JPH1024238A - 窒素酸化物接触還元除去触媒及び窒素酸化物接触還元除去方法 - Google Patents

窒素酸化物接触還元除去触媒及び窒素酸化物接触還元除去方法

Info

Publication number
JPH1024238A
JPH1024238A JP8199734A JP19973496A JPH1024238A JP H1024238 A JPH1024238 A JP H1024238A JP 8199734 A JP8199734 A JP 8199734A JP 19973496 A JP19973496 A JP 19973496A JP H1024238 A JPH1024238 A JP H1024238A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
manganese oxide
proton
nox
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8199734A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisanori Fujimoto
尚則 藤本
Sakunobu Kanai
作信 金井
Kazuhito Sato
一仁 佐藤
Hideaki Hamada
秀昭 浜田
Yoshiaki Kindaichi
嘉昭 金田一
Hitoshi Inaba
仁 稲葉
Masaaki Haneda
政明 羽田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Japan Petroleum Energy Center JPEC
Original Assignee
SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Agency of Industrial Science and Technology
Petroleum Energy Center PEC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER, Agency of Industrial Science and Technology, Petroleum Energy Center PEC filed Critical SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Priority to JP8199734A priority Critical patent/JPH1024238A/ja
Publication of JPH1024238A publication Critical patent/JPH1024238A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 過剰の酸素が存在する全体として酸化条件下
の雰囲気で、しかも水分が存在する雰囲気であっても、
排ガス中の窒素酸化物を、少量添加したあるいは排ガス
中に存在する炭化水素類の存在下で、幅広い温度領域に
おいて、効率よく還元除去する触媒及びその方法を提供
する。 【解決手段】 触媒は、プロトン型ゼオライトに、触媒
重量に対して1〜40質量%の酸化マンガンを物理混合
により含有してなる。プロトン型ゼオライトはプロトン
型ZSM−5が、酸化マンガンはBET表面積5〜50
/gであることが好ましい。方法は、過剰の酸素及
び水分が存在する酸化雰囲気中で、炭化水素類を還元剤
として、排ガスを上記の触媒に接触させ、窒素酸化物を
還元する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、過剰の酸素が存在
する全体として酸化条件下の雰囲気で、しかも水分(水
蒸気)が存在する雰囲気であっても、排ガス中の窒素酸
化物を、少量添加したあるいは排ガス中に存在する炭化
水素類の存在下で、効率よく還元除去する触媒及びその
方法に関する。
【0002】
【技術背景】種々の内燃機関や燃焼器より排出される窒
素酸化物(以下、「NOx」と記すこともある)は、人
体に悪影響を及ぼすのみならず、光化学スモッグや酸性
雨の発生原因ともなり得るため、環境対策上その低減が
急務となっている。
【0003】従来、このNOxを除去する方法として、
触媒を用いて排ガス中のNOxを低減する方法がいくつ
か実用化されている。例えば、(イ)ガソリン自動車に
おける三元触媒法や、(ロ)ボイラー等の大型設備排出
源からの排ガスについてのアンモニアによる選択的接触
還元法があり、また(ハ)酸化条件下の雰囲気において
炭化水素類を還元剤としてNOxを9還元する方法で、
銅等の金属を含むアルミナ等の金属酸化物、あるいは種
々の金属を担持させたゼオライトが触媒として用いられ
る(特開昭63−100929号、特開昭63−283
727号等)。
【0004】(イ)の方法は、ガソリン自動車の燃焼排
ガス中に含まれる炭化水素成分と一酸化炭素を白金族を
含有する触媒により水と二酸化炭素とし、同時にNOx
を還元して窒素とするものである。しかし、この方法で
は、NOx中に含まれる酸素量を含め、炭化水素成分及
び一酸化炭素が酸化されるのに必要とする酸素量が化学
量論的に等しくなるように酸素濃度を調節する必要があ
り、ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンのよう
に排ガス中に多量の酸素を含む雰囲気下では、原理的に
適用不可能であると言う問題がある。最近、特定の炭化
水素類の存在下での上記触媒のNOx低減効果が報告さ
れるようになったが、その浄化率は未だ低く、還元生成
物に関しても課題解決には至っていない。
【0005】(ロ)の方法では、有毒で、かつ多くの場
合高圧ガスとして用いなければならないアンモニアを用
いるため、取り扱いが容易でなく、しかも設備が巨大化
し、小型の排ガス発生源、特に移動性発生源に適用する
ことは技術的に困難である上、経済性も良くないと言う
問題がある。
【0006】(ハ)の方法は、酸化雰囲気においてもN
Oxを除去できる新しい方法として注目されている。し
かし、水蒸気により触媒の活性点が覆われ、NOx除去
活性の低下をもたらすため、これまで提案されている銅
等を担持したゼオライト、アルミナ等の触媒は、ディー
ゼルエンジンやリーンバーンエンジンからの排ガスに含
まれるNOxを除去するには適さない。活性金属として
貴金属を使用した場合は、触媒が高価となるため、多量
の貴金属を使用する触媒は、実用性がない。
【0007】以上の外にも、(ニ)酸化マンガンを物理
混合したCeイオン交換ZSM−5が、非常に高活性を
示すことが報告されている。しかし、この触媒の評価
は、水蒸気不存在下のみの評価であり、水蒸気の存在下
では、活性が低くなる。
【0008】また、最近、(ホ)酸化マンガンを物理混
合したSnイオン交換ZSM−5が、水蒸気存在下で高
活性を示すことが発表されている。しかし、Snという
特殊な金属を使用しているため、触媒調製の容易さを欠
くのみならず、触媒の安定性も高くないことが予想され
る。
【0009】さらに、(ヘ)特公平7−106300号
公報において、水素化したゼオライト触媒、又はこれに
金属酸化物を担持した触媒が、有機化合物の存在下で、
酸素及び水分を含有する燃焼排ガス中のNOxを除去す
ることを紹介している。しかし、この触媒が高い活性を
示すのは、SV=2500hr−1というマイルドな条
件下の、反応温度400℃の場合に過ぎない。自動車排
ガスのように、ガス温度が頻繁かつ多様に変化する排ガ
ス中のNOx除去に使用するには、幅広い温度範囲で高
活性を示す触媒である必要がある。
【0010】以上のようにな実情下において、過剰の酸
素と多量の水蒸気が存在する雰囲気においても、幅広い
温度範囲で高い還元性能を示し、かつ安価に製造できる
NOx還元除去触媒の開発が望まれている。
【0011】
【発明の目的】本発明は、上記の要請に応えるためなさ
れたもので、酸化雰囲気で、しかも水蒸気存在下におい
ても、ガソリン機関はもちろんのこと、ディーゼル機関
の排ガスをはじめ、種々の設備から発生する排ガス中の
窒素酸化物を、効率よく還元除去することができるのみ
ならず、前記した従来の触媒に存在する種々の問題のな
い触媒と、この触媒を使用して特定条件下の排ガス中の
NOxを、幅広い温度領域において高効率で還元除去す
る方法とを提供することを目的とする。
【0012】
【発明の概要】本発明の触媒は、プロトン型ゼオライト
と酸化マンガンとを物理混合した触媒であり、触媒重量
に対して酸化マンガンを1〜40質量%含有することを
特徴とし、その好ましい実施態様(すなわち本発明のN
Ox除去方法)は、過剰の酸素が存在する酸化雰囲気
で、しかも過剰の水蒸気が存在している雰囲気中で使用
され、炭化水素類を還元剤とするものである。
【0013】本発明の触媒の構成主成分であるプロトン
型ゼオライトは、ゼオライトをアンモニウムイオンでイ
オン交換したものを、空気中で焼成してプロトン型とし
たものである。このゼオライトは、Si/Al比に拘ら
ず、ゼオライトの骨格構造を有するものであれば、どの
ようなものでも使用することができる。具体的には、プ
ロトン型ZSM−5、プロトン型Y型ゼオライト、プロ
トン型モルデナイト等が好ましく使用できるが、特にプ
ロトン型ZSM−5が好ましい。
【0014】上記のプロトン型ゼオライトに物理混合さ
れる酸化マンガンは、主に、Mnである。酸化マ
ンガンの調製法は、沈殿法、熱分解法、その他、Mn
を生成する方法であれば、どのような方法であって
もよい。沈殿法は、マンガン溶液に沈殿剤を添加して生
じさせたマンガン含有沈殿物を焼成することによりMn
を生成する方法であって、マンガン溶液としては
硝酸マンガンや酢酸マンガン等が使用でき、沈殿剤とし
ては炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムあるいはアンモ
ニア等が使用できる。また、熱分解法は、マンガン化合
物を熱分解(焼成)してMnを生成する方法であ
って、マンガン化合物としては、炭酸マンガン、酢酸マ
ンガン、硝酸マンガン等が使用できる。中でも、マンガ
ン溶液として硝酸マンガンを、沈殿剤として炭酸ナトリ
ウムをそれぞれ用いた沈殿法で得られるMnが、
最も顕著な活性向上を示す触媒を得る上で好ましい。
【0015】上記の焼成は、空気焼成により行われ、こ
のときの温度は、約300〜800℃、好ましくは約4
00〜600℃であり、時間は、約1〜10時間、好ま
しくは約2〜6時間である。焼成温度が低すぎたり、焼
成時間が短かすぎると、上記のマンガン化合物の酸化が
十分に進行せず、逆に、焼成が高温度、長時間に及ぶ
と、酸化マンガンの凝集やシンタリングが起き、活性が
低下してしまう。
【0016】本発明の触媒における酸化マンガンの含有
量は、触媒重量に対して1〜40質量%であり、好まし
くは2〜30質量%である。前述したように、水蒸気が
存在すると、一般には、触媒の活性は著しく低下する
が、酸化マンガンを含有させると、水蒸気が存在してい
ても、活性低下はほとんど見られず、逆に、水蒸気が存
在することにより、一部の触媒では高効率でNOx還元
できる温度領域(ウィンドウ)の幅が広がる。酸化マン
ガンの含有量が1質量%未満では、この効果が発現しな
いか、発現したとしても小さ過ぎで実用性がなく、40
質量%を超えると、却って水蒸気存在下での活性が低下
してしまう。
【0017】ただし、上記の効果を効果的に発現させる
には、酸化マンガンのBET表面積が、5〜50m
g、好ましくは9〜30m/gであることが適してい
る。
【0018】また、酸化マンガンをプロトン型ゼオライ
トに含有させる際に、物理混合法を採用する場合には、
酸化マンガン含有による上記効果が顕著に発現し、イオ
ン交換法や含浸法を採用する場合は、酸化マンガン含有
による上記の効果を発現させることが極めて困難とな
る。
【0019】上記の物理混合とは、焼成後の酸化マンガ
ンと焼成後のプロトン型ゼオライトの2種類の粉末を物
理的に混合することを言い、具体的な方法としては、酸
化マンガンとプロトン型ゼオライトの粉末を均一になる
まで振り混ぜる方法、乳鉢ですりつぶして混合する方法
等が挙げられる。なお、より均一に混合させるために、
物理混合を行う前に、焼成後の酸化マンガン、焼成後の
プロトン型ゼオライトのそれぞれを乳鉢ですりつぶして
おいてもよい。2種類の粉末はいずれも焼成後に混合
し、その後焼成は行わないため、各々の粉末間の化学的
作用は考えられず、物理混合後の状態は単純に混じり合
っている状態と考えられる。
【0020】本発明の触媒は、その形状や構造は、何ら
制限されるものではなく、プロトン型ゼオライトと酸化
マンガンとを物理混合したままの粉末状や顆粒状のまま
でもよいし、ペレット状、ハニカム構造物等に成形した
ものであってもよい。成形触媒とするときは、一般に、
無機酸化物の成形に用いられる粘結剤乃至バインダー、
例えばシリカゾルやポリビニルアルコ−ル等を用いるこ
とができ、また必要に応じて、潤滑剤として、黒鉛、ワ
ックス、脂肪酸塩、カ−ボンワックス等を用いることも
できる。
【0021】本発明の触媒による基本的なNOx還元除
去反応は、NOxとして一酸化窒素(NO)、炭化水素
類としてプロピレンをそれぞれ例に採れば、例えば化1
に示す反応式によるものと推測される。
【0022】
【化1】12NO+3O+2C→6N+6C
+6H
【0023】すなわち、NOをNにまで還元させるに
は、CがCO(場合によってはCO)とH
にまで酸化されることが必要であり、Cの酸化が
進行しなければ、NOのNへの還元も進行しない。
【0024】なお、本発明の触媒によるNOの還元除去
反応において、水蒸気共存下では、還元生成物の殆どは
であり、極く僅かにNOの生成が認められるだけ
である。
【0025】本発明において、処理対象となるNOx含
有ガスとしては、ディーゼル自動車や定置式ディーゼル
機関等のディーゼル排ガス、ガソリン自動車等のガソリ
ン機関排ガスをはじめ、硝酸製造設備、各種燃焼設備等
の排ガスを挙げることができる。
【0026】これら排ガス中のNOxを本発明の方法に
より除去するには、上記した本発明の触媒に、過剰の酸
素と水分とを含む酸化雰囲気中、炭化水素類の存在下
で、排ガスを接触させることにより行う。
【0027】ここで、酸化雰囲気とは、排ガス中に含ま
れる一酸化炭素、水素及び炭化水素類と、本発明におい
て必要に応じて添加される炭化水素類とからなる還元剤
を、完全に酸化して二酸化炭素と水に変換するのに必要
な酸素量よりも過剰な酸素が含まれている雰囲気を言
う。したがって、例えば、自動車等の内燃機関から排出
される排ガスの場合には、空燃比が大きい状態(リーン
領域)の雰囲気である。
【0028】また、本発明において、水分が存在する雰
囲気とは、5〜20%程度の水分を含む雰囲気を指し、
種々の内燃機関や燃焼器からの排ガスがこれに相当す
る。
【0029】このような過剰の酸素と水分とが存在する
酸化雰囲気においては、本発明の触媒は、炭化水素類と
酸素との反応よりも、炭化水素類とNOxとの反応を優
先的に促進させて、NOxを還元分解し、しかも水分不
存在下での酸化雰囲気に比して、高いNOx還元分解効
率を示す温度領域を拡大させる。
【0030】なお、この水分存在下での本発明の触媒の
特性は、酸化雰囲気で良好に発現するが、還元雰囲気で
は発現しないので、酸化雰囲気中にて反応を行わせるこ
とが重要である。
【0031】存在させる炭化水素類、すなわちNOxを
還元除去する還元剤としては、排ガス中に残存する炭化
水素や燃料等の不完全燃焼生成物であるパティキュレー
ト等でもよいが、これらが上記反応を促進させるのに必
要な量よりも不足している場合には、外部より炭化水素
類を添加する必要がある。
【0032】存在させる炭化水素類の量は、特に制限さ
れず、例えば、要求されるNOx除去率が低い場合に
は、NOxの還元除去に必要な理論量より少なくてよい
場合がある。ただし、必要な理論量より過剰な方が還元
反応がより良好に進むので、一般的には過剰に添加する
のが好ましい。通常は、炭化水素類の量は、NOxの還
元除去に必要な理論量の約20〜2000%過剰、好ま
しくは約30〜1500%過剰に存在させることが望ま
しい。
【0033】ここで、必要な炭化水素類の理論量とは、
反応系内に酸素が存在するので、本発明では、二酸化窒
素(NO)を還元除去するのに必要な炭化水素類と定
義するものであり、例えば、炭化水素としてプロピレン
を用い、1000ppmの一酸化窒素(NO)を酸素存
在下で還元分解する際のプロピレンの理論量は220p
pmである。一般的には、排ガスのNOx量にもよる
が、存在させる炭化水素類の量は、メタン換算で約50
〜10000ppm程度である。
【0034】ここで、メタン換算とは、炭素数2以上の
炭化水素について、その量(ppm)にその炭素数を乗
じた値を言う。したがって、プロピレン250ppm
は、メタン換算にて750ppmである。
【0035】本発明の触媒によってNOxを還元させる
際に使用する還元剤としては、可燃性の有機化合物等の
含炭素物質であればどのような物質も有効であるが、実
用性から、窒素、硫黄、ハロゲン等の化合物は、価格、
二次的な有害物質の発生、あるいは触媒毒となり得る等
の問題が多く、また、カーボンブラック、石炭等の固体
物質は、触媒層への供給、触媒との接触等の点から一般
に好ましくなく、炭化水素類が適している。そして、触
媒層への供給の点からは気体状または液体状のものが、
また、反応の点からは反応温度で気化するものが好まし
い。
【0036】本発明における炭化水素類の具体例として
は、常温、常圧で気体状のものとしてメタン、エタン、
プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン等の炭化水素
ガスが、液体状のものとしてペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタン、オクテン、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の単一炭化水素や、ガソリン、灯油、軽油、重油
等の鉱油系炭化水素が例示される。これらの炭化水素類
は、一種のみを使用してもよいが、二種以上を組み合わ
せて使用してもよい。
【0037】なお、排ガス中に存在する燃料等の未燃焼
ないし不完全燃焼生成物、すなわち炭化水素類やパティ
キュレ−ト類等も還元剤として有効であり、これらも本
発明における炭化水素類に含まれる。このことから、本
発明の触媒は、排ガス中の炭化水素類やパティキュレ−
ト等の減少・除去触媒としての機能をも有しているとい
うことができる。
【0038】本発明におけるNOx還元除去反応は、本
発明の触媒を配置した反応器内に、水分が存在する酸化
雰囲気中で、炭化水素類を存在させて、NOx含有排ガ
スを通過させることにより行う。このときの反応温度
は、酸化マンガンの含有量やBET表面積、あるいは炭
化水素類の種類により異なり、一概には決められない
が、排ガスの温度に近い温度が、排ガスの加熱設備等を
必要としないので好ましく、一般には約200〜600
℃、好ましくは約250〜500℃の範囲が適してい
る。
【0039】反応圧力は、特に制限されず、加圧下でも
減圧下でも反応は進むが、通常の排気圧で排ガスを触媒
層へ導入して、反応を進行させるのが便利である。空間
速度は、触媒の種類、他の反応条件、必要なNOx除去
率等で決まり、特に制限はないが、概して、約500〜
200000hr−1、好ましくは約1000〜100
000hr−1の範囲が適している。
【0040】なお、本発明において、内燃機関からの排
ガスを処理する場合は、本発明の触媒は、排気マニホ−
ルドの下流に配置するのが好ましい。
【0041】また、本発明において排ガスを処理した場
合、処理条件によっては、未燃焼の炭化水素類や一酸化
炭素のような公害の原因となる不完全燃焼生成物が処理
ガス中に排出される場合がある。このような場合の対策
として、本発明の触媒(以下、「還元触媒」と記す)で
処理したガスを酸化触媒に接触させる方法を採用するこ
とができる。
【0042】使用することができる酸化触媒としては、
一般に上記の不完全燃焼生成物を完全燃焼させる触媒で
あればどのような触媒でもよいが、活性アルミナ、シリ
カ、ジルコニア等の担体に、白金、パラジウム、ルテニ
ウム等の貴金属、ランタン、セリウム、銅、鉄、モリブ
デン等の卑金属酸化物、あるいは三酸化コバルトランタ
ン、三酸化鉄ランタン、三酸化コバルトストロンチウム
等のペロブスカイト型結晶構造物等の触媒成分を、単独
または2種以上を組み合わせて担持させたものが挙げら
れる。これらの触媒成分の担持量は、貴金属では担体に
対して約0.01〜5wt%程度であり、卑金属酸化物
では約5〜70wt%程度である。勿論、特に卑金属酸
化物等では、担体に担持しないで使用することもでき
る。
【0043】酸化触媒の形状、成形等の目的で添加する
添加物については、還元触媒の場合のそれと同様であ
り、種々のものを使用することができる。
【0044】上記の還元触媒と酸化触媒の使用比率や、
酸化触媒に担持させる触媒成分量等は、要求性能に応じ
て適宜選択可能である。また、特に酸化除去する物質が
一酸化炭素のような炭化水素の中間生成物である場合に
は、還元触媒と酸化触媒とを混合して使用することも可
能であるが、一般には、還元触媒を排気上流側に、酸化
触媒を排気下流側に配置する。
【0045】上記の一般的な使用方法をより具体的に説
明するならば、還元触媒を配置した反応器を排ガス導入
部(前段)に、酸化触媒を配置した反応器を排ガス排出
部(後段)に配置する方法や、一つの反応器に夫々の触
媒を要求性能に応じた比率で配置する方法等がある。ま
た、還元触媒(A)と酸化触媒(B)の比率は、一般に
は、(A)/(B)で表して約0.5〜9.5/9.5
〜0.5の範囲で用いられる。
【0046】酸化触媒の使用温度は、還元触媒の使用温
度と同じでなくてもよいが、一般には、前述の還元触媒
の使用温度の範囲内で使用できるものを選択するのが、
加熱冷却設備を特に必要とせず好ましい。
【0047】
【実施例】
〔触媒の調製〕 (a)プロトン型ZSM−5(H−ZSM−5)の調
製:水1200gにケイ酸ナトリウム957gを溶解さ
せた水溶液中に、水1600gに硫酸アルミニウム41
gと、濃硫酸80gと、塩化ナトリウム360gとを溶
解させた水溶液を、30分で徐々に攪拌しながら加え、
混合した。さらに、臭化テトラプロピルアンモニウム1
20gを加え、pH10に調整した。この混合液をオー
トクレーブに仕込み、165℃で16時間攪拌したとこ
ろ、結晶化した。
【0048】この結晶生成物を分離後、水洗、乾燥して
基材となるSiO/Al=62.7のペンタシ
ル型であるZSM−5ゼオライトを得た。このペンタシ
ル型ゼオライト20gを、硝酸アンモニウム1mol/
lの溶液500mlに投入し、1昼夜攪拌しながら、還
流後、遠心分離した。これを純水で5回洗浄し、110
℃で終夜乾燥後、500℃で3時間空気焼成してプロト
ン型ZSM−5ゼオライトを調製した。
【0049】(b)プロトン型モルデナイト(H−モル
デナイト)の調製:硝酸アンモニウム1mol/lの溶
液500mlに、市販のナトリウム型モルデナイト(S
iO/Al=20.1)20gを投入し、1昼
夜攪拌しながら、還流後、遠心分離した。これを純水で
5回洗浄し、110℃で終夜乾燥後、500℃で3時間
空気焼成してプロトン型モルデナイトを調製した。
【0050】(c)プロトン型Y型ゼオライト(H−Y
ゼオライト)の準備:市販のプロトン型安定化Y型ゼオ
ライト(SiO/Al=49.7)を用意し
た。
【0051】(d)酸化マンガン(Mn)の調
製: 1)BET表面積25.4m/gの酸化マンガンの調
製:0.4mol/l濃度の硝酸マンガン水溶液150
mlをスターラーで攪拌しながら、0.72mol/l
濃度の炭酸ナトリウム水溶液100mlをゆっくり滴下
し、沈殿物を析出させた。析出した沈殿物から濾過洗浄
によりナトリウムイオンを除去した後、100℃で乾燥
した。乾燥した沈殿物を空気中で徐々に昇温し、最終的
に500℃で4時間焼成して酸化マンガンを得た。この
酸化マンガンは、X線回折測定によりMnとなっ
ていることを確認した。また、この酸化マンガンのBE
T表面積を測定したところ、25.4m/gであっ
た。
【0052】2)BET表面積9.9m/gの酸化マ
ンガンの調製:焼成温度を600℃にした以外は、BE
T表面積25.4m/gのものと同様にして、BET
表面積9.9m/gの酸化マンガンを得た。
【0053】3)BET表面積5.8m/gの酸化マ
ンガンの調製:焼成温度を700℃にした以外は、BE
T表面積25.4m/gのものと同様にして、BET
表面積5.8m/gの酸化マンガンを得た。
【0054】4)BET表面積3.5m/gの酸化マ
ンガンの調製:市販の酢酸マンガンを空気中で徐々に昇
温し、最終的に500℃で4時間焼成して、BET表面
積3.5m/gの酸化マンガンを得た。
【0055】上記のように得られたプロトン型ゼオライ
トと、各種BET表面積の酸化マンガンとを、正確に量
り採り、試薬瓶の中で振り混ぜて混合するだけで、本発
明の触媒を調製した。
【0056】〔NOx還元除去の評価方法〕以下に示す
ように、水蒸気を含む場合と、含まない場合との両方に
ついて検討を行った。
【0057】(a)水蒸気を含む場合:以上のようにし
て調製した各触媒0.2gを常圧流通式反応装置に充填
し、約900ppmのNO、約9体積%の酸素、約90
0ppmのプロピレン、及び約8体積%の水蒸気を含む
ヘリウムバランスのガスを、毎分66mlの流速(W/
F=0.19g・s/cc、GHSV=約10000h
−1に相当)で流して反応を行った。反応ガスの分析
は、ガスクロマトグラフを用いて行った。NOの還元除
去率は、Nの収率から求めた。結果を表に示した。
【0058】表中の各項目の内容は以下の通り。 NO転化率:反応ガス中のNOがどの程度還元されたか
の割合。 N収率:還元されたNOのうちNになったもの。 NO収率:還元されたNOのうちNOになったも
の。 ここで、NO転化率=N収率+NO収率となる。ま
た、N選択率=N収率/NO転化率×100であ
る。
【0059】(b)水蒸気を含まない場合:水蒸気が無
い分ヘリウム流量を増加させた以外は、水蒸気を含む場
合と同様にして反応を行った。
【0060】実施例1 プロトン型ZSM−5に、BET表面積25.4m
gの酸化マンガンを触媒重量に対して5wt%物理混合
して得た触媒についてのNOx除去評価結果を表1に示
した。
【0061】実施例2 プロトン型ZSM−5に、BET表面積9.9m/g
の酸化マンガンを触媒重量に対して5wt%物理混合し
て得た触媒についてのNOx除去評価結果を表2に示し
た。
【0062】実施例3 プロトン型ZSM−5に、BET表面積5.8m/g
の酸化マンガンを触媒重量に対して5wt%物理混合し
て得た触媒についてのNOx除去評価結果を表3に示し
た。
【0063】実施例4 プロトン型ZSM−5に、BET表面積3.5m/g
の酸化マンガンを触媒重量に対して5wt%物理混合し
て得た触媒についてのNOx除去評価結果を表4に示し
た。
【0064】実施例5 プロトン型ZSM−5に、BET表面積25.4m
gの酸化マンガンを触媒重量に対して20wt%物理混
合して得た触媒についてのNOx除去評価結果を表5に
示した。
【0065】実施例6 プロトン型Y型ゼオライトに、BET表面積25.4m
/gの酸化マンガンを触媒重量に対して5wt%物理
混合して得た触媒についてのNOx除去評価結果を表6
に示した。
【0066】実施例7 プロトン型モルデナイトに、BET表面積25.4m
/gの酸化マンガンを触媒重量に対して5wt%物理混
合して得た触媒についてのNOx除去評価結果を表7に
示した。
【0067】比較例1 酸化マンガンを添加せず、プロトン型ZSM−5のみを
触媒として用いたNOx除去評価結果を表8に示した。
表8より、水蒸気の有無に関係なく活性が低いが、特に
水蒸気存在下では低活性となることが判る。
【0068】比較例2 プロトン型ZSM−5に、BET表面積25.4m
gの酸化マンガンを触媒重量に対して50wt%物理混
合して得た触媒についてのNOx除去評価結果を表9に
示した。表9より、水蒸気が存在しない場合は非常に高
活性であるが、水蒸気が存在すると急激に活性が低下す
ることが判る。
【0069】比較例3 ナトリウム型ZSM−5に、BET表面積25.4m
/gの酸化マンガンを触媒重量に対して5wt%物理混
合して得た触媒についてのNOx除去評価結果を表10
に示した。表10より、水蒸気不存在下では非常に高活
性であるが、水蒸気存在下では急激に活性が低下し、活
性が殆どなくなることが判る。
【0070】比較例4 SiOに、BET表面積25.4m/gの酸化マン
ガンを触媒重量に対して5wt%物理混合して得た触媒
についてのNOx除去評価結果を表11に示した。表1
1より、水蒸気の有無に関係なくNOx還元活性を示さ
ないことが判る。
【0071】比較例5 Alに、BET表面積25.4m/gの酸化マ
ンガンを触媒重量に対して5wt%物理混合して得た触
媒についてのNOx除去評価結果を表12に示した。表
12より、水蒸気が存在しない場合は高活性であるが、
水蒸気が存在すると急激に活性が低下し、活性は殆どな
くなることが判る。
【0072】比較例6 プロトン型ZSM−5に、酸化マンガンを触媒重量で5
wt%含浸法により担持して得た触媒についてのNOx
除去評価結果を表13に示した。表13より、物理混合
の場合に比して、全体的にNOx還元活性が低いことが
判る。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
【表9】
【0082】
【表10】
【0083】
【表11】
【0084】
【表12】
【0085】
【表13】
【0086】表1〜13から明らかなように、本発明の
触媒によれば、水蒸気が存在する雰囲気においてもNO
x還元活性低下が小さく、また一部の触媒では水蒸気が
存在することにより高効率でNOx還元できる温度領域
(ウィンドウ)の幅が広がることが判る。また、比較の
触媒では、水蒸気が存在することにより、大きく活性が
低下することが判る。
【0087】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の触媒にお
いては、水蒸気が存在しても、活性低下はほとんど見ら
れず、逆に、水蒸気が存在することにより一部の触媒で
は高効率でNOx還元できる温度領域(ウィンドウ)の
幅が広がる効果を奏する。このような特性を有する本発
明の触媒は、排ガスの温度に変動のある内燃機関からの
水蒸気を含む排ガスの浄化用触媒として非常に有意義で
ある。
【0088】また、本発明の触媒は、前述した(ホ)の
公知の酸化マンガンを物理混合したSnイオン交換ZS
M−5とほぼ同等の触媒活性を有し、しかもこのSnイ
オン交換ZSM−5のような活性金属の使用を要せず、
触媒コストを低減することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金井 作信 茨城県岩井市矢作3004−67 (72)発明者 佐藤 一仁 埼玉県幸手市権現堂1134−2 (72)発明者 浜田 秀昭 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 金田一 嘉昭 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 稲葉 仁 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 羽田 政明 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロトン型ゼオライトに、触媒重量に対
    して1〜40質量%の酸化マンガンを物理混合により含
    有してなる窒素酸化物接触還元除去触媒。
  2. 【請求項2】 プロトン型ゼオライトが、プロトン型Z
    SM−5であることを特徴とする請求項1記載の窒素酸
    化物接触還元除去触媒。
  3. 【請求項3】 酸化マンガンが、BET表面積5〜50
    /gであることを特徴とする請求項1〜2記載の窒
    素酸化物接触還元除去触媒。
  4. 【請求項4】 過剰の酸素及び水分が存在する酸化雰囲
    気中で、還元剤として炭化水素類、触媒として請求項1
    〜3記載の窒素酸化物接触還元除去触媒を使用すること
    を特徴とする窒素酸化物接触還元除去方法。
JP8199734A 1996-07-10 1996-07-10 窒素酸化物接触還元除去触媒及び窒素酸化物接触還元除去方法 Pending JPH1024238A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8199734A JPH1024238A (ja) 1996-07-10 1996-07-10 窒素酸化物接触還元除去触媒及び窒素酸化物接触還元除去方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8199734A JPH1024238A (ja) 1996-07-10 1996-07-10 窒素酸化物接触還元除去触媒及び窒素酸化物接触還元除去方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1024238A true JPH1024238A (ja) 1998-01-27

Family

ID=16412745

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8199734A Pending JPH1024238A (ja) 1996-07-10 1996-07-10 窒素酸化物接触還元除去触媒及び窒素酸化物接触還元除去方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1024238A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6770251B2 (en) 2000-06-28 2004-08-03 Ict. Co., Ltd. Exhaust gas purifying catalyst

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6770251B2 (en) 2000-06-28 2004-08-03 Ict. Co., Ltd. Exhaust gas purifying catalyst

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0938464A (ja) 排ガス浄化用触媒及びこれを使用した排ガスの浄化方法
JP2645614B2 (ja) 窒素酸化物を含む排ガスの浄化方法
JP2691643B2 (ja) 排ガスの浄化方法
JP2547124B2 (ja) 窒素酸化物の還元除去方法
JP3808961B2 (ja) 窒素酸化物の接触還元除去触媒
JP3711363B2 (ja) 窒素酸化物接触還元除去触媒及び窒素酸化物接触還元除去方法
JP2506598B2 (ja) 窒素酸化物の除去方法
JPH1024238A (ja) 窒素酸化物接触還元除去触媒及び窒素酸化物接触還元除去方法
JP3510908B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP3298133B2 (ja) コバルト及びパラジウム含有ゼオライトの製造方法並びに排ガス浄化方法
JP3985301B2 (ja) 排気ガス浄化触媒及びこれを用いた浄化方法
JP2553433B2 (ja) 排ガス中の窒素酸化物を除去する方法
JP2691644B2 (ja) 排ガス中の窒素酸化物の除去方法
JP3711361B2 (ja) 窒素酸化物接触還元除去触媒およびその製造方法
JP2506578B2 (ja) 窒素酸化物を含有する排ガスの浄化処理方法
JP3087321B2 (ja) 排ガス浄化触媒および排ガス浄化方法
JP2506579B2 (ja) 窒素酸化物含有排ガスの浄化処理方法
JP2506589B2 (ja) 排ガス中の窒素酸化物の除去方法
JP2004009034A (ja) 窒素酸化物を接触的に除去する方法とそのための触媒
JPH0751542A (ja) 排気ガス浄化方法
JPH08243355A (ja) 窒素酸化物の接触還元除去方法
JPH08173768A (ja) 窒素酸化物の接触還元方法
JPH09173779A (ja) 窒素酸化物の還元除去方法
JPH06198173A (ja) 排ガス浄化用触媒および窒素酸化物の浄化方法
JPH10180105A (ja) 窒素酸化物除去用酸化物触媒材料並びに窒素酸化物除去方法