、比較例の皮膜
は、スケ部の大きさが30μm以下のものもあり、且つ
スケ部の占有表面積も小さいことがわかる。
【0030】次に、高分子フィルムのラミネート方法に
ついて示す。りん酸亜鉛処理したサンプル上にウレタン
系接着剤を乾燥膜厚で5μmになるようにバーコーター
にて塗布後、20秒で210℃になるよう加熱・乾燥
し、その上に市販の塩ビフィルム(厚さ200μm)を
ラミネートした。
【0031】作成した本発明例1〜20及び比較例1〜
6の試験片について、以下に示す方法でフィルム密着性
と耐食性について評価した。 (1)フィルム密着性 a.エリクセン密着性 試験片に地鉄に達するクロスカットを入れ、エリクセン
6mm押出し後クロスカット部のフィルムをナイフによ
り強制的に剥離し、剥離したフィルムをラジオペンチで
つかみ、強制的に剥離した。評価点は5点(剥離なし)
〜1点(エリクセン押出し部全面剥離)で評価した。
【0032】b.延伸ノッチ曲げ密着性 試験片に地鉄に達するカットを入れ、カット方向と直角
方向に一軸引張により20%延伸し、カット部の裏面を
内側にするようにして密着曲げを行い、カット部からの
フィルムの剥離程度により評価した。評価点は5点(剥
離なし)〜1点(曲げ部全面剥離)で評価した。
【0033】c.沸水試験後剥離強度 試験片を95℃以上の沸水に5時間浸漬したのち2cm
幅で剪断し、JISK6854に示すT型剥離試験によ
り剥離強度を求めた。
【0034】(2)耐食性 a.塩水噴霧試験による耐食性 試験片に地鉄に達するクロスカットを入れ、JIS Z
2371に示す塩水噴霧試験を4週間実施した後、クロ
スカットおよび切断端部からの腐食幅で評価した。
【0035】表3及び表4に本発明例1〜20及び比較
例1〜6の性能評価結果について示す。表1〜表4にお
いて、本発明例1〜14及び比較例1〜5は溶融亜鉛め
っき鋼板を、本発明例15〜20及び比較例6は溶融亜
鉛−5%アルミニウムめっき鋼板を用いている。
【0036】表3及び表4から分かるように、本発明例
1〜20はいずれも優れたフィルム密着性(エリクセン
及び延伸ノッチ曲げ密着性が4点(わずかな剥離あ
り)、沸水試験後剥離強度が3kg/cm2 以上)及び
優れた耐食性(クロスカット部及び切断端部腐食幅が2
mm以下)を有している。一方、比較例1及び比較例6
は従来の表面調整を施した例であるが、フィルム密着性
が劣る。その結果、耐食性を低下させている。
【0037】次に、比較例2及び比較例3はりん酸亜鉛
皮膜付着量が本発明の範囲を外れる例であるが、りん酸
亜鉛皮膜付着量が少ない(比較例3)とフィルム密着性
は問題ないものの、耐食性が劣る。一方、りん酸亜鉛皮
膜付着量が多い(比較例2)とフィルム密着性が低下す
るとともに耐食性も低下する。
【0038】次に、比較例4及び比較例5はクロム付着
量が本発明の範囲を外れる例であるが、クロム付着量が
低い(比較例5)とフィルム密着性は問題ないものの、
耐食性が劣る。一方、クロム付着量が高い(比較例4)
とフィルム密着性が低下するとともに耐食性も低下す
る。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、溶融亜鉛めっき系鋼板
に施す皮膜及びその製造条件を特定することにより、従
来の高分子フィルムの密着性と高分子フィルムラミネー
ト後の耐食性を大幅に改善するラミネート用りん酸亜鉛
処理鋼板を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るりん酸亜鉛皮膜のス
ケ部形状を例示した図で、aは短径bは長径を示す。
(a−1)及び(a−2)はスケ部の形状が全て凸部で
形成されている場合を例示した図。(a−3)はスケ部
の形状が凸部と凹部で形成されている場合を例示した
図。
【図2】本発明の実施例に係る本発明及び従来のりん酸
亜鉛処理皮膜の電子顕微鏡写真。(a)は本発明のりん
酸亜鉛処理皮膜の電子顕微鏡写真。(b)は従来のりん
酸亜鉛処理皮膜の電子顕微鏡写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野呂 寿人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 治郎丸 和三 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融亜鉛めっき系鋼板に、0.2〜1.
    2g/m2 のりん酸亜鉛皮膜、3〜50mg/m2 のク
    ロメート皮膜を順に形成してなるりん酸亜鉛処理鋼板に
    おいて、 りん酸亜鉛皮膜は短径及び長径がいずれも30μm〜1
    mmの範囲の島状のりん酸亜鉛皮膜未形成部を有し、且
    つ鋼板表面積に対しりん酸亜鉛皮膜未形成部の表面積の
    合計が5〜70%であることを特徴とするフィルム密着
    性及びフィルムラミネート後の耐食性に優れたラミネー
    ト用りん酸亜鉛処理鋼板。
  2. 【請求項2】 前記溶融亜鉛めっき系鋼板のめっき皮膜
    の化学成分として、重量%で、Pb、Cd、及びSbの
    うちの1種または2種以上を合計0.03%以下と、A
    lを0.15〜1%含有し、残部がZn及び不可避不純
    物である、請求項1に記載のフィルム密着性及びフィル
    ムラミネート後の耐食性に優れたラミネート用りん酸亜
    鉛処理鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の鋼板を製造す
    る方法において、溶融亜鉛めっき系鋼板に、表面調整を
    施すことなく直接0.2〜1.2g/m2 のりん酸亜鉛
    皮膜を形成した後、3〜50mg/m2 のクロメート処
    理を施すことを特徴とするフィルム密着性及びフィルム
    ラミネート後の耐食性に優れたラミネート用りん酸亜鉛
    処理鋼板の製造方法。
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