JPH10251582A - 熱転写用樹脂組成物、熱転写シート、及び熱転写方法 - Google Patents
熱転写用樹脂組成物、熱転写シート、及び熱転写方法Info
- Publication number
- JPH10251582A JPH10251582A JP7662497A JP7662497A JPH10251582A JP H10251582 A JPH10251582 A JP H10251582A JP 7662497 A JP7662497 A JP 7662497A JP 7662497 A JP7662497 A JP 7662497A JP H10251582 A JPH10251582 A JP H10251582A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- sheet
- heat transfer
- thermal transfer
- thermoplastic resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
- Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 繊維製品の柔軟性、風合い、通気性を損なう
ことなく、濃色の着色、絵付け、模様付け、大きな面積
の着色等を容易に行うことができる、あるいは各種機能
性粒子を固着させることができる熱転写シート、該熱転
写シートの転写層に用いる熱転写用樹脂組成物、及び該
熱転写シートを用いた熱転写方法を提供すること。 【解決手段】 (A)水溶性高分子、(B)該水溶性高
分子中に分散した非水溶性熱可塑性樹脂粒子、並びに
(C)着色剤及び機能性粒子からなる群より選ばれる少
なくとも一種を含有することを特徴とする熱転写用樹脂
組成物、基材シート上に該樹脂組成物からなる転写層が
形成されている熱転写シート、及び該熱転写シートの転
写層を被転写物に当接し、基材シート面上から加圧・加
熱した後、基材シートを剥離し、次いで、水洗すること
を特徴とする熱転写方法。
ことなく、濃色の着色、絵付け、模様付け、大きな面積
の着色等を容易に行うことができる、あるいは各種機能
性粒子を固着させることができる熱転写シート、該熱転
写シートの転写層に用いる熱転写用樹脂組成物、及び該
熱転写シートを用いた熱転写方法を提供すること。 【解決手段】 (A)水溶性高分子、(B)該水溶性高
分子中に分散した非水溶性熱可塑性樹脂粒子、並びに
(C)着色剤及び機能性粒子からなる群より選ばれる少
なくとも一種を含有することを特徴とする熱転写用樹脂
組成物、基材シート上に該樹脂組成物からなる転写層が
形成されている熱転写シート、及び該熱転写シートの転
写層を被転写物に当接し、基材シート面上から加圧・加
熱した後、基材シートを剥離し、次いで、水洗すること
を特徴とする熱転写方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱転写方式によ
り、被転写物に着色層、模様、機能性粒子含有層などを
形成するための熱転写シート、該熱転写シートの転写層
に用いられる熱転写用樹脂組成物、及び熱転写方法に関
する。本発明の熱転写シートを使用すると、布、織物、
編み物、不織布等の繊維製品の所望の箇所に、該繊維製
品独自の風合いや通気性、柔軟性を損なうことなく、着
色、絵付け、模様付け等を容易に行うことができる。ま
た、機能性粒子を含有する転写層を備えた本発明の熱転
写シートを使用すると、被転写物の所望の箇所に機能性
粒子を容易に固着させることができる。
り、被転写物に着色層、模様、機能性粒子含有層などを
形成するための熱転写シート、該熱転写シートの転写層
に用いられる熱転写用樹脂組成物、及び熱転写方法に関
する。本発明の熱転写シートを使用すると、布、織物、
編み物、不織布等の繊維製品の所望の箇所に、該繊維製
品独自の風合いや通気性、柔軟性を損なうことなく、着
色、絵付け、模様付け等を容易に行うことができる。ま
た、機能性粒子を含有する転写層を備えた本発明の熱転
写シートを使用すると、被転写物の所望の箇所に機能性
粒子を容易に固着させることができる。
【0002】
【従来の技術】従来より、繊維製品に着色、絵付け、模
様付けなどをするには、一般に、繊維製品全体を染料溶
液に浸して染色している。繊維製品の一部に着色、絵付
け、模様付けを行う場合には、予め繊維製品の染色した
くない部分を防染するために絞り加工や防染処理を行っ
た後、染料溶液に浸して、部分染めを行っている。複雑
な模様や絵柄、あるいは多色の絵柄や模様を付与する場
合には、スクリーン印刷を行っている。スクリーン印刷
をするには、紗を作る必要がある。これらの方法は、い
ずれも手間暇のかかる方法であり、コストも高く、専門
的業者以外の者では、簡単に適用することができない。
様付けなどをするには、一般に、繊維製品全体を染料溶
液に浸して染色している。繊維製品の一部に着色、絵付
け、模様付けを行う場合には、予め繊維製品の染色した
くない部分を防染するために絞り加工や防染処理を行っ
た後、染料溶液に浸して、部分染めを行っている。複雑
な模様や絵柄、あるいは多色の絵柄や模様を付与する場
合には、スクリーン印刷を行っている。スクリーン印刷
をするには、紗を作る必要がある。これらの方法は、い
ずれも手間暇のかかる方法であり、コストも高く、専門
的業者以外の者では、簡単に適用することができない。
【0003】一方、家庭やオフィスなどで、衣類などの
繊維製品に着色、絵付け、模様付けなどを簡単に行う方
法が求められている。このような要求に応えるものとし
て、熱転写シートを用いた熱転写方式が知られている
(特開平2−305689号公報、特開平4−1874
95号公報、特開平5−162469号公報)。熱転写
シートは、一般に、基材シート上に熱可塑性樹脂からな
る転写層が設けられた積層構成を有するものであり、転
写層面には、印刷等の手段により、図柄、紋様、文字等
の画像を形成するようになっている。熱転写シートを使
用して転写するには、画像を形成した転写層面を衣類や
ハンカチ等の被転写物に当接し、基材シート面上からア
イロンやホットプレス等を用いて加圧・加熱し、次い
で、基材シートを剥離する。
繊維製品に着色、絵付け、模様付けなどを簡単に行う方
法が求められている。このような要求に応えるものとし
て、熱転写シートを用いた熱転写方式が知られている
(特開平2−305689号公報、特開平4−1874
95号公報、特開平5−162469号公報)。熱転写
シートは、一般に、基材シート上に熱可塑性樹脂からな
る転写層が設けられた積層構成を有するものであり、転
写層面には、印刷等の手段により、図柄、紋様、文字等
の画像を形成するようになっている。熱転写シートを使
用して転写するには、画像を形成した転写層面を衣類や
ハンカチ等の被転写物に当接し、基材シート面上からア
イロンやホットプレス等を用いて加圧・加熱し、次い
で、基材シートを剥離する。
【0004】この熱転写シートを用いると、例えば、ワ
ードプロセッサーを用いて作成した画像を溶融型熱転写
インクリボンにより転写層面上に鏡像印刷することがで
き、しかも、家庭用アイロンを用いて、簡単に画像を繊
維製品上に転写することができる。しかしながら、従来
の熱転写シートは、転写層面上に印刷した画像のみなら
ず、熱可塑性樹脂からなる転写層も転写されるため、
貼付跡が目立つ、繊維製品の織り目、編み目等が熱可
塑性樹脂で埋められるため、通気性が損なわれる、繊
維製品の柔軟性や風合が損なわれ、いわゆるゴワゴワ感
が生じる、乾燥機で乾燥すると、熱可塑性樹脂が脱離
して転写部分以外の場所や他の衣類に付着する、アイ
ロンがけをする場合には、熱可塑性樹脂がアイロンに付
着しないように、剥離紙を挟まなければならない、など
の欠点を有している。
ードプロセッサーを用いて作成した画像を溶融型熱転写
インクリボンにより転写層面上に鏡像印刷することがで
き、しかも、家庭用アイロンを用いて、簡単に画像を繊
維製品上に転写することができる。しかしながら、従来
の熱転写シートは、転写層面上に印刷した画像のみなら
ず、熱可塑性樹脂からなる転写層も転写されるため、
貼付跡が目立つ、繊維製品の織り目、編み目等が熱可
塑性樹脂で埋められるため、通気性が損なわれる、繊
維製品の柔軟性や風合が損なわれ、いわゆるゴワゴワ感
が生じる、乾燥機で乾燥すると、熱可塑性樹脂が脱離
して転写部分以外の場所や他の衣類に付着する、アイ
ロンがけをする場合には、熱可塑性樹脂がアイロンに付
着しないように、剥離紙を挟まなければならない、など
の欠点を有している。
【0005】そこで、本発明者らは、このような従来技
術の問題点を解決すべく、基材シート上に、水溶性高分
子からなるマトリックス中に非水溶性熱可塑性樹脂を分
散した樹脂組成物からなる転写層を有する熱転写シート
を提案した(特願平8−79500号、特願平8−35
1943号)。この熱転写シートの転写層面には、例え
ば、ワードプロセッサーを用いて作成した画像を溶融型
熱転写インクリボンにより鏡像印刷することができる。
転写層面に形成した画像は、アイロン等を用いて繊維製
品に熱転写することができる。熱転写の際、印刷画像
は、水溶性高分子中に分散した非水溶性熱可塑性樹脂粒
子の一部により、繊維製品の表面に固着される。転写後
に水洗すれば、水溶性高分子と共に、固着されなかった
余分な非水溶性熱可塑性樹脂も洗い流される。したがっ
て、この熱転写シートを用いると、繊維製品の柔軟性、
風合い、通気性を損なうことがなく、印字性も良好で、
転写後には、乾燥機による乾燥でも熱可塑性樹脂の離脱
や他の部分への付着がなく、被転写繊維製品に直接アイ
ロンがけを行うことができる。この熱転写シートは、ワ
ードプロセッサーと共に使用すれば、家庭やオフィスで
容易に文字、マーク、絵、図柄、写真等を自由に繊維製
品にプリントできるため、利便性に富むものである。
術の問題点を解決すべく、基材シート上に、水溶性高分
子からなるマトリックス中に非水溶性熱可塑性樹脂を分
散した樹脂組成物からなる転写層を有する熱転写シート
を提案した(特願平8−79500号、特願平8−35
1943号)。この熱転写シートの転写層面には、例え
ば、ワードプロセッサーを用いて作成した画像を溶融型
熱転写インクリボンにより鏡像印刷することができる。
転写層面に形成した画像は、アイロン等を用いて繊維製
品に熱転写することができる。熱転写の際、印刷画像
は、水溶性高分子中に分散した非水溶性熱可塑性樹脂粒
子の一部により、繊維製品の表面に固着される。転写後
に水洗すれば、水溶性高分子と共に、固着されなかった
余分な非水溶性熱可塑性樹脂も洗い流される。したがっ
て、この熱転写シートを用いると、繊維製品の柔軟性、
風合い、通気性を損なうことがなく、印字性も良好で、
転写後には、乾燥機による乾燥でも熱可塑性樹脂の離脱
や他の部分への付着がなく、被転写繊維製品に直接アイ
ロンがけを行うことができる。この熱転写シートは、ワ
ードプロセッサーと共に使用すれば、家庭やオフィスで
容易に文字、マーク、絵、図柄、写真等を自由に繊維製
品にプリントできるため、利便性に富むものである。
【0006】しかしながらこの方式では、画像の色濃度
に限界がある。すなわち、ワードプロセッサーで使用す
る熱転写リボンの転写層の厚さと、色濃度つまり転写層
に含まれる顔料または染料などの着色剤の濃度がその上
限となる。市販のワードプロセッサーで使用する熱転写
インクリボンは、種類により差はあるが、基材シートの
厚みが2〜6μmで、転写インク層の厚みが2〜4μm
程度である。したがって、Tシャツなどに濃色の着色を
部分的に行いたい場合や、大きな面積を着色したい場合
には、この方式では不満足である。
に限界がある。すなわち、ワードプロセッサーで使用す
る熱転写リボンの転写層の厚さと、色濃度つまり転写層
に含まれる顔料または染料などの着色剤の濃度がその上
限となる。市販のワードプロセッサーで使用する熱転写
インクリボンは、種類により差はあるが、基材シートの
厚みが2〜6μmで、転写インク層の厚みが2〜4μm
程度である。したがって、Tシャツなどに濃色の着色を
部分的に行いたい場合や、大きな面積を着色したい場合
には、この方式では不満足である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、繊維
製品の柔軟性、風合い、通気性を損なうことなく、濃色
の着色、絵付け、模様付け、大きな面積の着色等を容易
に行うことができる熱転写シート、該熱転写シートの転
写層に用いる熱転写用樹脂組成物、及び該熱転写シート
を用いた熱転写方法を提供することにある。本発明の他
の目的は、繊維製品の柔軟性、風合い、通気性を損なう
ことなく、抗菌性粒子、畜光顔料粒子などの各種機能性
粒子を固着することができる熱転写シート、該熱転写シ
ートの転写層に用いる熱転写用樹脂組成物、及び該熱転
写シートを用いた熱転写方法を提供することにある。
製品の柔軟性、風合い、通気性を損なうことなく、濃色
の着色、絵付け、模様付け、大きな面積の着色等を容易
に行うことができる熱転写シート、該熱転写シートの転
写層に用いる熱転写用樹脂組成物、及び該熱転写シート
を用いた熱転写方法を提供することにある。本発明の他
の目的は、繊維製品の柔軟性、風合い、通気性を損なう
ことなく、抗菌性粒子、畜光顔料粒子などの各種機能性
粒子を固着することができる熱転写シート、該熱転写シ
ートの転写層に用いる熱転写用樹脂組成物、及び該熱転
写シートを用いた熱転写方法を提供することにある。
【0008】本発明者らは、前記課題を解決するために
鋭意研究した結果、水溶性高分子からなるマトリックス
中に非水溶性熱可塑性樹脂を分散すると共に、さらに着
色剤を含有させた樹脂組成物を用いて転写層を形成する
ことに想到した。基材シート上にこのような転写層を形
成した熱転写シートは、例えば、カッターや挟みなどで
任意の大きさの文字、絵、図柄、模様などの形状に切り
取り、これらを繊維製品上に熱転写すれば、濃色の着
色、絵付け、模様付け、大きな面積の着色等を容易に行
うことができる。しかも、熱転写後に水洗すれば、水溶
性高分子と共に、固着されなかった余分な非水溶性熱可
塑性樹脂も洗い流されるため、転写部分の柔軟性、風合
い、通気性等に優れ、耐洗濯性が良好で、乾燥機による
乾燥でも熱可塑性樹脂の離脱がなく、被転写布に直接ア
イロンがけを行うことができる被転写物を得ることがで
きる。
鋭意研究した結果、水溶性高分子からなるマトリックス
中に非水溶性熱可塑性樹脂を分散すると共に、さらに着
色剤を含有させた樹脂組成物を用いて転写層を形成する
ことに想到した。基材シート上にこのような転写層を形
成した熱転写シートは、例えば、カッターや挟みなどで
任意の大きさの文字、絵、図柄、模様などの形状に切り
取り、これらを繊維製品上に熱転写すれば、濃色の着
色、絵付け、模様付け、大きな面積の着色等を容易に行
うことができる。しかも、熱転写後に水洗すれば、水溶
性高分子と共に、固着されなかった余分な非水溶性熱可
塑性樹脂も洗い流されるため、転写部分の柔軟性、風合
い、通気性等に優れ、耐洗濯性が良好で、乾燥機による
乾燥でも熱可塑性樹脂の離脱がなく、被転写布に直接ア
イロンがけを行うことができる被転写物を得ることがで
きる。
【0009】本発明者らは、さらに検討を行った結果、
この技術が各種の機能性粒子の固着にも有効であること
を見いだした。すなわち、着色剤の代わりに、あるいは
着色剤と共に、各種の機能性粒子を転写層中に含有させ
れば、繊維製品の風合を損ねることなく、かつ、機能性
粒子の機能を損なうことなく、機能性粒子を熱転写方式
により繊維製品上に固着することができる。本発明は、
これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
この技術が各種の機能性粒子の固着にも有効であること
を見いだした。すなわち、着色剤の代わりに、あるいは
着色剤と共に、各種の機能性粒子を転写層中に含有させ
れば、繊維製品の風合を損ねることなく、かつ、機能性
粒子の機能を損なうことなく、機能性粒子を熱転写方式
により繊維製品上に固着することができる。本発明は、
これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(A)
水溶性高分子、(B)該水溶性高分子中に分散した非水
溶性熱可塑性樹脂粒子、並びに(C)着色剤及び機能性
粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する
ことを特徴とする熱転写用樹脂組成物が提供される。ま
た、本発明によれば、基材シート上に、(A)水溶性高
分子、(B)該水溶性高分子中に分散した非水溶性熱可
塑性樹脂粒子、並びに(C)着色剤及び機能性粒子から
なる群より選ばれる少なくとも一種を含有する熱転写用
樹脂組成物からなる転写層が形成されていることを特徴
とする熱転写シートが提供される。
水溶性高分子、(B)該水溶性高分子中に分散した非水
溶性熱可塑性樹脂粒子、並びに(C)着色剤及び機能性
粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する
ことを特徴とする熱転写用樹脂組成物が提供される。ま
た、本発明によれば、基材シート上に、(A)水溶性高
分子、(B)該水溶性高分子中に分散した非水溶性熱可
塑性樹脂粒子、並びに(C)着色剤及び機能性粒子から
なる群より選ばれる少なくとも一種を含有する熱転写用
樹脂組成物からなる転写層が形成されていることを特徴
とする熱転写シートが提供される。
【0011】さらに、本発明によれば、基材シート上
に、(A)水溶性高分子、(B)該水溶性高分子中に分
散した非水溶性熱可塑性樹脂粒子、並びに(C)着色剤
及び機能性粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種
を含有する熱転写用樹脂組成物からなる転写層が形成さ
れている熱転写シートの転写層を被転写物に当接し、基
材シート面上から加圧・加熱した後、基材シートを剥離
し、次いで、水洗することを特徴とする熱転写方法が提
供される。
に、(A)水溶性高分子、(B)該水溶性高分子中に分
散した非水溶性熱可塑性樹脂粒子、並びに(C)着色剤
及び機能性粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種
を含有する熱転写用樹脂組成物からなる転写層が形成さ
れている熱転写シートの転写層を被転写物に当接し、基
材シート面上から加圧・加熱した後、基材シートを剥離
し、次いで、水洗することを特徴とする熱転写方法が提
供される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明では、転写層を形成する樹
脂成分として、水溶性高分子中に非水溶性熱可塑性樹脂
が分散した樹脂組成物を使用する。非水溶性熱可塑性樹
脂は、主成分の水溶性高分子マトリックス中に、粒状物
(粒子)として不連続的に分散している。本発明では、
転写層を形成する樹脂成分中に、着色剤及び機能性粒子
からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有させる。
着色剤及び機能性粒子からなる群より選ばれる少なくと
も一種は、通常、水溶性高分子もしくは非水溶性熱可塑
性樹脂粒子中に溶解ないしは分散しているか、または非
水溶性熱可塑性樹脂粒子の表面に付着している。転写層
は、基材シート上に形成されている。
脂成分として、水溶性高分子中に非水溶性熱可塑性樹脂
が分散した樹脂組成物を使用する。非水溶性熱可塑性樹
脂は、主成分の水溶性高分子マトリックス中に、粒状物
(粒子)として不連続的に分散している。本発明では、
転写層を形成する樹脂成分中に、着色剤及び機能性粒子
からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有させる。
着色剤及び機能性粒子からなる群より選ばれる少なくと
も一種は、通常、水溶性高分子もしくは非水溶性熱可塑
性樹脂粒子中に溶解ないしは分散しているか、または非
水溶性熱可塑性樹脂粒子の表面に付着している。転写層
は、基材シート上に形成されている。
【0013】以下、本発明について、図面を参照しなが
ら詳細に説明する。図1に示すように、本発明の熱転写
シート1は、基材シート2上に転写層3が形成された積
層構成を有している。転写層3は、水溶性高分子からな
るマトリックス4中に、例えば、着色された非水溶性熱
可塑性樹脂粒子5が分散された樹脂組成物から形成され
ている。着色された非水溶性熱可塑性樹脂粒子5は、非
水溶性熱可塑性樹脂中に、着色剤を分散ないしは溶解さ
せることにより調製することができる。着色剤に代え
て、あるいは着色剤と共に機能性粒子を用いることがで
きる。
ら詳細に説明する。図1に示すように、本発明の熱転写
シート1は、基材シート2上に転写層3が形成された積
層構成を有している。転写層3は、水溶性高分子からな
るマトリックス4中に、例えば、着色された非水溶性熱
可塑性樹脂粒子5が分散された樹脂組成物から形成され
ている。着色された非水溶性熱可塑性樹脂粒子5は、非
水溶性熱可塑性樹脂中に、着色剤を分散ないしは溶解さ
せることにより調製することができる。着色剤に代え
て、あるいは着色剤と共に機能性粒子を用いることがで
きる。
【0014】図2には、水溶性高分子からなるマトリッ
クス4中に、非水溶性熱可塑性樹脂粒子6と、着色剤及
び/または機能性粒子7とが分散した樹脂組成物から形
成された転写層3を有する熱転写シート1の例が示され
ている。着色剤及び/または機能性粒子は、水溶性高分
子と相溶性がある場合には、その中に溶解していてもよ
い。図3には、水溶性高分子からなるマトリックス4中
に、非水溶性熱可塑性樹脂粒子の表面に着色剤及び/ま
たは機能性粒子が付着した複合粒子8が分散した樹脂組
成物から形成された転写層3を有する熱転写シート1の
例が示されている。
クス4中に、非水溶性熱可塑性樹脂粒子6と、着色剤及
び/または機能性粒子7とが分散した樹脂組成物から形
成された転写層3を有する熱転写シート1の例が示され
ている。着色剤及び/または機能性粒子は、水溶性高分
子と相溶性がある場合には、その中に溶解していてもよ
い。図3には、水溶性高分子からなるマトリックス4中
に、非水溶性熱可塑性樹脂粒子の表面に着色剤及び/ま
たは機能性粒子が付着した複合粒子8が分散した樹脂組
成物から形成された転写層3を有する熱転写シート1の
例が示されている。
【0015】本発明の熱転写シートを用いて、布などの
繊維製品(例、被転写布)に着色、絵付け、模様付け等
を行うには、通常、熱転写シートを所望の形状に切り抜
き、次いで、図4に示すように、熱転写シート1の転写
層3の表面を被転写布9に当接し、アイロン10を用い
て、基材シート2の上から加圧・加熱する。この後、基
材シートを剥離すると、図5に示すように、被転写布9
の表面に、着色された非水溶性熱可塑性樹脂粒子が溶融
して固着される。これを水洗すると、図6に示すよう
に、水溶性高分子マトリックス4と、被転写布9に固着
されていない余分の着色された非水溶性熱可塑性樹脂粒
子が洗い流されて、転写が完成する。図2または図3に
示される転写層を有する熱転写シートを用いても、同様
に、着色剤が被水溶性熱可塑性樹脂粒子によって被転写
布上に固着され、余分な部分は水洗により除去される。
図7には、雲型に切り抜いた熱転写シートを用いて、T
シャツ上に着色模様を転写した例を示す。着色剤に代え
て、機能性粒子を用いた場合には、機能性粒子が非水溶
性熱可塑性樹脂粒子によって、被転写布上に固着され
る。所望により、熱転写シートを各種形状に切り抜くこ
となくそのまま用いてもよい。熱転写シートを転写イン
クリボンとして使用し、ワードプロセッサーのプリンタ
ーを用いて直接繊維製品上に印字してもよい。また、ア
イロンに代えて、ホットプレスなどの他の加熱手段を用
いてもよい。
繊維製品(例、被転写布)に着色、絵付け、模様付け等
を行うには、通常、熱転写シートを所望の形状に切り抜
き、次いで、図4に示すように、熱転写シート1の転写
層3の表面を被転写布9に当接し、アイロン10を用い
て、基材シート2の上から加圧・加熱する。この後、基
材シートを剥離すると、図5に示すように、被転写布9
の表面に、着色された非水溶性熱可塑性樹脂粒子が溶融
して固着される。これを水洗すると、図6に示すよう
に、水溶性高分子マトリックス4と、被転写布9に固着
されていない余分の着色された非水溶性熱可塑性樹脂粒
子が洗い流されて、転写が完成する。図2または図3に
示される転写層を有する熱転写シートを用いても、同様
に、着色剤が被水溶性熱可塑性樹脂粒子によって被転写
布上に固着され、余分な部分は水洗により除去される。
図7には、雲型に切り抜いた熱転写シートを用いて、T
シャツ上に着色模様を転写した例を示す。着色剤に代え
て、機能性粒子を用いた場合には、機能性粒子が非水溶
性熱可塑性樹脂粒子によって、被転写布上に固着され
る。所望により、熱転写シートを各種形状に切り抜くこ
となくそのまま用いてもよい。熱転写シートを転写イン
クリボンとして使用し、ワードプロセッサーのプリンタ
ーを用いて直接繊維製品上に印字してもよい。また、ア
イロンに代えて、ホットプレスなどの他の加熱手段を用
いてもよい。
【0016】本発明の熱転写シートを用いると、熱転写
工程の後、水洗することにより、繊維製品上に固着され
なかった水溶性高分子や非水溶性熱可塑性樹脂粒子など
の余分な成分が除去されるため、繊維製品の織り目、編
み目等が熱可塑性樹脂で埋められて通気性が損なわれた
り、柔軟性や風合いが損なわれることがない。一方、着
色剤や機能性粒子は、非水溶性熱可塑性樹脂により、繊
維製品上に強固に固着されているため、耐洗濯性に優
れ、乾燥機で乾燥しても熱可塑性樹脂が脱離して転写部
分以外の場所や他の衣類に付着することがなく、また、
直接アイロンがけをすることも可能である。なお、必要
に応じて、水洗工程を省略し、図5に示す状態で被転写
布を使用することもできる。この場合、被転写布を洗濯
することにより、固着されなかった水溶性高分子や非水
溶性熱可塑性樹脂などが除去されることになる。
工程の後、水洗することにより、繊維製品上に固着され
なかった水溶性高分子や非水溶性熱可塑性樹脂粒子など
の余分な成分が除去されるため、繊維製品の織り目、編
み目等が熱可塑性樹脂で埋められて通気性が損なわれた
り、柔軟性や風合いが損なわれることがない。一方、着
色剤や機能性粒子は、非水溶性熱可塑性樹脂により、繊
維製品上に強固に固着されているため、耐洗濯性に優
れ、乾燥機で乾燥しても熱可塑性樹脂が脱離して転写部
分以外の場所や他の衣類に付着することがなく、また、
直接アイロンがけをすることも可能である。なお、必要
に応じて、水洗工程を省略し、図5に示す状態で被転写
布を使用することもできる。この場合、被転写布を洗濯
することにより、固着されなかった水溶性高分子や非水
溶性熱可塑性樹脂などが除去されることになる。
【0017】(水溶性高分子)本発明において使用する
水溶性高分子としては、天然高分子として、例えば、プ
ルラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロ
キシセルロースなどの繊維素誘導体;合成高分子とし
て、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポ
リエチレンオキサイド、水溶性ポリエステル、ポリジオ
キソラン等が挙げられる。これらの中でも特に好ましい
のは、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイ
ド、水溶性ポリエステルである。水溶性高分子は、熱可
塑性であることが好ましい。
水溶性高分子としては、天然高分子として、例えば、プ
ルラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロ
キシセルロースなどの繊維素誘導体;合成高分子とし
て、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポ
リエチレンオキサイド、水溶性ポリエステル、ポリジオ
キソラン等が挙げられる。これらの中でも特に好ましい
のは、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイ
ド、水溶性ポリエステルである。水溶性高分子は、熱可
塑性であることが好ましい。
【0018】水溶性高分子には、粘度低下剤として、例
えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビト
ール、マンニトール等の多価アルコール類及びその変成
物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピ
レングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコ
ール類及びその変成物;ソルビタン脂肪酸エステル等の
界面活性剤;マレイン酸及びその変成物;などを添加す
ることができる。
えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビト
ール、マンニトール等の多価アルコール類及びその変成
物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピ
レングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコ
ール類及びその変成物;ソルビタン脂肪酸エステル等の
界面活性剤;マレイン酸及びその変成物;などを添加す
ることができる。
【0019】本発明に用いられる水溶性高分子として
は、上記のものに限定されるものではなく、融点または
軟化点が通常200℃以下、好ましくは30〜150℃
の水溶性高分子であれば好適に使用することができる。
また、水溶性高分子として、5〜40℃の温度範囲で結
晶性を示すものを用いると、熱転写シートの保存時や使
用時に耐ブロッキング性を付与することができる。これ
らの水溶性高分子は、それぞれ単独で、あるいは2種以
上を組み合わせて使用することができる。
は、上記のものに限定されるものではなく、融点または
軟化点が通常200℃以下、好ましくは30〜150℃
の水溶性高分子であれば好適に使用することができる。
また、水溶性高分子として、5〜40℃の温度範囲で結
晶性を示すものを用いると、熱転写シートの保存時や使
用時に耐ブロッキング性を付与することができる。これ
らの水溶性高分子は、それぞれ単独で、あるいは2種以
上を組み合わせて使用することができる。
【0020】(非水溶性熱可塑性樹脂)本発明で使用す
る非水溶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等
のポリオレフィン、非水溶性ポリエステル、ポリウレタ
ン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート等の熱可
塑性樹脂;熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これ
らの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
・酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンが特に好まし
い。
る非水溶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等
のポリオレフィン、非水溶性ポリエステル、ポリウレタ
ン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート等の熱可
塑性樹脂;熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これ
らの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
・酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンが特に好まし
い。
【0021】本発明で使用する非水溶性熱可塑性樹脂
は、上記樹脂に限定されるものではなく、融点または軟
化点が通常200℃以下、好ましくは30〜150℃の
非水溶性熱可塑性樹脂であれば、好適に使用することが
でき、要求される特性により、それぞれ単独で、あるい
は2種以上を組み合わせて使用することができる。ま
た、非水溶性熱可塑性樹脂は、ペレット、粉末、溶液等
の任意の形状のものを使用することができるが、分散性
を高めるために、微粒子またはエマルジョンなどを用い
ることが好ましい。
は、上記樹脂に限定されるものではなく、融点または軟
化点が通常200℃以下、好ましくは30〜150℃の
非水溶性熱可塑性樹脂であれば、好適に使用することが
でき、要求される特性により、それぞれ単独で、あるい
は2種以上を組み合わせて使用することができる。ま
た、非水溶性熱可塑性樹脂は、ペレット、粉末、溶液等
の任意の形状のものを使用することができるが、分散性
を高めるために、微粒子またはエマルジョンなどを用い
ることが好ましい。
【0022】(着色剤)本発明で使用する着色剤として
は、例えば、カーボンブラック、チタンホワイト、ニグ
ロシンベース、アニリンブルー、カルコオイルブルー、
ローダミンB、クリスタルバイオレット、クロムイエロ
ー、ウルトラマリンブルー、オリエントオイルリッド、
フタロシアニンブルー、マラカイトグリーオクサレート
などの染料及び顔料を挙げることができる。着色剤は、
水に溶けないものが望ましい。水に溶けない着色剤であ
れば、非水溶性熱可塑性樹脂中に存在する場合は勿論の
こと、水溶性高分子中に溶解ないしは分散していても、
熱転写時の熱により非水溶性熱可塑性樹脂と溶融一体化
し、繊維製品に容易に固着されるからである。しかし、
水溶性の着色剤であっても、非水溶性熱可塑性樹脂中に
溶解ないしは分散しておけば、ある程度良好な耐洗濯
性、耐水性のある転写物が得られるので、使用すること
ができる。
は、例えば、カーボンブラック、チタンホワイト、ニグ
ロシンベース、アニリンブルー、カルコオイルブルー、
ローダミンB、クリスタルバイオレット、クロムイエロ
ー、ウルトラマリンブルー、オリエントオイルリッド、
フタロシアニンブルー、マラカイトグリーオクサレート
などの染料及び顔料を挙げることができる。着色剤は、
水に溶けないものが望ましい。水に溶けない着色剤であ
れば、非水溶性熱可塑性樹脂中に存在する場合は勿論の
こと、水溶性高分子中に溶解ないしは分散していても、
熱転写時の熱により非水溶性熱可塑性樹脂と溶融一体化
し、繊維製品に容易に固着されるからである。しかし、
水溶性の着色剤であっても、非水溶性熱可塑性樹脂中に
溶解ないしは分散しておけば、ある程度良好な耐洗濯
性、耐水性のある転写物が得られるので、使用すること
ができる。
【0023】(機能性粒子)機能性粒子としては、例え
ば、抗菌性粒子、遠赤外線放射粒子、紫外線遮蔽粒子、
蓄光顔料粒子、各種金属粒子、金属酸化物粒子、磁性粒
子等の無機微粒子;ウールパウダー、絹パウダー、木粉
粒子、各種樹脂粒子等の有機粒子;等を使用することが
できる。一般に、樹脂用の充填剤として使用されている
各種無機または有機粒子も使用することができる。本発
明で用いることのできる機能性粒子は、球状、無定型
状、針状、鱗片状、繊維状等の如何なる形状であっても
よい。機能性粒子の粒径は、通常200μm以下、好ま
しくは80μm以下である。機能性粒子の粒径が大きす
ぎると、転写部分を手で触れた場合、ざらつき感が出る
おそれがある。
ば、抗菌性粒子、遠赤外線放射粒子、紫外線遮蔽粒子、
蓄光顔料粒子、各種金属粒子、金属酸化物粒子、磁性粒
子等の無機微粒子;ウールパウダー、絹パウダー、木粉
粒子、各種樹脂粒子等の有機粒子;等を使用することが
できる。一般に、樹脂用の充填剤として使用されている
各種無機または有機粒子も使用することができる。本発
明で用いることのできる機能性粒子は、球状、無定型
状、針状、鱗片状、繊維状等の如何なる形状であっても
よい。機能性粒子の粒径は、通常200μm以下、好ま
しくは80μm以下である。機能性粒子の粒径が大きす
ぎると、転写部分を手で触れた場合、ざらつき感が出る
おそれがある。
【0024】(転写層用樹脂組成物)転写層を形成する
樹脂組成物中の各樹脂成分の配合割合は、水溶性高分子
が通常55.0〜99.5重量%、好ましくは60.0
〜97.0重量%、より好ましくは70.0〜95.0
重量%であり、非水溶性熱可塑性樹脂が通常0.5〜4
5.0重量%、好ましくは3.0〜40.0重量%、よ
り好ましくは5.0〜30.0重量%である。非水溶性
熱可塑性樹脂の配合割合が低すぎると、堅牢性や耐洗濯
性などが低下し、逆に、高すぎると、非水溶性熱可塑性
樹脂が水溶性高分子のマトリックス中に微細に分散する
ことが難しくなり、転写層の水洗による除去操作が困難
となったり、あるいは非水溶性熱可塑性樹脂の残存率が
高くなりすぎて、被転写繊維製品の柔軟性や風合が損な
われる等の不都合を生じるおそれがある。
樹脂組成物中の各樹脂成分の配合割合は、水溶性高分子
が通常55.0〜99.5重量%、好ましくは60.0
〜97.0重量%、より好ましくは70.0〜95.0
重量%であり、非水溶性熱可塑性樹脂が通常0.5〜4
5.0重量%、好ましくは3.0〜40.0重量%、よ
り好ましくは5.0〜30.0重量%である。非水溶性
熱可塑性樹脂の配合割合が低すぎると、堅牢性や耐洗濯
性などが低下し、逆に、高すぎると、非水溶性熱可塑性
樹脂が水溶性高分子のマトリックス中に微細に分散する
ことが難しくなり、転写層の水洗による除去操作が困難
となったり、あるいは非水溶性熱可塑性樹脂の残存率が
高くなりすぎて、被転写繊維製品の柔軟性や風合が損な
われる等の不都合を生じるおそれがある。
【0025】着色剤及び機能性粒子に関しては、それぞ
れの特性に応じて使用割合を定めることができる。例え
ば、着色剤としてカーボンブラックを使用する場合に
は、転写層を形成する樹脂成分の1〜5重量%、典型的
には約3重量%程度で十分であり、染料の場合には、
0.01〜1重量%。典型的には約0.1重量%程度で
十分な場合もある。一方、白色顔料のチタンホワイト
(二酸化チタン)の場合は、10〜50重量%、典型的
には約30重量%程度も必要な場合もある。したがっ
て、着色剤及び機能性粒子の配合割合は、使用目的と所
望の特性、使用する水溶性高分子や非水溶性熱可塑性樹
脂の種類や使用割合等を考慮して、適宜定めることが望
ましい。
れの特性に応じて使用割合を定めることができる。例え
ば、着色剤としてカーボンブラックを使用する場合に
は、転写層を形成する樹脂成分の1〜5重量%、典型的
には約3重量%程度で十分であり、染料の場合には、
0.01〜1重量%。典型的には約0.1重量%程度で
十分な場合もある。一方、白色顔料のチタンホワイト
(二酸化チタン)の場合は、10〜50重量%、典型的
には約30重量%程度も必要な場合もある。したがっ
て、着色剤及び機能性粒子の配合割合は、使用目的と所
望の特性、使用する水溶性高分子や非水溶性熱可塑性樹
脂の種類や使用割合等を考慮して、適宜定めることが望
ましい。
【0026】着色剤及び/または機能性粒子を非水溶性
高分子や非水溶性熱可塑性樹脂中に溶解ないしは分散さ
せるには、通常の分散方法を用いることができる。例え
ば、 (1)非水溶性熱可塑性樹脂と着色剤をニーダーで混練
し、その後、ペレット化または冷凍粉砕すれば、着色樹
脂のペレットまたは粒子を得ることができる。これらの
着色樹脂ペレットまたは粒子は、水溶性高分子中に分散
させる。(2)水溶性高分子に着色剤を分散する場合
も、同様の方法を用いることもできるが、水溶性高分子
の水溶液に、サンドミルやロールミルを使用して着色剤
を分散してもよい。この場合、着色した水溶性高分子中
に、非水溶性熱可塑性樹脂を分散させる。(3)非水溶
性熱可塑性樹脂粒子と着色剤を混合して、非水溶性熱可
塑性樹脂粒子の表面に着色剤を付着させてもよい。着色
剤を付着させた複合粒子は、水溶性高分子中に分散させ
る。(4)各成分を一緒に混合、分散させてもよい。こ
れらの方法は、着色剤に代えて、あるいは着色剤と共に
機能性粒子を使用する場合にも適用することができる。
高分子や非水溶性熱可塑性樹脂中に溶解ないしは分散さ
せるには、通常の分散方法を用いることができる。例え
ば、 (1)非水溶性熱可塑性樹脂と着色剤をニーダーで混練
し、その後、ペレット化または冷凍粉砕すれば、着色樹
脂のペレットまたは粒子を得ることができる。これらの
着色樹脂ペレットまたは粒子は、水溶性高分子中に分散
させる。(2)水溶性高分子に着色剤を分散する場合
も、同様の方法を用いることもできるが、水溶性高分子
の水溶液に、サンドミルやロールミルを使用して着色剤
を分散してもよい。この場合、着色した水溶性高分子中
に、非水溶性熱可塑性樹脂を分散させる。(3)非水溶
性熱可塑性樹脂粒子と着色剤を混合して、非水溶性熱可
塑性樹脂粒子の表面に着色剤を付着させてもよい。着色
剤を付着させた複合粒子は、水溶性高分子中に分散させ
る。(4)各成分を一緒に混合、分散させてもよい。こ
れらの方法は、着色剤に代えて、あるいは着色剤と共に
機能性粒子を使用する場合にも適用することができる。
【0027】熱転写用樹脂組成物を調製するには、各成
分を水または有機溶媒に溶解ないしは分散させて混合す
る方法、各成分を溶融ブレンドする方法などがある。水
または有機溶媒を用いた場合には、基材シート上に塗工
した後、乾燥させる。本発明の樹脂組成物には、所望に
より、ロジン系やテルペン系などの粘着付与剤、可塑
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを適宜配合すること
ができる。本発明の樹脂組成物は、水溶液の状態で、あ
るいは増粘剤を加えてペースト状にして、筆、刷けなど
で直接繊維製品に文字や図柄等を描くことができる。た
だし、この方法は、これは古くから使用されている捺染
糊と比較して、利便性が小さい。増粘剤、ゲル化剤等を
本発明の樹脂組成物に加え、スチック状(棒状)の形態
にすることもできる。スティック状物を用いると、平面
に近い平織り生地などに、字や模様を描くことができ
る。ただし、表面の凹凸が大きいもの、例えばタオル生
地には、スティック状物の適用は困難である。したがっ
て、本発明の樹脂組成物は、通常、熱転写シートの転写
層の形成に使用する。
分を水または有機溶媒に溶解ないしは分散させて混合す
る方法、各成分を溶融ブレンドする方法などがある。水
または有機溶媒を用いた場合には、基材シート上に塗工
した後、乾燥させる。本発明の樹脂組成物には、所望に
より、ロジン系やテルペン系などの粘着付与剤、可塑
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを適宜配合すること
ができる。本発明の樹脂組成物は、水溶液の状態で、あ
るいは増粘剤を加えてペースト状にして、筆、刷けなど
で直接繊維製品に文字や図柄等を描くことができる。た
だし、この方法は、これは古くから使用されている捺染
糊と比較して、利便性が小さい。増粘剤、ゲル化剤等を
本発明の樹脂組成物に加え、スチック状(棒状)の形態
にすることもできる。スティック状物を用いると、平面
に近い平織り生地などに、字や模様を描くことができ
る。ただし、表面の凹凸が大きいもの、例えばタオル生
地には、スティック状物の適用は困難である。したがっ
て、本発明の樹脂組成物は、通常、熱転写シートの転写
層の形成に使用する。
【0028】(熱転写シート)本発明の熱転写シート
は、前記の樹脂組成物からなる転写層を基材シート上に
形成したものである。転写層を設けるための基材シート
としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート等
のプラスチックフィルム;上質紙、アート紙、コート
紙、グラシン紙、模造紙、水溶性紙のセルロース繊維紙
が挙げられるが、樹脂組成物からなる転写層を保持する
機能を有し、かつ、アイロンやホットプレス等による加
熱に対して耐熱性のあるシート状のものであれば、上記
のものに限定されない。基材シートには、必要に応じて
剥離処理、マット処理等の表面処理を行うことができ
る。基材シートの厚みは特に限定されないが、通常50
〜200μm程度である。
は、前記の樹脂組成物からなる転写層を基材シート上に
形成したものである。転写層を設けるための基材シート
としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート等
のプラスチックフィルム;上質紙、アート紙、コート
紙、グラシン紙、模造紙、水溶性紙のセルロース繊維紙
が挙げられるが、樹脂組成物からなる転写層を保持する
機能を有し、かつ、アイロンやホットプレス等による加
熱に対して耐熱性のあるシート状のものであれば、上記
のものに限定されない。基材シートには、必要に応じて
剥離処理、マット処理等の表面処理を行うことができ
る。基材シートの厚みは特に限定されないが、通常50
〜200μm程度である。
【0029】本発明の樹脂組成物を含む転写層の厚みに
ついては、特に限定されるものではないが、通常15〜
100μm、好ましくは20〜80μm程度である。転
写層の厚みが薄すぎると、加熱転写時に被転写布(繊維
製品)の繊維に対する接着性が低下し、堅牢性や耐洗濯
性が損なわれやすく、逆に、厚すぎると、製造方法が限
定されたり、製造コストがかさむ等の不都合が生じるお
それがある。しかしながら、本発明の熱転写シートを熱
容量の大きいサーマルヘッドを用いて転写インクリボン
として用いるときは、この限りではない。すなわち、熱
容量の大きいサーマルヘッドを用いて、直接繊維製品に
熱転写すれば、濃色の印字、図柄、模様等が得られるか
らである。このときは、サーマルヘッドの熱容量と基材
シート厚さを考慮して、転写層の厚さを決めればよい。
ついては、特に限定されるものではないが、通常15〜
100μm、好ましくは20〜80μm程度である。転
写層の厚みが薄すぎると、加熱転写時に被転写布(繊維
製品)の繊維に対する接着性が低下し、堅牢性や耐洗濯
性が損なわれやすく、逆に、厚すぎると、製造方法が限
定されたり、製造コストがかさむ等の不都合が生じるお
それがある。しかしながら、本発明の熱転写シートを熱
容量の大きいサーマルヘッドを用いて転写インクリボン
として用いるときは、この限りではない。すなわち、熱
容量の大きいサーマルヘッドを用いて、直接繊維製品に
熱転写すれば、濃色の印字、図柄、模様等が得られるか
らである。このときは、サーマルヘッドの熱容量と基材
シート厚さを考慮して、転写層の厚さを決めればよい。
【0030】本発明の熱転写シートは、水溶性高分子、
非水溶性熱可塑性樹脂、着色剤、機能性粒子を、水また
は芳香族炭化水素等の有機溶剤に溶解ないしは分散させ
て、基材シートの片面に塗工する方法、Tダイからシー
ト状に溶融押出して基材シートの片面に積層する方法等
が挙げられるが、当該樹脂組成物の性能を損なわない方
法であれば特定の方法に限定されるものではない。各成
分の混合、分散方法としては、前述した各種形態を採用
することができる。また、基材シート上には、転写層を
形成する前に、必要に応じてポリビニルアルコールなど
からなるプライマー層を設けてもよい。
非水溶性熱可塑性樹脂、着色剤、機能性粒子を、水また
は芳香族炭化水素等の有機溶剤に溶解ないしは分散させ
て、基材シートの片面に塗工する方法、Tダイからシー
ト状に溶融押出して基材シートの片面に積層する方法等
が挙げられるが、当該樹脂組成物の性能を損なわない方
法であれば特定の方法に限定されるものではない。各成
分の混合、分散方法としては、前述した各種形態を採用
することができる。また、基材シート上には、転写層を
形成する前に、必要に応じてポリビニルアルコールなど
からなるプライマー層を設けてもよい。
【0031】本発明の熱転写シートを用いて転写するに
は、熱転写シートの転写層を被転写物に当接し、基材シ
ート面上から加圧・加熱した後、基材シートを剥離し、
次いで、水洗すればよい。加圧・加熱するには、アイロ
ンやホットプレス等を用いることができる。例えば、家
庭用アイロンを用いて、高温で数秒間から十数秒間加圧
・加熱することにより、容易に熱転写させることができ
る。
は、熱転写シートの転写層を被転写物に当接し、基材シ
ート面上から加圧・加熱した後、基材シートを剥離し、
次いで、水洗すればよい。加圧・加熱するには、アイロ
ンやホットプレス等を用いることができる。例えば、家
庭用アイロンを用いて、高温で数秒間から十数秒間加圧
・加熱することにより、容易に熱転写させることができ
る。
【0032】本発明の熱転写シートは、市販のワードプ
ロセッサーのプリンターで使用するインクリボンでは得
られなかった色相、高濃度の着色、機能性粒子の固着な
どを繊維製品に対して行うことができる。本発明の熱転
写シートは、被転写布へ転写し、基材シートを剥離した
後、水洗すると、樹脂組成物中の水溶性高分子が除去さ
れ、同時に繊維に固着されなかった余分な他の成分も共
に除去されるため、貼付跡が目立たず、生地の柔軟性、
風合い、通気性が損なわれない。水洗後には、被転写布
上には、実質的に非水溶性熱可塑性樹脂で固着された着
色剤または機能性粒子が残されるため、堅牢性が高く耐
洗濯性の良好な繊維製品が得られる。3原色(赤、青、
緑)以上の色相の異なる熱転写シートを作成しておき、
ホットスタンプに使用する金型を使用すれば、フルカラ
ーの部分染色効果を得ることもできる。
ロセッサーのプリンターで使用するインクリボンでは得
られなかった色相、高濃度の着色、機能性粒子の固着な
どを繊維製品に対して行うことができる。本発明の熱転
写シートは、被転写布へ転写し、基材シートを剥離した
後、水洗すると、樹脂組成物中の水溶性高分子が除去さ
れ、同時に繊維に固着されなかった余分な他の成分も共
に除去されるため、貼付跡が目立たず、生地の柔軟性、
風合い、通気性が損なわれない。水洗後には、被転写布
上には、実質的に非水溶性熱可塑性樹脂で固着された着
色剤または機能性粒子が残されるため、堅牢性が高く耐
洗濯性の良好な繊維製品が得られる。3原色(赤、青、
緑)以上の色相の異なる熱転写シートを作成しておき、
ホットスタンプに使用する金型を使用すれば、フルカラ
ーの部分染色効果を得ることもできる。
【0033】
【実施例】以下、本発明について、実施例を挙げて、よ
り具体的に説明する。
り具体的に説明する。
【0034】 〔実施例1〕 PEO−1〔ポリエチレンオキサイド、住友精化(株)〕 100重量部 PEG−4000N 150重量部 〔ポリエチレングリコール、三井化成(株)〕 ケミパールV−300(固形分40%) 156重量部 〔EVA、三井石油化学(株)〕 M−100〔カーボンブラック、三菱化成(株)〕 10重量部 非水溶性熱可塑性樹脂としてエチレン・酢酸ビニル共重
合体エマルジョン〔三井石油化学(株)製ケミパールV
−300;固形分40重量%〕156重量部、及び着色
剤としてカーボンブラック〔三菱化成(株)製M−10
0〕10重量部をサンドミルで混合した後、水溶性熱可
塑性樹脂としてポリエチレンオキサイド〔住友精化
(株)製PEO−1〕100重量部とポリエチレングリ
コール〔三井化成(株)製PEG−4000N〕150
重量部を加え、さらに混合して塗工用の組成物を得た。
この組成物を、厚み100μmのポリエチレンテレフタ
レート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが50μ
mとなるように塗工し、転写層が黒色の熱転写シートを
作製した。得られた熱転写シートを、コンピュータと連
動したカッターで約20センチ×20センチの大きさの
文字にカットした。木綿製のTシャツ上に、文字状にカ
ットした熱転写シートを、転写層を下にして置き、PE
Tフィルム上から家庭用アイロン(高温)を当てて約1
5秒間加圧・加熱した。PETフィルムを剥すと、艶の
ある文字がプリントされたゴワゴワ感のあるTシャツが
得られた。このTシャツを水洗すると、文字部分の艶が
なくなり、木綿生地の風合と変わらない文字プリントT
シャツが得られた。
合体エマルジョン〔三井石油化学(株)製ケミパールV
−300;固形分40重量%〕156重量部、及び着色
剤としてカーボンブラック〔三菱化成(株)製M−10
0〕10重量部をサンドミルで混合した後、水溶性熱可
塑性樹脂としてポリエチレンオキサイド〔住友精化
(株)製PEO−1〕100重量部とポリエチレングリ
コール〔三井化成(株)製PEG−4000N〕150
重量部を加え、さらに混合して塗工用の組成物を得た。
この組成物を、厚み100μmのポリエチレンテレフタ
レート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが50μ
mとなるように塗工し、転写層が黒色の熱転写シートを
作製した。得られた熱転写シートを、コンピュータと連
動したカッターで約20センチ×20センチの大きさの
文字にカットした。木綿製のTシャツ上に、文字状にカ
ットした熱転写シートを、転写層を下にして置き、PE
Tフィルム上から家庭用アイロン(高温)を当てて約1
5秒間加圧・加熱した。PETフィルムを剥すと、艶の
ある文字がプリントされたゴワゴワ感のあるTシャツが
得られた。このTシャツを水洗すると、文字部分の艶が
なくなり、木綿生地の風合と変わらない文字プリントT
シャツが得られた。
【0035】 〔実施例2〕 ポリエスターWR−930 100重量部 〔水溶性飽和ポリエステル樹脂、日本合成化学工業(株)〕 ポリエスターWR−901 20重量部 〔水溶性飽和ポリエステル樹脂、日本合成化学工業(株)〕 スミカフレックス(固形分50%) 103重量部 〔EVAエマルジョン、住友化学(株)〕 三井PSレッド〔非水溶性染料、三井東圧染料(株)〕 2重量部 非水溶性の染料〔三井東圧染料(株)製三井PSレッ
ド〕2重量部をトルエン10重量部に分散、溶解し、そ
れを非水溶性熱可塑性樹脂のエチレン・酢酸ビニル共重
合体エマルジョン〔住友化学(株)製スミカフレック
ス;固形分50重量%〕103重量部に加え、ディゾル
バーで均一になるまで撹拌した。それに、水溶性樹脂と
してポリエスターWR−930〔水溶性飽和ポリエステ
ル樹脂、日本合成化学工業(株)製〕100重量部とポ
リエスターWR−901〔水溶性飽和ポリエステル樹
脂、日本合成化学工業(株)製〕20重量部を加え、デ
イゾルバーで撹拌し均一な塗工用の組成物を得た。この
組成物を厚み75μmのPETフィルム上に乾燥膜厚が
30μmになるように塗工し、オレンジ色の転写層を有
する熱転写シートを得た。この熱転写シートを鋏みで直
径13センチの円形に切り抜いた。木綿製のTシャツ上
に、円形状に切り抜いた熱転写シートを、転写層を下に
して置き、PETフィルム上から家庭用アイロン(高
温)を当てて約15秒間加圧・加熱した。PETフィル
ムを剥して、Tシャツを水洗すると、円形に着色された
Tシャツが得られた。着色部分は、木綿生地の風合と変
わらない風合の良好なものであった。
ド〕2重量部をトルエン10重量部に分散、溶解し、そ
れを非水溶性熱可塑性樹脂のエチレン・酢酸ビニル共重
合体エマルジョン〔住友化学(株)製スミカフレック
ス;固形分50重量%〕103重量部に加え、ディゾル
バーで均一になるまで撹拌した。それに、水溶性樹脂と
してポリエスターWR−930〔水溶性飽和ポリエステ
ル樹脂、日本合成化学工業(株)製〕100重量部とポ
リエスターWR−901〔水溶性飽和ポリエステル樹
脂、日本合成化学工業(株)製〕20重量部を加え、デ
イゾルバーで撹拌し均一な塗工用の組成物を得た。この
組成物を厚み75μmのPETフィルム上に乾燥膜厚が
30μmになるように塗工し、オレンジ色の転写層を有
する熱転写シートを得た。この熱転写シートを鋏みで直
径13センチの円形に切り抜いた。木綿製のTシャツ上
に、円形状に切り抜いた熱転写シートを、転写層を下に
して置き、PETフィルム上から家庭用アイロン(高
温)を当てて約15秒間加圧・加熱した。PETフィル
ムを剥して、Tシャツを水洗すると、円形に着色された
Tシャツが得られた。着色部分は、木綿生地の風合と変
わらない風合の良好なものであった。
【0036】 〔実施例3〕 PEO−1〔ポリエチレンオキサイド、住友精化(株)〕 100重量部 PEG−4000N 200重量部 〔ポリエチレングリコール、三井化成(株)〕 フロービーズLE−1080 40重量部 〔低密度ポリエチレン微粒子、住友精化(株)〕 蓄光顔料(緑色) 35重量部 非水溶性熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレン微粒子
〔住友精化(株)製フロービーズLE−1080〕、及
び蓄光顔料(緑色)を重量比40:35の割合で秤量
し、ニーダーで混練して、蓄光顔料を均一に分散した。
次いで、冷凍粉砕して、粒径5μm以下の微粒子をえ
た。この微粒子75重量部、及び水溶性熱可塑性樹脂と
してポリエチレンオキサイド〔住友精化(株)製PEO
−1〕100重量部とポリエチレングリコール〔三井化
成(株)製PEG−4000N〕200重量部を秤量
し、Tダイを備えた押出機で押し出して、厚み75μm
のPETフィルム上に膜厚70μmの転写層を積層し
た。このようにして得られた熱転写シートを鋏みで雲型
に切り抜いた。市販のTシャツ上に、雲型に切り抜いた
熱転写シートを、転写層を下にして置き、PETフィル
ム上から家庭用アイロン(高温)を当てて約15秒間加
圧・加熱した。PETフィルムを剥すと、転写部分はゴ
ワゴワ感のあるものであったが、1度洗濯するとゴワゴ
ワ感は殆どなくなった。Tシャツに転写された蓄光顔料
は、明るい場所ではあまり目立たないが、暗い場所に行
くと黄緑色に発光した。洗濯を5回行ったが、転写部分
の発光の強さは、あまり変わらなかった。
〔住友精化(株)製フロービーズLE−1080〕、及
び蓄光顔料(緑色)を重量比40:35の割合で秤量
し、ニーダーで混練して、蓄光顔料を均一に分散した。
次いで、冷凍粉砕して、粒径5μm以下の微粒子をえ
た。この微粒子75重量部、及び水溶性熱可塑性樹脂と
してポリエチレンオキサイド〔住友精化(株)製PEO
−1〕100重量部とポリエチレングリコール〔三井化
成(株)製PEG−4000N〕200重量部を秤量
し、Tダイを備えた押出機で押し出して、厚み75μm
のPETフィルム上に膜厚70μmの転写層を積層し
た。このようにして得られた熱転写シートを鋏みで雲型
に切り抜いた。市販のTシャツ上に、雲型に切り抜いた
熱転写シートを、転写層を下にして置き、PETフィル
ム上から家庭用アイロン(高温)を当てて約15秒間加
圧・加熱した。PETフィルムを剥すと、転写部分はゴ
ワゴワ感のあるものであったが、1度洗濯するとゴワゴ
ワ感は殆どなくなった。Tシャツに転写された蓄光顔料
は、明るい場所ではあまり目立たないが、暗い場所に行
くと黄緑色に発光した。洗濯を5回行ったが、転写部分
の発光の強さは、あまり変わらなかった。
【0037】 〔実施例4〕 PEO−1〔ポリエチレンオキサイド、住友精化(株)〕 100重量部 PEG−4000N 200重量部 〔ポリエチレングリコール、三井化成(株)〕 フロービーズLE−1080 40重量部 〔低密度ポリエチレン微粒子、住友精化(株)〕 ポリエスターMOP−835 20重量部 〔非水溶性飽和ポリエステル微粒子、日本合成(株)〕 ラブコロール010ホワイト 60重量部 〔着色ウレタンビーズ、大日精化(株)〕 ラブコロール020ブラック 60重量部 〔着色ウレタンビーズ、大日精化(株)〕 非水溶性熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレン微粒子
〔住友精化(株)製フロービーズLE−1080〕40
重量部と非水溶性飽和ポリエステル微粒子〔日本合成
(株)製ポリエスターMOP−835〕20重量部、及
び着色剤としてラブコロール010ホワイト〔着色ウレ
タンビーズ、大日精化(株)製〕60重量部とラブコロ
ール020ブラック〔着色ウレタンビーズ、大日精化
(株)〕60重量部をニーダーで均一になるよう混練し
た。次いで、水溶性樹脂としてポリエチレンオキサイド
〔住友精化(株)製PEO−1〕100重量部とポリエ
チレングリコール〔三井化成(株)製PEG−4000
N〕200重量部を加えて、均一になるよう混練して、
組成物を得た。
〔住友精化(株)製フロービーズLE−1080〕40
重量部と非水溶性飽和ポリエステル微粒子〔日本合成
(株)製ポリエスターMOP−835〕20重量部、及
び着色剤としてラブコロール010ホワイト〔着色ウレ
タンビーズ、大日精化(株)製〕60重量部とラブコロ
ール020ブラック〔着色ウレタンビーズ、大日精化
(株)〕60重量部をニーダーで均一になるよう混練し
た。次いで、水溶性樹脂としてポリエチレンオキサイド
〔住友精化(株)製PEO−1〕100重量部とポリエ
チレングリコール〔三井化成(株)製PEG−4000
N〕200重量部を加えて、均一になるよう混練して、
組成物を得た。
【0038】この組成物を、厚み50μmのPETフィ
ルム上に、キャレンダーで厚み70μmに塗工し、マル
チカラーの転写層を有する熱転写シートを得た。この熱
転写シートを鋏みで鼠の形に切り取った。緑色のTシャ
ツ上に、鼠の形の熱転写シートを、転写層を下にして置
き、PETフィルム上から家庭用アイロン(高温)を当
てて約10秒間加圧・加熱した。PETフィルムを剥す
と、転写部分はゴワゴワ感のあるものであったが、これ
を洗濯すると、ベルベットのような風合の転写部分のあ
るTシャツが得られた。この転写部分は、全体の色調は
灰色であるが、着色剤が10〜70μmの大きさの白色
と黒色の微粒子で構成されているため、霜降り模様のマ
ルチカラー模様となっている。着色微粒子は、非水溶性
熱可塑性樹脂で繊維に強固に固着される一方、水溶性熱
可塑性樹脂は、水洗により容易に除去されるため、風合
が良く、耐洗濯性のある図柄(転写部分)を有するTシ
ャツが得られた。
ルム上に、キャレンダーで厚み70μmに塗工し、マル
チカラーの転写層を有する熱転写シートを得た。この熱
転写シートを鋏みで鼠の形に切り取った。緑色のTシャ
ツ上に、鼠の形の熱転写シートを、転写層を下にして置
き、PETフィルム上から家庭用アイロン(高温)を当
てて約10秒間加圧・加熱した。PETフィルムを剥す
と、転写部分はゴワゴワ感のあるものであったが、これ
を洗濯すると、ベルベットのような風合の転写部分のあ
るTシャツが得られた。この転写部分は、全体の色調は
灰色であるが、着色剤が10〜70μmの大きさの白色
と黒色の微粒子で構成されているため、霜降り模様のマ
ルチカラー模様となっている。着色微粒子は、非水溶性
熱可塑性樹脂で繊維に強固に固着される一方、水溶性熱
可塑性樹脂は、水洗により容易に除去されるため、風合
が良く、耐洗濯性のある図柄(転写部分)を有するTシ
ャツが得られた。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、染料溶液に繊維製品を
浸漬することなく、複雑な防染処理、スクリーン紗等を
用いることもなく、望む部分に簡単に着色することがで
きる。本発明によれば、繊維製品の柔軟性、風合い、通
気性を損なうことなく、濃色の着色、絵付け、模様付
け、大きな面積の着色等を容易に行うことができる。さ
らに、本発明によれば、繊維製品の柔軟性、風合い、通
気性を損なうことなく、抗菌性粒子、畜光顔料粒子など
の各種機能性粒子を固着することができ、それによっ
て、各種の機能を繊維製品に付与することができる。
浸漬することなく、複雑な防染処理、スクリーン紗等を
用いることもなく、望む部分に簡単に着色することがで
きる。本発明によれば、繊維製品の柔軟性、風合い、通
気性を損なうことなく、濃色の着色、絵付け、模様付
け、大きな面積の着色等を容易に行うことができる。さ
らに、本発明によれば、繊維製品の柔軟性、風合い、通
気性を損なうことなく、抗菌性粒子、畜光顔料粒子など
の各種機能性粒子を固着することができ、それによっ
て、各種の機能を繊維製品に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写シートの一例を示す断面図であ
る。
る。
【図2】本発明の熱転写シートの他の例を示す断面図で
ある。
ある。
【図3】本発明の熱転写シートの他の例を示す断面図で
ある。
ある。
【図4】本発明の熱転写シートを用いて転写する方法を
示す説明図である。
示す説明図である。
【図5】本発明の熱転写シートを用いて熱転写した後、
基材シートを剥離した状態を示す断面図である。
基材シートを剥離した状態を示す断面図である。
【図6】本発明の熱転写シートを用いて熱転写した後、
基材シートを剥離し、水洗した後の状態を示す断面図で
ある。
基材シートを剥離し、水洗した後の状態を示す断面図で
ある。
【図7】本発明の熱転写シートを用いてTシャツに雲型
の模様を転写した状態を示す図である。
の模様を転写した状態を示す図である。
1:熱転写シート 2:基材シート 3:転写層 4:水溶性高分子(マトリックス) 5:着色剤または機能性粒子を含有する非水溶性熱可塑
性樹脂粒子 6:非水溶性熱可塑性樹脂粒子 7:着色剤または機能性粒子 8:着色剤または機能性粒子が表面に付着した熱可塑性
樹脂粒子 9:被転写布 10:アイロン 11:Tシャツ 12:雲型の着色模様
性樹脂粒子 6:非水溶性熱可塑性樹脂粒子 7:着色剤または機能性粒子 8:着色剤または機能性粒子が表面に付着した熱可塑性
樹脂粒子 9:被転写布 10:アイロン 11:Tシャツ 12:雲型の着色模様
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原口 和俊 東京都文京区関口二丁目3番3号 ニチバ ン株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】 (A)水溶性高分子、(B)該水溶性高
分子中に分散した非水溶性熱可塑性樹脂粒子、並びに
(C)着色剤及び機能性粒子からなる群より選ばれる少
なくとも一種を含有することを特徴とする熱転写用樹脂
組成物。 - 【請求項2】 (C)着色剤及び機能性粒子からなる群
より選ばれる少なくとも一種が、(A)水溶性高分子も
しくは(B)非水溶性熱可塑性樹脂粒子中に溶解ないし
は分散しているか、または(B)非水溶性熱可塑性樹脂
粒子の表面に付着している請求項1記載の熱転写用樹脂
組成物。 - 【請求項3】 基材シート上に、(A)水溶性高分子、
(B)該水溶性高分子中に分散した非水溶性熱可塑性樹
脂粒子、並びに(C)着色剤及び機能性粒子からなる群
より選ばれる少なくとも一種を含有する熱転写用樹脂組
成物からなる転写層が形成されていることを特徴とする
熱転写シート。 - 【請求項4】 基材シート上に、(A)水溶性高分子、
(B)該水溶性高分子中に分散した非水溶性熱可塑性樹
脂粒子、並びに(C)着色剤及び機能性粒子からなる群
より選ばれる少なくとも一種を含有する熱転写用樹脂組
成物からなる転写層が形成されている熱転写シートの転
写層を被転写物に当接し、基材シート面上から加圧・加
熱した後、基材シートを剥離し、次いで、水洗すること
を特徴とする熱転写方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7662497A JPH10251582A (ja) | 1997-03-11 | 1997-03-11 | 熱転写用樹脂組成物、熱転写シート、及び熱転写方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7662497A JPH10251582A (ja) | 1997-03-11 | 1997-03-11 | 熱転写用樹脂組成物、熱転写シート、及び熱転写方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10251582A true JPH10251582A (ja) | 1998-09-22 |
Family
ID=13610523
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7662497A Pending JPH10251582A (ja) | 1997-03-11 | 1997-03-11 | 熱転写用樹脂組成物、熱転写シート、及び熱転写方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10251582A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3587134A4 (en) * | 2017-03-01 | 2020-06-24 | Dai Nippon Printing Co., Ltd. | COMBINATION OF THERMAL TRANSFER SHEET AND SEAL-TYPE PRINTING SHEET, AND THERMAL TRANSFER SHEET |
KR20210065458A (ko) | 2019-11-27 | 2021-06-04 | 한국기계연구원 | 기능성 섬유 제조를 위한 전사 장치 및 방법 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1016382A (ja) * | 1996-04-30 | 1998-01-20 | Canon Inc | インクジェット記録用転写媒体、これを用いた転写方法及び被転写布帛 |
-
1997
- 1997-03-11 JP JP7662497A patent/JPH10251582A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1016382A (ja) * | 1996-04-30 | 1998-01-20 | Canon Inc | インクジェット記録用転写媒体、これを用いた転写方法及び被転写布帛 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3587134A4 (en) * | 2017-03-01 | 2020-06-24 | Dai Nippon Printing Co., Ltd. | COMBINATION OF THERMAL TRANSFER SHEET AND SEAL-TYPE PRINTING SHEET, AND THERMAL TRANSFER SHEET |
US10870301B2 (en) | 2017-03-01 | 2020-12-22 | Dai Nippon Printing Co., Ltd. | Combination of thermal transfer sheet and seal-type printing sheet, and thermal transfer sheet |
KR20210065458A (ko) | 2019-11-27 | 2021-06-04 | 한국기계연구원 | 기능성 섬유 제조를 위한 전사 장치 및 방법 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4314813A (en) | Flock transfer sheet and flock transfer printing process | |
US4294641A (en) | Heat transfer sheets | |
US9776389B2 (en) | Image transfer on a colored base | |
JP2002019390A (ja) | 繊維製品用の熱転写ラベル | |
JPH10251582A (ja) | 熱転写用樹脂組成物、熱転写シート、及び熱転写方法 | |
JP3694358B2 (ja) | 熱転写シートを用いた画像形成方法 | |
JPH1134594A (ja) | 熱転写捺染用シート及びその製造法 | |
JPH05287686A (ja) | 立体模様転写シート | |
JPS621038B2 (ja) | ||
KR20200006460A (ko) | 반응성 잉크를 이용한 열 전사인쇄용 전사지 제조 조성물 및 이를 이용한 열전사 방법 | |
JPH1143874A (ja) | 転写捺染法 | |
KR100377956B1 (ko) | 열접착 날염용 전사지의 제조방법 | |
JPS5919678A (ja) | 柔軟性オフセツト砥石の製造法 | |
WO2024186733A1 (en) | Dye sublimation printing processes | |
JP2509221Y2 (ja) | 熱転写シ―ト | |
JPS591829B2 (ja) | 織物生地のデコレ−ト方法 | |
JPS5843277B2 (ja) | テンシヤシ−ト | |
JPH08284060A (ja) | 立体模様付き起毛製品及びその製法 | |
JP2004250824A (ja) | 増粘化ポリエステル用乾式熱染色材料及び染色方法 | |
JP2002201563A (ja) | 立体模様形成方法および立体模様形成物 | |
JPH023716B2 (ja) | ||
JPS6152276B2 (ja) | ||
JPH0381781A (ja) | 記録方法 | |
JPH07205562A (ja) | 連続帯状転写シート及びその製造法 | |
JPS5940955B2 (ja) | 絵付けされた不織布の製造法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051014 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060315 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070109 |