JPH10248560A - 固定化酵素及びトレハロースの製造方法 - Google Patents

固定化酵素及びトレハロースの製造方法

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JPH10248560A
JPH10248560A JP9057341A JP5734197A JPH10248560A JP H10248560 A JPH10248560 A JP H10248560A JP 9057341 A JP9057341 A JP 9057341A JP 5734197 A JP5734197 A JP 5734197A JP H10248560 A JPH10248560 A JP H10248560A
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trehalose
maltose
phosphorylase
immobilized enzyme
exchange resin
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Nobuyuki Nakamura
信之 中村
Masahiro Yoshida
雅浩 吉田
Masayasu Takada
正保 高田
Takahiro Ide
貴啓 井出
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Japan Maize Products Co Ltd
Nihon Shokuhin Kako Co Ltd
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Japan Maize Products Co Ltd
Nihon Shokuhin Kako Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酵素反応中の微生物汚染による副次的生物反
応を抑制出来る高温でのトレハロースの製造に使用可能
な酵素とこの酵素を利用するトレハロースの製造方法を
提供すること。 【解決手段】 マルトースホスホリラーゼ及びトレハロ
ースホスホリラーゼをイオン交換樹脂、例えば、フェノ
ール系陰イオン交換樹脂に吸着させた固定化酵素であっ
て、pH7、60℃で60分間の加熱後に未加熱処理酵
素組成物に対して90%以上のトレハロース生成活性を
有する固定化酵素。この固定化酵素を無機燐酸および/
または無機燐酸塩の存在下、少なくともマルトースを含
む溶液に接触させるトレハロースの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマルトースホスホリ
ラーゼ及びトレハロースホスホリラーゼをイオン交換樹
脂に固定化した固定化酵素組成物、およびこの固定化酵
素組成物を用いるトレハロース(O−α−D−glucopyr
anosyl−(1→1)−D−glucopyranoside)の新規な製
造方法に関する。さらに詳しくは、フェノールを基本骨
格とする親水性の陰イオン交換樹脂に吸着させて耐熱性
を強化した固定化マルトースホスホリラーゼと固定化ト
レハロースホスホリラーゼの組成物、およびこの固定化
酵素組成物を無機燐酸および/または無機燐酸塩の存在
下でマルトースを含有する溶液に作用させるトレハロー
スの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トレハロースは、凍結あるいは乾燥時に
細胞や酵素などの蛋白質などの細胞内外物質を保護安定
化する作用を有しており、医薬、化粧品、食品などの保
存、安定化剤としての役割が期待されている物質である
為、工業的に本物資を生産する為の多くの試みがなされ
てきた。これらの技術は大別して三つに分類する事が出
来る。その一つはトレハロースを菌体内に蓄積する性質
を有する微生物から該物質を抽出精製する方法である
[ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエテ
ー(J.Am.Chem.Soc.)72巻、2059頁、1950年、
ドイツ特許第266584号、特開平3−130084
号、特開平5−91890号、特開平5−184353
号、特開平5−292986号] 。この方法は、微生物
の培養工程、微生物の分離工程、微生物からのトレハロ
ースの抽出工程、抽出したトレハロースの精製結晶化工
程から構成されており製造工程が煩雑である。しかも、
トレハロースの生産性も他の方法に比較して低いばかり
でなく、再利用が困難な多量の微生物抽出残差が廃棄物
として発生する事から経済的に効率の良い方法とは言え
なかった。
【0003】また、他の方法として、トレハロースを菌
体内(培地中)に生産する微生物が検索され、ブレビバ
クテリウム(Brevibacterium) 属やコリネバクテリウム
(Corynebacterium) 属等の微生物を培養してトレハロー
スを菌対外に生産させる発酵法が開発されている(特開
平5−211882号)。しかしながら、本方法におい
てもトレハロースの培地中への蓄積率は約3%(w/
v)程度と低収率である事から工業的規模でトレハロー
スを大量生産する為には大容量の発酵槽とそれに見合う
精製設備が必要であり経済的に問題がある。しかも、本
方法においても精製したトレハロースを得る為には除菌
操作が必要とされるばかりでなく、培養時に使用菌株が
生産するトレハロース以外の夾雑物あるいは培地成分等
の除去に煩雑な工程を必要としている。
【0004】一方、これらの発酵法の種々の問題点を一
挙に解決する方法として酵素法がすでに開発されてい
る。これには、微生物由来のマルトースホスホリラーゼ
(Maltose:orthophosphate β-D-glucosyltransferas
e) と藻類由来のトレハロースホスホリラーゼ(Treharos
e:orthophosphate β-D-glucosyltransferase) を無機
燐酸塩存在下でマルトースに作用させてトレハロースを
得る方法 (特許第1513517号、Agric.Biol.Che
m., 49巻、2113頁、1985年)、および細菌由
来のシュークローズホスホリラーゼ(Sucrose:orthopho
sphate α-D-glucosyltransferase) と担子菌由来のト
レハロースホスホリラーゼ(Trehalose:orthophosphate
α-glucosyltransferase) を無機燐酸塩とグルコース
イソメラーゼの存在下で蔗糖に作用させてトレハロース
を得る方法(平成6年度日本農芸化学会大会講演要旨
集、3Ra14)とが報告されている。さらには特開平
6−189779号に記載されているように、α−グル
コース 1−燐酸塩とグルコースの混合物に担子菌由来
のトレハロースホスホリラーゼを作用させてトレハロー
スを得る方法等が報告されている。
【0005】これらの方法によれば、マルトースあるい
は蔗糖から60〜70%の高い収率でトレハロースが得
られると報告されている。さらに、この方法は使用する
原料が高度に精製された高純度の糖質である事から、酸
素反応により得られるトレハロースの精製も容易であ
り、他の方法に比較して工業的に有利な方法と考えられ
ている。
【0006】しかしながら、これらの方法において使用
される酵素、特にトレハロースホスホリラーゼの供給源
はユーグレナやマイタケなどのように藻類や担子菌であ
り、これらから酵素を生産するためには経済的な問題ば
かりでなく技術的にも困難な点があった。しかも、得ら
れるトレハロースホスホリラーゼやこれに組み合わせて
用いられるシュークロースホスホリラーゼやマルトース
ホスホリラーゼはそれぞれの酵素の至適pH領域が大き
く異なるために組み合わせて使用する際のpH管理が非
常に困難である。そればかりではなく、これらの酵素
は、温度に対する安定性も非常に低く、トレハロースの
生成反応は25〜37℃程度の低温下でしか行えなかっ
た。この事は開放型の反応槽を用いて行われる酵素反応
時に雑菌汚染が起こることを示唆しており、これによる
副次的な反応を防止するために厳密な衛生管理を必要と
する等の欠点を有している。さらに、これらの酵素の有
する基質濃度依存性の為に高濃度の原料が使用出来なか
った。この為、これらの方法も経済的に効率の良い方法
とは言えなかった。
【0007】また、これらの問題点を解決する為に耐熱
性の酵素の検索が行われた結果、特開平8−13116
6号に記載されているように高温での酵素反応が可能な
トレハロースホスホリラーゼが新たに見いだされた。し
かし、併用されるマルトースホスホリラーゼが従来既知
の耐熱性の低い酵素であった為に高温での併用は不可能
であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
上記方法の欠点を克服すべく製造および精製が容易で高
い温度安定性を有し、しかも、基質濃度依存性の低いマ
ルトースホスホリラーゼおよびトレハロースホスホリラ
ーゼを新たに検索した(特開平8−131157号、特
開平8−131182号)。そして、これらの酵素をト
レハロースの工業生産に既に使用している。しかし、こ
れらの酵素を用いても反応中の微生物汚染に起因するp
H低下などの副次的な生物反応を完全に抑制する事は困
難であった。
【0009】また、これらの方法とは異なる観点から新
規酵素の検索が行われ、澱粉部分加水分解物の還元性末
端をトレハロース構造に変換するトレハロース合成酵素
および還元末端にトレハロース構造を有する非還元性の
糖質からトレハロースを遊離するトレハロース切り出し
酵素が見いだされトレハロースの工業生産に既に使用さ
れている(特開平7−143876号、特開平7−21
3283号、特開平7−349216号)。本方法によ
れば、これら二種の酵素とイソアミラーゼやプルラナー
ゼ等の澱粉枝切り酵素とを併用して澱粉液化液に作用さ
せる事により高収率でトレハロースが得られるとの事で
ある。しかし、使用される酵素の耐熱性が低い為にpH
低下などの酵素反応中の微生物汚染による副次的な生物
反応の抑制は困難であると予想される。
【0010】そこで、本発明の目的は、酵素反応中の微
生物汚染による副次的生物反応を抑制出来る高温でのト
レハロースの製造に使用可能な酵素を提供することにあ
る。より詳しくは、高温下、例えば、40℃以上、好ま
しくは50℃以上でも活性を維持できるように熱安定化
させたマルトースホスホリラーゼ及びトレハロースホス
ホリラーゼを提供することにある。さらに本発明の目的
は、酵素反応中の微生物汚染による副次的生物反応を抑
制しつつトレハロースを製造できる方法を提供すること
にある。加えて本発明の目的は、トレハロースを結晶と
して得た後に得られる分蜜液の再利用が可能なトレハロ
ースの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、工業的に
使用する為のマルトースホスホリラーゼおよびトレハロ
ースホスホリラーゼの具備すべき諸性質を改変すべく鋭
意検討した。その結果、以下の本発明に到達した。
【0012】本発明は、マルトースホスホリラーゼ及び
トレハロースホスホリラーゼをイオン交換樹脂に吸着さ
せた固定化酵素であって、pH7、60℃で60分間の
加熱後に未加熱処理酵素組成物に対して90%以上のト
レハロース生成活性を有することを特徴とする固定化酵
素に関する。さらに好ましくは本発明は、マルトースホ
スホリラーゼ及びトレハロースホスホリラーゼをフェノ
ール系陰イオン交換樹脂に吸着させたことを特徴とする
固定化酵素に関する。加えて本発明は、上記固定化酵素
を無機燐酸および/または無機燐酸塩の存在下、少なく
ともマルトースを含む溶液に接触させる特徴とするトレ
ハロースの製造方法に関する。
【0013】
【発明の実施の態様】本発明の固定化酵素は、マルトー
スホスホリラーゼ及びトレハロースホスホリラーゼをイ
オン交換樹脂に吸着させた固定化酵素である。マルトー
スホスホリラーゼ及びトレハロースホスホリラーゼは、
プレシオモナス(Plesiomonas)属SH−35株(生命研
条寄第5144号)由来の酵素であることが好ましい。
さらに本発明の固定化酵素は、pH7、60℃で60分
間の加熱後に未加熱処理酵素組成物に対して90%以上
のトレハロース生成活性を有する熱安定化された固定化
酵素である。例えば、上記SH−35株由来の酵素でマ
ルトースホスホリラーゼ及びトレハロースホスホリラー
ゼをフェノール系陰イオン交換樹脂に吸着させて固定化
した酵素は、上記熱安定性を有する。
【0014】上記フェノール系陰イオン交換樹脂として
は、例えば、フェノール・ホルマリン縮合重合体または
フェノール・ホルマリン・ポリアミン化合物縮合重合体
であって、かつ3級アミンを官能基として有する弱塩基
性を有する陰イオン交換樹脂を挙げることができる。上
記フェノール・ホルマリン縮合重合体及びフェノール・
ホルマリン・ポリアミン化合物縮合重合体は、フェノー
ル及びホルマリン、またはフェノール、ホルマリン及び
ポリアミン化合物を主成分として含むもであり、酵素に
対する吸着性や熱安定性等を阻害しない範囲であれば、
これらの成分以外の重合成分を含むものであってもよ
い。また、イオン交換樹脂の粒子径、粒度分布、比表面
積、細孔容積、ポア径、塩基性の程度等も適宜決定でき
る。
【0015】イオン交換樹脂へのマルトースホスホリラ
ーゼ及びトレハロースホスホリラーゼの吸着量は、加燐
酸分解反応でのマルトースホスホリラーゼ(A)とトレ
ハロースホスホリラーゼ(B)との活性の組成比(A/
B)が、例えば、0.25〜2の範囲となるように選択
することが、高いトレハロース生成速度が得られるとい
う観点から好ましい。
【0016】本発明の固定化酵素は、イオン交換樹脂の
少なくとも一部または全部の粒子にマルトースホスホリ
ラーゼ及びトレハロースホスホリラーゼの両方が吸着し
たものであることができる。または、マルトースホスホ
リラーゼを吸着したイオン交換樹脂粒子とトレハロース
ホスホリラーゼを吸着したイオン交換樹脂粒子の混合物
であることもできる。
【0017】前者の固定化酵素は、マルトースホスホリ
ラーゼ及びトレハロースホスホリラーゼを独立に(順
次)または一緒にイオン交換樹脂と接触させることで製
造することができる。また、後者の固定化酵素は、マル
トースホスホリラーゼをイオン交換樹脂と接触させて得
られる固定化マルトースホスホリラーゼと、トレハロー
スホスホリラーゼをイオン交換樹脂と接触させて得られ
る固定化トレハロースホスホリラーゼとを混合すること
で製造することができる。特に前者の場合、二種の酵素
が含まれている培養液濃縮物もしくはその部分精製物を
接触させて本発明の固定化酵素を製造するのが経済的で
あり、技術的にも便利である。尚、酵素のイオン交換樹
脂への吸着は、酵素の溶液と適当なpHに調整したイオ
ン交換樹脂とを混合することで行うことができる。この
混合はバッチ式及びカラム式のいずれで行ってもよい。
【0018】本発明の固定化酵素は、例えば、以下の
(イ)〜(ヘ)の物性を示すものであることが好まし
い。 (イ)活性の組成比:マルトースホスホリラーゼ(A)
およびトレハロースホスホリラーゼ(B)であり、その
加燐酸分解反応での活性組成比(A/B)が0.25〜
2の範囲である。 (ロ)至適pH:トレハロース生成活性の至適pHが
5.5〜6.0である。 (ハ)作用適温の範囲:65℃近傍にトレハロース生成
活性の至適温度を有する。 (ニ)温度に対する安定性:pH7、60℃で60分間
の加熱後に未加熱処理酵素組成物の90%以上の生成活
性を有する。 (ホ)pH安定性:20mM燐酸塩存在下50℃、60
分間の加熱後にpH5〜8の範囲でpH7で氷冷保存し
た固定化酵素組成物の90%以上のトレハロース生成活
性を有する。また、60℃、60分間加熱後にpH6.
5〜7.5の範囲で同上未処理固定化酵素の90%以上
のトレハロース生成活性を有する。 (ヘ)失活条件:pH7、60分間の加熱条件下では7
5℃で完全に失活する。
【0019】本発明のトレハロースの製造方法は上記の
本発明の固定化酵素を無機燐酸および/または無機燐酸
塩の存在下、マルトースを含む溶液に接触させることで
行われる。上記マルトース含有溶液は、マルトースのみ
を含む水溶液であることができる他、澱粉の加水分解物
やトレハロース等のその他の糖質を含有するものである
こともできる。マルトース含有溶液のpHは、微生物汚
染による副次的生物反応を抑制するという観点からは、
5〜7の範囲、好ましくは5.5〜6.5の範囲である
ことが適当である。また、固定化酵素とマルトース含有
溶液との接触は、微生物汚染による副次的生物反応を抑
制するという観点からは、40〜70℃の範囲、好まし
くは50〜70℃の範囲、より好ましくは55〜65℃
の範囲の温度で行うことが適当である。
【0020】固定化酵素と接触させるマルトース含有溶
液の糖質の濃度は、5〜50%(w/v)、好ましくは
20〜40%(w/v)の範囲であることが適当であ
る。無機燐酸及び無機燐酸塩としては、例えば、オルト
リン酸、リン酸1水素ナトリウム、リン酸2水素ナトリ
ウム、リン酸1水素カリウム、リン酸2水素カリウム等
を用いることができる。無機燐酸及び/又は無機燐酸塩
は、マルトース含有溶液中に1〜50mM、好ましくは
5〜20mMの範囲の濃度で存在させることが適当であ
る。固定化酵素とマルトース含有溶液との接触をバッチ
式又は連続式で行うことができ、滞留時間(反応時間)
は、各反応条件下における固定化酵素の特性とマルトー
ス含有溶液のマルトース含有濃度等に応じて適宜決定で
きる。るものではない。
【0021】
【実施例】以下、本発明について参考例及び実施例によ
りさらに説明する。
【0022】(参考例1) [マルトースホスホリラーゼおよびトレハロースホスホ
リラーゼを含有する培養液濃縮物の製造]マルトース
1.2%、トレハロース0.3%、脱脂大豆粉1.5
%、酵母エキス1%、尿素0.4%、硝酸アンモニウム
0.5%、リン酸2水素カリウム0.3%、硫酸マグネ
シウム0.03%を含むpH7.0の液体培地50リッ
トルに予め同上培地で一夜通気攪拌培養したプレシオモ
ナス(Plesiomonas)SH−35株菌体懸濁液2リットル
を接種し、通気量50リットル/分、回転数300rp
m、温度35℃で18時間培養した。ついで、得られた
培養液にリゾチーム(1単位/mg)を液量に対して
0.01%と250gのグリセリン脂肪酸エステル(花
王(株)製、商品名ホモテックスPT)を添加し、35
℃で軽く攪拌しながら15時間反応させ溶菌処理をした
後、遠心分離をして水不溶物を除去した。得られた上清
液を分画分子量3万の限外濾過膜を用いて濃縮して約5
リットルの酵素濃縮液を得た。本濃縮液中には、約13
0単位/mlのマルトースホスホリラーゼと約210単
位/mlのトレハロースホスホリラーゼが含まれてい
た。
【0023】(参考例2) [粗トレハロースホスホリラーゼ濃縮物の製造]参考例1
中のマルトースをトレハロースに代えて同様に培養した
後、同様に処理して得た培養上清濃縮物のpHを8.2
に調整し、50℃で15分間加温して微量共存している
マルトースホスホリラーゼを完全に失活させた。つい
で、直ちに氷冷し、pHを7に再調整後、遠心分離して
約4.8リットルの粗トレハロースホスホリラーゼ濃縮
液を得た。本濃縮液中には約310単位/mlのトレハ
ロースホスホリラーゼが含まれていた。
【0024】(参考例3) [精製マルトースホスホリラーゼおよび精製トレハロー
スホスホリラーゼの製造]参考例1および参考例2で調
製した粗酵素濃縮液をそれぞれ約2リットルを用い、特
開平8−131157号記載の方法でマルトースホスホ
リラーゼおよびトレハロースホスホリラーゼを精製し、
約910単位/mlの精製マルトースホスホリラーゼ約
100mlと約2480単位/mlの精製トレハロース
ホスホリラーゼ約100mlをそれぞれ得た。
【0025】なお、酵素活性は特開平8−131157
号記載の方法によった。すなわち、50mMの燐酸緩衝
液(pH7)に溶解させた20mMのマルトースもしく
はトレハロース溶液0.5mlに酵素液0.01mlを
添加し、50℃で15分間反応させた後、沸騰水浴中で
3分間加熱して酵素反応を止める。ついで、流水中で冷
却した後、生成したグルコースをグルコースオキシダー
ゼ法(和光純薬工業(株)製、グルコースC−IIテス
ト.ワコー)で測定する。ここで1単位の酵素活性は同
上条件下で1分間に1μmol のグルコースを生成する酵
素量とする。
【0026】また、本発明に係る固定化酵素の活性測定
は以下の方法によった。 [固定化マルトースホスホリラーゼおよび固定化トレハ
ロースホスホリラーゼ活性の測定法]精秤した約10m
g(乾燥物換算)に上述の基質(マルトースもしくはト
レハロース)溶液100mlを添加し、50℃で10分
間激しく攪拌しながら反応させた。反応終了後、反応液
0.5mlを分取し、直ちに沸騰水浴中で5分間加熱し
て遊離した酵素を失活させた。流水中で冷却後、生成し
たグルコースを前述のグルコースオキシダーゼ法にて測
定した。ここで1単位の酵素活性は同条件下で1分間に
1μmoleのグルコースを生成する酵素量とした。
【0027】また、固定化酵素組成物のトレハロース生
成活性は以下の方法で測定した。 [固定化酵素組成物のトレハロース生成活性の測定法]精
秤した約100mg(乾燥物換算)の固定化酵素組成物
に20mM燐酸緩衝液(pH6)に溶解させた30%
(w/v)のマルトース溶液2.0mlを添加し、50
℃で30分間激しく攪拌しながら反応させた。反応終了
後、反応液0.1mlを分取し、直ちに沸騰水浴中で5
分間加熱した。ついで、応用糖質科学、第42巻,19
〜25頁(1995年)記載の方法でグコアミラーゼ処
理をしてトレハロースおよびグルコース以外の澱粉糖を
グルコースに分解させた。該反応液に2mlの水を添加
し、沸騰水浴中で5分間加熱した後、0.45μmのメ
ンブレンフィルターで濾過して不溶物を除去し、該糖化
液中のトレハロースを高速液体クロマトグラフィー(H
PLC)法にて測定した。本方法によれば、同上条件下
でトレハロース生成率が5%以内で固定化酵素量とトレ
ハロースの生成率との間に直線性が認められたのでその
範囲内になるように固定化酵素量は適宜調整して測定し
た。
【0028】また、本発明に用いられるフェノール系陰
イオン交換樹脂は固定化酵素調製用として広く市販され
ており容易に入手可能である。例えば、デュオライト
(Duolite)500番シリーズ(住友化学工業(株)製)
等が使用可能である。これらの陰イオン交換樹脂を用い
る固定化酵素の調製法は従来公知の方法で行うことがで
きる。
【0029】(実施例1及び比較例)各種陰イオン交換樹脂による固定化マルトースホスホリ
ラーゼおよび固定化トレハロースホスホリラーゼ組成物
の調製 市販の固定化酵素調製用に使用される代表的な陰イオン
交換樹脂を予め活性化してOH型とした後、過剰量の2
0mM燐酸緩衝液(pH7)で洗浄して平衡化した。つ
いで、これらの樹脂10g(乾燥物換算)に対して参考
例1記載の酵素濃縮液100mlを添加し、4℃で3時
間激しく攪拌して酵素を吸着させた。ついで、過剰量の
同上緩衝液で洗浄し、該洗浄液中のマルトースホスホリ
ラーゼおよびトレハロースホスホリラーゼ活性をそれぞ
れ測定した。また、これとは別に洗浄後の樹脂に吸着し
た両酵素の活性も前述の方法で測定した。なお、ここで
活性吸着率は [(使用酵素の全活性)−(洗浄液中の酵
素の全活性)] ÷(使用酵素の全活性)×100を示す
る。活性発現率とは(固定化された酵素の全活性)÷
[(使用酵素の全活性)−(洗浄液中の酵素の全活性)]
×100を示している。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】表1に示されているように、プレシオモナ
スSH−35株(生命研条寄第5144号)由来のマル
トースホスホリラーゼおよびトレハロースホスホリラー
ゼはスチレン系の弱塩基性の陰イオン交換樹脂を除き、
陰イオン交換樹脂であれば殆どの樹脂に吸着し、酵素の
吸着量や発現率に若干の差異は観察されるがいずれも固
定化酵素を調製することが出来る。
【0032】トレハロース生成活性の至適pH 実施例1及び比較例で調製した4種の固定化酵素組成物
(試料番号3、4、5および6)について、20mM燐
酸塩存在下各pHでのトレハロース生成活性を求め、相
対活性として図1に示した。図中に示したように、本発
明に係るフェノール系の弱塩基性陰イオン交換樹脂を用
いて調製した固定化酵素組成物(試料番号4、5)のト
レハロース生成活性の至適pHは5.5〜6.0の範囲
であり、他の固定化酵素組成物のそれよりもかなり低か
った。このことは、酵素反応時の微生物汚染が少なく、
且つ糖質の着色も少ない酸性側での酵素反応が可能であ
る事を示している。また、微生物汚染が起きた場合のp
H調整が容易である事を示している。
【0033】トレハロース生成活性の作用適温 実施例1及び比較例で調製した4種の固定化酵素組成物
(試料番号3、4、5および6)について、それぞれの
至適pHで20mM燐酸緩塩存在下でのマルトースから
のトレハロースの生成活性の作用適温を測定した。図2
に示したように、これら4種の固定化酵素組成物の作用
適温はいずれも65℃であった。但し、本発明に係る固
定化酵素組成物(試料番号4、5)の65℃以外の相対
活性は、他固定化酵素組成物の相対活性よりも高く、特
に、高温部での相対活性が非常に高かった。このことは
本発明に係る固定化酵素組成物が他の固定化酵素組成物
よりも微生物汚染の少ない高温部で使用可能であること
を示している。
【0034】温度に対する安定性 実施例1及び比較例で調製した4種の固定化酵素組成物
(試料番号3、4、5および6)および参考例1で調製
した粗酵素濃縮液を20mM燐酸緩衝液(pH7)存在
下、各温度で60分間加温した。ついで、氷冷した過剰
量の同上緩衝液(pH6)で良く洗浄した後(粗酵素濃
縮液は除く)、残存するトレハロース生成活性を測定し
た。なお活性は別に氷冷して保存したそれぞれの固定化
酵素組成物および粗酵素濃縮液を100%とする相対活
性で表した。図3に示したように、本発明に係る固定化
酵素組成物(試料番号4、5)は、60℃、60分間の
加温でも95%以上の活性を維持していたが、他の2種
の固定化酵素組成物は同条件下で約25%および95%
が失活した。また、粗酵素濃縮液中のトレハロース生成
活性は50℃、60分間の加温で完全に失活した。この
ことは、本発明に係る固定化酵素組成物が他の組成物よ
りも耐熱性が非常に高く、他の組成物よりもより以上の
高温で使用できることを示している。
【0035】pHに対する安定性 実施例1で調製した本発明の固定化酵素組成物(試料番
号4および5)のpHに対する安定性を測定した。即
ち、固定化酵素組成物を20mM燐酸塩存在下、各pH
で60分間、50℃および60℃で加温した後、氷冷し
た過剰量の20mM燐酸緩衝液(pH6)で良く洗浄し
た後、残存するトレハロース生成活性を測定した。な
お、活性は別に20mM燐酸緩衝液(pH6)中で氷冷
保存したそれぞれの固定化酵素組成物を100%とする
相対活性で表した。図4に示したように、本発明に係る
固定化酵素組成物は50℃、60分間の処理ではpH5
〜8の範囲で、そして、60℃、60分間の処理ではp
H6.5〜7.5の範囲で対照(無処理)の90%以上
の活性を維持していた。
【0036】トレハロース生成反応に及ぼす基質濃度
の影響 実施例1及び比較例で調製した4種の固定化酵素組成物
(試料番号3、4、5および6)および参考例1で調製
した粗酵素濃縮液を用い、20mM燐酸緩衝液(pH
6)および各濃度のマルトース存在下でトレハロース生
成活性を測定した。なお、活性は17%(w/v)マル
トースを基質として用いた時のトレハロース生成活性を
100%とする相対活性で表した。図5に示したよう
に、いずれの固定化酵素組成物も可溶性粗酵素濃縮液に
比較し、より強くマルトース濃度に依存し、基質濃度が
高くなるにしたがい活性は低下した。しかし、本発明に
係る固定化酵素組成物(試料番号4、5)は他の固定化
酵素組成物よりも濃度依存性は低かった。
【0037】また、本発明に係る固定化酵素組成物(試
料番号4、5)は、その有する固有の比重から約50%
程度のマルトース溶液中でも沈降し、トレハロース生成
反応が可能であった。しかし、他の固定化酵素組成物は
43%(w/v)マルトース溶液中で浮遊した。この事
はバッチ式反応だけでなくカラムを用いる連続反応にお
いても本発明に係る固定化酵素組成物が操作上の優位性
を持っていることを示している。
【0038】トレハロース生成活性に及ぼす無機燐酸
塩濃度の影響 実施例1及び比較例で調製した4種の固定化酵素組成物
(試料番号3、4、5および6)を過剰量の各濃度の燐
酸緩衝液(pH6)で良く洗浄後、同濃度の同上緩衝液
存在下で残存するトレハロース生成活性を測定した。な
お、活性は20mM燐酸緩衝液(pH6)を用いて測定
した活性を100%とする相対活性で表した。図6に示
したように、本発明に係る固定化酵素組成物はそれぞれ
の酵素が樹脂から脱離することなく1〜50mM程度の
比較的低い燐酸塩濃度での使用が可能であった。
【0039】しかし、スチレン系の強塩基性陰イオン交
換樹脂に吸着させた固定化酵素組成物(試料番号3)は
その最大反応速度を得るにはより高い濃度の燐酸塩が必
要であった。この事は酵素反応の最大反応速度を得るた
めに多量の燐酸塩が必要である事を示しており、糖液の
脱塩処理の負荷が大となり経済的でない事を示してい
る。また、キトサン系の弱塩基性陰イオン交換樹脂に吸
着させて得た固定化酵素組成物(試料番号6)は2.5
mM程度の比較的低い燐酸塩濃度で最大活性を示すが、
燐酸塩濃度が増加するにつれて酵素が脱離し活性が低下
した。この事は、両酵素のキトサン樹脂に対する吸着強
度が弱く、イオン強度の変化により容易に樹脂から脱離
することを示しており実用上の問題が予想された。
【0040】トレハロース生成反応に及ぼすマルトー
スホスホリラーゼとトレハロースホスホリラーゼの活性
参考例3で調製した精製マルトースホスホリラーゼおよ
び精製トレハロースホスホリラーゼ各50mlに20m
M燐酸緩衝液(pH7)で平衡化した各10g(乾燥物
換算)のデュオライトA561を添加し、4℃で7時間
攪拌して、それぞれの固定化酵素を調製した。ついで、
過剰量の同上緩衝液で両固定化酵素を良く洗浄して55
80単位/g(乾燥物換算)の固定化トレハロースホス
ホリラーゼおよび4350単位/g(乾燥物換算)の固
定化マルトースホスホリラーゼを得た後、20mM燐酸
緩衝液(pH7)で平衡化した未処理の樹脂を加えて各
固定化酵素が4000単位/g(乾燥物換算)となるよ
うに調整した。ついで、両固定化酵素を表2に示した各
配合比で混合した後、さらに未処理の樹脂を加えてマル
トースホスホリラーゼとトレハロースホスホリラーゼの
両酵素の活性の和が約2000単位/g(乾燥物換算)
となるように調整した。
【0041】ついで、表2中の試料番号7〜13の固定
化酵素組成物各0.5g(乾燥物換算)に50mM燐酸
緩衝液(pH6)を含む200mlの20%(w/v)
マルトース溶液を添加し、50℃で攪拌しながら反応さ
せ、経時的に少量の反応液をサンプリングした。つい
で、沸騰水浴中で5分間加熱した後、水を加え、少量の
混合型イオン交換樹脂(ローム・アンド・ハス社製、ア
ンバーライトMB−3)を用いてグルコース 1−燐酸
を含むイオン性物質を除去して得られる糖質中のトレハ
ロース含有率を先に述べたHPLC法にて測定した。図
7で明らかなように、両酵素の活性比が1に近い程トレ
ハロース生成反応速度は大きく、1未満あるいは1を超
える範囲でのトレハロース生成速度は小さかった。両酵
素を用いるマルトースからのトレハロースの生産には、
トレハロースホスホリラーゼの役割がより大きく、実用
上、両酵素の活性組成比(A/B)が0.25〜2の範
囲であることが適当である。この範囲を超えるとトレハ
ロースの生成速度がかなり遅く長時間の反応が必要にな
る。
【0042】
【表2】
【0043】(実施例2)カラムを用いる連続反応でのトレハロースの製造 予め20mM燐酸緩衝液(pH7)で平衡化した実施例
1で試料番号4および5として用いた弱塩基性陰イオン
交換樹脂100g(乾燥物換算)をそれぞれカラムに充
填し、参考例1で調製したマルトースホスホリラーゼお
よびトレハロースホスホリラーゼを含む粗酵素濃縮液各
1リットルを4℃、SV(SpaceVelocit
y)=0.2で通液して樹脂に吸着させた。ついで、過
剰量の同上緩衝液(pH6)で樹脂を洗浄後、20mM
燐酸緩衝液(pH6)を含む30%(w/v)のマルト
ース溶液を試料番号4の樹脂を充填したカラムに、マル
トースを含有する糖質(日本食品化工(株)製、商品
名:MC−90、固形物当たり89%のマルトースを含
有)の30%(w/v)溶液を試料番号5の樹脂を充填
したカラムに、SV=0.5、60℃でそれぞれ2リッ
トル通液した。得られた糖化液を常法により脱色、脱塩
した精製糖化液(AおよびB)中には固形物当たりそれ
ぞれ約59.5%および53.0%のトレハロースが含
まれていた。ついで、精製糖化液AおよびBを各72%
(w/w)まで減圧濃縮して濃縮液約770mlをそれ
ぞれ得た後、少量の結晶トレハロースを種核として添加
し、4℃で緩やかに攪拌しながら5日間放置して結晶を
析出させた。
【0044】生成した結晶トレハロースはバスケット型
遠心分離器を用いて分取して乾燥させ、純度約98.5
%で約10%の水分を含む結晶トレハロースをそれぞれ
約268gおよび222g得た。また、遠心分離により
得られた分密液中には固形物に対して約29%および2
7%のトレハロースがそれぞれ含まれていたので両分密
液を合わせ定法により再度脱色、脱塩処理を行って固形
分75%(w/w)のトレハロース含有シラップ850
mlを調製した。本シラップ中には、固形物当たり単糖
約6%、トレハロース以外の二糖類約56%、トレハロ
ース約28%、三糖類約6%、その他の糖類約4%が含
まれていた。本シラップは少量の結晶トレハロースを添
加した場合、あるいは貯蔵時の温度変化が激しい場合に
はトレハロースの結晶が容易に析出し白濁するが、15
℃以上の条件下で静置した場合には2ヵ月間は結晶析出
が観察されなかった。
【0045】(実施例3)トレハロースおよびマルトースを含有する糖質からのト
レハロースの製造 実施例2で調製した試料番号4の本発明に係る弱塩基性
陰イオン交換樹脂に固定化した固定化酵素組成物を充填
したカラムに実施例2で調製したトレハロースを含むシ
ラップ800mlを50%(w/v)に希釈し10mM
燐酸塩存在下、pH6でSV=0.5、65℃で通液し
た。次いで、常法により脱色、脱塩した後、減圧濃縮し
て固形物当たり約55%のトレハロースを含む固形分約
74%の精製糖化液730mlを得た。ついで、実施例
2と同様な方法で結晶化して水分約10%を含む約22
6gのトレハロースの結晶が得られた。
【0046】(実施例4)トレハロースを含む粉飴の製造 実施例2と同様な条件で調製した試料番号4の本発明に
係る弱塩基製陰イオン交換樹脂に固定化した固定化酵素
組成物を実施例2と同一量充填したカラムに5mM燐酸
緩衝液(pH6)を含むマルトースを含有する糖質(日
本食品化工(株)製、商品名:MC−70、固形物当た
り約70%のマルトースを含む)の35%(w/v)溶
液5リットルをSV=0.5、70℃で通液した。次い
で、常法により脱色、脱塩し、減圧濃縮して固形物当た
り約41%のトレハロースを含む約70%(w/w)の
精製糖化液約2.3リットルを得た。ついで、少量の結
晶トレハロースを添加し、3日間で65℃から10℃ま
で直線的に温度を下げながら、緩やかに攪拌し、さらに
10℃で2日間攪拌しながら放置して結晶を析出させ
た。本操作により得られるトレハロースの結晶を含む糖
質を噴霧乾燥して水分約3%(w/w)の糖質粉末約
1.6kgを得た。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、一定以上の濃度の無機
燐酸塩の存在下でも固定化用イオン交換樹脂から酵素が
脱離する事なく充分にトレハロース生成活性を持続し、
可溶性酵素組成物よりもかなりの高温での酵素反応が可
能であるマルトースホスホリラーゼとトレハロースホス
ホリラーゼの固定化酵素が提供される。さらにこの固定
化酵素を用いる本発明の製造方法によれば、低pHおよ
び高温で雑菌汚染による副次的な生物反応を防止でき、
かつ高濃度のマルトース若しくはマルトースを含有する
糖質からでも高収率でトレハロースを生成させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プレシオモナス属細菌SH−35株の生産す
るマルトースホスホリラーゼおよびトレハロースホスホ
リラーゼ固定化酵素組成物のトレハロース生成活性に及
ぼすpHの影響〔○:本発明のフェノール系陰イオン交
換樹脂(デュオライトA−561)に固定化した固定化
酵素組成物(試料番号4)、●:本発明のフェノール系
陰イオン交換樹脂(デュオライトA−568)に固定化
した固定化酵素組成物(試料番号5)、×:比較例であ
るスチレン系陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンHPA−
75)に固定化した固定化酵素組成物(試料番号3)、
△比較例であるキトサン系陰イオン交換樹脂(キトパー
ルBCW−3505)に固定化した固定化酵素組成物
(試料番号6)〕
【図2】 プレシオモナス属細菌SH−35株の生産す
るマルトースホスホリラーゼおよびトレハロースホスホ
リラーゼ固定化酵素組成物のトレハロース生成活性に及
ぼす温度の影響〔シンボルは図1と同じ〕
【図3】 プレシオモナス属細菌SH−35株の生産す
るマルトースホスホリラーゼおよびトレハロースホスホ
リラーゼ固定化酵素組成物の温度安定性〔シンボル:可
溶性酵素組成物(□)、他のシンボルは図1と同じ〕
【図4】 プレシオモナス属細菌SH−35株の生産す
るマルトースホスホリラーゼおよびトレハロースホスホ
リラーゼ固定化酵素組成物のpH安定性〔シンボル:本
発明のフェノール系陰イオン交換樹脂(デュオライトA
−561)に固定化した固定化酵素組成物(試料番号
4)を20mM燐酸塩存在下各pHで60分間50℃
(○)および60℃(●)で加温後に残存するトレハロ
ース生成活性、本発明のフェノール系陰イオン交換樹脂
(デュオライトA−568)に固定化した固定化酵素組
成物(試料番号5)を20mM燐酸塩存在下各pHで6
0分間50℃(△)および60℃(▲)で加温後に残存
するトレハロース生成活性〕
【図5】 プレシオモナス属細菌SH−35株の生産す
るマルトースホスホリラーゼおよびトレハロースホスホ
リラーゼ固定化酵素組成物のトレハロース生成活性に及
ぼす基質濃度の影響〔シンボルは図3と同じ〕
【図6】 プレシオモナス属細菌SH−35株の生産す
るマルトースホスホリラーゼおよびトレハロースホスホ
リラーゼ固定化酵素組成物のトレハロース生成活性に及
ぼす無機燐酸塩濃度の影響〔シンボルは図1と同じ〕
【図7】 プレシオモナス属細菌SH−35株の生産す
るマルトースホスホリラーゼ(A)およびトレハロース
ホスホリラーゼ(B)固定化酵素組成物のトレハロース
生成に及ぼす両酵素の活性組成比(A/B)の影響〔シ
ンボル:A/B=4(×)、A/B=3(▲)、A/B
=2(△)、A/B=1(◎)、A/B=0.33
(○)、A/B=0.25(●)、A/B=0.2
(□)〕

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルトースホスホリラーゼ及びトレハロ
    ースホスホリラーゼをイオン交換樹脂に吸着させた固定
    化酵素であって、pH7、60℃で60分間の加熱後に
    未加熱処理酵素組成物に対して90%以上のトレハロー
    ス生成活性を有することを特徴とする固定化酵素。
  2. 【請求項2】 イオン交換樹脂がフェノール系陰イオン
    交換樹脂である請求項1に記載の固定化酵素。
  3. 【請求項3】 マルトースホスホリラーゼ及びトレハロ
    ースホスホリラーゼがプレシオモナス(Plesiomonas)属
    SH−35株(生命研条寄第5144号)由来の酵素で
    ある請求項1または2に記載の固定化酵素。
  4. 【請求項4】 フェノール系陰イオン交換樹脂がフェノ
    ール・ホルマリン縮合重合体またはフェノール・ホルマ
    リン・ポリアミン化合物縮合重合体であり、かつ弱塩基
    性を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の固定化
    酵素。
  5. 【請求項5】 加燐酸分解反応でのマルトースホスホリ
    ラーゼ(A)とトレハロースホスホリラーゼ(B)との
    活性の組成比(A/B)が0.25〜2の範囲である請
    求項1〜4のいずれか1項に記載の固定化酵素。
  6. 【請求項6】 少なくとも一部のイオン交換樹脂の各粒
    子がマルトースホスホリラーゼ及びトレハロースホスホ
    リラーゼの両方を吸着している請求項1〜5のいずれか
    1項に記載の固定化酵素。
  7. 【請求項7】 マルトースホスホリラーゼを吸着したイ
    オン交換樹脂粒子とトレハロースホスホリラーゼを吸着
    したイオン交換樹脂粒子の混合物である請求項1〜5の
    いずれか1項に記載の固定化酵素。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の固
    定化酵素を無機燐酸および/または無機燐酸塩の存在
    下、少なくともマルトースを含む溶液に接触させること
    を特徴とするトレハロースの製造方法。
  9. 【請求項9】 マルトース含有溶液が澱粉の加水分解物
    および/またはトレハロースを含有する請求項8記載の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 マルトース含有溶液のpHが5〜7の
    範囲である請求項8または9記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 固定化酵素とマルトース含有溶液との
    接触を40〜70℃の範囲の温度で行う請求項8〜10
    のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 マルトース含有溶液の糖質の濃度が5
    〜50%(w/v)の範囲である請求項8〜11のいず
    れか1項に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 無機燐酸および/または無機燐酸塩を
    マルトース含有溶液中に1〜50mMの範囲の濃度で存
    在させる請求項8〜12のいずれか1項に記載の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 固定化酵素とマルトース含有溶液との
    接触をバッチ式又は連続式で行う請求項8〜13のいず
    れか1項に記載の方法。。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0919564A3 (en) * 1997-10-16 2000-10-25 Kabushiki Kaisha Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo Process for producing trehalose and sugar alcohols
JP2001292793A (ja) * 2000-04-13 2001-10-23 Nippon Shokuhin Kako Co Ltd パラニトロフェニル−β−プリメベロシド結晶の製造方法

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