JP2506578B2 - 窒素酸化物を含有する排ガスの浄化処理方法 - Google Patents

窒素酸化物を含有する排ガスの浄化処理方法

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JP2506578B2
JP2506578B2 JP3033524A JP3352491A JP2506578B2 JP 2506578 B2 JP2506578 B2 JP 2506578B2 JP 3033524 A JP3033524 A JP 3033524A JP 3352491 A JP3352491 A JP 3352491A JP 2506578 B2 JP2506578 B2 JP 2506578B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、過剰の酸素が存在する
全体として酸化条件下において、排ガスを、少量添加し
た炭化水素類若しくは含酸素化合物、あるいは排ガス中
に存在する炭化水素類若しくは含酸素化合物の存在下
で、特定の触媒と接触させて、該排ガス中の窒素酸化物
を除去する窒素酸化物を含有する排ガスの浄化処理方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の排ガス中の窒素酸化物(以下、
“NOx”)は、健康に有害であり、かつ光化学スモッ
グや酸性雨の発生原因ともなり得るため、その効果的な
除去手段の開発が望まれている。
【0003】従来、このNOxの除去方法として、触媒
を用いて排ガス中のNOxを低減する方法が既にいくつ
か実用化されている。例えば、(イ)ガソリン自動車に
おける三元触媒法や、(ロ)ボイラー等の大型設備排出
源からの排ガスについてアンモニアを用いる選択的接触
還元法が挙げられる。また、その他の提案されている方
法としては、(ハ)炭化水素を用いる排ガス中のNOx
除去方法として、銅等の金属を担持させたアルミナ等の
金属酸化物を触媒として炭化水素の存在下でNOxを含
むガスと接触させる方法(特開昭63−100919号
公報等)がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記(イ)の方法は、
自動車の燃焼排ガス中に含まれる炭化水素成分と一酸化
炭素を触媒によって水と二酸化炭素とし、同時にNOx
を還元して窒素とするものであるが、NOxに含まれる
酸素量と、炭化水素成分及び一酸化炭素が酸化されるの
に必要とする酸素量とが化学量論的に等しくなるように
燃焼を調整する必要があり、ディーゼル機関のように過
剰の酸素が存在する系では、原理的に適用は不可能であ
る等の重大な問題がある。
【0005】また、(ロ)の方法では、非常に有毒であ
り、かつ多くの場合高圧ガスとして取扱わねばならない
アンモニアを用いるため、取扱が容易でなく、しかも設
備が巨大化し、小型の排ガス発生源、特に移動性発生源
に適用することは技術的に極めて困難である上、経済性
もよくない。
【0006】一方、(ハ)の方法は、ガソリン自動車を
主な対象としており、ディーゼル機関の排ガス条件下で
は適用が困難であると共に、触媒の活性も不充分であ
る。すなわち、アルミナに銅等を担持した触媒では、デ
ィーゼル機関から排出される硫黄酸化物により被毒され
るばかりでなく、添加した金属の凝集等による触媒の活
性低下も起こるため、ディーゼル機関からの排ガス中の
NOxを除去するには適さず、実用化には至っていな
い。
【0007】本発明は、以上の(イ)〜(ハ)に存在す
る各種の問題について検討した結果なされたものであっ
て、酸化雰囲気において、ガソリン機関は勿論のこと、
ディーゼル機関の排ガスをはじめ、種々の設備から発生
する排ガス中のNOxを効率良く除去することができる
排ガス中の窒素酸化物の除去方法を提案することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者等は、
上記目的を達成するために、研究を重ねた結果、特定の
触媒を用いることにより、硫黄酸化物が含まれている排
ガスにおいても、活性の低下を引き起こすことなく、効
率的にNOxを除去することができることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の窒素酸化物を含有する
排ガスの浄化処理方法は、過剰の酸素が存在する酸化雰
囲気中、炭化水素類若しくは含酸素化合物の存在下にお
いて、遷移金属イオン交換処理した金属酸化物を含んで
なる触媒とNOxを含む排ガスとを接触させることを特
徴とし、また上記と同一条件で上記の触媒と接触させ、
次いで該排ガスを酸化触媒に接触させることをも特徴と
する。
【0010】以下、本発明方法の詳細を作用と共に説明
する。本発明方法において、触媒の構成成分として使用
する金属酸化物は、イオン交換能を有するものであれば
よく、従ってイオン交換能を有する水酸化物及び水酸化
物と酸化物との中間的な化学組成を有する含水酸化物
も、この金属酸化物に含まれる。
【0011】単独金属酸化物(金属種が1種の酸化物)
では、Al,Fe,Ce,Sb等の多価金属の酸化物が
イオン交換能を有するが、Si,Sn,Ti,Zr等の
周期表の第IV族の元素の酸化物等がよく例示される
〔例えば、A.Clearfield(編)Inorg
nic Ion Exchange Material
s,CRC Press Inc.1982年,142
頁以下〕。勿論、複合金属酸化物(金属種が2種以上の
酸化物)も、イオン交換能があれば本発明方法における
触媒の構成成分として使用でき、本発明方法で称する金
属酸化物に含まれる。
【0012】このような金属複合酸化物の調製法は特に
なく、従来公知の方法で調製できる。従来公知の金属酸
化物の調製法としては、乾式法と湿式法が挙げられる。
乾式法としては、硝酸塩のような熱分解し易い金属塩の
熱分解による方法や、金属の焼成による方法が挙げられ
る。
【0013】湿式法としては、単独金属酸化物では、通
常、沈澱法が挙げられる。例えば、金属塩の水溶液に沈
澱剤を添加して金属の水酸化物あるいは炭酸塩等を沈澱
させ、濾過・水洗・乾燥し、要すれば焼成して所望の金
属酸化物とする。複合金属酸化物では、通常、共沈法,
混練法あるいは沈着法等が挙げられる。共沈法では、金
属塩の混合水溶液に適当な沈澱剤を添加して水酸化物又
は炭酸塩を沈澱させ、濾過・水洗・乾燥させ、要すれば
焼成して所望の金属酸化物を得る。混練法では、別々に
調製した所望の金属のゲル状又はスラリー状の水酸化物
又は炭酸塩をニーダー等で混合・混練したものを乾燥
し、要すれば焼成して得る。沈着法では、予め調製した
ゲル又はスラリー状の金属水酸化物又は炭酸塩を、例え
ば硝酸塩,硫酸塩,酢酸塩,塩化物等の金属塩の水溶液
に浸漬し、次いで沈澱剤を添加して金属成分をゲル又は
スラリーに沈着させた後、濾過・水洗・乾燥し、要すれ
ば焼成して夫々の複合金属酸化物を得る。
【0014】本発明方法における触媒は、上記の金属酸
化物に遷移金属イオン交換処理したものであるが、遷移
金属としては、第I族b亜族,第II族,第III族,
第IV族,第V族,第VI族,第VII族,第VIII
族に属する遷移金属、具体的には、銅,亜鉛,カドミウ
ム,ランタン,ジルコニウム,チタン,バナジウム,ク
ロム,マンガン,鉄,コバルト,ニッケル,白金等の各
金属すなわち広義の遷移金属(例えば、化学大辞典,第
5巻,昭和36年,共立出版株式会社,437頁以下)
が挙げられる。
【0015】上記の遷移金属イオン交換の方法について
は、特に制限はなく、通常、公知の方法で行うことがで
きるが、ゼオライト,燐酸ジルコニウム等の酸性塩、あ
るいはイオン交換樹脂等のイオン交換に常用される手
段、すなわち所望の金属の硝酸塩や硫酸塩のような単純
な酸の金属塩の水溶液による浸漬処理(すなわち、酸性
側での処理)では、よくイオン交換しない場合があり、
この場合にはアルカリ側でのイオン交換処理、特に所望
の金属のアンミン錯塩による交換処理や一旦アンモニウ
ムイオン交換処理したものを所望の金属水溶液で浸漬処
理するなどの方法が有効である(例えば、Advanc
ed In Catalysis,第20巻,1969
年,Academic Press Inc,112頁
以下:触媒,第22巻,第6号,1980年,385頁
以下)。
【0016】金属酸化物のアンモニウムイオン交換は、
次のようにして行う。金属酸化物をアンモニア水に浸漬
し、時々振盪攪拌し、数時間ないし1週間程度放置して
アンモニウムイオン交換させる。このときの温度は、特
に加温の必要はなく、室温でよい。次いで、濾過・水洗
した後、乾燥(風乾)してアンモニウムイオン交換体を
得る。
【0017】金属酸化物の遷移金属イオン交換処理は、
以下のようにして行う。すなわち、金属酸化物又はその
アンモニウムイオン交換体を上記の適当な遷移金属塩の
水溶液に数時間ないし1昼夜程度浸漬する。このとき要
すれば約50〜100℃程度の温度に加熱,攪拌してイ
オン交換させた後、水洗・乾燥し、所望のイオン交換し
た金属酸化物を得る。イオン交換していない過剰の遷移
金属塩は、濾液に金属イオンが検出されなくなるまで充
分に水洗して除くことができる。交換イオン種は1種類
でもよいが2種類以上でもよい。使用する金属酸化物も
1種類のみでもよいが、2種類以上でもよい。なお、上
記の処理により金属酸化物に導入した遷移金属の状態に
ついては、その全部が実質上交換イオンの状態であるこ
とが好ましいが、その一部が交換イオンの状態でなくて
も本発明方法においては有効である。
【0018】また、本発明方法においては、上記の遷移
金属イオン交換処理した金属酸化物に担体等の添加物を
含有させてもよい。この担体としては、通常よく使用さ
れる無機担体が使用でき、特に制限はなく、例えば本発
明方法における金属酸化物も担体として使用可能であ
り、また軽石や珪藻土等の天然物も使用できる。これら
の担体物質は、1種類でも、2種類以上を複合させて使
用してもよい。
【0019】これらの担体等の添加物は、遷移金属イオ
ン交換処理金属酸化物の触媒特性を阻害せずに遷移金属
イオン交換処理金属酸化物をよく分散させたり、共働し
て触媒活性や選択性を向上させたり、反応熱の除去を助
けたり、成型性を改善する等の効果がある。
【0020】担体に遷移金属イオン交換処理金属酸化物
を担持させる方法については、特に制限はなく、遷移金
属イオン交換処理金属酸化物を、1)水に分散して担体
物質と混合し、余分な水分を濾過・蒸発等で除いて担体
上に沈着させたり、2)ヒドロゲル状の担体物質と混練
する、等の従来公知の方法で行うことができる。
【0021】担体等の添加物を使用する場合の該添加物
の配合量は、担体等の添加物を配合した触媒の約95w
t%以下、好ましくは約10〜80wt%の範囲内であ
る。
【0022】触媒は、粉末状,顆粒状,ペレット状,ハ
ニカム状、その他任意の形で使用することができ、その
形状、構造は特に問わない。また、触媒を成型して使用
する場合には、成型時に通常使用される粘結剤すなわち
シリカゾル、ポリビニルアルコール等、あるいは滑剤す
なわち黒鉛,ワックス,脂肪酸塩,カーボンワックス等
を使用することができる。
【0023】また、本発明方法おける触媒は、要すれば
焼成処理を行うが、焼成処理については、触媒調製のど
の段階においても行うことができ、焼成温度は、触媒の
組成等にもよるが、一般には約200〜1000℃、好
ましくは約300〜700℃である。
【0024】本発明方法の処理対象となるNOx含有ガ
スとしては、ディーゼル自動車や定置式ディーゼル機関
等のディーゼル機関排ガス、ガソリン自動車等のガソリ
ン機関排ガスをはじめ、硝酸製造設備、各種の燃焼設備
等の排ガスを挙げることができる。
【0025】これら排ガス中のNOxの除去は、上記触
媒を用いて、該触媒に、酸化雰囲気中、上記の炭化水素
類若しくは含酸素化合物の存在下で、排ガスを接触させ
ることにより行う。
【0026】ここで、酸化雰囲気とは、排ガス中に含ま
れる一酸化炭素,水素及び炭化水素と、本発明方法おい
て必要に応じて添加される炭化水素類若しくは含酸素化
合物の還元性物質とを、完全に酸化して水と二酸化炭素
に変換するのに必要な酸素量よりも過剰な酸素が含まれ
ている雰囲気をいい、例えば、自動車等の内燃機関から
排出される排ガスの場合には空燃比が大きい状態(リー
ン領域)の雰囲気であり、通常、過剰酸素率は約20〜
200%程度である。この酸化雰囲気中において、上記
の触媒は、炭化水素類若しくは含酸素化合物と酸素との
反応よりも、炭化水素類若しくは含酸素化合物とNOx
との反応を優先的に促進させて、NOxを還元分解除去
する。
【0027】なお、本発明方法における触媒は、酸化雰
囲気でよく作用するが、還元性雰囲気ではNOxに対す
る還元分解活性が低下するので、酸化雰囲気中にて反応
を行わせるのが好ましい。
【0028】存在させる炭化水素類若しくは含酸素化合
物すなわちNOxを還元分解除去する還元性物質として
は、排ガス中に残存する炭化水素や燃料等の不完全燃焼
生成物であるパティキュレート等でもよいが、上記反応
を促進させるのに必要な量よりも不足している場合に
は、外部より炭化水素類若しくは含酸素化合物を添加す
る必要がある。
【0029】存在させる炭化水素類若しくは含酸素化合
物の量は、特に制限されず、例えば要求されるNOx除
去率が低い場合には、NOxの還元分解に必要な理論量
より少なくてよい場合もある。但し、必要な理論量より
過剰な方が還元反応がより進むので、一般的には過剰に
添加するのが好ましい。通常は、炭化水素類若しくは含
酸素化合物の量は、NOxの還元分解に必要な理論量の
約20〜2,000%過剰、好ましくは約30〜1,5
00%過剰に存在させる。
【0030】ここで、必要な炭化水素類若しくは含酸素
化合物の理論量とは、反応系内に酸素が存在するので、
本発明方法においては、二酸化窒素(NO2)を還元分
解するのに必要な炭化水素類若しくは含酸素化合物と定
義するものであり、例えば、炭化水素類としてプロパン
を用いて1,000ppmの一酸化窒素(NO)を酸素
存在下で還元分解する際のプロパンの理論量は200p
pmとなる。一般には、排ガス中のNOx量にもよる
が、存在させる炭化水素類若しくは含酸素化合物の量
は、メタン換算で約50〜10,000ppm程度であ
る。
【0031】本発明方法における上記の触媒によってN
Oxを還元させる還元性物質としては、可燃性の有機化
合物等の含炭素物質であればいかなる物質も有効である
が、実用性からいえば、窒素,硫黄,ハロゲン等の化合
物は価格,二次的な有害物質の発生,あるいは触媒の損
傷等の問題が多く、またカーボンブラック,石炭等の固
体物質は触媒層への供給,触媒との接触等の点から一般
に好ましくなく、炭化水素類若しくは含酸素化合物が好
ましい。そして、触媒層への供給の点からは気体状又は
液体状のものが、また反応の点からは反応温度で気化す
るものが特に好ましい。
【0032】本発明方法における炭化水素類の具体例と
しては、気体状のものとして、メタン,エタン,エチレ
ン,プロパン,プロピレン,ブタン,ブチレン等の炭化
水素ガスが、液体状のものとして、ペンタン,ヘキサ
ン,オクタン,ヘプタン,オクテン,ベンゼン,トルエ
ン,キシレン等の単一炭化水素や、ガソリン,灯油,軽
油,重油等の鉱油系炭化水素油が、例示される。また、
含酸素化合物は、含酸素有機化合物を意味し、メチルア
ルコール,エチルアルコール,プロピルアルコール,オ
クチルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテ
ル,エチルエーテル,プロピルエーテル等のエーテル
類、酢酸メチル,酢酸エチル,油脂類等のエステル類、
アセトン,メチルエチルケトン等のケトン類等の含酸素
有機化合物が例示される。これらの炭化水素類若しくは
含酸素化合物は、1種のみを使用してもよいが、2種以
上を使用してもよい。
【0033】なお、排ガス中に存在する燃料等の未燃焼
ないしは不完全燃焼生成物、すなわち炭化水素類やパテ
キュレート類等も還元剤として有効であり、これらも本
発明方法における炭化水素類に含まれる。このことか
ら、本発明方法における触媒は、排ガス中の炭化水素類
やパテキュレート等の減少・除去触媒としての機能をも
有しているということができる。
【0034】反応は、上記の触媒を配置した反応器を用
意して、酸化雰囲気中で、炭化水素類若しくは含酸素化
合物を存在させて、NOx含有排ガスを通過させること
により行う。このときの反応温度は、触媒及び炭化水素
類若しくは含酸素化合物の種類により最適温度が異なる
が、排ガスの温度に近い温度が排ガスの加熱設備等を必
要としないので好ましく、一般には約100〜800
℃、特に約200〜600℃の範囲が好ましい。反応圧
力は、特に制限されず、加圧下でも減圧下でも反応は進
むが、通常の排気圧で排ガスを触媒層へ導入して反応を
進行させるのが便利である。空間速度は、触媒の種類,
他の反応条件,必要なNOx除去率等で決まり、特に制
限はないが、概して約500〜100,000Hr-1
好ましくは約1,000〜70,000Hr-1の範囲で
ある。なお、本発明方法において、内燃機関からの排ガ
スを処理する場合は、上記触媒は、排気マニホールドの
下流に配置するのが好ましい。
【0035】また、本発明方法で排ガスを処理した場
合、処理条件によっては、未燃焼の炭化水素類や一酸化
炭素のような公害の原因となる不完全燃焼生成物が処理
ガス中に排出される場合がある。このような場合の対策
として、上記の触媒(以下、“還元触媒”と称する)で
処理したガスを酸化触媒に接触させる方法を採用するこ
とができる。
【0036】本発明方法で使用することができる酸化触
媒としては、一般に上記の不完全燃焼生成物を完全燃焼
させる物であればどのような物でもよいが、活性アルミ
ナ,シリカ,ジルコニア等の多孔質担体に、白金,パラ
ジウム,ルテニウム等の貴金属、ランタン,セリウム,
銅,鉄,モリブデン等の卑金属酸化物、三酸化コバルト
ランタン、三酸化鉄ランタン,三酸化コバルトストロン
チウム等のペロブスカイト型結晶構造物等の触媒成分を
単独又は2種以上を組合わせて担持させたものが挙げら
れる。これらの触媒成分の担持量は、貴金属では担体に
対して約0.01〜2wt%程度であり、卑金属酸化物
等では約5〜70wt%程度である。勿論、特に卑金属
酸化物等では、担体に担持しないで使用することもでき
る。
【0037】酸化触媒の形状,成型等の目的で添加する
添加物については、還元触媒の場合のそれと同様であ
り、種々のものを使用することができる。
【0038】上記の還元触媒と酸化触媒の使用比率や、
酸化触媒に担持させる触媒成分量等は、要求性能に応じ
て適宜選択可能であり、特に酸化除去する物質が一酸化
炭素のような炭化水素の中間酸化物である場合には、還
元触媒と酸化触媒とを混合して使用することも可能であ
るが、一般には、還元触媒を排気上流側に、酸化触媒を
排気下流側に配置する。
【0039】本発明方法において、これらの触媒を用い
て排ガスを浄化する具体例としては、還元触媒を配置し
た反応器を排ガス導入部(前段)に、酸化触媒を配置し
た反応器を排ガス排出部(後段)に配置する方法や、1
つの反応器に夫々の触媒を要求性能に応じた比率で配置
する方法等がある。
【0040】還元触媒(A)と酸化触媒(B)の比率
は、一般には(A)/(B)で表して約0.5〜9.5
/9.5〜0.5の範囲で用いられる。
【0041】酸化触媒の使用温度については、還元触媒
の使用温度と同じでなくてもよいが、一般には前述の還
元触媒の使用温度の範囲内で使用できるものを選択する
のが加熱冷却設備を特に必要とせず好ましい。
【0042】
【実施例】次に、本発明方法の実施例を挙げるが,本発
明方法は、これらの実施例によって制限されるものでは
ない。 実施例1 (アンモニア交換シリカの調製)市販のシリカゲル(キ
セロゲル)100gを、1Nのアンモニア水1リットル
に室温で浸漬した。これを時々振盪攪拌し、1夜放置し
た後、濾過・水洗した。この操作を2回繰り返した後、
濾取した浸漬物を風乾してアンモニア交換シリカを得
た。
【0043】(Cu交換シリカの調製)上記のようにし
て得たアンモニア交換シリカ30gを、0.3Nの硝酸
第2銅水溶液200mlに室温で浸漬した。これを時々
振盪攪拌し、1夜放置した後、濾過し、濾液に銅イオン
が検出されなくなるまで充分に水洗した。この後、濾取
した浸漬物を乾燥し、500℃で2時間焼成してCu交
換シリカ触媒を得た。このもののCu含有率は、9.7
wt%であった。
【0044】(NOxの除去反応)上記のようにして調
製した触媒1gを常圧流通式反応装置に充填して、20
00ppmの一酸化窒素(以下、“NO”と記す)と1
0%の酸素、及び600ppmのプロピレンを含むヘリ
ウムガス(以下、“He”と記す)を毎分60mlの流
速で流して反応を行った。反応ガスの分析はガスクロマ
トグラフを用いて行い、NOの還元分解率は生成した窒
素の収率から求め、この結果を表1に示した。
【0045】実施例2 実施例1のシリカゲル30gと、硝酸ニッケル水溶液に
アンモニア水を充分に滴下混合して調製した0.3Nニ
ッケルアンミン錯塩水溶液200mlとを使用する以外
は、実施例1と同様の操作によりNi交換シリカを調製
した。このもののNi含有率は、5.1wt%であっ
た。このものを触媒として、実施例1と同様にしてNO
の還元分解率を調べた。この結果を表1に併せて示し
た。
【0046】実施例3〜5 (アンモニア交換シリカアルミナの調製)実施例1のシ
リカゲルの代わりにシリカアルミナゲル(キセロゲル)
100gを使用する以外は、実施例1と同様の操作によ
りアンモニア交換シリカアルミナを得た。
【0047】(金属イオン交換シリカアルミナの調製)
上記のようにして得たアンモニア交換シリカアルミナ
(アルミナ30wt%含有)30gと、硝酸ニッケル
(実施例3),硝酸第二鉄(実施例4),硝酸コバルト
(実施例5)の0.3N水溶液とを夫々使用する以外
は、実施例1と同様の操作により、ニッケル,鉄,コバ
ルト交換シリカアルミナを夫々得た。これらのもののN
i,Fe,Co含有率は、夫々3.4wt%,6.8w
t%,3.0wt%であった。
【0048】(NOxの除去反応)上記のようにして調
製した触媒を夫々使用し、夫々実施例1と同様にしてN
Ox還元分解率を調べた。これらの結果を表1に併せて
示した。
【0049】実施例6 実施例2のNi交換シリカの調製において、シリカゲル
の代わりに実施例3のシリカアルミナを、Niアンミン
錯塩水溶液の代わりにテトラアンミン白金(II)塩酸
塩(1水塩)0.8gを、200mlの水に溶かした溶
液を使用して、イオン交換処理を1回のみ行う以外は、
同様の操作によりPt交換シリカアルミナを調製した。
このもののPt含有率は、1.3wt%であった。これ
を触媒として、混合ガスの組成をNOが1000pp
m,プロピレンが1000ppm,酸素が10%,He
がバランスとする以外は、実施例1と同様にしてNOの
還元分解率を調べた。この結果を表1に併せて示した。
【0050】実施例7〜8 実施例2において、アンモニア交換シリカの代わりに市
販の水酸化ジルコニウム(含水酸化ジルコニウム)を、
Niアンミン錯塩水溶液の代わりにCu(実施例7),
Ni(実施例8)のアンミン錯塩水溶液を夫々使用する
以外は、同様の操作により、夫々Cu,Ni交換水酸化
ジルコニウムを夫々調製した。これらのもののCu,N
i含有率は、夫々6.2wt%,2.3wt%であっ
た。これらのものを触媒として、実施例1と同様にして
NOの還元分解率を調べた。この結果を表1に併せて示
した。
【0051】実施例9 実施例1において、混合ガスの組成をNOが1000p
pm,メチルアルコールが600ppm,酸素が10
%,Heがバランスとする以外は、同様にしてNOの還
元分解率を調べた。この結果を表1に併せて示した。
【0052】実施例10 触媒として実施例1のCu交換シリカを0.1g使用す
る以外は、実施例6と同様にしてNOの還元分解率を調
べた。この結果を表1に併せて示した。
【0053】比較例1〜2 実施例1のシリカゲル(比較例1),実施例3のシリカ
アルミナゲル(比較例2)を、夫々500℃で3時間焼
成したものを触媒として使用し、実施例1と同様にして
NOの還元分解率を調べた。この結果を表1に併せて示
した。
【0054】比較例3〜5 実施例1のシリカゲル27gを、硝酸第二銅(3水塩)
9.1g(比較例3),硝酸ニッケル(6水塩)11.
7g(比較例4),硝酸コバルト(6水塩)11.7g
(比較例5)を夫々水200mlに溶かした液に、夫々
加え、よく攪拌分散させ、これらに水酸化ナトリウム水
溶液を滴下して夫々の水酸化物をシリカゲル上に沈着さ
せた。これらを濾取し、よく水洗した後、乾燥し、更に
500℃で3時間焼成して夫々の酸化物担持(担持量約
10wt%)シリカを調製した。これらのものを夫々触
媒として、実施例1と同様にしてNOの還元分解率を調
べた。この結果を表1に併せて示した。
【0055】実施例11〜14 (触媒の調製)実施例1と同様の方法で調製したNi交
換シリカに、滑剤として少量の粉末状のポリエチレング
リコールを加え、よく混和した後、1/8″のペレット
状に打錠成型した。これを500℃で3時間焼成して供
試触媒とした。
【0056】(NOxの除去反応)上記のようにして調
製した触媒60mlを常圧流通式反応装置に充填して、
ディーゼル機関より発生した排ガスに、実施例11では
所定量のプロピレンを混合したものを、400℃に保っ
た触媒層に毎分4リットルの流速で送入して反応を行っ
た。実施例13では、上記の排ガスに還元剤としてプロ
ピレンの代わりに軽油を触媒層の入口で毎時0.6ml
の割合で添加したものを、実施例11と同様にして触媒
層に送入して反応を行った。実施例12及び14では、
上記の排ガスをそのまま、実施例11と同様にして触媒
層に送入して反応を行った(すなわち、排ガスにプロピ
レン等の還元剤を添加しないで、該排ガス中の炭化水
素,パテキュレート等の還元性物質によりNOxの除去
反応を行った)。排ガス及び反応ガス中のNOxを、化
学発光式NOx分析計で分析してNOx除去率を算出し
た。この結果を表2に示した。また、ディーゼル機関の
運転条件及び排ガスの組成を表3に示した。
【0057】実施例15,参考例 NO還元分解触媒として実施例8のNi交換ジルコニウ
ム1gを反応器の上流に、未反応炭化水素等の酸化触媒
として市販の0.5%パラジウム担持アルミナ触媒1g
を下流に、夫々充填し、実施例8と同様にしてNOの還
元分解率を調べた(実施例15)。この結果を表4に示
した。
【0058】更に、参考のために、上記の酸化触媒を充
填しない場合について、実施例15と同様にしてNOの
還元分解率を調べた(参考例)。この結果を表4に併せ
て示した。
【0059】表4から明らかなように、酸化触媒を充填
していない参考例では、未反応のプロピレン及び不完全
酸化物である一酸化炭素が流出しているが、酸化触媒を
充填した実施例15では、完全酸化物である炭酸ガスの
みが流出していることが判る。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】以上の各表から明らかなように、本発明方
法では、過剰の酸素の存在下においても、NOxの還元
分解が効率的に起こり、硫黄酸化物を含む実際の排ガス
に対して有効であることが判る。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明方法によれ
ば、酸素が過剰に存在する酸化雰囲気において、効率的
に排ガス中のNOxを除去することができる。これは、
本発明方法における遷移金属イオン交換処理した金属酸
化物を含む触媒が、炭化水素類若しくは含酸素化合物の
存在下で、NOxと炭化水素類若しくは含酸素化合物と
の反応を優先的に促進させるからである。
【0066】更に、酸化触媒を使用することにより、反
応条件によっては排出されることがある未反応あるいは
生成する炭化水素,一酸化炭素,あるいはその他の酸化
中間生成物等の公害問題を引き起こす可能性がある物質
を完全に酸化して、二酸化炭素及び水蒸気にすることが
できる。
【0067】このように、本発明方法は、ディーゼル機
関排ガスをはじめ種々の設備からの排ガス中から効率よ
くNOxを除去することができ、工業的価値が極めて高
いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅沼 藤夫 埼玉県北葛飾郡庄和町新宿新田228−16 (72)発明者 北爪 章博 埼玉県北葛飾郡杉戸町杉戸2−15−36 (72)発明者 川付 正明 埼玉県越谷市大沢2856−1 センチュリ ーマンション嵯峨103号 (72)発明者 仲辻 忠夫 大阪府堺市戎島町5丁1番地 堺化学工 業株式会社内 (72)発明者 清水 宏益 大阪府堺市戎島町5丁1番地 堺化学工 業株式会社内 (72)発明者 浜田 秀昭 茨城県つくば市東1丁目1番地 工業技 術院化学技術研究所内 (72)発明者 伊藤 建彦 茨城県つくば市東1丁目1番地 工業技 術院化学技術研究所内 審査官 石井 良夫 (56)参考文献 特開 平1−139145(JP,A) 特開 平3−94816(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】過剰の酸素が存在する酸化雰囲気中、炭化
    水素類若しくは含酸素化合物の存在下において、遷移金
    属イオン交換処理した金属酸化物を含んでなる触媒と窒
    素酸化物を含む排ガスとを接触させることを特徴とする
    窒素酸化物を含有する排ガスの浄化処理方法。
  2. 【請求項2】過剰の酸素が存在する酸化雰囲気中、炭化
    水素類若しくは含酸素化合物の存在下において、遷移金
    属イオン交換処理した金属酸化物を含んでなる触媒と窒
    素酸化物を含む排ガスとを接触させ、次いで該排ガスを
    酸化触媒に接触させることを特徴とする窒素酸化物を含
    有する排ガスの浄化処理方法。
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