JPH10249925A - 乳酸系ポリマー容器及びその製造方法 - Google Patents

乳酸系ポリマー容器及びその製造方法

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JPH10249925A
JPH10249925A JP6074897A JP6074897A JPH10249925A JP H10249925 A JPH10249925 A JP H10249925A JP 6074897 A JP6074897 A JP 6074897A JP 6074897 A JP6074897 A JP 6074897A JP H10249925 A JPH10249925 A JP H10249925A
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JP
Japan
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lactic acid
based polymer
acid
container
temperature
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Application number
JP6074897A
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English (en)
Inventor
Kosuke Arai
宏介 新居
Akio Toyoda
明男 豊田
Kouzou Eguchi
功造 江口
Kazuki Tani
和樹 谷
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DICK MOLDING KK
DIC Corp
Original Assignee
DICK MOLDING KK
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、一般にボ
トルと呼ばれている液状物を収納する、生分解性、耐熱
性、外観性、透明性に優れた、乳酸系ポリマー容器、及
びその製造方法を提供することにある。 【解決手段】 重合触媒を失活剤により失活させた乳酸
系ポリマーをブロー成形し、ブロー金型内で熱セットす
ることを特徴とする乳酸系ポリマー容器の製造方法、及
び該製造方法により製造された、生分解性、耐熱性、外
観性、透明性に優れた、乳酸系ポリマー容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に液状物を収納
する容器に係り、更に詳しくは、各種の飲料、薬品、化
粧水等の液状物の収納に適するブロー成形により作製さ
れる耐熱性、透明性、外観性、生分解性に優れた乳酸系
ポリマーからなる容器及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、飲料、薬品、化粧水等の液状物の
容器としてはガラスビンやプラスチックを加工したボト
ルが用いられている。特にプラスチックは軽量であり、
透明性、耐水性、強度、熱成形性、低コスト性等に優れ
た特徴を持っているためガラスビンに代わり近年は多量
に使用されるようになった。
【0003】一般にこれらに使用される汎用樹脂と言わ
れるプラスチックはポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレ
ート等であり、これら樹脂の処分方法として焼却、埋立
が行われている。しかし、その廃棄物は埋立地不足、景
観阻害、海洋生物への脅威及び環境汚染等の地球的環境
問題を引き起こしている。
【0004】最近、ポリエチレンテレフタレートを使用
したPETボトルと呼ばれる各種飲料用の容器は一部回
収され再利用されているが、その再処理施設はまだ少な
く、その処理能力は小さい。またポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレン等の樹脂は焼却時、その燃焼カ
ロリーが高いため、炉を痛め易く、炉の寿命を短くす
る。一方、ポリ塩化ビニルにおいては、燃焼カロリーは
低いが焼却時に有害なガスを発生することが知られてい
る。
【0005】埋立においても、これらの汎用樹脂は、化
学的安定性が高いため、分解せず原形をとどめたまま半
永久的に残ることが知られており、埋立地不足が深刻化
する原因の一つになっている。更に無造作に自然環境中
に廃棄された場合、その安定性の高さのため美観を損ね
たり、海洋生物、鳥類等が誤って補食し、貴重な生物資
源が減少するなど環境破壊の一因となっている。
【0006】これらの問題を解決するため、最近は生分
解性ポリマーの研究が盛んに行われている。このポリマ
ーは、一般のプラスチックと異なり容易に完全分解し、
最終的には水と二酸化炭素になる。生分解性ポリマーで
注目されている樹脂の1つに、乳酸系ポリマーと称する
ポリ乳酸及びそのコポリマーがある。
【0007】これらのポリマーは生分解性があることは
勿論のこと、燃焼カロリーが低いため、焼却した場合も
炉を痛めることがなく、燃焼時に有害なガスを発生する
こともない。また、出発原料に再生容易な植物資源を利
用出来るため、枯渇する石油資源から脱却できる。更
に、一般には良好な透明性と剛性を有していることから
容器等の成形物に使用している汎用樹脂の代替として期
待されている。
【0008】しかし、従来の乳酸系ポリマーは耐熱性が
低く、未結晶品では55℃前後で弾性を失い、内容物等
の荷重により変形を起こし外観を損ね、更には収納目的
を果たせなくなる問題点がある。液状物を収納する容器
は通常の使用でも輸送や保管の際に輸送コンテナ、倉庫
内等に密閉状態におかれることが多く、温度管理がなけ
れば、夏場等では50℃以上の雰囲気温度にさらされる
ことが少くなくない。そこで少なくても60℃以上の耐
熱性、外観性、透明性に優れた乳酸系ポリマー容器が求
められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、一般にボトルと呼ばれている液状物を収納
する、生分解性、耐熱性、外観性、透明性に優れた、乳
酸系ポリマー容器、及びその製造方法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上の問
題を解決するために鋭意検討した結果、重合触媒を失活
剤により失活させた、特定の乳酸系ポリマーをブロー成
形において特定の条件で結晶化させる製造方法により製
造した乳酸系ポリマーから成る容器が、これらの要求を
満たすことを見いだし本発明を完成した。
【0011】即ち、本発明は、(1)重合触媒を失活剤
により失活させた乳酸系ポリマーをブロー成形し、ブロ
ー金型内で熱セットすることを特徴とする乳酸系ポリマ
ー容器の製造方法、(2)重合触媒を失活剤により失活
させた乳酸系ポリマーが、乳酸成分と、ジカルボン酸と
ジオールを脱水縮合したポリエステル構造単位および/
又はジカルボン酸とポリエーテルポリオールを脱水縮合
したポリエーテル構造単位とから成ることを特徴とする
請求項1に記載の乳酸系ポリマー容器の製造方法、
【0012】(3)ブロー成形時のパリソンの温度が、
乳酸系ポリマーのガラス転移温度(Tg)から結晶化温
度(Tc)未満であることを特徴とする(1)又は
(2)に記載の乳酸系ポリマー容器の製造方法、(4)
ブロー成形時のブロー金型温度が、乳酸系ポリマーの結
晶化温度(Tc)より50℃低い温度から融点未満の温
度範囲である(1)〜(3)のいずれか一つに記載の乳
酸系ポリマー容器の製造方法、及び、
【0013】(5)上記の(1)〜(4)のいずれか一
つに記載の製造方法により製造された、耐熱性、透明
性、外観性に優れる乳酸系ポリマー容器である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に用いる乳酸系ポリマーは
良好な耐熱性と透明性と外観を実現するため、重合触媒
を失活させた乳酸系ポリマーを、配向結晶化させた乳酸
系ポリマーよりなる。乳酸系ポリマーの透明性を損なわ
ず結晶化するため、また結晶化を効率的に行うために乳
酸系ポリマーの熱特性に鑑み、特定温度に加熱した乳酸
系ポリマーからなるパリソンを用いてブロー成形により
配向を行い、その後ブロー金型内で熱セットを行うこと
で容器形状を定着させる。
【0015】本発明で乳酸系ポリマーは良好な耐熱性を
実現させるため、更には熱成形性を良好にする観点か
ら、重合触媒を失活させた、結晶化した融点120〜3
00℃の乳酸系ポリマーである。更に詳しく述べると、
本発明で用いる乳酸系ポリマーは、ポリ乳酸、又は特に
ポリ乳酸または乳酸を脱水縮合した構造単位に、ジカル
ボン酸とジオールを脱水縮合したポリエステル構造単位
及び/又はジカルボン酸とポリエーテルポリオールを脱
水縮合したポリエーテル構造単位を3〜60重量%含む
ものであり、重合触媒を失活させた乳酸系共重合体であ
る。
【0016】該共重合体は、詳しくは、乳酸成分97〜
40重量%と、ジカルボン酸とジオールを脱水縮合した
ポリエステル構造単位および/又はジカルボン酸とポリ
エーテルポリオールを脱水縮合したポリエーテル構造単
位3〜60重量%含むものが好ましい。中でも後二者の
構造単位は容器に柔軟性付与が可能なため5〜60重量
%がより好ましい。
【0017】また、重量平均分子量は1〜50万、乳酸
成分のL体、D体の比(L/D)が100/0〜97/
3で、120℃以上の融点を持つものが好ましい。本発
明に用いられるポリマーはポリ乳酸及び乳酸成分にジカ
ルボン酸成分とジオール成分及び/またはポリエーテル
ポリオール成分からなるポリエステルを含む乳酸系ポリ
マーやその混合物であり、乳酸成分含有率が40重量%
以上のものである。
【0018】これらのジカルボン酸成分としては、特に
特定されないが、メチレン鎖長が2〜10のもの、例え
ばアジピン酸、セバシン酸、コハク酸等が挙げられる。
ジオール成分としては主鎖の炭素数が2〜6のもの、例
えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール等が挙げられる。
【0019】ポリエーテルポリオールとしては、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブ
チレングリコール等が挙げられる。これらの内でも特に
ジカルボン酸成分としてはアジピン酸、セバシン酸、ジ
オール成分としてはプロピレングリコール、ポリエーテ
ルポリオールとしてはポリプロピレングリコールを使用
することが好ましい。
【0020】乳酸系ポリマーの製造方法としては、公知
のラクタイドを用いるポリ乳酸の開環重合や乳酸からの
ポリ乳酸の直接重合による製法、またポリ乳酸重合時も
しくはポリ乳酸重合直後にジカルボン酸成分とジオール
成分から成るポリエステル、ポリエーテルポリオール成
分からなるポリエステルの一種以上を加え重合を更に進
めることにより得られる。
【0021】またこれら重合のどの段階でも良いが、多
価カルボン酸及び/またはその酸化無水物、多価イソシ
アネートを加えることにより、乳酸系ポリマーを更に高
分子量化することができる。多価カルボン酸としてはト
リメリット酸、ピロメリット酸、酸化無水物としては無
水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸
等であり、多価イソシアネートとしては2,4−トリレ
ンジイソシアネート、
【0022】2,4−トリレンジイソシアネートと2,
6−トリレンジイソシアネートの混合体、ジフェニルメ
タンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
−4,4’,4”−トリイソシアネート等がある。添加
量としては乳酸系ポリマーに対し0.01〜5重量%程
度加えればよく、通常30万程度までしか上がらない重
量平均分子量を60〜70万程度に上げることができ
る。
【0023】このポリマー重合時及び/または重合終了
後に、重合触媒の失活剤であるキレート剤、及び/又は
酸性リン酸エステル類を添加することにより、重合触媒
を失活させ、ポリマーの熱安定性、貯蔵安定性を向上さ
せることが出来る。これは後述する射出成形等によるパ
リソンの成形時に乳酸系ポリマー内の残留モノマーやオ
リゴマーが金型内に付着するのを抑え、パリソン、更に
はそのブロー成形容器の外観を損なわず良好なものとす
ることができる。
【0024】キレート剤はポリマー鎖の切断を最小に抑
えることができ、また、有機系キレート剤と無機系キレ
ート剤を混合して使用しても差し支えない。酸性リン酸
エステル類による安定性向上の機構としては、ポリヒド
ロキシカルボン酸と、ジカルボン酸成分とジオール成分
からなるポリエステル及び高分子量化剤から構成される
組成物中に含まれている触媒中の金属イオンと錯体を形
成し、その活性を消失させ、その組成物の熱安定性、貯
蔵安定性を大幅に改善させるものである。
【0025】使用されるキレート剤としては、有機系キ
レート剤と無機系キレート剤がある。有機系キレート剤
としては、特に、限定されないが、アミノ酸、フェノー
ル類、ヒドロキシカルボン酸、ジケトン類、アミン類、
オキシム、フェナントロリン類、ピリジン化合物、ジチ
オ化合物、配位原子としてN含有フェノール、配位原子
としてN含有カルボン酸、ジアゾ化合物、チオール類、
ポルフィリン類などが挙げられる。それらは、ヒドロキ
シカルボン酸系ポリエステル組成物中に含有される触媒
の金属イオンと錯体を形成して触媒活性を失わせるもの
である。無機系キレート剤は、吸湿性が高く、吸湿する
と効果がなくなるため取り扱いに注意が必要である。具
体的には、リン酸、亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸
などのリン酸類を挙げることができる。
【0026】キレート剤の有機系キレート剤あるいは無
機系キレート剤の添加量はその種類、ポリヒドロキシカ
ルボン酸や、ジカルボン酸成分及びジオール成分からな
るポリエステル中に含まれる触媒の種類、量によって異
なるが、ポリヒドロキシカルボン酸と、ジカルボン酸成
分及びジオール成分からなるポリエステルの合計量に対
して0.001重量部〜5重量部、あるいは、使用触媒
1重量部に対して0.1〜100重量部を添加すること
が好ましい。酸性リン酸エステル類としては、酸性リン
酸エステル、ホスホン酸エステル、アルキルホスホン酸
等及びその混合物を指すもので、その一般式を化1に示
す。
【0027】
【化1】
【0028】(式中、R1はアルキル基またはアルコキ
シル基、R2はアルキル基またはアルコキシル基または
ヒドロキシル基を表す。)
【0029】酸性リン酸エステル類では、とりわけ酸性
リン酸エステルが触媒失活に大きな効果を示す。酸性リ
ン酸エステル類の添加量は、その種類、使用触媒の種
類、混練条件によって異なるが、ポリヒドロキシカルボ
ン酸と、ジカルボン酸成分及びジオール成分からなるポ
リエステルの合計量に対して、0.001重量部〜5重
量部、あるいは、使用触媒1重量部に対して、0.1〜
100重量部を添加することが好ましい。これら失活剤
の添加は乳酸系ポリマー中の低分子量成分の発生を抑え
パリソンを作製する射出成形時等に低分子量成分による
金型内の汚れを防ぐのに有効である。
【0030】ポリマーの重合度は、通常重量平均分子量
10,000〜500,000の範囲であり、中でも強
度が高く成形加工性に優れる点から50,000〜30
0,000が更に好ましい。
【0031】本発明の乳酸系ポリマーは必要に応じて第
二、三成分として他のポリマーや可塑剤、安定剤、酸化
防止剤、着色剤等の添加剤を含んでも良い。ポリマーと
しては脂肪族ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポ
リヒドロキシブチレート−ヒドロキシバリレート、スタ
ーチ系ポリマー等を含んでも良く、添加剤としては1,
3−ブタンジオールとアジピン酸等のポリエステル系可
塑剤やフタル酸ジオクチル、ポリエチレングリコールア
ジピン酸等の可塑剤、エポキシ化大豆油、カルボジイミ
ドの様な安定剤、2,6−ジ−第三−ブチル−4−メチ
ルフェノール(BHT)、ブチル・ヒドロキシアニソー
ル(BHA)の様な酸化防止剤、酸化チタン、カーボン
ブラック、群青の様な着色剤等を含んでもかまわない。
【0032】次に本発明に係る容器の製造方法について
説明する。乳酸系ポリマーをボトルと呼ばれる液状物の
収納容器に成形するにはブロー成形法が用いられる。ブ
ロー成形法は熱可塑性の合成樹脂を押出し、または射出
成形によってチューブ状のパリソンと呼ばれる予備成形
物に成形し、これをブロー金型ではさんでそのブロー金
型内部でパリソンに空気を吹き込み、ふくらませて冷却
固化して容器を作製する方法である。
【0033】その方法にはパリソンの状態、方式により
分けられる。押出ブロー法はチューブ状のパリソンを押
出し、それを容器にふくらませる。射出ブロー法は射出
成形により密封型のパリソンを成形し、これをふくらま
せる。射出・押出ブロー法は容器ネック部分になるパリ
ソンの一部を射出成形し、これを冷却後、胴部を押出成
形しふくらませる。シートブロー法はスリットダイを使
用して2枚のシート状に押出して成形する。
【0034】コールドパリソン法はパリソンを再加熱し
て金型内でふくらませるが、これは次の特徴が上げられ
る。肉厚、重量、容積の均一性が良い。また、パリソン
成形とブロー成形が別工程にできることからパリソンの
連続成形が可能であり、射出成形機等内の樹脂の滞留時
間を短くでき、熱分解しやすい樹脂でも成形が可能にな
る。耐熱性、透明性に優れた乳酸系ポリマー容器を得る
にはパリソンを均一な温度に再加熱できるコールドパリ
ソン法が特に有効である。
【0035】乳酸系ポリマーのパリソンへの成形は押出
成形、射出成形または、射出・押出成形何れの方法でも
作製できるが、パリソンの形状を精密に決められ、製品
の品質を安定させられることから射出成形で作製するの
が望ましい。
【0036】ここでパリソンの成形条件について述べ
る。乳酸系ポリマーは吸湿性が高く、加水分解性も強い
為、水分管理が必要であり、一般的な単軸押出機を用い
て射出あるいは押出成形する場合には、成膜前にこのポ
リマーを真空乾燥器等により除湿乾燥する必要がある。
また、ベント式2軸押出機による場合は脱水効果が高く
乾燥工程を省略できるため効率的な成形が可能である。
乳酸系ポリマーの溶融成形温度は、特に制限されない
が、通常150〜300℃の範囲である。
【0037】次いでパリソンを使用し、金型内でブロー
成形を行うが、これにより結晶化速度が早められ、5〜
30秒程度の短い加熱処理時間で耐熱性を向上できる。
更に、これは配向による結晶化を伴うため、乳酸系ポリ
マーの良好な透明性を保持したまま耐熱性を向上でき
る。
【0038】このブロー成形は必要に応じて金型温度の
影響による熱収縮を抑えるためエアーサーキュレーショ
ンによるブロー・エアーの入れ替えを行っても良い。ま
た、場合によっては、ブロー成形以前に加熱によりパリ
ソンの口部を結晶化する事が熱安定性を向上させ、口部
よりブローするエアーの洩れが少なく、確実にブローさ
せる上で好ましい。
【0039】ブロー成形によりふくらませる倍率として
は、実際にふくらむパリソン部分のA(縦×横)寸法と
ブロー成形した容器のB(縦×横)寸法の倍率比B/A
で換算すると1.4〜16倍の範囲で容器外観、形状が
良好であるが2〜16倍の範囲が更に好ましい。
【0040】このブロー成形時のパリソン温度は、最終
的に容器の形状と透明性を良好に保つ為、乳酸系ポリマ
ーのガラス転移温度(Tg)から結晶化温度(Tc)未
満の温度範囲が好ましい。パリソンの温度が乳酸系ポリ
マーのガラス転移点(Tg)以下であれば、ブロー成形
時にパリソンは均一にふくらまず容器は良好な形状にな
らない。また、パリソンが乳酸系ポリマーの結晶化温度
(Tc)以上であれば容器は白濁し、加えてパリソンは
均一にふくらまず良好な形状にならない。特にガラス転
移温度(Tg)から40℃高い温度の範囲が好ましい
が、中でも乳酸系ポリマーのガラス転移温度(Tg)か
ら30℃高い温度範囲が特に好ましい。
【0041】本発明で言うガラス転移温度(Tg)、結
晶化温度(Tc)、融点(Tm)はJIS−K−712
1に規定されるTig、Tpc、Tpmであり、昇温速度は1
0℃/分で行い、測定されるものを意味する。
【0042】耐熱性を付与するために乳酸系ポリマーを
結晶化するが、その加熱処理方法としてブロー金型内で
の熱セット法を説明する。熱セットを行う場合、乳酸系
ポリマーの適正な結晶化速度を得るには加熱温度を乳酸
系ポリマーの結晶化温度(Tc)より50℃低い温度か
ら融点(Tm)未満の範囲とすることが好ましい。中で
も熱セット温度は容器の良好な耐熱性、形状及び外観を
得るために結晶化温度(Tc)より40℃低い温度から
融点(Tm)から10℃低い温度の範囲が特に好まし
い。
【0043】本発明で得られる乳酸系ポリマー容器は、
耐熱性、透明性が要求される飲料、薬品、化粧品各分野
の液状物を収納するのに特に好ましく用いられる。
【0044】
【実施例】本発明を実施例により詳細に説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。初めに本発明
に用いた乳酸系ポリマーの作製方法を示す。
【0045】(参考例1) 乳酸系ポリマーのP1作製 脂肪族系ポリエステル(重量平均分子量:7.0万(ポ
リスチレン換算)、セバシン酸50モル%、1,6−ヘ
キサンジオール25モル%、エチレングリコール25モ
ル%)3重量部にラクタイド(L−ラクタイド98モル
%、D−ラクタイド2モル%)97重量部とを加えて、
不活性ガスで雰囲気を置換し、170℃で1時間混合さ
せ、エステル化触媒としてオクタン酸錫を0.02部加
えて8時間反応を行った。この後、失活剤として酸性リ
ン酸エステル0.04重量部を加えた。得られた乳酸系
ポリマーは無色透明な樹脂で、重量平均分子量はGPC
の測定結果から20.3万、ガラス転移温度(Tg)は
60℃、結晶化温度(Tc)は120℃、融点(Tm)
は160℃であった。この樹脂をP1と称する。
【0046】(参考例2) 乳酸系ポリマーのP2作製 脂肪族系ポリエステル(重量平均分子量:3.5万(ポ
リスチレン換算)、セバシン酸50モル%、1,6−ヘ
キサンジオール50モル%)20重量部にラクタイド
(L−ラクタイド97モル%、D−ラクタイド3モル
%)80重量部とを加えて、不活性ガスで雰囲気を置換
し、170℃で1時間混合させ、エステル化触媒として
オクタン酸錫を0.02部加えて8時間反応を行った。
この後、失活剤として酸性リン酸エステル0.04重量
部を加えた。得られた乳酸系ポリマーは無色透明な樹脂
で、重量平均分子量はGPCの測定結果から11.3
万、ガラス転移温度(Tg)は49℃、結晶化温度(T
c)は93℃、融点(Tm)は162℃であった。この
樹脂をP2と称する。
【0047】(参考例3) 乳酸系ポリマーのP3作製 脂肪族系ポリエステル(重量平均分子量:3.4万(ポ
リスチレン換算)、セバシン酸50モル%、エチレング
リコール25モル%、1,6−ヘキサンジオール25モ
ル%)40重量部にラクタイド(L−ラクタイド97モ
ル%、D−ラクタイド3モル%)60重量部とを加え
て、不活性ガスで雰囲気を置換し、165℃で1時間混
合させ、エステル化触媒としてオクタン酸錫を0.02
部加えて8時間反応を行った。この後、失活剤として酸
性リン酸エステル0.04重量部を加えた。得られた乳
酸系ポリマーは無色透明な樹脂で、重量平均分子量はG
PCの結果から10.2万、ガラス転移温度(Tg)は
51℃、結晶化温度(Tc)は73℃、融点(Tm)は
162℃であった。この樹脂をP3と称する。
【0048】(参考例4) 乳酸系ポリマーのP4作製 脂肪族系ポリエステル(重量平均分子量:3.2万(ポ
リスチレン換算)、セバシン酸50モル%、エチレング
リコール25モル%、プロピレングリコール25モル
%)30重量部にラクタイド(L−ラクタイド97モル
%、D−ラクタイド3モル%)70重量部とを加えて、
不活性ガスで雰囲気を置換し、170℃で1時間混合さ
せ、エステル化触媒としてオクタン酸錫を0.02部加
えて8時間反応を行った。この後、失活剤として酸性リ
ン酸エステル0.04重量部を加えた。得られた乳酸系
ポリマーは無色透明な樹脂で、重量平均分子量はGPC
の測定結果から8.8万、ガラス転移温度(Tg)は5
0℃、結晶化温度(Tc)は83℃、融点(Tm)は1
56℃であった。この樹脂をP4と称する。
【0049】(参考例5)乳酸系ポリマーのP5作製 L−ラクタイド98モル%、D−ラクタイド2モル%を
不活性ガス雰囲気中、温度165℃の条件下で1時間撹
拌後、エステル化触媒としてオクタン酸錫を0.02部
加えて8時間反応を行った。この後、失活剤として酸性
リン酸エステル0.04重量部を加えた。得られた乳酸
系ポリマーは無色透明な樹脂で、重量平均分子量はGP
Cの測定結果から19.2万、ガラス転移温度(Tg)
は56℃、結晶化温度(Tc)は110℃、融点(T
m)は163℃であった。この樹脂をP5と称する。
【0050】(参考例6) 乳酸系ポリマーのP6作製 脂肪族系ポリエステル(重量平均分子量:7.0万(ポ
リスチレン換算)、セバシン酸50モル%、1,6−ヘ
キサンジオール25モル%、エチレングリコール25モ
ル%)3重量部にラクタイド(L−ラクタイド98モル
%、D−ラクタイド2モル%)97重量部とを加えて、
不活性ガスで雰囲気を置換し、170℃で1時間混合さ
せ、エステル化触媒としてオクタン酸錫を0.02部加
えて8時間反応を行った。失活剤は加えなかった。得ら
れた乳酸系ポリマーは無色透明な樹脂で、重量平均分子
量はGPCの測定結果から20.3万、ガラス転移温度
(Tg)は60℃、結晶化温度(Tc)は120℃、融
点(Tm)は160℃であった。この樹脂をP6と称す
る。
【0051】(実施例1〜12)表1及び表2に示す乳
酸系ポリマーを500mlビン用パリソンに射出成形し
た。この時、射出温度は250〜270℃。この後、パ
リソンを遠赤外線ヒーターで均一に加熱し、ブロー成形
機にて一般にボトルと呼ばれる液状用容器に成形した。
その倍率B/Aは6、ブロー圧は10kg/cm2であ
った。ブロー成形時のパリソン温度、金型温度、ブロー
時間を表1に示す。ブロー成形時のパリソン温度の測定
はサーモグラフ(JEOL社製サーモビューアー)を使
用した。
【0052】作製した容器の評価は次の様に行った。 (1)耐熱性評価 作製した容器に一定温度の温水を入れ、容器から水があ
ふれ出す温度を確認し、この時の温度を耐熱温度とし
た。 評価:60℃未満の耐熱性は×、60℃以上の耐熱性が
あれば○、70℃以上の耐熱性があれば◎と評価した。
【0053】(2)透明性評価 目視にて容器を通して見える視認性及び外観を評価し
た。 評価:容器の向こう側が明確に見える場合を○、向こう
側が殆ど見えない場合を×とした。
【0054】(3)外観性評価 目視にて外観を評価した。 評価:外観が平滑で良好な場合を○、外観に凹凸がある
か、付着物等で損なわれている場合を×。
【0055】(4)容器形状 目視にて容器が正常な形状を成しているかを確認した。 評価:容器に大きな変形、偏肉等がなく一定の形状を成
していれば○、変形、偏肉により容器として使用できな
いと判断されるものは×とした。
【0056】(5)生分解性評価 屋外コンポスト(容量100リットル)に生ゴミ5kg
を入れ、その上に得られた容器を生ゴミを詰めた状態で
横倒しに置いた。更に生ゴミを入れ、容器が隠れ、そこ
から5cm程度高く生ゴミが載るようにした。1ヶ月後
の容器の状態を目視により評価した。尚、この試験は夏
期に行っている。評価基準は次の通り。著しく物性の劣
化があり、形状の維持が難しいものは○。変形、白化は
あるが形状を維持していものは△。白化、変形等がなく
試験開始前の状態を維持しているものは×とした。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】(比較例1〜5)表3に示す乳酸系ポリマ
ーを500mlビン用パリソンに射出成形した。この
時、射出温度は250〜270℃。この後、パリソンを
遠赤外線ヒーターで均一に加熱し、ブロー成形機にて一
般にボトルと呼ばれる液状用容器に成形した。その倍率
B/Aは6、ブロー圧は10kg/cm2であった。ブ
ロー成形時のパリソン温度、金型温度、ブロー時間を表
3に示す。作製した容器の耐熱性、透明性、外観性、容
器形状及び生分解性の評価は実施例1〜12で使用した
ものと同様に行った。
【0061】その結果、比較例1ではパリソンが均一に
ふくらまず、一定の容器形状にできなかった。比較例2
では容器は良好な透明性が得られず、パリソンも均一に
ふくらまなかった。比較例3では良好な耐熱性は得られ
なかった。比較例4では良好な容器形状は得られなかっ
た。全ての比較例で、ブロー金型にモノマー等の低分子
量分が付着し、また容器にゴミのような成分が付着し外
観が損なわれた。また表1及び2に示すように、実施例
1〜12で作製した容器は、良好な耐熱性、透明性、容
器形状、外観性と生分解性を示した。
【0062】
【発明の効果】本発明は、一般にボトルと呼ばれている
液状物を収納する、生分解性、耐熱性、外観性、透明性
に優れた、乳酸系ポリマー容器、及びその製造方法を提
供することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年9月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に液状物を収納
する容器に係り、更に詳しくは、各種の飲料、薬品、化
粧水等の液状物の収納に適するブロー成形により作製さ
れる耐熱性、透明性、外観性、生分解性に優れた乳酸系
ポリマーからなる容器及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、飲料、薬品、化粧水等の液状物の
容器としてはガラスビンやプラスチックを加工したボト
ルが用いられている。特にプラスチックは軽量であり、
透明性、耐水性、強度、熱成形性、低コスト性等に優れ
た特徴を持っているためガラスビンに代わり近年は多量
に使用されるようになった。
【0003】一般にこれらに使用される汎用樹脂と言わ
れるプラスチックはポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレ
ート等であり、これら樹脂の処分方法として焼却、埋立
が行われている。しかし、その廃棄物は埋立地不足、景
観阻害、海洋生物への脅威及び環境汚染等の地球的環境
問題を引き起こしている。
【0004】最近、ポリエチレンテレフタレートを使用
したPETボトルと呼ばれる各種飲料用の容器は一部回
収され再利用されているが、その再処理施設はまだ少な
く、その処理能力は小さい。またポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレン等の樹脂は焼却時、その燃焼カ
ロリーが高いため、炉を痛め易く、炉の寿命を短くす
る。一方、ポリ塩化ビニルにおいては、燃焼カロリーは
低いが焼却時に有害なガスを発生することが知られてい
る。
【0005】埋立においても、これらの汎用樹脂は、化
学的安定性が高いため、分解せず原形をとどめたまま半
永久的に残ることが知られており、埋立地不足が深刻化
する原因の一つになっている。更に無造作に自然環境中
に廃棄された場合、その安定性の高さのため美観を損ね
たり、海洋生物、鳥類等が誤って補食し、貴重な生物資
源が減少するなど環境破壊の一因となっている。
【0006】これらの問題を解決するため、最近は生分
解性ポリマーの研究が盛んに行われている。このポリマ
ーは、一般のプラスチックと異なり容易に完全分解し、
最終的には水と二酸化炭素になる。生分解性ポリマーで
注目されている樹脂の1つに、乳酸系ポリマーと称する
ポリ乳酸及びそのコポリマーがある。
【0007】これらのポリマーは生分解性があることは
勿論のこと、燃焼カロリーが低いため、焼却した場合も
炉を痛めることがなく、燃焼時に有害なガスを発生する
こともない。また、出発原料に再生容易な植物資源を利
用出来るため、枯渇する石油資源から脱却できる。更
に、一般には良好な透明性と剛性を有していることから
容器等の成形物に使用している汎用樹脂の代替として期
待されている。
【0008】しかし、従来の乳酸系ポリマーは耐熱性が
低く、未結晶品では55℃前後で弾性を失い、内容物等
の荷重により変形を起こし外観を損ね、更には収納目的
を果たせなくなる問題点がある。液状物を収納する容器
は通常の使用でも輸送や保管の際に輸送コンテナ、倉庫
内等に密閉状態におかれることが多く、温度管理がなけ
れば、夏場等では50℃以上の雰囲気温度にさらされる
ことが少くなくない。そこで少なくても60℃以上の耐
熱性、外観性、透明性に優れた乳酸系ポリマー容器が求
められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、一般にボトルと呼ばれている液状物を収納
する、生分解性、耐熱性、外観性、透明性に優れた、乳
酸系ポリマー容器、及びその製造方法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上の問
題を解決するために鋭意検討した結果、重合触媒を失活
剤により失活させた、特定の乳酸系ポリマーをブロー成
形において特定の条件で結晶化させる製造方法により製
造した乳酸系ポリマーから成る容器が、これらの要求を
満たすことを見いだし本発明を完成した。
【0011】即ち、本発明は、(1)重合触媒を失活剤
により失活させた乳酸系ポリマーをブロー成形し、ブロ
ー金型内で熱セットすることを特徴とする乳酸系ポリマ
ー容器の製造方法、(2)重合触媒を失活剤により失活
させた乳酸系ポリマーが、乳酸成分と、ジカルボン酸と
ジオールを脱水縮合したポリエステル構造単位および/
又はジカルボン酸とポリエーテルポリオールを脱水縮合
したポリエーテル構造単位とから成ることを特徴とする
請求項1に記載の乳酸系ポリマー容器の製造方法、
【0012】(3)ブロー成形時のパリソンの温度が、
乳酸系ポリマーのガラス転移温度(Tg)から結晶化温
度(Tc)未満であることを特徴とする(1)又は
(2)に記載の乳酸系ポリマー容器の製造方法、(4)
ブロー成形時のブロー金型温度が、乳酸系ポリマーの結
晶化温度(Tc)より50℃低い温度から融点未満の温
度範囲である(1)〜(3)のいずれか一つに記載の乳
酸系ポリマー容器の製造方法、及び、
【0013】(5)上記の(1)〜(4)のいずれか一
つに記載の製造方法により製造された、耐熱性、透明
性、外観性に優れる乳酸系ポリマー容器である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に用いる乳酸系ポリマーは
良好な耐熱性と透明性と外観を実現するため、重合触媒
を失活させた乳酸系ポリマーを、配向結晶化させた乳酸
系ポリマーよりなる。乳酸系ポリマーの透明性を損なわ
ず結晶化するため、また結晶化を効率的に行うために乳
酸系ポリマーの熱特性に鑑み、特定温度に加熱した乳酸
系ポリマーからなるパリソンを用いてブロー成形により
配向を行い、その後ブロー金型内で熱セットを行うこと
で容器形状を定着させる。
【0015】本発明で乳酸系ポリマーは良好な耐熱性を
実現させるため、更には熱成形性を良好にする観点か
ら、重合触媒を失活させた、結晶化した融点120〜3
00℃の乳酸系ポリマーである。更に詳しく述べると、
本発明で用いる乳酸系ポリマーは、ポリ乳酸、又は特に
ポリ乳酸または乳酸を脱水縮合した構造単位に、ジカル
ボン酸とジオールを脱水縮合したポリエステル構造単位
及び/又はジカルボン酸とポリエーテルポリオールを脱
水縮合したポリエーテル構造単位を3〜60重量%含む
ものであり、重合触媒を失活させた乳酸系共重合体であ
る。
【0016】該共重合体は、詳しくは、乳酸成分97〜
40重量%と、ジカルボン酸とジオールを脱水縮合した
ポリエステル構造単位および/又はジカルボン酸とポリ
エーテルポリオールを脱水縮合したポリエーテル構造単
位3〜60重量%含むものが好ましい。中でも後二者の
構造単位は容器に柔軟性付与が可能なため5〜60重量
%がより好ましい。
【0017】また、重量平均分子量は1〜50万、乳酸
成分のL体、D体の比(L/D)が100/0〜97/
3で、120℃以上の融点を持つものが好ましい。本発
明に用いられるポリマーはポリ乳酸及び乳酸成分にジカ
ルボン酸成分とジオール成分及び/またはポリエーテル
ポリオール成分からなるポリエステルを含む乳酸系ポリ
マーやその混合物であり、乳酸成分含有率が40重量%
以上のものである。
【0018】これらのジカルボン酸成分としては、特に
特定されないが、メチレン鎖長が2〜10のもの、例え
ばアジピン酸、セバシン酸、コハク酸等が挙げられる。
ジオール成分としては主鎖の炭素数が2〜6のもの、例
えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール等が挙げられる。
【0019】ポリエーテルポリオールとしては、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブ
チレングリコール等が挙げられる。これらの内でも特に
ジカルボン酸成分としてはアジピン酸、セバシン酸、ジ
オール成分としてはプロピレングリコール、ポリエーテ
ルポリオールとしてはポリプロピレングリコールを使用
することが好ましい。
【0020】乳酸系ポリマーの製造方法としては、公知
のラクタイドを用いるポリ乳酸の開環重合や乳酸からの
ポリ乳酸の直接重合による製法、またポリ乳酸重合時も
しくはポリ乳酸重合直後にジカルボン酸成分とジオール
成分から成るポリエステル、ポリエーテルポリオール成
分からなるポリエステルの一種以上を加え重合を更に進
めることにより得られる。
【0021】またこれら重合のどの段階でも良いが、多
価カルボン酸及び/またはその酸化無水物、多価イソシ
アネートを加えることにより、乳酸系ポリマーを更に高
分子量化することができる。多価カルボン酸としてはト
リメリット酸、ピロメリット酸、酸化無水物としては無
水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸
等であり、多価イソシアネートとしては2,4−トリレ
ンジイソシアネート、
【0022】2,4−トリレンジイソシアネートと2,
6−トリレンジイソシアネートの混合体、ジフェニルメ
タンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
−4,4’,4”−トリイソシアネート等がある。添加
量としては乳酸系ポリマーに対し0.01〜5重量%程
度加えればよく、通常30万程度までしか上がらない重
量平均分子量を60〜70万程度に上げることができ
る。
【0023】このポリマー重合時及び/または重合終了
後に、重合触媒の失活剤であるキレート剤、及び/又は
酸性リン酸エステル類を添加することにより、重合触媒
を失活させ、ポリマーの熱安定性、貯蔵安定性を向上さ
せることが出来る。これは後述する射出成形等によるパ
リソンの成形時に乳酸系ポリマー内の残留モノマーやオ
リゴマーが金型内に付着するのを抑え、パリソン、更に
はそのブロー成形容器の外観を損なわず良好なものとす
ることができる。
【0024】キレート剤はポリマー鎖の切断を最小に抑
えることができ、また、有機系キレート剤と無機系キレ
ート剤を混合して使用しても差し支えない。酸性リン酸
エステル類による安定性向上の機構としては、ポリヒド
ロキシカルボン酸と、ジカルボン酸成分とジオール成分
からなるポリエステル及び高分子量化剤から構成される
組成物中に含まれている触媒中の金属イオンと錯体を形
成し、その活性を消失させ、その組成物の熱安定性、貯
蔵安定性を大幅に改善させるものである。
【0025】使用されるキレート剤としては、有機系キ
レート剤と無機系キレート剤がある。有機系キレート剤
としては、特に、限定されないが、アミノ酸、フェノー
ル類、ヒドロキシカルボン酸、ジケトン類、アミン類、
オキシム、フェナントロリン類、ピリジン化合物、ジチ
オ化合物、配位原子としてN含有フェノール、配位原子
としてN含有カルボン酸、ジアゾ化合物、チオール類、
ポルフィリン類などが挙げられる。それらは、ヒドロキ
シカルボン酸系ポリエステル組成物中に含有される触媒
の金属イオンと錯体を形成して触媒活性を失わせるもの
である。無機系キレート剤は、吸湿性が高く、吸湿する
と効果がなくなるため取り扱いに注意が必要である。具
体的には、リン酸、亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸
などのリン酸類を挙げることができる。
【0026】キレート剤の有機系キレート剤あるいは無
機系キレート剤の添加量はその種類、ポリヒドロキシカ
ルボン酸や、ジカルボン酸成分及びジオール成分からな
るポリエステル中に含まれる触媒の種類、量によって異
なるが、ポリヒドロキシカルボン酸と、ジカルボン酸成
分及びジオール成分からなるポリエステルの合計量に対
して0.001重量部〜5重量部、あるいは、使用触媒
1重量部に対して0.1〜100重量部を添加すること
が好ましい。酸性リン酸エステル類としては、酸性リン
酸エステル、ホスホン酸エステル、アルキルホスホン酸
等及びその混合物を指すもので、その一般式を化1に示
す。
【0027】
【化1】
【0028】(式中、R1はアルキル基またはアルコキ
シル基、R2はアルキル基またはアルコキシル基または
ヒドロキシル基を表す。)
【0029】酸性リン酸エステル類では、とりわけ酸性
リン酸エステルが触媒失活に大きな効果を示す。酸性リ
ン酸エステル類の添加量は、その種類、使用触媒の種
類、混練条件によって異なるが、ポリヒドロキシカルボ
ン酸と、ジカルボン酸成分及びジオール成分からなるポ
リエステルの合計量に対して、0.001重量部〜5重
量部、あるいは、使用触媒1重量部に対して、0.1〜
100重量部を添加することが好ましい。これら失活剤
の添加は乳酸系ポリマー中の低分子量成分の発生を抑え
パリソンを作製する射出成形時等に低分子量成分による
金型内の汚れを防ぐのに有効である。
【0030】ポリマーの重合度は、通常重量平均分子量
10,000〜500,000の範囲であり、中でも強
度が高く成形加工性に優れる点から50,000〜30
0,000が更に好ましい。
【0031】本発明の乳酸系ポリマーは必要に応じて第
二、三成分として他のポリマーや可塑剤、安定剤、酸化
防止剤、着色剤等の添加剤を含んでも良い。ポリマーと
しては脂肪族ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポ
リヒドロキシブチレート−ヒドロキシバリレート、スタ
ーチ系ポリマー等を含んでも良く、添加剤としては1,
3−ブタンジオールとアジピン酸等のポリエステル系可
塑剤やフタル酸ジオクチル、ポリエチレングリコールア
ジピン酸等の可塑剤、エポキシ化大豆油、カルボジイミ
ドの様な安定剤、2,6−ジ−第三−ブチル−4−メチ
ルフェノール(BHT)、ブチル・ヒドロキシアニソー
ル(BHA)の様な酸化防止剤、酸化チタン、カーボン
ブラック、群青の様な着色剤等を含んでもかまわない。
【0032】次に本発明に係る容器の製造方法について
説明する。乳酸系ポリマーをボトルと呼ばれる液状物の
収納容器に成形するにはブロー成形法が用いられる。ブ
ロー成形法は熱可塑性の合成樹脂を押出し、または射出
成形によってチューブ状のパリソンと呼ばれる予備成形
物に成形し、これをブロー金型ではさんでそのブロー金
型内部でパリソンに空気を吹き込み、ふくらませて冷却
固化して容器を作製する方法である。
【0033】その方法にはパリソンの状態、方式により
分けられる。押出ブロー法はチューブ状のパリソンを押
出し、それを容器にふくらませる。射出ブロー法は射出
成形により密封型のパリソンを成形し、これをふくらま
せる。射出・押出ブロー法は容器ネック部分になるパリ
ソンの一部を射出成形し、これを冷却後、胴部を押出成
形しふくらませる。シートブロー法はスリットダイを使
用して2枚のシート状に押出して成形する。
【0034】コールドパリソン法はパリソンを再加熱し
て金型内でふくらませるが、これは次の特徴が上げられ
る。肉厚、重量、容積の均一性が良い。また、パリソン
成形とブロー成形が別工程にできることからパリソンの
連続成形が可能であり、射出成形機等内の樹脂の滞留時
間を短くでき、熱分解しやすい樹脂でも成形が可能にな
る。耐熱性、透明性に優れた乳酸系ポリマー容器を得る
にはパリソンを均一な温度に再加熱できるコールドパリ
ソン法が特に有効である。
【0035】乳酸系ポリマーのパリソンへの成形は押出
成形、射出成形または、射出・押出成形何れの方法でも
作製できるが、パリソンの形状を精密に決められ、製品
の品質を安定させられることから射出成形で作製するの
が望ましい。
【0036】ここでパリソンの成形条件について述べ
る。乳酸系ポリマーは吸湿性が高く、加水分解性も強い
為、水分管理が必要であり、一般的な単軸押出機を用い
て射出あるいは押出成形する場合には、成膜前にこのポ
リマーを真空乾燥器等により除湿乾燥する必要がある。
また、ベント式2軸押出機による場合は脱水効果が高く
乾燥工程を省略できるため効率的な成形が可能である。
乳酸系ポリマーの溶融成形温度は、特に制限されない
が、通常150〜300℃の範囲である。
【0037】次いでパリソンを使用し、金型内でブロー
成形を行うが、これにより結晶化速度が早められ、5〜
30秒程度の短い加熱処理時間で耐熱性を向上できる。
更に、これは配向による結晶化を伴うため、乳酸系ポリ
マーの良好な透明性を保持したまま耐熱性を向上でき
る。
【0038】このブロー成形は必要に応じて金型温度の
影響による熱収縮を抑えるためエアーサーキュレーショ
ンによるブロー・エアーの入れ替えを行っても良い。ま
た、場合によっては、ブロー成形以前に加熱によりパリ
ソンの口部を結晶化する事が熱安定性を向上させ、口部
よりブローするエアーの洩れが少なく、確実にブローさ
せる上で好ましい。
【0039】ブロー成形によりふくらませる倍率として
は、実際にふくらむパリソン部分のA(縦×横)寸法と
ブロー成形した容器のB(縦×横)寸法の倍率比B/A
で換算すると1.4〜16倍の範囲で容器外観、形状が
良好であるが2〜16倍の範囲が更に好ましい。
【0040】このブロー成形時のパリソン温度は、最終
的に容器の形状と透明性を良好に保つ為、乳酸系ポリマ
ーのガラス転移温度(Tg)から結晶化温度(Tc)未
満の温度範囲が好ましい。パリソンの温度が乳酸系ポリ
マーのガラス転移点(Tg)以下であれば、ブロー成形
時にパリソンは均一にふくらまず容器は良好な形状にな
らない。また、パリソンが乳酸系ポリマーの結晶化温度
(Tc)以上であれば容器は白濁し、加えてパリソンは
均一にふくらまず良好な形状にならない。特にガラス転
移温度(Tg)から40℃高い温度の範囲が好ましい
が、中でも乳酸系ポリマーのガラス転移温度(Tg)か
ら30℃高い温度範囲が特に好ましい。
【0041】本発明で言うガラス転移温度(Tg)、結
晶化温度(Tc)、融点(Tm)はJIS−K−712
1に規定されるTig、Tpc、Tpmであり、昇温速度は1
0℃/分で行い、測定されるものを意味する。
【0042】耐熱性を付与するために乳酸系ポリマーを
結晶化するが、その加熱処理方法としてブロー金型内で
の熱セット法を説明する。熱セットを行う場合、乳酸系
ポリマーの適正な結晶化速度を得るには加熱温度を乳酸
系ポリマーの結晶化温度(Tc)より50℃低い温度か
ら融点(Tm)未満の範囲とすることが好ましい。中で
も熱セット温度は容器の良好な耐熱性、形状及び外観を
得るために結晶化温度(Tc)より40℃低い温度から
融点(Tm)から10℃低い温度の範囲が特に好まし
い。
【0043】本発明で得られる乳酸系ポリマー容器は、
耐熱性、透明性が要求される飲料、薬品、化粧品各分野
の液状物を収納するのに特に好ましく用いられる。
【0044】
【実施例】本発明を実施例により詳細に説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。初めに本発明
に用いた乳酸系ポリマーの作製方法を示す。
【0045】(参考例1) 乳酸系ポリマーのP1作製 脂肪族系ポリエステル(重量平均分子量:7.0万(ポ
リスチレン換算)、セバシン酸50モル%、1,6−ヘ
キサンジオール25モル%、エチレングリコール25モ
ル%)3重量部にラクタイド(L−ラクタイド98モル
%、D−ラクタイド2モル%)97重量部とを加えて、
不活性ガスで雰囲気を置換し、170℃で1時間混合さ
せ、エステル化触媒としてオクタン酸錫を0.02部加
えて8時間反応を行った。この後、失活剤として酸性リ
ン酸エステル0.04重量部を加えた。得られた乳酸系
ポリマーは無色透明な樹脂で、重量平均分子量はGPC
の測定結果から20.3万、ガラス転移温度(Tg)は
60℃、結晶化温度(Tc)は120℃、融点(Tm)
は160℃であった。この樹脂をP1と称する。
【0046】(参考例2) 乳酸系ポリマーのP2作製 脂肪族系ポリエステル(重量平均分子量:3.5万(ポ
リスチレン換算)、セバシン酸50モル%、1,6−ヘ
キサンジオール50モル%)20重量部にラクタイド
(L−ラクタイド97モル%、D−ラクタイド3モル
%)80重量部とを加えて、不活性ガスで雰囲気を置換
し、170℃で1時間混合させ、エステル化触媒として
オクタン酸錫を0.02部加えて8時間反応を行った。
この後、失活剤として酸性リン酸エステル0.04重量
部を加えた。得られた乳酸系ポリマーは無色透明な樹脂
で、重量平均分子量はGPCの測定結果から11.3
万、ガラス転移温度(Tg)は49℃、結晶化温度(T
c)は93℃、融点(Tm)は162℃であった。この
樹脂をP2と称する。
【0047】(参考例) 乳酸系ポリマーのP作製 脂肪族系ポリエステル(重量平均分子量:3.2万(ポ
リスチレン換算)、セバシン酸50モル%、エチレング
リコール25モル%、プロピレングリコール25モル
%)30重量部にラクタイド(L−ラクタイド97モル
%、D−ラクタイド3モル%)70重量部とを加えて、
不活性ガスで雰囲気を置換し、170℃で1時間混合さ
せ、エステル化触媒としてオクタン酸錫を0.02部加
えて8時間反応を行った。この後、失活剤として酸性リ
ン酸エステル0.04重量部を加えた。得られた乳酸系
ポリマーは無色透明な樹脂で、重量平均分子量はGPC
の測定結果から8.8万、ガラス転移温度(Tg)は5
0℃、結晶化温度(Tc)は83℃、融点(Tm)は1
56℃であった。この樹脂をPと称する。
【0048】(参考例)乳酸系ポリマーのP作製 L−ラクタイド98モル%、D−ラクタイド2モル%を
不活性ガス雰囲気中、温度165℃の条件下で1時間撹
拌後、エステル化触媒としてオクタン酸錫を0.02部
加えて8時間反応を行った。この後、失活剤として酸性
リン酸エステル0.04重量部を加えた。得られた乳酸
系ポリマーは無色透明な樹脂で、重量平均分子量はGP
Cの測定結果から19.2万、ガラス転移温度(Tg)
は56℃、結晶化温度(Tc)は110℃、融点(T
m)は163℃であった。この樹脂をPと称する。
【0049】(参考例) 乳酸系ポリマーのP作製 脂肪族系ポリエステル(重量平均分子量:7.0万(ポ
リスチレン換算)、セバシン酸50モル%、1,6−ヘ
キサンジオール25モル%、エチレングリコール25モ
ル%)3重量部にラクタイド(L−ラクタイド98モル
%、D−ラクタイド2モル%)97重量部とを加えて、
不活性ガスで雰囲気を置換し、170℃で1時間混合さ
せ、エステル化触媒としてオクタン酸錫を0.02部加
えて8時間反応を行った。失活剤は加えなかった。得ら
れた乳酸系ポリマーは無色透明な樹脂で、重量平均分子
量はGPCの測定結果から20.3万、ガラス転移温度
(Tg)は60℃、結晶化温度(Tc)は120℃、融
点(Tm)は160℃であった。この樹脂をPと称す
る。
【0050】(実施例1〜11)表1及び表2に示す乳
酸系ポリマーを500mlビン用パリソンに射出成形し
た。この時、射出温度は250〜270℃。この後、パ
リソンを遠赤外線ヒーターで均一に加熱し、ブロー成形
機にて一般にボトルと呼ばれる液状用容器に成形した。
その倍率B/Aは6、ブロー圧は10kg/cm2であ
った。ブロー成形時のパリソン温度、金型温度、ブロー
時間を表1に示す。ブロー成形時のパリソン温度の測定
はサーモグラフ(JEOL社製サーモビューアー)を使
用した。
【0051】作製した容器の評価は次の様に行った。 (1)耐熱性評価 作製した容器に一定温度の温水を入れ、容器から水があ
ふれ出す温度を確認し、この時の温度を耐熱温度とし
た。 評価:60℃未満の耐熱性は×、60℃以上の耐熱性が
あれば○、70℃以上の耐熱性があれば◎と評価した。
【0052】(2)透明性評価 目視にて容器を通して見える視認性及び外観を評価し
た。 評価:容器の向こう側が明確に見える場合を○、向こう
側が殆ど見えない場合を×とした。
【0053】(3)外観性評価 目視にて外観を評価した。 評価:外観が平滑で良好な場合を○、外観に凹凸がある
か、付着物等で損なわれている場合を×。
【0054】(4)容器形状 目視にて容器が正常な形状を成しているかを確認した。 評価:容器に大きな変形、偏肉等がなく一定の形状を成
していれば○、変形、偏肉により容器として使用できな
いと判断されるものは×とした。
【0055】(5)生分解性評価 屋外コンポスト(容量100リットル)に生ゴミ5kg
を入れ、その上に得られた容器を生ゴミを詰めた状態で
横倒しに置いた。更に生ゴミを入れ、容器が隠れ、そこ
から5cm程度高く生ゴミが載るようにした。1ヶ月後
の容器の状態を目視により評価した。尚、この試験は夏
期に行っている。評価基準は次の通り。著しく物性の劣
化があり、形状の維持が難しいものは○。変形、白化は
あるが形状を維持していものは△。白化、変形等がなく
試験開始前の状態を維持しているものは×とした。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】(比較例1〜5)表3に示す乳酸系ポリマ
ーを500mlビン用パリソンに射出成形した。この
時、射出温度は250〜270℃。この後、パリソンを
遠赤外線ヒーターで均一に加熱し、ブロー成形機にて一
般にボトルと呼ばれる液状用容器に成形した。その倍率
B/Aは6、ブロー圧は10kg/cm2であった。ブ
ロー成形時のパリソン温度、金型温度、ブロー時間を表
3に示す。作製した容器の耐熱性、透明性、外観性、容
器形状及び生分解性の評価は実施例1〜11で使用した
ものと同様に行った。
【0060】その結果、比較例1ではパリソンが均一に
ふくらまず、一定の容器形状にできなかった。比較例2
では容器は良好な透明性が得られず、パリソンも均一に
ふくらまなかった。比較例3では良好な耐熱性は得られ
なかった。比較例4では良好な容器形状は得られなかっ
た。全ての比較例で、ブロー金型にモノマー等の低分子
量分が付着し、また容器にゴミのような成分が付着し外
観が損なわれた。また表1及び2に示すように、実施例
1〜11で作製した容器は、良好な耐熱性、透明性、容
器形状、外観性と生分解性を示した。
【0061】
【発明の効果】本発明は、一般にボトルと呼ばれている
液状物を収納する、生分解性、耐熱性、外観性、透明性
に優れた、乳酸系ポリマー容器、及びその製造方法を提
供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷 和樹 館林市加法師町12−47−706

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合触媒を失活剤により失活させた乳酸
    系ポリマーをブロー成形し、ブロー金型内で熱セットす
    ることを特徴とする乳酸系ポリマー容器の製造方法。
  2. 【請求項2】 重合触媒を失活剤により失活させた乳酸
    系ポリマーが、乳酸成分と、ジカルボン酸とジオールを
    脱水縮合したポリエステル構造単位および/又はジカル
    ボン酸とポリエーテルポリオールを脱水縮合したポリエ
    ーテル構造単位とから成ることを特徴とする請求項1に
    記載の乳酸系ポリマー容器の製造方法。
  3. 【請求項3】 ブロー成形時のパリソンの温度が、乳酸
    系ポリマーのガラス転移温度(Tg)から結晶化温度
    (Tc)未満であることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の乳酸系ポリマー容器の製造方法。
  4. 【請求項4】 ブロー成形時のブロー金型温度が、乳酸
    系ポリマーの結晶化温度(Tc)より50℃低い温度か
    ら融点未満の温度範囲である請求項1〜3のいずれか一
    つに記載の乳酸系ポリマー容器の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一つに記載の製
    造方法により製造された、耐熱性、透明性、外観性に優
    れる乳酸系ポリマー容器。
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