JP2010110812A - 摩擦撹拌接合工法に用いられる被加工部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 回転体2のプローブ5を回転させながら被加工部材6,7の当接部分13に押入させて、該当接部分13を塑性流動させた後、冷却硬化させて接合する摩擦撹拌接合工法に用いられる被加工部材6,7であって、被加工部材6,7の表面に、塑性流動した当接部分13の一部が外部へ隆起して形成される接合屑14の固着を防止可能な皮膜9を設けた。
【選択図】 図3
Description
この発明によれば、回転体の突起部を回転させながら複数の被加工部材の当接部分に押入させて、該当接部分を塑性流動させた後、冷却硬化させることにより接合している。
図1は実施例1の装置を説明する斜視図、図2は図1の矢視A1による断面図、図3は実施例1の被加工部材の表面を説明する断面図、図4は実施例1の被加工部材のボンデ処理を説明する図である。
図5、6は被加工部材の摩擦撹拌接合を説明する図、図7、8は実施例1の回転体の移動を説明する図である。
図1、2に示すように、摩擦撹拌接合工法に用いられる装置1は、回転体2と、載置台3とが備えられている。
また、ショルダ4の上端部は、図示しないスピンドルを介して図示しない回転用モータの回転軸に連結されている。
これにより、回転体2は、回転用モータの駆動動作によって軸周り方向に回転可能に設けられている。
さらに、回転体2(回転用モータやスピンドル共)の上端側は、ショルダ4(プローブ5)の向きや位置を自在に変位可能な図示しない産業用ロボットアームの一端部に配設されている。
なお、回転用モータ及び産業用ロボットアームの駆動動作は、これらと電気的に接続された図示しないコントロールユニットで制御されている。
また、載置台3上には、後述する被加工部材6,7が載置されている。
被加工部材6,7は、それぞれ同一の厚みを有して板状に形成される他、接合すべき端部同士を互いに衝き合わせ当接させた状態で載置台3上に配置されている。
被加工部材6(7)は、アルミ合金製(またはアルミ製)の芯材8と、この芯材8の表裏の一方面(上面)に形成され、芯材8に比べて肉薄の皮膜9とから構成されている。
さらに詳述すると、図3に示すように、皮膜9は、化成皮膜10と、金属石鹸皮膜11と、未反応石鹸皮膜12の3層で構成されている。
図4に示すように、ボンデ処理は、洗浄工程S1、化成工程S2、潤滑剤処理及び乾燥工程S3の順番に行われる。
洗浄工程S1では、脱脂剤を用いて芯材8の表面の錆等を除去した後、酸またはアルカリを用いて洗浄する。
化成工程S2では、硅弗化ナトリウムと弗化亜鉛の処理溶液に芯材8を浸漬して、芯材8の表面に弗素系の化成皮膜10(Na2AlF6:クリオライト)を形成する。
潤滑剤処理及び乾燥工程S3では、芯材8をステアリン酸の処理溶液に浸漬した後、乾燥させる。
この結果、芯材8の化成皮膜10の外側にステアリン酸との化学反応により形成された金属石鹸皮膜11(ステアリン酸亜鉛)を形成すると共に、金属石鹸皮膜11の外側に未反応の未反応石鹸皮膜12(ステアリン酸ナトリウム)を形成することにより、所望の被加工部材6(7)を得る。
なお、適宜工程の後に水洗処理または中和処理等が施される。
<装置の作動について>
両被加工部材6,7の当接した当接部分13を接合するには、先ず、図1、2に示すように、コントロールユニットからの指令信号により、産業用ロボットアームが駆動して、回転体2のプローブ5を両被加工部材6,7の当接部分13の真上に配置する。
この摺接に伴って摩擦熱が発生し、当接部分13におけるプローブ5の摺接箇所近傍が軟化して塑性流動しながら広がる。
このプローブ5及びショルダ4の一端部が挿入することによって、塑性流動域が、なお一層撹拌されて広がる。
なお、ショルダ4の一端部を必ずしも挿入する必要はなく、プローブ5のみを挿入するようにしても良い。
この回転体2が通過した当接部分13は、自然冷却(または強制冷却)により冷却硬化して固相接合し、この結果、当接部分13を所定長さに亘って接合できる。
また、図8に示すように、実施例1では、回転体2を進行方向とは逆の方向に所定角度だけ傾倒した状態で移動させることで、スムーズな移動を可能にしている。
ここで、従来の発明にあっては、塑性流動した当接部分の一部がショルダの一端部付近から被加工部材の表面に隆起して、尖鋭な接合屑となって被加工部材の表面に固着・残留するという問題点があった。
この接合屑は、被加工部材の表面と接合されてしまうため、工具を用いて除去・研磨する必要があり、大変手間が掛かる追加の工程が必要になってしまう。
従って、被加工部材6,7の表面に接合屑14が固着するのを防止でき、追加工程を省略できる。
また、接合部の美観を損ねることなく、製品品質を保つことができる。
また、接合屑14の固着防止効果は、皮膜9の化成皮膜10に依るところが大きいと考えられるため、化成皮膜10の厚みを金属石鹸皮膜11や未反応石鹸皮膜12に比べて大きく設定するようにしても良い。
以下、実施例1の効果を請求項1、2、5に対応する(1)〜(3)と共に記載する。
これにより、被加工部材6,7の表面に発生する接合屑14の固着を防止できる。
これにより、比較的安価で容易に形成可能な皮膜でもって被加工部材6,7の表面に発生する接合屑14の固着を防止できる。
これにより、回転体2を被加工部材6,7に対して相対移動させる場合には、移動させない場合に比べて接合屑14の発生量が特に多くなるため、この発明で得られる作用・効果が大きく、好適となる。
実施例2において、実施例1と同様の構成部材については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。
また、接続孔20aには略U字状に湾曲したパイプ22の一端部が挿通し固定されている。
パイプ22の他端部は被加工部材20の内周上壁に凹設された凹部20cに挿通し固定されている。
なお、パイプ22の略U字状の底部には小孔22aが開口され、さらに他端部付近には連通孔22bが開口されている。
被加工部材20の下端外周には、段部20dを有して縮径され、雄螺子溝20eが形成された螺合部20fが形成されている。
この際、両被加工部材20,21の外周面には、鍛造時において母材と成形金型の摩擦抵抗を無くすために母材に予め設けられた皮膜9が形成されている。
なお、この際、容器24内には図示しない多数の粒子状乾燥剤が直接または通気性のある布袋内に入れられた状態で挿入される。あるいは、容器24内の流通媒体の外部への漏れを検出する蛍光剤が挿入される。
この際、両被加工部材20,21の外周面には、前述したように、皮膜9が形成されているため、実施例1と同様の作用・効果を得ることができ、接合屑14が被加工部材20,21の表面に固着する虞がない。
また、当接部分25が曲面であるため、接合屑14を自重により落下させることができる。
従って、実施例2では、皮膜9が被加工部材20,21の鍛造時における潤滑剤として機能すると共に、摩擦撹拌接合時には接合屑14の固着防止剤として機能させることができる。
(4)皮膜は、被加工部材20,21の鍛造時における潤滑剤であることとした。
これにより、被加工部材20,21の鍛造時に潤滑剤として用いる皮膜9でもって、接合屑14が被加工部材20,21の表面に固着するのを防止でき、鍛造部品の接合に用いて好適となる。
実施例3において、実施例1と同様の構成部材については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。
具体的には、実施例3では、炭素系の皮膜としてカーボングラファイトを被加工部材の表面に積層したものが採用されている。
図15に示すように、カーボングラファイトの結晶構造は、炭素元素C−C同士は共有結合で結合力が非常に強いが、繊維層30と繊維層30はファンデルワールス結合(分子間結合)で結合力が弱いという特性がある。
なお、繊維層の厚みは0.34nm程度である。
従って、接合屑が被加工部材の表面になお一層固着しにくいため、好適となる。
(5)皮膜9を炭素系の皮膜であることとした。
これにより、(1)〜(3)と同様の作用・効果を得ることができる。
例えば、複数の被加工部材及び当接部分の数、形状、素材、寸法等については適宜設定できる。
また、被加工部材の当接部分を所定長さに亘って接合する場合には、必ずしも回転体を移動(回転)させる必要はなく、回転体と被加工部材は相対的に移動(回転)すれば良い。
また、図16、17に示すように、複数の被加工部材40を板厚方向に重ねて、該重ねられた部分を当接部分41として接合する場合もあり得る。
さらに、接合部位をスポット溶接のように1点または複数箇所において点在させて接合する場合もあり得る。
2 回転体
3 載置台
4 ショルダ
5 プローブ
6、7、20、21、40 被加工部材
8 芯材
9 皮膜
10 化成皮膜
11 金属石鹸皮膜
12 未反応石鹸皮膜
13、25、41 当接部分
14 接合屑
20a、20b 接続孔
20c 凹部
20d 段部
20e 雄螺子溝
20f、21b 螺合部
21a 雌螺子溝
21c 上端部
22 パイプ
22a 小孔
22b 連通孔
23 アキュムレータ
24 容器
30 繊維層
Claims (5)
- 回転体の突起部を回転させながら複数の被加工部材の当接部分に押入させて、該当接部分を塑性流動させた後、冷却硬化させて接合する摩擦撹拌接合工法に用いられる被加工部材であって、
前記被加工部材の表面に、前記塑性流動した当接部分の一部が外部へ隆起して形成される接合屑の固着を防止可能な皮膜を設けたことを特徴とする摩擦撹拌接合工法に用いられる被加工部材。 - 請求項1記載の摩擦撹拌接合工法に用いられる被加工部材において、
前記皮膜は、弗素系の皮膜であることを特徴とする摩擦撹拌接合工法に用いられる被加工部材。 - 請求項2記載の摩擦撹拌接合工法に用いられる被加工部材において、
前記皮膜は、被加工部材の鍛造時における潤滑剤であることを特徴とする摩擦撹拌接合工法に用いられる被加工部材。 - 請求項1記載の摩擦撹拌接合工法に用いられる被加工部材において、
前記皮膜は、炭素系の皮膜であることを特徴とする摩擦撹拌接合工法に用いられる被加工部材。 - 請求項1〜4のうちのいずれかに記載の摩擦撹拌接合工法に用いられる被加工部材において、
前記回転体の突起部を前記当接部分に沿って相対移動させることにより、該当接部分を所定の長さに亘って接合することを特徴とする摩擦撹拌接合工法に用いられる被加工部材。
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