JPH10239566A - 光ファイバの伝達情報量の増加方法 - Google Patents

光ファイバの伝達情報量の増加方法

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JPH10239566A
JPH10239566A JP4554997A JP4554997A JPH10239566A JP H10239566 A JPH10239566 A JP H10239566A JP 4554997 A JP4554997 A JP 4554997A JP 4554997 A JP4554997 A JP 4554997A JP H10239566 A JPH10239566 A JP H10239566A
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菊枝 入江
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常の使用法では伝送帯域が狭いSI型光フ
ァイバの伝送帯域を大幅に改善し伝達可能な情報量を増
す。 【解決手段】 光ファイバの入射端から光を入射させ出
射端から光を出射させる信号伝送において、出射光のう
ち出射光軸と所定の角度範囲にある光のみを受光器に導
き、他の光成分を受光しないことを特徴とする伝達情報
量の増加方法。出射光を出射光軸となす角度毎の複数の
成分に分け、各成分をそれぞれを異なる受光器にて受光
して電気信号に変換し、これらの複数の電気信号を演算
処理して伝送パルスの波形を整形する方法。出射光を出
射光軸となす角度毎の複数の成分に分け、各成分をそれ
ぞれを異なる受光器にて受光して電気信号に変換し、角
度が小さい成分の信号をそれぞれ所定の時間遅らせる遅
延処理した後、角度が大きい成分の信号と加算する方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマルチモードステッ
プインデックス型(以下単に「SI型」と略す)光ファ
イバを用いた信号伝送において、伝送可能な情報量を増
加させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】SI型光ファイバは光信号伝達の媒体と
して使用される。その際、SI型光ファイバを伝わる光
には多数の伝搬モードが存在し、モードによって伝搬速
度が異なるため、伝達される信号パルスの形状が崩れる
という現象を生じる。すなわちファイバへの入射角とフ
ァイバからの出射角が大きい高次モードの光は、ファイ
バへの入射角とファイバからの出射角が小さい低次モー
ドの光より伝播速度が遅い。従ってこれらを合成して得
られる信号パルスの形状が劣化するので、SI型光ファ
イバでは高い周波数の信号を伝送することができないと
いう問題がある。
【0003】伝達可能な信号の周波数範囲を伝送帯域と
いい、一般に伝送可能な上限周波数で表される。伝送帯
域が広いということは一定時間に伝達可能な情報量が多
いということである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】SI型光ファイバは、
既に述べたごとくモード分散による信号劣化が原因で伝
送帯域が限られ、例えば100m伝送に於ける典型的な伝
送帯域値は数十MHz〜百数十MHzと低い。
【0005】本発明の目的は、通常の使用法では伝送帯
域が狭いSI型光ファイバの伝送帯域を大幅に改善し伝
達可能な情報量を増すことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題は以下の各発明
によって解決される。即ち、第一の発明は、光ファイバ
の入射端から光を入射させ出射端から光を出射させる信
号伝送において、出射光のうち出射光軸と所定の角度範
囲にある光のみを受光器に導き、他の光成分を受光しな
いことを特徴とする伝達情報量の増加方法である。
【0007】また第二の発明は、光ファイバの入射端か
ら光を入射させ出射端から光を出射させる信号伝送にお
いて、出射光を出射光軸となす角度毎の複数の成分に分
け、各成分をそれぞれ異なる受光器にて受光して電気信
号に変換し、これらの複数の電気信号を演算処理して伝
送パルスの波形を整形ことを特徴とする伝達情報量の増
加方法である。
【0008】また第三の発明は、光ファイバの入射端か
ら光を入射させ出射端から光を出射させる信号伝送にお
いて、出射光を出射光軸となす角度毎の複数の成分に分
け、各成分をそれぞれ異なる受光器にて受光して電気信
号に変換し、角度が小さい成分の信号をそれぞれ所定の
時間遅らせる遅延処理した後、角度が大きい成分の信号
と加算することを特徴とする伝達情報量の増加方法であ
る。
【0009】第一の発明は、極めて単純な光学系を付加
することで実施できるが、伝送光の一部を使用しないこ
とによって受光強度が低下するため、光強度が充分大き
い場合に実用性の高い方法である。
【0010】また第二の発明は、第一の発明のように伝
送光の一部を捨てることなく、更に伝送帯域の拡大、な
いしS/N比の改善による伝送距離の拡大を可能にする
ものであって、若干の光学系と電子回路を必要とする。
【0011】第三の発明は、第二の発明の実施形態の一
例を示したものであって、出射角が小さい成分の信号を
それぞれ所定の時間遅らせる遅延処理した後、出射角が
大きい成分と加算する方法である。尚、本発明において
出射光が出射光軸となす角度を出射角という。
【0012】
【発明の実施の形態】既に説明したように、SI型光フ
ァイバにおいては光パルスを入力すると出射光パルスは
時間軸方向に広がる(図1)。これは伝搬モードによっ
て光路長が変わり,これらの光の到達時間にずれを生じ
るためである。このことを図2を用いて説明する。
【0013】図2の中間的な光路長を有するモードの光
(2)に対し,このモードよりも伝搬角が大きい(1)のよ
うなモードでは同じファイバ長を伝搬する光路長が長く
なり,逆に(2)よりも伝搬角が小さい(3)のようなモー
ドでは光路長が短くなる。一つの光パルスに含まれるこ
れらのモードの光はファイバを伝わる伝搬速度が違うた
め,図2の右側に示すようにそれぞれの場合で到達時間
に違いを生じ,(2)のモードの光は(1)のモードの光よ
りt1時間だけ速く到達し,(3)のモードの光は(1)のモ
ードよりt2時間だけ速く到達する。これらが加え合わさ
れた結果時間幅の広いパルスとなるわけである。
【0014】ここでそれぞれの各伝搬モードの信号の広
がり幅が、合成されるパルス光(信号)の広がり幅に比
べて狭いことに注目し、受光器の側で伝搬光のモードを
限定することで伝送帯域の拡大を図ったものが第一の発
明である。各モードの伝搬速度は伝搬角で決まり、出射
面がファイバ軸に垂直な平面であれば伝搬角は出射角に
対応する。それゆえ受光する光を所定の出射角以下の範
囲に限定することによって受光する伝搬モードを所定の
範囲内に限定できる。
【0015】伝搬角と伝搬速度の関係は、伝播角度が小
さい場合は角度変化に対する速度変化の差が小さく、伝
播角度が大きくなると角度変化に対する速度変化の差が
大きくなる。従って所定の角度より小さい伝搬角、即ち
所定の角度より小さい出射角の光のみを受光器に導く方
法が効率が良い。そしてこの方法は図10に示すような
絞りとレンズからなる単純な光学系で実施できるため特
に実用性が高い。図10(a)はこの目的を実施する最
も簡単な光学系である。尚、レンズの径を小さくすれ
ば、絞りを省略することも可能である。また図10
(b)のようにファイバ出射端に凸レンズを追加して、
よりコンパクトな光学系にすることもできる。
【0016】第二の発明及び第三の発明は、更に積極的
に広帯域化をねらうもので、上記各伝搬モードをそれぞ
れ別の受光器で受光した後、得られた各モードの電気信
号を演算処理してパルス波形を整形するものである。図
4は第三の発明の一例であるが、各モードの受信パルス
のうち時間の早いものをそれぞれ遅延素子を用いて所定
の時間だけ遅らせ、時間補正をした後に加算するもの
で、全てのモードのパルスを加算できるため効率が良
く、S/N比の劣化をまねかずに広帯域化を図ることが
できる。
【0017】図5は反転増幅器を利用した減算回路によ
りパルス波形を整形するもので、遅延素子を用いない分
だけシンプルである。特に伝搬速度の早いモードと、逆
に遅いモードの信号を他のモードの信号から減算してパ
ルス幅を狭めるものであるが、減算により信号強度が弱
まるため、伝搬光が弱い長距離の通信には適さない。
【0018】前記の実施形態では伝送光を三つのモード
群に分けた例を説明したが、実際には二つ或いは四つ以
上に分けることもできる。原理的には多数に分ける程大
きな効果が期待できるが、実際の光ファイバでは各伝搬
モードは相互に混じり合うため、分割数が一定以上にな
ると伝送帯域の拡大効果は飽和する。逆に装置構成が複
雑になるというデメリットが生じる。適切な分割数は光
ファイバの種類と使用条件によって異なるが、例えば開
口数0.5のプラスチック光ファイバを使って50〜1
00mの伝送では二分割ないし三分割程度である。
【0019】ファイバ端からの出射角を利用して伝搬モ
ードを分割受光するためには、例えば図3のように同心
円状に分割された広い受光面を有するPD(フォトダイ
オード)を使う方法が考えられる。しかしながらこのよ
うな特殊な受光面を持ち、且つ応答速度が速い(数ns
ec)PDを制作するのは容易でない。そこで以下に述
べるような通常のPDを使ってモード分割する方法が採
用される。
【0020】光ファイバの出射光を凸レンズを使ってP
Dに導く際、図7のごとく凸レンズの光軸をファイバの
出射軸からずらすことによって出射光の集束位置も移動
する。この集束位置の移動距離Dはレンズの光軸のずれ
をd、投影倍率をmとすると、D=(1+m)dであ
る。そこで図7の(a)、(b)、(c)のごとく、軸
をずらした凸レンズをファイバ軸を中心として同心円状
に切り取り、これらを合成した形状の特殊レンズSLを
使って、図6のごとく配置すれば、出射角によって区別
された各モード群の光は異なる位置に集束され、それぞ
れのPDで受光される。
【0021】
【実施例】以下実施例により本発明を説明する。
【0022】実施例1 直径1mm、開口数0.5のSI型プラスチック光ファ
イバを使い、図8に示す装置で伝送パルスの波形を観察
した。光源にはパルス駆動できるLD(レーザーダイオ
ード)を用い、レンズで入射端に集光させた。受光側に
は光を円形状にカットするために図9の円形スリットを
設けたマスクを用意し、光ファイバの光出射端の後方に
この光ファイバの軸と円形スリットの中心が同一線上に
並ぶように置いた。
【0023】光ファイバから出射した光は、一定の出射
角の成分のみが円形スリットを通過し,レンズでPD
(フォトダイオード)に導かれた。円形スリットのスリ
ット幅は1mmとし,光ファイバの端面から約5mmの
ところに置かれ、ファイバ光軸となす角が0度(直径1
mmのピンホール),約10度,15度,20度の方向の光の
み通過できる4通りのものを用意した。これらのマスク
を通して測定した時間軸に対するパルス幅を,マスクを
用いない場合のパルス幅と比較した。
【0024】パルス幅100psec未満の光パルスを入射し
光ファイバを50m通過してきたパルスを比較すると,マ
スクを用いない場合にパルス幅が3.26nsであったもの
が,0度,10度,15度,20度のマスクによって,それぞ
れ,1.48ns,1.53ns,1.80ns,2.58nsとなった。この結
果は、マスクを用いない場合と比較して伝送帯域がそれ
ぞれ2.2倍,2.1倍,1.8倍,1.3倍であることを意味す
る。
【0025】ここで0〜15度までのパルスのピーク位置
は比較的接近しているので、0〜15度までを通す円形窓
のマスクを図10のように用いた。その結果、通常の使
用法の2倍弱の伝送帯域が実現できた。
【0026】実施例2 これは第三の発明の実施例である。光ファイバの長さを
L,内部を伝搬する光線がファイバー軸となす角度をθ
とすると,この光線が伝搬する距離はL/cosθで表さ
れる。ファイバー中を光が進む速さをvとすると,この
光線が光ファイバを通って出射端に達するのにかかる時
間τは,L/(v・cosθ)である。L=50mとし、屈折
率1.49のポリメチルメタクリレートをコアとする光ファ
イバを用いた。この光ファイバの0度,10度,15度,20
度の出射光はそれぞれθ=0度,6.7度,10.0度,13.3度
であり、0度を基準としたτの遅れは0nsec,1.7nsec,
3.8nsec,7.8nsecである。
【0027】実施例1の実験結果から分かるように出射
角が20度程度になるとパルスの広がりが著しく大きくな
るため、この成分は利用せず、例えば図6ないし図3に
示した方法を利用して(分割数は図と異なる)出射角が
0〜10度,10〜15度の二成分に分けて受光し、0〜10度の
信号に約2nsecの遅延を施した後、10〜15度の信号に加
えた。その結果伝送帯域は約2.5倍に向上した。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、SI型ファイバを使う
光信号伝送において、受光側の光学系あるいは光学系と
電気回路によりパルス信号の劣化を抑制することがで
き、伝送帯域を増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光伝送におけるパルス波形の劣化を説明する図
である。
【図2】伝搬モードによる伝送パルスの違いを説明する
図である。
【図3】本発明の一実施形態である光学系を示す図であ
る。
【図4】本発明の一実施形態である信号処理回路図であ
る。
【図5】本発明の一実施形態である信号処理回路図であ
る。
【図6】本発明の一実施形態である光学系を示す図であ
る。
【図7】本発明の一実施形態である光学系の原理を説明
する図である。
【図8】実施例1における光学系の配置図である。
【図9】図8の円形スリットの平面図である。
【図10】実施例1で使用した円形窓を有するマスクを
示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバの入射端から光を入射させ出
    射端から光を出射させる信号伝送において、出射光のう
    ち出射光軸と所定の角度範囲にある光のみを受光器に導
    き、他の光成分を受光しないことを特徴とする伝達情報
    量の増加方法。
  2. 【請求項2】 光ファイバの入射端から光を入射させ出
    射端から光を出射させる信号伝送において、出射光を出
    射光軸となす角度毎の複数の成分に分け、各成分をそれ
    ぞれ異なる受光器にて受光して電気信号に変換し、これ
    らの複数の電気信号を演算処理して伝送パルスの波形を
    整形することを特徴とする伝達情報量の増加方法。
  3. 【請求項3】 光ファイバの入射端から光を入射させ出
    射端から光を出射させる信号伝送において、出射光を出
    射光軸となす角度毎の複数の成分に分け、各成分をそれ
    ぞれ異なる受光器にて受光して電気信号に変換し、角度
    が小さい成分の信号をそれぞれ所定の時間遅らせる遅延
    処理した後、角度が大きい成分の信号と加算することを
    特徴とする伝達情報量の増加方法。
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