JPH10247646A - 有機絶縁膜材料の製造方法 - Google Patents

有機絶縁膜材料の製造方法

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JPH10247646A
JPH10247646A JP5072297A JP5072297A JPH10247646A JP H10247646 A JPH10247646 A JP H10247646A JP 5072297 A JP5072297 A JP 5072297A JP 5072297 A JP5072297 A JP 5072297A JP H10247646 A JPH10247646 A JP H10247646A
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insulating film
organic insulating
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film material
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Maki Kosuge
眞樹 小菅
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケイ素などの異種元素を含まない有機ポリマ
から成る有機絶縁膜材料の製造方法であり、高い耐熱性
および低い比誘電率を有する材料を提供する。 【解決手段】 1または2以上のベンゼン環を含み、か
つ任意の1または2以上のベンゼン環に少なくとも1つ
のヒドロキシル基が直接結合している芳香族化合物から
成る第1のモノマーと、1または2以上のベンゼン環を
含む芳香族ハロゲン化合物であって、かつ任意の1また
は2以上のベンゼン環に少なくとも1つ以上のハロゲン
が直接結合している芳香族ハロゲン化合物から成る第2
のモノマーとを、塩基性触媒の存在下、80℃未満の反
応温度で加熱し、脱ハロゲン化水素反応により重合させ
る(ただし、ベンゼン環は全部または一部が縮合ベンゼ
ン環である場合も含む。)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は有機絶縁膜材料の
製造方法、特に半導体装置製造時に用いる、耐熱性が高
く、誘電率の低い有機絶縁膜材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、LSIの高速化は基本的
にはそれを構成するトランジスタの微細化によって達成
される。しかし、今後さらに、素子が高密度に集積され
配線間隔が縮小すると、配線を伝搬する信号の遅延や隣
接配線間でのクロストークが顕著になる。そして、これ
らがLSIの高性能化を妨げる重大な要因となることが
予想される。
【0003】このような配線遅延やクロストークを解決
するための対策の一つとして、配線間を埋める絶縁膜の
比誘電率を下げることが検討されている。そして、多く
の有機ポリマーがシリコン酸化膜に比べかなり低い比誘
電率を有するため、有機ポリマーを絶縁膜材料(有機絶
縁膜材料)として用いて絶縁膜(有機絶縁膜)を形成し
た場合、配線遅延やクロストークの低減効果が大きいと
見られている。
【0004】例えば、ベンゾシクロブテン(benzocyclo
butene(BCBとして呼称される))から成る有機絶縁
膜材料がダウ・ケミカル(株)からCYCLOTENE
(商品名)として販売されている。この材料は、比誘電
率が2.7(1MHz)であり、350℃以上のガラス
転移温度を有し、良好な埋め込み特性を示す(文献1:
「1995 Dielectrics for VLSI/ULSI Multilevel Inerco
nnection Conference(DUMIC 95),1995,pp.269-275.」参
照)。
【0005】また、ポリイミドシロキサン(polyimide
siloxane(PSIとして呼称される))から成る有機絶
縁膜材料が提案されている。この材料は、比誘電率が
3.0〜3.5(1MHz)であり、5%重量減温度
が、約550℃であることが確認されている(文献2:
「Thin Solid Films, 235(1993) pp. 80-85 "Stability
of a new polyimide siloxane film as interlayer di
electrics of ULSI multilevel interconnections" T.H
omma,Y.kutsuzawa,K.kunimune .and Y.murao」参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記有
機絶縁膜材料をLSIプロセス、特にULSIプロセス
へ適用する場合には、以下のような問題があった。
【0007】(1)BCBは、ガラス転移温度が約35
0℃と低く、それに対応して、350℃以上で機械的物
性が著しく低下したり、あるいは熱分解を生じやすく、
プロセス温度をガラス転移温度以下に下げることが必要
とされた。このため、配線工程などのように、一般に4
00℃以上の温度を必要とするプロセスには、この材料
を使用することが困難であるという問題があった。ま
た、BCBは、例えばケイ素原子を含む有機ケイ素ポリ
マー(例えばDVS)と混合使用されることが多く、有
機絶縁膜の加工方法であるO2 −RIE(反応性イオン
エッチング)を適用した場合に、有機絶縁膜中のケイ素
が酸化ケイ素となりやすいという問題があった。そのた
め、生成した酸化ケイ素が、エッチング残渣となるた
め、エッチング精度を低下させやすいという問題があっ
た。
【0008】(2)一方、PSIは、3.0〜3.5
(1MHz)と比誘電率が高く、有機絶縁膜材料として
の絶縁性に乏しいという問題があった。特に高い絶縁性
が要求されるULSIプロセスにおいては、高い比誘電
率は、配線遅延やクロストークの低減効果が少ないこと
より深刻な問題であった。また、PSIは、ケイ素原子
を含む有機ケイ素ポリマーそのものであり、BCBが有
機ケイ素ポリマーと混合使用された場合と同様に、O2
−RIE(反応性イオンエッチング)を適用した場合、
有機絶縁膜中のケイ素が酸化ケイ素となり、エッチング
精度を低下させやすいという問題があった。
【0009】従って、高い耐熱性、具体的には、1%重
量減温度が400℃以上の温度を有し、低い比誘電率、
具体的には、3.0以下の比誘電率を有し、さらには、
ケイ素などの異種元素を含まない有機ポリマーから成る
有機絶縁膜材料の出現が望まれていた。
【0010】そこで、発明者らは、1または2以上のベ
ンゼン環を含み、かつ任意の1または2以上のベンゼン
環に少なくとも1つのヒドロキシル基が直接結合してい
る芳香族化合物から成る第1のモノマーと、1または2
以上のベンゼン環を含む芳香族ハロゲン化合物であっ
て、かつ任意の1または2以上のベンゼン環に、少なく
とも1つ以上のハロゲンが直接結合している芳香族ハロ
ゲン化合物から成る第2のモノマーとを、塩基性触媒の
存在下、80℃以上の温度で、24時間程度加熱し、脱
ハロゲン化水素反応により重合させることにより、耐熱
性が高く、低い比誘電率を有する有機絶縁膜材料を提供
できることを見いだし、別途出願している。
【0011】よって、この発明は、さらに研究をすすめ
た結果、反応温度が有機絶縁膜材料の特性に影響してい
ることを見いだし、より耐熱性が高くかつ低い比誘電率
を有する有機絶縁膜材料を製造可能な方法を提供するこ
とを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の有機絶縁膜材
料の製造方法によれば、1または2以上のベンゼン環を
含み、かつ任意の1または2以上のベンゼン環に少なく
とも1つのヒドロキシル基が直接結合している芳香族化
合物から成る第1のモノマーと、1または2以上のベン
ゼン環を含む芳香族ハロゲン化合物であって、かつ任意
の1または2以上のベンゼン環に少なくとも1つ以上の
ハロゲンが直接結合している芳香族ハロゲン化合物から
成る第2のモノマーとを、塩基性触媒の存在下、80℃
未満の反応温度に加熱し、脱ハロゲン化水素反応により
重合させることを特徴とする(ただし、ベンゼン環は全
部または一部が縮合ベンゼン環である場合も含む。)。
【0013】ここで、脱ハロゲン化水素反応の反応温度
を80℃未満とする理由は、反応温度が80℃を超える
と、第1のモノマーと第2のモノマーとの反応は比較的
早く起こるものの、分子量が低いまま反応が進まなくな
り、未反応のヒドロキシ基およびハロゲンが残りやす
く、特に耐熱性に影響を及ぼしやすい分子末端に残るお
それがあると考えられるためである。よって、より完全
にヒドロキシ基およびハロゲンを反応させて、熱分子運
動をする分子末端を収束させ、高い耐熱性を得る一方
で、適当な反応速度を得るためには、反応温度は30〜
65℃の範囲、最適には、40〜60℃の範囲内であ
る。
【0014】また、脱ハロゲン化水素反応の反応時間は
長い程、分子量も増加し、未反応のヒドロキシ基および
ハロゲンが少なくなるので好適であるが、具体的には、
反応時間として2〜240時間の範囲内が好適である。
かかる反応時間の範囲内とする理由は、ヒドロキシ基お
よびハロゲンが有効に減少する一方、製造時間もあまり
長くならず、実用的なためである。よって、かかるバラ
ンスがより好適な観点から、脱ハロゲン化水素反応の反
応時間は、10〜100時間、最適には、20〜72時
間の範囲内である。
【0015】(モノマー)次に、この発明の製造方法に
使用される、モノマーについて説明する。すなわち、こ
の発明において、1または2以上のベンゼン環を含み、
かつ任意の1または2以上のベンゼン環に少なくとも1
つのヒドロキシル基が直接結合している芳香族化合物か
ら成る第1のモノマーと、1または2以上のベンゼン環
を含む芳香族ハロゲン化合物であって、かつ任意の1ま
たは2以上のベンゼン環に少なくとも1つ以上のハロゲ
ンが直接結合している芳香族ハロゲン化合物から成る第
2のモノマーを使用して、脱ハロゲン化水素反応させる
ことを特徴としている。
【0016】このような構成をとることにより、 モノマー同士を反応させたポリマー中に、複数のベン
ゼン環を導入することにより、ポリマー主鎖の横ゆれ運
動や変角運動などが抑止され、結果としてポリマーの耐
熱性を上げることができ、 ポリマー中にフッ素を初めとするハロゲンを導入する
ことにより、そのポリマーの比誘電率を下げることがで
き、 さらに、第1のモノマーと第2のモノマーのそれぞれ
に共通成分として、1または2以上のベンゼン環を含む
ことにより、2つのモノマーの相溶性を良好とすること
により、結果として、沈殿等を防止して製造を容易にし
たり、あるいは、反応を均一にして、得られたポリマー
の耐熱性を向上させるためである。
【0017】ここで、第1のモノマーは、1または2以
上のベンゼン環を含んでいる。そして、これらのベンゼ
ン環の、少なくともいずれか1つに、少なくとも1つの
ヒドロキシル基が直接結合している芳香族化合物であ
る。よって、具体的に、例えば、式(1)で表される、
2,2−ビ−1−ナフトール、式(2)で表される、
α、α、α´、α´−テトラキス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−p−キシレン、式(3)で表される、1,1,
1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、式
(4)で表される、1,3−アダマンチリデンビスフェ
ノール、式(5)で表される、1,5−ジヒドロキシナ
フタレン、式(6)で表される、フロログラシノールお
よびこれらの誘導体が好適である。耐熱性が高い有機絶
縁膜材料が得られるためである。そして、中でも、式
(1)で表される、2,2−ビ−1−ナフトールは、第
2のモノマーと組み合わせたときに、2.8未満の低い
比誘電率が得られ、さらには、より耐熱性が高い有機絶
縁膜材料が得られる点で、この発明に最適である。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】その他、ヒドロキシル基が1つのフェノー
ル、チモール、2−ナフトール、2−フェナントロール
等、ヒドロキシル基が2つのレゾルシノール、ヒドロキ
ノン、2,2−ビフェノール、4,4−ビフェノール、
2,5−ノルボルニリデンビスフェノール、1,5−ジ
ヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレ
ン等、ヒドロキシル基が3つのピロガロール等の種々存
在するモノマーの1つのモノマーを使用すること、また
は2以上のモノマーを組み合わせて使用することも好適
である。
【0025】また、第2のモノマーは、1または2以上
のベンゼン環を含む芳香族ハロゲン化合物である。そし
て、これらのベンゼン環の少なくとも1つに、少なくと
も1つのハロゲンが直接結合している芳香族ハロゲン化
合物から成るモノマーである。ここで、第2のモノマー
の具体例としては、例えば、式(7)で表される、パー
フロロビフェニル、パークロロビフェニル、パーブロロ
ビフェニル、式(8)で表される、パーフロロナフタレ
ン、パークロロナフタレン、パーブロロナフタレン、パ
ーフルオロフェナントロリン、パークロロフェナントロ
リン、パーブロロフェナントロリン、式(9)で表され
る1,4−パーフロロフェニレン、式(10)で表され
る、4,4´−パーフロロビフェニレン、式(11)で
表される、1,5−パーフロロナフタニレン、式(1
2)で表される2,6−パーフロロナフタニレン、式
(13)で表される1,6−パーフロロナフタニレン、
式(14)で表される1−トリフロロメチル−2,4−
トリフロロフェニレン、式(15)で示される2,3,
5,6−テトラフロロ−1,4−ヒドロキノンおよびこ
れらの誘導体が好適である。そして、これらのモノマー
を1つ使用すること、または2以上組み合わせて使用す
ることも可能である。
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
【化11】
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】特に、式(7)で表される、パーフロロビ
フェニルおよび式(8)で表される、パーフロロナフタ
レンおよびこれらの誘導体は、第1のモノマーと組み合
わせて重合させたときに、より低い比誘電率および高い
耐熱性が得られる点で、この発明に好適である。そし
て、中でも、式(7)で表される、パーフロロビフェニ
ルは、さらに耐熱性が高く、かつ比誘電率の低い有機絶
縁膜材料が得られ、しかも第1のモノマーとの相溶性が
より良好な点で、この発明に最適である。
【0036】なお、この発明において、前述したベンゼ
ン環は、全部または一部が縮合ベンゼン環である場合も
含む広い意味であり、好ましくは、例えば、ナフタレン
環、アントラセン環、ピレン環などの2つの6員環から
構成される縮合環が含まれる。
【0037】次に、第1のモノマーと第2のモノマーと
の混合比率について説明する。すなわち、この発明にお
いて、第1のモノマーと第2のモノマーとの混合比率
は、例えば、モル比率、1:9〜9:1の範囲内とする
ことが良い。かかる範囲内とする理由は、未反応のモノ
マーの量が少なくなる一方、耐熱性の高い有機絶縁膜材
料が得られるためである。よって、かかるバランスがよ
り良好な観点から、第1のモノマーと第2のモノマーと
の混合比率は、モル比で、3:7〜7:3の範囲、最適
には、4:6〜6:4の範囲内である。
【0038】(触媒)この発明においては、第1のモノ
マーが有するヒドロキシル基と、第2のモノマーが有す
るハロゲンの反応である、求核置換反応としての脱ハロ
ゲン化水素反応を促進するために、塩基性触媒を添加す
ることが必要である。すなわち、塩基性触媒の作用によ
り、求核置換反応が活性化され、反応溶液中でフェノキ
シドイオンとして存在している第1のモノマーが、第2
のモノマー中のハロゲンと容易に反応して置換される。
そして、塩基性触媒により、生成したハロゲン化水素が
中和されて塩を作るため、ますます脱ハロゲン化水素反
応を促進されることになる。
【0039】なお、このような置換反応が、第1のモノ
マー中の2箇所で起こり、それぞれの位置で第2のモノ
マーと結合する場合には、線状構造のポリマーが形成さ
れ、第1のモノマー中の3箇所以上で第2のモノマーと
結合する場合には、架橋構造が導入されることとなる。
線状構造のポリマーの場合には、これを溶剤に溶解させ
て適当な粘度を有する溶液状態で使用できる点で使い勝
手が良く、一方、架橋構造が導入されたポリマーは、耐
熱性がより高くなる点で好適である。
【0040】ここで、塩基性触媒の種類としては、例え
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウ
ム、有機塩等が好適である。そして、特に、安全性が高
い観点から、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムが、この発
明に好適である。
【0041】また、塩基性触媒の添加量としては、第1
のモノマーと第2のモノマーの合計量100重量部に対
して、0.1〜200重量部の範囲内とすることが好適
である。かかる範囲内とする理由は、脱ハロゲン化水素
反応を活性化することができるとともに、耐熱性に悪影
響を及ぼさないためである。よって、かかるバランスが
より良好な観点から、塩基性触媒の添加量としては、1
〜100重量部の範囲がより好適であり、最適には、5
〜80重量部の範囲内である。
【0042】(溶媒)次に、第1のモノマー、第2のモ
ノマーおよび塩基性触媒等を溶解させ、均一に脱ハロゲ
ン化水素反応を起こさせるためには、溶液中で行うこと
が好適である。そのため、適当な溶媒を使用する必要が
あるが、第1のモノマー、第2のモノマーおよび塩基性
触媒と反応することなく、均一にこれらを溶解させると
ともに、沸点が80℃以上のものであれば好適に使用可
能である。第1のモノマー、第2のモノマーおよび塩基
性触媒に対して不活性で、かつ一様に溶解させなけれ
ば、均一な特性を有する耐熱性に優れた有機絶縁膜材料
としてのポリマーが重合されないおそれがあるためであ
る。また、この発明に使用する溶媒について、沸点とし
て80℃以上が好適とする理由は、脱ハロゲン化水素反
応を、80℃未満で行う際にも、安全に行えるためであ
る。
【0043】よって、より具体的な溶媒の種類として
は、N,N−ジメチルアセトアミド、α,α−ジメチル
アセト酢酸エチル等である。そして、N,N−ジメチル
アセトアミドは、安価な点で、この発明に使用して好適
である。
【0044】また、溶媒の添加量にしても、脱ハロゲン
化水素反応の均一性を考慮して行うことが好適である
が、第1のモノマー、第2のモノマーおよび塩基性触媒
の合計量100重量部に対して、50〜1000重量部
の範囲内とすることが好適である。溶媒の添加量をかか
る範囲内とする理由は、所定の添加効果が得られるとと
もに、できたポリマーとの分離が容易なためである。よ
って、かかるバランスがより好適な観点から、溶媒の添
加量としては、第1のモノマー、第2のモノマーおよび
塩基性触媒の合計量100重量部に対して、80〜50
0重量部の範囲、最適には、100〜400重量部の範
囲内である。
【0045】(濾過方法)次に、この発明の製造方法の
一部としての、ポリマー生成後の反応液の濾過方法につ
いて説明する。すなわち、この発明の製造方法により得
られたポリマーは、塩基性触媒や、塩類等を含んでいる
ため、それをppmオーダーで取り除くことが好適であ
る。かかる塩基性触媒が残留していると、有機絶縁膜材
料の電気絶縁性が著しく低下するおそれがあるためであ
る。
【0046】そこで、この発明の好適な態様としては、
脱ハロゲン化水素反応の反応後、第1のモノマーと第2
のモノマーとの反応液を、天然珪藻土(diatom earth、
celiteとも言う)を濾材として用いて濾過することが好
適である。
【0047】ここで、天然珪藻土とは、単細胞藻類の一
種である珪藻の殻から主になる軟質の岩石もしくは土壌
をいい、化学組成としては二酸化珪素を主成分としてお
り、その他、アルミニウム酸化物や酸化鉄等も一部含ん
でいても良い。そして、天然珪藻土は、種々の粒径のも
のがあるが、この発明に用いられる天然珪藻土の粒径と
しては、濾過速度が速い上に、塩基性触媒の除去率が高
いことから、50%粒径で、約10〜30μmの範囲内
のものが好適である。
【0048】そして、かかる天然珪藻土を、濾材とし
て、厚さ0.1〜5.0cm、より好適には、0.5〜
3.0cm程度にロート等に積層し、第1のモノマーと
第2のモノマーとの反応液に対して、吸引濾過等するこ
とが好適である。このようにすると、塩基性触媒の除去
率がより高くなるためである。
【0049】また、より完全に塩基性触媒を除去するた
めには、第1のモノマーと第2のモノマーとの反応液に
酸を添加して、天然珪藻土による濾過の前および後のい
ずれか一方または双方で、中和反応を起こさせることが
好適である。
【0050】そして、また、低分子量物を取り除くた
め、濾過のいずれかの段階で、第1のモノマーと第2の
モノマーとの反応液に対して、エタノールを添加して、
濾過することも好適である。
【0051】よって、この発明の製造方法における、好
適な天然珪藻土を用いた濾過方法としては、例えば、以
下の通りである(天然珪藻土を用いた濾過方法)。
【0052】ポリマーを含む、第1のモノマーと第2
のモノマーとの反応液を、桐山ロートにろ紙を装着後、
天然珪藻土を濾材として約1cmの厚さに積層したもの
を通して、吸引濾過し濾液を採取する(濾液1)。
【0053】濾液1に、0.5Nの塩酸溶液を、氷冷
下で滴下して中和反応を起こさせるとともに、ポリマー
を析出させて沈殿を生じさせる(中和液1)。そして、
その際、沈殿したポリマーが一定粒径の粒子状になるよ
うにスターラー等で攪拌しながら、前記塩酸溶液の滴下
を行うと良い。
【0054】桐山ロートにろ紙を装着後、中和液1
を、天然珪藻土を濾材として約1cmの厚さに積層した
ものを通し、吸引濾過して、ポリマーをろ紙に回収す
る。そして、回収したポリマーを、洗浄廃液が中性にな
るまで、純水を用いて洗浄し、この洗浄により酸成分と
塩類を除去する。そして、なお、リトマス試験紙を用い
て洗浄液が中性になったことを確認後、さらに多量の純
水を用いてポリマーを洗浄した後、ポリマーを乾燥させ
る(回収ポリマー1)。
【0055】回収ポリマー1にTHF(テトラヒドロ
フラン)を添加して、均一な溶液状態にした後、ろ紙の
みを装着した桐山ロートを用いて、この溶液を吸引濾過
する(濾液2)。
【0056】採取された濾液2をエバポーレーターを
用いて乾燥させることにより、THFおよび水分を蒸発
させて、ポリマーを回収する(回収ポリマー2)。
【0057】回収ポリマー2にN,N−ジメチルアセ
トアミドを所定量添加して、均一な溶液状態にした後、
ろ紙のみを装着した桐山ロートを用いて、吸引濾過する
(濾液3)。
【0058】採取された濾液3に0.5Nの塩酸溶液
を氷冷下で滴下して、濾液3中に未だ残留しているアル
カリ成分と中和反応を起こさせるとともに、ポリマーを
析出させて沈殿を生じさせる(中和液2)。そして、す
でに説明したとおり、沈殿したポリマーが一定粒径の粒
子状になるように濾液3をスターラー等で攪拌しなが
ら、上述の塩酸溶液の滴下を行うと良い。
【0059】桐山ロートにろ紙のみを装着後、中和液
2を吸引濾過して、ポリマーをろ紙に回収し、さらに回
収したポリマーを、洗浄廃液が中性になるまで、純水を
用いて洗浄し、この洗浄によって酸成分と塩類を除去す
る。そして、なお、リトマス試験紙を用いて、洗浄廃液
が中性になったことを確認後、さらに多量の純水を用い
てポリマーを洗浄する。そして、続けてメタノールを用
いてポリマーを洗浄することにより、低分子量物を除去
したポリマーをろ紙上に回収する(回収ポリマー3)。
【0060】そして、回収ポリマー3を、エバポーレ
ーターを用いて、80℃の温度条件で2時間以上乾燥さ
せ、この発明の有機絶縁膜材料としての白色粉のポリマ
ーを回収する。
【0061】(分子量)次に、この発明の有機絶縁膜材
料としてのポリマーの分子量(重量平均分子量)につい
て説明する。すなわち、この有機絶縁膜材料の使用目的
に応じて分子量は任意好適なものとすれば良いが、例え
ば、1,000〜2,000,000の範囲内とするの
が良い。分子量をかかる範囲内とする理由は、有機絶縁
膜材料として、優れた耐熱性が得られるとともに、有機
絶縁膜材料の塗布液としての調製の容易さおよび形成さ
れる有機絶縁膜の厚さを考慮したものである。すなわ
ち、有機絶縁膜材料の分子量が1,000〜2,00
0,000の範囲の場合、ガラス転移点が200℃〜4
50℃と高くなり、プロセス温度を400℃以上に保つ
ことが可能となる一方、塗布液を調製するための溶媒に
対する有機絶縁膜材料の溶解度が十分大きく、従って1
μm程度の厚さの有機絶縁膜を精度良く形成することが
可能となる。
【0062】よって、耐熱性と塗布液としての調製の容
易さ等のバランスがより良好な観点から、有機絶縁膜材
料の分子量としては、より好適には10000〜50
0,000の範囲、最適には、80,000〜400,
000の範囲内である。
【0063】
【発明の実施の形態】以下、この出願の発明の実施の形
態を、各実施例に基づいて説明する。しかしながら、以
下の説明中で挙げる使用材料およびその量、処理温度、
処理時間、膜厚などの数値的条件、並びに処理方法はこ
れら発明の範囲内の一例に過ぎないことを理解された
い。
【0064】1.第1の実施例 この実施例の有機絶縁膜材料は、第1のモノマーとして
式(1)で表される2,2−ビ−1−ナフトール、第2
のモノマーとして、式(7)で表されるパーフロロビフ
ェニル、塩基性触媒として炭酸カリウム(K2CO3 )、溶
媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用いて以下の
ように重合した。
【0065】すなわち、先ず、攪拌機、冷却管、温度計
を装着した反応器に、2,2−ビ−1−ナフトールを1
1.4g(0.04mol)と、パーフロロビフェニル
を13.4g(0.04mol)と、塩基性触媒として
の炭酸カリウムを14.1g入れ、さらに、溶媒として
のN,N−ジメチルアセトアミドを80ml加えて溶解
させた。そしてこの反応器内を十分窒素置換した後、反
応溶液を速やかに60℃に加熱し、窒素雰囲気下で48
時間攪拌して重合反応させた。その後、反応溶液を室温
まで冷却した後、前述した天然珪藻土を用いた濾過方法
例にしたがって濾過したところ、有機絶縁膜材料とし
て、約20gのポリマーを得た。そして、下記の測定、
評価を行った。
【0066】(1)重量平均分子量の測定 このポリマーの重量平均分子量を以下に示す、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定し
た(以下に示す各実施例においても、本実施例と同様の
方法で重量平均分子量を測定した。)。すなわち、GP
Cカラムとして、ポリマーラボラトリー社製のNarr
ow Bore MiniMix Colums151
0−5500 PLgel MiniMix−C、粒径
5μm品、長さ250mm×直径4.6mm×2本、送
液ポンプとしては、昭和電工製のShodex DX−
4、検出器としては、昭和電工製のShodex RI
SE−51、キャリアとしては、THFをそれぞれ用
い、キャリア流速1.0ml/分の条件で測定した。
【0067】その結果、分子量分布の狭いピークが得ら
れ、ポリスチレン換算値で、約82,000の値が得ら
れた。なお、測定した重量平均分子量の結果を、他の第
2〜4の実施例の結果と併せて、図2に示す。図2で
は、横軸に反応時間(hrs)、縦軸に、重量平均分子
量(MW)の値をとって示してある。図からわかるよう
に、反応を開始して約10〜15時間までは、比較的分
子量の増加速度は早いが、それ以上反応時間が長くなる
と、時間の経過とともに重量平均分子量は増加するもの
の、その増加速度は遅くなることが確認された。
【0068】(2)ガラス転移温度の測定 このポリマーのガラス転移温度を、示差熱量計(DT
A)装置により求めた(以下に示す各実施例において
も、本実施例と同様の方法でガラス転移温度を求め
た。)。すなわち、DTA装置として、(株)リガク社
製のThermoflex Tas300 DSC82
30Dを用い、窒素気流中、昇温速度10℃/分の条件
で、ポリマーを加熱して、その際の熱的性質が変化する
温度を、ガラス転移温度として測定した。
【0069】図1に、DTAチャートを点線で示す。横
軸には、測定温度(℃)、縦軸には、熱補償ヒーター用
のための、熱補償電圧(μV)の値をとってある。そし
て、DTAチャートから、ガラス転移温度として、約4
04℃の値が得られた。よって、従来のBCBのガラス
転移温度よりも、50℃以上も高い値をこのポリマーは
有することが確認された。また、504.9℃、53
7.0℃、555.2℃には、ポリマーの熱分解に起因
すると思われるピークが観察された。
【0070】(3)重量減温度の測定 このポリマーの重量減温度を熱重量分析(TG)により
測定した(以下に示す各実施例においても、本実施例と
同様の方法で重量減少を測定めた。)。すなわち、
(株)リガク社製のThermoflex Tas30
0 DSC8230Dを用い、約10mgのポリマー
を、窒素気流中で、10℃/分の条件で昇温加熱し、そ
の時の重量減少変化を測定した。図1に、熱重量(T
G)チャートを実線で示す。横軸には、測定温度
(℃)、縦軸には、重量変化(%)の値をとってある。
【0071】そして、熱重量チャートから、300〜4
00℃の温度範囲では、−0.06%(測定限界以
下)、400〜480℃の温度範囲では、−0.11%
(測定限界以下)のポリマーの重量減少が観察された。
そして、約499℃の温度から、顕著なポリマーの重量
減少が始まり、約600℃の温度で、ポリマーの重量減
少としては約−20%となり、その時点で、加熱および
測定を中止した。よって、このポリマーの耐熱性の目安
としての、1%重量減温度としては約520℃、5%重
量減温度としては約540℃という高い値が得られた。
【0072】(4)比誘電率の測定 このポリマーの比誘電率を以下に示す方法で求めた(以
下に示す各実施例においても、本実施例と同様の方法で
比誘電率を求めた。)。すなわち、先ず、このポリマー
5.0gを酢酸2−メトキシエチル50mlに溶解し、
0.2μmメンブレンフィルタでろ過して塗布液を調製
した。その後、この塗布液をシリコン基板(抵抗率10
μΩcm以下)上にスピンコートし、ホットプレート上
で200℃で30分間、次いで窒素雰囲気下で360℃
で1時間ベーキングを行い、厚さ0.50μmのこのポ
リマーからなる膜を形成した。その後、この膜の上に適
当なサイズの孔(例えば、直径0.14mm〜8.0m
mの2つのサイズ)を有するステンシルマスクを介し
て、真空蒸着法によりアルミニウムを堆積させた。そし
て、シリコン基板上に得られた金属/絶縁膜/半導体の
構造を用いて高周波(1MHz)で電気容量測定を4回
繰り返して行い、比誘電率を平均して求めた。
【0073】得られた比誘電率の値を、他の第7〜9の
実施例のポリマーの結果とともに、図3に示す。横軸に
は、ポリマー(PFAE)の種類をとってあり、縦軸に
は、比誘電率(−)をとっている。また、平均した比誘
電率の値をプロットしてあるが、併せて、プロットした
点の上のバーで比誘電率の最大値を、下のバーで比誘電
率の最小値をそれぞれ示している。その結果、このポリ
マーの比誘電率は、2.65という低い値が得られ、高
周波特性に優れていることが確認された。またこのポリ
マーは、得られた比誘電率の最大値と最小値の差が小さ
く、比誘電率の値のバラツキも小さいことが確認され
た。
【0074】(5)不純物イオンの測定 このポリマー中に含まれる不純物イオンとしての、Kイ
オン、Naイオンおよび塩素イオンの濃度を、ポリマー
を加熱灰化し、この灰化物を希硝酸に溶解させたのち、
この溶解液に対して、日立(株)製の偏光ゼーマン原子
吸光光度計A180−80を用いて2回測定を行って、
平均値を算出した。
【0075】その結果、各不純物イオンの濃度は、それ
ぞれ10ppmオーダー未満であり、検出限界以下であ
った。なお、天然珪藻土を用いて濾過処理をする前は、
それぞれのイオン濃度は、1000ppmを超える高い
値であった。
【0076】(6)赤外分光光度計(IR)による測定 このポリマーの赤外分光スペクトル(IRチャート)を
測定した。すなわち、ポリマーをシリコン基板にスピン
コートし、360℃で1時間ベーキングを行うことによ
り作製した、厚さ0.5μmの膜を測定試料として、I
R測定(IR測定には赤外分光光度計としてBiolz
d社製のFTS−60(型番)を用いた。)を行った
(以下に示す各実施例においても、本実施例と同様の方
法でIR測定を行った。)。
【0077】このポリマーのIRチャート中には、16
10cm-1にナフタレン環のC−C結合の伸縮振動によ
るブロードなピークが観察された。このナフタレン環の
C−C結合の伸縮振動によるピークは第1のモノマーに
由来するピークである。また、1500cm-1および1
488cm-1にC−F結合の伸縮振動によるピークが観
察された。このC−F結合の伸縮振動によるピークは第
2のモノマーに由来するピークである。また、1260
cm-1にC−O結合の伸縮振動によるピークが観察され
た。このC−O結合の伸縮振動によるピークは第1のモ
ノマーと第2のモノマーとが結合して形成されるエーテ
ル結合に由来するピークである。なお、その他のピーク
は、他のピークと重なっていたり、またピーク自身が小
さかったりするために、観察できなかった。
【0078】このように、IRチャート中に、第1のモ
ノマーに由来のピーク、第2のモノマーに由来のピー
ク、さらに第1のモノマーと第2のモノマーとが結合し
て形成されるエーテル結合に由来のピークが観察され
た。また、反応条件を考慮すると、このポリマーは線状
構造を有していると考えられる。
【0079】(7)電流−電圧(I−V)特性の測定 電圧(V)を、0〜−10Vに変えて、ポリマー中に流
れる電流値(A/cm2 )を測定した。結果を図4に示
す。横軸には電圧値(V)を、縦軸には電流値(A/c
2 )を取っている。図に示されるように、電圧を0V
から−10Vに向かって低下させるほど、弱冠電流値が
増加する傾向が得られたものの、得られる電流値は1×
10-11 (A/cm2 )以下と極めて低く、全体として
は、ほぼ平坦な曲線が得られた。よって、このポリマー
はI−V特性に優れており、有機絶縁膜材料に適してい
ることが確認された。
【0080】2.第2〜4の実施例 これらの実施例の有機絶縁膜材料としてのポリマーは、
第1の実施例の、60℃における反応時間を、2時間
(第2の実施例)、19時間(第3の実施例)、23時
間(第4の実施例)にそれぞれ変えたほかは、第1の実
施例と同様に重合し、そして、GPC、TGAおよび比
誘電率の特性を評価した。
【0081】その結果、重量平均分子量については、そ
れぞれ、5,300(第2の実施例)、72,000
(第3の実施例)、77,000(第4の実施例)とい
う結果が得られた。
【0082】また、1%重量減温度に関しては、すべて
のポリマーが400℃以上の値であるものの、第2実施
例のポリマーの重量減温度は第1の実施例のポリマーの
温度よりも若干低く、第3の実施例と第4の実施例のポ
リマーの重量減温度は、第1の実施例のポリマーの重量
減温度とほぼ同等の、500℃以上の高い値が得られ
た。
【0083】さらに比誘電率に関しては、第2〜4の実
施例のポリマーの値は、それぞれ、第1の実施例のポリ
マーの値とほぼ同等で、約2.65であった。
【0084】3.第5および第6の実施例 これらの実施例の有機絶縁膜材料としてのポリマーは、
第1の実施例の、反応温度の60℃を、40℃(第5の
実施例)および50℃(第6の実施例)に変えたほか
は、第1の実施例と同様に重合し、GPC、TGAおよ
び比誘電率の特性を評価した。
【0085】その結果、重量平均分子量については、そ
れぞれ、約62000(第5の実施例)、約68000
(第6の実施例)という値が得られた。
【0086】また、1%重量減温度に関しては、第5の
実施例と第6の実施例のポリマーの重量減温度は、それ
ぞれ、第1の実施例のポリマーの重量減温度とほぼ同等
の、500℃以上の高い値が得られた。
【0087】さらに、比誘電率に関しても、第5および
第6の実施例のポリマーの値は、それぞれ、第1の実施
例のポリマーの値とほぼ同等であった。
【0088】4.第7〜第9の実施例 これらの実施例の有機絶縁膜材料は、第2の実施例の、
第1のモノマーと第2のモノマーの種類を変えたほか
は、第2の実施例と同様にこの発明の有機絶縁膜材料用
のポリマーを重合し、比誘電率のみを評価した。
【0089】すなわち、第7の実施例では、第1のモノ
マーとして、式(3)で表される、1,1,1−トリス
(4−ヒドロキシフェニル)エタンを用い、第2のモノ
マーとして、式(8)で表されるパーフロロナフタレン
を用い、第8の実施例では、第1のモノマーとして、式
(6)で表される、フロログラシノール、第2のモノマ
ーとして、式(7)で表されるパーフロロビフェニルを
用い、第9の実施例では、第1のモノマーとして、式
(2)で表される、α、α、α´、α´−テトラキス
(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、第2のモ
ノマーとして、式(7)で表されるパーフロロビフェニ
ルを用いた。その結果、第7の実施例のポリマーの比誘
電率は2.90、第8の実施例のポリマーの比誘電率は
2.50、第9の実施例のポリマーの比誘電率は2.9
5であった。得られた比誘電率の結果を、前述したとお
り、図3に示す。
【0090】5.参考例1 この参考例の有機絶縁膜材料は、第1の実施例の60℃
という反応温度を、100℃に変え、反応時間を1時間
としたほかは、第1の実施例と同様に有機絶縁膜材料用
のポリマーを重合し、GPC、TGAおよび比誘電率を
評価した。
【0091】その結果、重量平均分子量については、約
14000という結果が得られ、また、1%重量減温度
に関しては、500℃未満であった。但し、比誘電率に
関しては、第1の実施例の値とほぼ同等の低い値であっ
た。
【0092】6.参考例2 この参考例の有機絶縁膜材料は、参考例1の反応時間を
24時間としたほかは、同様に有機絶縁膜材料用のポリ
マーを重合し、GPC、TGAおよび比誘電率を評価し
た。
【0093】その結果、重量平均分子量については、約
29000という結果が得られ、1%重量減温度に関し
ても、500℃未満という値であった。
【0094】但し、比誘電率に関しては、第1の実施例
の値とほぼ同等の低い値であった。
【0095】
【発明の効果】上述した説明から明らかなように、この
発明の製造方法により、1または2以上のベンゼン環を
含み、かつ任意の1または2以上のベンゼン環に少なく
とも1つのヒドロキシル基が直接結合している芳香族化
合物から成る第1のモノマーと、1または2以上のベン
ゼン環を含む芳香族ハロゲン化合物であって、かつ任意
の1または2以上のベンゼン環に少なくとも1つ以上の
ハロゲンが直接結合している芳香族ハロゲン化合物から
成る第2のモノマーとを、塩基性触媒の存在下、所定の
温度で反応させることにより、耐熱性が高く、低い比誘
電率を有する有機絶縁膜材料を、提供することが可能と
なった。
【0096】すなわち、この発明の有機絶縁膜材料は、
1%重量減温度として400℃以上、反応時間等の条件
を選べば、さらに500℃以上の高い値が得られ、40
0℃の温度において実質的に熱分解しない。従って配線
間の接続孔を金属で埋め込むような400℃程度の温度
を必要とするプロセスにも十分に耐え得るので、LSI
用の有機絶縁膜材料として使用できる。
【0097】また、この発明の有機絶縁膜材料の比誘電
率は、3.0未満であり、この材料を用いて絶縁膜(有
機絶縁膜)を形成した場合に、より一層の信号伝搬遅延
の低減効果が期待できる。従って比誘電率の低い有機絶
縁膜を用いた高速LSIの開発が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の、有機絶縁膜材料の熱重量(T
G)チャートおよびDTAチャートを示す図である。
【図2】この発明(第1〜4の実施例)の有機絶縁膜材
料の反応時間と重量平均分子量の変化を示す図である。
【図3】この発明(第1、7〜9の実施例)の有機絶縁
膜材料の比誘電率を示す図である。
【図4】第1の実施例の有機絶縁膜材料のI−V特性を
示す図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1または2以上のベンゼン環を含み、か
    つ任意の1または2以上のベンゼン環に少なくとも1つ
    のヒドロキシル基が直接結合している芳香族化合物から
    成る第1のモノマーと、 1または2以上のベンゼン環を含む芳香族ハロゲン化合
    物であって、かつ任意の1または2以上のベンゼン環に
    少なくとも1つ以上のハロゲンが直接結合している芳香
    族ハロゲン化合物から成る第2のモノマーとを、 塩基性触媒の存在下、80℃未満の反応温度に加熱し、
    脱ハロゲン化水素反応により重合させることを特徴とす
    る有機絶縁膜材料の製造方法(ただし、ベンゼン環は全
    部または一部が縮合ベンゼン環である場合も含む。)。
  2. 【請求項2】 前記脱ハロゲン化水素反応の反応温度
    が、30〜65℃であることを特徴とする請求項1に記
    載の有機絶縁膜材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記脱ハロゲン化水素反応の反応時間
    が、2〜240時間であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の有機絶縁膜材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第1のモノマーが、2,2−ビ−1
    −ナフトールであることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の有機絶縁膜材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第2のモノマーが、パーフルオロビ
    フェニルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の有機絶縁膜材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記塩基性触媒が、炭酸カリウムである
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    有機絶縁膜材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記脱ハロゲン化水素反応を、溶媒とし
    てN,N−ジメチルアセトアミドを用いて、溶液状態で
    行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記
    載の有機絶縁膜材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記脱ハロゲン化水素反応後、第1のモ
    ノマーと第2のモノマーとの反応液を、天然珪藻土を濾
    材として用いて濾過することを特徴とする請求項1〜7
    のいずれか1項に記載の有機絶縁膜材料の製造方法。
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