JPH10245892A - 壁パネル、建物ユニット及び建物ユニットの懸吊方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 懸吊作業において現場工数及び部品数が削減
可能でコストが節減できる懸吊用構造を具備した壁パネ
ル、該壁パネルからなる建物ユニット及び該建物ユニッ
トの懸吊方法を提供する。 【解決手段】 上枠２２、下枠２３及び縦枠２１が組ま
れて形成されてなる壁パネル２ｊであって、該壁パネル
２ｊの側端面の上部に懸吊用金具５が該側端面を形成す
る縦枠２１ａを挿通したピン６により回動自在に掛着さ
れていることを特徴とする壁パネル、該壁パネルからな
る建物ユニット及び該建物ユニットの懸吊方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、懸吊操作に適した
壁パネル、該壁パネルからなる建物ユニット及び建物ユ
ニットの懸吊方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】住宅の工業生産化を図る一方式である建
物ユニット方式は、運搬可能な所定の大きさの立体的な
建物ユニットを工場で組み立て、その複数を建築現場で
接合して建物を完成させるものであるから、建築工事に
おいてこれらの建物ユニットを懸吊することが必要とな
る。

【０００３】安全かつ簡単に懸吊可能な建物ユニットを
与える壁パネル及び建物ユニットとしては、種々の方式
が提案されている。その代表例の一つとして、例えば、
特公昭５９−５０８３５号公報の建物ユニットが挙げら
れる。この提案では、建物ユニットの上部四隅におい
て、該建物ユニットを構成する壁パネルの最外側の縦枠
と該縦枠と隣合う縦枠の間に吊り金具を係止する枠金具
を収め、この枠金具を両縦枠に差し渡したピンで支持せ
しめ、上記枠金具に係止した吊り金具を用いて懸吊する
ようにした建物ユニットである。

【０００４】上記建物ユニットにつき、図６により詳述
する。図６は建物ユニットを構成する壁パネルを外側正
面からみた垂直断面図である。該建物ユニットは、縦枠
２１と上枠２２と下枠２３とによって組み立てられた壁
枠組を有する壁パネルと、根太１１及び床面材１２から
なる床パネル１０から構成されている。最外側の縦枠２
１ａと、これに隣合う縦枠２１ｂは、所定の近接した間
隔を隔てて配設され、両者間に所定の高さの空間３を残
してスペーサー４が挿入されている。２２ａは上枠２２
に穿設されたボルト挿通孔であって空間３に連通してい
る。

【０００５】空間３の上部には、金属製でロ字状の枠金
具５が配置され、該枠金具５の天部内面に溶着ナット５
１が溶着されている。この溶着ナット５１に、ボルト挿
通孔２２ａを通じて懸吊用ボルト（例えば、アイボルト
９）が螺合可能とされている。

【０００６】ピン６は、枠金具５を貫通するとともに、
壁パネルの縦枠２１ａ、２１ｂの挿通孔７ａに挿通して
いる。枠金具５の溶着ナット５１に懸吊用アイボルト９
が螺合され、該アイボルト９に吊り治具（例えば、フッ
ク状治具）にて吊り上げられる際に、上記ピン６が縦枠
２１ａ、２１ｂに保持され、ピン６の剪断力により吊り
上げ可能となされている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の建
物ユニットでは、予め枠金具５を壁パネルの縦枠２１
ａ、２１ｂ間に配置しておく必要があり、またアイボル
ト９の螺合及び取り外しが必要である。このため、アイ
ボルト９の螺合及び取り外しに現場工数を要し、またア
イボルト９が建設現場では紛失しやすくコストロスが頻
発する。さらに、溶着ナット５１を含む枠金具５は、建
物ユニットの吊り上げ作業終了後は無用となるが、回収
は不能で材料及びコストのロスになる。

【０００８】本発明の目的は、上述の事情を考慮してな
されたものであり、懸吊作業において現場工数及び部品
数が削減可能でコストが節減できる懸吊用構造を具備し
た壁パネル、該壁パネルからなる建物ユニット及び該建
物ユニットの懸吊方法を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の壁パネ
ル（以下、本発明１という）は、上枠、下枠及び縦枠が
組まれて形成されてなる壁パネルであって、該壁パネル
の側端面の上部に懸吊用金具が該側端面を形成する縦枠
を挿通したピンにより回動自在に掛着されていることを
特徴とする。

【００１０】請求項２に記載の建物ユニット（以下、本
発明２という）は、方形の床パネルの少なくとも一側縁
に沿って本発明１の壁パネルが立設され、この壁パネル
の上部に天井パネルが取付けられるか、又は取付けられ
ずに組み立てられたことを特徴とする。

【００１１】請求項３に記載の建物ユニットの懸吊方法
（以下、本発明３という）は、本発明２の建物ユニット
の四隅の少なくとも一隅において、該建物ユニットを構
成する本発明１の壁パネルが具備する懸吊用金具により
建物ユニットを懸吊することを特徴とする。

【００１２】

【作用】本発明１の壁パネルは、上枠、下枠及び縦枠が
組まれて形成されてなる壁パネルであって、該壁パネル
の側端面の上部に懸吊用金具が該側端面を形成する縦枠
を挿通したピンにより回動自在に掛着されているので、
従来技術のような枠金具及び懸吊用アイボルトが不要で
あり、アイボルトの螺合、取り外し作業も不要となる。

【００１３】本発明２の建物ユニットは、方形の床パネ
ルの少なくとも一側縁に沿って本発明１の壁パネルが立
設され、この壁パネルの上部に天井パネルが取付けられ
るか、又は取付けられずに組み立てられているので、該
建物ユニットを吊り上げる際に、従来技術のような枠金
具及び懸吊用アイボルトが不要であり、アイボルトの螺
合、取り外し作業も不要となる。

【００１４】本発明３の建物ユニットの懸吊方法は、本
発明２の建物ユニットの四隅の少なくとも一隅におい
て、該建物ユニットを構成する本発明１の壁パネルが具
備する懸吊用金具により建物ユニットを懸吊する方法で
あるので、従来技術のような枠金具が不要であり、また
懸吊用アイボルトの螺合、取り外し作業が不要となる。
さらに、アイボルトが不要となるのでコストロスが削減
される。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて説明する。図１は、本発明１の壁パネルの
実施の一例を示す一部切欠斜視図である。図２は、本発
明で用いられる懸吊用金具の実施の一例を示す斜視図で
ある。図３は図１の片端上部の一部を拡大した斜視図で
ある。なお、図３は壁パネルの壁枠組のみを示し、外壁
材及び内壁材は省略されている。

【００１６】図１に示す壁パネル２ｊは、縦枠２１、２
１、……、上枠２２及び下枠２３により組み立てられた
壁枠組からなる。本実施例では、最外側の縦枠２１ａを
除いた縦枠２１、上枠２２、下枠２３ともに、３８ｍｍ
×８９ｍｍの木材を用い、最外側の縦枠２１ａには８９
ｍｍ×８９ｍｍの木材を用いた。該壁枠組の内外両面に
は内壁材２４及び外壁材２５が設けられ壁パネルを構成
している。該壁パネルの内部には、グラスウール等の断
熱材も装填される。

【００１７】該壁パネル２ｊの側端面の上部に懸吊用金
具５が該側端面を形成する最外側の縦枠２１ａを挿通し
たピン６により回動自在に掛着されている。

【００１８】図２は本発明で用いられる懸吊用金具５及
びピン６を示す。図のように、懸吊用金具５は、長尺の
長方形金属板５１の上部にピン６の挿通孔５３と、下部
に懸吊用治具（例えば、フック状治具１８）を係着する
係着孔５２が穿設されたものである。

【００１９】ピン６は、座金６１付きの金属製丸軸で、
先端には抜け止めるピン６２を挿入する小孔６３が穿設
されている。本実施例では、直径１６ｍｍのものを用い
た。

【００２０】縦枠２１ａには貫通孔７ａが穿設されてお
り、ピン６が懸吊用金具５の挿通孔５３と該貫通孔７ａ
を貫通している。縦枠２１ａを貫通したピン６の先端の
小孔６３に抜け止めるピン６２が挿入され、これにより
懸吊用金具５は縦枠２１ａに掛着される。上記挿通孔５
３はピン６の軸径よりやや大となされており、懸吊用金
具５はピン６を軸として回動自在である。

【００２１】壁パネル２ｊを懸吊する場合には、図３
（イ）に示すように懸吊用金具５をピン６を軸として回
転し、係着孔５２の位置を該壁パネル２ｊよりも上方と
なし、該係着孔５２に例えばフック状治具１８を係着し
て懸吊が可能となる。

【００２２】本実施例では、壁パネル２ｊの両端の側端
面の縦枠２１ａに懸吊用金具５をピン６で掛着した懸吊
用構造となしたが、壁パネルに所望される要件によって
は、片側の端部は、従来技術の懸吊用構造を有する縦枠
（例えば、図６の縦枠２１ａ、２１ｂ）であってもよ
い。

【００２３】図４は、本発明２の建物ユニット１の実施
の一例を示す一部切欠斜視図である。１０は建物ユニッ
トの床パネルであって、根太１１、１１、……によって
方形に組み立てられた上面に床面材１２が取付けられて
いる。２ｊ、２ｊは本発明１の壁パネルであり、壁パネ
ル２ｂは、本発明１と同様、縦枠２１、２１……と上枠
２２と下枠２３により組み立てられた壁枠組を有してお
り、該壁枠組の内外両面には内壁材２４及び外壁材２５
が設けられている。該壁パネルの内部には、グラスウー
ル等の断熱材も装填される。本実施例では、壁パネル２
ｊ、２ｊの一方は開口部Ａを有している。壁パネル２
ｊ、２ｊは、床パネル１０の一対の相対向する側縁に沿
って、又壁パネル２ｂは一側縁に沿って配置され、夫々
床パネル１０へ下枠２３が釘打ちされ立設されている。

【００２４】なお隣合う壁パネル２ｊと２ｂとは、両壁
枠組の最外側の縦枠２１ａを互いに突き合わせて釘打ち
され緊結されている。

【００２５】図４の建物ユニット１は、方形床パネル１
０の対向する１対の側縁に本発明１の壁パネル２ｊが立
設され、上部四隅に図１〜３に示したピン６及び懸吊用
金具５の懸吊用構造を具備しており、本発明１の実施の
一例で上述した通り、該懸吊用構造を利用して懸吊可能
である。

【００２６】図４に例示した建物ユニット１は、床パネ
ル１０の３方の側縁に壁パネルが立設され、対向する壁
パネル２ｊ、２ｊの一方は開口部Ａを有する例であり、
両パネルとも本発明１の壁パネルを用いたが、建物ユニ
ット１に所望される要件によっては壁パネル２ｊ、２ｊ
の一方は従来技術の懸吊用構造を有する壁パネルであっ
てもよい。

【００２７】また、図４に例示した建物ユニット１には
天井パネルは取り付けられていない。それは壁パネルの
上には別途用意した屋根を取り付けるか、或いはこの上
に載置し取り付ける上階の建物ユニットの床パネルを下
階の建物ユニットの天井として利用するようになしたか
らであるが、本発明２の建物ユニット１としては、天井
パネルが取付けられたものであってもよい。

【００２８】図５は本発明３の建物ユニットの懸吊方法
の実施の一例を示す斜視図である。ロープ１７は先端に
フック状治具１８を備えている。建物ユニット１の四隅
の少なくとも１隅において、該建物ユニットを構成する
本発明１の壁パネル２ｊが具備する懸吊用金具５の係着
孔５２に該フック状治具１８を係着し、図５に示す懸吊
用治具１９にて懸吊される。

【００２９】懸吊作業終了後、懸吊用金具５は、図３
（ロ）に示すように、壁パネルの側端面にピン６に掛着
されて残存する。通常、連結する隣の建物ユニットの同
じく懸吊用金具５が残存した壁パネルの側端面同士を突
合せて空隙にコーキング材等を充填し目地材で繋ぐ、等
の工法が採用されてユニット建物に組み付けられる。

【００３０】

【発明の効果】本発明１の壁パネルは、上述の通りの構
成であり、本発明によれば従来技術のような枠金具が不
要であり、また懸吊用アイボルトの螺合、取り外し作業
が不要となる。

【００３１】本発明２の建物ユニットは、上述の通りの
構成であり、本発明によれば該建物ユニットを吊り上げ
る際に、従来技術のような枠金具が不要であり、また懸
吊用アイボルトの螺合、取り外し作業が不要となる。さ
らに、アイボルトが不要となるので、コストロスが削減
される。

【００３２】本発明３の建物ユニットの懸吊方法は、上
述の通りの構成であり、本発明によれば従来技術のよう
な枠金具が不要であり、また懸吊用アイボルトの螺合、
取り外し作業が不要となる。また、アイボルトが不要と
なるので、コストロスが削減され、経済的、かつ簡単で
安全な建物ユニットの懸吊方法である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明１の壁パネルの実施の一例を示す一部切
欠斜視図である。

【図２】本発明で用いられる懸吊用金具及びピンの一例
を示す斜視図である。

【図３】図１の片端上部の一部を拡大した斜視図であ
る。

【図４】本発明２の建物ユニットの実施の一例を示す一
部切欠斜視図である。

【図５】本発明３の建物ユニットの懸吊方法の実施の一
例を示す斜視図である。

【図６】従来の壁パネルの垂直断面図である。

【符号の説明】

１ 建物ユニット １０ 床パネル １１ 根太 １２ 床面材 １７ ロープ １８、１９ 懸吊用治具 ２ｂ、２ｊ 壁パネル ２１ 縦枠 ２２ 上枠 ２３ 下枠 ２４ 内壁材 ２５ 外壁材 ３ 空間 ４ スペーサー ５ 懸吊用金具 ６ ピン ７ａ 貫通孔

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上枠、下枠及び縦枠が組まれて形成され
   てなる壁パネルであって、該壁パネルの側端面の上部に
   懸吊用金具が該側端面を形成する縦枠を挿通したピンに
   より回動自在に掛着されていることを特徴とする壁パネ
   ル。
2. 【請求項２】 方形の床パネルの少なくとも一側縁に沿
   って請求項１記載の壁パネルが立設され、この壁パネル
   の上部に天井パネルが取付けられるか、又は取付けられ
   ずに組み立てられたことを特徴とする建物ユニット。
3. 【請求項３】 請求項２記載の建物ユニットの四隅の少
   なくとも一隅において、該建物ユニットを構成する請求
   項１記載の壁パネルが具備する懸吊用金具により建物ユ
   ニットを懸吊することを特徴とする建物ユニットの懸吊
   方法。