JPH10249669A - 工作機械用主軸への切削用流体供給装置 - Google Patents

工作機械用主軸への切削用流体供給装置

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JPH10249669A
JPH10249669A JP9057423A JP5742397A JPH10249669A JP H10249669 A JPH10249669 A JP H10249669A JP 9057423 A JP9057423 A JP 9057423A JP 5742397 A JP5742397 A JP 5742397A JP H10249669 A JPH10249669 A JP H10249669A
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cutting fluid
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spindle
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亨 高田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工後のワークに付着した油の洗浄を容易に
行うことが可能であり、また、回転継手の寿命を長くす
ることが可能な工作機械用主軸への切削用流体供給装置
を提供する。 【解決手段】 主軸装置20の先端部に取付けられた工
具29によってワーク44を切削加工する場合に、オイ
ルエア装置11により高圧空気に微少量のオイル17を
混入させて生成されたオイルエア18を回転継手21を
介して主軸装置20内部に供給し、主軸23内部のオイ
ルエア供給路34を介して工具29の先端部から吐出さ
せて、工具29及びワーク44の冷却及び潤滑を行う。
主軸23が高速で回転すると、回転継手21の動圧発生
溝36bを有するシール部材36が高速で回転して動圧
が発生し、シール部材41を有する従動リング39を上
方へ押し上げて、シール部材36と41とは非接触状態
となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、先端部に工具が装
着された主軸を回転駆動させて、ワークの加工を行う工
作機械用主軸への切削用流体供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この様な工作機械においては、ワークを
加工する際の潤滑及び切削屑の除去を目的とすると共
に、そのワークと工具との冷却をも目的として加工部分
周辺に切削油が供給されるようになっている。切削油を
供給する方式の一つに、回転継手を介して主軸の内部か
ら工具へと切削油を供給する様にしたものがある。
【0003】上記の工作機械用主軸の一例を図9に示
す。回転継手1は、主軸2aの後端側(図9においては
上方)に配置されている。回転継手1のハウジング3後
端部にねじ止め固定されているキャップ部4には、切削
油の供給口4aが設けられており、その供給口4aは、
キャップ部4の下部に突設された筒部4b内に形成され
た流体通路4cに通じるようになっている。
【0004】筒部4bの外周部には、コイルスプリング
5によって下方へ付勢される有底円筒状の従動リング6
があり、従動リング6の底面部には、その中心に流体通
路4cと同径の流通孔5aを有する継手板6bが設けら
れている。一方、主軸2aの後端部には、アタッチメン
ト7がねじ止め固定されており、そのアタッチメント7
には、継手板6bに対面接触した状態で流通孔6aに通
ずる流通孔7aを有した継手板7bが設けられている。
継手板6b及び7bは、例えばセラミックやカーバイト
などの材料で形成されており、所謂メカニカルシールと
して構成されている。
【0005】そして、切削油は、外部から供給口4aに
供給されると、流体通路4c,流通孔6a及び7aを介
して、主軸2aの軸心を貫通するように設けられた流体
通路2bを通り、主軸装置2の一端側に装着された図示
しない工具及びワークに対して供給されるようになって
いる。この様な回転継手1を用いることによって、固定
側から回転する主軸2aの流体通路2bに対して切削油
を漏れることなく供給することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな切削油は、加工時において比較的大量に使用される
ため、加工後のワークに付着した切削油を洗浄により除
去する作業がかなり面倒であった。また、高速で回転す
る工具により切削加工が行われることによって、切削油
が環境中に飛散してしまうという問題があった。
【0007】加えて、一般に、工具及びワークに対して
供給された切削油は、回収された後再び供給口4aに供
給されて循環するようになっている。従って、切削油は
切削加工により生じた切削屑を含んでいるため、もし循
環系からの漏れが生じると、主軸のベアリングなどを破
損してしまうおそれがある。
【0008】このため、回転継手1の継手板6b及び7
bは常に接触状態としなければならず、その状態で主軸
2aが高速で回転するため、継手板6b及び7bの接触
部は摩擦によって摩耗することが避けられず、回転継手
1の寿命に限界があるという問題も生じていた。
【0009】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、加工後のワークに付着した油の洗浄
を容易に行うことが可能な工作機械用主軸への切削用流
体供給装置を提供することにある。また、本発明の他の
目的は、回転継手の寿命を長くすることが可能な工作機
械用主軸への切削用流体供給装置を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の工作機械用主軸への切削用流体供給
装置は、回転駆動されるように設けられ先端部に工具が
装着される主軸と、この主軸の軸心を貫通するように設
けられ前記工具に切削用流体を供給するための流体通路
と、高圧空気に微少量の油を混入させた油混入空気を生
成してこの油混入空気を前記切削用流体として送出する
切削用流体送出装置と、前記主軸の後端部側に設けら
れ、前記切削用流体送出装置から送出された切削用流体
を受けると共にこの切削用流体を前記主軸の流体通路内
に供給する回転継手とを具備したことを特徴とする。
【0011】斯様に構成すれば、切削用流体の高圧空気
によって工具及びワークが冷却され、その高圧空気に微
少に混入されている油によって切削加工における潤滑作
用が生じる。そして、切削加工したワークに付着して残
留する油分は極めて僅かであるから、加工後のワークの
洗浄が極めて容易となり、また、環境中に飛散される油
分も僅かとなる。
【0012】この場合、請求項2に記載したように、前
記回転継手を、固定側に前記主軸と直交するように設け
られた固定側継手板と、前記主軸の他端面に前記固定側
継手板と対抗するように設けられた回転側継手板とを有
して、前記主軸が回転している状態では、前記固定側継
手板と前記回転側継手板とが非接触状態となるように構
成するのが好ましく、斯様に構成すれば、固定側継手板
と回転側継手板とは接触して摩耗することがないから、
回転継手の寿命を長期化することができる。
【0013】具体的には、請求項3に記載したように、
前記固定側継手板及び前記回転側継手板を同極性の永久
磁石によって構成すると良く、斯様に構成すれば、固定
側継手板と回転側継手板とは同極性の永久磁石間に生じ
る反発力によって非接触状態となるので、請求項2と同
様の効果が得られる。
【0014】また、請求項4に記載したように、前記回
転側継手板に、前記主軸の回転に伴って前記固定側継手
板と前記回転側継手板とを離間させるように作用する動
圧を発生する動圧発生溝を形成しても良い。斯様に構成
すれば、主軸が回転すると、その回転に伴って回転側継
手板が回転し、動圧発生溝によって固定側継手板と前記
回転側継手板とを離間させるように作用する動圧が発生
する。従って、請求項2と同様の効果が得られる。
【0015】請求項5に記載したように、前記回転継手
の固定側に、前記主軸の静止時に前記固定側継手板と前
記回転側継手板とを離間させるように前記固定側継手板
を支持する支持板を設けてもよく、斯様に構成した場合
でも、支持板によって主軸の静止時に固定側継手板と回
転側継手板とを離間させることができ、請求項2と同様
の効果が得られる。
【0016】請求項6に記載したように、前記固定側継
手板に、前記切削用流体が流出した時に前記固定側継手
板と前記回転側継手板とを離間させるように作用する圧
力を発生する切削用流体流出部を形成すると良く、斯様
に構成すれば、主軸の回転に伴って動圧が発生する以前
の状態においても、固定側継手板に形成された切削用流
体流出部から流出する切削用流体の圧力によって、固定
側継手板と回転側継手板とは離間されるように作用する
ので、請求項2と同様の効果が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施例につい
て図1乃至図3を参照して説明する。図1は、切削用流
体供給装置の構成を示す機能ブロック図及び主軸の構成
を概略的に示す軸方向断面図である。切削用流体送出装
置たるオイルエア装置11には、図示しない外部のコン
プレッサから高圧(数気圧程度)の圧縮空気が与えられ
て、その圧縮空気は内部のバルブ12及びミキシングバ
ルブ13に導入されるようになっている。
【0018】バルブ12は、制御装置14から与えられ
る制御信号に基づいて圧縮空気をポンプ15に送り出す
ようになっており、そのポンプ15は、圧縮空気が送り
込まれると動作して、オイル槽16内に満たされている
オイル(油)17を微少量吸い上げてミキシングバルブ
13に送出するようになっている。
【0019】ミキシングバルブ13は、圧縮空気とオイ
ル17とを混合してオイルエア(油混入空気,切削用流
体)18を生成し、そのオイルエア18を、供給管19
を介して主軸装置20の後端側(図1では上方)に配置
されている回転継手21に送出するようになっている。
【0020】ここで、オイルエア18は、例えば1分当
たり数10リットル程度の割合で流出する圧縮空気に対
して、オイル17が1時間当たり0.1〜1cc程度の
割合で混入されるものであり、オイルエア18における
オイル17の粒径は、0.1〜0.5mm程度となって
いる。
【0021】主軸装置20は、例えば、中空円筒状のハ
ウジング22内に、鉄系材料からなる主軸23とその主
軸23を回転駆動させる誘導モータ24とを内蔵するビ
ルトインタイプとして構成されているものである。主軸
23は、先端部分が他の部分に対して径大となる形状で
あり、その先端部分及び中間部分が玉軸受25及び26
によって、ハウジング22に対して回転自在に支承され
ている。尚、ハウジング22及び主軸23は、いずれも
鉄系材料で構成されている。
【0022】玉軸受25及び26によって支承されてい
る部分の略中間に位置する部位の主軸23側には、コア
27a及びかご形巻線(エンドリング)27bからなる
ロータ27が配設され、ハウジング22の内周部には、
コア27aと所定ギャップを以て対向するコア28a及
び巻線(コイルエンド)28bからなるステータ28が
配設されることにより、前述の誘導モータ24が構成さ
れている。
【0023】主軸23の先端側には、切削加工用の工具
29を把持するための工具ホルダ30が設けられてい
る。また、主軸23の内部には、工具ホルダ30によっ
て工具29を把持させるように動作する機構を構成する
プルスタッド31,ドローバー32及びドローバースプ
リング33等が配設されている。そして、これらの構成
要素には、主軸23の軸心を貫通するようにしてオイル
エア供給路(流体通路)34が設けられている。
【0024】工具29には、具体的には図示しないが、
軸方向中心部に工具ホルダ30のオイルエア供給路34
に連通するオイルエア供給路が設けられており、先端部
分に設けられた切削加工用刃部の付近には、そのオイル
エア供給路に繋がる吐出孔を有している。
【0025】図2は、主軸装置20の後端側に設けられ
ている回転継手21を中心とする部分を拡大して示すも
のである。主軸23の後端部には、回転継手21の一部
を構成するアタッチメント35がねじ止めにより取付け
固定されている。アタッチメント35は、セラミックな
どからなる円盤状のシール部材(回転側継手板)36を
有している。
【0026】図2におけるA−A′視を図3に示すよう
に、シール部材36は、その中心部にオイルエア供給孔
(オイルエア供給路34に通ずる)36aを有すると共
に、その中心側から周辺方向に向けて形成された複数の
動圧発生溝36bを有している。動圧発生溝36bは、
図3中に矢印で示すように主軸23が反時計方向に回転
した場合に、空気の流れが周辺部から回転の中心方向に
向かうように形成されている。
【0027】主軸装置20のハウジング22後端部に
は、中空の円筒部37aの基端部にフランジ37bを有
する回転継手21のハウジング37が、ねじ止めにより
取付け固定されている。フランジ37bの図2中左側に
は、後述するようにオイル18を回収するためのドレイ
ン孔37cが設けられている。円筒部37aの内周側に
おいて軸方向略中間に位置する部位には、ドーナツ形の
支持板38が配設されている。
【0028】支持板38の中空部には、基端部にフラン
ジ39aを有し且つ前記中空部よりも径小なる有底円筒
状の従動リング39が貫通するように配置されており、
従動リング39は、そのフランジ39aと支持板38と
に両端が固定されているコイルスプリング40によって
弾性支持されている。
【0029】従動リング39の底部は、シール部材36
と同材質のシール部材(固定側継手板)41が取付け固
定されており、シール部材41の中心部には、シール部
材36のオイルエア供給孔36aに通ずるオイルエア供
給孔41aが設けられている。尚、シール部材41は、
シール部材36に比して若干径小となっている。
【0030】ハウジング37の図2における上方にはキ
ャップ部42があり、そのキャップ部42は、中心部に
オイルエア供給孔42aを有すると共に、中心部から下
方へと伸びる筒部42bを有している。筒部42bの内
部は、オイルエア供給孔42aに通ずるオイルエア供給
路42cが形成されている。そして、キャップ部42
は、筒部42bが従動リング39の内部に挿入された状
態で、ハウジング37の上端部にねじ止め固定されてい
る。オイルエア供給孔42aには、図1に示すように供
給管19が接続されるようになっている。
【0031】以上の構成において、従動リング39は、
主軸23が回転していない状態で、シール部材36と4
1とが非接触となるようにコイルスプリング40によっ
て支持されている。また、主軸装置20の先端部にある
工具29の下方には、テーブル43の上に載置されて固
定されているワーク(被加工物)44がセットされてい
る。
【0032】次に、本実施例の作用について説明する。
先ず、オイルエア装置11からオイルエア18が、供給
管19を介して回転継手21へ供給される。すると、オ
イルエア18は、オイルエア供給孔42a,オイルエア
供給路42c,シール部材41のオイルエア供給孔41
a及びシール部材36のオイルエア供給孔36aを介し
て、主軸23のオイルエア供給路34へと送出され、更
に工具29の内部を介してその先端部から外部のワーク
44へ吐出される。この場合、オイルエア18が供給さ
れる圧力によって従動リング39が下方へ付勢され、シ
ール部材41はシール部材36に近付く方向に変位す
る。
【0033】次に、主軸装置20に内蔵されている誘導
モータ24に通電が行われると、主軸23が回転駆動さ
れる。そして、主軸23の回転数がワーク44の切削加
工を行う定常回転数に達する高速回転領域においては、
それに伴って動圧発生溝36bを有するシール部材36
も高速で回転することにより、周辺部から回転の中心方
向に向かう空気流による動圧が発生する。
【0034】すると、その動圧によって従動リング39
は上方へ押し上げられるので、シール部材36と41と
は非接触状態を維持するようになる。この時、両者の間
隔は、例えば数μm程度のごく僅かなものとなるように
コイルスプリング40の付勢力を調整する。
【0035】そして、主軸装置20は、図示しない駆動
機構により図1中下方へと移動され、高速で回転してい
る工具29によってワーク44を切削加工する。この
時、工具29の先端部から吐出されるオイルエア18の
高圧空気により工具29及びワーク44は冷却されると
共に、ワーク44の切削屑が周辺部に飛ばされる。ま
た、オイルエア18に含まれている粒子状のオイル17
によって、切削加工における潤滑作用が生じる。
【0036】この様に、オイルエア装置11からオイル
エア18が主軸装置20へと供給されて工具29による
ワーク44の切削加工が行われている状態では、上述の
ように、回転継手21のシール部材36と41とは非接
触状態にあり、オイルエア18は両者の隙間よりハウジ
ング37内部へと若干量漏出して、ドレイン孔37cか
ら回収される。
【0037】しかしながら、オイルエア18内に含まれ
ているオイル17の量は極めて微量であり、従来のよう
に、使用した切削液を再利用するような循環系を構成す
る必要はなく、常にオイル槽16より新しいオイル17
が供給されるように構成されている。従って、オイルエ
ア装置11から供給されるオイルエア18は切削屑など
を含んでおらず、シール部材36と41との隙間よりハ
ウジング37内部または万一主軸装置20のハウジング
22内部へ漏出したとしても、軸受25及び26などを
破損するおそれはない。
【0038】以上のように本実施例によれば、主軸装置
20の先端部に取付けられた工具29によってワーク4
4を切削加工する場合に、オイルエア装置11により高
圧空気に微少量のオイル17を混入させて生成されたオ
イルエア18を回転継手21を介して主軸装置20内部
に供給し、主軸23内部のオイルエア供給路34を介し
て工具29の先端部から吐出させて、工具29及びワー
ク44の冷却及び潤滑を行うようにした。
【0039】従って、従来のように油性の切削液を大量
に使用する場合に比して、加工後のワークに付着したオ
イル17を洗浄して除去する処理が極めて容易となる。
また、環境中に飛散するオイル17も極僅かとすること
ができる。
【0040】更に、本実施例によれば、主軸23が高速
で回転する場合には、回転継手21の動圧発生溝36b
を有するシール部材36が高速で回転して動圧を発生さ
せ、シール部材41を有する従動リング39を上方へ押
し上げて、シール部材36と41とは非接触状態となる
ようにした。
【0041】即ち、オイルエア18に含まれるオイル1
7の量が極僅かであり回収して再使用する必要がないこ
とから、オイル17には切削屑が含まれておらず、シー
ル部材36と41とが非接触状態となった隙間よりオイ
ルエア18が若干漏出しても、主軸装置20の機構に悪
影響を与えるおそれがない。
【0042】従って、主軸23にはシール部材36と4
1とを非接触状態としたままでオイルエア18を供給す
ることが可能となり、シール部材36及び41が回転の
摩擦によって摩耗するのを抑制することができ、回転継
手21の寿命を長期化することができる。また、漏出し
たオイルエア18をドレイン孔37から回収せずとも、
環境に与える影響は殆どない。
【0043】図4は本発明の第2実施例を示すものであ
り、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を
省略し、以下異なる部分について説明する。第2実施例
では、第1実施例のシール部材36及びシール部材41
に代えて、シール部材(回転側継手板)45及びシール
部材(固定側継手板)46が設けられ、回転継手47が
構成されている。
【0044】これらのシール部材45及び46は、同じ
極性の永久磁石で構成されており、両者の直径は同じ寸
法となっている。そして、シール部材45と46とは、
同極性の永久磁石の磁力による反発力とコイルスプリン
グ40の付勢力とがバランスして、両者の間には数μm
程度の隙間ができるように調整されている。また、シー
ル部材45及び46の中心部には、シール部材36及び
41と同様にオイルエア供給孔45a及び46aが形成
されている。その他の構成は第1実施例と同様である。
【0045】斯様に構成された第2実施例によれば、シ
ール部材45と46との間を永久磁石の磁力による反発
力で非接触状態としたので、両者が接触して摩耗するこ
とがなく、第1実施例と同様に回転継手47の寿命を長
期化することができる。
【0046】図5乃至図7は本発明の第3実施例を示す
ものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付し
て説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第
3実施例では、第1実施例のシール部材36及びシール
部材41に代えてシール部材(回転側継手板)48及び
シール部材(固定側継手板)49が設けられていると共
に、従動リング39に代えて従動リング50が設けられ
て、回転継手51が構成されている。
【0047】図6は、図5におけるA−A′視を示すも
のである。この図6において、シール部材49には、中
心部にオイルエア供給孔49aが形成されていると共
に、周辺部の4か所に流体流出孔(切削用流体流出部)
49bが設けられており、その流体流出孔49bの周囲
には、流体流出孔49bの径と同じ幅を有する円弧状の
静圧絞り溝49cが形成されている。
【0048】これらの流体流出孔49bは、図5に示す
ように、従動リング50に設けられた静圧供給路50a
に連通するようになっており、キャップ部42のオイル
エア供給路42cに供給されるオイルエア18の一部
が、図5中下方、即ちシール部材48へ向けて流出する
ようになっている。
【0049】また、図7は、図5におけるB−B′視を
示すものである。この図7において、シール部材48に
は、やはり中心部にオイルエア供給孔48aが形成され
ていると共に、第1実施例におけるシール部材36と同
様の作用目的で複数の動圧発生溝48bが形成されてい
る。
【0050】ここで、シール部材36に比較して、動圧
発生溝48bは、より中心部のオイルエア供給孔48a
に近い部位に形成されている。これは、シール部材48
の周辺部には、シール部材49の流体流出孔49bから
流出するオイルエア18が当たるようになっており、そ
れを避けるようにして動圧発生溝48bを設けているた
めである。その他の構成は第1実施例と同様である。
【0051】次に、第3実施例の作用について説明す
る。第1実施例と同様に、オイルエア装置11からオイ
ルエア18が供給管19を介して回転継手51へ供給さ
れると、オイルエア18は、キャップ部42のオイルエ
ア供給路42cからシール部材49のオイルエア供給孔
49aに供給される。この経路のオイルエア18は、シ
ール部材48のオイルエア供給孔48aを介して主軸2
3のオイルエア供給路34へと至って、第1実施例と同
様に作用する。
【0052】それと同時に、オイルエア18は、従動リ
ング50の静圧供給路50aを介して流体流出孔49b
から流出しシール部材48にぶつかり、その流出圧力が
シール部材48及び49間に作用することによって、両
者は離間した状態となる。即ち、主軸23が停止状態の
場合は、上記流出圧力(静圧)によってシール部材48
と49とは非接触状態となる。尚、静圧絞り溝49c
は、流体流出孔49bから流出するオイルエア18が拡
散して圧力が低下しないように作用する。
【0053】そして、主軸23が高速で回転すると、そ
れに伴ってシール部材48も回転することにより上記静
圧は相対的に弱まるが、シール部材48の動圧発生溝4
8bによって第1実施例と同様に動圧が発生することに
より、シール部材48と49とはそのまま非接触の状態
を維持する。
【0054】以上のように第3実施例によれば、シール
部材49に流体流出孔49bを設け、主軸23が停止状
態の場合は、流体流出孔49bから流出するオイルエア
18がシール部材48にぶつかる圧力によって、シール
部材48と49とが非接触状態となるようにした。従っ
て、第1実施例と同様の効果が得られる。
【0055】図8は本発明の第4実施例を示すものであ
り、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を
省略し、以下異なる部分について説明する。第4実施例
では、主軸装置20のハウジング22の後端側に相当す
る部分が、アルミからなる支持部材52として別体で構
成されており、その支持部材52は、先端側のハウジン
グ22aにねじ止めにより取付け固定されている。そし
て、ハウジング22aと支持部材52とを合わせたもの
が、第1実施例のハウジング22に対応して設けられて
いる。
【0056】回転継手53の外部筐体は、ハウジング5
4及びキャップ部55で構成されている。ハウジング5
4は、図8中左側に、ハウジング37と同様のドレイン
孔54aが設けられており、ねじ止めによって支持部材
52に取付け固定されている。ハウジング54とキャッ
プ部55との間には、例えばステンレスからなり僅かに
弾性を有する支持板56が配設されている。支持板56
は、中央部に取付け孔56aを有しており、その取付け
孔56aに密着状態で嵌合されるシール部材(固定側継
手板)57を支持するものである。
【0057】シール部材57は、中央部にオイルエア供
給孔57aを有しており、対向する回転側継手板たるシ
ール部材36′(第1実施例のシール部材36と同様の
構成で、径がシール部材57に等しい)とは、主軸23
が停止している状態において両者が僅かに離間するよう
に、支持板56によって支持されている。
【0058】キャップ部55は、第1実施例におけるキ
ャップ部42のような筒部42bを有しておらず、オイ
ルエア供給孔55aとそれに続く短いオイルエア供給路
55bとを有している。そして、キャップ部55は、前
述のように支持板56を介してねじ止めによりハウジン
グ54に取付け固定されている。その他の構成は第1実
施例と同様である。
【0059】次に、第4実施例の作用について説明す
る。第1実施例と同様に、オイルエア装置11からオイ
ルエア18が供給管19を介して回転継手53へ供給さ
れると、オイルエア18は、キャップ部55のオイルエ
ア供給路55bからシール部材57のオイルエア供給孔
57aに供給される。この時、オイルエア18の供給圧
力によって、支持板56は図8中下方へと僅かに弾性変
形するので、シール部材57はシール部材36′に接近
して接触する方向へ変位する。
【0060】そして、主軸23が高速で回転すると、シ
ール部材36′も回転することにより動圧が発生して、
シール部材57を上方へ押し上げるように作用するの
で、シール部材57と36′とは非接触の状態を維持す
る。
【0061】また、この場合、主軸23が高速で回転す
ることにより熱膨張して、その後端側が伸びて回転側の
シール部材36′が固定側のシール部材57に接近する
ように作用することが考えられる。しかし、回転継手5
3は、主軸23を構成する鉄よりも線膨脹係数の大なる
アルミからなる支持部材52によって支持されている。
従って、(主軸23の温度)>(支持部材52の温度)
であっても、線膨脹係数の大小関係は逆であるから、両
者の熱膨張による伸びを同程度として、シール部材3
6′と57との距離関係を略一定に保つことが可能とな
る。
【0062】以上のように第4実施例によれば、固定側
のシール部材57を弾性を有する支持板56によって支
持したので、第1実施例と同様に回転側のシール部材3
6′と固定側のシール部材57とを非接触状態にするこ
とができる。
【0063】また、第4実施例によれば、回転継手53
を、主軸23を構成する鉄よりも線膨脹係数の大なるア
ルミからなる支持部材52によって支持したので、高速
回転することにより主軸23が熱膨張した場合でも、よ
り低い温度なっている支持部材52の熱膨張による伸び
が主軸23と同程度となって、シール部材36′と57
との距離関係を略一定に保ち、両者を非接触状態に維持
することができる。
【0064】本発明は上記し且つ図面に記載した実施例
にのみ限定されるものではなく、次のような変形または
拡張が可能である。油混入空気は、所謂オイルミストと
称される、よりオイルの粒径が細かいものであっても良
い。第1乃至第3実施例においても、回転継手をアルミ
からなる支持部材52によって支持しても良い。回転継
手21,47,51,53に代えて、回転継手1を用い
ても良い。
【0065】第1実施例において、主軸23が回転して
いない状態や定常回転数に達する以前の低速回転領域に
おいては、シール部材36と41とが接触する状態にし
ておき、主軸23が高速回転領域に達した場合にだけ、
発生した動圧で両者が非接触状態となるようにしても良
い。この様な場合であっても、従来に比してシール部材
36及び41の摩耗を低減し、回転継手21の寿命を長
期化する効果を得ることは可能である。また、オイルエ
ア18の供給圧力が加わった場合でもシール部材36と
41とが非接触状態となるように、コイルスプリング4
0による従動リング39の支持状態を調整すれば、シー
ル部材36に動圧発生溝36bを設ける必要はない。同
様に、第3及び第4実施例においても、回転側継手板で
あるシール部材48及び36′に形成されている動圧発
生溝48b及び36bは、必要に応じて設ければ良い。
【0066】
【発明の効果】本発明は以上説明した通りであるので、
以下の効果を奏する。請求項1記載の工作機械用主軸へ
の切削用流体供給装置によれば、高圧空気に微少量の油
を混入させた油混入空気を生成してこの油混入空気を切
削用流体として主軸に供給するので、切削用流体の高圧
空気によって工具及びワークが冷却され、その高圧空気
に微少に混入されている油によって切削加工における潤
滑作用が生じる。そして、切削加工したワークに付着し
て残留する油分は極めて僅かであるから、加工後のワー
クの洗浄が極めて容易となり、また、環境中に飛散され
る油分も僅かとすることができる。
【0067】請求項2記載の工作機械用主軸への切削用
流体供給装置によれば、主軸が回転している状態で固定
側継手板と回転側継手板とが非接触状態となるので、固
定側継手板と回転側継手板とは接触して摩耗することが
なく、回転継手の寿命を長期化することができる。
【0068】請求項3記載の工作機械用主軸への切削用
流体供給装置によれば、固定側継手板及び回転側継手板
を同極性の永久磁石で構成したので、両者は同極性の永
久磁石間に生じる反発力によって非接触状態となるの
で、請求項2と同様の効果が得られる。
【0069】請求項4記載の工作機械用主軸への切削用
流体供給装置によれば、主軸が回転すると、その回転に
伴って回転側継手板が回転し、動圧発生溝によって固定
側継手板と前記回転側継手板とを離間させるように作用
する動圧が発生するので、請求項2と同様の効果が得ら
れる。
【0070】請求項5記載の工作機械用主軸への切削用
流体供給装置によれば、回転継手の固定側に、主軸の静
止時に固定側継手板と回転側継手板とを離間させるよう
に固定側継手板を支持する支持板を設けたので、主軸の
回転に伴って動圧が発生する以前の状態では、固定側継
手板と回転側継手板とは支持板によって非接触状態とな
り、請求項2と同様の効果が得られる。
【0071】請求項6記載の工作機械用主軸への切削用
流体供給装置によれば、主軸の回転に伴って動圧が発生
する以前の状態では、固定側継手板に形成された切削用
流体流出部から流出する切削用流体の圧力によって固定
側継手板と回転側継手板とは離間されるように作用する
ので、請求項2と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す工作機械の主軸の軸
方向断面図及び切削用流体供給装置の構成を示す機能ブ
ロック図
【図2】図1の回転継手部分を拡大して示す図
【図3】図2におけるA−A′視を示す図
【図4】本発明の第2実施例を示す図2相当図
【図5】本発明の第3実施例を示す図2相当図
【図6】図5におけるA−A′視を示す図
【図7】図5におけるB−B′視を示す図
【図8】本発明の第4実施例を示す図2相当図
【図9】従来技術を示す図2相当図
【符号の説明】
11はオイルエア装置(切削用流体送出装置)、17は
オイル(油)、18はオイルエア(油混入空気,切削用
流体)、21は回転継手、23は主軸、29は工具、3
4はオイルエア供給路(流体通路)、36及び36′は
シール部材(回転側継手板)、36bは動圧発生溝、4
1はシール部材(固定側継手板)、45はシール部材
(回転側継手板)、46はシール部材(固定側継手
板)、47は回転継手、48はシール部材(回転側継手
板)、48bは動圧発生溝、49はシール部材(固定側
継手板)、49bは流体流出孔(切削用流体流出部)、
51は回転継手、52は支持部材、53は回転継手、5
6は支持板、57はシール部材(固定側継手板)を示
す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転駆動されるように設けられ先端部に
    工具が装着される主軸と、 この主軸の軸心を貫通するように設けられ前記工具に切
    削用流体を供給するための流体通路と、 高圧空気に微少量の油を混入させた油混入空気を生成し
    てこの油混入空気を前記切削用流体として送出する切削
    用流体送出装置と、 前記主軸の後端部側に設けられ、前記切削用流体送出装
    置から送出された切削用流体を受けると共にこの切削用
    流体を前記主軸の流体通路内に供給する回転継手とを具
    備したことを特徴とする工作機械用主軸への切削用流体
    供給装置。
  2. 【請求項2】 前記回転継手は、固定側に前記主軸と直
    交するように設けられた固定側継手板と、前記主軸の他
    端面に前記固定側継手板と対抗するように設けられた回
    転側継手板とを有し、前記主軸が回転している状態で
    は、前記固定側継手板と前記回転側継手板とが非接触状
    態となるように構成されていることを特徴とする請求項
    1記載の工作機械用主軸への切削用流体供給装置。
  3. 【請求項3】 前記固定側継手板及び前記回転側継手板
    を、同極性の永久磁石によって構成したことを特徴とす
    る請求項2記載の工作機械用主軸への切削用流体供給装
    置。
  4. 【請求項4】 前記回転側継手板に、前記主軸の回転に
    伴って前記固定側継手板と前記回転側継手板とを離間さ
    せるように作用する動圧を発生する動圧発生溝を形成し
    たことを特徴とする請求項2記載の工作機械用主軸への
    切削用流体供給装置。
  5. 【請求項5】 前記回転継手の固定側に、前記主軸の静
    止時に前記固定側継手板と前記回転側継手板とを離間さ
    せるように前記固定側継手板を支持する支持板を設けた
    ことを特徴とする請求項2または4記載の工作機械用主
    軸への切削用流体供給装置。
  6. 【請求項6】 前記固定側継手板に、前記切削用流体が
    流出した時に前記固定側継手板と前記回転側継手板とを
    離間させるように作用する圧力を発生する切削用流体流
    出部を形成したことを特徴とする請求項2または4記載
    の工作機械用主軸への切削用流体供給装置。
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