JPH10237667A - アルミニウムまたはアルミニウム合金用のリン酸亜鉛系化成処理方法およびリン酸亜鉛系化成処理用組成物 - Google Patents

アルミニウムまたはアルミニウム合金用のリン酸亜鉛系化成処理方法およびリン酸亜鉛系化成処理用組成物

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JPH10237667A
JPH10237667A JP4256797A JP4256797A JPH10237667A JP H10237667 A JPH10237667 A JP H10237667A JP 4256797 A JP4256797 A JP 4256797A JP 4256797 A JP4256797 A JP 4256797A JP H10237667 A JPH10237667 A JP H10237667A
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zinc
ions
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phosphate
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Hitoshi Ishii
均 石井
Michiro Kurosawa
道郎 黒澤
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Nihon Parkerizing Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C22/00Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals
    • C23C22/05Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions
    • C23C22/06Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6
    • C23C22/34Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6 containing fluorides or complex fluorides
    • C23C22/36Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6 containing fluorides or complex fluorides containing also phosphates
    • C23C22/362Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6 containing fluorides or complex fluorides containing also phosphates containing also zinc cations

Abstract

(57)【要約】 【課題】大量のアルミニウムまたはアルミニウム合金を
連続して処理する事ができる、リン酸亜鉛系化成処理液
とリン酸亜鉛系化成処理方法を提供する。 【構成】リン酸イオン、硝酸イオン、亜鉛イオンを含有
し、亜鉛イオン/リン酸イオンのモル比が0.7〜1.
3である組成物Aと、ナトリウムイオンとフッ素イオン
を含有しナトリウムイオン/フッ素イオンのモル比が
0.6〜1.0である組成物Bとを補給する事により、
リン酸イオン濃度とフッ素濃度が所望の価に保持されて
いる、リン酸イオン、硝酸イオン、亜鉛イオン、ナトリ
ウムイオン及びフッ素イオンを含有するリン酸亜鉛系処
理液を用いる。リン酸イオン濃度の測定にはアルカリ中
和滴定法を用いることができ、フッ素濃度の測定にはシ
リコン電極と不活性電極との間を流れる電流値を用いる
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウムまたはア
ルミニウム合金に用いるリン酸亜鉛系化成処理液とリン
酸亜鉛系化成処理方法に関するものである。より詳しく
述べるならば、本発明は伸線、伸管、プレス加工等の塑
性加工分野に適用される潤滑皮膜、もしくは電着塗装、
粉体塗装または吹き付け塗装等の塗装前処理に用いる塗
装下地皮膜を、アルミニウムまたはアルミニウム合金に
対して連続処理する際に用いるリン酸亜鉛系化成処理液
とリン酸亜鉛系化成処理方法である。
【0002】
【従来技術】現在、アルミニウムまたはアルミニウム合
金(以下アルミニウム材と称する)を塑性加工する際に
は、加工前の潤滑皮膜処理として、ケイフッ化ナトリウ
ム(Na2SiF6)およびフッ化亜鉛(ZnF2)を含
む処理液で化成処理を行う、いわゆるケイフッ化物法が
広く用いられているが、前記処理液中は5000ppm
〜20000ppm程度の高濃度のフッ素イオンを含有
すると共に、連続処理によって次第に化成性が低下して
しまう傾向があるので、定期的に処理液を廃棄更新する
必要があり、かつ処理後の水洗水の排水処理に多くの負
荷がかかっていた。また、上記処理は90℃以上の高温
で行う必要があるため、エネルギーコストの面でも改善
を求められていた。
【0003】一方、リン酸亜鉛系化成処理法によって析
出するリン酸亜鉛皮膜は、ケイフッ化物法によって得ら
れる皮膜に比べて、その後潤滑処理を行って塑性加工に
用いる場合優れた性能を示す。しかしリン酸亜鉛系化成
処理をアルミニウム材に対して直接処理しようとする場
合、連続処理による化成性の劣化速度が、ケイフッ化物
法よりも更に速いので、連続的な生産ベースに乗せるこ
とは不可能であった。
【0004】リン酸亜鉛系化成処理法の連続処理性を改
善する策としては、あらかじめ置換亜鉛めっき処理を施
した後に、リン酸亜鉛系化成処理する方法が、特開平3
−215684号公報に開示されているが、この方法も
置換亜鉛めっき処理の連続処理性、処理液コントロール
の面で問題が多い。
【0005】また、近年アルミニウム材に対して直接か
つ連続的にリン酸亜鉛系化成処理を施す方法が特開平2
−277781号公報等によって開示されているが、こ
れらのほとんどが鉄材、亜鉛材(亜鉛めっき材)、アル
ミニウム材からなる複合構成体の塗装下地処理を対象と
した処理方法であるため、塑性加工用潤滑皮膜処理のよ
うにアルミニウム材のみを対象とした場合には、やはり
連続処理性の面で問題を有している。
【0006】リン酸亜鉛系化成皮膜は塑性加工用潤滑皮
膜としてのみならず、塗装下地皮膜としても用いられ、
塗装後耐食性や塗膜密着性を向上させることができる。
従来、アルミニウム材に対する塗装下地処理としては、
塗装性に優れ、かつ連続処理性も良好なクロメート処理
が一般的であったが、有害な6価クロムを含有するため
排水処理性に問題を抱えていた。一方、排水処理性に有
利なリン酸亜鉛系化成処理を、アルミニウム材のみを対
象に直接かつ連続処理できる技術は、現在のところまだ
得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
抱える上記問題点を解決するためになされたものであ
り、より具体的には、アルミニウム材を対象材料とした
場合に、良質なリン酸亜鉛系化成皮膜を連続的に形成さ
せることが可能なアルミニウムまたはアルミニウム合金
用リン酸亜鉛系化成処理液とリン酸亜鉛系化成処理方法
を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の抱える問題点を解決するための手段について鋭意
研究を重ねた結果、アルミニウムまたはアルミニウム合
金に対してリン酸亜鉛系化成皮膜を析出させる際に、従
来の鉄材または亜鉛材、亜鉛めっき材等に適用されてい
る補給剤をリン酸亜鉛系化成処理液に補給した場合には
以下の(1)〜(3)に掲げる問題点が発生することが
わかった。
【0009】(1)フッ素イオンが著しく消費される。
(2)リン酸イオンの消費量に比べて亜鉛イオンの消費
量が多いため、処理液中の処理液の成分バランス(亜鉛
イオン/リン酸イオン濃度比率)が崩れる。(3)処理
液のpHの変化が鉄材や亜鉛材の場合と異なり、化成処
理性が低下すると共に析出する皮膜量が低下する。
【0010】(1)のフッ素イオンの低下については、
特開平2−277781号公報に開示されているような
補給方法、つまり特定のフッ化物からなる補給剤(酸性
フッ化ナトリウムと酸性フッ化カリウムの混合物)をリ
ン酸イオン、亜鉛イオンからなる補給剤とは別に添加す
ることで解消されるが、(2)および(3)の問題点は
従来開示されているどの方法によっても解決し得ないこ
とを確認した。
【0011】そこで本発明者らは、リン酸亜鉛系化成処
理をアルミニウムまたはアルミニウム合金に対して適用
した場合の化学変化を調査した。その結果アルミニウム
材の場合は鉄材や亜鉛材とは顕著に異なる事を知得し
た。また鉄材や亜鉛材を処理した時とは全く異なる処理
液成分の消費形態を取ることを知得した。そして、算出
された成分消費から設定した補給剤は、従来鉄材や亜鉛
材に対して用いられていた補給剤とは全く異なる成分バ
ランスとなることが判明した。
【0012】そして、アルミニウム材の場合には補給剤
として新たな組成物を使用することにより、上記の
(1)〜(3)の問題点は全て解消され、初期の処理効
果を半永久的に維持できることを確認し、本発明を完成
するに至ったのである。
【0013】すなわち本発明は、(1)リン酸イオン、
硝酸イオン、亜鉛イオン、ナトリウムイオンおよびフッ
素イオンを含有するリン酸亜鉛系化成処理液を用いるア
ルミニウムまたはアルミニウム合金のリン酸亜鉛系化成
処理方法において、継続使用中の該リン酸亜鉛系化成処
理液のリン酸イオン濃度とフッ素イオン濃度を測定し、
リン酸イオン、硝酸イオンおよび亜鉛イオンを含有し亜
鉛イオン/リン酸イオンのモル比が0.7〜1.3であ
る組成物Aと、ナトリウムイオンとフッ素イオンを含有
しナトリウムイオン/フッ素イオンのモル比が0.6〜
1.0である組成物Bとを、該リン酸亜鉛系化成処理液
のリン酸イオン濃度とフッ素イオン濃度とが所望の価に
なる量、該リン酸亜鉛系化成処理液に補給することを特
徴とする、アルミニウムまたはアルミニウム合金のリン
酸亜鉛系化成処理方法である。
【0014】また(2)リン酸イオン濃度の測定方法が
アルカリ中和滴定法である事を特徴とする、前記(1)
に記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金のリン酸
亜鉛系化成処理方法である。
【0015】また(3)フッ素イオン濃度の測定方法
が、シリコン電極と不活性電極との間に流れる電流値を
用いた測定方法である、前記(1)または(2)に記載
のアルミニウムまたはアルミニウム合金のリン酸亜鉛系
化成処理方法である。
【0016】また(4)リン酸亜鉛系化成処理液に接液
する直前に、処理するアルミニウムまたはアルミニウム
合金をチタンコロイド系表面調整液にて処理する事を特
徴とする、前記(1)〜(3)の何れかに記載のアルミ
ニウムまたはアルミニウム合金のリン酸亜鉛系化成処理
方法である。
【0017】また(5)前記(1)〜(4)の何れかの
方法において、リン酸イオン濃度の低下分を補給するた
めに使用する、リン酸イオン、硝酸イオンおよび亜鉛イ
オンを含有し、亜鉛イオン/リン酸イオンのモル比が
0.7〜1.3である組成物である。
【0018】また(6)前記(1)〜(4)の何れかの
方法において、フッ素イオン濃度の低下分を補給するた
めに使用する、ナトリウムイオンとフッ素イオンを含有
し、ナトリウムイオン/フッ素イオンのモル比が0.6
〜1.0である組成物である。
【0019】以下、本発明の構成を詳述する。本発明は
アルミニウムまたはアルミニウム合金に適用されるもの
であり、鉄、亜鉛、マグネシウム等の他種金属には適用
できない。但し、若干量の多種金属の混入については、
何らこれを拒むものではない。また、ステンレスやプラ
スチックのように、リン酸亜鉛系化成処理液中にて全く
化学反応が起きないような材料についても、その量に関
わらず混入を妨げるものではない。
【0020】本発明に用いられるリン酸亜鉛系化成処理
液は、処理液成分としてリン酸イオン、硝酸イオン、亜
鉛イオン、ナトリウムイオンおよびフッ素イオンを含有
するものである。この中でリン酸イオンと亜鉛イオンは
化成皮膜の主成分、フッ素イオンはアルミニウム材への
エッチング反応を促進する成分、ナトリウムイオンは素
材から溶出したアルミニウムイオンをスラッジ化させる
成分、硝酸イオンは処理液のpH(酸度)を調整する成
分として必要である。
【0021】なお、ナトリウムイオンはカリウムイオン
に代替しても性能上の問題は少ないが、コスト高につな
がるため経済的に不利である。また、各成分の濃度は特
に限定するものではなく、化成処理する対象材料により
好ましい濃度範囲を設定することができる。
【0022】本発明の中で最も重要な点は、アルミニウ
ムまたはアルミニウム合金を連続的にリン酸亜鉛系化成
処理する際に、消費低下したリン酸亜鉛系化成処理液中
の各成分の濃度を、リン酸イオン、硝酸イオンおよび亜
鉛イオンを含有し、かつ亜鉛イオン/リン酸イオンのモ
ル比が0.7〜1.3である組成物A、およびナトリウ
ムイオンとフッ素イオンを含有し、かつナトリウムイオ
ン/フッ素イオンのモル比が0.6〜1.0である組成
物Bの2種類の組成物を用いて補給し、適正範囲内に維
持するところにある。
【0023】組成物A中の亜鉛イオン/リン酸イオンの
モル比が0.7を下回る場合は、連続処理によってリン
酸亜鉛系化成処理液中の亜鉛イオン濃度が低下してい
き、化成処理性が低下してしまう。またモル比が1.3
を上回る場合は、逆に亜鉛イオン濃度が増加していき、
過剰な亜鉛イオンは処理液中でスラッジ化してしまうた
め好ましくない。
【0024】組成物Aは酸性水溶液の形にしておくこと
によって処理液への補給が容易になる。亜鉛イオン/リ
ン酸イオンのモル比0.7〜1.3の組成物Aを酸性水
溶液に調整しようとした場合、リン酸イオン以外のアニ
オン、例えば硝酸、硫酸、塩酸等の酸成分の添加が考え
られるが、硝酸が好ましい。
【0025】組成物A中のリン酸イオンはリン酸または
リン酸亜鉛、リン酸ナトリウム等のリン酸塩として、亜
鉛イオンは酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、もしくは
リン酸亜鉛、硝酸亜鉛等の塩の形で添加することが好ま
しい。一般的にはリン酸および硝酸に酸化亜鉛を溶解さ
せる方法で組成物Aを調整する。
【0026】また、組成物Aは酸性水溶液とすることで
処理液への添加が容易となるので、水溶液のpHは0.
5〜1.5程度に調整することが好ましい。極度に酸性
の溶液にすると、処理液のpHが低下してしまうため化
成不良につながり、逆に中性領域の溶液にしようとして
も液状にすることができない。
【0027】組成物Bについては、ナトリウムイオン/
フッ素イオンのモル比が0.6〜1.0である必要があ
り、モル比が0.6を下回る場合は処理液のpHが低下
していき化成処理性が劣化してしまう。逆にモル比が
1.0を上回る場合は組成物B自体がアルカリとなり、
リン酸亜鉛系化成処理液中に添加する際、アルカリ中和
に伴う大量のスラッジを発生させてしまうので好ましく
ない。
【0028】組成物Bの具体的作製方法としては、フッ
酸水溶液中に水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等を溶
解させる方法、もしくはフッ化水素ナトリウムとフッ化
ナトリウムを混合する方法を用いることができる。組成
物Bは固体粉末の形態で使用しても、添加後速やかに処
理液に溶解するため、固体粉末、水溶液いずれの形態で
も構わない。
【0029】本発明のリン酸亜鉛系化成処理液中には、
カチオン成分として亜鉛イオン、ナトリウムイオンが添
加されているが、これ以外のカチオン成分として、ニッ
ケルイオン、コバルトイオン、マンガンイオン、および
3価鉄イオン等を含有しても、本発明の効果を減ずるも
のではない。これらの金属イオンは皮膜性能を向上させ
るための添加金属として従来から用いられているもので
ある。ニッケルイオン、コバルトイオンおよびマンガン
イオンについては炭酸塩、水酸化物、硝酸塩およびリン
酸塩、3価鉄イオンについては硝酸塩、硫酸塩といった
形で組成物Aに添加することができる。
【0030】組成物Aおよび組成物Bの具体的補給方法
としては、リン酸亜鉛系化成処理液中のリン酸成分の濃
度を例えば中和滴定法によって測定し、前記濃度の低下
分を組成物Aで補給すると共に、前記化成処理液中のフ
ッ素イオン濃度を例えばシリコン電極と不活性電極との
間に流れる電流値によって測定し、前記フッ素イオン濃
度の低下分を組成物Bで補給する必要がある。
【0031】処理液中の成分で最も把握すべき成分濃度
はリン酸イオンとフッ素イオンである。リン酸イオン濃
度は吸光光度法やイオンクロマトグラフ法等の機器分析
法で測定が可能である。しかしこれらの方法は測定機器
が高価でありかつ機器操作も煩雑である。
【0032】この点、アルカリ中和滴定法は亜鉛イオン
等の影響を若干受けるものの、特別な機器を必要とせ
ず、簡易で瞬時にリン酸イオン濃度を測定できる点で、
連続処理時の補給量設定を目的にした場合の測定法とし
て適している。なお、アルカリ中和滴定の終点はpH
9.7付近に設定する必要が多いため、指示薬としては
フェノールフタレイン、O−クレゾールフタレイン、α
−ナフトールベンゼイン、チモールフタレイン、チモー
ルブルー、Pキシレノールブルー等を用いる事ができ
る。またpH電極で終点を確認することもできる。
【0033】具体的な濃度測定方法の例としては、処理
液を一定量例えば10mL採取し、フェノールフタレイ
ンを加えた後、白色からピンク色に変色するまで、一定
濃度のアルカリ水溶液例えば0.1規定の水酸化ナトリ
ウム水溶液にて滴定する方法が考えられる。なお、以後
この方法で測定される滴定量を全酸度、滴定量のmL数
を全酸度のポイントと称することとする。
【0034】また、pH3.8付近に変色点を有する指
示薬、例えばブロムフェノールブルーをフェノールフタ
レインの替わりに用いて、上記と同様の中和滴定を行う
ことにより、処理液pHを把握することも可能であり、
この方法で測定される滴定量を遊離酸度、滴定量のmL
数を遊離酸度のポイントと称することとする。
【0035】フッ素イオン濃度に関しては、イオンクロ
マトグラフ法、フッ素イオン電極法等が考えられるが、
イオンクロマトグラフ法には上述したように装置が高価
であるという問題点がある。また、フッ素イオン電極法
にて直接処理液を測定すると、処理液中のフッ素イオン
濃度が通常フッ素イオン電極法で測定される濃度を上回
っており、かつ処理液が酸性水溶液であるため、電極の
寿命が短くなりまた大きな測定誤差が発生し易い。な
お、希釈といった処理液の前処理を行った場合は、測定
操作が煩雑になるので実用的ではない。
【0036】処理液中のフッ素イオンは被処理物に対す
るエッチング成分として添加しているため、フッ素イオ
ン濃度の測定はフッ素イオンのエッチング力を測定する
方法が好ましい。従って、リン酸亜鉛系化成処理液中の
フッ素濃度を測定するには、シリコン電極と不活性電極
との間に流れる電流値を測定する方法が最も好ましい測
定法と言える。
【0037】シリコン電極と不活性電極との間に流れる
電流値を測定する方法については、特公昭41−198
号公報に既に開示されており、不活性電極として白金電
極を用いた測定機器(商品名:ラインガード101、米
国ヘンケルパーカーアムケム社製)が市販されている。
【0038】本発明で用いるリン酸亜鉛系化成処理液
を、清浄なアルミニウムまたはアルミニウム合金に対し
て直接使用することも可能であるが、前記リン酸亜鉛系
化成処理液に接液する直前に、チタンコロイド系表面調
整液にて処理することにより化成反応時間が短縮できる
と共に、析出皮膜結晶を緻密化することができる。
【0039】また、本発明のリン酸亜鉛系化成処理を行
った後に更に石鹸処理を施すことにより、塑性加工用潤
滑皮膜として用いることができる。このような使用方法
は、従来から用いられている塑性加工用潤滑皮膜処理法
であるケイフッ化物法等に比べて、潤滑性、排水処理
性、エネルギーコスト、いずれを取っても利点が大きい
ことから、アルミニウムまたはアルミニウム合金に対し
て最も好適な使用方法といえる。
【0040】石鹸処理としては、脂肪酸アルカリ例えば
ステアリン酸ナトリウムを0.5〜3.0%程度含有す
る水溶液を用い、70〜95℃にて1〜5分間接液した
後乾燥する方法、金属石鹸例えばステアリン酸カルシウ
ムを5〜30%程度水溶液中に懸濁させた液を用い、常
温〜90℃にて10秒〜5分間接液した後乾燥する方法
等が適用される。
【0041】本発明で用いるリン酸亜鉛系化成処理液
は、30〜60℃程度の比較的低温でも使用できる。表
面調整処理を施した場合の処理時間は1〜5分程度であ
り、施さない場合は3〜10分程度必要である。処理方
法は浸漬法、スプレー法いずれの方法も可能である。析
出させるリン酸亜鉛系化成皮膜の皮膜重量は2〜10g
/m2程度である。
【0042】本発明における具体的な処理工程を以下に
述べる。アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面が
清浄であれば、直接またはチタンコロイド系表面調整液
に浸漬した後、リン酸亜鉛系化成処理を行い、水洗また
は湯洗後乾燥される。油等の付着物がある場合は、アル
カリ脱脂や溶剤脱脂等の方法であらかじめ付着物を除去
することが必要であり、アルカリ脱脂液等の水系洗浄液
を用いた場合は、これを除去するための水洗または湯洗
工程を設けることが好ましい。
【0043】アルミニウム材表面に厚い酸化膜が存在す
る場合は、リン酸亜鉛系化成処理性が低下する場合があ
るので、酸洗等の方法で酸化膜を除去することが好まし
い。酸洗には硝酸、硫酸、フッ酸または有機酸を用いる
ことができ、濃度は1〜30%程度、温度は常温〜50
℃程度、処理時間は30秒〜5分程度にて処理され、酸
洗の後には水洗または湯洗工程を要する。
【0044】すなわち、処理工程の一例としては、アル
カリ脱脂→水洗(湯洗)→酸洗→水洗(湯洗)→表面調
整→リン酸亜鉛系化成処理→水洗(湯洗)→石鹸処理→
乾燥が考えられる。特に水洗(湯洗)工程は洗浄効率の
向上を目的に多段にて行うこともできる。また、素材の
表面状態や使用目的に応じてリン酸亜鉛系化成処理以外
の工程は適宜省略することも可能である。
【0045】
【作用】従来、リン酸亜鉛系化成処理は鉄および/また
は亜鉛に対して施されることが主であり、アルミニウム
またはアルミニウム合金を主体とする金属に対して連続
的に処理されることは不可能とされていた。これは鉄お
よび/または亜鉛を処理した時に消費される成分比率
と、アルミニウムまたはアルミニウム合金を処理した時
に消費される成分比率が大きく異なることに起因する。
すなわちアルミニウムまたはアルミニウム合金の処理に
際し、従来の鉄または亜鉛の場合の補給剤を適用した場
合、処理液中の各成分バランスが崩れ、連続的な処理が
できなくなるのである。
【0046】リン酸亜鉛系化成処理を鉄に対して施した
場合、(1)式で表される鉄のエッチング反応および水
素イオンの還元反応が起こり、素材表面のpHが上昇す
る。 (1)式 Fe+2H+→Fe2++H2↑ これに伴って(2)式で表されるように、処理液中のリ
ン酸イオンと亜鉛イオンが沈澱反応を生じ、素材表面に
析出する。 (2)式 2H2PO4 -+3Zn2++4H2O→Zn3
(PO42・4H2O↓+4H+ なお、この際(3)式で表されるように、素地から溶出
した鉄イオンが皮膜の中に取り込まれてリン酸亜鉛鉄が
析出する場合もある。 (3)式 2H2PO4 -+2Zn2++Fe2++4H2
→Zn2Fe(PO4)2・4H2O+4H+ で表されるリン酸亜鉛鉄が皮膜として析出する。
【0047】また、溶出した鉄イオンの大部分は処理液
中に拡散し、酸化剤の存在下で(4)式で表される酸化
反応を起こした後、処理液中のリン酸イオンとリン酸鉄
スラッジを形成して(5)式のごとく系外に除去され
る。 (4)式 Fe2++Ox→Fe3+ (5)式 Fe3++H2PO4 -+xH2O→FePO4
・xH2O↓+2H+
【0048】処理液中の亜鉛イオンとリン酸イオンが、
皮膜としてのみ消費されるのであれば、(2)式および
(3)式で示されるごとく、亜鉛イオン/リン酸イオン
=1/1〜3/2(=1.0〜1.5)の消費比率とな
るが、(5)式に示されるスラッジ発生反応にリン酸イ
オンが消費されるため、鉄の場合の実際の亜鉛イオン/
リン酸イオン消費比率は0.3〜0.4程度となる。
【0049】一方、リン酸亜鉛系化成処理を亜鉛や亜鉛
めっき鋼板に対して施した場合、(6)式で表される亜
鉛のエッチング反応および水素イオンの還元反応が起こ
り、素材表面のpHが上昇すると共に、(2)式で表さ
れるリン酸イオンと亜鉛イオンの沈澱反応が生じ、素材
表面に析出する。 (6)式 Zn+2H+→Zn2++H2↑ ここで、実質的な亜鉛イオンの供給は、(6)式に伴っ
て素地から溶出した亜鉛イオンによってまかなわれるた
め、処理液中からの亜鉛イオンの消費は極めて小量とな
り、亜鉛を処理した場合の亜鉛イオン/リン酸イオン消
費比率は0.1〜0.2程度となる。
【0050】これに対して、リン酸亜鉛系化成処理をア
ルミニウムまたはアルミニウム合金に対して施した場合
は、エッチング反応が(7)式のように進む以外は素地
が亜鉛の場合と同様の反応機構により、即ち前記(2)
式により皮膜が析出する。 (7)式 Al+3H+→Al3++3/2H2
【0051】しかし、素地が亜鉛の場合と異なり、亜鉛
イオンの供給は処理液からのみであるため、亜鉛イオン
/リン酸イオンは(2)式に則った消費比率、すなわち
1.5となる。処理液成分の消費は、素材に付着した処
理液成分の持ち出し分も含まれ、処理液中の亜鉛イオン
/リン酸イオン比率は通常1.5よりも低いため、実際
には亜鉛イオン/リン酸イオンは1.5よりも低い比
率、具体的には1.3以下の比率で補給する必要があ
る。しかし鉄および/または亜鉛を処理する場合に設定
される補給剤のように、0.1〜0.4程度の比率で補
給すると、下記の理由で成分バランスが崩れてしまう。
【0052】また、亜鉛イオンとリン酸イオンのみを含
有する水溶液では、亜鉛イオン/リン酸イオンのモル比
が0.5を超えた段階でリン酸亜鉛結晶を沈澱してしま
い、一度結晶化した結晶は処理液中に添加しても再溶解
はしない。よって、本願の、モル比0.7〜1.3の組
成物Aを水溶液の状態にするためには何らかのアニオン
を添加して酸性水溶液の形態にする必要がある。本願の
組成物Aにおいてはこのためリン酸イオン以外のアニオ
ン成分として、硝酸イオンを含有せしめる。
【0053】次に、(7)式によってエッチングされた
アルミニウムイオンはリン酸亜鉛系化成処理液中で化成
反応の妨害イオンとして作用するため、何らかの方法で
除去する必要がある。Al3+イオンは(8)式に示すよ
うに処理液中のフッ素イオンとナトリウムイオン等のア
ルカリ金属と結合して沈澱する。 (8)式 Al3++6F-+3Na+→Na3AlF6↓ (8)式の沈澱物は、リン酸基を有しない点で(5)式
の沈澱物とは異なる。また(8)式の沈澱物は、Naや
Fを有する点で(5)式の沈澱物とは異なる。
【0054】ナトリウムイオン/フッ素イオン比率0.
5の組成物を組成物Bとして添加することにより、エッ
チングされたアルミニウムイオンを(8)式の反応によ
って沈澱除去することができる。しかし、組成物Aは硝
酸が添加された酸性水溶液であり、組成物Aの連続的な
添加は処理液pHを低下させ、化成処理性を低下させて
しまうため、組成物Bは0.5を超えるナトリウムイオ
ン/フッ素イオン比率として、処理液pHの低下に対処
する必要がある。なお、1.0を超えるナトリウムイオ
ン/フッ素イオン比率にすると、組成物Bがアルカリ性
を呈するため、添加による中和スラッジが多量に発生し
てしまう。
【0055】本発明によって得られたリン酸亜鉛系化成
皮膜は、アルミニウムまたはアルミニウム合金に対して
従来一般的に用いられている潤滑処理であるケイフッ化
物処理で形成される皮膜に比べて優れた潤滑性能を示
す。ケイフッ化物処理によって得られる皮膜はクリオラ
イト(Na3AlF6)を主体としており、後に石鹸処理
を行っても、単純に未反応石鹸皮膜が上層として付着す
るのみであるのに対し、リン酸亜鉛系化成皮膜の場合
は、後に石鹸処理特に脂肪酸アルカリ処理を施した場合
は、リン酸亜鉛と脂肪酸アルカリの反応により、脂肪酸
亜鉛すなわち金属石鹸層が形成され、これが塑性加工時
の潤滑性を飛躍的に向上させるのである。
【0056】また、リン酸亜鉛系化成処理前に亜鉛めっ
き処理を施した場合は、上記金属石鹸の効果は得られる
ものの、処理後に残存する金属亜鉛が金型と融着してし
まい、金型の傷付き原因となるため、やはりリン酸亜鉛
系化成処理を素材にダイレクトに行う本発明の方が優れ
た潤滑性能を示すのである。
【0057】
【実施例】次に実際の処理について幾つかの実施例を比
較例と共に挙げ、本発明の効果をより具体的に説明す
る。実験1として、塑性加工前の潤滑皮膜としての性能
評価試験を実施した。 実施例1 外径30mm、高さ40mmの円柱状に加工したアルミ
ニウム合金(JIS−3004)を試験片として用い、
チタンコロイド系表面調整処理剤としてプレパレンZN
(日本パーカライジング社製)1.0g/L濃度を用
い、これに常温で30秒間浸漬処理した後、亜鉛イオ
ン:2.5g/L、リン酸イオン:25g/L、硝酸イ
オン:25g/L、フッ素イオン:500ppmを含有
し、水酸化ナトリウムを用いて遊離酸度を1.5ポイン
トに調整したリン酸亜鉛系化成処理液に45℃で180
秒間浸漬処理した。
【0058】なお、リン酸亜鉛系化成処理液の全酸度は
36ポイントであり、”ラインガード101メーター”
を用いて測定したフッ素イオン濃度(電流値)は200
μAであった。処理後の試験片は水洗後、85℃のステ
アリン酸ナトリウム水溶液(50g/L)にて180秒
間浸漬し、石鹸処理を施した後自然乾燥した。この試験
片を試験片1とした。
【0059】上記と同様のチタンコロイド系表面処理を
行ったアルミニウム合金の試験片の処理を、リン酸亜鉛
系化成処理液1L当たり1m2の加工負荷となるまで連
続処理した。連続処理に際しては、補給剤として亜鉛イ
オン:1.5mol/L、リン酸イオン:1.7mol
/Lを含有し(モル比=0.9)、硝酸によってpH
0.9に調整した組成物A1と、フッ化ナトリウムとフ
ッ化水素ナトリウムをフッ素イオン/ナトリウムイオン
のモル比が0.7となるように混合した組成物B1を逐
次添加した。なお、組成物A1および組成物B1は全酸
度およびフッ素イオン濃度(電流値)の低下分だけ添加
した。連続処理終了直前の試験片を試験片2とした。
【0060】実施例2 試験片1の場合と同様のリン酸亜鉛系化成処理液を用
い、補給剤として、亜鉛イオン:1.4mol/L、リ
ン酸イオン:1.9mol/Lを含有し(モル比=0.
7)、硝酸によってpH0.6に調整した組成物A2
と、組成物B2としてフッ化ナトリウム(フッ素イオン
/ナトリウムイオンのモル比=1.0)を逐次添加し、
連続処理を行った。なお、組成物A2および組成物B2
は全酸度およびフッ素イオン濃度(電流値)の低下分だ
け添加した。連続処理終了直前の試験片を試験片3とし
た。
【0061】実施例3 試験片1の場合と同様のリン酸亜鉛系化成処理液を用
い、補給剤として亜鉛イオン:1.3mol/L、リン
酸イオン:1.0mol/Lを含有し(モル比=1.
3)、硝酸によってpH1.1に調整した組成物A3
と、フッ化ナトリウムとフッ化水素ナトリウムをフッ素
イオン/ナトリウムイオンのモル比が0.6となるよう
に混合した組成物B3を逐次添加し、連続処理を行っ
た。なお、組成物A3および組成物B3は全酸度および
フッ素イオン濃度(電流値)の低下分だけ添加した。連
続処理終了直前の試験片を試験片4とした。
【0062】実施例4 チタンコロイド系表面調整処理を行わずに、試験片1と
同様のリン酸亜鉛系化成処理液および石鹸処理液を用い
て処理を行った。ただし、リン酸亜鉛系化成処理の処理
時間は300秒とした。これを組成物A1および組成物
B1を補給剤として用いて連続処理を行い、連続処理終
了直前の試験片を試験片5とした。
【0063】実施例1と同様の方法で試験片1相当品を
作成の後試験片の連続処理を無補給で行ったところ、全
酸度およびフッ素イオン濃度(電流値)が次第に低下し
ていき、それと共に化成皮膜の析出量も低下した。1L
当たり0.1m2処理した段階で化成皮膜は全く析出し
なくなった。
【0064】比較例1 実施例1と同様の方法で試験片1相当品を作成の後、試
験片を連続処理した。連続処理に際しては、補給剤とし
て、亜鉛イオン:1.3mol/L、リン酸イオン:
2.2mol/Lを含有し(モル比=0.6)、硝酸に
よってpH1.9に調整した組成物A4と、フッ化ナト
リウムと炭酸ナトリウムをフッ素イオン/ナトリウムイ
オンのモル比が1.1となるように混合した組成物B4
を逐次添加した。なお、組成物A4および組成物B4は
全酸度およびフッ素イオン濃度(電流値)の低下分だけ
添加した。しかし、連続処理により処理液中の亜鉛イオ
ン濃度が低下していき、化成皮膜の析出量も低下した。
1L当たり0.3m2処理した段階で化成皮膜は全く析
出しなくなった。
【0065】比較例2 実施例1と同様の方法で試験片1相当品を作成の後、補
給剤として、亜鉛イオン:1.7mol/L、リン酸イ
オン:1.2mol/Lを含有し(モル比=1.4)、
硝酸によってpH1.7に調整した組成物A5と、組成
物B5としてフッ化水素ナトリウム(フッ素イオン/ナ
トリウムイオンのモル比=0.5)を逐次添加し、連続
処理を行った。なお、組成物A5および組成物B5は全
酸度およびフッ素イオン濃度(電流値)の低下分だけ添
加した。しかし、連続処理により処理液の遊離酸度が上
昇していき、化成皮膜の析出量も低下した。1L当たり
0.4m2処理した段階で化成皮膜は全く析出しなくな
った。なお、組成物A1〜A5は酸化亜鉛をリン酸およ
び硝酸に溶解させることにより作製した。作製に当たっ
て、1.5を超えるpH領域では酸化亜鉛が残存してお
り、全てを水溶化することは困難であった。
【0066】比較例3 比較例として従来のケイフッ化物処理を行った。ケイフ
ッ化物処理としては、アルボンドA(日本パーカライジ
ング社製)30g/Lにて建浴し、95℃にて180秒
間浸漬処理した。処理後の試験片は水洗後、実施例1の
場合と同様の石鹸処理を施した後自然乾燥した。この試
験片を試験片6とした。
【0067】比較例4 比較例として無電解亜鉛メッキとリン酸亜鉛系化成処理
を合わせ行った。亜鉛めっき処理としては、水酸化ナト
リウム:250g/L、酸化亜鉛:50g/Lを溶解し
た処理液を用い、常温にて60秒間浸漬処理した。その
後、水洗を挟んでチタンコロイド系表面調整処理剤とし
てプレパレンZN(日本パーカライジング社製)1.0
g/L濃度にて常温で30秒間浸漬処理した後、亜鉛イ
オン:2.5g/L、リン酸イオン:25g/L、硝酸
イオン:25g/Lを含有し、水酸化ナトリウムを用い
て遊離酸度を1.5ポイントに調整したリン酸亜鉛系化
成処理液にて45℃で180秒間浸漬処理した。更に水
洗後実施例1の場合と同様の石鹸処理を施し、この試験
片を試験片7とした。
【0068】続いて実験2として、塗装下地皮膜として
の性能評価試験を実施した。 実施例5 厚さ1mmのアルミニウム合金板(JIS−A505
2)を7cm×15cmに切断し、これを試験板とし
た。まずアルカリ脱脂剤ファインクリーナー315(日
本パーカライジング社製)20g/L濃度を用い、50
℃で120秒間浸漬処理した後、水洗し、チタンコロイ
ド系表面調整剤プレパレンZN(日本パーカライジング
社製)1g/L濃度を、常温で浸漬処理した。その後、
亜鉛イオン:1.5g/L、ニッケルイオン:1.0g
/L、リン酸イオン:15g/L、硝酸イオン:20g
/L、フッ素イオン:400ppmを含有し、水酸化ナ
トリウムを用いて遊離酸度を1.0ポイントに調整した
リン酸亜鉛系化成処理液にて45℃で120秒間浸漬処
理した。
【0069】なお、リン酸亜鉛系化成処理液の全酸度は
25ポイントであり、”ラインガード101メーター”
を用いて測定したフッ素イオン濃度(電流値)は150
μAであった。処理後の試験片は湯洗および純水洗後、
カチオン電着塗料GT−10(関西ペイント社製)を用
いて膜圧20μmの電着塗装を施した。この試験板を試
験板1とした。なお、カチオン電着塗装の塗装条件とし
ては、浴温28℃に調整した塗料中で、陰極電解電圧2
00Vを180秒間保持し、水洗後、160℃のオーブ
ンで20分間焼き付けを行った。この試験板を試験板1
とした。
【0070】上記と同様のチタンコロイド系表面処理を
行ったアルミニウム合金板のリン酸亜鉛系化成処理を、
リン酸亜鉛系化成処理液1L当たり1m2の処理面積と
なるまで連続処理した。連続処理に際しては、亜鉛イオ
ン:1.3mol/L、ニッケルイオン:0.1mol
/L、リン酸イオン:1.6mol/Lを含有し(亜鉛
イオン/リン酸イオンのモル比=0.8)、硝酸によっ
てpH1.9に調整した組成物A6と、フッ化ナトリウ
ムとフッ化水素ナトリウムをフッ素イオン/ナトリウム
イオンのモル比が0.6となるように混合した組成物B
6を逐次添加した。なお、組成物A6および組成物B6
は全酸度およびフッ素イオン濃度(電流値)の低下分だ
け添加した。連続処理終了直前の試験板を試験板2とし
た。
【0071】実施例6 実施例5と同様のリン酸亜鉛系化成処理を、純アルミニ
ウム板(JIS−A1050)について行った。初期の
処理板を試験板3、連続処理後の試験板を試験板4とし
た。
【0072】比較例5 アルミニウム合金板(JIS−A5052)および純ア
ルミニウム板(JIS−A1050)に対し、実施例5
と同様のアルカリ脱脂処理を施し、水洗および純水洗し
た後、塗装下地処理を行わずにカチオン電着塗装した。
アルミニウム合金板を試験板5、純アルミニウム板を試
験板6とした。
【0073】比較例6 アルミニウム合金板(JIS−A5052)および純ア
ルミニウム板(JIS−A1050)に対し、実施例5
と同様のアルカリ脱脂および水洗を行った後、アルミニ
ウム用塗装下地処理方法として従来のクロム酸クロメー
ト処理を行った。クロム酸クロメート処理としては、ア
ルクロム713(日本パーカライジング社製)を72g
/Lにて建浴し、40℃にて30秒間浸漬処理した。処
理後の試験片は水洗、純水洗および乾燥後カチオン電着
塗装を施した。アルミニウム合金板を試験板7、純アル
ミニウム板を試験板8とした。
【0074】評価試験方法 (1)加工性評価 加工性すなわち潤滑皮膜の潤滑性は後方穿孔押し出し試
験を用いて評価した。後方穿孔押しだし試験の断面減少
率は50%とし、加圧荷重(t/f)およびパンチラン
ド部の傷つき度合い(傷の量と深さ)を評価した。 (2)耐食性評価 電着塗装された試験板の耐食性は、屋外暴露試験により
評価した。あらかじめ、鋭利なカッターにて素地に達す
るクロスカットを入れ、週2回の5%塩水散布を行いな
がら、9ヶ月間屋外暴露を行った。クロスカットからの
片側最大膨れ幅(mm)を測定した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】実施例1〜6、比較例1、2における連続
処理性を
【表1】にまとめた。この結果、本発明のリン酸亜鉛系
化成処理液の管理方法を用いた実施例1〜6については
連続処理が可能であるが、これらの範囲を外れる組成物
を用いて補給した比較例1、2は、連続処理が不可能で
あることがわかる。
【0080】次に実験1によって作製された試験片1〜
7、および実験2によって作製された試験板1〜6の皮
膜重量測定結果を
【表2】に示す。この結果より、本発明の管理方法を用
いた実施例1〜6では連続処理による化成処理性の変化
がほとんどないことがわかる。一方、比較例3、4では
化成処理性の変化が大きいことがわかる。
【0081】次いで、実験1によって作製された試験片
1〜7の加工性評価結果を
【表3】に示す。これより、本発明の管理方法によって
作製された実施例1〜4の試験片2〜5は、従来法であ
るケイフッ化物処理を施した比較例4の試験片7に比べ
て低い加工荷重であり、また、亜鉛めっき処理とリン酸
亜鉛系化成処理を組み合わせた比較例3の試験片6と比
べても、パンチの傷つき性の面で優位であることがわか
る。
【0082】また、実験2によって作製された試験板1
〜7の耐食性評価結果を
【表4】に示す。本発明の管理方法を用いて得られる実
施例5、6のリン酸亜鉛系化成皮膜は塗装後耐食性を大
幅に向上させる効果を有しており、更に比較例6の試験
板7との比較により、その効果はクロム酸クロメートと
同等程度であることがわかる。
【0083】
【発明の効果】本発明によると大量のアルミニウム又は
アルミニウム合金に、連続的にリン酸亜鉛系化成処理を
施すことができる。本発明によりリン酸亜鉛系化成処理
を施したアルミニウムまたはアルミニウム合金は潤滑特
性が他の化成処理方法によるものよりも極めて優れてい
る。また6価クロム等に起因する排水処理問題点が発生
する事がない。本発明は従来法に比べて処理温度が低温
であるため、作業性に優れエネルギー消費が少ない。本
発明のリン酸亜鉛系化成処理液は半永久的に使用する事
ができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リン酸イオン、硝酸イオン、亜鉛イオン、
    ナトリウムイオンおよびフッ素イオンを含有するリン酸
    亜鉛系化成処理液を用いるアルミニウムまたはアルミニ
    ウム合金のリン酸亜鉛系化成処理方法において、継続使
    用中の該リン酸亜鉛系化成処理液のpHとフッ素イオン
    濃度を測定し、リン酸イオン、硝酸イオンおよび亜鉛イ
    オンを含有し亜鉛イオン/リン酸イオンのモル比が0.
    7〜1.3である組成物Aと、ナトリウムイオンとフッ
    素イオンを含有しナトリウムイオン/フッ素イオンのモ
    ル比が0.6〜1.0である組成物Bとを補給すること
    により、該リン酸亜鉛系化成処理液のリン酸イオン濃度
    とフッ素イオン濃度とを所望の価に保持することを特徴
    とする、アルミニウムまたはアルミニウム合金のリン酸
    亜鉛系化成処理方法。
  2. 【請求項2】リン酸イオン濃度の測定方法がアルカリ中
    和滴定法である事を特徴とする、請求項1に記載のアル
    ミニウムまたはアルミニウム合金のリン酸亜鉛系化成処
    理方法。
  3. 【請求項3】フッ素イオン濃度の測定方法が、シリコン
    電極と不活性電極との間に流れる電流値を用いた測定方
    法である、請求項1または2に記載のアルミニウムまた
    はアルミニウム合金のリン酸亜鉛系化成処理方法。
  4. 【請求項4】リン酸亜鉛系化成処理液に接液する直前
    に、処理するアルミニウムまたはアルミニウム合金をチ
    タンコロイド系表面調整液にて処理する事を特徴とす
    る、請求項1〜3の何れかに記載のアルミニウムまたは
    アルミニウム合金のリン酸亜鉛系化成処理方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4の何れかに記載の方法におい
    て、リン酸イオン濃度の低下分を補給するために使用す
    る、リン酸イオン、硝酸イオンおよび亜鉛イオンを含有
    し、亜鉛イオン/リン酸イオンのモル比が0.7〜1.
    3であるリン酸亜鉛系化成処理用組成物。
  6. 【請求項6】請求項1〜4の何れかに記載の方法におい
    て、フッ素イオン濃度の低下分を補給するために使用す
    る、ナトリウムイオンとフッ素イオンを含有し、ナトリ
    ウムイオン/フッ素イオンのモル比が0.6〜1.0で
    あるリン酸亜鉛系化成処理用組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100317680B1 (ko) * 1999-04-29 2001-12-22 이계안 알루미늄 합금 및 강판을 동시에 처리할 수 있는 도장 하지용 표면처리제
JP2010110812A (ja) * 2008-11-10 2010-05-20 Calsonic Kansei Corp 摩擦撹拌接合工法に用いられる被加工部材
JP2017107999A (ja) * 2015-12-10 2017-06-15 昭和電工株式会社 ヒートシンク及びその製造方法

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