マルチモード光伝送システム及びマルチモード光伝送方法 技術分野
[0001] 本発明は、光信号をマルチモード伝送するマルチモード光伝送システム及びマル チモード光伝送方法に関して、より特定的には、光信号をマルチモード伝送する際 に発生する多モード分散による光伝送品質の劣化を軽減するマルチモード光伝送シ ステム及びマルチモード光伝送方法に関する。
背景技術
[0002] 図 9は、従来のマルチモード光伝送システムの構成を示すブロック図である。図 9に おいて、従来のマルチモード光伝送システムには、半導体レーザ 901、フォトダイォ ード 902、及びマルチモード光伝送路 903を備える。導体レーザ 901は、入力された 電気信号を光信号に変換してマルチモード光伝送路 903へ出力する。マルチモード 光伝送路 903は、半導体レーザ 901から出力された光信号をフォトダイオード 902へ 伝送する。フォトダイオード 902は、入力された光信号を電気信号に変換する。
[0003] 具体的には、マルチモード光伝送路 903には、マルチモード光ファイバが用いられ る。半導体レーザ 901から出力された単一波長えの光信号は、マルチモード光フアイ バへ入力される。マルチモード光ファイバは、シングルモード光ファイバと比較してそ のコア径が大きい為に、ファイバ中に光信号の伝搬経路が複数存在する。一般的に は、シングルモード光ファイバのコア径が 10 μ m程度に対して、マルチモード光ファ ィバのコア径は 50 μ m程度である。
[0004] 伝搬経路の異なる光信号をそれぞれモードと呼ぶ。光ファイバへの入射角が最も 小さいモードが基本モードである。基本モードにおいて、光信号は最短距離で伝送 される。モードの次数が高くなるにつれて、光ファイバへの入射角が大きくなり、光の 伝搬距離も長くなる。光ファイバの長手方向を z軸とすれば、波数 kの z軸成分を伝搬 定数 j8と呼び、 β =kcos φの関係が成り立つ。ただし、 ζ軸に対する光信号の角度 を Φとする。従って、各モードはそれぞれ異なる伝搬定数を持ち、基本モードが最大 の伝搬定数を持つことになる。フォトダイオード 902には、全てのモードの光信号が
入力される。フォトダイオード 902は、入力された全てのモードの光信号を電気信号 に変換する。
[0005] マルチモード光ファイバを用いたシステム(すなわち、マルチモード光伝送システム )は、光ファイバのコア径が大きい為、半導体レーザ 901やフォトダイオード 902など の周辺部品との結合に高い精度が要求されない。従って、マルチモード光伝送シス テムは、シングルモード光ファイバを用いたシステム(すなわち、シングルモード光伝 送システム)と比較して安価に構築することができる。このため、現在、マルチモード 光伝送システムは、企業内 LANなどの比較的短距離で光信号を伝送するシステム に多く利用されている (非特許文献 1参照)。
非特許文献 1 :三木哲也ほか、「光通信技術ノヽンドブック」、ォプトロ-タス社、 pp. 19 9— pp. 201, 2002 (ISBN 4— 900474— 91— 6)
非特許文献 2 :岡本勝就、「光導波路の基礎」、コロナ者、 p83、図 3. 12、 1992 (ISB N 4- 339—00602- 5)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] しかしながら、従来のマルチモード光伝送システムでは、マルチモード光ファイバで 伝搬される光信号に含まれる複数のモードが、光信号の伝送品質に悪影響を与える ことが既に知られている。その理由は、光信号の各モードがそれぞれ異なる群遅延 時間を有するからである(非特許文献 2参照)。図 10は、従来のマルチモード光伝送 システムにおける入力信号と出力信号との関係を説明する図である。図 10 (a)に示 すような入力信号を半導体レーザ 901に入力した場合、フォトダイオード 902から出 力される信号は、図 10 (b)に示すような波形広がりが生じた信号となる。この現象を 多モード分散と 、 、、マルチモード光ファイバを用いて高速伝送を行う際にクロストー クゃ波形劣化の原因となる。
[0007] それ故に、本発明の目的は、マルチモード光伝送路を用いて光信号を伝送する際に 、多モード分散による影響を低減することができるマルチモード光伝送システムを提 供することである。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明は、入力された電気信号を光信号に変換して、変換した光信号をマルチモ 一ドで光伝送するマルチモード光伝送システムに向けられている。そして、上記目的 を達成させるために、本発明のマルチモード光伝送システムは、複数の光源と、波長 多重部と、マルチモード光伝送路と、複数の光信号抽出部と、複数の光受信部とを 備える。複数の光源は、電気信号を互いに波長が異なる複数の光信号に変換して出 力する。波長多重部は、複数の光源力も出力された複数の光信号を波長多重して、 波長多重信号として出力する。マルチモード光伝送路は、波長多重部から出力され た波長多重信号をマルチモードで光伝送する。複数の光信号抽出部は、マルチモ ード光伝送路で伝送された波長多重信号から、特定の波長かつ特定の伝搬定数を 有するモードの光信号を抽出する。複数の光受信部は、複数の光信号抽出部で抽 出された複数の光信号を受信して、受信した光信号を複数の電気信号に変換する。 たたし、複数の光源が出力する光信号の波長は、それぞれの光源が出力する光信 号の基本モードが有する伝搬定数と、他の光源が出力する光信号の高次モードが有 する伝搬定数とが互いに異なるように設定される。
[0009] 好ましくは、光信号抽出部は、特定の波長かつ特定の伝搬定数を有するモードの 光信号を反射する光反射部と、光反射部で反射された光信号を抽出する反射光信 号抽出部とを含む。
[0010] また、光信号抽出部は、特定の波長かつ特定の伝搬定数を有するモードの光信号 を反射する複数の光反射部と、複数の光反射部で反射された光信号を抽出する複 数の反射光信号抽出部と、複数の反射光信号抽出部で抽出された複数の光信号に 適当な遅延を与える複数の光遅延部と、複数の光遅延部を介して出力された複数の 光信号を合波する合波部とを含むものであってもよ ヽ。
[0011] また、光信号抽出部は、特定の波長かつ特定の伝搬定数を有するモードの光信号 を透過し、それ以外の光信号を反射する光フィルタであってもよい。あるいは、光信 号抽出部は、特定の波長かつ特定の伝搬定数を有するモードの光信号を透過し、そ れ以外の光信号を反射する複数の光フィルタと、複数の光フィルタによって透過され た複数の光信号に適当な遅延を与える複数の光遅延部と、複数の光遅延部を介し て出力された複数の光信号を合波する合波部とを含むものであってもよい。
[0012] マルチモード光伝送路は、マルチモード光ファイバである。あるいは、マルチモード 光伝送路は、シングルモード光ファイバであってもよい。ただし、シングルモード光フ アイバを伝搬する光信号の波長は、シングルモード光ファイバのカットオフ周波数より も小さいものとする。あるいは、マルチモード光伝送路は、複数の伝送経路を有する 自由空間であってもよい。
[0013] 光反射部は、ファイバブラッググレーティングである。あるいは、光反射部は、特定 の波長かつ特定の伝搬定数を有するモードの光信号を透過し、それ以外の光信号 を反射する光フィルタであってもよい。反射光信号抽出部は、光サーキユレータであ る。あるいは、反射光信号抽出部は、光力ブラであってもよい。
[0014] 光遅延部は、光導波路である。あるいは、光遅延部は、光伝送路の屈折率を変化 させることで遅延量を調整してもよ!/、。
[0015] また、本発明は、入力された電気信号を光信号に変換して、変換した光信号をマル チモード光伝送するマルチモード光伝送方法にも向けられている。そして、上記目的 を達成させるために、本発明のマルチモード光伝送方法は、複数の光源を用いて電 気信号を互いに波長が異なる複数の光信号に変換して出力する光出力ステップと、 光出力ステップによって出力された複数の光信号を波長多重して、波長多重信号と して出力する波長多重ステップと、波長多重ステップによって出力された波長多重信 号を、マルチモード光伝送路を介してマルチモード光伝送する光伝送ステップと、マ ルチモード光伝送路を介して伝送された波長多重信号から、特定の波長かつ特定 の伝搬定数を有する複数のモードの光信号を抽出する光信号抽出ステップと、光信 号抽出ステップで抽出された複数の光信号を受信して、受信した光信号を複数の電 気信号に変換する光受信ステップとを備える。ただし、光出力ステップが出力する光 信号の波長は、それぞれの光源が出力する光信号の基本モードが有する伝搬定数 と、他の光源が出力する光信号の高次モードが有する伝搬定数とが互いに異なるよ うに設定されることを特徴とする。
発明の効果
[0016] 本発明によれば、複数のモードを有する光信号の中から、ある特定のモードを有す る光信号のみを抽出することができるため、複数のモードを有する光信号を二乗検波
した際に生じる多モード分散による光伝送品質の劣化を軽減することができる。また、 複数の光源が出力する光信号の波長を、それぞれの光源が出力する光信号の基本 モードが有する伝搬定数と、他の光源が出力する光信号の高次モードが有する伝搬 定数とが互 ヽに一致しな 、ように設定することで、クロストークによる受信信号の劣化 を防ぐことができる。
[0017] また、光信号抽出部が、複数の光反射部、複数の反射光信号抽出部、及び複数の 光遅延部を含むことで、複数の光受信部は、総伝搬遅延量が一致した複数のモード の光信号を一括して二乗検波することができる。このため、本実施形態に係る光伝送 システムは、多モード分散による光伝送品質の劣化を軽減できるだけでなぐモード 抽出に伴う光伝送損失を最小限に抑えることができる。
図面の簡単な説明
[0018] [図 1]図 1は、本発明の第 1の実施形態に係るマルチモード光伝送システムの基本構 成を示すブロック図である。
[図 2]図 2は、本発明の第 1の実施形態に係るモード処理部 400の概要構成を示すブ ロック図である。
[図 3]図 3は、本発明の第 1の実施形態に係るモード処理部 400の具体的な構成例を 示すブロック図である。
[図 4]図 4は、 MMF中を伝搬する光信号の波長と伝搬定数( |8 )との関係を示す図で ある。
[図 5]図 5は、本発明の第 2の実施形態に係るマルチモード光伝送システムの基本構 成を示すブロック図である。
[図 6]図 6は、本発明の第 2の実施形態に係るモード処理部 420の概要構成を示すブ ロック図である。
[図 7]図 7は、本発明の第 2の実施形態に係る光信号抽出部 421の構成例を示すブ ロック図である。
[図 8]図 8は、本発明の第 2の実施形態に係る光信号抽出部 421の具体的な構成例 を示すブロック図である。
[図 9]図 9は、従来のマルチモード光伝送システムの構成を示すブロック図である。
[図 10]図 10は、従来のマルチモード光伝送システムにおける入力信号と出力信号と の関係を説明する図である。
符号の説明
[0019] 101〜10x 光源(半導体レーザ)
200 光力プラ
300 マルチモード光伝送路
311、 313 光伝送路
311a, 313a MMF
331〜33x 出力光伝送路
331a〜33xa MMF
400、 420 モード処理部
411〜41x、431〜43m 反射光信号抽出部
411a〜41xa、 431a〜43ma サーキユレータ
421〜42x 光信号抽出部
441 合波部
441a 光力プラ
451〜45x、 461〜46m 光反射部
451a〜45xa、 461a〜46ma FBG
471〜47m 光遅延部
471a〜47ma 光遅延線
501〜50x 光受信部(フォトダイオード)
発明を実施するための最良の形態
[0020] 以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
[0021] (第 1の実施形態)
図 1は、本発明の第 1の実施形態に係るマルチモード光伝送システムの基本構成を 示すブロック図である。図 1において、マルチモード光伝送システムは、複数の光源 1 01〜10x、光力プラ 200、マルチモード光伝送路 300、モード処理部 400、及び複 数の光受信部 501〜50xを備える。なお、例えば、光源 101〜10xには半導体レー
ザを、光受信部 501〜50xにはフォトダイオードを用いることができる。
[0022] 半導体レーザ 101〜: LOxは、入力された電気信号を波長 λ 1〜え χを有する光信号 に変換する。半導体レーザ 101〜10χから出力された光信号は、光力ブラ 200へ入 力される。光力ブラ 200は、入力された光信号を波長多重して波長多重信号として出 力する。なお、光力ブラ 200は、光信号の波長を多重するので波長多重部と記しても よい。波長多重信号は、マルチモード光伝送路 300によって伝搬され、モード処理部 400へ入力される。モード処理部 400は、波長多重信号から特定の伝搬定数を有す る複数のモードの光信号を抽出する。モード処理部 400で抽出された光信号は、そ れぞれフォトダイオード 501〜50χに入力される。フォトダイオード 501〜50χは、そ れぞれ入力された光信号を二乗検波し電気信号に変換する。
[0023] ここで、モード処理部 400の詳細について、図 2及び図 3を用いて説明する。図 2は 、本発明の第 1の実施形態に係るモード処理部 400の概要構成を示すブロック図で ある。図 2において、モード処理部 400は、反射光信号抽出部411〜4 、光反射部 451〜45χ、入力光伝送路 311、出力光伝送路 313、及び出力光伝送路 331〜33 Xを含む。なお、反射光信号抽出部 41χおよび光反射部 45χは、波長 λ χの光信号 を抽出するための構成であるので、まとめて光信号抽出部としてもよい。また、光信号 抽出部は、反射光信号抽出部 41χおよび光反射部 45χの代わりに、特定の波長か つ特定の伝搬定数を有するモードの光信号を透過し、それ以外の光信号を反射す る光フィルタを含む構成であってもよ 、ものとする。
[0024] 図 3は、本発明の第 1の実施形態に係るモード処理部 400の具体的な構成例を示す ブロック図である。図 3において、モード処理部 400は、例えば、反射光信号抽出部 4 11〜41χとしてサーキユレータ 411a〜41xaを、光反射部 451〜45xとして FBG (フ アイパブラッググレーティング) 45 la〜45xaを、入力光伝送路 311として MMF (マル チモード光ファイバ) 311aを、出力光伝送路 313として MMF313aを、出力光伝送 路 331〜33xとして MMF331a〜33xaを含むちのとする。
[0025] 図 3を参照して、 MMF331aへ入力された光信号 (波長多重信号)は、サーキユレ一 タ 411aを経由して FBG451aへ入力される。 FBG451aは、特定の伝搬定数 j8 11を 有する光信号のみを反射して、その他の光信号を通過させる。伝搬定数 j8 11を有す
る反射光は、サーキユレータ 411aを経由して MMF331aへ入力される。同様に、伝 搬定数 j8 12〜 β lxを有する光信号は、 FBG452a〜45xaで反射され、サーキユレ ータ 412a〜41xaを経由して MMF332a〜33xaへ入力される。すなわち、モード処 理部 400は、 FBG451a〜45xaで反射する光信号の伝搬定数 |8 11〜|8 lxを、そ れぞれ波長 λ 1〜え Xの基本モードの伝搬定数に設定することで、波長多重信号か ら各波長の基本モードの光信号のみを抽出することができる。
[0026] 図 4は、 MMF中を伝搬する光信号の波長と伝搬定数 β mxとの関係を示す図である 。ここでは、図 4を用いて、波長 λ 1及び波長え 2の光信号の基本モードを抽出する 場合のモード処理部 400の動作について具体的に説明する。なお、図 4では、各波 長の光信号にっ 、て、基本モード (m=0)から第 7次の高次モード (m= 7)までの伝 搬定数を計算した結果を示している。この計算では、 MMFのパラメータとして、二乗 屈折率分布を有するグレーデッドインデックス型、コア径として 50 μ m、 NAとして 0. 2を用いた。図 4より、波長 λ l (850nm)の光信号を MMFによって光伝送した場合 、基本モードの伝搬定数 |8 11は、約 10935000 (lZm)となり、モードの次数が高く なるに従って伝搬定数が小さくなる。
[0027] 図 4を参照して、複数のモードを有する波長 λ 1及び波長 λ 2の光信号は、 MMF3 11a及びサーキユレータ 41 laを介して、 FBG451aに入力される。 FBG451aは、 β
F
= π ΖΛを満たす伝搬定数を持つ光信号のみを反射する。ここで Λは、 FBG451
BG
aにおける摂動(屈折率変ィ匕)の周期を表している。従って、 FBG451aは、摂動の周 期を適切に選ぶことによって、任意の伝搬定数を持った光信号 (任意のモード)を反 射させることが可能となる。例えば、 FBG451aは、摂動の周期を j8 11 = β に設定
FBG
すると、波長 λ 1の基本モードの光信号のみを反射することができる。
[0028] しかしながら、 FBG451aは、特定の伝搬定数 j8 11に一致する光信号を全て反射す るため、仮に λ 1以外の波長を有する光信号の高次モードが β 11の伝搬定数を持 つ場合には、波長 λ 1の基本モードだけでなぐ波長の異なる他の光信号の高次モ ードも同時に反射することになる。このような反射光を抽出してフォトダイオードで受 信すると、受信信号のクロストークが劣化する。そこで、本実施形態では、受信信号 のクロストークを劣化させないために、光源(半導体レーザ 101〜10χ)の波長を次の
ように設定する。例えば、波長 λ 1及び波長 λ 2の光信号を波長多重する場合、波長 λ 1の高次モードの伝搬定数と波長 λ 2の基本モードの伝搬定数とが重ならないよう に、波長 λ 1及び波長 λ 2を設定する。
[0029] 具体的には、波長 λ Xを有する光信号がマルチモード光ファイバを伝搬することに よって生じる第 m番目のモードに対する伝搬定数を β mxとすると、式(1)の関係を満 たすように波長 λ 1及び波長 λ 2を設定する。ただし、 mは、 1以上の任意の整数であ る。すなわち、波長 λ 2の基本モードの伝搬定数が波長 λ 1の高次モードの伝搬定 数と重ならないように波長 λ 1及び波長え 2を設定する。特に、式(2)の関係が成り立 つように、波長 λ 1及び波長 λ 2を設定することで、波長 λ 1と波長 λ 2との光信号の 間で発生するクロストークを最小にすることができる。
β ηι1 > β 12> β (m+ l) l …(1)
[0030] なお、光ファイバを伝搬する光信号の伝搬定数 β mxは、近似的に式(3)〜(6)で 表すことができる。ここで、波長 λ Xの光信号の全モード数を Ν ( λ X)、光ファイバの 規格化周波数を V、光ファイバの比屈折率差を Δ、光ファイバのコア屈折率を η、光 ファイバのクラッド屈折率を η、光ファイバのコア半径 ¾τ、光ファイバのコア屈折率分
0
Ν ( λ χ ) = ( 4 )
α + 2 2
( 5 ) λ χ η,
Δ — — ( 6 )
2 · 2
η{
[0031] なお、上述した説明では、波長 λ 1及び波長 λ 2の光信号だけについて述べた力
マルチモード光伝送システムは、波長数が増えた場合も同様に、光源が出力する光 信号の波長を設定するものとする。具体的には、マルチモード光伝送システムは、あ る光信号の基本モードの伝搬定数と、他の光信号の高次モードの伝搬定数とが重な らないように各光源が出力する光信号の波長を設定する。このように、光源の波長を 設定することで、マルチモード光伝送路を用いた場合においても、光伝送品質を劣 ィ匕させることなく波長多重伝送が可能となる。
[0032] また、マルチモード光伝送システムは、光ファイバの何からのパラメータを調整するこ とで光ファイバが有する伝搬定数を変更して、ある光信号の基本モードの伝搬定数と 、他の光信号の高次モードの伝搬定数とが重ならな 、ようにしてもょ 、。
[0033] また、マルチモード光伝送システムは、ある光信号の基本モードの伝搬定数と、他 の光信号の高次モードの伝搬定数とが近 、場合には、基本モードの光信号のみを 抽出できるように、 FBG451a〜45xaの反射帯域の幅を調整してもよ 、。
[0034] また、上述した説明では、モード処理部 400が波長多重信号の基本モードのみを 抽出する場合について述べた力 モード処理部 400が抽出できるモードは基本モー ドだけに限るものではな!/、。
[0035] また、反射光信号抽出部 411〜41xには、サーキユレータ 411a〜41xaの代わりに 光力プラを用いてもよい。また、光反射部 451〜45xには、 FBG451a〜45xaの代わ りに、特定の波長かつ特定の伝搬定数を有するモードの光信号を透過し、それ以外 の光信号を反射する光フィルタを用いてもょ 、。
[0036] また、光源 101〜10xとして短波長光源を用いることで、マルチモード光伝送路 30 0には、シングルモード光ファイバを用いてもよいものとする。すなわち、シングルモー ド光ファイバのカットオフ波長よりも短い波長の光信号をシングルモード光ファイバへ 入射した場合、シングルモード光ファイバ中を伝搬する光信号には複数の伝搬モー ドが生じる。例えば、現在広く普及している 1. 31 /z m帯零分散シングルモード光ファ ィバ(SMF)のカットオフ波長は 1. 2 m付近にあるため、光源 101〜10xに 0. 85 μ m帯短波長光源を用いると、シングルモード光ファイバ中を伝搬する光信号には 複数の伝搬モードが生じる。一般的に短波長光源のコストは長波長光源よりも安い 為、 SMFと短波長光源とを組み合わせることにより、従来の SMFと長波長光源とを
用いた場合と比較して、システム全体のコストを安くすることができる。
[0037] また、マルチモード光伝送路 300は、マルチモード光ファイバ又はシングルモード 光ファイバの代わりに、複数の伝搬経路を有する自由空間であってもよいものとする
[0038] 以上のように、本発明の第 1の実施形態に係る光伝送システムによれば、複数のモ ードを有する光信号の中から、ある特定のモードを有する光信号のみを抽出すること ができるため、複数のモードを有する光信号を二乗検波した際に生じる多モード分散 による信号品質の劣化を軽減することができる。また、複数の光源が出力する光信号 の波長を、それぞれの光源が出力する光信号の基本モードが有する伝搬定数と、他 の光源が出力する光信号の高次モードが有する伝搬定数とが互いに一致しないよう に設定することで、クロストークによる受信信号の劣化を防ぐことができる。
[0039] (第 2の実施形態)
図 5は、本発明の第 2の実施形態に係るマルチモード光伝送システムの基本構成を 示すブロック図である。図 5において、第 2の実施形態に係るマルチモード光伝送シ ステムは、モード処理部 420のみが第 1の実施形態と異なる。第 1の実施形態に係る モード処理部 400は、単一波長の光信号から単一モード (基本モード)の光信号しか 抽出しな力つた。これに対して、第 2の実施形態に係るモード処理部 420は、単一波 長の光信号力 複数モードの光信号を抽出することができる。これによつて、第 2の実 施形態に係るモード処理部 420は、モード処理に伴う光損失を最小限に抑えること が可能となる。
[0040] 図 6は、本発明の第 2の実施形態に係るモード処理部 420の概要構成を示すブロッ ク図である。図 6において、モード処理部 420は、光信号抽出部 421〜42x、入力光 伝送路 311、出力光伝送路 313、及び出力光伝送路 331〜33xを含む。光信号抽 出部 421〜42xは、波長 λ 1〜え Xの光信号から、それぞれ複数モードの光信号を 抽出する。
[0041] ここで、光信号抽出部 421〜42χの詳細について、図 7及び図 8を用いて説明する。
図 7は、本発明の第 2の実施形態に係る光信号抽出部 421の構成例を示すブロック 図である。図 7において、光信号抽出部 421は、反射光信号抽出部 431〜43m、光
反射部 461〜46m、光遅延部 471〜47m、合波部 441、及び出力光伝送路 331を 有する。図 8は、本発明の第 2の実施形態に係る光信号抽出部 421の具体的な構成 例を示すブロック図である。図 8において、光信号抽出部 421は、例えば、反射光信 号抽出部 431〜43mとしてサーキユレータ 431a〜43maを、光反射部 461〜46mと して FBG461〜46maを、光遅延部 471〜47mとして光ファイバなどによる光遅延線 471a〜47maを、合波部 441として光力プラ 44 laを、出力光伝送路 331として光フ アイバ 331aを有する。
[0042] 図 8を参照して、光信号抽出部 421は、波長 λ 1の光信号から複数モードの光信号 を抽出する。具体的には、 MMF311aへ入力された光信号は、サーキユレータ 431a を経由して FBG461aへ入力される。 FBG461aは、伝搬定数 j8 11を持つ光信号を 反射するように設計されている。従って、伝搬定数 j8 11を持つ光信号のみがサーキ ユレータ 431aを経由して、光遅延線 471aへ入力される。伝搬定数 j8 11以外の光信 号は、 FBG461a及びサーキユレータ 432aを介して FBG462aへ入力される。同様 に、伝搬定数 β 21〜 β mlまでの光信号は、各 FBGによって反射され、光遅延線 4 72a〜47maへ入力される。光遅延線 472a〜47maでは、伝搬定数 β 21〜 β mlを 持つ光信号に適当な遅延を与え、全てのモードの伝搬遅延量を揃える。伝搬遅延量 がー致した全ての光信号は、光力プラ 441aによって足し合わされ、光ファイバ 331a 力 出力される。
[0043] なお、光信号抽出部 421は、反射光信号抽出部 431〜43m、及び光反射部 461 〜46mの代わりに、特定の波長かつ特定の伝搬定数を有するモードの光信号を透 過し、それ以外の光信号を反射する複数の光フィルタを含む構成であってもよ!、もの とする。
[0044] また、上述した説明では、光信号の遅延処理及び合波処理を光の領域で行ったが、 光信号を一旦電気信号に変換した後で、電気の領域で遅延処理及び合波処理を行 なってもょ ヽものとする。
[0045] 以上のように、本発明の第 2の実施形態に係るマルチモード光伝送システムによれば 、光信号抽出部 421〜42xが、複数の光反射部 461〜46m、複数の反射光信号抽 出部 431〜43m、及び複数の光遅延部 471〜47mを含むことで、光受信部 501〜
50xは、総伝搬遅延量が一致した複数のモードの光信号を一括して二乗検波するこ とができる。このため、本実施形態に係るマルチモード光伝送システムは、多モード 分散による光伝送品質の劣化を軽減できるだけでなぐモード抽出に伴う光伝送損 失を最小限に抑えることが出来る。
産業上の利用可能性
本発明のマルチモード光伝送システムは、光信号をマルチモード伝送するシステム 等に有用である。